次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態における燃料供給装置1の斜視図である。図2は、燃料供給装置1の軸方向Zに沿う断面図である。
なお、以下の図面において、燃料供給装置1の上下方向は軸方向Zである。ここでは軸方向Zの一方側を上側とし、軸方向Zの他方側を下側とする。図1において燃料供給装置1の左右方向は径方向Rである。ここでは径方向Rの一方側を左側とし、径方向Rの他方側を右側とする。図1において燃料供給装置1の周方向θは、図示の通りである。以下の図でも同様である。
(燃料供給装置)
図1、図2に示すように、燃料供給装置1は、例えば、自動車や自動二輪車などの燃料タンク2内に燃料に浸漬されて配置され、燃料タンク2内の燃料を汲み上げて不図示の内燃機関に圧送するものである。
燃料供給装置1は、燃料ポンプ3と、燃料ポンプ3を内包し燃料タンク2に取り付けられるホルダ部191と、燃料ポンプ3の吸入側に配設されたフィルタユニット192とを備えている。また、ホルダ部191のフィルタユニット192側には、センダゲージ193が設けられている。
燃料ポンプ3は、フランジユニット4側に配設されたモータ部Mとモータ部Mの下端に取り付けられたポンプ部Pとを有している。
モータ部Mは、いわゆるブラシ付きの直流モータである。モータ部Mは、金属製で筒状のモータハウジング(ヨーク)6と、モータハウジング6の内側に回転自在に設けられたアーマチュア7と、モータハウジング6の上側開口部を閉塞するアウトレットカバー8とを備えている。モータハウジング6の内周面には、複数の永久磁石19が周方向に磁極が交互になるように配設されている。
アーマチュア7は、回転軸9の中央部に所定極数のアーマチュアコア10を設け、回転軸9の上端側にブラシと当接するコンミテータ11を設けている。アーマチュアコア10は、コアプレート12を軸方向に複数枚積層したものである。コアプレート12は、略円環状に形成された円環部の外周面に、径方向外側に向かって放射状に延設された略T字状のティース13が一体形成されている。隣接するティース13間には不図示のスロットが形成されており、このスロットを介してティース13に巻線15が巻装されている。
回転軸9の上端側に設けられたコンミテータ11は、略円板状に形成されたいわゆるディスク型コンミテータである。コンミテータ11の上面には、複数のセグメント16が周方向に等間隔で形成され、互いに絶縁されている。コンミテータ11の上面は、不図示のブラシの摺動面となる。
ブラシは、コンミテータ11の上方に配置されている。ブラシは、不図示のスプリングによってコンミテータ11側に向かって付勢されている。そして、ブラシの先端は、セグメント16に摺接されている。また、ブラシは、外部電源(不図示)に電気的に接続されており、コンミテータ11のセグメント16に接続されている巻線15に給電を行っている。
一方、コンミテータ11の下面には、巻線15をコンミテータ11に接続するためのライザ18が設けられている。このライザ18に、巻線15がヒュージングなどによって接続されている。各セグメント16とライザ18とは電気的に接続されている。
モータハウジング6の上側開口部を閉塞するアウトレットカバー8は、樹脂などによって略円柱状に形成されたものである。アウトレットカバー8の軸方向略中央には、上部から下部に向かって、末広がりに形成されたスカート部21が設けられている。スカート部21の下端は、モータハウジング6と当接し、これによってアウトレットカバー8の軸方向の位置決めが行われる。
また、モータハウジング6は、モータハウジング6の上部に載置されたアウトレットカバー8のスカート部21を覆うようにして、モータハウジングの上端をカシメている。これによって、アウトレットカバー8とモータ部Mとポンプ部Pは、モータハウジング6に一体的に固定される。さらに、スカート部21の下端には、外周縁に軸方向に突出する舌片部23が設けられている。
アウトレットカバー8の下部中央には、収容凹部24が形成されており、収容凹部24には、コンミテータ11が収容されている。収容凹部24の上壁24aには、径方向中央に回転軸9を回転自在に軸支する軸受け部25が形成されている。
軸受け部25は、回転軸をラジアル支持できればどのような軸受けでもよく、種々のラジアルすべり軸受けが好適に採用できる。特に、軸受け隙間に燃料が浸透することにより潤滑効果が得られる材質や構造を有することが好ましい。また、軸受け部25は、別部材とされた軸受けを固定してもよいし、アウトレットカバー8自身に形成してもよい。
アウトレットカバー8の上部には、外周寄りに凹部29が2箇所(本第一実施形態では1箇所のみ記載)形成され、ここにそれぞれ雄型端子30が立設されている。雄型端子30は、凹部29の長手方向に沿う向きで配置され、軸方向に沿って立設されている。雄型端子30の基端側は、不図示のブラシと電気的に接続されている。
また、アウトレットカバー8の外周寄りには、凹部29が形成されている位置とは回転軸9を中心にして反対側に、筒状のチェックバルブ収納部31が立設されている。チェックバルブ収納部31は、先端側が段差によって縮径するように形成されたものである。このチェックバルブ収納部31に、チェックバルブ32が内装されている。また、チェックバルブ収納部31の外周面に形成された段差面31aには、アウトレットカバー8をフランジユニット4に取り付ける際に用いられるOリング231が設けられている。
チェックバルブ収納部31の下方には、段付状の孔が形成されており、この孔を吐出ポート33としている。すなわち、アウトレットカバー8には、吐出ポート33と、チェックバルブ収納部31とを軸方向に貫通する孔が形成されている。そして、ポンプ部Pで汲み上げられた燃料が吐出ポート33、チェックバルブ32を通って燃料ポンプ3(アウトレットカバー8)の外側へと吐出される。
ポンプ部Pは、モータハウジング6の下側開口部を閉塞するように設けられている。ポンプ部Pは、ポンプ部Pの上部に配設されているベースブラケット20と、ベースブラケット20の下面に沿って回転可能に設けられたインペラ100と、このインペラ100を下方から覆うインレットカバー38とで構成されている。ポンプ部Pは、内側に折り曲げられたモータハウジング6の下側開口縁と、アウトレットカバー8にカシメ固定されたモータ部Mとによって、モータハウジング6内で挟持固定されている。
ポンプ部Pの上部に配設されているベースブラケット20は、略円板状に形成されている。ベースブラケット20は、ポンプ部Pとモータ部Mとを区分けする隔壁の役割を有している。ベースブラケット20の径方向略中央には、回転軸9の下端を回転自在に軸支する軸受け部34が形成されている。
軸受け部34は、回転軸9をラジアル支持できればどのような軸受けでもよく、種々のラジアルすべり軸受けが好適に採用できる。特に、軸受け隙間に燃料が浸透することにより潤滑効果が得られる材質や構造を有することが好ましい。また、軸受け部34は、別部材とされた軸受けを固定してもよいし、ベースブラケット20自身に形成してもよい。
ベースブラケット20の下面には、外周寄りにポンプケーシング溝35が形成されている。ポンプケーシング溝35は、ベースブラケット20の径方向断面において、略円弧状で、後述するインペラ100の外周部に沿って軸方向平面視でC字を描くように形成されている。ポンプケーシング溝35は、C字状に形成されることで、軸方向平面視で始端部と終端部(何れも不図示)とを有した形になる。
また、ベースブラケット20には、ポンプケーシング溝35の終端部に対応する位置に、このポンプケーシング溝35に連通すると共に、ベースブラケット20を厚さ方向に貫通する不図示の燃料案内孔が形成されている。したがって、燃料案内孔は、ベースブラケット20の上面において、モータ部Mの内部で開口された状態になっている。
インペラ100は、略円板状に形成されている。インペラ100の径方向中央には、回転軸9とインペラ100とを相対回転不能に連結するための軸孔39が形成されている。回転軸9の下端は、インペラ100を貫通してインレットカバー38側に突出している。
インペラ100の外周部には、周方向所定間隔に配置された適宜の翼形状の羽根40が多数設けられている。羽根40の径方向の長さは、ポンプケーシング溝35の径方向断面の幅に対応して適宜に設定されている。
インレットカバー38の上面には、ポンプケーシング溝35と略同様のC字状溝であるポンプケーシング溝41が、ケーシング溝始端部(不図示)からケーシング溝終端部(不図示)まで形成されている。このポンプケーシング溝41は、ベースブラケット20のポンプケーシング溝35と軸方向で重なる位置に形成されている。
また、インレットカバー38の径方向略中央には、回転軸9をスラスト方向に回転可能に支持するためのスラスト軸受け42が設けられている。スラスト軸受け42は、燃料に浸漬された状態で適宜のすべり性能を有するものであれば、どのような材質、形状を有するものであってもよい。さらに、インレットカバー38には、ベースブラケット20に形成されているポンプケーシング溝35の始端部(不図示)と軸方向で重なる位置において、軸方向に貫通する不図示の吸入口が形成されている。
この他に、インレットカバー38には、燃料ポンプ3内で発生したベーパを排出する不図示の脱気孔が貫通形成されている。
燃料ポンプ3を内包するホルダ部191は、フランジユニット4と、アッパーカップ5とを有している。フランジユニット4は、燃料ポンプ3の上端に取り付けられると共に、燃料タンク2に取り付けられている。また、アッパーカップ5は、燃料ポンプ3の外周面を覆うように形成されている。
フランジユニット4は、樹脂製の略円板状のユニット本体44を有している。ユニット本体44は、燃料タンク2の上壁2aに形成された開口部2bに外側(上側)から挿入され、上壁2aに取り付けられている。ユニット本体44の内面側には、中央の大部分に凹部45が形成されており、ユニット本体44は、周壁44aとエンド部(底壁)44bとで構成された状態になっている。
凹部45内の外周寄りには、軸方向平面視略円環状の取り付け壁49が立設されている。この取り付け壁49の先端面49aは、アッパーカップ5の当接面となる。
また、凹部45には、アウトレットカバー8のチェックバルブ収納部31に対応する位置に、チェックバルブ嵌合部230が突設されている。チェックバルブ嵌合部230には、チェックバルブ収納部31の外形状に対応するように段付凹部230aが形成されている。段付凹部230aにチェックバルブ収納部31を嵌合する際、チェックバルブ収納部31の外周面に形成された段差面31aにOリング231が装着されているので、両者230a,31の合わせ面から燃料の漏れを防止することができる。
ユニット本体44の周壁44aには、軸方向略中央に燃料タンク2の開口部2bに対応するように形成されたフランジ部47が設けられている。このフランジ部47が、燃料タンク2の開口部2bを閉塞している。フランジ部47には、径方向に対向配置された2つの取り付けステー50が突設されている。
取り付けステー50には、先端にボルトやビスなどを軸方向に挿通可能な凹部48が形成されている。この凹部48にボルトやビスなどを挿通し、燃料タンク2の上壁2aに設けられている雌ネジ部やビス孔などを利用して燃料タンク2にフランジユニット4を固定する。すなわち、フランジユニット4は、取り付けステー50よりも上側が燃料タンク2の外部に露出した状態になる。
ユニット本体44の上方には、燃料取出し管57が設けられている。この燃料取出し管57は、燃料ポンプ3から汲み上げられた燃料を内燃機関へと圧送するためのものであって、先端が不図示の内燃機関に接続されている。燃料取出し管57とユニット本体44のエンド部44bとの間には、両者57,44を跨るように中間流路部232が設けられている。中間流路部232の内部には、燃料取出し管57内の燃料流路43と、チェックバルブ嵌合部230の段付凹部230aとを連通させる中間燃料流路232aが形成されている。これにより、チェックバルブ32を通って燃料ポンプ3(アウトレットカバー8)の外側へと吐出される燃料を燃料取出し管57の燃料流路43へと送出することができる。
ユニット本体44のエンド部44bには、プレッシャレギュレータ37よりも径方向外側に、コネクタ58が略水平方向を向くような形で設けられている。コネクタ58は、不図示の外部電源の電力を燃料供給装置1に給電するためのものである。コネクタ58には、受部60が外方に向かって形成されている。この受部60は、不図示の外部電源から延びるケーブルが嵌着可能になっている。コネクタ58に内装されているコネクタ端子59は、断面略L字状に形成されている。そして、コネクタ端子59は、一端がコネクタ58の受部60内に突出され、他端がユニット本体44の凹部45内に突出されている。
ここで、コネクタ端子59の他端と、燃料ポンプ3のアウトレットカバー8に設けられている雄型端子30は、互いにリード線36を介して接続されている。外部電源と、コネクタ端子59とは、電気的に接続されている。また、コネクタ端子59と不図示のブラシは、リード線36を介してセグメント16と電気的に接続される。このため、セグメント16に接続されている巻線15に外部電源からの電力を供給することができる。リード線36には、雄型端子30側の端末部に、雄型端子30に対して挿抜可能な不図示の雌型端子が設けられている。一方、リード線36のコネクタ端子59側の端末部には、コネクタ端子59に挿抜可能な端子102が装着されている。
燃料ポンプ3の外周面を覆うアッパーカップ5は、樹脂などによって筒状に形成されたカップ本体195を有している。アッパーカップ5は、カップ本体195の下端に形成された開口部側から燃料ポンプ3を挿入することができるように形成されている。
カップ本体195の周壁95bは、フランジユニット4から燃料ポンプ3の軸方向略中央まで延出している。周壁95bの内径は、燃料ポンプ3のモータハウジング6の外径と略一致するように、かつ燃料ポンプ3を挿入可能な大きさに設定されている。したがって、カップ本体195の周壁95bとモータハウジング6との間には、殆ど隙間が形成されない。
周壁95bのフランジユニット4側の大部分には、段差により拡径された拡径部101が形成されている。そして、拡径部101の上端をフランジユニット4の取付け壁49に当接させた状態で溶着などによって固定し、フランジユニット4とアッパーカップ5とが一体化されている。すなわち、フランジユニット4の取り付け壁49の直径は、アッパーカップ5の直径と略一致するように設定されている。また、拡径部101とモータハウジング6との間には、隙間が形成される。拡径部101の内径は、これとモータハウジング6との間の隙間Sの大きさがリード線36を通過可能にする大きさとなるように設定されている。
また、カップ本体195の周壁95bには、開口部の周縁から軸方向下方に向かって延出するゲージ取付け板185が設けられている。このゲージ取付け板185には、センダゲージ193が取り付けられている。センダゲージ193は、燃料タンク2内の燃料の残量、すなわち、液面位置を検出する液面計である。センダゲージ193は、ゲージ取付け板185に取り付けられボックス状に形成されたゲージ本体197と、このゲージ本体197に対して回動自在に設けられた揺動アーム198と、揺動アーム198の先端に設けられ液面に浮遊可能なフロート199とを備えている。
揺動アーム198には、検出基板が固定されており、ゲージ本体197には、検出基板と接する接点が固定されている。このため、液面に応じてフロート199が移動すると、フロート199を支持する揺動アーム198は、ゲージ本体197を中心にして回動する。揺動アーム198の回動に伴って検出基板が回動するため、検出基板と接触する接点が切り替わり、液面の位置を検出することができる。
また、揺動アーム198の長さは、フロート199が液面の位置に応じて移動可能な長さに設定されているため、燃料の残量が少なくなった場合であっても、燃料の残量を正確に検出することができる。
さらに、カップ本体195の周壁95bには、開口部の周縁から軸方向下方に向かって延出する係止片46が3箇所周方向に等間隔で形成されている。
この係止片46は、径方向外側に向かって先端が拡径する方向に弾性変形可能に形成されている。係止片46は、フィルタユニット192にスナップフィットすることで、燃料ポンプ3を支持する。このため、燃料供給装置1が径方向に拡大することなく、燃料ポンプ3は、フィルタユニット192によって支持される。
係止片46は、燃料ポンプ3のポンプ部Pよりもやや下方まで延出している。そして、係止片46には、フィルタユニット192の後述する支持プレート182に対応する位置に、係止孔62が形成されている。
燃料ポンプ3の吸入側であるポンプ部Pの下部には、フィルタユニット192が設けられている。フィルタユニット192は、ポンプ部Pの下面に設けられ、アッパーカップ5の係止片46にスナップフィットされる支持プレート182と、燃料タンク2内の燃料を濾過してポンプ部Pへ導くサクションフィルタ51と、これら支持プレート182とサクションフィルタ51との間に設けられる吸入ポート53とを備えている。
支持プレート182は、略円板状に形成されたものである。支持プレート182の外周面182aには、係止片46の係止孔62に対応する部位に、係止孔62と係止可能な係止凸部180が3箇所形成されている。これによって、支持プレート182の軸方向Z、及び周方向θの位置決めが行われる。また、支持プレート182の上端面は、燃料ポンプ3を支持可能に形成されている。このため、燃料ポンプ3は、フィルタユニット192の支持プレート182を介してホルダ部191に支持された状態になる。
サクションフィルタ51は、濾材51aと、濾材51aの外周縁を溶着し形成された溶着部51bとで構成されている。濾材51aは、例えば、メッシュ状のナイロン布を折り曲げたものであって、袋状に形成されている。
一方、溶着部51bは、例えば、袋状に形成された濾材51aの外周縁を溶着し形成されたものであって、袋状に形成された濾材51aが開いてしまうことを防止する。吸入ポート53は、略円筒状に形成されている。この吸入ポート53の両端は、それぞれ支持プレート182とサクションフィルタ51に連通している。支持プレート182、サクションフィルタ51、及び吸入ポート53は、溶着により一体化されている。このため、部品点数を減少させることができ、組み付け性を向上させることができる。
ここで、ユニット本体44に設けられている燃料取出し管57の基端側には、燃料流路43とユニット本体44の凹部45とを連通させるプレッシャレギュレータ収納凹部54が、軸方向に沿うように形成されている。このプレッシャレギュレータ収納凹部54には、プレッシャレギュレータ37が収納されている。プレッシャレギュレータ37は、燃料取出し管57の燃料流路43内に余剰な圧力がかかった場合に、燃料流路43内の燃料を燃料タンク2内に戻し、常に燃圧を一定に保つためのものである。
プレッシャレギュレータ37は、この周囲を取り囲むように形成された有底筒状のプレッシャレギュレータ支持部52に内装され、この状態でプレッシャレギュレータ収納凹部54に凹部45側から挿入されている。プレッシャレギュレータ収納凹部54とプレッシャレギュレータ37との間には、Oリング234が介在されている。
プレッシャレギュレータ支持部52の下部は、ユニット本体44の凹部45側に突出した状態になっている。プレッシャレギュレータ支持部52の下面52aには貫通孔233が形成されており、ここから余剰な圧力がかかった場合の燃料が排出される。
(プレッシャレギュレータ)
図3は、プレッシャレギュレータ37の斜視図である。
図3に示すようにプレッシャレギュレータ37は、ケース61と、プレッシャレギュレータ本体63(圧力制御装置本体)とを備える。プレッシャレギュレータ本体63は、ケース61内に設けられている。
ケース61は、ケース本体65と、ケース上側部67(ケース一方側部)と、ケース下側部69(ケース他方側部)とを備える。ケース本体65と、ケース上側部67と、ケース下側部69とは、樹脂により一体成形により形成されている。樹脂には、低膨潤性の樹脂が使用されている。低膨潤性の樹脂としては、例えばPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)が挙げられる。
ケース本体65は、円筒状に形成されている。ケース本体65の外周面83の上端部は、上端から下方に向けてケース61の外周側へ拡がるように形成されている。ケース上側部67は、ケース本体65の上側に隙間S1を空けて結合されている。ケース上側部67は、ケース本体65よりも外径が大きく設定されている。ケース上側部67は、第1上側部71と、第2上側部73と、第3上側部75と、複数の脚部77とを備える。
第1上側部71は、環状に形成されている。第1上側部71は、ケース本体65の上側に隙間S1を空けて配置されている。第1上側部71の外径は、ケース上側部67の最大外径である。第2上側部73は、円筒状に形成されている。第2上側部73は、第1上側部71の上側に結合されている。第2上側部73は、第1上側部71よりも外径が小さく設定されている。第3上側部75は、円筒状に形成されている。第3上側部75は、第2上側部73の上側に結合されている。第3上側部75は、第2上側部73よりも外径が小さく設定されている。第3上側部75の下部の外周側には、上述のOリング234が嵌め込まれている。
複数の脚部77は、第1上側部71の下面の周方向θに等間隔に設けられている。各脚部77の上端は、第1上側部71の下面に結合されている。各脚部77は、第1上側部71の下面から下方に延びて形成されている。各脚部77は、内側面81でケース本体65の外周面83に結合されている。各脚部77の下端85と、ケース本体65の下端87は、同じ高さ位置に設定されている。各脚部77の外側面89Aは、第1上側部75の外周面89と面一に設定されている。
ケース下側部69は、円筒状に形成されている。ケース下側部69は、ケース本体65の下側に結合されている。ケース下側部69は、ケース本体65と同じ外径を有している。これによりケース下側部69は、ケース上側部67よりも外径が小さく設定されている。これによりケース本体65及びケース下側部69の外周面83と、ケース上側部67の第1上側部71の外周面89との間には、空間部S3が形成されている。
図4は、プレッシャレギュレータ37の軸方向Zに沿う断面図である。
図4に示すようにプレッシャレギュレータ37は、燃料流路43に挿入されている状態で第1上側部71及び複数の脚部77の外側面89Aが当接されている。ケース61の内部には、貫通路91が設けられている。貫通路91は、ケース61の上端から下端にかけて内部を軸方向Zに沿って貫通して設けられている。貫通路91の軸方向Zの中間部分には、被閉塞部93が設けられている。被閉塞部93は、後述のバルブ107で閉塞される部分である。
これにより貫通路91は、ケース上側部67の貫通路91、被閉塞部93、ケース本体65の貫通路91、ケース下側部69の貫通路91から構成されている。ケース上側部67の貫通路91の内周面131の下部の周方向θには、係止部133が設けられている。係止部133は環状に形成されている。係止部133の中央部分には、貫通孔135が貫通して設けられている。係止部133の下面の周方向θには、押圧突起137が形成されている。押圧突起137は環状に形成されている。押圧突起137は、係止部133の下面から下方に突出して形成されている。押圧突起137の下面からの高さ(軸方向Zの長さ)は、例えば0.5mmである。
被閉塞部93には、複数の径方向流路95の一端が接続されている。各径方向流路95は、ケース61の内部に径方向Rに沿って設けられている。各径方向流路95の他端は、ケース61の外周側に開口している。径方向流路95は、燃料を貫通路91から径方向Rに沿ってケース61の外周側に流すための流路である。
各径方向流路95の他端側には、軸方向流路97の一端が接続している。軸方向流路97は、ケース61の内部に軸方向Zに沿って設けられている。軸方向流路97は、他端がケース61の下端側に開口している。軸方向流路97は、燃料を径方向流路95の他端側から軸方向Zに沿ってケース61の下端側に流すための流路である。
貫通路91の被閉塞部93は、ケース本体65とケース上側部67との間の隙間S1により構成されている。各径方向流路95は、隙間S1と、燃料流路43の内周面171とにより構成されている。軸方向流路97は、ケース本体65及びケース下側部69の外周側の空間部S3と、燃料流路43の内周面171とにより構成されている。
軸方向流路97の一端側の内周側面83Aは、ケース本体65の外周面83の上端部である。外周面83の上端部は、上述のように上端から下方に向けてケース61の外周側に拡がるように形成されている。このため、軸方向流路97の一端側の内周側面83Aは、径方向Rの内側に拡がって形成されている。
プレッシャレギュレータ本体63は、被閉塞部93と複数の径方向流路95の一端とを閉塞している。これにより被閉塞部93よりも上側に形成されているケース上側部67の貫通路91には、燃料流路43を通る燃料が流入して貯留される。プレッシャレギュレータ本体63は、貫通路91の被閉塞部93から下側に配置されている。プレッシャレギュレータ本体63は、ケース上側部67の貫通路91に貯留されている燃料の圧力が所定圧力を超えた場合に被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を開ける。プレッシャレギュレータ本体63は、燃料の圧力が所定圧力以下になった場合に被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を閉じる。以下に、プレッシャレギュレータ本体63の具体的な構成を説明する。
プレッシャレギュレータ本体63は、バルブユニット103と、駆動部105とを備える。バルブユニット103は、バルブ107と、被押圧部109とを備える。バルブ107は、ゴム製である。バルブ107は、被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を閉塞している。バルブ107は、被閉塞部93から下方側で軸方向Zに移動可能に配置されている。バルブ107は、基部111と、突起113と、圧入部115とを備える。
基部111は、円形の板状に形成されている。基部111は、ケース上側部67の貫通路91において係止部133の貫通孔135を閉塞している。基部111の上面117の外周側は、係止部133の押圧突起137に押圧されて係止部133に係止されている。押圧突起137は、上面117の外周側を例えば0.1mm喰い込んで押圧している。突起113は、基部111の上面117の中央部分に設けられている。突起113は、係止部133の貫通孔135に配置されている。圧入部115は、基部111の下面119の中央部分に設けられている。圧入部115は、軸方向Zに沿う断面形状が凸状になるように形成されている。
図5は、バルブ107の底面図である。
図5に示すように基部111の下面119(底面)の中央部分には、上述の圧入部115が設けられている。圧入部115は、環状に形成されている。圧入部115は、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123を備える。複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、下面119の周方向θに交互に設けられている。複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、下面119の周方向θに等間隔でそれぞれ3個配置されている。複数の第1圧入部121の各々は、平面視で円弧状に形成されている。複数の第2圧入部123の各々は、平面視で中央側に凹んだV字状に形成されている。複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、周方向θに環状に繋がれて形成されている。これにより圧入部115の平面視の形状は、三又状となっている。
図4に示すように被押圧部109は、バルブ107の下側に設けられている。被押圧部109は、樹脂製である。樹脂には、低膨潤性の樹脂が使用されている。低膨潤性の樹脂としては、例えばPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)が挙げられる。被押圧部109は、バルブ107と共に被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を閉塞している。被押圧部109は、被閉塞部93から下方側で軸方向Zに移動可能に配置されている。被押圧部109は、基部125と、第1支持部127と、第2支持部129とを備える。
基部125は、略円形の板状に形成されている。基部125の上面141の中央部分には、被圧入部143が設けられている。被圧入部143には、バルブ107の圧入部115が圧入されて嵌合されている。被圧入部143は、軸方向Zに沿う断面形状が凹状になるように形成されている。被圧入部143は、平面視で圧入部115と同形状に形成されている(図5参照)。被圧入部143の内径は、圧入部115の外径とほぼ同径に設定されている。第1支持部127は、基部125の下面145の中央部分に結合されている。第1支持部127は、略円柱状に形成されている。第2支持部129は、第1支持部127の下側に結合されている。第2支持部129は、軸方向Zに沿って延びる丸棒状に形成されている。
図6は、被押圧部109を下方から視た斜視図である。
図6に示すように基部125の外周面147には、複数のスリット149が設けられている。複数のスリット149は、外周面147の軸方向Zに沿って形成されている。図7は、被押圧部109の底面図である。図7に示すように複数のスリット149は、基部125の外周面147の周方向θに等間隔で配置されている。
図4に示すように駆動部105は、コイルバネ173と、リテーナ175とを備える。
コイルバネ173は、被押圧部109の下側から被押圧部109に外挿されて支持されている。具体的にコイルバネ173は、第2支持部129の下側から第2支持部129及び第1支持部127に外挿されて基部125の下面145に当接されることにより被押圧部109に支持されている。
リテーナ175は、ケース下側部69の貫通路91に下方から圧入されて配置されている。リテーナ175は、上面が開口した円筒状に形成されている。リテーナ175は、貫通路91の下側の開口部を閉塞している。リテーナ175の内部には、押圧部177が設けられている。押圧部177は、軸方向Zに沿う断面形状がU字状になるように形成されている。押圧部177は、コイルバネ173を上方に押圧している。これによりコイルバネ173は縮められて所定の付勢力(所定圧力)を有している。コイルバネ173は、所定の付勢力で被押圧部109の基部125を押圧しており、これによりバルブ107を上方に付勢している。これによりバルブ107は、係止部133の押圧突起137に押圧された状態で係止されている。
ケース上側部67の貫通路91に貯留されている燃料はバルブ107を下方(コイルバネ173の所定の付勢力に抗する方向)に押圧している。駆動部105は、燃料の圧力、つまり燃料がバルブ107を下方に押圧している押圧力が、コイルバネ173の所定の付勢力を超えた場合には、バルブユニット103を下方に移動させて被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を開けるように構成されている。駆動部105は、燃料の圧力が所定の付勢力以下になった場合には、コイルバネ173の付勢力によりバルブユニット103を上方に移動させてバルブ107が係止部133に係止されることにより被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を閉じるように構成されている。
以上のように構成されている燃料供給装置1において、燃料を内燃機関に供給する方法を説明する。
燃料ポンプ3のモータ部Mを駆動させると、回転軸9が回転し、これに相対回転不能に連結されているインペラ100が回転する。インペラ100が回転すると、燃料タンク2内の燃料がサクションフィルタ51を介して濾過された状態で吸入ポート53から吸入される。
吸入ポート53は、インレットカバー38に形成された不図示の吸入口に接続されているので、ポンプ部Pは吸入口(不図示)から燃料を吸入し、羽根40によりポンプケーシング溝35,41内の燃料を昇圧しつつ、不図示の燃料案内孔を介してモータ部M内に燃料を吐出させる。
モータ部M内に吐出された燃料は、隣接する永久磁石19,19間、及び永久磁石19とアーマチュア7との間を通って吐出ポート33へと流れる。そして、燃料は、吐出ポート33、チェックバルブ32を通って燃料取出し管57の燃料流路43に搬送される。ここで、燃料流路43の燃圧が所定よりも高い場合には、プレッシャレギュレータ37を介してフランジユニット4の内面側から燃料が排出され、アッパーカップ5を通って燃料タンク2内へと戻される。一方、燃料流路43の燃圧が所定以内である場合、燃料取出し管57を通って不図示の内燃機関へと搬送される。
次に、プレッシャレギュレータ37による燃料の圧力制御方法について、より詳しく説明する。
燃料流路43を通る燃料の一部は、ケース上側部67の貫通路91に流入して貯留される。燃料流路43を通る燃料の圧力の上昇に伴い、ケース上側部67の貫通路91に貯留されている燃料の圧力も上昇する。
プレッシャレギュレータ本体63は、ケース上側部67の貫通路91に貯留している燃料の圧力がコイルバネ173の所定の付勢力を超えた場合には、図4から図8に示すようにバルブユニット103を下方に移動させて被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を開ける。これにより燃料Gは、貫通路91から各径方向流路95に流出してケース61の外周側へ流れていき、軸方向流路97に流入する。軸方向流路97に流入した燃料は、ケース61の下端側へ流れていき、ケース61の外部に排出される。
ケース61の外部に排出された燃料Gは、フランジユニット4の内面側から燃料が排出され、アッパーカップ5を通って燃料タンク2内へと戻される。これによりケース上側部67の貫通路91に貯留されている燃料の圧力が下がる。その結果、燃料供給装置1から内燃機関に圧送される燃料の圧力も下がる。プレッシャレギュレータ本体63は、ケース上側部67の貫通路91に貯留されている燃料の圧力が所定の付勢力以下になった場合には、コイルバネ173の付勢力によりバルブユニット103を上方に移動させて被閉塞部93及び複数の径方向流路95の一端を閉じる。
次に、本実施形態のプレッシャレギュレータ37の作用効果を説明する。
(1)本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、ケース61と、ケース61の内部を軸方向Zに沿って貫通して設けられている貫通路91とを備える。本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、貫通路91に設定されている被閉塞部93に一端が接続してケース61の内部に径方向Rに沿って設けられている径方向流路95を備える。本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、径方向流路95の他端側に一端が接続してケース61の内部に軸方向Zに沿って設けられて他端がケース61の他端側に開口している軸方向流路97を備える。本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、被閉塞部93及び径方向流路95の一端を開閉可能に閉塞して貫通路91の被閉塞部93から下側に配置されているプレッシャレギュレータ本体63を備える。プレッシャレギュレータ本体63は、貫通路91の被閉塞部93よりも上側に貯留される燃料Gの圧力が所定の付勢力(所定圧力)を超えた場合に被閉塞部93及び径方向流路95の一端を開ける。
これにより貫通路91に貯留されている燃料Gは、その圧力が所定圧力を超えると、径方向流路95、軸方向流路97の順に流れてケース61の他端側に排出される。このため燃料Gは貫通路91の外周側で軸方向Zに沿って流れることが可能になるので、燃料Gが貫通路91とプレッシャレギュレータ本体63との間を軸方向Zに沿って流れるのが抑制される。したがってプレッシャレギュレータ本体63の揺れが抑制されてプレッシャレギュレータ本体63がケース61(ケース本体65)に当たるのが抑制される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、燃料Gの圧力制御時に異音が発生するのを抑制することができる。本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、貫通路91に貯留されている燃料Gの流出方向が径方向Rの一方向となったことにより燃料Gを安定して流出させることが可能になるため、燃料Gの圧力をふらつくことなく下げることができる。
(2)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、ケース61が、ケース本体65と、ケース本体65の上側に隙間S1を空けて形成されてケース本体65よりも外径が大きいケース上側部67とを備える。隙間S1は、貫通路91の被閉塞部93及び径方向流路95を構成している。ケース本体65の外周面83とケース上側部67の外周面89との間に形成されている空間部S3は、軸方向流路97を構成している。これにより径方向流路95及び軸方向流路97は、ケース61を大幅に加工しなくても形成することが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、ケース61の製造コストを抑えつつ、燃料Gの圧力制御時に異音が発生するのを抑制することができる。
(3)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、ケース61においてケース本体65の下側にケース下側部69が形成されている。ケース下側部69は、ケース上側部67よりも外径が小さく設定されている。これによりケース61を一体成形で製造する際のヒケを抑制することが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、ケース61の成形不良を抑制することができる。
(4)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、軸方向流路97の一端側の内周側面83Aが径方向Rの内側に拡がって形成されている。これにより径方向流路95に流入した燃料Gは、軸方向流路97に容易に流れることが可能になる。このため燃料Gは、貫通路91とプレッシャレギュレータ本体63との間を軸方向Zに沿って流れるのがさらに抑制される。したがって、プレッシャレギュレータ本体63の揺れがさらに抑制され、プレッシャレギュレータ本体63がケース61に当たるのがさらに抑制される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、燃料Gの圧力制御時に異音が発生するのをさらに抑制することができる。
(5)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、プレッシャレギュレータ本体63が、貫通路91の被閉塞部93及び径方向流路95の一端を閉塞しているバルブ107と、バルブ107の下側に設けられている被押圧部109とを備える。さらにプレッシャレギュレータ本体63は、被押圧部109の下側から被押圧部109を所定の付勢力で押圧した状態で貫通路91に配置されている駆動部105を備える。駆動部105は、燃料の圧力が所定の付勢力を超えた場合に被押圧部109及びバルブ107を下側に移動させて被閉塞部93及び径方向流路95の一端を開ける。被押圧部109の外周面147には、スリット149が軸方向Zに沿って形成されている。
これにより燃料Gの圧力制御時には、貫通路91の燃料Gが被押圧部109の外周面147をつたってきても、燃料Gはスリット149を通って被押圧部109の下側に抜ける。このため、燃料Gが被押圧部109の外周面147に付着するのが抑制される。これにより被押圧部109は軸方向Zにスムーズに移動することが可能になるので、バルブ107は被閉塞部93及び径方向流路95の一端をスムーズに開けることが可能になる。したがってプレッシャレギュレータ37は、貫通路91の燃料Gを径方向流路95及び軸方向流路97を経由してケース61の外部にスムーズに排出して、燃料Gの圧力を効率よく下げることが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、燃料Gの圧力制御を効率よく行うことができる。
またスリット149は、被押圧部109の外周面147の周方向θに等間隔に配置されているため、被押圧部109とケース61との間の隙間を一定に確保することが可能になる。これにより被押圧部109は、軸方向Zにさらにスムーズに移動することが可能になる。したがって貫通路91の燃料Gをケース61の外部にさらにスムーズに排出して、燃料Gの圧力をさらに効率よく下げることが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、燃料Gの圧力制御をさらに効率よく行うことができる。
(6)本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、ケース61と、ケース61の内部を軸方向Zに沿って貫通して設けられている貫通路91とを備える。本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、貫通路91に設定されている被閉塞部93を開閉可能に閉塞しているバルブ107と、バルブ107の下側に設けられている被押圧部109とを備える。本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、被押圧部109の下側から被押圧部109を所定の付勢力(所定圧力)で押圧した状態で貫通路91に配置されている駆動部105を備える。駆動部105は、貫通路91の被閉塞部93よりも上側に貯留される燃料Gの圧力が所定の付勢力を超えた場合に被押圧部109及びバルブ107を下側に移動させて被閉塞部93開ける。バルブ107の下面119には、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123が周方向θに交互に設けられている。被押圧部109の上面141には、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123が圧入されている被圧入部143が設けられている。複数の第2圧入部123は、複数の第1圧入部121よりも被圧入部143に対して緩く圧入されている。
本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、バルブ107と被押圧部109とが圧入により嵌合されていることから、バルブ107と被押圧部109との組み付け力が十分に確保される。このため、バルブ107と被押圧部109との組み付けに接着剤が不要になるので、接着剤の塗布作業が不要になる。したがってプレッシャレギュレータ37の製造においてバルブ107と被押圧部109との組み付け作業にかかる時間を短縮することが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、製造効率を上げることができる。
本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、第2圧入部123が第1圧入部121よりも被圧入部143に対して緩く圧入されていることからバルブ107が膨潤すると、膨潤分を第2圧入部123と被圧入部143との間で許容することが可能になる。このため、バルブ107が膨潤してもバルブ107全体の形状が大きくなるのが抑制されるので、貫通路91の閉塞性が通常よりも高くなるのが抑制される。これにより燃料Gの圧力が所定の付勢力を超えてもバルブ107は下方に十分に移動するので、貫通路91に貯留されている燃料Gの流出に時間がかかるのが抑制され、燃料Gの圧力を下げるのに時間がかかるのが抑制される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、バルブ107が膨潤しても燃料Gの圧力制御機能の低下を抑制することができる。
また被押圧部109は、バルブ107よりも低い膨潤性を有しているため、バルブ107が膨潤しても被押圧部109は膨潤せず、バルブ107の膨潤分のみを第2圧入部123と被圧入部143との間で確実に許容することが可能になる。このため、バルブ107が膨潤してもバルブ107全体の形状が大きくなるのがさらに抑制され、貫通路91の閉塞性が通常よりも高くなるのがさらに抑制される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、バルブ107が膨潤しても燃料Gの圧力制御機能の低下を抑制することができる。
(7)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、周方向θに等間隔で少なくともそれぞれ3個配置されている。これによりバルブ107が膨潤すると、膨潤分をバルブ107の全周に亘って第2圧入部123と被圧入部143との間で許容することが可能になる。このため、バルブ107が膨潤してもバルブ107全体の形状が大きくなるのがさらに抑制される。これにより燃料Gの圧力が所付勢力を超えてもバルブ107は下側により十分に移動するので、貫通路91に貯留されている燃料Gの流出に時間がかかるのがさらに抑制され、燃料Gの圧力を下げるのに時間がかかるのがさらに抑制される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、バルブ107が膨潤しても燃料Gの圧力制御機能の低下をさらに抑制することができる。
また複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123が周方向θに等間隔で配置されていることから、バルブ107と被押圧部109とが嵌合した状態では、バルブ107に被押圧部109からかかる力が分散されるので、バルブ107とが被押圧部109が安定して嵌合されるので、圧力制御機能に影響を与えるのを抑制することができる。また、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、バルブ107の下面119の中央部分に設けられている、被圧入部143は、被押圧部109の上面141の中央部分に設けられている。このため、バルブ107と被押圧部109の軸合わせを容易に行うことができる。
(8)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、軸方向Zに沿う断面形状が凸状になるように形成されている。被圧入部143は、軸方向Zに沿う断面形状が凹状になるように形成されている。これによりバルブ107と被押圧部109は、製造が容易な形状で組み付けることが可能になるので組み付けにかかるコストを抑えることが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、製造コストを抑えることができる。
(9)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、周方向θに環状に繋がれて形成されている。これにより複数の第1圧入部121及び複数の第2圧入部123は、被圧入部143に対して圧入位置を容易に合わせることが可能になるので、被圧入部143に容易に圧入して嵌合することが可能になる。したがって、プレッシャレギュレータ37の製造においてバルブ107と被押圧部109との組み付け作業にかかる時間をさらに短縮することが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、製造効率をさらに上げることができる。
(10)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、ケース61は、バルブ107よりも低い膨潤性を有している。貫通路91の被閉塞部93よりも上側の内周面131には、バルブ107の上面117を全周に亘って押圧して係止している係止部133が設けられている。これによりバルブ107が膨潤しても係止部133は膨潤していないので、係止部133のバルブ107に対する押圧状態は維持される。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、バルブ107が膨潤しても貫通路91の閉塞性の低下を防ぐことができる。
(11)本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、バルブ107の上面117には、突起113が設けられている。これにより燃料Gの圧力制御時には、図8に示すように貫通路91に貯留されている燃料Gは、貫通路91から流出するときに突起113に当たることによりバルブ107の外周側に流れる。このため、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、突起113がない場合に比べて燃料Gをバルブ107の外周側に効率よく流出させて燃料Gの圧力を効率良く下げることが可能になる。よって、本実施形態のプレッシャレギュレータ37は、燃料Gの圧力制御を効率良く行うことができる。
(12)本実施形態の燃料供給装置1は、流体である燃料Gを内燃機関に圧送する燃料供給装置1であって、内燃機関に圧送される燃料Gの圧力を制御するプレッシャレギュレータを備えており、プレッシャレギュレータには、本実施形態のプレッシャレギュレータ37が使用されている。これにより本実施形態の燃料供給装置1は、プレッシャレギュレータ37において燃料Gの圧力制御時に異音が発生するのを抑制することができる。
さらに本実施形態の燃料供給装置1は、本実施形態のプレッシャレギュレータ37が使用されていることによりプレッシャレギュレータ37の製造効率を上げることができる。したがって本実施形態の燃料供給装置1は、燃料供給装置1全体の製造効率を上げることができる。さらに本実施形態の燃料供給装置1は、プレッシャレギュレータ37のバルブ107が膨潤しても燃料Gの圧力制御機能の低下を抑制することができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
本実施形態では、図5に示したようにバルブ107の圧入部115を平面視で三又状になるように形成したが、圧入部115の形状は本実施形態の形状に限定されない。例えば図9に示すバルブ207の圧入部215のような形状でも良い。本実施形態では、ケース下側部69の外径をケース本体65の外径と同径にしたが、必ずしも同径である必要はなく、ケース下側部69の外径はケース上側部67の外径よりも小さければ良い。
本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、燃料タンクの底壁に取り付けられる下付けタイプの燃料供給装置1に使用したが、燃料タンクの上壁に取り付けられる上付けタイプの燃料供給装置に使用しても良い。本実施形態のプレッシャレギュレータ37では、燃料ポンプ3から吐出された燃料Gが通る燃料流路43から分岐して設けたが、これに限られるものではなく、種々の油圧回路に適用可能である。さらに、本実施形態では、圧力制御の対象となる流体が車両の燃料である場合について説明したが、これに限られるものではなく、水や空気、油圧回路の作動油などにも適用することができる。