しかしながら、特許文献1の圧縮機では、上記部材が設けられることによりケーシングから固定子が外れにくくなるとは言え、温度が上昇すると、当該部材またはケーシングから固定子が外れる可能性が依然として残っている。
本開示の目的は、温度上昇のために支持体から被支持体が外れるのを阻止することにある。
本開示の第1の態様は、壁部(21)を有する支持体(20)と、該支持体(20)の壁部(21)に接触して支持された被支持体(41,61,63)とを有する支持構造(11)を備えた回転式圧縮機を対象とする。上記被支持体(41,61,63)における上記支持体(20)の壁部(21)に接触する部分を被支持接触部(61,63)として、上記支持体(20)および上記被支持体(41,61,63)の少なくとも一方に設けられ、上記被支持接触部(61,63)と上記壁部(21)との対向方向と直交する第1方向における上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を抑制し、かつ上記対向方向における上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を促進する膨張制御部(70)を備え、上記支持体(20)を構成する筒状のケーシング(20)と、上記被支持体(41,61,63)の本体部(41)を構成する固定子(41)を有する電動機(40)と、上記被支持体(41,61,63)の被支持接触部(61,63)を構成し、上記ケーシング(20)と上記固定子(41)との間に位置して両者を互いに絶縁する絶縁部材(61,63)とを備える。
第1の態様では、温度上昇時に、膨張制御部(70)によって、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制されると共に対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。後者の熱膨張の促進により、温度上昇時に、被支持接触部(61,63)と壁部(21)とが互いに接触した状態が保たれる。換言すると、温度上昇時に、熱膨張によって被支持接触部(61,63)と壁部(21)とが互いに離れてしまうことがない。このため、温度上昇に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れてしまうことが阻止される。
具体的に、膨張制御部(70)により、絶縁部材(61)がケーシング(20)の壁部(21)に接触した状態が保たれる。電動機(40)の固定子(41)は、絶縁部材(61)を介してケーシング(20)に支持され、当該ケーシング(20)から外れない。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記膨張制御部(70)は、上記第1方向において、上記被支持接触部(61,63)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより、上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を抑制することを特徴とする。
第2の態様では、ポアソン効果により、第1方向と直交する対向方向において、被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記膨張制御部(70)は、上記被支持接触部(61,63)の上記対向方向における一部に対して接触することを特徴とする。
第3の態様では、被支持接触部(61,63)の対向方向における熱膨張が促進される程度をコントロールすることができる。ここで、当該熱膨張が最も促進されるのは、被支持接触部(61,63)の対向方向における全体に対して膨張制御部(70)が接触する場合である。一方、当該熱膨張が全く促進されないのは、被支持接触部(61,63)に対して膨張制御部(70)が仮に接触しない場合である。これらの関係に基づいて、被支持接触部(61,63)の対向方向における熱膨張が促進される程度をコントロールできる。
本開示の第4の態様は、上記第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、上記対向方向と直交し、かつ上記第1方向と直交する方向を第2方向として、上記膨張制御部(70)は、上記第1方向および上記第2方向における上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を抑制しかつ上記対向方向における上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を促進することを特徴とする。
第4の態様では、膨張制御部(70)により、第1方向および第2方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制される。第1方向のみにおいて被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制される場合に比べて、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張をより強く促進できる。
本開示の第5の態様は、上記第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、上記被支持接触部(61,63)を構成する材料は、繊維強化樹脂またはLCP樹脂であることを特徴とする。
本開示の第6の態様は、上記第1〜第5の態様のいずれか1つにおいて、上記膨張制御部(70)は、上記支持体(20)に設けられ、上記第1方向において上記被支持接触部(61,63)との接触により上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を抑制する第1段差部(71)を有することを特徴とする。
第6の態様では、第1段差部(71)と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第7の態様は、上記第6の態様において、上記第1段差部(71)は、上記支持体(20)に設けられ、上記対向方向に突出する第1抑制部材(72)により構成されていることを特徴とする。
第7の態様では、第1抑制部材(72)と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第8の態様は、上記第6の態様において、上記第1段差部(71)は、上記支持体(20)に形成された第1凹部(73)によって構成されていることを特徴とする。
第8の態様では、第1凹部(73)の側壁と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第9の態様は、上記第1〜第8の態様のいずれか1つにおいて、上記支持体(20)と上記被支持接触部(61,63)とは、互いに接着されていることを特徴とする。
第9の態様では、支持体(20)と被支持接触部(61,63)との間で、接着による強固な固定が実現される。したがって、温度上昇または温度低下に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れてしまうことが阻止される。
本開示の第10の態様は、上記第1〜第9の態様のいずれか1つにおいて、上記対向方向において、上記被支持接触部(61,63)を構成する材料の線膨張係数は、上記支持体(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする。
第10の態様では、被支持接触部(61,63)は、対向方向の線膨張係数が小さいため、温度上昇時に支持体(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱膨張しにくい。これに対し、膨張制御部(70)により被支持接触部(61,63)の対向方向の熱膨張が促進されるので、温度上昇に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることが阻止される。一方、被支持接触部(61,63)は、温度低下時に支持体(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱収縮しにくい。よって、温度低下に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることが阻止される。
本開示の第11の態様は、上記第1〜第9の態様のいずれか1つにおいて、上記対向方向において、上記被支持接触部(61,63)を構成する材料の線膨張係数は、上記支持体(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする。
第11の態様では、被支持接触部(61,63)は、対向方向の線膨張係数が大きいため、温度上昇時に支持体(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱膨張しやすい。これに加えて、膨張制御部(70)により被支持接触部(61,63)の対向方向の熱膨張が促進されるので、温度上昇に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることがより一層阻止される。
本開示の第12の態様は、上記第1〜第9の態様のいずれか1つにおいて、上記被支持接触部(61,63)の一部は、上記対向方向における線膨張係数が、上記支持体(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい材料で構成され、上記被支持接触部(61,63)の他の一部は、上記対向方向における線膨張係数が、上記支持体(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい材料で構成されることを特徴とする。
第12の態様では、被支持接触部(61,63)のうち上記の線膨張係数が小さい材料で構成される部分は、温度低下時に支持体(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱収縮しにくい。よって、温度低下に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることが阻止される。一方、被支持接触部(61,63)のうち上記の線膨張係数が大きい材料で構成される部分は、温度上昇時に支持体(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱膨張しやすい。よって、温度上昇に起因して被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることがより一層阻止される。
本開示の第13の態様は、上記第1〜第12の態様のいずれか1つにおいて、上記被支持体(41,61,63)は、上記被支持接触部(61,63)を挟んで上記支持体(20)の壁部(21)と対向し、かつ上記被支持接触部(61,63)の構成材料とは異なる材料で構成された本体部(41)を有することを特徴とする。
第13の態様では、本体部(41)と壁部(21)との間に被支持接触部(61,63)が配置される。膨張制御部(70)により、本体部(41)および被支持接触部(61,63)を有する被支持体(41,61,63)が支持体(20)から外れることが阻止される。
本開示の第14の態様は、上記第13の態様において、上記膨張制御部(70)は、上記本体部(41)に設けられ、上記第1方向において上記被支持接触部(61,63)との接触により上記被支持接触部(61,63)の熱膨張を抑制する第2段差部(74)を有することを特徴とする。
第14の態様では、第2段差部(74)と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第15の態様は、上記第14の態様において、上記第2段差部(74)は、上記本体部(41)に設けられ、上記対向方向に突出する第2抑制部材(75)によって構成されていることを特徴とする。
第15の態様では、第2抑制部材(75)と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第16の態様は、上記第14の態様において、上記第2段差部(74)は、上記本体部(41)に形成された第2凹部(76)によって構成されていることを特徴とする。
第16の態様では、第2凹部(76)の側壁と被支持接触部(61,63)との接触により、第1方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が抑制され、対向方向における被支持接触部(61,63)の熱膨張が促進される。
本開示の第17の態様は、上記第1〜第11の態様のいずれか1つにおいて、上記被支持体(41,61,63)の全体が、上記被支持接触部(61,63)の構成材料と同じ材料で構成されていることを特徴とする。
《実施形態》
実施形態について説明する。本実施形態の回転式圧縮機(10)は、スクロール圧縮機として構成されている。なお、回転式圧縮機(10)は、その他の種類の回転式圧縮機であってもよい。
図1に示すように、回転式圧縮機(10)は、ケーシング(20)と、圧縮機構(30)と、電動機(40)と、駆動軸(50)とを備える。
ケーシング(20)は、上下に延びる実質的に円筒状の密閉容器である。ケーシング(20)は、円筒状の壁部(21)と、壁部(21)の上端を閉塞する上蓋(22)と、壁部(21)の下端を閉塞する下蓋(24)とを備える。上蓋(22)には、ケーシング(20)内に流体を吸い込むための吸入管(23)が設けられる。壁部(21)には、圧縮後の流体をケーシング(20)外に吐出するための吐出管(25)が設けられる。ケーシング(20)は、例えば鋳鉄や炭素鋼などの鉄系の材料で構成される。なお、ケーシング(20)が延びる方向は、上下方向に限定されない。ケーシング(20)は、支持体を構成している。
ケーシング(20)の壁部(21)における後述の樹脂部材(61)と接触する部分は、支持接触部(21a)を構成する。この例では、壁部(21)は、4つの支持接触部(21a)を有する。
圧縮機構(30)は、ケーシング(20)の内部に収容される。圧縮機構(30)は、不図示の固定スクロールおよび可動スクロールを備える。圧縮機構(30)は、可動スクロールが固定スクロールに対して偏心回転運動を行う。この偏心回転運動により、吸入管(23)から流体が吸入され、吸入された流体が圧縮され、そして圧縮された流体が吐出管(25)から吐出される。
電動機(40)は、圧縮機構(30)の駆動源である。電動機(40)は、図2および図3に示す固定子(41)と、不図示の回転子とを備える。電動機(40)は、駆動軸(50)を介して圧縮機構(30)を回転駆動する。
固定子(41)は、図2に示すように、周方向における複数箇所(この例では、4箇所)で、樹脂部材(61)と共にケーシング(20)の壁部(21)に挟まれて支持される。換言すると、固定子(41)および樹脂部材(61)は、ケーシング(20)の壁部(21)に接触して支持される。固定子(41)は、多数の鋼板が軸方向に積層された積層構造を有する。ケーシング(20)の軸方向において、固定子(41)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。固定子(41)は、被支持体の本体部を構成している。樹脂部材(61)は、絶縁部材を構成し、かつ被支持接触部を構成している。固定子(41)および樹脂部材(61)は、被支持体を構成している。なお、図2では、固定子(41)の中央に設けられて回転子を収容する貫通孔など、固定子(41)の詳細な構造を省略して図示している。図2における固定子(41)の形状は、あくまで例示的なものである。
駆動軸(50)は、圧縮機構(30)の可動スクロールと電動機(40)の回転子とを連結する棒状部材である。駆動軸(50)は、例えば鋳鉄や炭素鋼などの鉄系の材料で構成される。電動機(40)の回転運動は、駆動軸(50)を介して圧縮機構(30)に伝達され、これにより圧縮機構(30)の可動スクロールが上述の偏心回転運動を行う。
図2および図3に示すように、回転式圧縮機(10)は、支持構造(11)をさらに備える。支持構造(11)は、上記のケーシング(20)および固定子(41)と、樹脂部材(61)と、周方向抑制板(78)と、軸方向抑制板(75)とによって構成される。周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)は、それぞれが膨張制御部を構成している。
樹脂部材(61)は、ケーシング(20)の壁部(21)と電動機(40)の固定子(41)との間に挟まれた板状部材である。樹脂部材(61)は、絶縁性樹脂で構成され、ケーシング(20)と固定子(41)とを電気的に絶縁する。この絶縁性樹脂は、例えば繊維強化樹脂またはLCP樹脂である。
樹脂部材(61)は、線膨張係数に関して異方性を有する。ケーシング(20)は、線膨張係数に関して等方性を有する。具体的に、ケーシング(20)の軸方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。ケーシング(20)の軸方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、固定子(41)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。ケーシング(20)の軸方向は、第1方向である。換言すると、第1方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。第1方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、被支持体の本体部(41)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。
ケーシング(20)の径方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)間の支持体(20,50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。「壁部(21)間」とは、壁部(21)の一部分と、被支持体を挟んで当該一部分と対向する壁部(21)の他部分との間のことである。「壁部(21)間の支持体(20)」とは、壁部(21)間を構成する支持体(20)のことである。当該支持体(20)が単一の材料で構成されている場合、「壁部(21)間の支持体(20)を構成する材料の線膨張係数」は、当該材料の線膨張係数である。当該支持体(20)が複数の材料で構成されている場合、「壁部(21)間の支持体(20)を構成する材料の線膨張係数」は、各材料の線膨張係数と支持体(20)の形状によって決まる係数である。この係数は、試験または解析にて、壁部(21)間の距離の単位温度あたりの変化率を算出することで求められる。換言すると、「壁部(21)間の支持体(20)を構成する材料の線膨張係数」は、壁部(21)間の距離の単位温度あたりの変化率である。ケーシング(20)の径方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、固定子(41)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。ケーシング(20)の径方向は、樹脂部材(61)と壁部(21)との対向方向である。換言すると、被支持接触部(61)と支持体(20)の壁部(21)との対向方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)間の支持体(20)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。
ケーシング(20)の周方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。ケーシング(20)の周方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、固定子(41)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。ケーシング(20)の周方向は、第2方向である。換言すると、第2方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。第2方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、被支持体の本体部(41)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。
上述の樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数の異方性は、樹脂部材(61)を構成する材料が含有する繊維状物質の配向方向、または樹脂部材(61)を構成する材料の分子鎖の配向方向に対応して生じる。
図2に示す平面視において、ケーシング(20)の周方向に隣り合う樹脂部材(61)の外面(換言すると、樹脂部材(61)における壁部(21)との接触面)の中心点同士を直線的に結ぶ方向を隣接方向とする(その1つを図2に破線で示す)。隣接方向は、平面視において、ケーシング(20)の周方向に隣り合う支持接触部(21a)の内面(換言すると、支持接触部(21a)における樹脂部材(61)との接触面)の中心点同士を直線的に結ぶ方向でもある。
このとき、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、周方向に隣り合う任意の2つの樹脂部材(61)または支持接触部(21a)に関し、その隣接方向において、隣り合う樹脂部材(61)の外面間の距離の単位温度あたりの変化率は、隣り合う支持接触部(21a)の内面間の距離の単位温度あたりの変化率よりも小さい。さらに、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、径方向に対向する任意の2つの樹脂部材(61)または支持接触部(21a)に関し、その対向方向において、樹脂部材(61)の外面間の距離の単位温度あたりの変化率は、支持接触部(21a)の内面間の距離の単位温度あたりの変化率よりも小さい。
これらを換言すると、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、樹脂部材(61)および支持接触部(21a)の周囲温度が上昇するにつれて、支持接触部(21a)が樹脂部材(61)から離れていくようにケーシング(20)と固定子(41)および樹脂部材(61)とが熱膨張する。これは、ケーシング(20)の径方向において、壁部(21)間の支持体(20)の線膨張係数が、被支持体の線膨張係数よりも大きいためである。「被支持体の線膨張係数」とは、被支持体が含む固定子(41)および樹脂部材(61)の各々の線膨張係数をα1、α2とし、ケーシング(20)の径方向において被支持体のうち固定子(41)および樹脂部材(61)の各々が占める長さの割合をP1、P2(P1+P2=1)とした場合に、α1×P1+α2×P2の式で表される数値である。この式は、任意の構成要素が複数の材料で構成される場合に拡張可能であり、かつ任意の方向に拡張可能である。
周方向抑制板(78)は、ケーシング(20)の周方向における樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する板状部材である。周方向抑制板(78)は、図2に示す平面視において、ケーシング(20)の径方向と直交する方向に延びている。この直交方向において、周方向抑制板(78)の一端は、壁部(21)に例えば溶接により固定され、周方向抑制板(78)の他端は、樹脂部材(61)の側面に接触している。なお、周方向抑制板(78)の他端は、高温状態で樹脂部材(61)の側面に接触するのであれば、常温状態および低温状態で樹脂部材(61)の側面に接触していなくてもよい。周方向抑制板(78)は、第3抑制部材を構成している。
軸方向抑制板(75)は、ケーシング(20)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する板状部材である。軸方向抑制板(75)は、図3に示すように、固定子(41)の上下端に固定され、固定子(41)の外周面よりもケーシング(20)の径方向外方に突出している。この突出部分と固定子(41)の外周面との間に第2段差部(74)が形成される。当該突出部分は、ケーシング(20)の軸方向において樹脂部材(61)の端部に接触している。軸方向抑制板(75)は、樹脂部材(61)の端部の、ケーシング(20)の径方向における一部(特に、径方向内側の一部)に対して接触している。なお、当該突出部分は、高温状態で樹脂部材(61)の端部に接触するのであれば、常温状態および低温状態で樹脂部材(61)の端部に接触していなくてもよい。軸方向抑制板(75)は、第2抑制部材を構成している。
周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)は、ポアソン効果により、ケーシング(20)の径方向において樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。具体的に、周方向抑制板(78)は、ケーシング(20)の周方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。軸方向抑制板(75)は、ケーシング(20)の軸方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。これらにより、樹脂部材(61)と壁部(21)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と固定子(41)とが互いに接触した状態が保たれる。
−実施形態の効果−
本実施形態の支持構造(11)は、壁部(21)を有するケーシング(20)と、該ケーシング(20)の壁部(21)に接触して支持された固定子(41)および樹脂部材(61)とを備え、上記ケーシング(20)および上記固定子(41)に設けられ、上記ケーシング(20)の軸方向および周方向における上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつ上記ケーシング(20)の径方向における上記樹脂部材(61)の熱膨張を促進する周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)を備える。したがって、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)によって、ケーシング(20)の軸方向および周方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制されると共にケーシング(20)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。後者の熱膨張の促進により、樹脂部材(61)と壁部(21)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と固定子(41)とが互いに接触した状態が保たれる。換言すると、熱膨張によって樹脂部材(61)と壁部(21)とが互いに離れてしまうことがない。このため、温度上昇に起因して固定子(41)および樹脂部材(61)がケーシング(20)から外れてしまうことが阻止される。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が、上記ケーシング(20)の軸方向および周方向において、上記樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより、上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、ポアソン効果により、ケーシング(20)の軸方向および周方向と直交するケーシング(20)の径方向において、樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記軸方向抑制板(75)が、上記樹脂部材(61)の上記ケーシング(20)の径方向における一部に対して接触する。換言すると、平面視において、樹脂部材(61)が配置される領域のうち、一部の領域において上記軸方向抑制板(75)と上記樹脂部材(61)とが接触するように構成され、それ以外の領域においては上記軸方向抑制板(75)と上記樹脂部材(61)とが接触しないように構成される。したがって、樹脂部材(61)の当該径方向における熱膨張が促進される程度をコントロールすることができる。ここで、当該熱膨張が最も促進されるのは、樹脂部材(61)の当該径方向における全体に対して軸方向抑制板(75)が接触する場合である。換言すると、平面視において、樹脂部材(61)が配置される領域のうち、全ての領域において軸方向抑制板(75)と樹脂部材(61)とが接触するように構成される場合において、当該熱膨張が最も促進される。一方、当該熱膨張が全く促進されないのは、樹脂部材(61)に対して軸方向抑制板(75)が仮に接触しない場合である。これらの関係に基づいて、樹脂部材(61)のケーシング(20)の径方向における熱膨張が促進される程度をコントロールできる。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記被支持体(41,61)が、上記樹脂部材(61)を挟んで上記ケーシング(20)の壁部(21)と対向し、かつ上記樹脂部材(61)の構成材料とは異なる材料で構成された固定子(41)を有する。したがって、固定子(41)と壁部(21)との間に樹脂部材(61)が配置される。周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)により、固定子(41)および樹脂部材(61)を有する被支持体(41,61)がケーシング(20)から外れることが阻止される。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記軸方向抑制板(75)と上記固定子(41)の外周面との間には、上記ケーシング(20)の軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する第2段差部(74)が形成されている。したがって、軸方向抑制板(75)と樹脂部材(61)の端部との接触により、当該軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、ケーシング(20)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記ケーシング(20)の径方向において、上記樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数が、壁部(21)間の支持体(20)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。したがって、樹脂部材(61)および支持体(20)の周囲温度が低下するにつれて、ケーシング(20)の径方向において壁部(21)間の支持体(20)の方が樹脂部材(61)よりも大きく熱収縮しようとする。ケーシング(20)の径方向において、壁部(21)の熱収縮に起因した圧縮荷重が樹脂部材(61)に加わる。圧縮荷重が樹脂部材(61)に加わることで、固定子(41)に向かって樹脂部材(61)が収縮し、樹脂部材(61)と固定子(41)とが互いに接触した状態が保たれる。
また、本実施形態の支持構造(11)は、上記ケーシング(20)の径方向において、上記樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数が、上記ケーシング(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。したがって、温度上昇時にケーシング(20)の壁部(21)よりも樹脂部材(61)の方が当該径方向において熱膨張しにくい。これに対し、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)により樹脂部材(61)の当該径方向の熱膨張が促進されるので、温度上昇に起因して固定子(41)および樹脂部材(61)がケーシング(20)から外れることが阻止される。一方、樹脂部材(61)は、温度低下時にケーシング(20)の壁部(21)よりも径方向において熱収縮しにくい。よって、温度低下に起因して固定子(41)および樹脂部材(61)がケーシング(20)から外れることが阻止される。
−実施形態の変形例1−
実施形態の変形例1について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、支持接触部(21a)の数が上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図4に示すように、固定子(41)は、周方向における複数箇所(この例では、3箇所)で、樹脂部材(61)と共にケーシング(20)の壁部(21)に挟まれて支持される。換言すると、固定子(41)および樹脂部材(61)は、周方向における3箇所で、ケーシング(20)の壁部(21)に接触して支持される。
ケーシング(20)の壁部(21)における樹脂部材(61)と接触する部分は、支持接触部(21a)を構成する。この例では、壁部(21)は、3つの支持接触部(21a)を有する。なお、支持接触部(21a)の数は、任意に設定されてもよい。
図4に示す平面視において、ケーシング(20)の周方向に隣り合う樹脂部材(61)の外面(換言すると、樹脂部材(61)における壁部(21)との接触面)の中心点同士を直線的に結ぶ方向を隣接方向とする(その1つを図4に破線で示す)。隣接方向は、平面視において、ケーシング(20)の周方向に隣り合う支持接触部(21a)の内面(換言すると、支持接触部(21a)における樹脂部材(61)との接触面)の中心点同士を直線的に結ぶ方向でもある。
このとき、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、周方向に隣り合う任意の2つの樹脂部材(61)または支持接触部(21a)に関し、その隣接方向において、隣り合う樹脂部材(61)の外面間の距離の単位温度あたりの変化率は、隣り合う支持接触部(21a)の内面間の距離の単位温度あたりの変化率よりも小さい。換言すると、周方向抑制板(78)および軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、樹脂部材(61)および支持接触部(21a)の周囲温度が上昇するにつれて、支持接触部(21a)が樹脂部材(61)から離れていくように壁部(21)と固定子(41)および樹脂部材(61)とが熱膨張する。
周方向抑制板(78)は、ケーシング(20)の周方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。軸方向抑制板(75)は、ケーシング(20)の軸方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。これらにより、樹脂部材(61)と壁部(21)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と固定子(41)とが互いに接触した状態が保たれる。なお、軸方向抑制板(75)は、図4には示されていないが、上記実施形態と同様に構成される。
−実施形態の変形例2−
実施形態の変形例2について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、軸方向抑制板(75)に代えて軸方向抑制リング(72)が設けられる点で上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
軸方向抑制リング(72)は、ケーシング(20)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する環状部材である。軸方向抑制リング(72)は、図5に示すように、ケーシング(20)の壁部(21)に例えば圧入により固定される。軸方向抑制リング(72)は、壁部(21)の内周面よりもケーシング(20)の径方向内方に突出している。この突出部分と壁部(21)の内周面との間に第1段差部(71)が形成される。当該突出部分は、ケーシング(20)の軸方向において樹脂部材(61)の端部に接触している。軸方向抑制リング(72)は、樹脂部材(61)の端部の、ケーシング(20)の径方向における一部に対して接触している。なお、当該突出部分は、高温状態で樹脂部材(61)の端部に接触するのであれば、常温状態および低温状態で樹脂部材(61)の端部に接触していなくてもよい。軸方向抑制リング(72)は、第1抑制部材を構成している。
周方向抑制板(78)は、ケーシング(20)の周方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。軸方向抑制リング(72)は、ケーシング(20)の軸方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつケーシング(20)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。これらにより、樹脂部材(61)と壁部(21)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と固定子(41)とが互いに接触した状態が保たれる。なお、周方向抑制板(78)は、図5には示されていないが、上記実施形態と同様に構成される。
本変形例の支持構造(11)は、上記ケーシング(20)の壁部(21)に設けられた上記軸方向抑制リング(72)が、上記ケーシング(20)の軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、軸方向抑制リング(72)と樹脂部材(61)の端部との接触により、ケーシング(20)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、ケーシング(20)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
−実施形態の変形例3−
実施形態の変形例3について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、樹脂部材(61)の軸方向長さが上記実施形態の変形例2と異なる。以下、上記実施形態の変形例2と異なる点について主に説明する。
図6に示すように、ケーシング(20)の軸方向において、樹脂部材(61)の長さは、固定子(41)の長さよりも短い。これに対応して、軸方向抑制リング(72)は、ケーシング(20)の軸方向において、樹脂部材(61)の端部に接触するように配置される。なお、ケーシング(20)の軸方向において、樹脂部材(61)の長さは、固定子(41)の長さよりも長くてもよい。
−実施形態の変形例4−
実施形態の変形例4について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、第2段差部(74)の構成が上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図7に示すように、固定子(41)の外周面に固定子凹部(76)が形成されている。固定子凹部(76)は、例えば、固定子(41)を構成する複数の鋼板の外径が互いに異なることにより形成されてもよい。ケーシング(20)の軸方向において、固定子凹部(76)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。この固定子凹部(76)内に、樹脂部材(61)が嵌まり込むように配置されている。固定子凹部(76)により第2段差部(74)が形成される。固定子凹部(76)は、第2凹部を構成している。
本変形例の支持構造(11)は、上記固定子(41)に形成された固定子凹部(76)が、上記軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、固定子凹部(76)の側壁と樹脂部材(61)の端部との接触により、ケーシング(20)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、ケーシング(20)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
−実施形態の変形例5−
実施形態の変形例5について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、第1段差部(71)の構成が上記実施形態の変形例2と異なる。以下、上記実施形態の変形例2と異なる点について主に説明する。
図8に示すように、ケーシング(20)の壁部(21)の内周面にケーシング凹部(73)が形成されている。ケーシング(20)の軸方向において、ケーシング凹部(73)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。このケーシング凹部(73)内に、樹脂部材(61)が嵌まり込むように配置されている。ケーシング凹部(73)により第1段差部(71)が形成される。ケーシング凹部(73)は、第1凹部を構成している。
本変形例の支持構造(11)は、上記ケーシング(20)の壁部(21)に形成されたケーシング凹部(73)が、上記ケーシング(20)の軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、ケーシング凹部(73)の側壁と樹脂部材(61)の端部との接触により、ケーシング(20)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、ケーシング(20)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
−実施形態の変形例6−
実施形態の変形例6について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、絶縁部材の構成が上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図9に示すように、支持構造(11)は、樹脂部材(61)に代えて絶縁体(63)を備える。絶縁体(63)は、複数(この例では、5つ)の小膨張部(63a)と、複数(この例では、4つ)の大膨張部(63b)とが、交互に積層されて構成される。絶縁体(63)は、絶縁部材を構成し、かつ被支持接触部を構成している。
小膨張部(63a)は、温度低下時に固定子(41)をケーシング(20)から外れにくくする機能を有する。小膨張部(63a)は、ケーシング(20)の内周面から固定子(41)の外周面まで延びている。小膨張部(63a)は、対向方向における線膨張係数が、ケーシング(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。小膨張部(63a)は、セラミックで構成されるが、これ以外の絶縁材料で構成されてもよい。
大膨張部(63b)は、温度上昇時に固定子(41)をケーシング(20)から外れにくくする機能を有する。大膨張部(63b)は、ケーシング(20)の内周面から固定子(41)の外周面まで延びている。大膨張部(63b)は、対向方向における線膨張係数が、ケーシング(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。大膨張部(63b)は、絶縁性樹脂で構成されるが、これ以外の絶縁材料で構成されてもよい。
本変形例の支持構造(11)は、上記絶縁体(63)の小膨張部(63a)が、上記対向方向における線膨張係数が上記ケーシング(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい材料で構成され、上記絶縁体(63)の大膨張部(63b)が、上記対向方向における線膨張係数が上記ケーシング(20)の壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい材料で構成される。したがって、絶縁体(63)の小膨張部(63a)は、温度低下時にケーシング(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱収縮しにくい。よって、温度低下に起因して固定子(41)がケーシング(20)から外れることが阻止される。一方、絶縁体(63)の大膨張部(63b)は、温度上昇時にケーシング(20)の壁部(21)よりも対向方向において熱膨張しやすい。よって、温度上昇に起因して固定子(41)がケーシング(20)から外れることが阻止される。
《参考例》
参考例について説明する。本参考例の回転式圧縮機(10)は、支持構造の構成が上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図10および図11に示すように、支持構造(11)は、駆動軸(50)と、電動機(40)の回転子(42)と、樹脂部材(61)と、軸方向抑制板(75)とによって構成される。駆動軸(50)は、支持体を構成している。軸方向抑制板(75)は、膨張制御部を構成している。
回転子(42)および樹脂部材(61)は、駆動軸(50)の壁部(50a)(換言すると、支持接触部(50a))に接触して支持される。回転子(42)は、多数の鋼板が軸方向に積層された積層構造を有する。回転子(42)は、複数の永久磁石(図示せず)を有する。駆動軸(50)の軸方向において、回転子(42)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。回転子(42)は、被支持体の本体部を構成している。樹脂部材(61)は、絶縁部材を構成し、かつ被支持接触部を構成している。回転子(42)および樹脂部材(61)は、被支持体を構成している。図10における回転子の形状は、あくまで例示的なものである。
樹脂部材(61)は、駆動軸(50)の壁部(50a)と電動機(40)の回転子(42)との間に挟まれた円筒状の部材である。樹脂部材(61)は、絶縁性樹脂で構成され、駆動軸(50)と回転子(42)とを電気的に絶縁する。この絶縁性樹脂は、例えば繊維強化樹脂またはLCP樹脂である。なお、円筒状の樹脂部材(61)に代えて、駆動軸(50)の周方向に離間した複数の樹脂部材を設けてもよい。
樹脂部材(61)は、線膨張係数に関して異方性を有する。駆動軸(50)は、線膨張係数に関して等方性を有する。具体的に、駆動軸(50)の軸方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。駆動軸(50)の軸方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、回転子(42)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。駆動軸(50)の軸方向は、第1方向である。換言すると、第1方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、支持体(50)の壁部(50a)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。第1方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、被支持体の本体部(42)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。
駆動軸(50)の径方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(50a)間の支持体(50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。「壁部(50a)間」とは、壁部(50a)の一部分と、当該一部分と離間した壁部(50a)の他部分との間のことである。「壁部(50a)間の支持体(50)」とは、壁部(50a)間を構成する支持体(50)のことである。当該支持体(50)が単一の材料で構成されている場合、「壁部(50a)間の支持体(50)を構成する材料の線膨張係数」は、当該材料の線膨張係数である。当該支持体(50)が複数の材料で構成されている場合、「壁部(50a)間の支持体(50)を構成する材料の線膨張係数」は、各材料の線膨張係数と支持体(50)の形状によって決まる係数である。この係数は、試験または解析にて、壁部(50a)間の距離の単位温度あたりの変化率を算出することで求められる。換言すると、「壁部(50a)間の支持体(50)を構成する材料の線膨張係数」は、壁部(50a)間の距離の単位温度あたりの変化率である。駆動軸(50)の径方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、回転子(41)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。駆動軸(50)の径方向は、樹脂部材(61)と壁部(50a)との対向方向である。換言すると、被支持接触部(61)と支持体(50)の壁部(50a)との対向方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(50a)間の支持体(50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。
駆動軸(50)の周方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。駆動軸(50)の周方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数は、回転子(42)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。駆動軸(50)の周方向は、第2方向である。換言すると、第2方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(50a)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。第2方向において、被支持接触部(61)を構成する材料の線膨張係数は、被支持体の本体部(42)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。
上述の樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数の異方性は、樹脂部材(61)を構成する材料が含有する繊維状物質の配向方向、または樹脂部材(61)を構成する材料の分子鎖の配向方向に対応して生じる。
図10に示す平面視において、樹脂部材(61)の任意の2つの点を直線的に結ぶ方向を隣接方向とする(その1つを図10に破線で示す)。隣接方向は、平面視において、駆動軸(50)の壁部(50a)(換言すると、支持接触部(50a)における樹脂部材(61)との接触面)における任意の2つの点を直線的に結ぶ方向でもある。図10に例示する隣接方向は、駆動軸(50)の径方向と一致している。
このとき、軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、樹脂部材(61)または支持接触部(50a)に関し、その隣接方向において、樹脂部材(61)の外面間の距離の単位温度あたりの変化率は、回転子(42)の内面間の距離の単位温度あたりの変化率よりも小さい。換言すると、軸方向抑制板(75)が存在しない場合には、樹脂部材(61)および回転子(42)の周囲温度が上昇するにつれて、回転子(42)が樹脂部材(61)から離れていくように回転子(42)と樹脂部材(61)とが熱膨張する。これは、駆動軸(50)の径方向において、回転子(42)の線膨張係数が、樹脂部材(61)の線膨張係数よりも大きいためである。
軸方向抑制板(75)は、駆動軸(50)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する板状部材である。軸方向抑制板(75)は、図11に示すように、回転子(42)の上下端に固定され、回転子(42)の内周面よりも駆動軸(50)の径方向内方に突出している。この突出部分と回転子(42)の内周面との間に第2段差部(74)が形成される。当該突出部分は、駆動軸(50)の軸方向において樹脂部材(61)の端部に接触している。軸方向抑制板(75)は、樹脂部材(61)の端部の、駆動軸(50)の径方向における一部(特に、径方向外側の一部)に対して接触している。なお、当該突出部分は、高温状態で樹脂部材(61)の端部に接触するのであれば、常温状態および低温状態で樹脂部材(61)の端部に接触していなくてもよい。軸方向抑制板(75)は、第2抑制部材を構成している。
軸方向抑制板(75)は、ポアソン効果により、駆動軸(50)の径方向において樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。具体的に、軸方向抑制板(75)は、駆動軸(50)の軸方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつ駆動軸(50)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。これらにより、樹脂部材(61)と駆動軸(50)の壁部(50a)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と回転子(42)とが互いに接触した状態が保たれる。
−参考例の効果−
本実施形態の支持構造(11)によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
−参考例の変形例1−
参考例の変形例1について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、軸方向抑制板(75)に代えて軸方向抑制リング(72)が設けられる点で上記参考例と異なる。以下、上記参考例と異なる点について主に説明する。
軸方向抑制リング(72)は、駆動軸(50)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する環状部材である。軸方向抑制リング(72)は、図12に示すように、駆動軸(50)の壁部(50a)に例えば締まり嵌めにより固定される。軸方向抑制リング(72)は、壁部(50a)よりも駆動軸(50)の径方向外方に突出している。この突出部分と壁部(50a)との間に第1段差部(71)が形成される。当該突出部分は、駆動軸(50)の軸方向において樹脂部材(61)の端部に接触している。軸方向抑制リング(72)は、樹脂部材(61)の端部の、駆動軸(50)の径方向における一部に対して接触している。なお、当該突出部分は、高温状態で樹脂部材(61)の端部に接触するのであれば、常温状態および低温状態で樹脂部材(61)の端部に接触していなくてもよい。軸方向抑制リング(72)は、第1抑制部材を構成している。
軸方向抑制リング(72)は、駆動軸(50)の軸方向において樹脂部材(61)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(61)の熱膨張を抑制し、かつ駆動軸(50)の径方向において当該樹脂部材(61)の熱膨張を促進する。これにより、樹脂部材(61)と壁部(50a)とが互いに接触し、かつ樹脂部材(61)と回転子(42)とが互いに接触した状態が保たれる。
−参考例の変形例2−
参考例の変形例2について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、樹脂部材(61)の軸方向長さが上記参考例の変形例1と異なる。以下、上記参考例の変形例1と異なる点について主に説明する。
図13に示すように、駆動軸(50)の軸方向において、樹脂部材(61)の長さは、回転子(42)の長さよりも短い。これに対応して、軸方向抑制リング(72)は、駆動軸(50)の軸方向において、樹脂部材(61)の端部に接触するように配置される。なお、駆動軸(50)の軸方向において、樹脂部材(61)の長さは、回転子(42)の長さよりも長くてもよい。
−参考例の変形例3−
参考例の変形例3について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、第2段差部(74)の構成が上記参考例と異なる。以下、上記参考例と異なる点について主に説明する。
図14に示すように、回転子(42)の内周面に回転子凹部(82)が形成されている。回転子凹部(82)は、例えば、回転子(42)を構成する複数の鋼板の内径が互いに異なることにより形成されてもよい。駆動軸(50)の軸方向において、回転子凹部(82)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。この回転子凹部(82)内に、樹脂部材(61)が嵌まり込むように配置されている。回転子凹部(82)により第2段差部(74)が形成される。回転子凹部(82)は、第2凹部を構成している。
本変形例の支持構造(11)は、上記回転子(42)に形成された回転子凹部(82)が、上記軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、回転子凹部(82)の側壁と樹脂部材(61)の端部との接触により、駆動軸(50)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、駆動軸(50)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
−参考例の変形例4−
参考例の変形例4について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、第1段差部(71)の構成が上記参考例の変形例1と異なる。以下、上記参考例の変形例1と異なる点について主に説明する。
図15に示すように、駆動軸(50)の壁部(50a)に駆動軸凹部(81)が形成されている。駆動軸(50)の軸方向において、駆動軸凹部(81)の長さは、樹脂部材(61)の長さと実質的に等しい。この駆動軸凹部(81)内に、樹脂部材(61)が嵌まり込むように配置されている。駆動軸凹部(81)により第1段差部(71)が形成される。駆動軸凹部(81)は、第1凹部を構成している。
本変形例の支持構造(11)は、上記駆動軸(50)の壁部(50a)に形成された駆動軸凹部(81)が、上記駆動軸(50)の軸方向において上記樹脂部材(61)の端部との接触により上記樹脂部材(61)の熱膨張を抑制する。したがって、駆動軸凹部(81)の側壁と樹脂部材(61)の端部との接触により、駆動軸(50)の軸方向における樹脂部材(61)の熱膨張が抑制され、駆動軸(50)の径方向における樹脂部材(61)の熱膨張が促進される。
−参考例の変形例5−
参考例の変形例5について説明する。本変形例の回転式圧縮機(10)は、絶縁部材の構成が上記参考例と異なる。以下、上記参考例と異なる点について主に説明する。
図16に示すように、支持構造(11)は、樹脂部材(61)に代えて絶縁体(63)を備える。絶縁体(63)は、複数(この例では、5つ)の小膨張部(63a)と、複数(この例では、4つ)の大膨張部(63b)とが、交互に積層されて構成される。絶縁体(63)は、絶縁部材を構成し、かつ被支持接触部を構成している。
小膨張部(63a)は、温度上昇時に回転子(42)を駆動軸(50)から外れにくくする機能を有する。小膨張部(63a)は、駆動軸(50)の外周面(換言すると、壁部(50a))から回転子(42)の内周面まで延びている。小膨張部(63a)は、対向方向における線膨張係数が、駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。小膨張部(63a)は、セラミックで構成されるが、これ以外の絶縁材料で構成されてもよい。
大膨張部(63b)は、温度低下時に回転子(42)を駆動軸(50)から外れにくくする機能を有する。大膨張部(63b)は、駆動軸(50)の外周面から回転子(42)の内周面まで延びている。大膨張部(63b)は、対向方向における線膨張係数が、駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。大膨張部(63b)は、絶縁性樹脂で構成されるが、これ以外の絶縁材料で構成されてもよい。
本変形例の支持構造(11)は、上記絶縁体(63)の小膨張部(63a)が、上記対向方向における線膨張係数が上記駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい材料で構成され、上記絶縁体(63)の大膨張部(63b)が、上記対向方向における線膨張係数が上記駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい材料で構成される。したがって、絶縁体(63)の小膨張部(63a)は、温度上昇時に駆動軸(50)よりも対向方向において熱膨張しにくい。よって、温度上昇に起因して回転子(42)が駆動軸(50)から外れることが阻止される。一方、絶縁体(63)の大膨張部(63b)は、温度低下時に駆動軸(50)よりも対向方向において熱収縮しやすい。よって、温度低下に起因して回転子(42)が駆動軸(50)から外れることが阻止される。
《その他の実施形態》
上記実施形態及び参考例については、以下のような構成としてもよい。
−第1変形例−
例えば、図17に示すように、第1変形例の支持構造(11)は、ケーシング(20)と、樹脂部材(62)と、膨張制御バー(79)とを備える。
ケーシング(20)は、軸方向(図17における紙面直交方向)に延びている。ケーシング(20)は、それぞれが軸方向に延びる3つの壁部(21)を備える。当該3つの壁部(21)は、一体的に平面視でU字状(または、C字状)に連結されている。ケーシング(20)は、支持体を構成している。
樹脂部材(62)は、互いに対向する2つの壁部(21)の間に挟まれて支持された板状部材である。樹脂部材(62)は、互いに対向する2つの壁部(21)間を延びかつ軸方向に延びている。樹脂部材(62)は、全体が同じ樹脂材料で構成されている。
樹脂部材(62)における壁部(21)と接触する部分は、被支持接触部(62a)を構成している。壁部(21)における樹脂部材(62)と接触する部分は、支持接触部(21a)を構成している。この例では、被支持接触部(62a)および支持接触部(21a)は、2つずつ存在している。
膨張制御バー(79)は、被支持接触部(62a)と支持接触部(21a)との対向方向(図17における上下方向)と直交する第1方向(図17における左右方向)において樹脂部材(62)の熱膨張を抑制するための部材である。膨張制御バー(79)は、軸方向に延びる細長い角柱状の部材である。膨張制御バー(79)は、樹脂部材(62)の被支持接触部(62a)を第1方向において挟むように、壁部(21)に固定されている。1つの被支持接触部(62a)に対応する2つの膨張制御バー(79)により、壁部(21)との間に第3段差部(77)が形成される。膨張制御バー(79)は、膨張制御部を構成している。
樹脂部材(62)は、線膨張係数に関して異方性を有する。ケーシング(20)は、線膨張係数に関して等方性を有する。具体的に、樹脂部材(62)と壁部(21)との対向方向において、樹脂部材(62)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)間の支持体(20,50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さい。第1方向において、樹脂部材(62)を構成する材料の線膨張係数は、壁部(21)を構成する材料の線膨張係数よりも大きい。このような樹脂部材(62)を構成する材料の線膨張係数の異方性は、樹脂部材(62)を構成する材料が含有する繊維状物質の配向方向、または樹脂部材(62)を構成する材料の分子鎖の配向方向に対応して生じる。
膨張制御バー(79)が存在しない場合には、上記対向方向において、樹脂部材(62)の両端面間の距離の単位温度あたりの変化率は、支持接触部(21a)の内面間の距離の単位温度あたりの変化率よりも小さい。換言すると、膨張制御バー(79)が存在しない場合には、樹脂部材(62)および支持接触部(21a)の周囲温度が上昇するにつれて、支持接触部(21a)が樹脂部材(62)から離れていくように壁部(21)と樹脂部材(62)とが熱膨張する。これは、対向方向において、壁部(21)の線膨張係数が、樹脂部材(62)の線膨張係数よりも大きいためである。
膨張制御バー(79)は、上記第1方向において樹脂部材(62)に対して接触して圧縮荷重を加えることにより当該樹脂部材(62)の熱膨張を抑制し、かつ上記対向方向において当該樹脂部材(62)の熱膨張を促進する。これにより、樹脂部材(62)と壁部(21)とが互いに接触した状態が保たれる。
−第2変形例−
例えば、上記実施形態では、ケーシング(20)もしくは固定子(41)に、または駆動軸(50)もしくは回転子(42)に膨張制御部(70)が設けられる。しかし、例えば、ケーシング(20)に対して間接的に固定された構成要素によって膨張制御部(70)が構成されていてもよい。この場合、ケーシング(20)および当該構成要素によって支持体が構成される。
−第3変形例−
例えば、上記実施形態では、ケーシング(20)もしくは固定子(41)に、または駆動軸(50)もしくは回転子(42)に膨張制御部(70)が設けられる。しかし、例えば、ケーシング(20)および固定子(41)に膨張制御部(70)が設けられてもよいし、駆動軸(50)および回転子(42)に膨張制御部(70)が設けられてもよい。一例として、ケーシング(20)に軸方向抑制リング(72)を設けると共に、固定子(41)に軸方向抑制板(75)を設けることが考えられる。
−第4変形例−
例えば、上記実施形態では、ケーシング(20)または駆動軸(50)の軸方向(第1方向)および周方向(第2方向)において樹脂部材(61)の熱膨張が抑制される。しかし、樹脂部材(61)は、ケーシング(20)または駆動軸(50)の軸方向または周方向において熱膨張が抑制されてもよい。なお、第1方向は、樹脂部材(61)と壁部(21,50a)との対向方向と直交する方向であればよく、ケーシング(20)または駆動軸(50)の軸方向に限られない。同様に、第2方向は、ケーシング(20)または駆動軸(50)の周方向に限られない。
−第5変形例−
例えば、上記実施形態では、軸方向抑制板(75)、周方向抑制板(78)、および軸方向抑制リング(72)は板状に形成されている。しかし、これらの構成要素は、同様の機能を有する任意の形状の構成要素によって置換されてもよい。
−第6変形例−
例えば、ケーシング(20)は、構成材料が異なる複数の部材を組み合わせて形成されたものであってもよい。一例として、ケーシング(20)の壁部(21)において、支持接触部(21a)と支持接触部(21a)以外の部分とが互いに異なる材料で構成されることが考えられる。
−第7変形例−
例えば、上記実施形態では、軸方向抑制板(75)、周方向抑制板(78)、および軸方向抑制リング(72)は樹脂部材(61)の端部に接触するよう構成されている。しかし、これらの構成要素は、樹脂部材(61)の端部以外に接触するよう構成してもよい。例えば、これらの構成要素は、ケーシング内面に形成した凹凸面としてもよい。
−第8変形例−
例えば、上記実施形態では、板状に樹脂部材(61)が形成されている。しかし、平面視でC字状(またはU字状)に樹脂部材(61)を形成してもよい。また、円筒状に樹脂部材(61)を形成してもよい。この場合、上記実施形態の隣接方向を、平面視において、被支持体を挟んで向かい合う壁部(21)の任意の位置同士を直線的に結ぶ方向とすればよい。一例として、被支持接触部(61,62a,63)と壁部(21,50a)との対向方向、壁部(21,50a)と被支持体の重心を直線的に結ぶ方向、または被支持接触部(61,62a,63)と壁部(21,50a)の接触面と略直角をなす方向を隣接方向とすることが考えられる。
−第9変形例−
例えば、樹脂部材(61)は、固定子(41)または回転子(42)と一体に形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。固定子(41)または回転子(42)と樹脂部材(61)とを一体に構成するには、例えば固定子(41)または回転子(42)と樹脂部材(61)とを接着してもよいし、射出成形によって固定子(41)または回転子(42)に樹脂部材(61)を形成してもよい。射出成形によって樹脂部材(61)を形成する場合、固定子(41)または回転子(42)のみに対して射出形成によって樹脂部材(61)を形成してもよいし、固定子(41)とケーシング(20)に対して、または回転子(42)と駆動軸(50)に対して射出成形によって樹脂部材(61)を形成してもよい。
−第10変形例−
例えば、上記実施形態では、被支持体の本体部は固定子(41)または回転子(42)で構成されている。しかし、被支持体の本体部は、圧縮機構(30)で構成してもよい。また、被支持体の本体部を固定子(41)または回転子(42)で構成した支持構造(11)と、被支持体の本体部を圧縮機構(30)で構成した支持構造(11)とを、ひとつの回転式圧縮機に適用してもよい。
−第11変形例−
例えば、ケーシング(20)と樹脂部材(61,62a)または絶縁体(63)とが、互いに接着されていてもよい。それに代えてまたは加えて、駆動軸(50)と樹脂部材(61)または絶縁体(63)とが、互いに接着されていてもよい。ここで、接着の方法は、熱溶着または接着剤を用いた方法を適用可能であるし、これらに限定されるものでもない。
−第12変形例−
例えば、樹脂部材(61)の線膨張係数と、ケーシング(20)または駆動軸(50)の線膨張係数との大小関係は、上述したものに限らず、任意に設定されてもよい。一例として、ケーシング(20)または駆動軸(50)の径方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数が、ケーシング(20)または駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも大きくてもよい。別の例として、ケーシング(20)または駆動軸(50)の軸方向または周方向において、樹脂部材(61)を構成する材料の線膨張係数が、ケーシング(20)または駆動軸(50)を構成する材料の線膨張係数よりも小さくてもよい。
−第13変形例−
例えば、上記実施形態では、樹脂部材(61)が線膨張係数に関して異方性を有するが、樹脂部材(61)は、線膨張係数に関して等方性を有してもよい。
−第14変形例−
ケーシング(20)および固定子(41)を含む支持構造(11)と、駆動軸(50)および回転子(42)を含む支持構造(11)とは、少なくとも一方が本願技術にしたがって構成されていればよい。一例として、両方の支持構造(11)が、本願技術にしたがって構成されていてもよい。
−第15変形例−
本願技術の支持構造(11)は、回転式圧縮機以外の任意の用途に適用できる。例えば、軸受(被支持体)とこれを収容するハウジング(支持体)に、本願技術の支持構造(11)を適用することが考えられる。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。