本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有するゴルフクラブ用グリップであって、前記グリップエンドは、基材ポリマーと中空ガラスフィラーとを含有することを特徴とする。グリップエンドが中空ガラスフィラーを含有することにより、グリップエンドの耐摩耗性を実質的に低下させることなく、グリップエンドを軽量化することができる。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップエンドは、基材ポリマーと中空ガラスフィラーとを含有するグリップエンド用組成物から形成されることが好ましい。グリップエンド組成物は、例えば、基材ポリマーとして、熱可塑性樹脂あるいはゴムを含有することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂の中でも、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーなどを挙げることができる。
前記ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの中でも、前記基材ゴムとしては、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、BR、SBR、PUが好ましい。
グリップエンド用組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
前記グリップエンド用組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。
前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
グリップエンド用組成物は、さらに補強材として、中空ガラスフィラーを含有する。本発明で使用する中空ガラスフィラーは、ガラス製の中空粒子であれば、特に限定されない。中空ガラスフィラーは、強度に優れる。そのため、グリップエンド用組成物を調製する際に、壊れる確率が低く、軽量化を効率的に行うことができる。中空ガラスフィラーのガラス組成は、特に限定されないが、例えば、ソーダ石灰硼珪酸ガラスであることが好ましい。また、中空ガラスフィラーの粒子形状は、球状であることが好ましい。
前記中空ガラスフィラーの耐圧強度は、100MPa以上が好ましく、110MPa以上がより好ましく、120MPa以上がさらに好ましい。中空ガラスフィラーの耐圧強度が、前記範囲内であれば、グリップエンド用組成物の調製時に、中空ガラスフィラーが割れる確率が低下する。その結果、グリップエンドの軽量化の効果が大きくなる。
前記中空ガラスフィラーの粒度は、体積メジアン径で、16μm以上が好ましく、65μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、35μm以下がさらに好ましい。中空ガラスフィラーの粒度が前記範囲内であれば、ハンドリングが容易であり、グリップエンドの耐圧強度を維持することが可能となるからである。
前記中空ガラスフィラーの真密度は、0.4g/cm3以上であることが好ましく、0.5g/cm3以上であることがより好ましく、0.6g/cm3以上であることがさらに好ましく、0.8g/cm3未満であることが好ましく、0.75g/cm3以下であることがより好ましく、0.7g/cm3以下であることがさらに好ましい。中空ガラスフィラーの真密度が前記範囲内であれば、ハンドリングが容易であり、なおかつ、グリップエンドの軽量化の効果が大きくなるからである。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド(グリップエンド用組成物)は、基材ポリマー100質量部に対して、中空ガラスフィラーを20質量部以上含有することが好ましく、30質量部以上含有することがより好ましく、40質量部以上含有することがさらに好ましく、60質量部未満含有することが好ましく、55質量部以下含有することが好ましく、50質量部以下含有することが好ましい。中空ガラスフィラーの含有量が前記範囲内であれば、エンドキャップとして求められる硬度が実現でき、またグリップエンド用組成物の混練も容易となるからである。
前記グリップエンド用組成物は、さらにカーボンブラックあるいはシリカを含有することができる。カーボンブラックまたはシリカの含有量は、基材ポリマー100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。カーボンブラックまたはシリカの含有量が、0.1質量部以上であれば、補強効果が大きくなるからである。また、グリップエンドを軽量化する観点から、カーボンブラックまたはシリカの含有量は、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
前記グリップエンド用組成物は、さらに必要に応じて、老化防止剤、軟化剤、加硫遅延剤、着色剤などを配合してもよい。
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、基材ポリマー100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイル、プロセスオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
前記グリップエンド用組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、90℃〜160℃が好ましい。
本発明の円筒状グリップ本体を構成するグリップ用組成物について説明する。円筒状グリップ本体は、例えば、基材ポリマーとして熱可塑性樹脂あるいはゴムを含有するグリップ用組成物から形成されることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂の中でも、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性アクリル系エラストマーなどを挙げることができる。
前記ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの中でも、前記ゴムとしては、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、BR、SBR、PUが好ましい。
グリップ用組成物は、基材ゴムとして、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することが好ましい。アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することにより、グリップの引張強さが向上し、かつ、ウェット時のグリップ性能が良好となる。
前記アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)が挙げられる。前記XNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体である。前記HNBRとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素添加物である。前記HXNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体の水素添加物である。
前記グリップ用組成物は、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴム以外のゴムを含有してもよい。前記基材ゴム中のアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、グリップ用組成物が、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムのみを含有することも好ましい。
前記NBR、XNBR、HNBR、HXNBRにおいて、アクリロニトリル含有率は、15質量%以上が好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは21質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。アクリロニトリル含有率が15質量%以上であれば耐摩耗性が良好となり、50質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記HNBR、HXNBRにおいて、二重結合含有量は、0.09mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、2.5mmol/g以下が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。二重結合含有量が0.09mmol/g以上であれば成形時に加硫しやすくなりグリップの引張強度がより向上し、2.5mmol/g以下であればグリップの耐久性(耐候性)および引張強さがより良好となる。二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率や、共重合体への水素添加量により調整できる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を含有する単量体の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基を含有する単量体の含有率が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基含有量は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基含有量が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記グリップ用組成物は、基材ゴムに加えて、架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
前記グリップ用組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
前記グリップ用組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。
前記補強材としては、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。前記補強材の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類、チオウレア類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。チオウレア類としては、トリブチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
前記スコーチ防止剤としては、有機酸、ニトロソ化合物などが挙げられる。前記有機酸としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸などが挙げられる。前記ニトロソ化合物としては、N−ニトロソ・ジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスルトールジホスファイト、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記グリップ用組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃〜160℃が好ましい。なお、組成物が後述するマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
本発明のゴルフクラブ用グリップの円筒状グリップ本体は、単層構造であってもよいし、多層構造を有していてもよい。円筒状グリップ本体の少なくとも一層を、多孔質層とすることも好ましい態様である。例えば、多層構造の少なくとも1層を多孔質層とすることにより、グリップ本体をさらに軽量化することができる。
多孔質層を作製する方法としては、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などが挙げられる。前記バルーン発泡法では、グリップ用組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、グリップ用組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、グリップ用組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。前記超臨界二酸化炭素射出成型では、高圧力下で超臨界状態にある二酸化炭素をグリップ用組成物に含侵させ、このグリップ用組成物を常圧下に射出し、二酸化炭素を気化させて発泡させる。前記塩抽出法では、グリップ用組成物に易溶解性塩(ホウ酸、塩化カルシウムなど)を含有させ、成形後に塩を溶解抽出して細孔を形成する。前記溶剤除去法では、グリップ用組成物に溶剤を含有させ、成形後に溶剤を除去し細孔を形成する。
前記円筒状層の少なくとも一層を多孔質層とする場合、多孔質層は、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムと発泡剤とを含有するグリップ用組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層とすることが好ましい。すなわち、円筒状多孔質層としては、マイクロバルーンを含有するグリップ用ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、多孔質層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。前記マイクロバルーンとしては、有機マイクロバルーン、無機マイクロバルーンのいずれも使用できる。有機マイクロバルーンとしては、熱可塑性樹脂からなる中空粒子、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルなどが挙げられる。前記樹脂カプセルの具体例としては、Akzo Nobel社製のエクスパンセル、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)などが挙げられる。無機マイクロバルーンとしては、中空ガラス粒子(シリカバルーン、アルミナバルーンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
前記樹脂カプセル(膨張前)の体積平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは9μm以上であり、90μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
バルーン発泡法により多孔質を作製する場合、グリップ用組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材(基材ゴムまたは基材樹脂)100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が5質量部以上であればグリップの軽量化の効果がより大きくなり、20質量部以下であれば多孔質層の機械的強度の低下を抑制できる。
また、バルーン発泡法により作製される多孔質層の発泡倍率は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上であり、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。発泡倍率が1.2以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、5.0以下であれば多孔質の機械的強度の低下を抑制できる。
前記多孔質層は、基材樹脂を含有するグリップ用組成物から成形してもよい。前記基材樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
本発明のゴルフクラブ用グリップ本体の最表層は、基材ゴムおよび軟化点が5℃〜120℃である樹脂(以下、「低軟化点樹脂」という場合がある)を含有するグリップ用組成物から形成されていることが好ましい。最表層を構成するグリップ用組成物が、軟化点が5℃〜120℃である樹脂を含有することにより、グリップの防滑性が一層向上するからである。最表層とは、グリップ本体が多層構造を有する場合には、ゴルファーの手に実際に接触する層を意味する。また、グリップ本体が単層構造の場合は、単層のグリップ本体を意味する。なお、本発明の詳細な説明において、最表層を構成するグリップ用組成物を、単に「表層用組成物」という場合がある。
前記低軟化点樹脂は、軟化点が5℃〜120℃である。前記低軟化点樹脂は、ゴム組成物を混練する際には、十分に軟化するため、基材ゴム中への分散性が高い。また、表層用ゴム組成物から最表層を形成した後は、室温で保管しても低軟化点樹脂の軟化が抑えられるため、最表層の表面に低軟化点樹脂が析出することが防止される。
前記低軟化点樹脂の軟化点は、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。樹脂の軟化点は、JIS−K 6220−1(2015)に規定される環球式軟化点測定装置を用いて測定することができる。
前記低軟化点樹脂は、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クマロン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である。これらの低軟化点樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素添加ロジンエステルおよび不均化ロジンエステルは、いわゆる安定化ロジンエステルである。ロジンとは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸を含有する天然樹脂である。ロジンエステルとは、前記ロジンとアルコール類とを反応させて得られるエステル化合物である。
前記アルコール類としては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどの1価のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどの6価のアルコールが挙げられる。これらの中でも2価以上の多価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
前記水素添加ロジンエステルは、ロジエンエステルのロジンに由来する部分が水素添加されているエステル化合物である。水素添加ロジンエステルは、ロジンを水素添加した後、この水素添加ロジンとアルコール類とを反応させるか、あるいは、ロジンとアルコール類とを反応させた後、得られたロジンエステルを水素添加することで得られる。
前記不均化ロジンエステルは、ロジンエステルのロジンに由来する部分が不均化されているエステル化合物である。不均化ロジンエステルは、ロジンを不均化した後、この不均化ロジンとアルコール類とを反応させるか、あるいは、ロジンとアルコール類とを反応させた後、得られたロジンエステルを不均化することで得られる。
前記水素添加ロジンエステルおよび不均化ロジンエステルの酸価は、2mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは4mgKOH/g以上、さらに好ましくは6mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは180mgKOH/g以下、さらに好ましくは160mgKOH/g以下である。酸価が2mgKOH/g以上であればアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムとの相溶性が良好となり、200mgKOH/g以下であれば水素添加ロジンエステルおよび不均化ロジンエステルが有するカルボキシ基は、基材ゴムの加硫反応にほとんど影響しない。
前記水素添加ロジンエステルおよび不均化ロジンエステルは、市販品を使用でき、例えば、ハリタックSE10、PH、F85、F105、FK100(ハリマ化成社製)などが挙げられる。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。酢酸ビニル含有率が10質量%以上であれば最表層のウェット条件でのグリップ性能の向上効果がより高くなり、80質量%以下であれば最表層の耐摩耗性の低下が抑制される。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、市販品を使用でき、例えば、ウルトラセン(登録商標)680、681、720、722、750、760(東ソー社製)、Levapren(登録商標)400、450、500、600、700、800(ランクセス社製)などが挙げられる。
前記クマロン樹脂は、単量体成分としてクマロン類を含有する樹脂である。前記クマロン樹脂としては、クマロン・インデン樹脂が好ましい。前記クマロン・インデン樹脂は、単量体成分としてクマロン類およびインデン類を含有し、全単量体成分中のクマロン類およびインデン類の合計含有率が50質量%以上の共重合体である。前記クマロン類としては、クマロン、メチルクマロンなどが挙げられる。全単量体成分中のクマロン類の含有率は1質量%〜20質量%が好ましい。前記インデン類としては、インデン、メチルインデンなどが挙げられる。全単量体成分中のインデン類の含有率は40質量%〜95質量%が好ましい。前記クマロン・インデン樹脂は、クマロン類、インデン類以外の他の単量体成分を含有してもよい。前記他の単量体成分としては、スチレン、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
前記クマロン・インデン樹脂は、水酸基を導入されていてもよい。この場合、クマロン・インデン樹脂の水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、150mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは140mgKOH/g以下、さらに好ましくは130mgKOH/g以下である。水酸基価が上記範囲内であれば基材ゴムとの相溶性がより良好となる。
前記クマロン・インデン樹脂は、市販品を使用でき、例えば、ニットレジン(登録商標)G−90(日塗化学社製)、NOVARES C10(Rutgers Chemicals社製)などが挙げられる。
前記低軟化点樹脂は、分子中にエステル基を有するものが好ましい。エステル基を有することで、基材ゴムへの分散性がより良好となる。なお、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステルおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体は、分子中にエステル基を有する。
前記基材ゴムが、カルボキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴムおよび/またはカルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する場合、前記低軟化点樹脂は、分子中に水酸基を有さないものが好ましい。また、前記基材ゴムが、カルボキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴムおよび/またはカルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する場合、前記低軟化点樹脂は、分子中にカルボキシ基を有するものが好ましい。
前記低軟化点樹脂の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、より好ましくは4質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。低軟化点樹脂の配合量が、2質量部以上であれば得られるグリップのウェット条件でのグリップ性能がより向上し、40質量部以下であればグリップの機械的強度の低下が抑制され、良好な耐久性となる。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状グリップ本体と前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有する。なお、ゴルフクラブ用グリップにおいて、チップ側とは、ゴルフクラブの先端側(ヘッドが取り付けられる側)を意味し、バット側とは、ゴルフクラブの後端側(ヘッドが取り付けらる側の反対側)を意味する。
円筒状グリップ本体は、単層構造であってもよいし、多層構造を有していてもよい。例えば、多層構造の少なくとも1層を多孔質層とすることにより、グリップ本体を軽量化することができる。
以下、図面を参照して、ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブについて説明する。図1は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。図2は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面図である。グリップ1は、シャフトが挿嵌される円筒状グリップ本体2と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンド3とを有する。グリップエンド3は、円筒状グリップ本体2のバット側開口部を覆うように設けられている。ゴルフクラブ用グリップは、チップ側の開口10にシャフトを挿入することにより、シャフトに取り付けられる。
図3は、ゴルフクラブ用グリップの別例を示す断面図である。前記円筒状グリップ本体2は、円筒状内層2a(以下、単に「内層」という場合がある)と、円筒状内層2aを被覆する円筒状外層2b(以下、単に「外層」という場合がある)から構成されている。そして、前記円筒状外層2bは先端部から後端部にわたり厚さが均一に形成されている。前記内層2aの厚みは、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成されている。
図2および図3において、紙面に向かって左側がチップ側であり、右側がバット側である。ゴルフクラブ用グリップは、シャフトをチップ側開口10に挿入することにより取付けられる。
グリップエンドの形状は、特に限定されず、円錐台、半球状、円盤状などを挙げることができる。これらの中でも、グリップエンドの形状は、円盤状が好ましい。円盤状グリップエンドの直径は、25mm以上が好ましく、27mm以上がより好ましく、31mm以下が好ましく、29mm以下がより好ましい。円盤状グリップエンドの厚みは、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
グリップエンド用組成物の材料硬度(JIS−A)は、60以上が好ましく、より好ましくは65以上、さらに好ましくは70以上であり、100以下が好ましく、より好ましくは90以下、さらに好ましくは80以下である。グリップエンド用組成物の材料硬度(JIS−A)が、前記範囲内であれば、グリップエンドの機械的強度がより向上するからである。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップエンドの密度は、0.4g/cm3以上であることが好ましく、0.5g/cm3以上であることがより好ましく、0.6g/cm3以上であることがさらに好ましく、1.0g/cm3以下であることが好ましく、0.95g/cm3以下であることがより好ましく、0.90g/cm3以下であることがさらに好ましい。グリップエンドの密度が前記範囲内であれば、グリップエンドの耐摩耗性を実質的に低下させることなく、グリップエンドの軽量化の効果が大きくなるからである。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップエンドの質量は、1.0g以上が好ましく、1.5g以上がより好ましく、2.0g以上がさらに好ましく、4.5g以下が好ましく、4.0g以下がより好ましく、3.7g以下がさらに好ましい。グリップエンドの質量が、前記範囲内であれば、エンドキャップの機械的強度を維持しつつ、グリップ全体としての軽量効果が得られるからである。
図3の態様において、例えば、円筒状内層2aを多孔質層とすることにより、グリップ本体部分の軽量化を図ることができる。また、円筒状内層2aを多孔質層とし、円筒状外層2bを中実層とすれば、グリップの耐摩耗性を低下させることなく、グリップ本体部分を軽量化することができる。また、円筒状内層2aと円筒状外層2bの両方を多孔質層とすれば、さらなる軽量化を図ることができる。
本発明の好ましい態様では、円筒状外層2bを、基材ゴムおよび軟化点が5℃〜120℃である樹脂を含有する表層用組成物から形成することが好ましい。円筒状外層2bを
軟化点が5℃〜120℃である樹脂を含有する表層用組成物から形成することにより、グリップの防滑性を向上できるからである。
前記円筒状グリップ本体の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、17.0mm以下が好ましく、より好ましくは10.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。前記円筒グリップ本体の厚さは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。
前記外層の厚さおよび内層の厚さは、均一としてもよいし、変化をつけてもよい。例えば、円筒状グリップの軸方向に、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。前記円筒状外層の厚さは、均一であることが好ましい。
前記円筒状グリップ本体の厚さが0.5mm〜17.0mmの場合、外層の厚さは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。外層の厚さが0.1mm以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、2.5mm以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記円筒状グリップ本体の厚さに対する外層の厚さの百分率((外層厚さ/円筒状グリップ本体厚さ)×100)は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、99.0%以下が好ましく、より好ましくは98.0%以下、さらに好ましくは97.0%以下である。前記百分率が0.5%以上であれば円筒状外層素材による補強効果がより大きくなり、99.0%以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記外層を構成するグリップ組成物の材料硬度Hout(JIS−A)は、30以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。外層用ゴム組成物の材料硬度(JIS−A)が30以上であれば外層の機械的強度がより向上し、80以下であれば外層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記内層を構成するグリップ用組成物の材料硬度Hin(JIS−A)は、10以上が好ましく、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。内層用グリップ組成物の材料硬度(JIS−A)が10以上であれば内層が軟らかくなりすぎず、掴んだ時にしっかりと固定できる感触が得られ、80以下であれば内層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記外層を構成するグリップ組成物の材料硬度Hout(JIS−A)は、前記内層用組成物の材料硬度Hin(JIS−A)と同じか、あるいはHin(JIS−A)よりも大きいことが好ましい。この場合、これらの硬度差(Hout−Hin)(JIS−A)は、0以上が好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、65以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下である。硬度差(Hout−Hin)が上記範囲内であれば、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
本発明のゴルフクラブ用グリップにおいて、外層と内層の組合せとしては、中実外層と多孔質内層、多孔質外層と多孔質内層が挙げられる。特に、外層および内層を発泡層とする場合、外層の発泡倍率を内層の発泡倍率よりも小さくすることが好ましい。また、この場合、外層の発泡倍率と内層の発泡倍率との比(内層/外層)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であり、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状内層と、円筒状外層との間に中間層を有していてもよい。中間層を配置すれば、グリップの物性の設計の自由度が向上する。中間層は、グリップの長手方向(円筒部の軸方向)の全体にわたり配置してもよいし、一部分にのみ配置してもよい。また、中間層は1層のみ配置してもよいし、2層以上配置してもよい。中間層は、中実層でもよいし、多孔質層でもよい。また、中間層の材料は特に限定されず、ゴム層、樹脂層のいずれでもよく、前記外層、内層と同様の材料を使用することができる。
[接着層]
前記ゴルフクラブ用グリップは、内層、中間層、外層の層間に接着剤層を有していてもよい。なお、接着剤層はその厚さが30μm以下の非常に薄い層であり、前記中間層とは異なる層である。接着剤層を構成する接着剤としては、加硫接着剤(架橋接着剤)、ゴムのりが挙げられる。接着剤層を有することで、内層と外層との剥離強度が高くなる。
前記ゴルフクラブ用グリップの円筒状グリップ本体の構成としては、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒形状;円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層と、これらの内層と外層との間に配置された少なくとも一層の中間層を有する円筒形状;円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層と、これらの内層と外層との間に配置された接着剤層を有する円筒形状;が挙げられる。
本発明のゴルフクラブ用グリップの質量は、18g以上が好ましく、20g以上がより好ましく、22g以上がさらに好ましく、37g以下が好ましく、28g以下がより好ましく、25g以下がさらに好ましい。グリップエンドの質量が、前記範囲内であれば、グリップに求められる強度を維持しつつ、グリップの軽量化によるヘッドスピード向上効果が得られるからである。
[製造方法]
本発明のゴルフクラブ用グリップは、例えば、グリップ用組成物から形成した未加硫のゴムシートと、グリップエンド用組成物から形成したグリップエンドとを、金型内でプレス成形することで得られる。前記グリップ用組成物からシートを作製する方法は、プレス成型、射出成型のいずれも採用できる。また、グリップエンドは、未加硫、半加硫、完全加硫のいずれの状態でもよい。プレス成形する際、金型温度は140℃〜200℃が好ましく、成形時間は5分間〜45分間が好ましく、成形圧力は0.1MPa〜150MPaが好ましい。なお、バルーン発泡法を用いて発泡層を作製する場合、未加硫のシートを作製する際にはバルーンを膨張させず、シートをプレス成型する際にバルーンを膨張させることが好ましい。
[ゴルフクラブ]
本発明には、本発明のゴルフクラブ用グリップを用いたゴルフクラブも含まれる。前記ゴルフクラブは、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが、本発明のゴルフクラブ用グリップである。前記シャフトは、ステンレス鋼製や炭素繊維強化樹脂製が使用できる。前記ヘッドとしては、ウッド型、ユーティリティ型、アイアン型が挙げられる。前記ヘッドを構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えばチタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄などが挙げられる。
図4は、本発明のゴルフクラブの一例を示す斜視図である。ゴルフクラブ4は、シャフト5と、前記シャフト5の一端に取り付けられたヘッド6と、前記シャフト4の他端に取り付けられたグリップ1とを備えている。グリップ1の円筒状グリップ本体2にシャフト5の後端が嵌入されている。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[評価方法]
(1)材料硬度(JIS−A)
グリップエンド組成物またはグリップ用組成物を用いて、160℃で8分間プレスして、13cm角で厚み2mmのシートを作製した。このシートから2cm角に打ち抜いたものを、3枚積層して、厚みを6mmの試験片を作製した。この試験片を、JIS K6253−3(2012)に規定するタイプAデュロメータを備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)密度
グリップエンド組成物を、160℃で8分間プレスして、13cm角で厚み2mmのシートを作製した。このシートから2cm角に打ち抜いて、試験片を作製した。獲れらた試験片の密度は、自動比重計(エムエステック社製、SP−GR1、アルキメデスの原理)を用いて測定した。
(3)耐摩耗性試験
グリップエンド組成物を、160℃で8分間プレスして、13cm角で厚み2mmのシートを作製した。このシートをカットして、幅4cm×長さ13cm×厚み2mmの試験片を作製した。得られた試験片について、安田精機製作所製学振形染色摩擦堅牢度試験機(摩擦試験機II型)を用いて摩耗し、試験前後の重量変化により、耐摩耗性を評価した。耐摩耗性試験の評価は、グリップエンドNo.7の重量変化量を100として、それぞれの重量変化量を指数化した値で示した。
(試験条件)
移動距離:10cm
荷重:196N
試験回数:500往復
紙やすり:#240
(4)中空ガラスフィラーの耐圧強度(MPa)
ASTM D3102−72「Hydrostatic Collapse Strength of Hollow Glass Microspheres」を用い、次の点を修正して中空ガラスフィラーの耐圧強度を測定した。サンプルサイズ(グラム)を中空ガラスフィラーの密度の10倍と同じにした。中空ガラスフィラーはグリセロール(20.6g)に分散し、コンピュータソフトウェアを用いてデータ整理を自動化した。報告される値は、中空ガラスフィラーの10体積パーセントが破壊される静水圧(90耐久強度)である。
(5)中空ガラスフィラーのメジアン径(体積累積分布における50%径、μm)
体積メジアン径は、脱気脱イオン水中に中空ガラスフィラーを分散することによるレーザー光回折で測定する。レーザー光回折粒径分析器は、例えば、Micromeriticsより商品名「SATURN DIGISIZER」として入手できる。
(6)中空ガラスフィラーの真密度
真密度の決定:Micromeritics(Norcross,Georgia)から商品名「ACCUPYC 1330 PYCNOMETER」で入手した完全に自動化されたガス置換比重瓶を用いて、ASTM D2840−69「Average True Particle Density of Hollow Microspheres」に従って中空ガラスフィラーの真密度を決定した。
[グリップ用組成物の調製]
表1、2に示す配合で各原料をバンバリーミキサー(材料温度80〜150℃)で混練し、外層用ゴム組成物および内層用ゴム組成物を調製した。
表1で用いた材料は下記のとおりである。
HNBR:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3446(残存二重結合量4.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
TBzTD:テトラベンジルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTBzTD)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、銀嶺R
カーボンブラック:東洋カーボン社製、シーストSO
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル909−80」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm〜24μm、膨張開始温度120℃〜130℃)
表2で用いた材料は、以下の通りである。
HXNBR:水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban XT VPKA 8889(残存二重結合量3.5%、アクリロニトリル含有率33.0質量%、カルボキシ基含有単量体含有率5.0質量%))
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
TBzTD:テトラベンジルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTBzTD)
過酸化亜鉛:struktol社製、struktol ZP 1014(過酸化亜鉛含有量29質量%)
カーボンブラック:東洋カーボン社製、シーストSO
TBTU:トリブチルチオ尿素(大内新興化学工業社製、ノクラック TBTU)
ロジン:ハリマ化成社製ハリタックSE10、水素添加ロジンエステル(ロジンと多価アルコール(グリセリンを含む。)とのエステル化合物であって、ロジンに由来する部分が水素添加されているエステル化合物、軟化点78℃〜87℃、酸価2mgKOH/g〜10mgKOH/g)
[グリップエンド用組成物の調製]
表3に示す配合で原料を、バンバリーミキサー(材料温度80〜150℃)で混練し、グリップエンド用組成物を調製した。
表3で用いた原料は、以下の通りである。
HNBR:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3446(残存二重結合量4.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
TOT−N:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(内新興化学工業社製、ノクセラーTOT−N)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、銀嶺R
TBTU:トリブチルチオ尿素(大内新興化学工業社製、ノクラック TBTU)
カーボンブラック:東洋カーボン社製、シーストSO
シリカ:エボニック社製、ULTRASIL(登録商標) VN3 GR
中空ガラスフィラー(1):スリーエムジャパン株式会社製グラスバブルズiM16K(真密度0.46g/cm3、耐圧強度110MPa、メジアン径(d50)20μm)
中空ガラスフィラー(2):スリーエムジャパン株式会社製グラスバブルズiM30K(真密度0.60g/cm3、耐圧強度186MPa、メジアン径(d50)16μm)
中空ガラスフィラー(3):スリーエムジャパン株式会社製グラスバブルズS60HS(真密度0.60g/cm3、耐圧強度124MPa、メジアン径(d50)24μm)
中空ガラスフィラー(4):スリーエムジャパン株式会社製グラスバブルズVS5500(真密度0.38g/cm3、耐圧強度38MPa、メジアン径(d50)44μm)
中空ガラスフィラー(5):スリーエムジャパン株式会社製グラスバブルズS42XHS(真密度0.42g/cm3、耐圧強度52MPa、メジアン径(d50)22μm)
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル909−80」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm〜24μm、膨張開始温度120℃〜130℃)
[グリップの成形]
前記外層用ゴム組成物を用いて、扇台形状の未加硫のゴムシートを作製した。外層用ゴムシートは一定の厚さとなるように成形した。前記内層用ゴム組成物を用いて、長方形状の未加硫のゴムシートを作製した。内層用ゴムシートは、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成した。マンドレルに内層用ゴムシートを巻き付け、この上に外層用ゴムシートを重ねて巻き付けて、円筒状グリップ本体を得た。一方、グリップエンド用組成物を、グリップエンド状金型にてグリップエンド状に成形して、未加硫のグリップエンドを得た。
得られた円筒状グリップ本体のバット側端に未加硫のグリップエンドを取付けて、未加硫状態のグリップを得た。得られた未加硫状態のグリップを、キャビティ面に溝パターンを備えた金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、ゴルフ用グリップを得た。グリップエンド特性について評価した結果を、表3に併せて示した。表3中、各グリップエンドの質量は、グリップエンド7No.7の質量を100として、指数化した値で示している。
円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有するゴルフクラブ用グリップであって、前記グリップエンドは、基材ポリマーと中空ガラスフィラーとを含有する本発明のゴルフクラブ用グリップは、耐摩耗性を実質的に低下させることなく、軽量化されている。