JP6478806B2 - ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6478806B2
JP6478806B2 JP2015104821A JP2015104821A JP6478806B2 JP 6478806 B2 JP6478806 B2 JP 6478806B2 JP 2015104821 A JP2015104821 A JP 2015104821A JP 2015104821 A JP2015104821 A JP 2015104821A JP 6478806 B2 JP6478806 B2 JP 6478806B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grip
inner layer
cylindrical
rubber
golf club
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015104821A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016214678A (ja
Inventor
翔 郷司
翔 郷司
千恵美 三倉
千恵美 三倉
一喜 志賀
一喜 志賀
邦康 堀内
邦康 堀内
俊之 多羅尾
俊之 多羅尾
英高 井上
英高 井上
尾山 仁志
仁志 尾山
長谷川 宏
宏 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2015104821A priority Critical patent/JP6478806B2/ja
Priority to US15/159,933 priority patent/US10065092B2/en
Publication of JP2016214678A publication Critical patent/JP2016214678A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6478806B2 publication Critical patent/JP6478806B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B53/00Golf clubs
    • A63B53/14Handles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B60/00Details or accessories of golf clubs, bats, rackets or the like
    • A63B60/06Handles
    • A63B60/16Caps; Ferrules
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B2209/00Characteristics of used materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B60/00Details or accessories of golf clubs, bats, rackets or the like
    • A63B60/52Details or accessories of golf clubs, bats, rackets or the like with slits

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Golf Clubs (AREA)

Description

本発明は、ゴルフクラブ用グリップおよびその製造方法に関する。
ゴルフクラブに装着されるグリップとして、ゴム製のグリップが多用されている。このようなゴム製グリップとして、例えば、特許文献1には、ガラス転移点が−40℃以上−13℃以下であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを基材ポリマーとし、該アクリロニトリル−ブタジエンゴムの基材ポリマー全量に占める比率を45質量%以上とした、ゴム組成物が架橋されることによって成形されており、初期歪みが10%であり振幅が±2%であり周波数が10Hzであり開始温度が−100℃であり終了温度が100℃であり昇温速度が3℃/minであり変形モードが引張である条件で粘弾性スペクトロメーターによって測定された損失係数曲線のピーク温度が、−29℃以上0℃以下であるゴルフクラブ用グリップが記載されている(特許文献1(請求項4)参照)。
また、グリップについて軽量化を図ることも提案されている。例えば、特許文献2には、ソリッドゴム質から成る表面層と発泡ゴム質から成る内面層で構成されるゴルフクラブ用グリップにおいて、未加硫ゴム配合の中へ有機溶剤を包含する塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマーを添加混入した材料を加硫成形することにより得られる発泡ゴム質で前記内面層が構成されており軽量化されているゴルフクラブ用グリップが記載されている(特許文献2(請求項2)参照)。
特許第3701220号公報 特開平11−347166号公報
本願発明者らは、例えば、図12のような構成を有するゴルフクラブ用グリップについてすでに特許出願をしている。このグリップは、円筒状内層と前記円筒状内層を被覆する円筒状外層とを有するグリップ本体と、前記グリップ本体の端部に設けられたグリップエンドを有する。グリップの摩耗や割れを防止するという観点から、グリップの外層には、強度や耐久性が高い材料が好適に使用される。また、グリップの円筒状外層とグリップエンドとは、グリップの表面層を構成し、外観や手触りを統一するために同一若しくは類似の材料から構成される。一方、グリップの円筒状内層は、軽量化やコスト低減の観点から、外層とは異なる材料が採用され得る。しかしながら、円筒状内層とグリップエンドとの親和性が低い場合、グリップ本体とグリップエンドとの接着性が低下し、グリップの耐久性が低下するという問題点がある。
本願発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グリップ本体とグリップエンドとの接着性に優れ、耐久性に優れるゴルフクラブ用グリップを提供することを目的とする。本発明は、さらに、ゴルフクラブ用グリップの軽量化を目的とする。
前記課題を解決することができた本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状内層と、前記円筒状内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有し、前記円筒状内層のバット側端縁とグリップエンドとの間の少なくとも一部に、前記円筒状外層が介在していることを特徴する。このような構成であれば、円筒状内層とグリップエンドとが親和性の低い材料から形成されている場合でも、円筒状外層とグリップエンドとを親和性の高い材料から形成することで、グリップエンドとグリップ本体との接着性が向上する。その結果、グリップエンドが、グリップ本体から脱落するのを長期にわたり防止でき、グリップの耐久性が向上する。
本発明には、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが、本発明のゴルフクラブ用グリップであるゴルフクラブも含まれる。
本発明によれば、グリップ本体とグリップエンドとの接着性に優れるゴルフクラブ用グリップが得られる。本発明によれば、さらに、軽量化したゴルフクラブ用グリップが得られる。
本発明のゴルフクラブ用グリップの一例を示す模式的断面図である。 図1のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド側端部の拡大図である。 本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式的断面図である。 図3のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド側端部の拡大図である。 本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。 図5のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド側端部の拡大図である。 本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。 本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。 図8のゴルフクラブ用グリップのチップ側端部の拡大図である。 本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。 ゴルフクラブの一例を示す斜視図である。 従来のゴルフクラブ用グリップの一例を示す模式的断面図である。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状内層と、前記円筒状内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有する。そして、前記円筒状内層のバット側端縁とグリップエンドとの間の少なくとも一部に、前記円筒状外層のバット側端部が介在していることを特徴する。なお、ゴルフクラブおよびこれに装着されるゴルフクラブ用グリップにおいて、バット側とは、グリップエンド側を意味し、ゴルフクラブにおける後端側を意味する。一方、チップ側とは、ゴルフクラブの先端側(ヘッドが取付けられる側)を意味する。
[ゴルフクラブ用グリップの構造]
以下、図面を参照しつつ、本発明のゴルフクラブ用グリップの構造について説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のゴルフクラブ用グリップの一例を示す模式的断面図である。本発明のゴルフクラブ用グリップ1は、円筒状内層3と、前記円筒状内層3を被覆する円筒状外層5とを有する円筒状グリップ本体20と、前記グリップ本体20のバット側端に設けられたグリップエンド7とを有する。本発明のゴルフクラブ用グリップ1は、前記円筒状内層3のバット側端縁2とグリップエンド7との間の少なくとも一部に、前記円筒状外層5が介在している。このような構成とすることにより、前記円筒状内層3と、グリップエンド7とが、親和性が低い材料が形成されている場合でも、円筒状外層5とグリップエンド7とを親和性が高い材料から形成することで、グリップエンド7とグリップ本体20との接着性を高めることができる。よって、グリップエンド7がグリップ本体20から脱落するのを長期間にわたって防止することができる。したがって、円筒状内層の材料を自由に選択できるため、グリップの耐久性を維持したまま、軽量化を図ることができる。
図2は、図1のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド側端部の拡大図である。円筒状外層5は、円筒状内層3のバット側端縁2の少なくとも一部を被覆すればよい。前記バット側端縁2とグリップエンド7との間に介在している前記円筒状外層5の長さ(グリップの径方向)をL1とした場合、前記長さL1と前記円筒状内層3のバット側端縁2の厚さTと比(L1/T)は、0.15以上が好ましく、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.5以上、最も好ましくは1である。図2において、前記長さL1は、前記円筒状内層3のバット側端縁2の外方端から円筒状外層を構成する外層シートのバット側端部先端9までの距離である。前記比が1の場合、円筒状内層3のバット側端縁2の全面が外層5に被覆されている。前記比が0.2以上であればグリップエンドとグリップ本体との接着性がより高くなり、グリップの耐久性がより向上する。前記バット側端縁2とグリップエンド7との間に介在している前記円筒状外層5は、グリップの周方向に連続していることが好ましい。
図1に示した形態では、グリップ本体20を構成する円筒状内層3と円筒状外層5の軸方向の長さが略同一であり、円筒状内層のチップ側端縁8と、円筒状外層のチップ側端縁6とが一致している。他の好ましい態様では、円筒状内層3を円筒状外層5よりもチップ側に長くしてもよいし、逆に、円筒状外層5を円筒状内層3よりもチップ側に長くしてもよい。
図3は、本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式的断面図である。図3に示すように、本発明のゴルフクラブ用グリップ1の円筒状外層5は、前記円筒状内層のバット側端縁2と、円筒状内層バット側内面の少なくとも一部とを被覆するように折り返されていることが好ましい。円筒状外層5のバット側端部を折り返して、円筒状内層バット側内面を被覆することにより、円筒状外層5により円筒状内層のバット側端縁2をより確実に覆うことができ、グリップの耐久性がより向上する。
図4は、図3のゴルフクラブ用グリップのグリップエンド側端部の拡大図である。外層を構成する外層シートが、円筒状内層3のバット側内面を被覆する長さ(グリップの軸方向長さ)L2は、円筒状内層3のバット側端縁2から0.5mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましく、14.5mm以下が好ましく、6.5mm以下がより好ましい。長さL2が上記下限値以上であれば、円筒状外層5により円筒状内層のバット側端縁2をより確実に覆うことができ、グリップの耐久性がより向上する。また、長さL2が上記上限値以下であれば、円筒状内層3を発泡層とした場合に、発泡が潰れてしまうことを抑制できる。長さL2は、円筒状内層3のバット側端縁2から折り返された外層の先端12までの距離である。
前記ゴルフクラブ用グリップにおいて、円筒状内層および円筒状外層は、少なくとも1層あればよい。前記円筒状内層は、2層構造としてもよい。図5は、本発明のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。図5に示した態様では、円筒状内層3は、第1内層3aと、前記第1内層3aの外側を被覆する第2内層3bとを有する。前記第1内層3aは、バット側端部において折り返されていることが好ましい。
図6は、図5のグリップエンド側端部の拡大図である。第1内層3aの折返部13の長さL3は、第1内層3aのバット側端縁2aから3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましい。第1内層3aを折り返すことにより、グリップエンド側を太くすることができる。図6では、円筒状外層5は、第一内層3aのバット側内面を被覆しているが、外層5は第一内層3aの内面を被覆していなくてもよい。また、図6では、円筒状外層5が、第1内層3aと第2内層3bのバット側端縁(2a,2b)の全面を被覆しているが、例えば、バット側端縁(2a)の全体とバット側端縁(2b)の少なくとも一部を被覆するようにしてもよいし、バット側端縁(2a)の少なくとも一部を被覆するようにしてもよい。
図7は、本発明のゴルフクラブ用グリップの変形例である。円筒状内層3と円筒状外層5との間に接着剤層4が設けられている。斯かる接着剤層4を設けることにより、円筒状内層3と円筒状外層5とが、親和性の低い材料から形成されている場合であっても、両者が強固に接着することができる。また、接着剤層は、円筒状内層3のバット側端縁2と、円筒状外層5との間に設けても良い。なお、図5の態様では、第2内層3bと円筒状外層5との間に、接着剤層を設けるようにすればよい。
前記ゴルフクラブ用グリップは、円筒状外層5が、チップ側端において内側に折り返されていることが好ましい。つまり、前記グリップ1は、チップ側端部に、前記円筒状外層5が内側に折り返された折返部を有することが好ましい。円筒状内層と円筒状外層とを異なる材料で形成した場合、円筒状内層の引張強さと円筒状外層の引張強さに差が生じてしまい、ゴルフクラブ用グリップのチップ側の開口が、楕円形に歪んでしまう場合がある。しかし、チップ側端部に折返部を有することで、チップ側端部の形状を円形に維持できるものとなる。
図8は、本発明のゴルフクラブ用グリップの円筒状外層が、チップ側端部において内側に折り返されていることを示す模式的断面図である。図9は、図8のゴルフクラブ用グリップのチップ側端部の拡大図である。折返部15の長さ(グリップの軸方向長さ)L4は、4mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。前記ゴルフクラブ用グリップでは、円筒状外層5の折返部15が、円筒状内層3に積層しないことが好ましい。すなわち、前記グリップのチップ側端部が、円筒状外層5の折返部15のみから形成されていることが好ましい。チップ側端部が円筒状外層の折返部のみから形成されていれば、チップ側端部の機械的強度が向上する。そのため、グリップをシャフトに装着する際に、チップ側端部が破断することが抑制される。
図9において、前記折返部15の端縁17(折り返された外層の先端部)と円筒状内層3のチップ側端縁8との間には隙間が形成されているが、これらは接触していることが好ましい。折返部の端縁と円筒状内層のチップ側端縁が接触していれば、成形後のグリップにおいて、内層および外層の存在しない空隙が生じることが防止できる。なお、前記折返部15の端縁17と、円筒状内層3のチップ側端縁8との間に隙間があってもよいが、この場合の距離L5は、1mm以下とすることが好ましい。
図10は、図5で示した態様のゴルフクラブ用グリップの別例を示す模式断面図である。円筒状外層5は、チップ側端部において内側に折り返されている。図10において、前記折返部15の端縁17(折り返された外層の先端部)と、円筒状内層3のチップ側端縁8(8a,8b)とは、接触していることが好ましい。折返部の端縁と円筒状内層のチップ側端縁が接触していれば、成形後のグリップにおいて、内層および外層の存在しない空隙が生じることが防止できる。図10では、円筒状内層のチップ側端縁8aと、円筒状内層のチップ側端縁8bとが一致しているが、例えば、円筒状内層3aを円筒状内層3bよりもチップ側に長くしてもよいし、逆に、円筒状内層3bを円筒状内層3aよりもチップ側に長くしてもよい。
本発明のゴルフクラブ用グリップにおいて、円筒状内層および円筒状外層は、中実層(非多孔質層)でもよいし、多孔質層でもよい。多孔質層は、基材となるゴムまたは樹脂に多数の細孔(空隙)が形成されている層である。多孔質層としては、発泡層あるいは微発泡層が好ましい。
前記ゴルフクラブ用グリップの態様としては、(1)内層:中実層、外層:多孔質層、(2)内層:中実層、外層:中実層、(3)内層:多孔質層、外層:多孔質層、および、(4)内層:多孔質層、外層:中実層の組み合わせが挙げられる。ゴルフクラブ用グリップの軽量化と強度を両立するという観点からは、円筒状内層を多孔質層とし、円筒状外層を中実層とすることが好ましい。
前記円筒状内層を多孔質層とする場合、内層の密度(Din)は、0.25g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.27g/cm以上、さらに好ましくは0.29g/cm以上であり、0.40g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.38g/cm以下、さらに好ましくは0.36g/cm以下である。前記内層の密度が0.25g/cm以上であれば、内層の変形量が大きくなりすぎず、しっかりとした打感が得られ、0.40g/cm以下であれば多孔質層によるグリップの軽量化の効果が大きくなる。
また、円筒状外層を多孔質層とする場合、外層の密度(Dout)は、0.6g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.65g/cm以上、さらに好ましくは0.7g/cm以上であり、1.1g/cm以下が好ましく、より好ましくは1.05g/cm以下、さらに好ましくは1.0g/cm以下である。前記外層の密度が0.6g/cm以上であれば、外層の耐摩耗性が良好となり、1.1g/cm以下であれば多孔質層によるグリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記円筒状内層および円筒状外層の両方を多孔質層とする場合、これらの密度の比(Dout/Din)は1.6以上が好ましく、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上であり、4.5以下が好ましく、より好ましくは4.3以下、さらに好ましくは4.0以下である。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップ本体を構成する円筒部の厚みは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部(チップ側)から後端部(バット側)に向かって、徐々に厚くなるように形成してもよい。また、円筒部の厚みは、径方向に一定となるように形成してもよいし、一部に凸条部分(いわゆるバックライン)を設けてもよい。また、円筒部の表面には溝を設けてもよい。溝により、ゴルファーの手とグリップとの間の水膜形成が抑制され、ウェット状態でのグリップ性能がより向上する。さらに、グリップの防滑性能および耐摩耗性の観点から、グリップ内に補強コードを配設してもよい。
本発明のゴルフクラブ用グリップのグリップ本体の円筒部の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、17.0mm以下が好ましく、より好ましくは10.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。前記円筒部の厚さは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。
前記外層の厚さおよび内層の厚さは、均一としてもよいし、変化をつけてもよい。例えば、円筒状グリップの軸方向に、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。前記外層の厚さは、均一であることが好ましい。
前記円筒部の厚さが0.5mm〜17.0mmの場合、前記円筒状外層の厚さは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは0.7mm以下である。前記円筒状外層の厚さが0.1mm以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、2.5mm以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記円筒部の厚さに対する円筒状外層の厚さの百分率((円筒状外層厚さ/円筒部厚さ)×100)は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、99.0%以下が好ましく、より好ましくは98.0%以下、さらに好ましくは97.0%以下である。前記百分率が0.5%以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、99.0%以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、グリップ本体のバット側端にグリップエンドを有する。グリップエンドの形状は、特に限定されず、円錐台、半球状、円盤状などを挙げることができる。これらの中でも、グリップエンドの形状は、円盤状が好ましい。円盤状グリップエンドの直径は、25mm以上が好ましく、27mm以上がより好ましく、31mm以下が好ましく、29mm以下がより好ましい。円盤状グリップエンドの厚みは、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
[ゴルフクラブ用グリップの材料]
以下、本発明のゴルフクラブ用グリップに使用される材料について説明する。本発明のゴルフクラブ用グリップは、上記構造を有するものであれば、特に限定されない。本発明のゴルフクラブ用グリップは、円筒状外層とグリップエンドとを親和性の高い材料から形成することが好ましい。円筒状外層とグリップエンドとを親和性の高い材料から形成しておくことにより、グリップ本体とグリップエンドとの接着性が高くなるからである。具体的には、円筒状外層に使用される組成物と、グリップエンドに使用される組成物が、同じ基材ゴムを含有することが好ましい。また、円筒状外層とグリップエンドとが、同じ組成物から形成されていることも好ましい。
[円筒状外層およびグリップエンド]
本発明のゴルフクラブ用グリップの円筒状外層およびグリップエンドは、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有する第一ゴム組成物から成形されていることが好ましい。外層がアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することにより、グリップの引張強さが向上し、かつ、ウェット時のグリップ性能が良好となる。
前記アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)が挙げられる。前記XNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体である。前記HNBRとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素添加物である。前記HXNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体の水素添加物である。
前記第一ゴム組成物は、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴム以外のゴムを含有してもよい。前記基材ゴム中のアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、第一ゴム組成物が、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムのみを含有することも好ましい。
前記NBR、XNBR、HNBR、HXNBRにおいて、アクリロニトリル含有率は、15質量%以上が好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは21質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。アクリロニトリル含有率が15質量%以上であれば耐摩耗性が良好となり、50質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記HNBR、HXNBRにおいて、二重結合含有量は、0.09mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、2.5mmol/g以下が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。二重結合含有量が0.09mmol/g以上であれば成形時に加硫しやすくなりグリップの引張強度がより向上し、2.5mmol/g以下であればグリップの耐久性(耐候性)および引張強さがより良好となる。二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率や、共重合体への水素添加量により調整できる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を含有する単量体の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基を含有する単量体の含有率が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基含有量は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基含有量が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記第一ゴム組成物は、基材ゴムに加えて、架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
前記第一ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
前記第一ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。
前記補強材としては、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。前記補強材の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類、チオウレア類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。チオウレア類としては、トリブチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
前記スコーチ防止剤としては、有機酸、ニトロソ化合物などが挙げられる。前記有機酸としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸などが挙げられる。前記ニトロソ化合物としては、N−ニトロソ・ジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスルトールジホスファイト、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記第一ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃〜160℃が好ましい。なお、組成物が後述するマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
前記第一ゴム組成物の材料硬度(JIS−A)は、30以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。第一ゴム組成物の材料硬度(JIS−A)が30以上であれば外層の機械的強度がより向上し、80以下であれば外層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記第一ゴム組成物の引張強さは、1.0MPa以上が好ましく、より好ましくは1.2MPa以上、さらに好ましくは1.3MPa以上であり、3.0MPa以下が好ましく、より好ましくは2.5MPa以下、さらに好ましくは2.0MPa以下である。
前記外層は、中実層または多孔質層のいずれであってもよいが、中実層が好ましい。前記円筒状外層を中実層とすることにより、グリップの機械的強度を一層向上することできる。前記外層を多孔質層とすれば、ゴルフクラブ用グリップをさらに軽量化できる。
多孔質層を作製する方法としては、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などが挙げられる。前記バルーン発泡法では、ゴム組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、ゴム組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、ゴム組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。前記超臨界二酸化炭素射出成型では、高圧力下で超臨界状態にある二酸化炭素をゴム組成物に含侵させ、このゴム組成物を常圧下に射出し、二酸化炭素を気化させて発泡させる。前記塩抽出法では、ゴム組成物に易溶解性塩(ホウ酸、塩化カルシウムなど)を含有させ、成形後に塩を溶解抽出して細孔を形成する。前記溶剤除去法では、ゴム組成物に溶剤を含有させ、成形後に溶剤を除去し細孔を形成する。
前記外層を多孔質層とする場合、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムと発泡剤とを含有する第一ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層とすることが好ましい。すなわち、外層としては、マイクロバルーンを含有する第一ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、外層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。前記マイクロバルーンとしては、有機マイクロバルーン、無機マイクロバルーンのいずれも使用できる。有機マイクロバルーンとしては、熱可塑性樹脂からなる中空粒子、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルなどが挙げられる。前記樹脂カプセルの具体例としては、Akzo Nobel社製のエクスパンセル、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)などが挙げられる。無機マイクロバルーンとしては、中空ガラス粒子(シリカバルーン、アルミナバルーンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
前記樹脂カプセル(膨張前)の体積平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは9μm以上であり、90μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
バルーン発泡法により外層を作製する場合、前記第一ゴム組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、より好ましくは1.2質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が1.0質量部以上であれば多孔質層を形成する際の発泡がより均一となり、10質量部以下であれば多孔質層の軽量化と機械的強度を両立できる。
また、バルーン発泡法により作製される外層の発泡倍率は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上であり、2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。発泡倍率が1.1以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、2.0以下であれば外層の機械的強度の低下を抑制できる。
[円筒状内層]
前記内層は、基材ゴムまたは基材樹脂を含有する内層用組成物から成形されることが好ましい。前記基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの中でも、前記基材ゴムとしては、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、BR、SBR、PUが好ましい。
前記基材樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
基材ゴムを含有する内層用組成物(以下、「第二ゴム組成物」という場合がある)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。前記架橋剤としては、前記第一ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられ、単体硫黄が好ましい。前記第二ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。これらの加硫促進剤、加硫活性剤としては前記第一ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記加硫促進剤としては、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラベンジルチウラムジスルフィドが好ましい。前記加硫活性剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸が好ましい。
前記第二ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。これらの補強材、老化防止剤、着色剤としては前記第一ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記補強材としては、カーボンブラック、シリカが好ましい。前記老化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が好ましい。
円筒状内層を発泡層とする場合、前記内層用組成物は、発泡剤を含有することが好ましい。円筒状内層は、バルーン発泡法により作製された発泡層であることがより好ましい。すなわち、前記内層としては、マイクロバルーンを含有する内層用組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、内層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。マイクロバルーンとしては、前記第一ゴム組成物に使用されるものが挙げられ、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルが好ましい。
バルーン発泡法により円筒状内層を作製する場合、内層用組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材(基材ゴムまたは基材樹脂)100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が5質量部以上であればグリップの軽量化の効果がより大きくなり、20質量部以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
また、バルーン発泡法により作製される内層の発泡倍率は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上であり、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。発泡倍率が1.2以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、5.0以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
前記内層用組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃〜160℃が好ましい。なお、内層用組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
前記内層用組成物(第二ゴム組成物または内層用樹脂組成物)の材料硬度(JIS−A)は、10以上が好ましく、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。内層用組成物の材料硬度(JIS−A)が10以上であれば内層が軟らかくなりすぎず、掴んだ時にしっかりと固定できる感触が得られ、80以下であれば内層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記第一ゴム組成物の材料硬度Hout(JIS−A)は、前記内層用組成物の材料硬度Hin(JIS−A)と同じか、あるいはHin(JIS−A)よりも大きいことが好ましい。この場合、これらの硬度差(Hout−Hin)(JIS−A)は、0以上が好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、65以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下である。硬度差(Hout−Hin)が上記範囲内であれば、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記内層用組成物の引張強さは、0.1MPa以上が好ましく、より好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.3MPa以上であり、1.1MPa以下が好ましく、より好ましくは1.0MPa以下、さらに好ましくは0.9MPa以下である。前記第一ゴム組成物の引張強さと前記内層用組成物の引張強さとの比(第一ゴム組成物/内層用組成物)は、1.0以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明のゴルフクラブ用グリップにおいて、円筒状外層および円筒状内層を発泡層とする場合、円筒状外層の発泡倍率を内層の発泡倍率よりも小さくすることが好ましい。また、この場合、円筒状外層の発泡倍率と内層の発泡倍率との比(内層/外層)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であり、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
[接着剤層]
前記ゴルフクラブ用グリップは、円筒状内層および円筒状外層の層間に接着剤層を有していてもよい。なお、接着剤層はその厚さが、約30μm以下の非常に薄い層であることが好ましい。接着剤層を構成する接着剤としては、加硫接着剤(架橋接着剤)、ゴムのりが挙げられる。接着剤層を有することで、円筒状内層と円筒状外層との剥離強度が高くなる。
前記接着剤層を形成する接着剤組成物は、オレフィン系ゴムを含有することが好ましい。前記オレフィン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、などが挙げられる。前記接着剤組成物に含まれるゴム成分中のオレフィン系ゴム含有率は50質量%以上が好ましい。
前記オレフィン系ゴムとしては、変性オレフィン系ゴムが好ましい。前記変性オレフィン系ゴムとしては、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)などが挙げられる。
前記変性オレフィン系ゴムは、変性ポリエチレン含有率が、5質量%以上が好ましく、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、15質量%以下が好ましく、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。前記変性ポリエチレン含有率が5質量%以上であれば内層と外層との剥離強度がより向上し、15質量%以下であればグリップの引張強度の低下が抑制される。
前記オレフィン系ゴムとしては、クロロスルホン化ポリエチレンが特に好ましい。前記クロロスルホン化ポリエチレンは、ポリエチレンをクロロスルホン化することで得られ、下記化学式(1)で表される。
Figure 0006478806
[式中、l、m、nは、各繰り返し単位の割合(質量%)を表す。]
前記オレフィン系ゴムの具体例としては、例えば、ロード・ファー・イースト社製のChemlok 6108、XJ−150、Chemlok 233X、Chemlok 402X、Chemlok 8216などを挙げることができる。
前記接着剤組成物は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含有することが好ましい。MDIを含有することで、内層と外層との剥離強度が一層向上する。前記MDIの含有率は、0質量%超が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、6質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
前記接着剤組成物は、溶媒を含有してもよい。溶媒を含有することで、接着剤層をより薄く成形することができ、グリップの引張強度をより高めることができる。前記溶媒としては、キシレン、トルエンなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒を含有する場合、接着剤組成物の固形分濃度(溶媒以外の成分の濃度)は10質量%〜30質量%が好ましい。また、前記接着剤組成物は、充填剤(カーボンブラック、シリカなど)を含有してもよい。
[製造方法]
本発明のゴルフクラブ用グリップは、例えば、前記第一ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートと、前記第二ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートまたは前記内層用樹脂組成物から形成した樹脂シートとの積層物、および、第一ゴム組成物から形成したグリップエンドを、金型内でプレス成形することで得られる。前記第一ゴム組成物または内層用組成物からシートを作製する方法は、プレス成型、射出成型のいずれも採用できる。また、グリップエンドは、未加硫、半加硫、完全加硫のいずれの状態でもよい。積層物をプレス成形する際、金型温度は140℃〜200℃が好ましく、成形時間は5分間〜45分間が好ましく、成形圧力は0.1MPa〜150MPaが好ましい。なお、バルーン発泡法を用いて発泡層を作製する場合、外層のシートおよび内層のシートを作製する際にはバルーンを膨張させず、外層のシートと内層のシートとの積層物をプレス成型する際にバルーンを膨張させることが好ましい。
前記ゴルフクラブ用グリップの製造方法としては、第一ゴム組成物および内層用組成物を調製する工程(組成物調製);前記内層用組成物を用いて内層シートを作製する工程(内層シート作製工程);前記第一ゴム組成物を用いて未加硫の外層シートを作製する工程(外層シート作製工程);前記第一ゴム組成物を用いてグリップエンドを作製する工程(グリップエンド作製工程);前記内層シートと外層シートとを積層し、積層物を作製する工程(積層工程);前記外層シートのバット側端部を内層シート側に折返し、内層シートのバット側端縁を外層シートで被覆する工程(折返工程);および、前記外層シートのバット側端部を折返した積層物とグリップエンドとを金型内でプレス成型する工程(成型工程);を含むことが好ましい。
前記組成物調製工程において、第一ゴム組成物および内層用組成物は、上述した方法により調整できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。なお、組成物がマイクロバルーンを含有する場合、混練時の材料温度は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満とすることが好ましい。
前記内層シート作製工程において、内層用組成物から内層シートを作製する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。前記内層用組成物がゴム組成物である場合には、未加硫の内層シートを作製する。前記内層用組成物は、マイクロバルーンを含有することが好ましい。この場合、内層シートを作製する工程において、成形時の材料温度は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満とすることが好ましい。
前記外層シート作製工程において、第一ゴム組成物から未加硫の外層シートを作製する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。
前記グリップエンド作製工程において、第一ゴム組成物からグリップエンドを作製する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。なお、グリップエンドは、未加硫、半加硫、完全加硫のいずれの状態でもよい。
前記積層工程において、内層シートと外層シートは、シートの状態で積層してもよいし、内層シートをマンドレルに巻き付けた後、この内層の周囲に外層シートを巻き付けることで積層してもよい。
前記折返工程では、外層シートのバット側端部を内層シート側に折返し、内層シートのバット側端縁を外層シートで被覆する。内層シートのバット側端縁を外層シートで被覆することで、内層シートのバット側端縁とグリップエンドとの間に外層シートが介在することとなる。ここで、外層シートとグリップエンドとはいずれも第一ゴム組成物から形成されているため親和性が高い。よって、得られるグリップは、内層と外層とからなる積層物(グリップ本体)とグリップエンドとの接着性が高く、耐久性に優れたものとなる。
前記外層シートのバット側端部の折返しの長さ(グリップの軸方向長さ)L0は、外層シートのバット側端縁から2mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、16mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。なお、折返しの長さL0は、外層シートのバット側端部から、折返線までの距離である。
また、内層用組成物がマイクロバルーンを含有する場合、円筒状外層のバット側の折り返す長さL0は、発泡後の円筒状内層のバット側端部の厚さに応じて調整することが好ましい。具体的には、長さL0(mm)と発泡後の円筒状内層のバット側端部の厚さT(mm)との比(長さL0/内層厚さT)は、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上であり、3.3以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.3以下である。前記比が0.2以上であれば、内層の発泡後においても、内層シートのバット側端縁とグリップエンドとの間に外層シートを確実に介在させることができる。前記比が3.3以下であれば折り返された外層シートによって、内層のバット側端部の発泡が阻害されることを防止できる。
また、前記折返工程では、前記外層シートのチップ側端部を内層シート側に折返し、折返部を形成する工程を有することも好ましい。チップ側端部に折返部を有することで、チップ型端部において外層が変形し難くなる。そのため、内層を発泡させる際に、チップ側端部付近の内層を均一に発泡させることができる。よって、内層発泡時にグリップのチップ側端部の形状が楕円形に歪むことを抑制できる。
前記外層シートのチップ側端部の折返しの長さ(グリップの軸方向長さ)L4は、外層シートのチップ側端縁から4mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。なお、折返しの長さL4は、外層シートのチップ側端部から、折返線までの距離である。
前記成形工程では、前記積層物に熱処理を行い、加硫を行う。成型方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。なお、内層用組成物がマイクロバルーンを含有する場合、プレス成型時の材料温度をマイクロバルーンの膨張開始温度以上とすることが好ましい。
[ゴルフクラブ]
本発明には、前記ゴルフクラブ用グリップを用いたゴルフクラブも含まれる。前記ゴルフクラブは、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが前記ゴルフクラブ用グリップである。前記シャフトは、ステンレス鋼製や炭素繊維強化樹脂製が使用できる。前記ヘッドとしては、ウッド型、ユーティリティ型、アイアン型が挙げられる。前記ヘッドを構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えばチタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄などが挙げられる。
図11は、本発明のゴルフクラブの一例を示す斜視図である。ゴルフクラブ30は、シャフト31と、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッド32と、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップ1とを備えている。グリップ1の円筒部にシャフト31の後端が嵌入されている。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[評価方法]
(1)アクリロニトリル含有率
アクリロニトリル含有率は、水素添加前のアクリルニトリル−ブタジエンゴムについて、ISO 24698−1(2008)により測定した。
(2)二重結合含有量(mmol/g)
二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率(質量%)と残存二重結合量(%)から算出した。前記残存二重結合量とは、水素添加前の共重合体中の二重結合と水素添加後の共重合体中の二重結合との質量比(水素添加後の二重結合量/水素添加前の二重結合量)であり、赤外分光法により測定できる。アクリロニトリル−ブタジエンゴムが、アクリロニトリル−ブタジエン2元共重合体の場合、共重合体中のブタジエン含有率は100からアクリロニトリル含有率(質量%)を減ずることで求められる。
二重結合量={ブタジエン含有率/54}×残存二重結合量×10
(3)カルボキシ基を含有する単量体の含有率
水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを1g量りとり、クロロホルム50mlに溶解させ、ここにチモールブルー指示薬を滴下した。この溶液を攪拌しながら、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Vml)を記録した。ブランクとして水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有しないクロロホルム50mlについても、チモールブルーを指示薬として、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Bml)を記録した。下記式により、カルボキシ基含有率を算出した。
カルボキシ基含有単量体含有率={0.05×(V−B)×PM}/(10×X)
(式中、V:試験溶液の水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、B:ブランクの水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、PM:カルボキシ基含有単量体の分子量、X:カルボキシ基含有単量体の価数)
(4)材料硬度(JIS−A)
ゴム組成物を用いて、160℃で8〜20分間プレスして、厚み2mmのシートを作製した。なお、ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、グリップを形成した際と同様の発泡倍率となるようにマイクロバルーンを膨張させてシートを作製した。このシートを、23℃で2週間保存し、測定基板などの影響が出ないように、3枚重ねた状態で、JIS K6253−3(2012)に規定するタイプAデュロメータを備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(5)発泡倍率
グリップから測定対象となる発泡層を切り出し、発泡層の密度(d1)を測定した。また、この発泡層の形成に使用されたゴム組成物を用いて未発泡のゴムシートを作製し、このゴムシートの密度(d2)を測定した。前記未発泡シートの密度を発泡層の密度で除することで発泡倍率(d2/d1)を算出した。なお、密度は、自動比重計(エムエステック社製、SP−GR1、アルキメデスの原理)を用いて測定した。
(6)引張強さ
引張強さはJIS K 6251(2010)に準拠して測定した。ゴム組成物を用いて、160℃で8〜20分間プレスして、厚み2mmのシートを作製し、これをダンベル形状(ダンベル状3号形)に打ち抜いて試験片を作製した。なお、ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、グリップを形成した際と同様の発泡倍率となるようにマイクロバルーンを膨張させてシートを作製した。各試験片について、引張試験測定装置(島津製作所社製、オートグラフAGS−D)を用いて物性を測定した(測定温度23℃、引張速度500mm/分)。そして、試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除することで引張強さを算出した。
(7)質量
各グリップの質量を測定した。なお、質量は、グリップNo.1の質量を100として、指数化した値で示した。
(8)楕円率
成形後のゴルフクラブ用グリップのチップ側開口のシーム径と、ポール径とをそれぞれ測定して、以下の式で算出した。楕円率が0に近いほど、チップ側開口の形状が円形に近くなる。
楕円率={1−(ポール径/シーム径)}×100
(9)耐久性
グリップを取り付けたゴルフクラブを作製し、このゴルフクラブを用いて2万回の実打を行い、グリップの耐久性を評価した。評価基準は、2万回の実打後でもグリップが無傷の場合を「優」、1万回の実打後は無傷であるが、2万回の実打後に傷が生じている場合を「良」、1万回の実打後に傷が生じている場合を「不可」とした。
[グリップの作製]
表1に示す配合で各原料をバンバリーミキサー(材料温度80〜150℃)で混練し、第一ゴム組成物および第二ゴム組成物を調製した。
Figure 0006478806
表1で用いた材料は下記のとおりである。
NR(天然ゴム):TSR20
EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム):住友化学社製、エスプレン(登録商標)505A
HXNBR:水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban XT VPKA 8889(残存二重結合量3.5%、アクリロニトリル含有率33.0質量%、カルボキシ基含有単量体含有率5.0質量%、二重結合含有量0.40mmol/g))
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
ノクセラーCZ:大内新興化学工業社製、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ノクセラーNS:大内新興化学工業社製、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ソクシノールD:住友化学社製、1,3−ジフェニルグアニジン
ノクセラーTBzTD:大内新興化学工業社製、テトラベンジルチウラムジスルフィド
酸化亜鉛:PT.INDO LYSAGHT社製、ホワイトシール
過酸化亜鉛:struktol社製、struktol ZP 1014(過酸化亜鉛含有量29質量%)
ステアリン酸:日油社製、ビーズステアリン酸つばき
シリカ:EVONIK社製、ウルトラジルVN3
カーボンブラック(1):三菱化学社製、ダイヤブラックN220
カーボンブラック(2):東海カーボン社製、シーストSO(FEF)
MBMBP:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(大内新興化学工業社製、ノクラック(登録商標)NS−6)
NiBDC:ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(大内新興化学工業社製、ノクラック NBC)
サントガードPVI:三新化学工業社製、N−シクロヘキシルチオフタルイミド
安息香酸:シグマアルドリッチ社製
ダイアナプロセスオイルPA32:出光興産社製
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル909−80」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm〜24μm、膨張開始温度120℃〜130℃)
[ゴルフクラブ用グリップの作製]
第一ゴム組成物を用いて、扇台形状の未加硫の外層用ゴムシートを作製した。外層用ゴムシートは一定の厚さとなるように成形した。また、第一ゴム組成物から、厚み4mm、直径28mmの円盤状のグリップエンド(未加硫)を成形した。第二ゴム組成物を用いて、長方形状の未加硫の内層(第1内層および第2内層)用ゴムシートを作製した。なお、内層用ゴムシートは、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように成形した。
マンドレルに第1内層用ゴムシートを巻き付け、バット側端部を約5mm折り返した。次に、第2内層ゴムシートを重ねて巻き付けた。第2内層ゴムシート上に、接着剤として、ロード・ファー・イースト社製Chemlok(登録商標)6108または8216を塗布して、外層用ゴムシートを重ねて巻き付けた。グリップNo.2〜8については外層用ゴムシートのバット側端部を折返して、マンドレルと第1内層シートの間に挿入した。また、外層用ゴムシートのチップ側端部を内側に折り返した。
次いで、グリップエンドをグリップ本体のバット側に貼り付けて、グリップの未加硫物を得た。このグリップの未加硫物を、キャビティ面に溝パターンを備えた金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、ゴルフ用グリップを得た。得られたゴルフ用グリップの円筒部の厚さは、最薄部(ヘッド側端部)が1.3mm、円筒状内層のバット側端部の厚さは6.0mmであった。円筒部の最厚部(グリップエンド側端部)の厚さは、グリップNo.1〜4が6.7mm、グリップNo.5〜9が7.3mmであった。また、円筒状外層のチップ側端部の折返部は、円筒状内層に積層しておらず、チップ側の折り返された外層の先端部と、円筒状内層のチップ側端縁とが接触している。
各グリップの評価結果を表2に示した。
Figure 0006478806
グリップNo.1は、円筒状外層のバット側端部に折返部が形成されていない場合である。このグリップNo.1では、グリップエンドの接着性が悪く、グリップの耐久性が劣る。グリップNo.2〜9は、円筒状内層のバット側端縁と前記グリップエンドとの間の少なくとも一部に、前記円筒状外層のバット側端部が介在している場合である。これらのグリップNo.2〜9では、グリップエンドの接着性が良く、グリップの耐久性も良好である。なお、これらの中でも、円筒状外層のバット側端部が、前記円筒状内層のバット側端縁と円筒状内層バット側内面とを被覆するように折り返されているグリップNo.5〜9は、グリップエンドの接着性がより高く、グリップの耐久性もより向上している。
1:グリップ、3:円筒状内層、3a:第1内層、3b:第2内層、5:円筒状外層、7:グリップエンド、20:円筒状グリップ本体

Claims (11)

  1. 円筒状内層と、前記円筒状内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有するゴルフクラブ用グリップであって、
    前記円筒状内層のバット側端縁と前記グリップエンドとの間の少なくとも一部に、前記円筒状外層が介在しており、
    前記円筒状外層とグリップエンドとが、基材ゴムとして、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、および、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを有するゴム組成物から形成されていることを特徴するゴルフクラブ用グリップ。
  2. 前記円筒状内層のバット側端縁とグリップエンドとの間に介在している前記円筒状外層のグリップ径方向の長さ(L1)と、前記円筒状内層のバット側端縁の厚さ(T)との比(L1/T)が、0.15以上である請求項1に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  3. 前記円筒状外層のバット側端部が、前記円筒状内層のバット側端縁と円筒状内層バット側内面とを被覆するように折り返されている請求項1または2に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  4. 前記円筒状内層が、基材ゴムとして、天然ゴムを含有するゴム組成物から形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  5. 前記円筒状内層は、多孔質ゴム層である請求項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  6. 前記多孔質ゴム層は、発泡倍率が1.2〜5.0である発泡層である請求項に記載のグルフクラブ用グリップ。
  7. 前記円筒状外層が、中実層である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  8. シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、
    前記グリップが、請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴルフクラブ用グリップであることを特徴とするゴルフクラブ。
  9. 円筒状内層と、前記円筒状内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒状グリップ本体と、前記円筒状グリップ本体のバット側端に設けられたグリップエンドとを有するゴルフクラブ用グリップの製造方法であって、
    第一ゴム組成物および内層用組成物を調製する工程、
    前記内層用組成物を用いて内層シートを作製する工程、
    前記第一ゴム組成物を用いて未加硫の外層シートを作製する工程、
    前記第一ゴム組成物を用いてグリップエンドを作製する工程、
    前記内層シートと前記外層シートとを積層し、積層物を作製する工程、
    前記外層シートのバット側端部の少なくとも一部を内層シート側に折返し、内層シートのバット側端縁を外層シートで被覆する工程、および、
    前記外層シートのバット側端部を折返した積層物とグリップエンドとを金型内でプレス成型する工程を含むことを特徴とするゴルフクラブ用グリップの製造方法。
  10. 前記内層用組成物がマイクロバルーンを含有しており、
    前記外層シートのバット側端部を折り返す長さ(L0)と、発泡後の内層のバット側端部の厚さ(T)との比(L0/T)が、0.2〜3.3である請求項に記載のゴルフクラブ用グリップの製造方法。
  11. 前記内層用組成物が、基材ゴムとして、天然ゴムを含有するゴム組成物であり、
    前記第一ゴム組成物が、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを有するゴム組成物である請求項9または10に記載のゴルフクラブ用グリップの製造方法。
JP2015104821A 2015-05-22 2015-05-22 ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法 Active JP6478806B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015104821A JP6478806B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法
US15/159,933 US10065092B2 (en) 2015-05-22 2016-05-20 Golf club grip, golf club and method for producing golf club grip

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015104821A JP6478806B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016214678A JP2016214678A (ja) 2016-12-22
JP6478806B2 true JP6478806B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=57324234

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015104821A Active JP6478806B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US10065092B2 (ja)
JP (1) JP6478806B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9533203B2 (en) * 2014-10-19 2017-01-03 Eaton Corporation Golf grip with enhanced vibration transmission
WO2018237120A1 (en) 2017-06-22 2018-12-27 L'isolante K-Flex S.P.A. COATED CLOSED CELL FOAM TUBE INSULATORS AND METHODS OF PRODUCING THE SAME
US10099101B1 (en) * 2017-12-07 2018-10-16 Ssg International, Llc Golf club grip with sensor housing

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5312061U (ja) * 1976-07-12 1978-02-01
US4819939A (en) * 1985-10-30 1989-04-11 Maruman Golf Co., Ltd. Grip for a golf club shaft
US5772524A (en) * 1991-01-14 1998-06-30 Huang; Ben Water retarding golf club grip
JPH08332250A (ja) * 1995-06-08 1996-12-17 Miimu:Kk グリップ及びゴルフクラブ
JPH1157090A (ja) * 1997-08-25 1999-03-02 Yamaha Corp ゴルフクラブ用グリップ
JPH11347166A (ja) 1998-06-09 1999-12-21 Nagayanagi Kogyo Kk ゴルフクラブ用グリップ
US6093767A (en) * 1998-11-10 2000-07-25 Purchasing Inc. High shock absorbing rubber compositions
US20020025423A1 (en) * 2000-07-21 2002-02-28 Dreher Michael A. Method of fabricating a composite part including a resin impregnated fiber shell and an expandable syntactic foam core
JP3701220B2 (ja) 2001-03-27 2005-09-28 Sriスポーツ株式会社 防滑部材、ゴルフクラブ用グリップ及びゴルフクラブ
JP2009112500A (ja) * 2007-11-06 2009-05-28 Sri Sports Ltd ゴルフクラブ用グリップ
JP5209375B2 (ja) * 2008-05-30 2013-06-12 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフクラブ及びゴルフクラブ用グリップ
JP4703746B2 (ja) * 2009-06-30 2011-06-15 株式会社Iomic ゴルフクラブ用グリップ
JP5755015B2 (ja) * 2010-06-06 2015-07-29 日東電工株式会社 Epdm発泡体および粘着シール材
US20140378242A1 (en) * 2012-06-22 2014-12-25 Paul Chalifoux Interchangeable sports grip

Also Published As

Publication number Publication date
US10065092B2 (en) 2018-09-04
JP2016214678A (ja) 2016-12-22
US20160339311A1 (en) 2016-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6041846B2 (ja) スポーツ用品用グリップおよびゴルフクラブ
JP6456243B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
US10286269B2 (en) Grip for sporting goods and golf club
US10792545B2 (en) Golf club grip and golf club
JP6029640B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
US10328320B2 (en) Golf club grip and golf club
JP6478806B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップ、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用グリップの製造方法
JP6501829B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
US10737156B2 (en) Golf club grip and golf club
JP6456100B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
JP7331413B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
JP6852300B2 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
US20230338799A1 (en) Golf club grip and golf club
JP6498344B1 (ja) ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ
US11865419B2 (en) Golf club grip and golf club
US20220389208A1 (en) Golf club grip and golf club

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171211

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180905

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6478806

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250