JP7331413B2 - ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブ用グリップに関する。
ゴルフクラブに装着されるグリップとして、ゴム製のグリップが多用されている。このようなゴム製グリップとしては、基材ゴムとしてアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを用いたゴルフクラブ用グリップであって、引張強度や耐摩耗性を改良したものも提案されている。例えば、特許文献1、2には、基材ゴムと架橋剤とを含有するゴム組成物から成形されたものであって、前記基材ゴムが、水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/またはカルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴムを含有するゴルフクラブ用グリップが記載されている。
また、特許文献3には、最表層が、(A)基材ゴムおよび(B)軟化点が5℃~120℃である樹脂を含有し、前記(A)基材ゴムが、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有し、前記(B)樹脂が、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、クマロン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である表層用ゴム組成物から形成されているスポーツ用品用グリップが記載されている。
特開2015-213677号公報 特開2015-231510号公報 特開2017-113388号公報
ゴルフクラブの使用者が力みなくスイングするためには、グリップの防滑性能が高いことが必要となる。ここで、グリップの防滑性能を高める方法として、グリップ表面に凹凸を形成することが考えられる。しかしながら、グリップ表面に形成された凹凸は、長期使用により摩耗してしまう。そのため、グリップの材料自体の防滑性能を高めることが必要となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、グリップを構成する材料自体の防滑性能が高いゴルフクラブ用グリップを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフクラブ用グリップは、最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムと(B)熱可塑性樹脂および/または架橋ゴム粉末とを含有するゴム組成物から形成されており、前記ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)とが0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足することを特徴とする。前記tanδ/(E*0.2の値が0.07~0.15であれば、材料自体の防滑性能が優れており、防滑性能に優れたグリップが得られる。
また、本発明のゴルフクラブ用グリップの他の態様は、最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムおよび(B)熱可塑性樹脂を含有するゴム組成物から形成されており、前記(B)熱可塑性樹脂が、(A)基材ゴムと相溶性を有さない熱可塑性樹脂であることを特徴とする。(A)基材ゴム中に、基材ゴムと相溶しない(B)熱可塑性樹脂を配合することで、成形されたグリップ内部では、(A)基材ゴム成分の海に、(B)熱可塑性樹脂成分の島が点在する海島構造が形成される。そして、グリップが変形する際には、この海島の界面に内部摩擦が生じることで、材料自体の防滑性能が向上する。
また、本発明のゴルフクラブ用グリップの他の態様は、最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムおよび(B)架橋ゴム粉末を含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。このゴム組成物から成形されたグリップ内部では、(A)基材ゴム成分の海に、(B)架橋ゴム粉末の島が点在する海島構造が形成される。そして、グリップが変形する際には、この海島の界面に内部摩擦が生じることで、材料自体の防滑性能が向上する。
本発明によれば、グリップを構成する材料自体の防滑性能が高いゴルフクラブ用グリップが得られる。
ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。 ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面模式図である。 ゴルフクラブの一例を示す斜視図である。 グリップNo.8の透過電子顕微鏡(TEM)画像を示す図面代用写真である。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムと(B)熱可塑性樹脂および/または架橋ゴム粉末とを含有するゴム組成物(以下、「第1ゴム組成物」と称する場合がある。)から形成されており、前記第1ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足することを特徴とする。
前記損失正接は、ヒステリシス摩擦の指標である。グリップは、使用者がスイングする際に変形するが、この変形時に熱として放出されるエネルギーがヒステリシス摩擦となる。前記複素弾性率は、凝着摩擦の指標である。凝着摩擦は、グリップ表面の分子と接触面(使用者の手やグローブ)との結合を引きはがすために必要な力である。そして、これらの損失正接と複素弾性率とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満たすことで、グリップとして使用した際に最も防滑性能が高くなる。
[最表層]
前記ゴルフクラブ用グリップは、その最表層の少なくとも一部が、前記第1ゴム組成物から形成されていればよい。ここで、最表層とは、グリップの最も外側の層であり、グリップ使用時に使用者が触れる部分である。前記ゴルフクラブ用グリップは、グリップ使用時に使用者が触れる部分の少なくとも一部が前記第1ゴム組成物から形成されていることが好ましい。前記ゴルフクラブ用グリップは、最表層における前記第1ゴム組成物から形成されている部分の面積率が、50面積%以上が好ましく、より好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。また、前記ゴルフクラブ用グリップは、最表層の全ての部分が前記第1ゴム組成物から形成されていることも好ましい。なお、後述するようにゴルフクラブ用グリップが円筒部を有する場合、この円筒部の最表層全体が、前記第1ゴム組成物から形成されていることが好ましい。
前記第1ゴム組成物から形成された部分のtanδ/(E*0.2の値は、0.07以上、好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.09以上であり、0.15以下、好ましくは0.14以下、さらに好ましくは0.13以下である。
前記第1ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)は、0.10以上が好ましく、より好ましくは0.11以上、さらに好ましくは0.13以上であり、0.20以下が好ましく、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.16以下である。0.10以上であればグリップ力がより良好となり、0.20以下であればグリップが硬くなり過ぎず、使用者が滑りにくいと感じようになる。
前記第1ゴム組成物から形成された部分の複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)3MPa以上が好ましく、より好ましくは3.4MPa以上、さらに好ましくは3.8MPa以上であり、6.0MPa以下が好ましく、より好ましくは5.0MPa以下、さらに好ましくは4.0MPa以下である。複素弾性率が3MPa以上であればグリップが柔らかくなり過ぎることがなく、6.0MPa以下であればグリップが硬くなり過ぎることはない。
前記損失正接、複素弾性率は、ゴム組成物の(A)基材ゴムと(B)熱可塑性樹脂および架橋ゴム粉末の種類や配合量を調整することで制御できる。
(第1ゴム組成物)
前記第1ゴム組成物は、(A)基材ゴムと(B)熱可塑性樹脂および/または架橋ゴム粉末とを含有する。
(A)基材ゴム
前記第1ゴム組成物中の(A)基材ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。前記(A)基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴム(XNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの基材ゴムは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(A)基材ゴムは、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有することが好ましい。前記アクリロニトリル-ブタジエン系ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴム(XNBR)、水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(HXNBR)よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。前記XNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体である。前記HNBRとは、アクリロニトリル-ブタジエンゴムの水素添加物である。前記HXNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体の水素添加物である。
前記(A)基材ゴム中のアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、ゴム組成物が、(A)基材ゴムとしてアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムのみを含有することも好ましい。
前記NBR、XNBR、HNBR、HXNBRにおいて、アクリロニトリル含有率は、15質量%以上が好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは21質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。アクリロニトリル含有率が15質量%以上であれば耐摩耗性が良好となり、50質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記HNBR、HXNBRにおいて、二重結合含有量は、0.09mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、2.5mmol/g以下が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。二重結合含有量が0.09mmol/g以上であれば成形時に加硫しやすくなりグリップの引張強度がより向上し、2.5mmol/g以下であればグリップの耐久性(耐候性)および引張強さがより良好となる。二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率や、共重合体への水素添加量により調整できる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を含有する単量体の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基を含有する単量体の含有率が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基含有量は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基含有量が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
(B)熱可塑性樹脂
前記(B)熱可塑性樹脂は、前記(A)基材ゴムと相溶性を有さない。このような(B)熱可塑性樹脂を配合することで、成形されたグリップ内部では、(A)基材ゴム成分の海に、(B)熱可塑性樹脂成分の島が点在する海島構造が形成される。そして、グリップが変形する際には、この海島の界面に内部摩擦が生じることで、材料自体の防滑性能が向上する。
前記(B)熱可塑性樹脂のショアA硬度は、15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上であり、90以下が好ましく、より好ましくは85以下、さらに好ましくは80以下である。前記(B)熱可塑性樹脂のショアA硬度が上記範囲内であればグリップが変形する際に、海島構造の界面で摩擦が生じやすくなる。
前記(B)熱可塑性樹脂の硬度と、前記第1ゴム組成物の硬度との硬度差の絶対値(│第1ゴム組成物の硬度-熱可塑性樹脂の硬度│)は、1以上が好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、50以下が好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。前記硬度差が1以上であれば海島構造の界面で摩擦が生じやすくなり、50以下であればグリップの機械的強度の低下を抑制できる。
前記(B)熱可塑性樹脂の引張強さは、1MPa以上が好ましく、より好ましくは5MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上であり、50MPa以下が好ましく、より好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下である。引張強さが1MPa以上であれば海島構造の界面で摩擦が生じやすくなり、50MPa以下であれば僅かな変形でも海島構造の界面で摩擦が生じるようになる。前記引張強さは、引張試験において、試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除した値である。
前記(B)熱可塑性樹脂の切断時伸びは、200%以上が好ましく、より好ましくは300%以上、さらに好ましくは500%以上であり、1000%以下が好ましく、より好ましくは900%以下、さらに好ましくは800%以下である。切断時伸び力が200%以上であれば摩擦時に(A)基材ゴムの変形に追随して変形しやすくなり、1000%以下であれば僅かな変形でも海島構造の界面で摩擦が生じるようになる。前記切断時伸びは、引張試験において、試験片が切断したときの伸びである。
前記(B)熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系エラストマー、ポリウレタンエラストマー、アクリル樹脂などが挙げられる。
前記スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの構成成分としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の構成成分が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。得られるゴルフボールの打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
前記ポリウレタンエラストマーとしては、分子の主鎖にウレタン結合を複数有する熱可塑性エラストマーを挙げることができる。前記ポリウレタンは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られるものが好ましい。前記ポリイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。
前記(B)熱可塑性樹脂の配合量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。(B)熱可塑性樹脂の配合量が5質量部以上であれば摩擦係数の向上効果がより大きくなり、30質量部以下であればグリップの耐摩耗性の低下を抑制できる。
(B)架橋ゴム粉末
架橋ゴムとは、鎖状ゴム分子どうしを架橋し、塑性変形が起こらないように三次元網目構造を形成したゴムをいう。鎖状ゴム分子の架橋は、共架橋剤、有機過酸化物、硫黄などを用いて行うことができる。架橋ゴム粉末としては、前記第2ゴム組成物のようなゴム組成物の硬化物を粉砕したものや、シリコーンゴム粒子などが挙げられる。
前記(B)架橋ゴム粉末の体積平均粒子径は、50μm以上が好ましく、より好ましくは70μm以上、さらに好ましくは100μm以上であり、300μm以下が好ましく、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。体積平均粒子径が50μm以上であればハンドリングが容易であり作業効率が向上し、200μm以下であればグリップの機械強度の低下を抑制できる。
前記(B)架橋ゴム粉末の粒子硬度は、ショアA硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。粒子硬度が20以上であれば変形時に得られる応力がより良好となり、80以下であれば変形時に(A)基材ゴムの変形に追随しやすくなる。粒子硬度は、架橋ゴム粉末の作製に使用した架橋ゴムのスラブ硬度を測定すればよい。
前記(B)架橋ゴム粉末の粒子硬度と、前記第1ゴム組成物の硬度との硬度差の絶対値(│第1ゴム組成物の硬度-架橋ゴム粉末の粒子硬度│)は、5以上が好ましく、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であり、30以下が好ましく、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下である。前記硬度差が5以上であれば変形時に界面で応力差が生じやすくなり、30以下であれば変形時に(A)基材ゴムの変形に追随しやすくなる。
前記(B)架橋ゴム粉末としては、基材ゴム、架橋剤を含有するゴム組成物から形成されたものが挙げられる。前記基材ゴムや架橋剤としては、前記第1ゴム組成物に使用されるものと同じものが使用できる。
前記(B)架橋ゴム粉末の配合量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、15質量部以下が好ましく、より好ましくは12質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。(B)架橋ゴム粉末の配合量が1質量部以上であれば摩擦係数の向上効果がより大きくなり、15質量部以下であればグリップの耐摩耗性の低下を抑制できる。
(架橋剤)
前記第1ゴム組成物は、(A)基材ゴム、(B)熱可塑性樹脂および/または架橋ゴム粉末に加えて、架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’-ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-ジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
前記第1ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。
(加硫促進剤)
前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'-ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の合計使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
(加硫活性剤)
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の合計使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、スコーチ防止剤、粘着性付与剤、着色剤などを配合してもよい。
前記補強材としては、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。前記補強材の使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類、チオウレア類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル-α-ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールなどが挙げられる。チオウレア類としては、トリブチルチオ尿素、1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素などが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
前記スコーチ防止剤としては、有機酸、ニトロソ化合物などが挙げられる。前記有機酸としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸などが挙げられる。前記ニトロソ化合物としては、N-ニトロソ・ジフェニルアミン、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスルトールジホスファイト、2-メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記粘着性付与剤としては、ロジンエステル、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステルなどが挙げられる。前記樹脂の配合量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0質量部超が好ましく、より好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは14質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
前記第1ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。なお、第1ゴム組成物が後述するマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーン以外の成分を予め混練した後、この混練物とマイクロバルーンとを混練することが好ましい。前記混練物とマイクロバルーンとを混練する際の材料温度は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度に設定することが好ましい。
前記最表層は、中実層でもよいし、多孔質層でもよい。前記最表層を多孔質層とすれば、ゴルフクラブ用グリップを軽量化できる。多孔質層は、基材となるゴムに多数の細孔(空隙)が形成されている層である。多数の細孔が形成されていることにより、層の見掛け密度が小さくなり、軽量化を図ることができる。
多孔質層を作製する方法としては、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などが挙げられる。前記バルーン発泡法では、ゴム組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、ゴム組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、ゴム組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、p-オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。前記超臨界二酸化炭素射出成型では、高圧力下で超臨界状態にある二酸化炭素をゴム組成物に含侵させ、このゴム組成物を常圧下に射出し、二酸化炭素を気化させて発泡させる。前記塩抽出法では、ゴム組成物に易溶解性塩(ホウ酸、塩化カルシウムなど)を含有させ、成形後に塩を溶解抽出して細孔を形成する。前記溶剤除去法では、ゴム組成物に溶剤を含有させ、成形後に溶剤を除去し細孔を形成する。
前記最表層を多孔質層とする場合、発泡剤を含有する第1ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層とすることが好ましい。すなわち、最表層としては、マイクロバルーンを含有する第1ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、最表層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。
前記マイクロバルーンとしては、有機マイクロバルーン、無機マイクロバルーンのいずれも使用できる。有機マイクロバルーンとしては、熱可塑性樹脂からなる中空粒子、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルなどが挙げられる。前記樹脂カプセルの具体例としては、Akzo Nobel社製のエクスパンセル、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)などが挙げられる。無機マイクロバルーンとしては、中空ガラス粒子(シリカバルーン、アルミナバルーンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
前記樹脂カプセル(膨張前)の体積平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは9μm以上であり、90μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
バルーン発泡法により最表層を作製する場合、前記第1ゴム組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、より好ましくは1.2質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が1.0質量部以上であれば多孔質層を形成する際の発泡がより均一となり、10質量部以下であれば多孔質層の軽量化と機械的強度を両立できる。
前記第1ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)は、25以上が好ましく、より好ましくは28以上、さらに好ましくは30以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。第1ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)が25以上であれば最表層の機械的強度がより向上し、60以下であれば最表層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
[他の部分]
前記ゴルフクラブ用グリップは、前記第1ゴム組成物から形成された部分以外の他の部分の材質は特に限定されない。前記他の部分を形成する第2組成物としては、第2ゴム組成物、樹脂組成物が挙げられる。
前記第2ゴム組成物としては、基材ゴムと架橋剤とを含有することが好ましい。前記基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴム(XNBR)、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(HXNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの中でも、前記基材ゴムとしては、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、HXNBR、BR、SBR、PUが好ましい。
前記第2ゴム組成物の架橋剤としては、前記第1ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられ、単体硫黄が好ましい。前記第2ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。これらの加硫促進剤、加硫活性剤としては前記第1ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記加硫促進剤としては、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラベンジルチウラムジスルフィドが好ましい。前記加硫活性剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸が好ましい。
前記第2ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。これらの補強材、老化防止剤、着色剤としては前記第1ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記補強材としては、カーボンブラック、シリカが好ましい。前記老化防止剤としては、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)が好ましい。
前記第2ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃~160℃が好ましい。なお、第2ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
前記樹脂組成物は、基材樹脂を含有する。前記基材樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
前記他の部分を形成する第2組成物としては、第2ゴム組成物が好ましく、基材ゴムとして天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)を含有することが好ましい。また、第1ゴム組成物が(A)基材ゴムとしてアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有する場合、他の部分を形成する第2ゴム組成物も基材ゴムとしてアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有することも好ましい。他の部分を形成する組成物がアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有することで、第1ゴム組成物から形成される部分と他の部分との密着性が向上する。
前記他の部分は、中実でもよいし、多孔質でもよい。前記他の部分を多孔質とする場合、マイクロバルーンを含有する第2組成物から形成された発泡構造が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、形成された部分の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。マイクロバルーンとしては、前記第1ゴム組成物に使用されるものが挙げられ、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルが好ましい。
[構造]
前記ゴルフクラブ用グリップの形状は特に限定されないが、円筒部を有するものが好ましい。円筒部を有することで、この円筒部にシャフト等を挿嵌できる。また、前記円筒部は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。単層構造の場合は、円筒部全体が前記第1ゴム組成物から形成される。多層構造の場合、最表層の少なくとも一部あるいは全部が前記第1ゴム組成物から形成される。
前記円筒部の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、17.0mm以下が好ましく、より好ましくは10.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。前記円筒部の厚さは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。
前記ゴルフクラブ用グリップは、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とからなる2層構造の円筒部を有することが好ましい。円筒部を2層構造とすることで、円筒部の機械的性質を制御しやすくなる。前記外層は、少なくとも一部が前記第1ゴム組成物から形成されていることが好ましく、全部が前記第1ゴム組成物から形成されていることがより好ましい。
前記外層の厚さおよび内層の厚さは、均一としてもよいし、変化をつけてもよい。例えば、円筒状グリップの軸方向に、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。前記外層の厚さは、均一であることが好ましい。
前記円筒部の厚さが0.5mm~17.0mmの場合、前記外層の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.3mm以下、さらに好ましくは2.1mm以下である。前記外層の厚さが0.5mm以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、2.5mm以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記円筒部の厚さに対する外層の厚さの百分率((外層厚さ/円筒部厚さ)×100)は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、99.0%以下が好ましく、より好ましくは98.0%以下、さらに好ましくは97.0%以下である。前記百分率が0.5%以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、99.0%以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記第2組成物の材料硬度(ショアA硬度)は、30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。第2組成物の材料硬度(ショアA硬度)が30以上であれば内層が軟らかくなりすぎず、掴んだ時にしっかりと固定できる感触が得られ、60以下であれば内層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記第1ゴム組成物の材料硬度H1(ショアC硬度)は、前記第2組成物の材料硬度H2(ショアC硬度)と同じか、あるいはH2(ショアC硬度)よりも大きいことが好ましい。この場合、これらの硬度差(H1-H2)(ショアC硬度)は、46以上が好ましく、より好ましくは47以上、さらに好ましくは48以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは59以下、さらに好ましくは58以下である。硬度差(H1-H2)が上記範囲内であれば、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
前記外層と内層の組合せとしては、中実外層と中実内層、中実外層と多孔質内層、多孔質外層と多孔質内層が挙げられる。これらの中でも、中実外層と多孔質内層、多孔質外層と多孔質内層の組合せが好ましい。内層を多孔質とすることによりグリップの軽量化を図ることができるが、内層の機械的強度が低下する。しかし、前記第1ゴム組成物は機械的強度に優れるため、内層が多孔質であっても、グリップの機械的強度を維持できる。
前記内層は、多孔質層が好ましく、バルーン発泡法により作製された発泡層が好ましい。バルーン発泡法により内層を作製する場合、第2組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材(基材ゴムまたは基材樹脂)100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が5質量部以上であればグリップの軽量化の効果がより大きくなり、20質量部以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
また、バルーン発泡法により作製される内層の発泡倍率は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上であり、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。発泡倍率が1.2以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、5.0以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
ゴルフクラブ用グリップは、前記第1ゴム組成物を、金型内で成形することで得られる。成型方法としては、プレス成形、射出成形が挙げられる。また、内層と外層とを有するゴルフクラブ用グリップは、例えば、前記第1ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートと、前記第2ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートとの積層物を、金型内でプレス成形することで得られる。プレス成形を採用する場合、金型温度は140℃~200℃が好ましく、成形時間は5分間~40分間が好ましく、成形圧力は0.1MPa~100MPaが好ましい。
ゴルフクラブ用グリップの形状としては、例えば、シャフトが挿嵌される円筒部と、前記円筒部の後端の開口を覆うように一体形成されたキャップ部とを有する形状が挙げられる。そして、円筒部の最表層の少なくとも一部が、前記第1ゴム組成物から形成されている。さらに、前記円筒部は内層と外層との積層構造を有していることが好ましい。この場合、前記外層が第1ゴム組成物から形成される。
前記円筒部の厚みは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。また、円筒部の厚みは、径方向に一定となるように形成してもよいし、一部に凸条部分(いわゆるバックライン)を設けてもよい。また、円筒部の表面には溝を設けてもよい。溝により、ゴルファーの手とグリップとの間の水膜形成が抑制され、ウェット状態でのグリップ性能がより向上する。さらに、グリップの防滑性能および耐摩耗性の観点から、グリップ内に補強コードを配設してもよい。
前記ゴルフクラブグリップの質量は、16g以上が好ましく、より好ましくは18g以上、さらに好ましくは20g以上であり、35g以下が好ましく、より好ましくは32g以下、さらに好ましくは30g以下である。
[ゴルフクラブ]
本発明には、前記ゴルフクラブ用グリップを用いたゴルフクラブも含まれる。前記ゴルフクラブは、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが前記ゴルフクラブ用グリップである。前記シャフトは、ステンレス鋼製や炭素繊維強化樹脂製が使用できる。前記ヘッドとしては、ウッド型、ユーティリティ型、アイアン型が挙げられる。前記ヘッドを構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えばチタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄などが挙げられる。
以下、図面を参照して、ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブについて説明する。図1は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。グリップ1は、シャフトが挿嵌される円筒部2と、前記円筒部の後端の開口を覆うように一体形成されたキャップ部3とを有する。
図2は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面模式図である。前記円筒部2は、内層2aと外層2bから構成されている。そして、前記外層2bは先端部から後端部にわたり厚さが均一に形成されている。前記内層2aの厚みは、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成されている。図2に示したグリップ1では、キャップ部3は外層2bと同様のゴム組成物から形成されている。
図3は、本発明のゴルフクラブの一例を示す斜視図である。ゴルフクラブ4は、シャフト5と、前記シャフト5の一端に取り付けられたヘッド6と、前記シャフト4の他端に取り付けられたグリップ1とを備えている。グリップ1の円筒部2にシャフト5の後端が嵌入されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)アクリロニトリル含有率
アクリロニトリル含有率は、水素添加前のアクリロニトリル-ブタジエンゴムについて、ISO 24698-1(2008)により測定した。
(2)二重結合含有量(mmol/g)
二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率(質量%)と残存二重結合量(%)から算出した。前記残存二重結合量とは、水素添加前の共重合体中の二重結合と水素添加後の共重合体中の二重結合との質量比(水素添加後の二重結合量/水素添加前の二重結合量)であり、赤外分光法により測定できる。アクリロニトリル-ブタジエンゴムが、アクリロニトリル-ブタジエン2元共重合体の場合、共重合体中のブタジエン含有率は100からアクリロニトリル含有率(質量%)を減ずることで求められる。
二重結合量={ブタジエン含有率/54}×残存二重結合量×10
(3)カルボキシ基を含有する単量体の含有率
水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴムを1g量りとり、クロロホルム50mlに溶解させ、ここにチモールブルー指示薬を滴下した。この溶液を攪拌しながら、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Vml)を記録した。ブランクとして水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴムを含有しないクロロホルム50mlについても、チモールブルーを指示薬として、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Bml)を記録した。下記式により、カルボキシ基含有率を算出した。
カルボキシ基含有単量体含有率={0.05×(V-B)×PM}/(10×X)
(式中、V:試験溶液の水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、B:ブランクの水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、PM:カルボキシ基含有単量体の分子量、X:カルボキシ基含有単量体の価数)
(4)材料物性(引張強さ、切断時伸び)
引張強さおよび切断時伸びはJIS K 6251(2017)に準拠して測定した。具体的には、(B)熱可塑性樹脂を用いて厚さ2mmのシートを作製し、これをダンベル形状(ダンベル状3号形)に打ち抜いて試験片を作製した。引張試験測定装置(島津製作所社製、オートグラフAGS-D)を用いて物性を測定した(測定温度23℃、引張速度500mm/分)。そして、切断時の伸びを測定し、試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除することで引張強さを算出した。
(5)材料硬度(ショアA硬度)
ゴム組成物を用いて、160℃で8~20分間プレスして、厚み2mmのシートを作製した。なお、ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、グリップを形成した際と同様の発泡倍率となるようにマイクロバルーンを膨張させてシートを作製した。このシートを、23℃で2週間保存し、測定基板などの影響が出ないように、3枚重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore A」を用いた。
(6)粘弾性特性
tanδ、E*は、動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製、Rheogel-E4000)を用いて測定した。試験試料は、外層用ゴム組成物を用いて、160℃でプレスしてゴム板を作製し、このゴム板を所定サイズに打ち抜くことにより作製した。測定条件は、温度範囲;-100℃~100℃、昇温速度;3℃/min、測定間隔;3℃、周波数;10Hz、治具;引張り、試料形状;幅4mm、厚さ1mm、長さ40mmとした。動的粘弾性測定により得られた粘弾性スペクトルからtanδ、E*を求めた。
(7)摩擦係数
摩擦係数は、静・動摩擦測定機(トリニティーラボ社製、TL201Ts)を用いて測定した。具体的には、ゴルフクラブ用グリップから、1cm角のゴム片を切り出し、これを試験片(質量1.6g)とした。試験片を測定子として装置の測定ユニットに固定し、移動テーブルに床材を固定し、床材に対する試験片の動摩擦を測定した。試験は、移動距離1cm、移動速度1mm/秒、荷重25gとし、床材として人工皮革(クラレ社製、クラリーノ(登録商標))を用いた。動摩擦係数は、ずれ運動を開始した位置から1cmまでの平均値を求めた。測定は、グリップのバット端付近、チップ端付近、および、軸方向中央部から切り出した試験片について行い、これらの測定値を平均した。なお、摩擦係数は、グリップNo.20の摩擦係数を100として、指数化した値で示した。
(8)耐摩耗性
耐摩耗性は、学振形摩耗試験機(安田精機製作所製、摩擦試験機II型)を用いて評価した。具体的には、グリップの表層を構成するゴム組成物を用いてプレス成形(成形温度160℃、成形時間15分)により、厚さ2mmのシートを作製した。このシートを長さ130mm、幅40mmの長方形状に切り出して試験片を作製し、試験片台(かまぼこ形(表面半径R200mm))に固定した。摩擦子(表面半径R45mm、20×20mm)の表面に紙やすり(番手240番)を取り付け、1.96Nの荷重で、試験片の中央部10cmの間を毎分30回往復の速度で500回往復摩擦した。その後、試験片の試験前後の質量変化により耐摩耗性を評価した。なお、耐摩耗性は、グリップNo.20の耐摩耗性を100として、指数化した値で示した。
[グリップの作製]
表1~3に示す配合で各原料を混練し、外層用ゴム組成物および内層用ゴム組成物を調製した。なお、外層用ゴム組成物は、全ての原料をバンバリーミキサーで混練した。内層用ゴム組成物は、マイクロバルーン以外の原料をバンバリーミキサーで混練し、その後、ロールを用いてマイクロバルーンを配合した。内層用ゴム組成物のバンバリーミキサーの混練時の材料温度およびロールによりマイクロバルーンを配合する際の材料温度は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満とした。
Figure 0007331413000001
Figure 0007331413000002
Figure 0007331413000003
表1~3で用いた材料は下記のとおりである。
HXNBR:水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ARANXEO社製、Therban XT VPKA 8889(残存二重結合量3.5%、アクリロニトリル含有率33.0質量%、二重結合含有量0.40mmol/g、カルボキシ基含有単量体含有率5.0質量%))
HNBR:水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ARANXEO社製、Therban 3446(残存二重結合量4.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
NR(天然ゴム):TSR20
EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム):住友化学社製、エスプレン(登録商標)505A
IIR:JSR社製、JSR BUTYL065
シースト(SEAST)(登録商標)SO:東海カーボン社製、カーボンブラック
DIABLACK(登録商標)N220:三菱化学社製、カーボンブラック
ウルトラジルVN3 GR:エボニック社製、造粒シリカ
SBS:旭化成社製、アサプレン(登録商標)T432(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、ショアA硬度:75、引張強さ:30MPa、切断時伸び:750%)
SEBS:旭化成社製、タフテック(登録商標)H1041(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、ショアA硬度:84、引張強さ:21.6MPa、切断時伸び:650%)
SBBS:旭化成社製、タフテックP1500(スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、ショアA硬度:69、引張強さ:3.3MPa、切断時伸び:780%)
SIBS:カネカ社製、シブスター(登録商標)102T(スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体、ショアA硬度:25、引張強さ:15MPa、切断時伸び:870%)
MDI系PU:BASF社製、ET2160A(ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタン、ショアA硬度:58、引張強さ:40.4MPa、切断時伸び:690%)
HMDI系PU:BASF社製、NY2160A(ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリウレタン、ショアA硬度:54、引張強さ:32MPa、切断時伸び:826%)
軟質アクリル樹脂:クラレ社製、パラペット(登録商標)SA-FP(ショアA硬度:70、引張強さ:10MPa、切断時伸び:200%)
部分架橋NBR:部分架橋アクリロニトリル-ブタジエンゴム粉末(ARANXEO社製、BAYMOD(登録商標)(アクリロニトリル含有率34.0質量%、体積平均粒子径120μm、粒子硬度(ショアA)40~60)
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
サンセラー(登録商標)TBzTD:三新化学工業社製、テトラベンジルチウラムジスルフィド
ノクセラーNS:大内新興化学工業社製、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ノクセラーCZ:大内新興化学工業社製、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ソクシノールD:住友化学社製、1,3-ジフェニルグアニジン
過酸化亜鉛:struktol社製、struktol ZP 1014(過酸化亜鉛含有量29質量%)
酸化亜鉛:PT.INDO LYSAGHT社製、ホワイトシール
ノクラック(登録商標)TBTU:大内新興化学工業社製、トリブチルチオ尿素
ノクラックNS-6:大内新興化学工業社製、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)
ステアリン酸:日油社製、ビーズステアリン酸つばき
ハリタックSE10:ハリマ化成社製、水素添加ロジンエステル(軟化点78℃~87℃、酸価2mgKOH/g~10mgKOH/g)
Sylvatac RE5S:Arizona Chemical製、ロジンエステル
PW380:出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380
サントガードPVI:三新化学工業社製、N-シクロヘキシルチオフタルイミド
安息香酸:Aldrich社製
Koresin(登録商標):BASF社製、ブチルフェノール-アセチレン縮合物(軟化点135℃~150℃)
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル(登録商標)909-80DU」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm~24μm、膨張開始温度120℃~130℃)
前記外層用ゴム組成物を用いて、扇台形状の未加硫のゴムシートおよびキャップ部材を作製した。なお、外層用ゴムシートは一定の厚さとなるように成形した。前記内層用ゴム組成物を用いて、長方形状の未加硫のゴムシートを作製した。なお、内層用ゴムシートは、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成した。マンドレルに内層用ゴムシートを巻き付け、この上に外層用ゴムシートを重ねて巻き付けた。これらのゴムシートを巻き付けたマンドレルおよびキャップ部材を、キャビティ面に溝パターンを備えた金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、ゴルフクラブ用グリップを得た。得られたゴルフクラブ用グリップの円筒部の厚さは、最薄部(ヘッド側端部)が1.5mm、最厚部(グリップエンド側端部)が6.7mmであった。また、得られたグリップの表面は、研磨紙(#80)でバフ研磨を行った。各グリップの評価結果を表4、5に示した。また、図4にグリップNo.8のTEM写真を示した。
Figure 0007331413000004
Figure 0007331413000005
グリップNo.1~16は、最表層(外層)を形成するゴム組成物が、(A)基材ゴム、(B)熱可塑性材料および/または架橋ゴム粉末とを含有し、前記ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足する場合である。これらのグリップNo.1~16は、いずれも防滑性能が優れていた。また、(A)基材ゴムとしてアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムを含有しており、耐摩耗性にも優れていた。
グリップNo.17は、最表層(外層)を形成するゴム組成物が、(B)熱可塑性材料および/または架橋ゴム粉末を含有しない場合である。グリップNo.18、19は、最表層(外層)を形成するゴム組成物が、(A)基材ゴム、(B)熱可塑性材料とを含有するが、前記ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足しない場合である。これらのグリップNo.17~19は、いずれも防滑性能が劣る。
1:グリップ、2:円筒部、2a:内層、2b:外層、3:キャップ部、4:ゴルフクラブ、5:シャフト、6:ヘッド

Claims (7)

  1. 最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムと(B)熱可塑性樹脂とを含有するゴム組成物から形成されており、
    前記(B)熱可塑性樹脂の配合量が、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、5質量部~30質量部であり、
    前記ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)(MPa)とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足することを特徴とするゴルフクラブ用グリップ。
  2. 最表層の少なくとも一部が、(A)基材ゴムと(B)架橋ゴム粉末とを含有するゴム組成物から形成されており、
    前記(B)架橋ゴム粉末の配合量が、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、5質量部~15質量部であり、
    前記ゴム組成物から形成された部分の損失正接(tanδ)(30℃、10Hz)と複素弾性率(E*)(30℃、10Hz)(MPa)とが、0.07≦tanδ/(E*0.2≦0.15の関係を満足することを特徴とするゴルフクラブ用グリップ。
  3. 前記ゴム組成物の損失正接(tanδ)が、0.1~0.2である請求項1または2に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  4. 前記ゴム組成物の複素弾性率(E*)が、3MPa~6MPaである請求項1~3のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  5. 前記(A)基材ゴムが、カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴム、および、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  6. 前記(B)熱可塑性樹脂が、スチレン系エラストマー、ポリウレタンエラストマーおよびアクリル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1、3~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  7. シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、
    前記グリップが、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴルフクラブ用グリップであることを特徴とするゴルフクラブ。
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