JP2019084454A - ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブ - Google Patents

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Sho Goshi
翔 郷司
一喜 志賀
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一喜 志賀
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【課題】打撃時に良好な感触および防滑性能が得られるゴルフクラブ用グリップを提供する。【解決手段】ゴルフクラブ用グリップは、シャフトが挿嵌される円筒部を有し、前記円筒部の表面に、高さ(h)が0.07mm〜0.15mmであり、かつ、底部の最小幅(w1)が0.2mm〜0.7mmである微細突起を複数有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴルフクラブ用グリップに関する。
ゴルフクラブは、シャフトと、このシャフトの前端近傍に装着されたヘッドと、シャフトの後端近傍が挿嵌されるグリップとから構成されている。グリップは、ゴルフクラブをスイングするゴルファーが手で把持する部分であり、ゴルファーの運動がゴルフクラブに伝達される際に極めて重要な役割を果たす部分である。グリップの重要な要求性能として、スイング中にゴルファーの手とグリップとの滑りが抑制されることが挙げられる。
一般にグリップは、ゴム、合成樹脂等の柔軟な材料から成形されており、さらに防滑性能を高めるために、その表面に溝や凹みのパターンが形成されている(例えば、特許文献1(段落0035、図4)参照)。
また、特許文献2には、グリップ表面に高さが異なるステムの個別のゾーンを有するステム配列を形成したグリップが提案されている(特許文献2(段落0040〜0043)参照)。この特許文献2のグリップでは、第1ゾーンには、約0.020〜約0.030インチ(0.508〜0.762mm)の高さを有するステムが形成されている。
特開2016−214704号公報 特表2005−508769号公報
グリップ表面が有するステムの高さが0.020〜0.030インチ(0.508〜0.762mm)では、使用者の指紋の溝の深さに対して、ステムの高さが高すぎる。そのため、グリップをしっかりと握った際に、ステムが倒れてしまい、良好な感触が得られない。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、打撃時に良好な感触および防滑性能が得られるゴルフクラブ用グリップを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフクラブ用グリップは、シャフトが挿嵌される円筒部を有し、前記円筒部の表面に、高さが0.07mm〜0.15mmであり、かつ、底部の最小幅が0.2mm〜0.7mmである微細突起を複数有することを特徴とする。
前記グリップは、使用者が握った際に、微細突起が使用者の指紋の溝に入り込むことができる。そのため、前記微細突起が、使用者の指紋の溝内部でアンカー効果を発揮し、防滑性能が向上する。また、指紋の溝内部まで入り込む微細突起は、指紋と連動して動くことで、感覚的にも滑りにくいと感じさせることができる。
本発明には、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが、前記ゴルフクラブ用グリップであるゴルフクラブも含まれる。
本発明によれば、打撃時に良好な感触および防滑性能が得られるゴルフクラブ用グリップが得られる。
微細突起の一例を示す平面図である。 図1の微細突起のA−A断面図である。 微細突起の他の一例を示す平面図である。 図3の微細突起のA−A断面図である。 微細突起の他の一例を示す平面図である。 図5の微細突起のA−A断面図である。 微細突起の他の一例を示す平面図である。 図7の微細突起のA−A断面図である。 ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。 ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面模式図である。 図10のゴルフクラブ用グリップの拡大断面模式図である。 ゴルフクラブの一例を示す斜視図である。 グリップNo.4の顕微鏡画像を示す図面代用写真である。 グリップNo.4の断面の顕微鏡画像を示す図面代用写真である。 グリップNo.7の顕微鏡画像を示す図面代用写真である。 グリップNo.17の顕微鏡画像を示す図面代用写真である。
本発明のゴルフクラブ用グリップは、シャフトが挿嵌される円筒部を有し、前記円筒部の表面に、高さが0.07mm〜0.15mmであり、かつ、底部の最小幅が0.2mm〜0.7mmである微細突起を複数有することを特徴とする。
[微細突起]
前記微細突起は、高さが0.07mm〜0.15mmであり、かつ、底部の最小幅が0.2mm〜0.7mmである。前記微細突起の高さおよび底部の最小幅が上記範囲内であれば、使用者がグリップを握った際に、微細突起が使用者の指紋の溝に入り込むことができる。そのため、前記微細突起が、使用者の指紋の溝内部でアンカー効果を発揮し、防滑性能が向上する。
さらに、微細突起が使用者の指紋の溝部に入り込むことで、使用者に感覚的にも滑らないと感じさせることができる。このメカニズムは下記のように考えられる。指紋の直下にはマイスナー小体が2列に配置している。これらのマイスナー小体は、指紋に生じたせん断変形やこのせん断変形からの解放を検出することで、指紋接触面の滑りを検知している。ここで、指紋の溝内部まで入り込む微細突起は、指紋と連動して動くため、指紋がせん断変形から解放され難くなる。つまり、マイスナー小体が滑りを検知し難い。そのため、微細突起を有するグリップは、滑りにくいと感じられる。また、指紋の溝内部に微細突起が触れることで、しっとり感を得られることも期待できる。
図1〜8を参照し、微細突起の高さ、幅について説明する。図1は、微細突起の一例を示す平面図である。図2は、図1の微細突起のA−A断面図である。図3、5および7は、微細突起の他の一例を示す平面図である。図4、6および8は、それぞれ図3、5および7の微細突起のA−A断面図である。図1、2の微細突起は、底部の平面視形状が四角形(正方形)であり、立体形状が四角柱である。図3、4の微細突起は、底部の平面視形状が四角形(正方形)であり、立体形状が四角錐台である。図5、6の微細突起は、底部の平面視形状が円形であり、立体形状が円柱である。図7、8の微細突起は、底部の平面視形状が円形であり、立体形状が円錐台である。
前記微細突起の高さとは、円筒部表面における法線方向の微細突起の頂部から底部までの距離(h)である。前記微細突起の高さ(h)は、0.07mm以上、好ましくは0.08mm以上、さらに好ましくは0.09mm以上であり、0.15mm以下、好ましくは0.14mm以下、さらに好ましくは0.13mm以下である。前記微細突起の高さが0.07mm以上であれば指紋と接触した際に十分なひっかかりが得られ、防滑性能がより向上し、0.15mm以下であれば微細突起が指紋からはみ出すことがなく感触がより良好となり、かつ、微細突起の機械的強度が高くなる。
前記微細突起の底部の最小幅(w1)とは、微細突起の底部の幅の最小値である。前記微細突起の底部の最小幅(w1)は、0.2mm以上、好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.4mm以上であり、0.7mm以下、好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。前記底部の最小幅が0.2mm以上であれば微細突起が指紋の溝に収まり、防滑性能が高くなり、0.7mm以下であれば微細突起が指紋からはみ出すことがなく感触がより良好となる。
前記微細突起の高さ(h)と底部の最小幅(w1)との比(h/w1)は、0.10以上が好ましく、より好ましくは0.13以上、さらに好ましくは0.16以上であり、0.75以下が好ましく、より好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.35以下である。前記比(h/w1)が0.10以上であれば指紋に対して十分なサイズを維持しており、防滑性能がより向上し、0.75以下であれば微細突起の耐久性が向上する。
前記微細突起の底部の平面視形状は、特に限定されず、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形状、角丸多角形状、円形状、楕円形状、十字形状、星形多角形状などが挙げられる。これらの中でも、微細突起の機械的強度の観点から、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形状、円形状、楕円形状が好ましい。
前記微細突起の底部の平面視形状が円形以外の場合、底部の最大幅(w2)は、0.2mm以上、好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.4mm以上であり、1.0mm以下、好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。前記底部の最大幅が0.2mm以上であれば微細突起の機械的強度がより高くなり、1.0mm以下であれば単位面積あたりの微細突起の個数を増やすことができ、防滑性能が高くなる。
前記底部の最小幅(w1)と最大幅(w2)との比(w2/w1)は、1.40以下が好ましく、より好ましくは1.35以下、さらに好ましくは1.30以下である。前記比(w2/w1)が1.40以下であれば単位面積あたりの微細突起の個数を増やすことができ、防滑性能が高くなる。前記比(w2/w1)の下限は1.00である。
前記微細突起の立体形状は、特に限定されず、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、円柱、楕円柱などの柱状;三角錐台、四角錐台、五角錐台、六角錐台、円錐台、楕円錐台などの錐台状;三角錐、四角錐、五角錐、六角錐、円錐などの錐状;などが挙げられる。これらの中でも、柱状、錐台状が好ましい。
前記微細突起の立体形状が、錐台状である場合、上底の最小幅(w3)と下底の最小幅(底部の最小幅)(w1)との比(w3/w1)が、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。前記比(w3/w1)が0.5以上であれば微細突起の機械的強度が高くなり、耐久性が向上する。前記比(w3/w1)は1.0未満である。なお、錐台の下底が、微細突起の底部である。
前記微細突起は円筒部表面に複数配置されるが、これらの微細突起の配列は特に限定されず、格子状、千鳥状、ランダム状などが挙げられる。また、複数配置される微細突起の形状は、全てを同一形状であってもよいし、2種以上の形状であってもよい。
前記微細突起の立体形状が柱状の場合、隣接する微細突起の底部間の最短距離(d1)は、0.10mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.20mm以上であり、0.5mm以下が好ましく、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。前記底部間の最短距離(d1)が0.10mm以上であればレーザ彫刻により精度よく加工することが可能となり、0.5mm以下であれば微細突起が指紋にひっかかりやすくなる。
前記微細突起の立体形状が錐台状の場合、隣接する微細突起の上底間の最短距離(d2)は、0.10mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.20mm以上であり、0.5mm以下が好ましく、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。前記上底間の最短距離(d2)が0.10mm以上であればレーザ彫刻により精度よく加工することが可能となり、0.5mm以下であれば微細突起が指紋にひっかかりやすくなる。なお、前記微細突起の立体形状が錐台状の場合、隣り合う微細突起の下底は、互いに接触していてもよいし、離間していてもよい。
前記微細突起の個数は、特に限定されず、各微細突起の形状に応じて適宜調節すればよい。なお、前記円筒部は、前記微細突起が1cm2あたりに200個〜2500個存在する微細突起存在領域を有することが好ましい。前記微細突起存在領域は、1cm2あたりの微細突起の個数が、250個以上が好ましく、より好ましくは300個以上であり、2000個以下が好ましく、より好ましくは1500個以下である。
前記円筒部は、チップ側端部からの軸方向の距離が全長の10%〜60%までの範囲において、表面積中の微細突起存在領域の面積率が50面積%以上が好ましく、より好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。また、チップ側端部からの軸方向の距離が全長の10%〜60%までの範囲において、全ての部分を微細突起存在領域とすることも好ましい。前記チップ側端部からの軸方向の距離が全長の10%〜60%までの範囲は、使用者が素手でグリップを握る部分である。この部分に微細突起存在領域を有することで、グリップの感触が良好となる。
前記円筒部は、全表面積中の微細突起存在領域の面積率が、40面積%以上が好ましく、より好ましくは45面積%以上、さらに好ましくは50面積%以上であり、100面積%以下が好ましく、より好ましくは80面積%以下、さらに好ましくは60面積%以下である。
前記微細突起は、レーザ加工により形成することが好ましい。レーザ加工により形成することで、微細突起を容易に形成できる。特に、レーザ加工により形成することで、柱状の微細突起や、比(w3/w1)が0.5以上である錐台状の微細突起を形成できる。なお、金型を用いた加工によって、微細突起を形成した場合、柱状の微細突起や、比(w3/w1)が0.5以上である錐台状の微細突起は、微細突起の形状を精度よく成形することが困難である。
[構造]
前記ゴルフクラブ用グリップの円筒部は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。円筒部が単層構造の場合は、微細突起存在領域と、微細突起存在領域以外の他の領域(以下、単に「他の領域」と称する場合がある。)とを異なる組成物から形成してもよいし、同一の組成物から形成してもよい。なお、単層構造の円筒部は、微細突起存在領域および他の領域が、いずれも中実層であることが好ましい。
円筒部が多層構造の場合、円筒部は最表層と少なくとも一層の内層とを有する。前記最表層が微細突起存在領域を有する。ここで、最表層とは、グリップの最も外側の層であり、グリップ使用時に使用者が触れる部分である。前記最表層は、微細突起存在領域と他の領域とを異なる組成物から形成してもよいし、同一の組成物から形成してもよい。なお、最表層は、微細突起存在領域および他の領域が、いずれも中実層であることが好ましい。前記内層は、少なくとも一層が多孔質層であることが好ましい。円筒部を多層構造とする場合、最表層と1層の内層とを有する2層構造;最表層と2層の内層とを有する3層構造;が好ましい。
前記円筒部の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、17.0mm以下が好ましく、より好ましくは10.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。前記円筒部の厚さは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。
前記円筒部の厚さが0.5mm〜17.0mmの場合、前記最表層の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.3mm以下、さらに好ましくは2.1mm以下である。前記外層の厚さが0.5mm以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、2.5mm以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
前記円筒部の厚さに対する最表層の厚さの百分率((最表層厚さ/円筒部厚さ)×100)は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、99.0%以下が好ましく、より好ましくは98.0%以下、さらに好ましくは97.0%以下である。前記百分率が0.5%以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、99.0%以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
[材質]
前記円筒部の材質は特に限定されず、従来ゴルフクラブ用グリップに使用されているゴム組成物、樹脂組成物から形成できる。
前記円筒部は、前記微細突起存在領域が、ゴム組成物から形成されていることが好ましい。微細突起存在領域をゴム組成物から形成することで、微細突起のチッピングの発生を抑制できる。前記微細突起存在領域を構成するゴム組成物(以下、「表層用ゴム組成物」と称する場合がある。)としては、基材ゴムと架橋剤とを含有することが好ましい。
前記基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの基材ゴムは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記表層用ゴム組成物は、基材ゴムとして、カルボキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、および、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムよりなる群から選択されるアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することが好ましい。これらのアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することで、微細突起のチッピングの発生をさらに抑制できる。前記XNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体である。前記HNBRとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素添加物である。前記HXNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体の水素添加物である。
前記基材ゴム中のアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。また、表層用ゴム組成物が、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムのみを含有することも好ましい。
前記NBR、XNBR、HNBR、HXNBRにおいて、アクリロニトリル含有率は、15質量%以上が好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは21質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。アクリロニトリル含有率が15質量%以上であれば耐摩耗性が良好となり、50質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記HNBR、HXNBRにおいて、二重結合含有量は、0.09mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、2.5mmol/g以下が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。二重結合含有量が0.09mmol/g以上であれば成形時に加硫しやすくなりグリップの引張強度がより向上し、2.5mmol/g以下であればグリップの耐久性(耐候性)および引張強さがより良好となる。二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率や、共重合体への水素添加量により調整できる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を含有する単量体の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基を含有する単量体の含有率が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基含有量は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基含有量が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
前記表層用ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。
前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の合計使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の合計使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
前記表層用ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤、樹脂などを配合してもよい。
前記補強材としては、カーボンブラックなどが挙げられる。前記補強材の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類、チオウレア類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。チオウレア類としては、トリブチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
前記スコーチ防止剤としては、有機酸、ニトロソ化合物などが挙げられる。前記有機酸としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸などが挙げられる。前記ニトロソ化合物としては、N−ニトロソ・ジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスルトールジホスファイト、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記樹脂としては、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クマロン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。
前記表層用ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。
前記表層用ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)は、40以上が好ましく、より好ましくは42以上、さらに好ましくは45以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは58以下、さらに好ましくは55以下である。表層用ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)が40以上であれば微細突起存在領域の機械的強度がより向上し、60以下であれば最表層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
単層構造の円筒部または多層構造の円筒部の最表層において、微細突起存在領域以外の他の領域の材質は特に限定されないが、前記表層ゴム組成物から形成されていることが好ましい。なお、前記他の領域を構成するゴム組成物は、前記微細突起存在領域を構成するゴム組成物と同一の組成でもよいし、異なる組成でもよい。これらが同一の組成であれば、円筒部または最表層の作製が容易となる。
前記円筒部が多層構造の場合、内層の材質は特に限定されない。前記内層を形成する組成物(以下、「内層用組成物」と称する場合がある。)としては、内層用ゴム組成物、樹脂組成物が挙げられる。
前記内層用ゴム組成物は、基材ゴムと架橋剤とを含有することが好ましい。基材ゴムとしては、前記表層用ゴム組成物と同様のものが使用でき、これらの中でも、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、HXNBR、BR、SBRおよびPUよりなる群から選択される少なくとも1種の基材ゴムが好ましい。
前記内層用ゴム組成物の架橋剤としては、前記表層用ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられ、単体硫黄が好ましい。前記内層用ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。これらの加硫促進剤、加硫活性剤としては前記第1ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記加硫促進剤としては、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラベンジルチウラムジスルフィドが好ましい。前記加硫活性剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸が好ましい。
前記内層ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。これらの補強材、老化防止剤、着色剤としては前記表層用ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記補強材としては、カーボンブラック、シリカが好ましい。前記老化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が好ましい。
前記内層は、中実層でもよいし、多孔質層でもよい。前記内層を多孔質層とすれば、ゴルフクラブ用グリップを軽量化できる。多孔質層は、基材となるゴムに多数の細孔(空隙)が形成されている層である。多数の細孔が形成されていることにより、層の見掛け密度が小さくなり、軽量化を図ることができる。
多孔質層を作製する方法としては、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などが挙げられる。前記バルーン発泡法では、ゴム組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、ゴム組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、ゴム組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。前記超臨界二酸化炭素射出成型では、高圧力下で超臨界状態にある二酸化炭素をゴム組成物に含侵させ、このゴム組成物を常圧下に射出し、二酸化炭素を気化させて発泡させる。前記塩抽出法では、ゴム組成物に易溶解性塩(ホウ酸、塩化カルシウムなど)を含有させ、成形後に塩を溶解抽出して細孔を形成する。前記溶剤除去法では、ゴム組成物に溶剤を含有させ、成形後に溶剤を除去し細孔を形成する。
前記内層を多孔質層とする場合、発泡剤を含有する内層用ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層とすることが好ましい。すなわち、内層としては、マイクロバルーンを含有する内層用ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、内層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。
前記マイクロバルーンとしては、有機マイクロバルーン、無機マイクロバルーンのいずれも使用できる。有機マイクロバルーンとしては、熱可塑性樹脂からなる中空粒子、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルなどが挙げられる。前記樹脂カプセルの具体例としては、Akzo Nobel社製のエクスパンセル、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)などが挙げられる。無機マイクロバルーンとしては、中空ガラス粒子(シリカバルーン、アルミナバルーンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
前記樹脂カプセル(膨張前)の体積平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは9μm以上であり、90μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
バルーン発泡法により内層を作製する場合、前記内層用ゴム組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が5質量部以上であればグリップの軽量化の効果がより大きくなり、20質量部以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
また、バルーン発泡法により作製される内層の発泡倍率は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上であり、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。発泡倍率が1.2以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、5.0以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
前記内層用ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)は、20以上が好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上であり、60以下が好ましく、より好ましくは58以下、さらに好ましくは55以下である。内層用ゴム組成物の材料硬度(ショアA硬度)が20以上であれば内層が軟らかくなりすぎず、掴んだ時にしっかりと固定できる感触が得られ、55以下であれば内層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
[ゴルフクラブ]
本発明には、前記ゴルフクラブ用グリップを用いたゴルフクラブも含まれる。前記ゴルフクラブは、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが前記ゴルフクラブ用グリップである。前記シャフトは、ステンレス鋼製や炭素繊維強化樹脂製が使用できる。前記ヘッドとしては、ウッド型、ユーティリティ型、アイアン型が挙げられる。前記ヘッドを構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えばチタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄などが挙げられる。
以下、図面を参照して、ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブについて説明する。図9は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。グリップ1は、シャフトが挿嵌される円筒部2と、前記円筒部の後端の開口を覆うように一体形成されたキャップ部3とを有する。
図10は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面模式図である。前記円筒部2は、内層2aと外層2bから構成されている。そして、前記外層2aは先端部から後端部にわたり厚さが均一に形成されている。前記内層2bの厚みは、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成されている。図10に示したグリップ1では、キャップ部3は外層2bと同様のゴム組成物から形成されている。図11は、図10に示したゴルフクラブ用グリップ1の拡大断面模式図である。図11に示すように、円筒部2は、外層2aの表面に微細突起10を有する。
図12は、本発明のゴルフクラブの一例を示す斜視図である。ゴルフクラブ4は、シャフト5と、前記シャフト5の一端に取り付けられたヘッド6と、前記シャフト4の他端に取り付けられたグリップ1とを備えている。グリップ1の円筒部2にシャフト5の後端が嵌入されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)アクリロニトリル含有率
アクリロニトリル含有率は、水素添加前のアクリロニトリル−ブタジエンゴムについて、ISO 24698−1(2008)により測定した。
(2)二重結合含有量(mmol/g)
二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率(質量%)と残存二重結合量(%)から算出した。前記残存二重結合量とは、水素添加前の共重合体中の二重結合と水素添加後の共重合体中の二重結合との質量比(水素添加後の二重結合量/水素添加前の二重結合量)であり、赤外分光法により測定できる。アクリロニトリル−ブタジエンゴムが、アクリロニトリル−ブタジエン2元共重合体の場合、共重合体中のブタジエン含有率は100からアクリロニトリル含有率(質量%)を減ずることで求められる。
二重結合量={ブタジエン含有率/45}×残存二重結合量×10
(3)カルボキシ基を含有する単量体の含有率
アクリロニトリル−ブタジエンゴムを1g量りとり、クロロホルム50mlに溶解させ、ここにチモールブルー指示薬を滴下した。この溶液を攪拌しながら、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Vml)を記録した。ブランクとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有しないクロロホルム50mlについても、チモールブルーを指示薬として、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Bml)を記録した。下記式により、カルボキシ基含有率を算出した。
カルボキシ基含有単量体含有率={0.05×(V−B)×PM}/(10×X)
(式中、V:試験溶液の水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、B:ブランクの水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、PM:カルボキシ基含有単量体の分子量、X:カルボキシ基含有単量体の価数)
(4)材料硬度(ショアA硬度)
ゴム組成物を用いて、160℃で8〜20分間プレスして、厚み2mmのシートを作製した。なお、ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、グリップを形成した際と同様の発泡倍率となるようにマイクロバルーンを膨張させてシートを作製した。このシートを、23℃で2週間保存し、測定基板などの影響が出ないように、3枚重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore A」を用いた。
(5)耐摩耗性試験
耐摩耗性は、学振形摩耗試験機(安田精機製作所製、摩擦試験機II型)を用いて評価した。具体的には、グリップの表層を構成するゴム組成物を用いてプレス成形(成形温度160℃、成形時間15分)により、厚さ2mmのシートを作製した。このシートを長さ130mm、幅40mmの長方形状に切り出して試験片を作製し、試験片台(かまぼこ形(表面半径R200mm))に固定した。摩擦子(表面半径R45mm、20×20mm)の表面に紙やすり(番手240番)を取り付け、1.96Nの荷重で、試験片の中央部10cmの間を毎分30回往復の速度で500回往復摩擦した。その後、試験片の試験前後の質量変化により耐摩耗性を評価した。なお、耐摩耗性は、グリップNo.9の耐摩耗性を100として、指数化した値で示した。
(6)動摩擦係数測定
動摩擦係数は、静・動摩擦測定機(トリニティーラボ社製、TL201Ts)を用いて測定した。具体的には、ゴルフクラブ用グリップからゴム片(幅2cm、長さ6cm)を切り出し、これを試験片とした。ゴム片は、グリップの突起が形成されている領域から切り出した。なお、グリップNo.9については、微細突起が形成されていないため、グリップの軸方向の中央付近からゴム片を切り出した。試験片を装置の移動テーブルに固定し、幾何学指紋パターンが施された触覚接触子を使用し、試験片の動摩擦を測定した。試験は、移動距離1cm、移動速度1mm/秒、荷重25gとした。動摩擦係数は、ずれ運動を開始した位置を0cmとして、0.35cm〜0.65cmの平均値を求めた。なお、摩擦係数は、グリップNo.9の摩擦係数を100として、指数化した値で示した。
(7)フィーリング評価
グリップをシャフトに装着し、ゴルフクラブを作製した。このゴルフクラブについて10名のゴルファーに対してフィーリング試験を行った。評価は、打撃時の感触および防滑性能の総合評価について行い、評価基準は下記の3段階とした。
○;良好と判断した人が8人以上
△:良好と判断した人が5〜7人
×:良好と判断した人が4人以下
(8)耐久試験
グリップをシャフトに装着し、ゴルフクラブを作製した。このゴルフクラブについて、5000回の実打耐久評価を行った。打撃後のグリップの突起を観察し、突起にチッピングが見られた場合を「×」、チッピングが見られなかった場合を「○」と評価した。
[グリップ用組成物の調製]
表1、2に示す配合で各原料を混練し、外層用ゴム組成物および内層用ゴム組成物を調製した。なお、外層用ゴム組成物は、全ての原料をバンバリーミキサーで混練した。内層用ゴム組成物は、マイクロバルーン以外の原料をバンバリーミキサーで混練し、その後、ロールを用いてマイクロバルーンを配合した。内層用ゴム組成物のバンバリーミキサーの混練時の材料温度およびロールによりマイクロバルーンを配合する際の材料温度は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満とした。
表1、2で用いた材料は下記のとおりである。
HXNBR:カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban XT VPKA 8889(残存二重結合量3.5%、アクリロニトリル含有率33.0質量%、二重結合含有量0.40mmol/g、カルボキシ基含有単量体含有率5.0質量%))
HNBR:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3446(残存二重結合量4.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
NR(天然ゴム):TSR20
EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム):住友化学社製、エスプレン(登録商標)505A
IIR:JSR社製、JSR BUTYL065
シースト(SEAST)(登録商標)SO:東海カーボン社製、カーボンブラック
DIABLACK(登録商標)N220:三菱化学社製、カーボンブラック
ウルトラジルVN3 GR:エボニック社製、造粒シリカ(不定形)
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
サンセラー(登録商標)TBzTD:三新化学工業社製、テトラベンジルチウラムジスルフィド
ノクセラーNS:大内新興化学工業社製、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ノクセラーCZ:大内新興化学工業社製、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
ソクシノールD:住友化学社製、1,3−ジフェニルグアニジン
スクラトールZP 1014:struktol社製、struktol ZP 1014(過酸化亜鉛含有量29質量%)
酸化亜鉛:PT.INDO LYSAGHT社製、ホワイトシール
ノクラック(登録商標)NS−6:大内新興化学工業社製、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
ノクラック TBTU:大内新興化学工業社製、トリブチルチオ尿素
ステアリン酸:日油社製、ビーズステアリン酸つばき
アデカサイザー(登録商標) RS735:アデカ社製
PW380:出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380
ハリタックSE10:ハリマ化成社製、水素添加ロジンエステル(軟化点78℃〜87℃、酸価2mgKOH/g〜10mgKOH/g)
サントガードPVI:三新化学工業社製、N−シクロヘキシルチオフタルイミド
安息香酸:Aldrich社製
Koresin(登録商標):BASF社製、ブチルフェノール−アセチレン縮合物(軟化点135℃〜150℃)
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル(登録商標)909−80DU」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm〜24μm、膨張開始温度120℃〜130℃)
前記外層用ゴム組成物を用いて、扇台形状の未加硫のゴムシートおよびキャップ部材を作製した。なお、外層用ゴムシートは一定の厚さとなるように成形した。前記内層用ゴム組成物を用いて、長方形状の未加硫のゴムシートを作製した。なお、内層用ゴムシートは、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成した。マンドレルに内層用ゴムシートを巻き付け、接着剤組成物を塗布した後、この上に外層用ゴムシートを重ねて巻き付けた。これらのゴムシートを巻き付けたマンドレルおよびキャップ部材を、金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、外層表面に微細突起を有さないグリップを得た。得られた微細突起を有さないグリップの円筒部の厚さは、最薄部(ヘッド側端部)が1.5mm、最厚部(グリップエンド側端部)が6.7mmであった。
上記で得た微細突起を有さないグリップについて、レーザ加工機(アマダミヤチ社製、ファイバーレーザー加工機、「ML−7320DL」)を用いて、微細突起を形成した。微細突起は、チップ側端部からの軸方向の距離が全長の10%〜60%までの範囲に、円周方向全体にわたって形成した。各グリップの評価結果を表3、4に示した。また、図13にグリップNo.4の顕微鏡写真、図14にグリップNo.4の断面図の顕微鏡写真を示した。図15にグリップNo.7の顕微鏡写真、図16にグリップNo.17の顕微鏡写真を示した。
グリップNo.1〜8、16および17は、円筒部の外層に微細突起を有している。これらのグリップNo.1〜8、16および17は、打撃時のフィーリングに優れている。これらの中でも、外層が基材ゴムとしてカルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有するゴム組成物から形成されているグリップNo.1〜8は、耐久性にも優れている。
グリップNo.9は外層が微細突起を有さない場合である。グリップNo.10〜15は、突起の高さが低すぎる(No.10〜12)、突起の高さが高すぎる(No.15)、突起の最小幅が小さすぎる(No.10、13)、または、突起の最小幅が大きすぎる(No.12、14)場合である。これらのグリップNo.9〜15は、いずれも打撃時のフィーリングが劣る。また、図16に示すように、グリップNo.17では、材料ゴムの機械的強度が低いため、微細突起にチッピングが発生している。
1:グリップ、2:円筒部、2a:内層、2b:外層、3:キャップ部、4:ゴルフクラブ、5:シャフト、6:ヘッド、10:微細突起

Claims (7)

  1. シャフトが挿嵌される円筒部を有し、
    前記円筒部の表面に、高さ(h)が0.07mm〜0.15mmであり、かつ、底部の最小幅(w1)が0.2mm〜0.7mmである微細突起を複数有することを特徴とするゴルフクラブ用グリップ。
  2. 前記円筒部は、前記微細突起が1cm2あたりに200個〜2500個存在する微細突起存在領域を有する請求項1に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  3. 前記円筒部は、チップ側端部からの軸方向の距離が全長の10%〜60%までの範囲において、表面積中の微細突起存在領域の面積率が50面積%以上である請求項1または2に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  4. 前記微細突起の高さ(h)と底部の最小幅(w1)との比(h/w1)が、0.1〜0.75である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  5. 前記微細突起の立体形状が、錐台状であり、
    上底の最小幅(w3)と下底の最小幅(w1)との比(w3/w1)が、0.5〜1.0である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  6. 前記円筒部が、基材ゴムとして、カルボキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、および、カルボキシ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムよりなる群から選択されるアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有するゴム組成物から形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用グリップ。
  7. シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、
    前記グリップが、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフクラブ用グリップであることを特徴とするゴルフクラブ。
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