JP6784294B2 - チオール化合物で変性したポリマー、及び当該ポリマー含有光硬化性組成物とその用途 - Google Patents

チオール化合物で変性したポリマー、及び当該ポリマー含有光硬化性組成物とその用途 Download PDF

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Description

本発明は、特定のチオール化合物で変性したポリマー、当該変性したポリマーを含有する光硬化性樹脂組成物、並びにその樹脂組成物を用いてなるインキ、及び塗料に関する。さらに詳しくは、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れた光硬化性樹脂組成物に関する。
従来、光(例えば、紫外線)により硬化させる種々の樹脂組成物は、インキ、塗料、接着剤、フォトレジスト等に使用されている。例えば、紫外線硬化タイプの印刷インキは、硬化速度が速く短時間で硬化できること、溶剤を使わないので環境に適合していること、省資源・省エネルギーであること等の点が高く評価され実用化が広がっている。
そのような樹脂組成物の中で、ジアリルフタレート(ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等)から誘導されたジアリルフタレート樹脂を含有する樹脂組成物は、紙用のUVインキとして採用されている。
しかしながら、インキとして用いる際にジアリルフタレート樹脂を配合するとプラスチック基材との密着性が充分でないことが知られている(例えば、特許文献1)。近年、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)といった様々な種類のプラスチック製品が市販されており、ジアリルフタレート樹脂の欠点であるプラスチック基材との密着性の向上が求められている。
特開昭52-4310号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン(PP)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、エチレン性不飽和化合物との相溶性のよい組成物を構成することができる光硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の構造を有するアリル系重合体をチオール化合物で変性したポリマーを含有する光硬化性樹脂組成物において、プラスチック基材との密着性に優れ、相溶性のよい樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、
項1.下記式(1)、
Figure 0006784294
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Zはn価の脂環式炭化水素基である]
で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル系重合体を、チオール化合物で変性したことを特徴とするポリマー。
項2. 前記チオール化合物が、脂肪族チオール化合物、芳香族チオール化合物、脂肪族ポリチオール化合物、メルカプトカルボン酸エステル化合物、メルカプトカルボン酸、メルカプトエーテルのいずれかのチオール化合物である項1に記載のポリマー。
項3. 項1又は2に記載のポリマーを含有する光硬化性樹脂組成物。
項4. 更に、エチレン性不飽和化合物(B)を含有する項3に記載の光硬化性樹脂組成物。
項5. 更に、光重合開始剤を含有する項3又は4に記載の光硬化性樹脂組成物。
項6. 項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
項7. 項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
項8. オーバープリントワニスである項7に記載の塗料。
である。
本発明によれば、インキ、塗料、接着剤及びフォトレジストが、合成高分子の基材、特にプラスチック基材に対して密着性に優れる光硬化性樹脂組成物が得られる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、インキ、塗料に好適に用いることができる。
ポリマー1のNMRスペクトルを示す。(A)は製造例3で用いた重合体1のNMRスペクトル、(B)は製造例3で用いた3-メルカプトプロピオン酸2-エチルへキシルのNMRスペクトル、(C)は製造例3で用いたIngacure184のNMRスペクトル、(D)が製造例3で得られたチオール変性ポリマーのNMRスペクトルを表す。 ポリマー2のNMRスペクトルを示す。(A)は製造例4で用いた重合体1のNMRスペクトル、(B)は製造例4で用いた1−ドデシルチオールのNMRスペクトル、(C)は製造例4で用いたIngacure184のNMRスペクトル、(D)が製造例4で得られたチオール変性ポリマーのNMRスペクトルを表す。 ポリマー3のNMRスペクトルを示す。(A)は製造例5で用いた重合体1のNMRスペクトル、(B)は製造例5で用いた2-エチルヘキシルチオールのNMRスペクトル、(C)は製造例5で用いたIngacure184のNMRスペクトル、(D)が製造例5で得られたチオール変性ポリマーのNMRスペクトルを表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
チオール化合物で変性したポリマー
本発明におけるチオール化合物で変性したポリマーは、下記式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル系重合体をチオール化合物で変性したポリマーである。
Figure 0006784294
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Zはn価の脂環式炭化水素基である]
アリル系重合体
変性に用いるアリル系重合体は、下記式(1)で表されるアリル化合物を重合することによって得られる。
Figure 0006784294
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Zはn価の脂環式炭化水素基である]
式(1)中のZのn価の脂環式炭化水素基は、脂環式炭化水素基の環構造を形成する炭素数が3〜18であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、4〜10であることが特に好ましく、5〜7であることが最も好ましい。
nは2〜4のいずれかの整数であり、好ましくは2〜3、より好ましくは2である。
n価の脂環式炭化水素基は、飽和のn価の脂環式炭化水素基であってもよく、一部において不飽和結合を有していてもよいが、飽和のn価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。なお、本発明において、脂環式とは、芳香性を有しない環状構造を有する炭化水素基を意味する。
Zは、分子内で架橋されていても良く、分子内で架橋されたZの例としては、アダマンタン、ノルボルネン、ノルボルナン等が挙げられる。
また、n価の脂環式炭化水素基はアルキル基を有していてもよい。アルキル基は炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖であればよく、炭素数1〜5であることが好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。アルキル基は、脂環式炭化水素基の置換可能位置に1個又は2個以上存在していてもよい。なお、n価の脂環式炭化水素基は、必ずしもアルキル基を有していなくともよい。
式(1)中のZが、n価の脂環式炭化水素基である場合、具体的なアリル化合物としては、下記一般式(2)〜(9)(特には、式(5)〜式(7)が好ましい)のアリル化合物を例示することができる。
Figure 0006784294
[式中、nは2〜4のいずれかの整数である。]
式(2)〜(9)の環上におけるCOOCHCH=CH基の置換位置は何れの組み合わせであっても良く、それらの混合物でも良い。特に、2つのCOOCHCH=CH基が6員環に結合するときに、2つのCOOCHCH=CH基は、オルト配向又はメタ配向又はパラ配向のいずれでもよいが、オルト配向又はパラ配向であることが好ましい。
式(1)中のZが、n価の脂環式炭化水素基である場合の具体的なアリル化合物としては、シクロブタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘプタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(ヘキサヒドロフタル酸ジアリル)、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、シクロブテンジカルボン酸ジアリル、シクロヘプテンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキセンジカルボン酸ジアリル(テトラヒドロフタル酸ジアリル)及びノルボルネンジカルボン酸ジアリル、3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、2−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラアリル等を例示することができる。中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ノルボルナンジカルボン酸ジアリルが好ましく、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルがより好ましい。
本発明の式(1)で表されるアリル化合物は、下記一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物、又はそれらの酸無水物とハロゲン化アリル又はアリルアルコールとを例えば、酸性物質、塩基性物質、触媒、溶媒の存在下、反応させることにより製造できる。一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。もちろん、式(1)で表されるアリル化合物として、式(1)で表されるアリル化合物の市販品を用いてもよい。
Figure 0006784294
[式中、n、及びZに関しては、前記一般式(1)におけるn、及びZと同じ意味である。]
ハロゲン化アリルとしては、例えばアリルクロリド、アリルブロミド、アリルヨージド等が挙げられる。ハロゲン化アリルの使用量に特に制限は無いが、一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜20当量の範囲であるのが好ましく、反応速度及び容積効率の観点からは、2.3〜10当量の範囲であるのがより好ましい。これらのハロゲン化アリル化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。
アリルアルコールは試薬や工業薬品として入手可能である。アリルアルコールの使用量に特に制限は無いが、一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜10当量の範囲であるのが好ましく、2〜5当量の範囲であるのがより好ましい。
酸性物質としては、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられ、酸性物質の使用量は、一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.001〜0.1当量の範囲であるのが好ましく、0.005〜0.05当量の範囲であるのがより好ましい。
塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素化物、アルコラート等が一般に用いられるが、第4級アンモニウム化合物や脂肪族アミンや芳香族アミンのような有機塩基を用いることも可能である。塩基性物質の使用量は、一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.5〜30当量の範囲であるのが好ましく、2〜15当量の範囲であるのがより好ましい。
触媒として、例えば銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、バナジウム等の遷移金属や遷移金属塩が用いられるが、このうち銅化合物が好適に用いられる。
銅化合物としては特に限定はなく、ほとんどの銅化合物が用いられるが、塩化第一銅、臭化第一銅、酸化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、水酸化第二銅、臭化第二銅、リン酸第二銅、硝酸第一銅、硝酸第二銅、炭酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅等が好ましい。その中でも特に、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、硫酸銅、酢酸第二銅は容易に入手可能で安価な点で好適である。
反応は、溶媒の存在下又は不存在下に実施できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、一般式(11)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.01〜20倍重量の範囲であるのが好ましく、0.1〜10倍重量の範囲であるのがより好ましい。本反応の場合、溶媒を特に使用しなくてもアリル化合物を効率よく製造できる。
特に、塩基性物質を水溶液として反応に用いる場合、反応を促進させるために相間移動触媒を使用するのが好ましい。相間移動触媒に特に制限はないが、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリド等のホスホニウム塩;15−クラウン−5,18−クラウン−6等のクラウンエーテル等が挙げられる。相間移動触媒を使用する場合、その使用量は、一般式(10)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.001〜1当量の範囲であるのが好ましく、0.01〜0.4当量の範囲であるのがより好ましい。
反応温度は、十分な反応速度を得、かつ副反応を効果的に抑え高収率を得る意味において、通常、−30〜150℃の範囲であるのが好ましく、−10〜130℃の範囲であるのがより好ましい。また、反応時間は10分〜15時間の範囲であるのが好ましく、副反応抑制の観点からは10分〜10時間の範囲であるのが好ましい。
反応は、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下で実施するのが好ましい。また、反応は大気圧下でも加圧下でも実施できるが、製造設備面の観点からは、大気圧下で実施するのが好ましい。反応は、例えば攪拌型反応装置に原料を一度に、又は分割して仕込み、上記「0028」記載の所定温度で所定時間反応させることにより行なうことができる。
反応終了後、得られた反応混合液を中和した後、必要に応じて水、飽和食塩水等で洗浄してから濃縮し、更に蒸留、カラムクロマトグラフィー等の、有機化合物の精製において通常用いられる精製操作を行なうことによって、純度の高い化合物を取得できる。得られたアリル化合物を後述する重合方法で重合することによって、アリル系重合体が得られる。
アリル系重合体の重合方法は、特に限定されず、通常の重合反応を用いることができる。重合反応には、必要に応じて、適宜重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤を用いることで、より高分子量の重合体を短時間に得ることができる。
重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ開始剤、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物開始剤、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン等のイオウ系、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等のベンジル系の光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、アリル化合物100重量部に対して、5.0重量部以下であることが好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましく、0.001〜3.0重量部であることが更に好ましい。
重合時の反応温度は60〜240℃であることが好ましく、80〜220℃であることがより好ましい。反応時間は、0.1〜100時間であることが好ましく、1〜30時間であることがより好ましい。
より具体的には、上記一般式(1)で表されるアリル化合物を上述の方法等により重合することにより、上記一般式(1)で表されるアリル化合物に基づく単量体単位を有するアリル系重合体を調製できる。
本発明におけるアリル系重合体の重量平均分子量は、500,000以下であることが好ましく、400,000以下であることがより好ましく、2,000〜150,000であることが特に好ましく、5,000〜140,000であることがさらに好ましい。なお、明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製、GPCシステム)を用いて40℃で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。なお、チオール変性ポリマー(チオール化合物で変性したポリマー)の重量平均分子量も同様の方法で測定することができる。
上記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位の含有量は、アリル系重合体を構成する単量体単位の合計100重量%中、20重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましく、98重量%以上であることが特に好ましく、100重量%であってもよい。
チオール化合物
変性(エンチオール反応)に用いるチオール化合物は、アリル系重合体のペンダントアリル基と反応できるものであれば特に問題なく、用いることができる。例えば、脂肪族チオール化合物、芳香族チオール化合物、脂肪族ポリチオール化合物、メルカプトカルボン酸エステル化合物、メルカプトカルボン酸、メルカプトエーテルを例示することができる。
脂肪族チオール化合物としては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール(n−プロピルメルカプタン)、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール(n−ブチルメルカプタン)、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、2−ペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール(n−ヘプチルメルカプタン)、2−へプチルチオール、1−オクチルチオール(n−オクチルメルカプタン)、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、2,4,4−トリメチル−2−ペンチルチオール(tert−オクチルメルカプタン)、1−ノニルチオール(n−ノニルメルカプタン)、tert−ノニルチオール(tert−ノニルメルカプタン)、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ウンデシルチオール、1−ドデシルチオール、tert−ドデシルチオール(tert−ドデシルメルカプタン)、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、1−ペンチルデシルチオール、1−ヘキシルデシルチオール、1−ヘプチルデシルチオール、1−オクチルデシルチオール、ノナデシルチオール、エイコサンチオール、トリアコンタンチオール、テトラコンタンチオール、ペンタコンタンチオール、ヘキサコンタンチオール、ヘプタコンタンチオール、オクタコンタンチオール、ノナコンタンチオール、ヘクタンチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール等を例示することができる。なかでも、1−ドデシルチオール、2-エチルヘキシルチオールが好ましい。
芳香族チオール化合物として、ベンゼンチオール、フェニルメタンチオール、キシレンチオール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−チオビス−ベンゼンチオール、4,4'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、ベンジルチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、2−ナフタレンチオール、2−ピリジルチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等を例示することができる。
脂肪族ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等のジチオール化合物;1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス((メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル)イソシアヌレート等のトリチオール化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブタネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等のSH基を4個以上有するチオール化合物を例示することができる。
メルカプトカルボン酸エステル化合物として、メルカプト酢酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸4−メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリル、1,4−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート等を例示することができる。なかでも、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルが好ましい。
その他のチオール化合物として、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプトオクタン酸、メルカプトステアリン酸、チオグリコール酸等のメルカプトカルボン酸;ジ(メルカプトエチル)エーテル等のメルカプトエーテル;2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール等のメルカプトアルコール化合物;(γ−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン及び(γ−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン等のシラン含有チオール化合物等を例示することができる。
アリル系重合体のペンダントアリル基との反応性の点で、脂肪族チオール化合物、芳香族チオール化合物、脂肪族ポリチオール、メルカプトカルボン酸エステル化合物、メルカプトカルボン酸、メルカプトエーテルが好ましく、脂肪族チオール化合物、メルカプトカルボン酸エステル化合物がより好ましい。上記チオール化合物であれば、問題なくアリル系重合体のペンダントアリル基を変性することができる。
エンチオール反応
エンチオール反応は、不飽和化合物(アリル化合物、アリル化合物を重合したアリル系重合体等)とチオール化合物とを接触させることにより進行するが、通常、アリル化合物及びチオール化合物を含む反応系に、活性エネルギー(又は活性エネルギー線)を付与することにより反応(エンチオール反応)させてもよい。活性エネルギーの付与により、容易にエンチオール反応を進行させることができる。
活性エネルギーとしては、重合開始剤の種類等に応じて、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(特に、少なくとも光エネルギー)を利用できる。
熱エネルギーを付与(又は加熱)する場合、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃程度であってもよい。なお、熱エネルギーの付与(加熱)は、開始剤として熱重合開始剤を用いた場合だけでなく、光重合開始剤を使用した場合にも行ってもよい。
また、光エネルギーを付与(又は照射)する場合(例えば、光重合開始剤を使用する場合等)、光としては、放射線(ガンマー線、X線等)、紫外線、可視光線等が利用できるが、通常、紫外線である場合が多い。なお、開始剤として熱重合開始剤を使用する場合には、光エネルギーの照射は必ずしも必要ではない。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、ディープ(Deep)UVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ、UV−LEDランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザー等の光源)等を用いることができる。光の波長は、例えば、150〜800nm、好ましくは150〜600nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に300〜400nm)程度であってもよい。照射光量(照射エネルギー)は、特に限定されず、1mW〜10000W(例えば、0.05〜7000W)程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜5000W、好ましくは1〜3000W、さらに好ましくは10〜2000W(例えば、30〜1000W)程度であってもよい。また、照射時間は、特に限定されず、例えば、5秒〜5時間、好ましくは10秒〜2時間、さらに好ましくは30秒〜1時間程度であってもよく、通常1〜30分程度であってもよい。なお、熱エネルギー(加熱)と光エネルギー(光照射)とを組み合わせてもよい。
エンチオール反応に用いる重合開始剤は、活性エネルギー線の種類に応じて、熱重合開始剤、光重合開始剤から選択すればよく、熱重合開始剤として、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイド等)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイド等)等]、過酸エステル類(過酢酸tert−ブチル、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等の過カルボン酸アルキルエステル等)、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類等の有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)等]等のアゾ化合物を例示することができる。
光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;アシルフォスフィンオキサイド類及びキサントン類、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2,(0−ベンゾイルオキシム)] 等のオキシムエステル系、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート等のオニウム塩系を例示することができる。中でも、アセトフェノン類が好ましい。
エンチオール反応におけるチオール化合物の使用量は、特に制限されないが、以下の計算方法により算出することができる。エンチオール反応に用いるアリル系重合体のヨウ素価からアリル系重合体の官能基数を求め、アリル系重合体の分子量とアボガドロ定数より、アリル系重合体1g中の官能基数(アリル系重合体の官能基数)を算出する。エンチオール反応に用いるチオール化合物の分子量とアボガドロ定数より、チオール化合物1g中の分子数(チオール化合物の分子数)を算出する。算出した値より、(アリル系重合体の官能基数/チオール化合物の分子数)×使用するアリル系重合体の重量=エンチオール反応に用いるチオール化合物の使用量を求めることができる。なお、アリル系重合体のヨウ素価は、JIS K6235に定める方法に従って測定することができる。
エンチオール反応におけるアリル系重合体のペンダントアリル基のチオール変性率は、NMRピーク積分値((反応前のアリル系重合体のNMRピーク積分値−反応後のポリマーのNMRピーク積分値)÷反応前のアリル重合体のNMRピーク積分値)より算出することができる。チオール化合物で変性したポリマーのペンダントアリル基のチオール変性率は、30%以上であればよく、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、チオール変性ポリマーの重量平均分子量は、変性前の重合体の重量平均分子量より増加する。
チオール化合物で変性したポリマーの重量平均分子量(Mw)は、600,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることが更に好ましく、200,000以下であることが特に好ましく、100,000以下であることが最も好ましい。また、該Mwは、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが更に好ましく、20,000以上であることが特に好ましく、30,000以上であることが最も好ましい。
チオール化合物で変性したポリマーの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.0〜10.0が好ましく、3.0〜5.0がより好ましい。
本明細書において、チオール化合物で変性したポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は実施例に記載の方法により測定される値である。
光硬化性樹脂組成物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化前の樹脂組成物であり、少なくとも上述したチオール化合物で変性したポリマーを含有する組成物である。
光硬化性樹脂組成物中のチオール化合物で変性したポリマーの含有量は、光硬化性樹脂組成物全量に対して、1〜70重量%の範囲であればよく、2.5〜65重量%の範囲であることが好ましく、5〜60重量%の範囲であることがより好ましい。上限は40重量%が更に好ましく、30重量%が特に好ましく、20重量%が最も好ましい。
エチレン性不飽和化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光照射により硬化可能であるエチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。エチレン性不飽和化合物は、炭素−炭素二重結合を1〜20個有することが好ましく、1〜10個有することがより好ましく、1〜6個有することがさらに好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アリル化合物及びビニル化合物等が挙げられる。また、エチレン性不飽和化合物は2種以上の化合物の混合物を用いることも可能である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アルキルアルコール、アルキルジオール、フェノキシアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、及びそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したものの(メタ)アクリル酸エステル化合物;エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキッド(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;エポキシ化大豆油アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物を例示することができ、好ましくはアルキルアルコール、アルキルジオール、フェノキシアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、及びそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、より好ましくはアルキルアルコール、アルキルジオール、フェノキシアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、ジトリメチロールプロパン等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、及びそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
(メタ)アリル化合物としては、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等を例示することができる。
ビニル化合物としては、スチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、酢酸ビニル等を例示することができる。
中でも、チオール化合物で変性したポリマーとの相溶性、光硬化した際の硬化性の点で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクレート等のトリ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、エトキシ化フェノールアクリレート等のフェノキシ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物中におけるチオール化合物で変性したポリマー100重量部に対して、50〜1500重量部であることが好ましく、50〜1200重量部であることがより好ましく、100〜900重量部であることがさらに好ましい。
また、光硬化性樹脂組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の粘度が1〜3000mPa・s(特には、1〜2000)(25℃)の範囲内になるように添加することが好ましい。具体的には、チオール化合物で変性したポリマーとエチレン性不飽和化合物の比率が、チオール化合物で変性したポリマー:エチレン性不飽和化合物=5:95〜70:30の範囲であることが好ましく、5:95〜60:40の範囲内であることがより好ましい。
その他の添加物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、重合開始剤を含んでいてもよく、特に光重合開始剤を含有することが好ましい。光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン等のイオウ系、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等のジベンジル系が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜15重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜12重量%の範囲がより好ましく、1〜10重量%の範囲がさらに好ましい。
光硬化性樹脂組成物には、光開始助剤(例えば、トリエタノールアミン等のアミン系光開始助剤)を併用してもよい。
光開始助剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜5重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜3重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、種々の添加剤、例示すれば、安定剤(例えば、ハイドロキノン、メトキノン等の重合禁止剤)、顔料(例えば、シアニンブルー、ジスアゾエロー、カーミン6B、レーキッドC、カーボンブラック、チタンホワイト)等の着色剤、充填剤、粘度調整剤等の各種添加剤を目的に応じて含有することができる。光硬化性樹脂組成物に含有される安定剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.01〜2重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜1重量%の範囲がより好ましい。着色剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、1〜50重量%の範囲であることが好ましく、1〜45重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、チオール化合物で変性したポリマーに、必要に応じてエチレン性不飽和化合物、さらには、光重合開始剤、光開始助剤、添加剤(例えば、安定剤、顔料)を混合することによって製造できる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を照射することによって硬化する。硬化に用いる光は、一般に紫外線である。
光硬化性樹脂組成物の硬化反応に用いる硬化装置、また、硬化条件は特に限定されず、通常の光硬化反応に用いられる方法であればよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されない。インキ(例えば、光硬化性平版用印刷インキ、シルクスクリーンインキ、グラビアインキ、インクジェット等の印刷インキ)、塗料(例えば、紙用、プラスチック用、金属用、木工用等の塗料、例示すれば、オーバープリントワニス)、接着剤、フォトレジスト等の技術分野において使用できる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を含むインキは本発明のインキであり、本発明の光硬化性樹脂組成物を含む塗料は本発明の塗料である。また、本発明の塗料はオーバープリントワニスであることが好ましい。
例えば、インキの一般的作製方法は次のとおりである。エチレン性不飽和化合物にチオール化合物で変性したポリマー、及び安定剤等を60℃〜100℃の温度で攪拌しながら溶解させワニスを作製する。このワニスに、顔料、光重合開始剤、その他添加剤を、バタフライミキサーで撹拌混合後、3本ロール等で練肉することでインキが得られる。また、オーバープリントワニスの作成は、顔料を使用しない以外は、インキと同様の手順により行える。
(実施例)
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
(分析方法)
後述するチオール化合物で変性したポリマーの分析は、下記に記載の方法を用いて行った。
チオール化合物で変性したポリマーの重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用いて測定した。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量の値である。
カラム:2つのShodexLF−804を直列に接続
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出器:RID−20A
試料:試料50mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解させ測定用のサンプルとした。
NMR測定
製造に用いたアリル系重合体、チオール化合物、光重合開始剤、得られたチオール変性ポリマーの各NMR測定は、1H NMR(500MHz,CDCl3中)で測定した。測定した各NMRスペクトルを図1〜3に示す。
ヨウ素価測定
製造に用いたアリル系重合体のヨウ素価は、JIS K6235に定める方法に従って測定した。
製造例1 1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルの合成
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルは、シクロヘキサンジカルボン酸無水物とアリルアルコールを上述したアリル化合物の製造方法に従って製造した。得られた1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルを実施例に用いた。
製造例2 1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルポリマーの合成
3Lのセパラブルフラスコに製造例1で得られた1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル2400gを加え、60gのベンゾイルパーオキサイドを加えて80℃で加熱攪拌した。2.5時間反応させた後、30℃まで冷却した。冷却後、フラスコにメタノールを加え、重合体を沈殿させた。得られた重合体を40℃で16時間減圧乾燥した(収量:408g、収率:17%、Mw=3.2万、Mw/Mn=2.8)。得られた重合体を重合体1とした。重合体1のヨウ素価は55であった。
製造例3 チオール化合物で変性したポリマー樹脂(ポリマー1)の合成
撹拌子を入れた200mLのナスフラスコに製造例2で得られた重合体1を4g加え、メチルエチルケトン20gを添加し、25℃、60分攪拌し溶解させた。ここに、3‐メルカプトプロピオン酸2‐エチルヘキシル(和光純薬工業社製)1.9g、光重合開始剤(Irgacure 184)118mgを加え、10分撹拌し溶解した。25℃で撹拌しながら、光照射装置(LIGHTNINGCURE LC6 モデルL8858−01 浜松ホトニクス社製、ランプ種類:水銀キセノンランプ 中心波長365nm 放射波長:300nm〜450nm)を用いて、60秒間照射してエンチオール反応を行った。なお、積算光量測定は、アイ紫外線積算照度計:UVPF−A1 受光器:PD−365(アイグラフィックス社製)を用いて行った。測定値は、60秒で、6100mJ/cmであった。ロータリーエバポレーターを用いて反応後の溶液を2倍濃縮した。得られた反応溶液を撹拌下のメタノール400mLに添加し、ポリマーを沈殿させた。沈殿した固体を、40℃で真空乾燥を6時間行い、チオール化合物で変性したポリマー(ポリマー1)を得た。得られたチオール変性ポリマーのNMR測定、GPC測定を行った(収量:4.1g,Mw=6.1万,Mw/Mn=3.9)。チオール変性ポリマーのペンダントアリル基のチオール変性率は、アリル基を示す5.9ppmのNMRピーク積分値(反応前のアリル系重合体のNMRピーク積分値(31.9502)−反応後のポリマーのNMRピーク積分値(1.7774))÷反応前のアリル重合体のNMRピーク積分値(31.9502)より算出し、94.4%のアリル基が変性されていた。
製造例4 チオール化合物で変性したポリマー樹脂(ポリマー2)の合成
製造例3のチオール化合物を1−ドデシルチオール1.8gに変更した以外は同様の方法で行い、チオール化合物で変性したポリマー(ポリマー2)を得た。得られたチオール変性ポリマーのNMR測定、GPC測定を行った(収量:4.7g,Mw=4.3万,Mw/Mn=3.7)。チオール変性ポリマーのペンダントアリル基のチオール変性率は、アリル基を示す5.9ppmのNMRピーク積分値(反応前のアリル系重合体のNMRピーク積分値(773.9509)−反応後のポリマーのNMRピーク積分値(110.6631))÷反応前のアリル重合体のNMRピーク積分値(773.9509)より算出し、85.7%のアリル基が変性されていた。
製造例5 チオール化合物で変性したポリマー樹脂(ポリマー3)の合成
製造例3のチオール化合物を2−エチルヘキシルチオール1.2gに変更した以外は同様の方法で行い、チオール化合物で変性したポリマー(ポリマー3)を得た。得られたチオール変性ポリマーのNMR測定、GPC測定を行った(収量:4.4g,Mw=4.4万,Mw/Mn=3.6)。チオール変性ポリマーのペンダントアリル基のチオール変性率は、アリル基を示す5.9ppmのNMRピーク積分値(反応前のアリル系重合体のNMRピーク積分値(86.5927)−反応後のポリマーのNMRピーク積分値(14.6921))÷反応前のアリル重合体のNMRピーク積分値(86.5927)より算出し、83.0%のアリル基が変性されていた。
実施例1、2、3、比較例1、2
下記表1に記載の各組成の光硬化性樹脂組成物を調製し、光硬化性樹脂組成物の特性を評価した。
Figure 0006784294
表1に示した成分は下記のとおりである。
また、表1に示す組成量は重量部である。
ポリマー1;製造例3で得られた変性ポリマー
ポリマー2;製造例4で得られた変性ポリマー
ポリマー3;製造例5で得られた変性ポリマー
DPGDA;ジプロピレングリコールジアクリレート (新中村化学工業(株)製)
Irgacure184(BASFジャパン(株)製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
速乾性の評価
調製した各光硬化性樹脂組成物100重量部に対して光重合開始剤としてIrgacure184(BASFジャパン(株)製)を10重量部添加し、加熱混合することで速乾性の評価に用いるサンプルを調製した。
プラスチック基材(ポリプロピレン基材:東洋紡株式会社製 二軸延伸フィルム 品名:パイレンフィルム−OT P2161 厚み50μm)に、密着性試験に用いるために調製した上記サンプルをワイヤーバー(コーティングロッド)を用いてコートし、出力160W/cmのメタルハライドランプ(ランプ距離14cm、光量約200mW/cmで塗膜がタックフリーになるまでの時間光照射)で硬化させた。なお、UV硬化装置はウシオ電機社製ボックス型紫外線硬化装置を用いた。得られた塗膜を指触することで速乾性を確認した。積算光量4456mJ/cm未満で硬化したものを○、積算光量4456mJ/cm以上で硬化したものを×とした。評価結果を表2に示す。
密着性試験
調製した光硬化性樹脂組成物を、速乾性試験と同様の方法でプラスチックフィルムにコートし、硬化させた。得られた塗膜に、ニチバン社製24mm幅のセロテープ(登録商標)(品番:CT−24、粘着力:4.01N/10mm)を貼り付け、親指で5回強く擦った後、セロテープ(登録商標)を引き離した。評価基準は下記の通りとした。評価結果を表2に示す。
3:徐々に引き離しても全く剥離しないもの。
2:徐々に引き離しても、50%程度剥離するもの。
1:徐々に引き離しても剥離するもの。
粘度
調製した光硬化性樹脂組成物を使用し、速乾性試験と同様の方法でサンプル調整した。Thermo Fisher SCIENTIFC HAAKE MARS3を用いて30℃での粘度を測定した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006784294
実施例1〜3に示すように、チオール化合物で変性したポリマー1〜3を用いて調製した光硬化性樹脂組成物は、比較例1に示すようなチオール化合物で変性していない重合体を用いて調製した光硬化性樹脂組成物と同等の乾燥性を有する。そして、チオール化合物で変性していない重合体を用いて調製した比較例1や無添加の比較例2の光硬化性樹脂組成物では密着が難しいポリプロピレンシートへの密着性にも優れる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)、
    Figure 0006784294
    [式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Zは飽和のn価の脂環式炭化水素基である]
    で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル系重合体を、チオール化合物で変性したことを特徴とするポリマー。
  2. 前記チオール化合物が、脂肪族チオール化合物、芳香族チオール化合物、脂肪族ポリチオール化合物、メルカプトカルボン酸エステル化合物、メルカプトカルボン酸、メルカプトエーテルのいずれかのチオール化合物である請求項1に記載のポリマー。
  3. 請求項1又は2に記載のポリマーを含有する光硬化性樹脂組成物。
  4. 更に、エチレン性不飽和化合物(B)を含有する請求項3に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 更に、光重合開始剤を含有する請求項3又は4に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
  8. オーバープリントワニスである請求項7に記載の塗料。
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