JP2016186017A - チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂、及び当該樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物とその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、エチレン性不飽和化合物との相溶性のよい組成物を構成することができる光硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
チオール化合物で変性したことを特徴とするジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物、並びにその光硬化性樹脂組成物を含有するインキ、及び塗料を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂、当該変性したジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物、並びにその樹脂組成物を用いてなるインキ、及び塗料に関する。さらに詳しくは、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れた光硬化性樹脂組成物に関する。
従来、光(例えば、紫外線)により硬化させる種々の樹脂組成物は、インキ、塗料、接着剤、フォトレジスト等に使用されている。例えば、紫外線硬化タイプの印刷インキは、硬化速度が速く短時間で硬化できること、溶剤を使わないので環境に適合していること、省資源・省エネルギーであること等の点が高く評価され実用化が広がっている。
そのような樹脂組成物の中で、ジアリルフタレート(ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等)から誘導されたジアリルフタレート樹脂を含有する樹脂組成物は、紙用のUVオフセットインキとして採用されている。
しかしながら、オフセットインキとして用いる際にジアリルフタレート樹脂を配合するとプラスチック基材との密着性が充分でないことが知られている(例えば、特許文献1)。近年、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)といった様々な種類のプラスチック製品が市販されており、ジアリルフタレート樹脂の欠点であるプラスチック基材との密着性の向上が求められている。
特開昭52-4310号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、エチレン性不飽和化合物との相溶性のよい組成物を構成することができる光硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、エチレン性不飽和化合物を含有する光硬化性樹脂組成物において、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂を添加することで、プラスチック基材との密着性に優れ、相溶性のよい樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、チオール化合物で変性したことを特徴とするジアリルフタレート樹脂である。
さらに、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂を(さらには、エチレン性不飽和化合物を)含有する光硬化性樹脂組成物は、プラスチック基材に対する密着性に優れた光硬化性樹脂組成物となる。
また、この光硬化性樹脂組成物は特にPP(ポリプロピレン)樹脂に対する密着性に優れる。
これは、ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基をチオール化合物で変性させることによって、ジアリルフタレート樹脂の極性が低下し、PP樹脂の極性に近づくことで、PP樹脂に対しての密着性の観点で好ましい組み合わせとなっているためと考えられる。
そのため、従来のジアリルフタレート樹脂を用いた組成物では、密着性を高くすることが困難であったPP樹脂用のインキ、塗料の成分として適している。
また、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂は、従来のジアリルフタレート樹脂が相溶しない極性の低いエチレン性不飽和化合物との相溶性が良い組成物を構成することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、さらに、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することによって、光照射による重合がスムーズに進むため、より高分子量の重合体を短時間で得ることができる。
本発明のインキは、本発明の光硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする。このインキは、プラスチック基材に印刷するためのインキとして適しており、特にPP樹脂製のシート、フィルム等の基材に印刷するためのインキとして適している。
本発明の塗料は、本発明の光硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする。この塗料は、プラスチック基材に描画するための塗料として適しており、特にPP樹脂製のシート、フィルム等の基材に描画するための塗料として適している。また、本発明の塗料はオーバープリントワニスであることが好ましい。
本発明によれば、インキ、塗料、接着剤およびフォトレジストが、合成高分子の基材、特にプラスチック基材に対して密着性に優れる光硬化性樹脂組成物が得られる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、インキ、塗料に好適に用いることができる。
NMRスペクトルを示す。(A)は製造例1で用いたジアリルフタレート樹脂のNMRスペクトル、(B)は製造例1で用いたドデカンチオールのNMRスペクトル、(C)が製造例1で得られたチオール変性ジアリルフタレート樹脂のNMRスペクトルを表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂
本発明におけるチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂は、ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基とチオール化合物をエンチオール反応させることによって、変性させたものであれば、特に制限なく用いることができる。
変性に用いるジアリルフタレート樹脂は、ペンダントアリル基を有するものであれば特に問題なく用いることができ、例えば、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレート樹脂に代表され、これらの単独、あるいは二種以上の混合物であってよい。また、ジアリルフタレート樹脂は、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
変性に用いるジアリルフタレート樹脂の分子量は、特に限定されないが、溶媒への溶解性、硬化性が向上する点で、重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましく、20,000〜60,000であることがさらに好ましい。尚、重量平均分子量はGPCにより測定され、標準ポリスチレン換算で表されるものである。
変性に用いるジアリルフタレート樹脂のヨウ素価は、特に限定されないが、例えば、ヨウ素価40〜110g/100gの範囲であればよく、45〜100g/100gの範囲であることが好ましい。なお、ヨウ素価とは、試料100gに結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値であり、試料の不飽和度を表わすものである(JIS K 6235)。ヨウ素価(g/100g)が小さいほど、試料の不飽和度が小さいことを示す。
変性(エンチオール反応)に用いるチオール化合物は、ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基と反応できるものであれば特に問題なく、用いることができる。例えば、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール等の炭素数1〜20(例えば、炭素数3〜20が好ましく、炭素数4〜18がより好ましい。)の脂肪族チオール化合物、ベンゼンチオール、フェニルメタンチオール、α−トルエンチオール、ナフタレンチオール等の芳香族チオール化合物、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、シクロヘキサンジチオール等の脂肪族ポリチオール類、3‐メルカプトプロピオン酸メチル、3‐メルカプトプロピオン酸エチル、3‐メルカプトプロピオン酸2‐エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸オクタデシル、メルカプト酢酸エチル、メルカプト酢酸オクチル、トリメチロールプロパントリス‐3‐メルカプトプロピオネート、トリス‐[(3‐メルカプトプロピオニルオキシ)‐エチル]‐イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトール ヘキサキス3‐メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等のメルカプトカルボン酸エステル化合物を例示することができ、ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基との反応性の点で、脂肪族チオール化合物、メルカプトカルボン酸エステル化合物が好ましく、中でも脂肪族チオール化合物がより好ましい。上記チオール化合物であれば、問題なくジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基を変性することができる。
ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基とチオール化合物の変性反応(エンチオール反応)は、通常のエンチオール反応によって、行うことができる。本発明の変性反応は、反応温度20〜40℃、例えば、20〜30℃であることが好ましい。反応時間は、1分〜60分、例えば、1分〜30分であることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化前の樹脂組成物であり、少なくとも上述したチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂を含有する組成物である。
光硬化性樹脂組成物中のチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂の含有量は、光硬化性樹脂組成物全量に対して、1〜70重量%の範囲であればよく、2.5〜65重量%の範囲であることが好ましく、5〜60重量%の範囲であることがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光照射により硬化可能であるエチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。エチレン性不飽和化合物は、炭素−炭素二重結合を1〜20個有することが好ましく、1〜10個有することがより好ましく、2〜6個有することがさらに好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アリル化合物およびビニル化合物等が挙げられる。また、エチレン性不飽和化合物は2種以上の化合物の混合物を用いることも可能である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、およびそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したものの(メタ)アクリル酸エステル化合物;エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキッド(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;エポキシ化大豆油アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物を例示することができ、好ましくはペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、およびそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、より好ましくはペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物、およびそれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
(メタ)アリル化合物としては、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等を例示することができる。
ビニル化合物としては、スチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、酢酸ビニル等を例示することができる。
中でも、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂との相溶性、光硬化した際の硬化性の点で、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクレート等のトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートがより好ましい。
本発明の物光硬化性樹脂組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物中におけるチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂100重量部に対して、50〜1000重量部であることが好ましく、100〜900重量部であることがより好ましく、100〜750重量部であることがさらに好ましい。
また、光硬化性樹脂組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の粘度が100〜300Pa・s(25℃)の範囲内になるように添加することが好ましい。具体的には、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂とエチレン性不飽和化合物の比率が、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂:エチレン性不飽和化合物=10:90〜70:30の範囲であることが好ましく、20:80〜60:40の範囲内であることがより好ましい。
その他の添加物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、重合開始剤を含んでいてもよく、特に光重合開始剤を含有することが好ましい。光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン等のイオウ系、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等のジベンジル系が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜15重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜12重量%の範囲がより好ましく、1〜10重量%の範囲がさらに好ましい。
光硬化性樹脂組成物には、光開始助剤(例えば、トリエタノールアミン等のアミン系光開始助剤)を併用してもよい。
光開始助剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜5重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜3重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、種々の添加剤、例示すれば、安定剤(例えば、ハイドロキノン、メトキノン等の重合禁止剤)、顔料(例えば、シアニンブルー、ジスアゾエロー、カーミン6B、レーキッドC、カーボンブラック、チタンホワイト)等の着色剤、充填剤、粘度調整剤等の各種添加剤を目的に応じて含有することができる。光硬化性樹脂組成物に含有される安定剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.01〜2重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜1重量%の範囲がより好ましい。
着色剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、1〜50重量%の範囲であることが好ましく、1〜45重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂に、必要に応じてエチレン性不飽和化合物、さらには、光重合開始剤、光開始助剤、添加剤(例えば、安定剤、顔料)を混合することによって製造できる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を照射することによって硬化する。硬化に用いる光は、一般に紫外線である。
光硬化性樹脂組成物の硬化反応に用いる硬化装置、また、硬化条件は特に限定されず、通常の光硬化反応に用いられる方法であればよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されない。インキ(例えば、光硬化性平版用印刷インキ、シルクスクリーンインキ、グラビアインキ等の印刷インキ)、塗料(例えば、紙用、プラスチック用、金属用、木工用等の塗料、例示すれば、オーバープリントワニス)、接着剤、フォトレジスト等の技術分野において使用できる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を含むインキは本発明のインキであり、本発明の光硬化性樹脂組成物を含む塗料は本発明の塗料である。また、本発明の塗料はオーバープリントワニスであることが好ましい。
例えば、インキの一般的作製方法は次のとおりである。エチレン性不飽和化合物にチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂、及び安定剤等を60℃〜100℃の温度で攪拌しながら溶解させワニスを作製する。このワニスに、顔料、光重合開始剤、その他添加剤を、バタフライミキサーで撹拌混合後、3本ロール等で練肉することでインキが得られる。
また、オーバープリントワニスの作成は、顔料を使用しない以外は、インキと同様の手順により行える。
(実施例)
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(分析方法)
後述する原料及びチオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂の分析は、下記に記載の方法を用いて行った。
チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用いて測定した。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量の値である。
カラム:ShodexKF-806L、KF-804、KF-803、KF-802、KF-801を直列に接続
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出器:SPD−6A(UV波長254nm、ABSORB2.56)
試料:試料4mgをテトラヒドロフラン8mLに溶解させ測定用のサンプルとした。
NMR測定
製造に用いたジアリルフタレート樹脂、チオール化合物、得られたチオール変性ジアリルフタレート樹脂の各NMR測定は、1H NMR(270MHz,CDCl3中)で測定した。測定した各NMRスペクトルを図1に示す。
ヨウ素価測定
製造に用いたジアリルフタレート樹脂並びに、製造で得られたチオール変性ジアリルフタレート樹脂は、JIS K0070に定める方法に従って測定した。
製造例1 チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂の合成
撹拌子を入れた1Lのセパラブルフラスコにアセトン100gを加え、撹拌しながらジアリルフタレート樹脂(ダイソー(株)製;DAP A:MW5.5万、ヨウ素価55.5)30gを添加し、25℃、60分加熱攪拌し溶解させた。ここに、ドデカンチオール(和光純薬製)13.2gを加え、10分撹拌し溶解した。25℃で撹拌しながら、光照射装置(LIGHTNINGCURE LC6 モデルL8858-01 浜松ホトニクス製、ランプ種類:水銀キセノンランプ 中心波長365nm 放射波長:300nm〜450nm)を用いて、30分間照射してエンチオール反応を行った。なお、積算光量測定は、アイ紫外線積算照度計:UVPF-A1 受光器:PD-365(アイグラフィックス製)を用いて行った。測定値は、60秒で、6100mJ/cm2であった。反応後の溶液にメタノール500gを添加し、ポリマーを沈殿させた。メタノールによる洗浄を合計3回繰り返し、沈殿した固体を、室温(25℃)で真空乾燥を8時間行い、チオール化合物で変性したジアリルフタレート樹脂(樹脂1)を得た。得られたチオール変性ジアリルフタレート樹脂のNMR測定、GPC測定、ヨウ素価測定を行った。(収量:30.5g,Mw=5.9万,Mw/Mn=4.2、ヨウ素価;51.6)。ジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基のチオール変性率はヨウ素価((反応前のジアリルフタレート樹脂のヨウ素価−反応後のジアリルフタレート樹脂のヨウ素価)÷反応前のジアリルフタレート樹脂のヨウ素価)より算出し、7%のアリル基が変性されていた。また、図1に示すように、ジアリルフタレート樹脂(A)のNMRスペクトルに見られなかったピークが、得られた変性ジアリルフタレート樹脂(C)のNMRスペクトル(1.85ppm付近)に確認でき、ジアリルフタレート樹脂がチオール化合物によって変性されていることが確認できた。
実施例1、2、比較例1、2
下記表1に記載の各組成の光硬化性樹脂組成物を調製し、光硬化性樹脂組成物の特性を評価した。
表1に示した成分は下記のとおりである。
また、表1に示す組成量は重量部である。
樹脂1;製造例1で得られた変性ジアリルフタレート樹脂
樹脂2:ダイソーダップ(ダイソー(株)製;DAP A)
3PO−TMPTA:Sartomer製 3モルプロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
DTMPTA;Sartomer製 ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
IRGANOX1076:BASFジャパン(株)製 (オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
光硬化性樹脂組成物の溶解性の評価
樹脂、エチレン性化合物を上記表1に記載の各組成量添加し、100℃に加熱混合して光硬化性樹脂組成物を調製した。室温に冷却後、1日経過したものの外観が透明であるかで溶解性を確認した。冷却後も外観が透明であったものを〇、白濁したものを×とした。結果は表2に示す。
密着性試験
調製した各光硬化性樹脂組成物100部に対して光重合開始剤としてIrgacure907(BASFジャパン(株)製 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)を5部添加し、加熱混合することで密着性試験に用いるサンプルを調製した。
プラスチック基材(ポリプロピレン基材:龍田化学株式会社製 無延伸高透明PPシート 品名:ハイピークリスタル ST−500 厚み0.3mm)に、密着性試験に用いるために調製した上記サンプルをRIテスター(簡易展色機)を用いてコートし、出力120W/cmのメタルハライドランプ(ランプ距離11cm、コンベアスピード5m/minで塗膜がタックフリーになるまで複数回通過)で硬化させた。なお、UV硬化装置はアイグラフィックス株式会社製コンベア型紫外線硬化装置を用いた。得られた塗膜に、ニチバン製18mm幅のセロテープ(登録商標)(品番:LP−18、粘着力:4.01N/10mm)を貼り付け、親指で5回強く擦った後、セロテープ(登録商標)を引き離した。評価基準は下記の通りとした。評価結果を表2に示す。
なお、比較例1の光硬化性樹脂組成物は相溶性が悪いために密着性試験を行うことができなかった(評価は「−」で示した)。
3:徐々に引き離しても全く剥離しないもの
2:徐々に引き離しても、50%程度剥離するもの
1:徐々に引き離しても剥離するもの。
実施例1のチオール変性したジアリルフタレート樹脂は、比較例1でジアリルフタレート樹脂の溶解しないプロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートに溶解し、PPシート基材への密着性も向上した。これはジアリルフタレート樹脂のペンダントアリル基をチオール化合物で変性することにより、ジアリルフタレート樹脂の極性が低下し、エチレン性不飽和化合物(アクリレート化合物)への相溶性が良くなったためであると考えられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、インキ(例えば、オフセット用インキ)、塗料、接着剤、フォトレジスト等に使用できる。

Claims (8)

  1. チオール化合物で変性したことを特徴とするジアリルフタレート樹脂。
  2. 前記チオール化合物が、炭素数1〜20の脂肪族チオール化合物である請求項1に記載のジアリルフタレート樹脂。
  3. 請求項1または2に記載のジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物。
  4. 更に、エチレン性不飽和化合物(B)を含有する請求項3に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 更に、光重合開始剤を含有する請求項3または4に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
  8. オーバープリントワニスである請求項7に記載の塗料。
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