JP2016190907A - 光硬化性樹脂組成物、インキ及び塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、多官能アクリレート系化合物、ジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化可能な樹脂組成物、及びそれを含んでなるインキ、塗料に関する。さらに詳しくは、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、速乾性に優れたインクジェット印刷用、またはフレキソ印刷用光硬化性樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】(a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂とを含む光硬化性樹脂組成物であり、(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物、並びにその樹脂組成物を含有するインキ、塗料を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、多官能アクリレート系化合物と、ジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化可能な樹脂組成物、及びそれを含んでなるインキ、塗料に関する。さらに詳しくは、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、速乾性に優れたインクジェット印刷用、またはフレキソ印刷用光硬化性樹脂組成物に関する。
従来、光(例えば、紫外線)により硬化させる種々の樹脂組成物は、インキ、塗料、接着剤、フォトレジスト等に使用されている。例えば、紫外線硬化タイプの印刷インキは、硬化速度が速く短時間で硬化できること、溶剤を使わないので環境に適合していること、省資源・省エネルギーであること等の点が高く評価され実用化が広がっている。
そのような樹脂組成物の中で、ジアリルフタレート(ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等)から誘導されたジアリルフタレート樹脂を含有する樹脂組成物は、紙用のUVオフセットインキとして採用されている。
一方、光硬化性樹脂組成物は速乾性に優れるため、インクジェット印刷用インクや、フレキソ印刷用インクに広く用いられている。
特許文献1には、多官能アクリル酸エステルと、単官能アクリレート、及び重合開始剤を含有する光硬化性インクジェット用インクが記載されている。さらに詳しくは、多官能アクリル酸エステルとして、エチレンオキサイド変性(EO変性)やプロピレンオキサイド変性(PO変性)した多官能アクリル酸エステルを用いることで、硬化性に優れ、基材との密着性に優れることを記載しているが、EO変性・PO変性した多官能アクリル酸エステルはインキ中に添加した場合、インクの粘度が上昇するため、印刷する際のインクのジェッティングの点で目詰まりを起こす等の懸念があった。また、速乾性の点でさらなる向上が求められている。
特許文献2には、多官能アクリレートを用いたフレキソ印刷用インキが記載されている。しかしながら、速乾性の点やPP等のプラスチット基材との密着性の点でさらなる向上が求められている。
本発明の目的は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材との密着性に優れ、速乾性にも優れた多官能アクリレート系化合物とジアリルフタレート樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物、及びそれを含んでなるインキ、塗料を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、(a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂とを含む光硬化性樹脂組成物であり、
(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、
(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物が、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材に対する密着性に優れ、速乾性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、
(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物が、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材に対する密着性に優れ、速乾性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下に光硬化性樹脂組成物を提供する、
項1.(a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂とを含む光硬化性樹脂組成物であり、
(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、
(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
項2.前記光硬化性樹脂組成物の粘度が、1〜3000mPa・sの範囲である項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
項3.前記(a)多官能アクリレート系化合物が、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物である項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
項4. 更に、光重合開始剤を含有する項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
項7. オーバープリントワニスである項6に記載の塗料。
(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、
(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
項2.前記光硬化性樹脂組成物の粘度が、1〜3000mPa・sの範囲である項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
項3.前記(a)多官能アクリレート系化合物が、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物である項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
項4. 更に、光重合開始剤を含有する項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
項7. オーバープリントワニスである項6に記載の塗料。
本発明によれば、インキ、塗料、接着剤およびフォトレジストが、合成高分子の基材、特にプラスチック基材に対して密着性に優れ、速乾性にも優れる光硬化性樹脂組成物が得られる。本発明の組成物は、インクジェット印刷用、またはフレキソ印刷用等の組成物として有用である。
光硬化性樹脂組成物
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化前の樹脂組成物であり、少なくとも(a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化前の樹脂組成物であり、少なくとも(a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
本発明の光硬化性樹脂組成物中に用いられる(a)多官能アクリレート系化合物と(b)ジアリルフタレート樹脂との配合比((a)多官能アクリレート系化合物:(b)ジアリルフタレート樹脂)は、99:1〜70:30の範囲内で適宜選択することができ、中でも樹脂組成物の取扱い易さ、また硬化速度の点で、95:5〜75:25の範囲が好ましく、95:5〜80:20の範囲がより好ましい。上記範囲であれば、光硬化を行う際に十分な速乾性を得ることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、E型粘度計で測定した25℃における粘度が5000mPa・s以下であればよく、粘度が1〜3000mPa・sの範囲であることが好ましく、粘度が1〜1000mPa・sの範囲であることがより好ましく、粘度が1〜700mPa・sの範囲であることが特に好ましい。上記範囲であれば、印刷する際に、十分な印刷性が得られる。
(a)多官能アクリレート系化合物
本発明で用いる(a)多官能アクリレート系化合物は、多官能の(メタ)アクリレート化合物をいい、具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物を例示することができ、中でも、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましい。なお、本願発明における多官能アクリレート系化合物には、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性した多官能アクリレート系化合物は含まない。本発明に用いる多官能アクリレート系化合物は、合成したものを用いてもよく、市販しているものを用いることも可能である。
本発明で用いる(a)多官能アクリレート系化合物は、多官能の(メタ)アクリレート化合物をいい、具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物を例示することができ、中でも、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましい。なお、本願発明における多官能アクリレート系化合物には、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性した多官能アクリレート系化合物は含まない。本発明に用いる多官能アクリレート系化合物は、合成したものを用いてもよく、市販しているものを用いることも可能である。
本発明の光硬化性樹脂組成物中における(a)多官能アクリレート系化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物全量に対して、50重量%以上であればよく、60重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましい。(a)多官能アクリレート系化合物の含有量が50重量%未満となると、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、印刷上(特に、インクジェット印刷、フレキソ印刷等)での取扱いが不便となる。
また、(a)多官能アクリレート系化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物全量に対して、95重量%以下であればよく、93重量%以下であることが好ましく、91重量%以下であることがより好ましい。(a)多官能アクリレート系化合物の含有量が、95重量%を超えると、硬化被膜の収縮率が大きくなるため、プラスチック基材との密着性が悪くなる。
また、(a)多官能アクリレート系化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物全量に対して、95重量%以下であればよく、93重量%以下であることが好ましく、91重量%以下であることがより好ましい。(a)多官能アクリレート系化合物の含有量が、95重量%を超えると、硬化被膜の収縮率が大きくなるため、プラスチック基材との密着性が悪くなる。
組成物中の(a)多官能アクリレート系化合物の含有量として、50〜95重量%、50〜93重量%、50〜91重量%、60〜95重量%、60〜93重量%、60〜91重量%、65〜95重量%、65〜93重量%、65〜91重量%等の範囲が挙げられる。
(b)ジアリルフタレート樹脂
本発明で用いられる(b)ジアリルフタレート樹脂とは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレートに代表され、これらの単独、あるいは二種以上の混合物であってよい。また、(b)ジアリルフタレート樹脂は、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
本発明で用いられる(b)ジアリルフタレート樹脂とは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレートに代表され、これらの単独、あるいは二種以上の混合物であってよい。また、(b)ジアリルフタレート樹脂は、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
本発明の(b)ジアリルフタレート樹脂の分子量は特に限定されないが、溶媒への溶解性、硬化性が向上する点で、重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく、重量平均分子量が10,000〜100,000であることのより好ましく、重量平均分子量が20,000〜60,000であることがさらに好ましい。尚、重量平均分子量はGPCにより測定され、標準ポリスチレン換算で表されるものである。
光硬化性樹脂組成物中に含有される(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量は、光硬化性樹脂組成物中の(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1重量部以上であればよく、5重量部以上であることが好ましい。(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が1重量部未満となると、硬化被膜の収縮率が大きくなるため、プラスチック基材との密着性が悪くなる。
また、光硬化性樹脂組成物中に含有される(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量は、光硬化性樹脂組成物中の(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、100重量部以下であればよく、60重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が100重量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、印刷上(特に、インクジェット印刷、フレキソ印刷等)での取扱いが不便となる。
また、光硬化性樹脂組成物中に含有される(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量は、光硬化性樹脂組成物中の(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、100重量部以下であればよく、60重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が100重量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎてしまい、印刷上(特に、インクジェット印刷、フレキソ印刷等)での取扱いが不便となる。
組成物中の(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量として、光硬化性樹脂組成物中の(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、1〜60重量部、1〜45重量部、5〜100重量部、5〜60重量部、5〜45重量部等の範囲が挙げられる。上記範囲内であれば、プラスチック基材との十分な密着性が得られ、且つ印刷の際に、優れた速乾性が得られる。
その他添加剤
本発明の光硬化性樹脂組成物には、(a)多官能アクリレート系化合物以外の光照射により硬化可能であるエチレン性不飽和化合物をさらに含有させてもよい。エチレン性不飽和化合物は、1〜20、例えば1〜10、特に2〜6の炭素-炭素二重結合を有する化合物を例示することができる。具体的なエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アリル化合物およびビニル化合物が挙げられる。また、上記エチレン性不飽和化合物を2種以上組合せて混合物として用いてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物には、(a)多官能アクリレート系化合物以外の光照射により硬化可能であるエチレン性不飽和化合物をさらに含有させてもよい。エチレン性不飽和化合物は、1〜20、例えば1〜10、特に2〜6の炭素-炭素二重結合を有する化合物を例示することができる。具体的なエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アリル化合物およびビニル化合物が挙げられる。また、上記エチレン性不飽和化合物を2種以上組合せて混合物として用いてもよい。
(メタ)アリル化合物の例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル化合物、マレイン酸ジ(メタ)アリル、フマル酸ジ(メタ)アリル等の(メタ)アリルエステル化合物、トリアリルイソシアヌレート等を例示することができる。ビニル化合物の例としては、スチレン、またはα-メチルスチレン、α-エチルスチレン、α-クロルスチレン等のα置換スチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン等の核置換スチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、酢酸ビニル等を例示することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物には、重合開始剤を含んでいてもよく、特に光重合開始剤を含有することが好ましい。光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン等のイオウ系、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン等のジベンジル系を例示することができる。
光硬化性樹脂組成物に含有される光重合開始剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜15重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜12重量%の範囲がより好ましく、1〜10重量%の範囲がさらに好ましい。
光硬化性樹脂組成物には、光開始助剤(例えば、トリエタノールアミン等のアミン系光開始助剤)を併用できる。光開始助剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.1〜5重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜3重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物には、種々の添加剤、例示すれば、安定剤(例えば、ハイドロキノン、メトキノン等の重合禁止剤)、着色剤(例えば、シアニンブルー、ジスアゾイエロー、カーミン6B、レーキッドC、カーボンブラック、チタンホワイト等の顔料)、充填剤、粘度調整剤等の各種添加剤を目的に応じて含有することができる。光硬化性樹脂組成物に含有される安定剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、0.01〜2重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜1重量%の範囲がより好ましい。光硬化性樹脂組成物に含有される着色剤の量は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、1〜50重量%の範囲であることが好ましく、1〜45重量%の範囲がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(a)多官能アクリレート系化合物と(b)ジアリルフタレート樹脂を含有し、必要に応じて、光重合開始剤、光開始助剤、添加剤(例えば、安定剤、顔料)を混合することによって製造することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を照射することによって硬化する。光は、一般に紫外線である。
光硬化性樹脂組成物の硬化反応に用いる硬化装置、硬化条件は特に限定されず、通常の光硬化反応に用いられる方法であればよい。なお、硬化反応時のコンベア速度は、硬化後のコート面を指で触り、コート面に指紋が付かないコンベアスピード[「タックフリーコンベアスピード」という。(硬化性が良いほど、タックフリーコンベアスピードの値は大きくなる)]で硬化させることが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されない。インキ(例えば、光硬化性平版用印刷インキ、シルクスクリーンインキ、グラビアインキ、インクジェット用インキ、フレキソ印刷用インキ等の印刷インキ、特には、インクジェット用インキ、フレキソ印刷用インキ)、塗料(例えば、紙用、プラスチック用、金属用、木工用等の塗料、例示すれば、オーバープリントワニス)、接着剤、フォトレジスト等の技術分野において使用できる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を含むインキは本発明のインキであり、本発明の光硬化性樹脂組成物を含む塗料は本発明の塗料である。また、本発明の塗料はオーバープリントワニスであることが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物を含むインキは本発明のインキであり、本発明の光硬化性樹脂組成物を含む塗料は本発明の塗料である。また、本発明の塗料はオーバープリントワニスであることが好ましい。
例えば、インキの一般的作製方法は次のとおりである。(a)多官能アクリレート系化合物と(b)ジアリルフタレート樹脂及び安定剤等を60℃〜100℃の温度で攪拌しながら溶解させワニスを作製する。このワニスに、顔料、光重合開始剤、その他添加剤を混ぜることでインキが得られる。また、オーバープリントワニスの作成は、顔料を使用しない以外は、インキと同様の手順により行える。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1、2
下記表1に記載の各組成の光硬化性樹脂組成物を調製し、光硬化性樹脂組成物の特性を評価した。
下記表1に記載の各組成の光硬化性樹脂組成物を調製し、光硬化性樹脂組成物の特性を評価した。
表1に示した成分は下記のとおりである。
また、表1に示す組成量は重量部である。
GTA:グリセリントリアクリレート
3EO−TMPTA:Sartomer製 3モルエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
GPTA:ダイセル・サイテック製 グリセリンプロポキシトリアクリレート
DAP A:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量5.5万)
DAP K:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量2.5万)
ISO DAP:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量5万)
Irganox1076:BASFジャパン(株)製 (オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
また、表1に示す組成量は重量部である。
GTA:グリセリントリアクリレート
3EO−TMPTA:Sartomer製 3モルエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
GPTA:ダイセル・サイテック製 グリセリンプロポキシトリアクリレート
DAP A:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量5.5万)
DAP K:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量2.5万)
ISO DAP:ダイソー(株)製 ジアリルフタレート樹脂(重量平均分子量5万)
Irganox1076:BASFジャパン(株)製 (オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
粘度測定
調製した光硬化性樹脂組成物につき、BROOKFIELD VISCOMETER DV−II+Proを用いて25℃での粘度を測定した。評価結果を表2に示す。
調製した光硬化性樹脂組成物につき、BROOKFIELD VISCOMETER DV−II+Proを用いて25℃での粘度を測定した。評価結果を表2に示す。
乾燥性評価
上記表1に示す配合量を調製した各光硬化性樹脂組成物100部に対して光重合開始剤としてIrgacure907(BASFジャパン(株)製 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)を5部添加し、加熱混合することで乾燥性試験に用いるサンプルを調製した。プラスチック基材(ポリプロピレン基材:出光ユニテック製 無延伸高透明PPシート 品名:スーパーピュアレイ SG−140TC 厚み0.3mm)に、上記サンプルをNo.2バーコーターを用いてコートし、出力120W/cmのメタルハライドランプ(ランプ距離11cm、硬化後コート面を指で触り、コート面に指紋が付かない状態であるタックフリー状態になる最も速いコンベアスピードで各評価を実施した。)で硬化させた。なお、UV硬化装置はアイグラフィックス株式会社製コンベア型紫外線硬化装置を用いた。評価結果を表2に示す。
上記表1に示す配合量を調製した各光硬化性樹脂組成物100部に対して光重合開始剤としてIrgacure907(BASFジャパン(株)製 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)を5部添加し、加熱混合することで乾燥性試験に用いるサンプルを調製した。プラスチック基材(ポリプロピレン基材:出光ユニテック製 無延伸高透明PPシート 品名:スーパーピュアレイ SG−140TC 厚み0.3mm)に、上記サンプルをNo.2バーコーターを用いてコートし、出力120W/cmのメタルハライドランプ(ランプ距離11cm、硬化後コート面を指で触り、コート面に指紋が付かない状態であるタックフリー状態になる最も速いコンベアスピードで各評価を実施した。)で硬化させた。なお、UV硬化装置はアイグラフィックス株式会社製コンベア型紫外線硬化装置を用いた。評価結果を表2に示す。
密着性試験
上記乾燥性評価試験用に硬化させた塗膜に、ニチバン製18mm幅のセロテープ(登録商標)(品番:LP−18、粘着力:4.01N/10mm)を貼り付け、親指で5回強く擦った後、セロテープ(登録商標)を引き離した。評価基準は下記の通りとした。評価結果を表2に示す。
5:急激に引き離しても剥離しないもの
4:徐々に引き離しても全く剥離しないが、急激に引き離すとわずかに剥離するもの
3:急激に引き離せば剥離するが、徐々に引き離しても全く剥離しないもの
2:徐々に引き離しても、50%程度剥離するもの
1:徐々に引き離しても剥離するもの。
上記乾燥性評価試験用に硬化させた塗膜に、ニチバン製18mm幅のセロテープ(登録商標)(品番:LP−18、粘着力:4.01N/10mm)を貼り付け、親指で5回強く擦った後、セロテープ(登録商標)を引き離した。評価基準は下記の通りとした。評価結果を表2に示す。
5:急激に引き離しても剥離しないもの
4:徐々に引き離しても全く剥離しないが、急激に引き離すとわずかに剥離するもの
3:急激に引き離せば剥離するが、徐々に引き離しても全く剥離しないもの
2:徐々に引き離しても、50%程度剥離するもの
1:徐々に引き離しても剥離するもの。
実施例1〜6は、多官能アクリレート系化合物(グリセリントリアクリレート)とジアリルフタレート樹脂と組み合わせた光硬化性樹脂組成物は、比較例1(エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート)や比較例2(グリセリンプロポキシトリアクリレート)等のアルキレンオキサイド変性したアクリレートに比べて、密着性が優れており、乾燥性も同等か同等以上の乾燥性を有していた。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、インキ(例えば、インクジェット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、特にはフレキソ印刷用インキ)、塗料、接着剤、フォトレジスト等に使用できる。
Claims (7)
- (a)多官能アクリレート系化合物と、(b)ジアリルフタレート樹脂とを含む光硬化性樹脂組成物であり、
(b)ジアリルフタレート樹脂の含有量が、(a)多官能アクリレート系化合物100重量部に対して、1〜100重量部であって、
(a)多官能アクリレート系化合物がアルキレンオキサイドで変性されていないものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 - 前記光硬化性樹脂組成物の粘度が、1〜3000mPa・sの範囲である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記(a)多官能アクリレート系化合物が、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル化合物である請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 更に、光重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有するインキ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
- オーバープリントワニスである請求項6に記載の塗料。
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JP2015070476A JP2016190907A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 光硬化性樹脂組成物、インキ及び塗料 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017039917A (ja) * | 2015-08-21 | 2017-02-23 | 東亞合成株式会社 | インクジェットインキ用硬化型組成物 |
JP2018158995A (ja) * | 2017-03-23 | 2018-10-11 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、インキおよび印刷物 |
WO2021245846A1 (ja) | 2020-06-03 | 2021-12-09 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ及び印刷物 |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015070476A patent/JP2016190907A/ja active Pending
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