JP6784023B2 - 組成物、該組成物を用いた部材、及びその製造方法、並びに該部材を備えたタッチパネル - Google Patents

組成物、該組成物を用いた部材、及びその製造方法、並びに該部材を備えたタッチパネル Download PDF

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本発明は、基材上に防汚層を形成した部材、その製造方法、該部材を備えたタッチパネル、及び該防汚層を形成する組成物に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機・無機ELディスプレイ、電子ペーパー、VFD(Vacuum Fluorescent Display)、EPD(Electrophoretic Display)などの画像表示装置、タッチパネル、携帯電話、音楽プレーヤーなどの携帯用電子機器、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスクなどの光記録媒体等は、その取り扱い時に、表面に指紋、皮脂、汗などの汚れが付着することがある。このような汚れは、画像表示装置、タッチパネルや各種電子機器のディスプレイの場合には、視認性を低下させ、該ディスプレイ上で操作する場合には、操作性に悪影響を及ぼすことがある。また、上記光記録媒体においては、信号の記録及び再生に障害が発生することがある。
したがって、上記物品の表面には、汚れの付着防止性や汚れの拭き取りやすさといった特性(防汚性)を付与することが必要となる。
そこで、物品表面に防汚性あるいは撥水性のある薄膜を形成することが種々検討されている。
例えば、特許文献1には、真空蒸着法によって基材表面に防汚性あるいは撥水性のあるフルオロアルキルシランを用いて形成させた防汚性薄膜が開示されている。
また、特許文献2には、固体表面に有機シランと金属アルコキシドとを加水分解、縮重合させて形成させた有機‐無機ハイブリット皮膜が開示されている。
特開2006−336109号公報 特開2013−213181号公報
しかしながら、特許文献1に記載の薄膜は、表面自由エネルギーは低下させることが可能だが、滑落性についての言及がない。ここで、本発明において「滑落性」とは、汚れの付き難さ及び汚れの拭き取りやすさを表す指標である。一般にパーフルオロアルキル基で修飾した面は、パーフルオロアルキル基の剛直性により滑落性が得られず、指紋の付着や拭き取りと言った防汚性が十分でない。したがって、特許文献1も同様と考えられる。
また、特許文献2に記載の皮膜は、有機シランと共に金属アルコキシドを用いることにより、従来の有機シラン単独で形成した薄膜と比較して、該皮膜表面の液滴の滑落性を改善させているものの、アルキルシランを用いた場合には表面自由エネルギーが十分に低下しないことや、パーフルオロアルキルシランを用いた場合にはパーフルオロアルキル基が剛直であることから、汚れの付着防止や拭き取りに対する効果は十分なものではなかった。
また、スマートフォンやタブレット端末等のタッチパネルディスプレイを有する端末の操作には、画面を指で触れる(タップ)、触れながら指を移動させる(スライド、ピンチ)といった動作が必須となる。そのため、テレビ等のディスプレイに用いられる従来の防汚部材に比べて指紋付着による汚れの頻度が高く、指紋付着による汚れ防止に対する要望が大きくなっており、従来求められていた防汚性よりも高い性能が要求されている。
しかしながら、上述したような従来の防汚部材では、実際に指で圧力をかけながら触れつつ指紋を付着させるという、タッチパネル特有の指紋付着問題の解決には不十分であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、汚れの付着防止性や汚れの拭き取りやすさ等といった防汚性に優れた部材、該部材の製造方法、該部材の防汚層を形成する組成物、及び該部材を備えたタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと、一般式(1)又は(2)で表される特定の構造を有するアルコキシシランとを組み合わせて用いることにより、部材表面の防汚性を向上させることができることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]基材上に防汚層を形成してなる部材であって、
該防汚層がパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物を含むことを特徴とする、部材。

(式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[2]前記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランが、パーフルオロポリエーテル構造を有するトリメトキシシランであることを特徴とする、上記[1]に記載の部材。
[3]前記一般式(1)で表されるアルコキシシランが、テトラアルコキシシランであることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の部材。
[4]前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の部材。
[5]前記防汚層表面の純水の接触角が95°以上、且つ、滑落角が30°以下であることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の部材。
[6]基材上に防汚層を形成してなる部材の製造方法であって、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒と水と酸との混合溶媒中で加水分解、縮重合して得られた縮重合物を含む組成物を調製する工程(1)と、該組成物を該基材に塗布して防汚層を形成する工程(2)とを有することを特徴とする、部材の製造方法。

(式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[7]上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の部材を備えたタッチパネル。
[8]パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物を含む組成物。

(式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
本発明によれば、本来有する光学物性や物理特性を維持しながら、防汚性に優れた部材、該部材の製造方法、該部材の防汚層を形成する組成物、及び該部材を備えたタッチパネルを提供することができる。
まず、本発明の部材について説明する。
[部材]
本発明の部材は、基材上にパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物を含む防汚層を形成したものである。
ここで、本発明において「パーフルオロポリエーテル構造を有する」とは、パーフルオロポリエーテル結合を含む基を有することを意味する。

(式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
<基材>
本発明の部材に用いる基材としては、例えば、ガラス板、酸化アルミ板、スピン−オン−グラス(SOG)材料などの各種無機系材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの各種有機系樹脂材料、有機−無機複合材料などが挙げられる。なかでも、シランとの反応性の観点から、表面に水酸基を有するものが好ましく、また、材料の加工性、得られる部材の機械的強度、及び防汚層の形成しやすさなどの観点から、ガラス板又は有機−無機複合材料が好ましく、ガラス板がより好ましい。ガラス板は強度を向上させる目的から、化学的に強化をしても良い。SOG材料としては、メチルシロキサンなどのアルキルシロキサン系材料や、ヒドロキシシルセスキオキサン系材料、シラザン系材料、シルセスキオキサン系材料などが挙げられ、耐久性などの点からシルセスキオキサン系材料が好ましい。
市販品のSOG材料としては、例えば層間絶縁膜用塗布材料「HSG」(商品名、日立化成(株)製)、東京応化工業(株)製のOCNシリーズなどが挙げられる。また市販品の有機−無機複合材料としては、UV照射により最表面が自発的に無機化する有機−無機複合材料(商品名「NH−1000G」、日本曹達(株)製)などが挙げられる。
なお、上記基材の形状は、平面構造であってもよいし、立体構造であってもよい。
基材として用いられるガラス板の厚みは、特に制限はないが、光学特性や耐久性の観点から、好ましくは0.01〜100mm、より好ましくは0.02〜10mmである。また基材として用いられる樹脂フィルムの厚みは、強度及び光学特性の観点から、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜300μmである。
基材の表面には、光学特性の向上のために低反射層を形成してもよい。低反射層はスパッタリング法等により無機化合物を複数層積層することで形成できる。また、基材や上記低反射層の表面には、接着性を向上させて使用環境下での長期の信頼性を向上させるために、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布や、接着層としての無機層の成膜を予め行ってもよい。無機層としてはシリコン系化合物が好ましく、SiOやSiOxが接着性や耐久性の観点からより好ましい。上記接着層は蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法といった方法を用いて成膜できる。また、これらの層の形成の有無にかかわらず、接着性を向上させるために、コロナ放電処理、酸化処理、プラズマ処理等の物理的な処理を行ってもよい。
また、ディスプレイ等として用いる観点から、上記基材の全光線透過率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠する方法により測定することができる。
<防汚層>
本発明の部材に用いる防汚層は、防汚性を有する層であり、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物(以下、単に「縮重合物」ともいう)を含む。上記縮重合物が、パーフルオロポリエーテル構造を有することにより、防汚層の表面自由エネルギーを低下させ、汚れを付き難くすることができる。また、上記縮重合物が、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とが縮重合した構造であるため、隣接するパーフルオロポリエーテル構造部位の間隔が広く疎になり、該パーフルオロポリエーテル構造部位が動きやすく柔軟性を有することにより、滑落性が向上し、更に汚れを付き難くし、かつ、付いた汚れの拭き取りを容易にすることができる。
上記防汚層を占める上記縮重合物の割合は、60〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましい。
(パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン)
前記縮重合物の原料として用いられるパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランは、パーフルオロポリエーテル構造を有することにより、防汚層の表面自由エネルギーを低下させ、汚れを付き難くする。更に、隣接するパーフルオロポリエーテル構造部位の間隔が広く疎になり、該パーフルオロポリエーテル構造部位が動きやすく柔軟性を有することにより、更に汚れを付き難くし、かつ、付いた汚れの拭き取りを容易にする。
上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとしては、例えば、下記一般式(3)乃至(6)で表される化合物が挙げられ、防汚性の観点から、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。

(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。但し、複数のRは同一でも異なっていてもよい。R〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の2価の有機基を示す。Zはシロキサン結合を有する1〜10価のオルガノポリシロキサン基であり、Zはシロキサン結合を有する2〜10価のオルガノポリシロキサン基である。Qはパーフルオロポリエーテル結合を含む基である。Rfは、直鎖または分岐鎖構造のフッ化アルキル基である。nは1〜200の整数、mは1〜10の整数である。)
上記Rの炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられ、防汚性及び反応性の観点からメチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12、好ましくは炭素数3〜8の2価の有機基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ等が挙げられる。また、これらの基は、エーテル結合、アミド結合、エステル結合、及びビニル結合を含んでいてもよく、更に、酸素原子、窒素原子及びフッ素原子を含んでいてもよい。
上記Zのシロキサン結合を有する2〜10価のオルガノポリシロキサン基としては、例えば、以下の一般式(7−1)〜(7−12)で表される基が挙げられる。
上記一般式(7−1)〜(7−12)で表される基の中でも、本発明の効果である防汚性を得る観点から、一般式(7−1)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(7−7)で表される基が好ましい。
上記Qのパーフルオロポリエーテル結合を含む基としては、例えば、−CFO−、−CFCFO−、−CFCFCFO−、−CF(CF)CFO−、−OCFOCFCF−、−CFCFCFCFO−、−CFCF(CF)CFO−、−CFCFCFCFCFCFO−、−C(CFO−などが挙げられる。
中でも、防汚性の観点から、−CFCFO−、−CFCFCFO−、−CF(CF)CFO−、−OCFOCFCF−、−CFCF(CF)CFO−が好ましい。これらは、1種類のみでも2種類以上を含んでもよい。
上記Rfは、直鎖または分岐鎖構造のフッ化アルキル基であり、本発明の効果を得る観点から、直鎖のフッ化アルキル基が好ましい。
直鎖のフッ化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が挙げられ、分岐鎖構造のフッ化アルキル基としては、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(トリフルオロメチル)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基などが挙げられる。
上記nは、1〜200の整数であり、防汚性の観点から、好ましくは2〜100、より好ましくは、3〜60である。nを1以上とすることで基材表面を十分に被覆することができ、防汚層表面の表面自由エネルギーが低下し、防汚性を向上させることができる。nを200以下とすることで、アルコキシシリル基(−Si(OR)の反応性を高めることができる。
上記mは、1〜10の整数であり、防汚性の観点から、好ましくは1〜7、より好ましくは、1〜5である。mを1以上とすることで滑り性が向上し、より高い防汚性が得られる。mを10以下とすることで、表面自由エネルギーの増大を抑制し、防汚性の低下を抑制できる。
上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランは、防汚性及び反応性の観点から、パーフルオロポリエーテル構造を有するトリメトキシシランであることが好ましい。
また、上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとしては、信越化学(株)製「X−71−195」、「KY−178」、「KY−164」、「KY−108」、「KP−911」、ダイキン工業(株)製「オプツールDSX」、「オプツールDSX−E」等が商業的に入手可能であり、生産性及び防汚性の観点から、「X−71−195」が好ましい。
(一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシラン)
下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランは、前記縮重合物の原料として用いられる。

(式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(1)中のRの炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。中でも、防汚性及び反応性の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、環形成原子数6〜20のアリール基である。中でも、防汚性及び反応性の観点から、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。
上記Rの炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。中でも、防汚性及び反応性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rの炭素数2〜8、好ましくは2〜4のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられ、防汚性及び反応性の観点から、ビニル基が好ましい。
上記Rの環形成原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記Rの環形成原子数6〜20、好ましくは6〜12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及びアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。中でも、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
xは2〜4の整数であり、防汚性及び反応性の観点から、好ましくは3又は4であり、より好ましくは4である。
上記一般式(2)中のRの炭素数1〜6のアルキル基としては、上記Rと同じものが挙げられ、中でも、防汚性及び反応性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。
上記Yの2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜12のアルキレン基、フェニレン基等の炭素数6〜14のアリーレン基などが挙げられる。中でも耐久性の観点から、メチレン基、エチレン基が好ましい。
前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランは、防汚性及び反応性の観点から、前記一般式(1)で表されるアルコキシシランが好ましく、中でも、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランがより好ましい。
トリアルコキシシランの具体例としては、トリメトキシ(メチル)シラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、トリメトキシ(メチル)シラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、トリメトキシ(メチル)シラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましく、トリメトキシ(メチル)シラン、ビニルトリメトキシシランがさらに好ましい。
テトラアルコキシシランは、4つのアルコキシ基を有することから、前記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとの反応性が高い。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合、その組み合わせは特に限定されないが、防汚性及び反応性の観点から、テトラアルコキシシランと、トリアルコキシシランとの組み合わせが好ましい。テトラアルコキシシランと、トリアルコキシシランとの重量比は、任意の値により本発明の効果を得ることができるが、防汚性に加えて機械的強度、耐薬品性も併せて付与する観点から、好ましくは1:0〜100、より好ましくは1:0.01〜99、更に好ましくは1:0.03〜98である。
(組成物)
前記防汚層を形成する組成物は、上記縮重合物を含む。該縮重合物は、有機溶媒と水と酸との混合溶媒中で前記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを加水分解、縮重合して得られる態様が好ましい。
具体的には、上記縮重合物は、前記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランのアルコキシ基、並びに前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種が有するアルコキシ基がそれぞれ加水分解してシラノール基を形成した後、それぞれのシラノール基が縮重合することにより得られる。
有機溶媒としては、上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランを溶解させる観点から、好ましくはフッ素系溶媒が用いられる。また、水との溶解性の観点から、フッ素系溶媒と両親媒性溶媒との混合有機溶媒であることが好ましい。
両親媒性溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類等の水溶性の有機溶媒が好適に用いられる。上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ターシャリーブチルアルコール等が挙げられる。上記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。その他の水溶性の有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル等が用いられる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
組成物中の有機溶媒の配合量は、好ましくは90.000〜99.999質量%、より好ましくは92.00〜99.99質量%、更に好ましくは95.0〜99.9質量%である。90.000質量%以上とすることで、混合溶媒中での反応を均一に進めると共に、該組成物から形成された防汚層を均一透明なものとすることができ、99.999質量%以下とすることで、基材表面に十分な防汚層を形成することができる。
水としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。また、上記混合溶媒中に含有される水の配合量は、0.001質量%以上であれば、特に限定されないが、好ましくは0.001〜1.000質量%、より好ましくは0.005〜0.500質量%の割合で配合する。0.001質量%以上とすることで、上記加水分解が促進され、1.000質量%以下とすることで、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランの沈殿を抑制することができる。
酸としては、上記加水分解を促進する作用を有するものであれば特に限定されず、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、コハク酸、酢酸、蟻酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸等が挙げられ、反応性や乾燥時の防汚層からの除去の観点から、塩酸が好ましい。また、上記混合溶媒中に含有される酸の配合量は、上記加水分解を促進させる観点から、好ましくは0.000001〜10.000000質量%、より好ましくは0.00001〜5.00000質量%、更に好ましくは0.0001〜1.0000質量%である。
本発明の組成物には、以上の各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される光酸発生剤や光塩基発生剤等を必要に応じて配合することができる。該光酸発生剤もしくは光塩基発生剤を配合することにより、より強固な防汚層を形成することができる。
また、上記組成物の固形分濃度は、好ましくは0.01〜15.00質量%であり、より好ましくは0.05〜10.00質量%であり、更に好ましくは0.1〜5.0質量%である。0.01質量%以上とすることで、防汚層の硬化を促進することができ、15.00質量%以下とすることで、防汚層の着色や防汚性の低下を抑制することができる。
防汚層の厚みは特に限定されないが、防汚性、及び耐久性の観点から、好ましくは1〜30nm(推定値)、より好ましくは1〜10nm(推定値)である。
防汚層は、従来、汚れを付き難くするために、水と油脂との接触角を大きくすることが検討されてきた。これに対して、本発明では、水と油脂との接触角を大きくするとともに、両者の滑落角を小さくすることで、高い滑落性が得られることにより、汚れを付き難く、かつ付いた汚れをふき取りやすくしている。
滑落性は、純水及びn−ヘキサデカンの滑落角を測定することで評価でき、該滑落角が小さいほど滑落性が良好である。滑落角は、測定対象物である部材の防汚層表面に、水平な状態で10μLの純水及び3μLのn−ヘキサデカンを滴下し、部材を徐々に傾斜させて、液滴が滑り始める傾斜角度(滑落角)を測定することにより求められる。測定装置としては、例えば、協和界面科学(株)製の接触角計「DM 500」を用いることができる。滑落角は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の部材は、防汚層表面の純水の接触角が好ましくは95°以上であり、より好ましくは112°以上であり、更に好ましくは114°以上である。また、防汚層表面の純水の滑落角が好ましくは30°以下であり、より好ましくは15°以下であり、更に好ましくは8°未満である。
上記接触角が95°以上であると、防汚層が低い表面自由エネルギーを有していることを示しており、汚れを付き難くすることができる。また、上記滑落角が30°以下であると、防汚層表面の滑落性が向上し、さらに汚れを付き難くし、かつ、付いた汚れを拭き取りやすくすることができる。
本発明において、上記接触角を95°以上とすることができるのは、上記縮重合物が、パーフルオロポリエーテル構造部位を有することに起因すると考えられる。また、上記滑落角を30°以下とすることができるのは、上記縮重合物が、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とが縮重合した構造であるため、隣接するパーフルオロポリエーテル構造部位の間隔が広く疎になり、該パーフルオロポリエーテル構造部位が動きやすく柔軟性を有することに起因すると考えられる。
なお、接触角は、接触角測定装置(例えば、協和界面科学(株)製の接触角計「DM 500」)を用いて、純水及びn−ヘキサデカンに対する接触角をθ/2法により測定することで求められる。接触角は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
また、本発明の部材は、防汚層表面のn−ヘキサデカンの接触角が好ましくは50°以上であり、より好ましくは55°以上であり、更に好ましくは60°以上である。また、防汚層表面のn−ヘキサデカンの滑落角が好ましくは15°以下であり、より好ましくは10°以下であり、更に好ましくは6°以下である。
本発明者らは、防汚層がパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物を含むことにより、防汚層表面と、指や拭き取りに用いる布等との摩擦係数を小さくし、滑り性を向上させることを見出した。本発明の部材は、水と油脂との接触角を大きくすることにより防汚層の表面自由エネルギーを低下させ、水と油脂との滑落角を小さくすることにより、高い滑落性が得られることに加え、高い滑り性が得られることにより、上記防汚層表面に対し、更に汚れを付き難くし(指紋付着量が少ない)、かつ付いた汚れをふき取りやすくすること(指紋拭取性が良好)ができる。
このように、本発明の部材が、従来の防汚部材では得られなかった極めて優れた防汚性を有するのは、上記縮重合物が有する隣接するパーフルオロポリエーテル構造部位の間隔が広く疎になり、該パーフルオロポリエーテル構造部位が動きやすく柔軟性を有することに起因すると考えられる。
特に、タッチパネル等のような指でスライドさせて用いる表面の防汚性を得るには、上記滑り性の向上は重要である。
なお、本発明において「滑り性」とは、部材の防汚層表面の滑らかさを表す指標である。滑り性は、具体的には実施例に記載の方法により評価することができる。
[部材の製造方法]
次に、前述する部材の製造方法を説明する。
本発明の部材の製造方法は、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒と水と酸との混合溶媒中で加水分解、縮重合して得られた縮重合物を含む組成物を調製する工程(1)と、該組成物を該基材に塗布して防汚層を形成する工程(2)とを有する。
以下、本発明の部材の製造方法について詳細に説明する。
(工程(1))
本工程においては、例えば、有機溶媒と水と酸との混合溶媒中に、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを混合、攪拌し、上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと、前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを加水分解し、次いで縮重合することにより縮重合物を得る。
上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン、前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシラン、有機溶媒、水、酸としては、それぞれ上記部材の項で説明したものを用いることができ、有機溶媒、水、及び酸の配合量は、それぞれ上記部材の項で説明した範囲内で適宜調整する。
また、上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランの重量平均分子量は、GPC測定により求めることができる。
上記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと、前記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との重量比は、好ましくは1:0.1〜10.0、より好ましくは1:0.15〜8.0、更に好ましくは1:0.2〜6.0である。上記範囲内とすることにより、防汚性を向上させることができる。
加水分解および縮重合反応は、これらの反応が適切に起こる一定の雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、−25〜120℃の範囲で、0.1〜200時間程度行うことが好ましく、−10〜100℃で、0.5〜150時間程度行うことがより好ましく、0〜70℃で、1〜120時間程度行うことが更に好ましい。
なお、上記成分の他に、必要に応じて上記部材の項で説明したその他の成分を添加することができる。
(工程(2))
上記工程(1)で調製した組成物を基材上に塗布して乾燥し、硬化させることにより防汚層を形成する。
上記組成物を塗布する方法は、所望の厚みに均一に塗布できる方法であればよく、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
上記組成物を塗布して形成した膜の乾燥処理の設定条件は、原料、溶媒や、雰囲気の温度や湿度によって変わるが、本発明の効果が得られるのに適した一定の雰囲気下にコントロールした状況で行うことが好ましい。例えば、通常、室温(25℃)〜300℃で、0.1〜48時間程度行うことが好ましく、25〜250℃で、0.2〜24時間程度行うことがより好ましい。これらの処理は1種類の雰囲気下で完結させてもよく、2種類以上の雰囲気下で段階的に処理してもよい。
本発明の部材は、防汚性に優れるため、手で触れた際に表面に指紋、皮脂、汗などの汚れが付着しやすいもの、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機・無機ELディスプレイ、電子ペーパー、VFD、EPDなどの画像表示装置、タッチパネル、携帯電話、音楽プレーヤーなどの携帯用電子機器、CD、DVD、ブルーレイディスクなどの光記録媒体、自動車、電車、航空機などの窓ガラス、外壁用建材、壁紙等の内壁、家電、車載パネル等の表面材として好適に用いられる。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、上記部材を備えるものである。
タッチパネルとしては、静電容量式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。タッチパネルは、オンセル式でもインセル式でもよい。
本発明のタッチパネルは、例えば、本発明の部材を表面材として備えた各種画像表示装置に使用することができる。なお、上記部材は、各種画像表示装置の画像表示部表面に用いる防汚性フィルムとして好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
実施例及び比較例の部材の評価は以下のようにして行った。
(1)接触角の測定
協和界面科学(株)製の接触角計「DM 500」を用いて、純水及びn−ヘキサデカンの接触角を測定した。部材の防汚層表面に1.5μLの純水を滴下し、着滴1秒後に、θ/2法に従って、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出した。5回測定した平均値を、接触角の値とした。
(2)表面自由エネルギー
上記接触角の測定結果から、以下の基準で表面自由エネルギーを評価した。接触角が大きいほど、表面自由エネルギーが低く優れることを示す。
◎:純水110°以上、かつn−ヘキサデカン60°以上
○:純水110°未満95°以上、かつn−ヘキサデカン60°未満50°以上
×:純水95°未満もしくはn−ヘキサデカン50°未満
(3)滑落角の測定
協和界面科学(株)製の接触角計「DM 500」を用いて、純水及びn−ヘキサデカンの滑落角を測定した。部材を水平に配置し、該部材の防汚層表面に10μLの純水、及び3μLのn−ヘキサデカンをそれぞれ滴下し、部材を徐々に傾斜させて、液滴が滑り始める傾斜角度(滑落角)を測定した。5回測定した平均値を、滑落角の値とした。
(4)滑落性
上記滑落角の測定結果から、以下の基準で滑落性を評価した。滑落角が小さいほど、滑落性に優れることを示す。
◎:純水15°未満、かつn−ヘキサデカン10°未満
○:純水15°以上30°以下、もしくはn−ヘキサデカン10°以上15°以下
×:純水30°超もしくはn−ヘキサデカン15°超
(5)滑り性の評価
被験者10名が、実施例1〜15および比較例1〜6で作製した各部材の防汚層表面に指を接触させて、その指を防汚層表面と平行に横方向に往復移動させた(スマートフォンでスライド操作をする様な動き)。その際の指と防汚層表面との摩擦による触感を下記評価基準により判定し、被験者10名の平均値を求めた。この平均値を下記判定基準に従って判定した。
<評価基準>
5点:常に滑らか
3点:滑らか
0点:悪い
<判定基準>
○:4.4点以上
△:2.1点以上4.4点未満
×:2.1点未満
(6)指紋付着
シリコーン樹脂版(10mmφ×30mmの円柱状)に人工指紋液(伊勢久(株)製、JIS C9606の付属書4に準拠)を付着させたものを部材の防汚層表面に押し付けて指紋を付着させた。指紋の付着状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:指紋を強く弾いており、付着量が非常に少ない
○:指紋を弾いており、付着量が少ない
△:指紋を弾くが、付着する
×:指紋が広く付着する
(7)指紋拭取性
シリコーン樹脂版(10mmφ×30mmの円柱状)に人工指紋液(伊勢久(株)製、JIS C9606の付属書4に準拠)を付着させたものを部材の防汚層表面に押し付けて指紋を付着させた。付着させた指紋を旭化成(株)製 ベンコットンで拭取り、指紋の残り跡を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:3回までの拭取りで、指紋の付着跡が完全に見えない
○:4〜7回の拭取りで、指紋の付着跡が完全に見えない
△:8回〜10回の拭取りで、指紋の付着跡が完全に見えない
×:10回の拭取り後に指紋の拭き取り跡がはっきりと視認できる
実施例1
(組成物の調製)
フッ素系有機溶媒(3M製、商品名:Novec 7300)28.1gと、両親媒性溶媒(関東化学(株)製、商品名:2−プロパノール)4.8gと、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)0.15gと、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)0.076gとを混合した混合溶液中に、水5.9mgと、1M 塩酸31.1mgとを添加し、25℃で3時間攪拌し、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮重合物を含む組成物1を得た。
(部材の製造)
ガラス基板(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ700μm)上にスピンコーターを用いて、上記組成物1を、回転速度3000回転/minにて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を室温(25℃)で12時間乾燥し、溶剤を除去し、硬化させ、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
実施例2
(基材の作製)
ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、商品名:コスモシャインA4100、厚さ100μm)上にバーコーターを用いて、有機−無機複合材料(日本曹達(株)製、商品名「NH−1000G」)の53質量%メチルイソブチルケトン(MIBK)溶液を塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を70℃で60秒間乾燥し、溶剤を除去した。
次いで、上記塗膜に高圧水銀灯を用いて、照射量100mJ/cmで照射し、塗膜を硬化させて、硬化後の膜厚が10μmの表面が無機化された基材を得た。
(組成物の調製)
フッ素系有機溶媒(3M製、商品名:Novec 7300)18.7gと、両親媒性溶媒(関東化学(株)製、商品名:2−プロパノール)3.2gと、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)0.1gと、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)0.051gとを混合した混合溶液中に、水4.0mgと、1M 塩酸20.7mgとを添加し、室温(25℃)で3時間攪拌し、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮重合物を含む組成物2を得た。
(部材の製造)
上記基材上にスピンコーターを用いて、上記組成物2を、回転速度3000回転/minにて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を25℃で12時間乾燥し、溶剤を除去し、硬化させ、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
実施例3
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「KY−178」、固形分20%)を0.165g、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.076g用いた以外は、実施例1と同様にして部材を得た。
実施例4
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「KY−178」、固形分20%)を0.11g、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.051g用いた以外は、実施例2と同様にして部材を得た。
実施例5
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)を1.0g、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を50.7mg用いた以外は実施例1と同様にして部材を得た。
実施例6
(組成物の調製)
フッ素系有機溶媒(3M製、商品名:Novec 7300)28.1gと、両親媒性溶媒(関東化学(株)製、商品名:2−プロパノール)4.8gと、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)0.15gと、トリアルコキシシラン(トリメトキシ(メチル)シラン)(東京化成工業(株)製、固形分100%)0.14gとを混合した混合溶液中に、水11.9mgと、1M 塩酸60.6mgとを添加し、25℃で3時間攪拌し、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとトリアルコキシシランとの縮重合物を含む組成物6を得た。
(部材の製造)
ガラス基板(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ700μm)上にスピンコーターを用いて、上記組成物6を、回転速度3000回転/minにて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を室温(25℃)で12時間乾燥し、溶剤を除去し、硬化させ、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
実施例7
トリアルコキシシランとして、トリメトキシ(メチル)シランの代わりにビニルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.15g用いた以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例8
トリアルコキシシランとして、トリメトキシ(メチル)シランの代わりにフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.20g用いた以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例9
トリアルコキシシランとして、トリメトキシ(メチル)シランの代わりに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−503、固形分100%)を0.25g用いた以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例10
トリアルコキシシランとして、トリメトキシ(メチル)シランの代わりに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−5103、固形分100%)を0.23g用いた以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例11
トリアルコキシシランの代わりに下記式(8)で表されるアルコキシシラン(ビス(トリエトキシシリル)メタン)(Gelest製、固形分100%)を0.17g用いた以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例12
テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.076g、トリアルコキシシラン(トリメトキシ(メチル)シラン)(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.068g併用した以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例13
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)を0.15gと、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.038gと、トリアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン)(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.11gとを混合した混合溶液中に、1M 塩酸60.6mgを添加した以外は、実施例6と同様にして部材を得た。
実施例14
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)を0.15gと、テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.076gと、トリアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン)(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.074gとを混合した混合溶液中に、水2.94mgと、1M 塩酸60.6mgを添加した以外は、実施例13と同様にして部材を得た。
実施例15
テトラアルコキシシラン(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)を0.11g、トリアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン)(東京化成工業(株)製、固形分100%)を0.037g、水7.44mgに変更した以外は、実施例14と同様にして部材を得た。
比較例1
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)中の溶剤を除去して得られたパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランをガラス基板上に電子ビーム蒸着法(真空度=1.0×10−3Pa、電流値=9mA)により蒸着し、厚み10nm(推定値)の防汚層を全面に製膜して、部材を得た。
比較例2
パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「KY−178」、固形分20%)を用いた以外は、比較例1と同様にして部材を得た。
比較例3
エタノール4.6gと、アルキルシラン(Gelest製、商品名:デシルトリエトキシシラン)0.22gと、金属アルコキシド(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)1.6gとを混合した混合溶媒中(デシルトリエトキシシラン/オルトけい酸テトラメチル=1/14)に、0.01M 塩酸0.78gを添加し、室温(25℃)で24時間攪拌した。得られた溶液をガラス基板(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ700μm)上にスピンコートし、一日、室温(25℃)で静置し、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
比較例4
エタノール2.4gと、フッ化アルキルシラン(Gelest製、商品名:トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン)0.37gと、金属アルコキシド(東京化成工業(株)製、商品名:オルトけい酸テトラメチル)0.78gとを混合した混合溶媒中(トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン/オルトけい酸テトラメチル=1/7)に、0.01M 塩酸0.41gを添加し、室温(25℃)で24時間攪拌した。得られた溶液をガラス基板(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ700μm)上にスピンコートし、一日、室温(25℃)で静置し、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
比較例5
フッ素系有機溶媒(3M製、商品名:Novec 7300)28.1gと、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)0.15gとを混合した混合溶液をガラス基板(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ700μm)上にスピンコーターを用いて、回転速度3000回転/minにて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を25℃で12時間乾燥し、溶剤を除去し、硬化させ、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
比較例6
フッ素系有機溶媒(3M製、商品名:Novec 7300)18.7gと、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシラン溶液(信越化学工業(株)製、商品名「X−71−195」、固形分20%)0.05gとを混合した混合溶液を実施例2で作製した基材上にスピンコーターを用いて、回転速度3000回転/minにて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を25℃で12時間乾燥し、溶剤を除去し、硬化させ、膜厚10nm(推定値)の部材を得た。
(結果のまとめ)
表1に示すように、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと特定の構造を有するアルコキシシランとを組み合わせて用いた実施例1〜15では、純水の接触角が112〜117°、n−ヘキサデカンの接触角が65〜68°であり、いずれも表面自由エネルギーが低く優れていた。また、純水の滑落角が3〜14°、n−ヘキサデカンの滑落角が2〜6°であり、いずれも滑落性に優れており、更に、滑り性の評価も高かった。これらの結果から、実施例1〜15の部材は、いずれも指紋が付着し難く、指紋の拭取性に優れていることがわかり、これらの効果は、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと特定の構造を有するアルコキシシランとの縮重合物が有する隣接するパーフルオロポリエーテル構造部位の間隔が広く疎になり、該パーフルオロポリエーテル構造部位が動きやすく柔軟性を有することに起因すると考えられる。
一方、パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランを蒸着法により蒸着した比較例1及び2では、表面自由エネルギーが低く、滑落性が良好であるが、滑り性の評価が実施例に比べて劣るため、いずれも実施例と比較して指紋付着及び指紋拭取性の評価が劣っていた。また、アルキルシランを用いた比較例3では、滑落性に優れるものの、表面自由エネルギーが高く、滑り性の評価が悪く、その結果、指紋が広く付着し、10回の拭取り後にも指紋の拭き取り跡がはっきりと視認できた。フッ化アルキルシランを用いた比較例4では、表面自由エネルギーが低く、滑落性が優れるものの、滑り性の評価が悪く、その結果、指紋が広く付着し、10回の拭取り後にも指紋の拭き取り跡がはっきりと視認できた。比較例5及び6では、特定の構造を有するアルコキシシランを使用していないため、いずれも実施例と比較して指紋付着及び指紋拭取性の評価が劣っていた。
本発明の部材は、防汚性に優れるため、特にタッチパネルディスプレイを有する携帯用電子機器に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 基材上に防汚層を形成してなる部材であって、
    該防汚層の厚みが1〜30nmであり、
    該防汚層がパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランと下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種との縮重合物を含み、該基材の全光線透過率は85%以上であり、該パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランとして一般式(3)乃至(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、部材。

    (式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

    (式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)

    (式中、R は、炭素数1〜6のアルキル基である。但し、複数のR は同一でも異なっていてもよい。R 〜R 12 は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の2価の有機基を示す。Z はシロキサン結合を有する1〜10価のオルガノポリシロキサン基であり、Z はシロキサン結合を有する2〜10価のオルガノポリシロキサン基である。Qはパーフルオロポリエーテル結合を含む基である。Rfは、直鎖または分岐鎖構造のフッ化アルキル基である。nは1〜200の整数、mは1〜10の整数である。)
  2. 前記パーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランが、パーフルオロポリエーテル構造を有するトリメトキシシランであることを特徴とする、請求項1に記載の部材。
  3. 前記一般式(1)で表されるアルコキシシランが、テトラアルコキシシランであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の部材。
  4. 前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載の部材。
  5. 前記防汚層表面の純水の接触角が95°以上、且つ、滑落角が30°以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の部材。
  6. 基材上に防汚層を形成してなる部材の製造方法であって、
    下記一般式(3)乃至(6)で表されるパーフルオロポリエーテル構造を有するアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種と下記一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランの中から選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒と水と酸との混合溶媒中で加水分解、縮重合して得られた縮重合物を含む組成物を調製する工程(1)と、
    該組成物を該基材に塗布して防汚層を形成する工程(2)とを有し、該基材の全光線透過率は85%以上であることを特徴とする、部材の製造方法。

    (式中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、又は環形成原子数6〜20のアリール基である。R及びRが複数ある場合、複数のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。xは2〜4の整数である。)

    (式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、Yは2価の有機基である。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)

    (式中、R は、炭素数1〜6のアルキル基である。但し、複数のR は同一でも異なっていてもよい。R 〜R 12 は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の2価の有機基を示す。Z はシロキサン結合を有する1〜10価のオルガノポリシロキサン基であり、Z はシロキサン結合を有する2〜10価のオルガノポリシロキサン基である。Qはパーフルオロポリエーテル結合を含む基である。Rfは、直鎖または分岐鎖構造のフッ化アルキル基である。nは1〜200の整数、mは1〜10の整数である。)
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の部材を備えたタッチパネル。
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