JP6780921B2 - 炭素繊維寄与率の高い、高機能炭素/炭素複合材 - Google Patents

炭素繊維寄与率の高い、高機能炭素/炭素複合材 Download PDF

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本発明は、炭素/炭素複合材に関し、更に詳細には、炭素繊維寄与率が高く、材料異方性の低い高機能炭素/炭素複合材に関する。
炭素/炭素複合材は、従来の炭素材料、あるいは黒鉛材料に比べ数倍の強度、弾性率を備えると共に、耐熱性、耐摩耗性、靱性に優れていることから、宇宙往還機等のノーズキャップや翼のリーディングエッジ等、航空機、レーシングカー、新幹線車両、大型重量車両等のブレーキ、熱処理炉の炉内構造材、トレイ、ヒーター、半導体製造炉や太陽電池製造炉における製品ハンドリングフォーク、金属加工用の高温治具等に使用されてきており、その用途は一般工業用に広く拡大してきている。
このようなニーズに対応するため、一般的に炭素/炭素複合材は、レジンチャー法等の製造方法によって製造されている。
例えばレジンチャー法により板状の炭素/炭素複合材を製造する場合、典型的には以下のような工程をとる。
すなわち、
(1)炭素繊維織物にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し半硬化させてプリプレグを製造する工程、
(2)上記プリプレグを複数枚重ねて、加熱・加圧し、板状に成形する工程(プリフォーム成形工程とも言う)、
(3)上記板状成形体を加熱し炭化処理する工程、
(4)炭化処理した板状成形体にピッチ(又は樹脂)を含浸する工程、
(5)ピッチ(又は樹脂)を含浸した板状成形体を加熱し炭化処理する工程、
(6)板状成形体を更に加熱し黒鉛化処理する工程、
(7)(4)、(5)、(6)の工程を3〜4回繰り返す。
このような方法によって炭素/炭素複合材を製造する過程の、プリフォーム成形工程における成形性を確保し、かつ製造された炭素/炭素複合材の強度や弾性率を高めるために、炭素繊維の体積含有率を高めることに注力されてきた。 しかしながら、炭素繊維の体積含有率を高めることによって、確かにプリフォームの成形性が向上し、製造された炭素/炭素複合材の強度や弾性率が向上するが、炭素繊維の体積含有率が所定量まで至ると、却ってプリフォームの成形性が低下し、製造された炭素/炭素複合材の強度や弾性率も低下する傾向にある。
また、炭素繊維の体積含有率を高めて製造された炭素/炭素複合材の強度や弾性率を向上させたとしても、材料特性の異方性が強くなる。 材料特性の異方性としては、炭素繊維方向および炭素繊維方向と直角方向(例えば、アングルプライされた積層板の場合では、炭素繊維方向とは、積層板の面内方向を意味し、炭素繊維方向と直角方向とは、積層板の積層方向を意味する)における熱伝導率、体積抵抗率等の特性にかかる異方性が特に顕著である。
このような材料異方性は、炭素/炭素複合材を応用しようとする種々の場面において、応用を妨げる大きな阻害要因となっている。
また、炭素繊維の体積含有率を高めていくと、製造された炭素/炭素複合材の弾性率はほぼ比例して高くなっていく一方、強度に対する炭素繊維の寄与率が低下していく傾向にある。 即ち、高価な炭素繊維を多く使用したとしても、炭素繊維の持つ強度が、製造された炭素/炭素複合材の強度に十分発現していなかった。 そのため、炭素/炭素複合材の破断伸度が小さく、破断に至るまでの吸収エネルギーが小さいという問題を有していた。
本発明は、かかる観点からなされたものであり、その目的は、製造された炭素/炭素複合材の破断ひずみエネルギーが高く、材料異方性の低い高機能炭素/炭素複合材を提供することを課題とするものである。
上述したような課題を解決するために、第1の観点にかかる発明では、連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、炭素/炭素複合材料の繊維方向における熱伝導率Kと繊維方向と直角方向における熱伝導率Kとの比K/Kが0.5以上である構成の炭素/炭素複合材料とした。
また、第2の観点にかかる発明では、連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、炭素/炭素複合材料の繊維方向における体積抵抗率ρと繊維方向と直角方向における体積抵抗率ρとの比ρ/ρが2以下である構成の炭素/炭素複合材料とした。
更に、第3の観点にかかる発明では、連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、炭素/炭素複合材料の繊維方向における破断ひずみエネルギーUが300×10J/m以上である構成の炭素/炭素複合材料とした。
本発明においては、上述したような構成の炭素/炭素複合材とすることにより、製造された炭素/炭素複合材の破断ひずみエネルギーが高く、材料異方性の低い高機能炭素/炭素複合材を提供することが可能となった。
以下、本発明の実施の形態について説明する。 なお、ここで説明する本発明の実施の形態は、本発明を例示するものであって、これらによって限定されるものではない。
本発明で使用される炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系(PAN系)、レーヨン系、およびピッチ系のいずれのものであってもよく、耐炎化処理糸、炭化処理糸、黒鉛化処理糸のいずれのものでも使用することができる。 本発明において連続炭素繊維トウとは、炭素繊維の長繊維フィラメントの束を言い、1000本、3000本、6000本、12000本、24000本等のフィラメントを束ねたものを意味するが、特にフィラメントの本数に限定されるものではない。
また、本発明において短繊維炭素繊維とは、1〜50mmの長さを有する炭素繊維であり、1〜25mmの長さの炭素繊維とすることもできる。 ただし、炭素繊維の長さはこれらに限定されるものではない。
一般に市販されている炭素繊維には、複合材料を形成する際のマトリックス樹脂との接着性を良好なものにするために、炭素繊維表面に、電解表面処理などの表面酸化処理を施したり、炭素繊維を繊維束として集束させるために、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などの官能基を有するサイジング剤を、炭素繊維表面に付着させたりしている。
本発明で使用する炭素繊維には、ここで述べたような表面処理やサイジング剤が施されていても良い。 もちろん、このような表面処理やサイジング剤の効果を除却した炭素繊維を使用することもできる。
本発明で使用する軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末としては、60〜320℃の範囲の軟化温度を有し、キノリン不溶分が0〜80重量%、及び揮発分が10〜60重量%の石油及び/又は石炭から得られる等方性、潜在的異方性、又は異方性のバインダーピッチを用いることができる。
このようなバインダーピッチとしては、石油の常圧残油、減圧残油、接触分触オイル等の石油系重質油あるいは石炭タール、オイルサンド油等の石炭系重質油を高温下(350〜500℃)で加熱処理した際に得られるピッチ類が挙げられる。 また、このピッチ類から得られるメソフェーズ小球体、あるいはそれが合体成長したバルクメソフェーズ等も有用である。
本発明における軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末は、強化繊維(炭素繊維)と、骨材としての後述する軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、を結合させるために用いられるものであって、その平均粒径は0.5〜60ミクロンが好ましく、3〜20ミクロンであれば更に好ましい。
本発明における軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末は、骨材的役割を持たせるためのものであり、軟化点を有しておらず、揮発分が10重量%以下、好ましくは2重量%以下のものが使用される。 本発明で使用するコークス粉末としては、石油系あるいは石炭系のいずれのものでも使用することができ、その平均粒径は0.5〜30ミクロンが好ましく、1〜20ミクロンであれば更に好ましい。
本発明において、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末との配合比は特に限定されるものではないが、重量比でバインダーピッチ/コークス=90/10〜10/90が好ましく、70/30〜30/70であれば更に好ましい。
本発明においては、炭素/炭素複合材を製造する際に、後述するようなプリプレグ状中間材料を使用する場合には、粘結剤が使用される。 この粘結剤は、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を粘着させると共に、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤からなる混合物を炭素繊維に粘着接合するために使用されるものである。粘結剤としては、増粘安定剤(又は糊料)として工業的に使用されているものを利用することができ、天然由来の増粘安定剤および化学的に合成された増粘安定剤のいずれをも使用することができる。
本発明の粘結剤(増粘安定剤)としては、例えば、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、澱粉の中から選択することができる。あるいは粘結剤(増粘安定剤)として、これらの中の複数種類を組み合わせた混合物を選択することもできる。
なお、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物に転化する溶剤としては、アルコール等の有機溶剤または水を使用することができる。
次に、本発明にかかる炭素/炭素複合材を製造する際に使用される中間材料の実施例について説明するが、ここで説明する実施例は中間材料の代表的なものを例示するものであって、これらに限定されるものではない。
本発明にかかる炭素/炭素複合材を製造する際に使用される中間材料としては、大きく分けて(1)プリフォームドヤーン、(2)マトリクス含有一方向強化材、(3)マトリクス含有クロス、(4)マトリクス含有不織布((2)〜(4)をまとめてプリプレグ状中間材料とも呼ぶ)を例示することができる。 以下、これらについて説明する。
(1)プリフォームドヤーンは、例えば、ポリプロピレンやナイロンの如き熱可塑性樹脂フィルムでできたスリーブの中に、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末の混合物と連続炭素繊維トウとを封入し、多数の炭素繊維の間に軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末の混合物が分散配置された状態の中間材料である。
このプリフォームドヤーンを経糸として一方向に引き揃え、緯糸として例えばナイロン糸の如き熱可塑性樹脂繊維を使用したシート状織物として使用することができる。 このシート状織物は、取扱い性を良くするために、織物状にはなっているが、連続炭素繊維トウは一方向に引き揃えられている。
例えば、このプリフォームドヤーンを使用したシート状織物を複数枚積層(一方向強化積層またはアングルプライ積層)し、これをホットプレス等によって加圧加熱することにより、炭素/炭素複合材の中間積層板を成形することができる。 この中間積層板を炭化温度、あるいは黒鉛化温度まで焼成することにより、一方向強化した炭素/炭素複合材の積層板、あるいはアングルプライした炭素/炭素複合材の積層板を得ることができる。
また、このプリフォームドヤーンを、例えば50mm程度の長さに切断したプリフォームドヤーンのチョップドストランドを使用することもできる。
このチョップドストランドは、所定空間を有する成形金型のなかに、ランダムに投入し、これをホットプレス等によって加圧加熱することにより、炭素/炭素複合材の中間成形体を成形することができる。 この中間成形体を炭化温度、あるいは黒鉛化温度まで焼成することにより、炭素繊維の方向がランダムに配向された炭素/炭素複合材の成形体を得ることができる。
(2)マトリクス含有一方向強化材は、例えば、連続炭素繊維トウにバインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物(含む溶剤)を含浸させるか、塗布した上で、当該混合物が連続炭素繊維トウの各炭素繊維の間に均質に配置された状態にあって、連続炭素繊維トウが一方向に引き揃えられ、シート状になった中間材料であり、外観上は、プリプレグ状になっている。
例えば、このマトリクス含有一方向強化材を複数枚積層(一方向強化積層またはアングルプライ積層)し、これをホットプレス等によって加圧加熱することにより、炭素/炭素複合材の中間積層板を成形することができる。 この中間積層板を炭化温度、あるいは黒鉛化温度まで焼成することにより、一方向強化した炭素/炭素複合材の積層板、あるいはアングルプライした炭素/炭素複合材の積層板を得ることができる。
また、このマトリクスを含有した連続炭素繊維トウを、例えば50mm程度の長さに切断したチョップドストランドを中間材料として使用することもできる。
このチョップドストランドは、所定空間を有する成形金型のなかに、ランダムに投入し、これをホットプレス等によって加圧加熱することにより、炭素/炭素複合材の中間成形体を成形することができる。 この中間成形体を炭化温度、あるいは黒鉛化温度まで焼成することにより、炭素繊維の方向がランダムに配向された炭素/炭素複合材の成形体を得ることができる。
(3)マトリクス含有クロスは、例えば、連続炭素繊維トウを織って作ったクロス(平織、朱子織等の織布)に、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物(含む溶剤)を含浸させるか、塗布した上で、当該混合物が連続炭素繊維トウの各炭素繊維の間に均質に配置された状態にあって、シート状になった中間材料であり、外観上は、プリプレグ状になっている。
例えば、このマトリクス含有クロスを複数枚積層(含むアングルプライ)し、これをホットプレス等によって加圧加熱することにより、炭素/炭素複合材の中間積層板を成形することができる。 この中間積層板を炭化温度、あるいは黒鉛化温度まで焼成することにより、複数方向を炭素繊維で強化した炭素/炭素複合材の積層板を得ることができる。
また、上記マトリクス含有クロスを数センチ角程度のチョップに切断すれば、チョップドストランドと同様に使用することも可能である。
(4)マトリクス含有不織布は、短繊維炭素繊維を使用した不織布にマトリクス成分であるバインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物(含む溶剤)を含浸させるか、塗布した上で、当該混合物が各炭素繊維の間に均質に配置された状態にあって、シート状になった中間材料であり、外観上は、プリプレグ状になっている。
短繊維炭素繊維を使用した不織布とは、炭素繊維を織らずに短繊維を絡み合わせたシート状のものをいい、代表的な製造方法においては、以下のような工程により製造される。
(a)フリースとよばれるシート状の炭素繊維の短繊維の集積層を形成する工程、
(b)接着樹脂を含浸あるいはスプレー等の方法でフリースに付着させ、加熱・乾燥させて繊維の交点を接着することにより、短繊維同士を結合させる工程。
また、短繊維炭素繊維を使用した不織布には、炭素繊維紙と呼ばれるペーパー状のシートも含まれる。 この炭素繊維紙は、抄紙技術を利用したものであり、炭素繊維紙の代表的な製造方法においては、以下のような工程により製造される。
(a)短繊維炭素繊維を水中に分散する工程、
(b)水中に分散させた炭素繊維を網状のネット上に漉きあげシート状にする工程、
(c)漉きあげたシート状炭素繊維から脱水する工程、
(d)脱水したシート状炭素繊維に接着樹脂を付着させ、炭素繊維同士を接着させる工程、
(e)接着樹脂を付着させたシート状炭素繊維を乾燥させる工程。
マトリクス含有不織布は、上述した短繊維炭素繊維を使用した不織布に、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物(含む溶剤)を含浸させるか、塗布した上で、当該混合物が各炭素繊維の間に均質に配置された状態にあって、シート状になった中間材料であり、外観上は、プリプレグ状になっている。
また、マトリクス含有不織布は、上述した短繊維炭素繊維を使用した不織布を製造する段階において、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物(含む溶剤)を含浸させるようにしても良い。
このように製造されたマトリクス含有不織布を中間材料として炭素/炭素複合材料を製造する場合、マトリクス含有クロスの場合と同様に製造することができる。
なお、本明細書において、連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料とする炭素/炭素複合材料とは、上述した(1)プリフォームドヤーンと、(2)マトリクス含有一方向強化材、(3)マトリクス含有クロス、(4)マトリクス含有不織布の如き、少なくともバインダーピッチ粉末と、コークス粉末とを含有する炭素繊維を中間材料として製造された炭素/炭素複合材料を意味するものである。
以上説明した連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリクス成分の出発材料として炭素/炭素複合材料を製造した場合、マトリックス成分であるピッチ、コークスは易黒鉛化材料であり、炭素/炭素複合材料を黒鉛化温度以上において熱処理してやると、マトリクス成分は容易に黒鉛化する。
このため、本発明におけるマトリクス成分の熱的、電気的特性は、炭素繊維の繊維方向における熱的、電気的特性により近い値をとるようになる。
一方、例えば、従来技術のレジンチャー法の場合、出発材料のマトリクスはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂であり、このような樹脂は難黒鉛化材料であるため、処理温度を上げたとしても黒鉛化の程度が低い。 従って、従来法であるレジンチャー法によって炭素/炭素複合材料を製造した場合、マトリクス成分の熱的、電気的特性は、炭素繊維の繊維方向における熱的、電気的特性とは、大きくかけ離れた値をとることが知られている。
また、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、およびピッチ系の炭素繊維は、焼成の段階で、繊維に張力を付加しながら焼成するのが一般的であり、そのため繊維内における結晶構造に強い方向性(言い換えれば、異方性)が現れている。 従って、炭素繊維の繊維方向と繊維に直角方向の熱的、電気的特性は異なり、大きな異方性を呈することが知られている。
以上のような知見に基づき、連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリクス成分の出発材料とし、炭素繊維の体積含有量を所定量以下になるようにして炭素/炭素複合材料の試作を行った。
試作に使用した炭素繊維はPAN系炭素繊維およびピッチ(PITCH)系炭素繊維であり、使用したピッチ粉末、およびコークス粉末はいずれも石油系であった。
最終的な炭素繊維の体積含有率が25%程度以下になるように、炭素繊維とマトリクスの量を調整し、ホットプレスにて加圧、加熱して積層板を成形し、その後2000℃〜2500℃まで熱処理した。
この時、プリフォームドヤーン及びマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用した積層板では、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層したものであり、マトリクス含有クロス及びマトリクス含有不織布を中間材として使用した積層板では、クロスおよび不織布の方向性を変えることなく積層したものである。
なお、以下において、プリフォームドヤーン、マトリクス含有一方向強化材、およびマトリクス含有クロスを中間材として使用した積層板を「2D」材と呼び、マトリクス含有不織布を中間材として使用した積層板を「不織布」材と呼ぶ。
試作した積層板からサンプルを切り出し、繊維方向および繊維と直角方向の熱伝導率、体積抵抗率を測定し、表−1および表−2に示すような結果を得た。 ここで、繊維方向とは、積層板の面内方向のことを言い、繊維と直角方向とは、積層板の板厚方向を言う。




なお、表−1、−2における比較例は、レジンチャー法により製造された炭素/炭素複合材料であって、積層板(2D材または不織布材)の熱伝導率、体積抵抗率を示したものである。 なお、比較例においても、繊維方向とは、積層板の面内方向のことを言い、繊維と直角方向とは、積層板の板厚方向を言う。
表−1に示すように、本発明にかかる炭素/炭素複合材料では、炭素繊維の体積含有率が15%から25%の範囲にあり、炭素/炭素複合材料の繊維方向における熱伝導率Kと繊維方向と直角方向における熱伝導率Kとの比K/Kが0.5以上であることが分かる。 一方、従来技術であるレジンチャー法により製造された炭素/炭素複合材料の場合(比較例の場合)、K/Kは0.2〜0.45程度の範囲にあり、本発明にかかる炭素/炭素複合材料では、熱伝導率の異方性が極めて小さいことが分かる。
また、表−2に示すように、本発明にかかる炭素/炭素複合材料の繊維方向における体積抵抗率ρと繊維方向と直角方向における体積抵抗率ρとの比ρ/ρが2以下であることが分かる。 一方従来技術であるレジンチャー法により製造された炭素/炭素複合材料の場合(比較例の場合)、ρ/ρは2.2〜3.1程度の範囲にあり、本発明にかかる炭素/炭素複合材料では、熱伝導率の異方性が極めて小さいことが分かる。
次に、試作した積層板からサンプルを切り出し、積層板の面内方向の引張破壊強度と弾性率を測定し、表−3に示すような結果を得た。 また、表−3には、比較例として、レジンチャー法により製造された炭素/炭素複合材料であって、積層板(2D材または不織布材)の面内方向における繊維方向の引張破壊強度と弾性率を示してある。
なお、表−3に示す破断ひずみエネルギーUは、破断に至るまでの吸収エネルギーを表すものであり、U=(σ/E)/2で表されるものであって、σは引張破壊強度、Eは弾性率である。


表−3から分かるように、本発明にかかる炭素/炭素複合材料は、比較例に比べて、炭素繊維の体積含有率が低いにもかかわらず、引張破壊強度があまり大きく低下していない。
一方、本発明にかかる炭素/炭素複合材料では、比較例に比べて炭素繊維の体積含有率が低下したことにほぼ比例して、弾性率が低下している。
その結果、本発明にかかる炭素/炭素複合材料では、破断ひずみエネルギーUが300×10J/m以上となっており、衝撃耐久性が大きく改善していることが分かる。


Claims (3)

  1. 連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、
    当該強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、
    当該炭素/炭素複合材料の繊維方向における熱伝導率Kと繊維方向と直角方向における熱伝導率Kとの比K/Kが0.5以上であることを特徴とする炭素/炭素複合材料。
  2. 連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、
    当該強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、
    当該炭素/炭素複合材料の繊維方向における体積抵抗率ρと繊維方向と直角方向における体積抵抗率ρとの比ρ/ρが2以下であることを特徴とする炭素/炭素複合材料。
  3. 連続炭素繊維トウ又は短繊維炭素繊維を強化繊維とし、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックス成分の出発材料として、プリフォームドヤーン又はマトリクス含有一方向強化材を中間材として使用し、炭素繊維の向きを0°、90°の向きに順番に積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料、又は、マトリクス含有クロス又はマトリクス含有不織布を中間材として使用し、クロス又は不織布の方向性を変えることなく積層した積層板から製造された炭素/炭素複合材料であって、
    当該強化繊維の体積含有率が15%から25%であり、
    当該炭素/炭素複合材料の繊維方向における破断ひずみエネルギーUが300×10J/m以上であることを特徴とする炭素/炭素複合材料。
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