JP6780598B2 - (メタ)アクリル化合物の製造方法 - Google Patents
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このような(メタ)アクリル化合物は、一般的に、イソシアネート基含有有機ケイ素化合物と、アルコール性ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル化合物とを触媒存在下で反応させて製造される。
しかし、第3級アミンを使用した場合、(メタ)アクリル基の重合反応が進行してゲル化する虞があり、また、鉄触媒を使用した場合、着色の問題がある。
これらの観点から、ウレタン化反応では、スズ触媒が好適に用いられる。
1. (I):下記式(2)
で表される化合物と、下記式(3)
で表される化合物と、をスズ触媒存在下で反応させる工程、および、
(II):無機酸化物を用いて前記スズ触媒を除去し、生成物中のスズを30質量ppm以下とする工程を含むことを特徴とする下記式(1)
で表される(メタ)アクリル化合物の製造方法、
2. 前記無機酸化物が、シリカである1の(メタ)アクリル化合物の製造方法、
3. 前記Eが、下記式(4)で表される1または2の(メタ)アクリル化合物の製造方法、
4. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(5)〜(9)で表される化合物のいずれかである1〜3のいずれかの(メタ)アクリル化合物の製造方法、
5. 前記スズ触媒が、オクチルスズ化合物である1〜4のいずれかの(メタ)アクリル化合物の製造方法
を提供する。
本発明に係る式(1)で表される(メタ)アクリル化合物の製造方法は、(I):下記式(2)で表されるアルコール化合物と、下記式(3)で表されるイソシアネート化合物と、をスズ触媒存在下で反応させる工程、および、(II):無機酸化物を用いてスズ触媒を除去し、生成物中のスズを30質量ppm以下とする工程を含むことを特徴とする。
炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖アルキレン基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デシレン基等が挙げられるが、中でも、トリメチレン基が好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
トリアルキルシリル基としては、その中のアルキル基が直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリn−プロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリn−ブチルシリル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基がより一層好ましい。
一方、R1としては、直鎖のアルキル基またはケイ素原子に結合したアルキル基が互いに独立して炭素数1〜5直鎖アルキルであるトリアルキルシリル基が好ましく、メチル基、エチル基、トリメチルシリル基がより好ましい。
mは、2〜3の整数が好ましい。
好適なEとしては、下記式(4)で示されるものが挙げられる。
ジオクチルスズ化合物の具体例としては、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズオキサイド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジネオデカエート、ジオクチルスズビスエチルマレート、ジオクチルスズビスオクチルマレート、ジオクチルスズビスイソオクチルチオグリコレート、ジオクチルスズマレート、ジオクチルスズジメトキシド、ジオクチルスズオキサイドとフタル酸ジエステルとの反応生成物、ジオクチルスズオキサイドとエチルシリケートとの反応生成物などが挙げられる。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
使用可能な無機酸化物としては、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)等の元素の酸化物が用いられる。
なお、無機酸化物によるスズ触媒の除去処理は、所望のスズ含有量になるまで、複数回行うことも可能である。
本発明の方法によって、スズ含有量が30質量ppm以下、場合によっては25質量ppm以下、さらには20質量ppm以下まで低減されたウレタン結合および加水分解性シリル基またはシロキサン基を有する(メタ)アクリル化合物を得ることができる。
なお、スズ含有量は、得られた生成物1gを硫酸灰化法により処理した後、ICP−OES(誘導結合プラズマ発光分光分析法、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 SPS5520)において測定した結果である。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205g(1mol)、ジオクチルスズオキサイド0.03gを納め、80℃まで加温した。その中にヒドロキシエチルアクリレート116g(1mol)を滴下し、80℃にて2時間撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。シリカゲル60N(関東化学(株)製)6.5gを添加し、25℃にて3時間撹拌した。その後、濾過して得られた生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより下記式(10)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、15質量ppmであった。
なお、IR測定は、Thermo Fisher社製 Nicolet 6700を用いて行った。
シリカゲル60Nの添加量を13gに変更した以外は、上記実施例1と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(10)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、5質量ppmであった。
反応後にシリカゲル60Nを添加しなかった以外は、上記実施例1と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(10)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、35質量ppmであった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205g(1mol)、ジオクチルスズオキサイド0.04gを納め、80℃まで加温した。その中に2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート(新中村化学工業(株)製、701A)214g(1mol)を滴下し、80℃にて2時間撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。シリカゲル60N(関東化学(株)製)8gを添加し、25℃にて3時間撹拌した。濾過して得られた生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより下記式(11)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、15質量ppmであった。
シリカゲル60Nの添加量を16gに変更した以外は、上記実施例3と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(11)で表される化合物であることが確認された。得られた生成物中のスズ含有量は、5質量ppmであった。
反応後にシリカゲル60Nを添加しなかった以外は、上記実施例3と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(11)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、35質量ppmであった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205g(1mol)、ジオクチルスズオキサイド0.07gを納め、80℃まで加温した。その中にペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合品(新中村化学工業(株)製、A−TMM−3L)542g(トリアクリレート体が1mol)を滴下し、80℃にて2時間撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。シリカゲル60N(関東化学(株)製)15gを添加し、25℃にて3時間撹拌した。濾過して得られた生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより下記式(12)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、15質量ppmであった。
シリカゲル60Nの添加量を30gに変更した以外は、上記実施例5と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(12)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、5質量ppmであった。
反応後にシリカゲル60Nを添加しなかった以外は、上記実施例5と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(12)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、35質量ppmであった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205g(1mol)、ジオクチルスズオキサイド0.14gを納め、80℃まで加温した。その中にジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合品(新中村化学工業(株)製、A−TMM−3L)1,156g(ペンタアクリレート体が1mol)を滴下し、80℃にて2時間撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。シリカゲル60N(関東化学(株)製)27gを添加し、25℃にて3時間撹拌した。濾過して得られた生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより下記式(13)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、15質量ppmであった。
シリカゲル60Nの添加量を54gに変更した以外は、上記実施例7と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(13)で表される化合物であることが確認された。得られた生成物中のスズ含有量は、5質量ppmであった。
反応後にシリカゲル60Nを添加しなかった以外は、上記実施例7と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(13)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、35質量ppmであった。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン380g(1mol)、ジオクチルスズオキサイド0.05gを納め、80℃まで加温した。その中にヒドロキシエチルアクリレート116g(1mol)を滴下し、80℃にて2時間撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。シリカゲル60N(関東化学(株)製)10gを添加し、25℃にて3時間撹拌した。その後、濾過して得られた生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより下記式(14)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、15質量ppmであった。
シリカゲル60Nの添加量を20gに変更した以外は、上記実施例9と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(14)で表される化合物であることが確認された。得られた生成物中のスズ含有量は、5質量ppmであった。
反応後にシリカゲル60Nを添加しなかった以外は、上記実施例9と同様の手順を行った。生成物は、淡黄色透明液体であり、1H−NMRにより上記式(14)で表される化合物であることが確認された。生成物中のスズ含有量は、35質量ppmであった。
Claims (4)
- (I):下記式(2)
で表される化合物と、下記式(3)
で表される化合物と、をスズ触媒存在下で反応させる工程、および、
(II):無機酸化物を用いて前記スズ触媒を除去し、生成物中のスズを30質量ppm以下とする工程を含み、
前記無機酸化物が、シリカであり、前記スズ触媒が、ジオクチルスズ化合物であることを特徴とする下記式(1)
で表される(メタ)アクリル化合物の製造方法。 - 前記ジオクチルスズ化合物が、ジオクチルスズオキサイドである請求項1〜3のいずれか1項記載の(メタ)アクリル化合物の製造方法。
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