JP6017894B2 - ネガ型平版印刷版原版用感光性組成物及びそれを用いたネガ型平版印刷用原版 - Google Patents

ネガ型平版印刷版原版用感光性組成物及びそれを用いたネガ型平版印刷用原版 Download PDF

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Description

本発明は平版印刷版用原版に関するものであり、特にコンピューター等のデジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用のネガ型の平版印刷版用原版に関するものである。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するものが広く用いられている。その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得る方法が用いられていた。
最近では、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力するデジタル化技術が広く普及している。そして、その様なデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果、レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すること無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルなどの活性種を発生しうる感光性組成物を含有した感光層を設けた構成が提案され、上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査露光し活性種を発生させ、その作用によって感光層を物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
最近になってCTP技術の革新的な進歩によって高精細なFMスクリーニングの利用頻度が増え、より優れた紙面品質を求められるようになった。しかしながら、FMスクリーニングは微小な画像の集合体で画像形成されるため、微小画像の耐刷性及び耐薬品性向上は非常に困難であった。例えば、耐刷性の向上方法として一般的に従来から知られているのは、特許文献1である。特許文献1によると、紫外・可視光線領域に反応する光重合性組成物に不飽和二重結合を有するシランカップリング剤を極少量添加することによってアルミニウム基盤とその上層に設けられた感光層との接着性が向上し結果、耐刷性が向上すると述べられている。しかしながら、このような感光層では、65〜110線相当の非常に大きい画像部の耐刷性は確かに改善が見られたが、FMスクリーニングで使用される微小画像の耐刷性、耐薬品性は確かめられていない。また、近年、赤外線領域に反応するサーマルネガ型感光性組成物の耐刷性の向上方法として知られているのは、特許文献2、3、4である。これら特許文献によると、特定アルカリ可溶性高分子を利用することによって高密度且つ強固な架橋構造が速やかに形成され、高感度、且つ、優れた耐刷性が実現されると述べられている。しかしながら、これら特許文献もまた微小画像の耐刷性、耐薬品性は確かめられていない。特に、サーマルネガ型平版印刷版は、上記紫外・可視光線領域に反応する光重合性組成物とは異なり、プレヒートと呼ばれる重合促進工程を省略するため、低露光量では画像硬化が不十分になり微小画像ほど耐刷不足となることから、結果的に耐薬品性も劣化する傾向にあった。以上から、FMスクリーニングを利用した高品質な印刷をするためには、微小画像部の耐刷性、及び耐薬品性の向上は必須条件となり早期改良の余地があった。
特開平04−161957号公報 特開2004−109851号公報 特開2007−272079号公報 特開2007−272134号公報
従って、本発明の目的は、高感度でFMスクリーニング再現性に優れ、微小画像部の耐刷性や耐薬品性に優れた感光層が設けられたサーマルネガ版用平版印刷版原版及び、その感光層のための感光性組成物を提供することである。
本発明は、下記式(I)
Figure 0006017894
(上式中、R及びRは水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、L及びLは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリーレン基を示す。)
で表わされる単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂と、下記一般式(II−1)〜(II−5)
Figure 0006017894
(上式中、Rは独立して水素原子又はメチル基を示し、Xは独立して炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、nは独立して1〜3の整数である。)
で表わされる群から選択される少なくとも1種以上のシランカップリング剤と、赤外線吸収剤と、ラジカル重合性開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性化合物とを少なくとも含有するネガ型平版印刷版原版用感光性組成物を提供する。
また、本発明は、支持体と、該支持体の上に当該感光性組成物を用いて形成された感光層とを備えるネガ型平版印刷版原版を提供する。
本発明の感光性組成物を用いて形成された感光層を備えるネガ型平版印刷版用原版によると、赤外線レーザーの照射時に、シランカップリング剤中の不飽和二重結合部位と上記アルカリ可溶性樹脂中の特定不飽和二重結合部位との高速重合によって非常に高密度な架橋構造となる。一方、シランカップリング剤中のシリル基部位は、感光膜塗布時に自己縮合し、複雑な構造変化を起こし、感光膜中でこれら無機化合物同士の相互作用によってより強固な感光膜を生じると考えられる。以上から、本発明の感光性組成物を用いて形成された感光層は、微小画像部の耐刷性、耐薬品性に優れた高品質な印刷版を得ることができる。
本発明の感光性組成物において、一般式(I)の単量体単位を生じる重合性化合物は、例えば、アルコール性水酸基を有する重合性化合物と不飽和二重結合を有するイソシアネート化合物との付加反応から得ることができる。一般式(I)中、L及びLは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリーレン基を示す。R、R、L及びLが有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、特に塩素もしくは臭素原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、又は硫酸基が挙げられ、L及びLがアリーレン基の場合は、単環構造又は縮合構造のいずれであってもよく、置換基としてメチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を有してもよい。
及びRは、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。L及びLは、特に好ましいアルキレン基としてエチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン及びイソブチレンが挙げられ、特に好ましいアリーレン基としてフェニレン及びナフチレンが挙げられ、アリーレン基が有しても良い特に好ましい置換基としてはメチル基、塩素、臭素が挙げられる。
一般式(I)の単量体単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂中、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜60モル%である。5モル%以上、特に10モル%以上の場合では、画像形成した場合に強靭で柔軟性の高い画像が得られる。70モル%以下、特に60モル%以下では、アルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度を早くし、感度を遅くするようなことは無くなるので好ましい。
また、本発明の感光性組成物において、アルカリ可溶性樹脂が、さらに下記一般式(III)又は一般式(IV)の単量体単位を含有することが好ましい。一般式(III)又は(IV)の単量体を含有することによってアルカリ可溶性樹脂全体のガラス転移点(Tg)が大幅に上昇し、強靭な画像を形成することができるからである。
Figure 0006017894
(上式中、R及びRは水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Mは置換基を有してもよい炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基を示す。)
一般式(III)又は(IV)の単量体単位を生じる化合物は、例えば、特定脂環構造をもつアルコール化合物と不飽和二重結合を有するアクリル酸エステルとの反応から得ることができる。一般式(III)又は(IV)の単量体単位を生じる化合物は、例えば日立化成工業社より市販されている。R及びRにおいて、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、アルキル基が有しうる置換基としては、ハロゲン原子、特に塩素もしくは臭素原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、又は硫酸基が挙げられる。
一般式(III)又は(IV)の単量体単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂中、好ましくは1〜55モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%である。5モル%以上、特に10モル%以上の場合では、現像液として用いるアルカリ水溶液に対して安定になり、画像形成した場合に耐薬品性の高い画像が得られる。40モル%以下、特に30モル%以下では、逆にアルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度を早くし、感度を遅くするようなことは無くなるので好ましい。
これら成分に必要に応じて加えられる重合可能な不飽和結合基を有する他のモノマーとして、例えば下記(1)〜(10)に挙げるモノマーが望ましい。
(1)フェノール性水酸基を有するモノマー。例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノール、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレートである。
(2)スルホンアミド基を有するモノマー。例えば、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミドである。
(3)活性イミド基を有するモノマー。例えばN−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミドである。
(4)脂肪族水酸基を有するモノマー。例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートである。
(5)α,β−不飽和カルボン酸。例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
(6)アリル基を有するモノマー。例えば、アリルメタクリレート、N−アリルメタクリルアミドである。
(7)アルキルアクリレート類又はアルキルメタクリレート類。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、グリシジルメタクリレートである。
(8)アクリルアミド類又はメタクリルアミド類。例えば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−へキシルアクリルアミド、N−シクロへキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−へキシルメタクリルアミド、N−シクロへキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミドである。
(9)スチレン類。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等である。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾ−ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
これらは、1種の化合物単独で用いてもよいし、(1)〜(10)の同じグループの化合物を2種類以上組み合わせて、又は異なるグループの化合物を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂を形成するために必要に応じて加えられる他のモノマーから生じる単量体単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂中、好ましくは1〜40モル%、より好ましくは5〜40モル%である。
アルカリ可溶性樹脂の製造方法については、特に制限はなく、通常のビニル系又はアクリル系共重合体の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、各モノマー成分を適当な溶媒に溶解し、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じ加熱して重合を行うことにより所望の共重合体を得ることができる。このようにして得られた共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量が1万〜20万、好ましくは2万〜10万の範囲にあるものが用いられる。この重量平均分子量が1万未満では画像部の膨潤が起こりやすく、機械的強度が不足してくる。20万を超えると現像不良による汚れが発生しやすくなるため好ましくない。
アルカリ可溶性樹脂を形成するために用いられる溶媒としては、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、前記共重合体の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。添加量としては、モノマーの全量に対して0.1〜1.0質量%である。
本発明によれば、必要に応じて一般式(III)又は(IV)の単量体単位や他のモノマーから生じる単量体単位を有する、一般式(I)で表される単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。アルカリ可溶性樹脂は、画像形成の点において、感光性組成物の固形分中に、好ましくは10〜40質量%である。
一般式(I)で表される単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂の好ましい例として、以下の(I−1)〜(I−4)が挙げられる。括弧の横に書き添えられた数字はモル百分率の範囲を示す。
Figure 0006017894
一般式(I)で表される単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、他のアルカリ可溶性樹脂と併用してもよい。他のアルカリ可溶性樹脂としては、好ましくはメタクリル酸又はアクリル酸誘導体の共重合体又はポリウレタン樹脂が挙げられる。他のアルカリ可溶性樹脂は、感光性組成物の固形分中に、好ましくは5〜30質量%である。
メタクリル酸又はアクリル酸誘導体の共重合体は、側鎖カルボキシル基を有するメタクリル酸又はアクリル酸共重合体であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端に重合性の二重結合を有するアルカリ可溶性共重合体が特に好ましい。
グリシジルメタクリレートの導入率としては、共重合体中のカルボキシル基に対して、好ましくは20〜70モル%、より好ましくは30〜60モル%である。20モル%未満の導入率では、感度が著しく低下する場合があり、70モル%を超える導入率では、現像性が悪くなる場合がある。
メタクリル酸又はアクリル酸誘導体の共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は、好ましくは1,000〜500,000、特に好ましくは1,500〜300,000である。重量平均分子量が1,000以上、特に1,500以上では、特に十分な塗膜が得られ、500,000以下、特に300,000以下では、露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が良くなり、特に良好に現像できる。
特に限定されるものではないが、本発明の感光性組成物に、更に含有されると好ましいポリウレタン樹脂としては、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃の範囲にあり、フィルム形成性、つまり均一な感光層表面が形成しづらくなる場合があり、また、表面のべたつきも発生しやすくなる場合があるので好ましくない。また、Tgが180℃を超える場合には、アルカリ可溶性が悪くなり、現像不良が起き易くなる場合があるので好ましくないためである。ここで、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計DSC−60(島津製作所製)を用いて測定した。なお、上記ポリウレタン樹脂の平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、従来用いられた任意ポリウレタン樹脂を用いることができる。
一般的に、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂は、特開平2002−311579号に記載されているような側鎖カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端に重合性の二重結合を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂などが特に望ましい。
末端に重合性の二重結合を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を合成するにあたり、好ましく使用されるジイソシアネート化合物として、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチルビフェニル−4,4−ジイソシアネート、へキサンメチレンジイソシアネート、トリメチルへキサンメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、メチルシクロへキシル−2,4−(又は2,6−)ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
また、上記アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂のカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、カルボキシル基を有するジオール化合物として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、N,N−2,2−ジヒドロキシエチルグリシン、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有するジオール化合物のアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂中における含有率は、好ましくは20〜50モル%、より好ましくは25〜45モル%である。20モル%未満では、現像性が悪くなる場合があり、グリシジルメタクリレートの付加割合も狭くなり、50モル%を超えると現像時の画像強度が悪くなるのと同時にその他のジオール成分を含有できなくなる場合がある。
また、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有していてもよいジオール化合物も使用することができ具体的には以下に示すものが含まれる。即ち、ジオール化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−へキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
上記の側鎖カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端に重合性の二重結合基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂は、2段階反応で合成することができる。まず、基本骨格となるポリウレタン樹脂は上記ジイソシアネート化合物と上記カルボキシル基を有するジオール化合物及びカルボキシル基を有しないジオール化合物とを非プロトン性溶媒中において、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、加熱することにより合成することができる。次いで、得られた基本骨格となるポリウレタンにグリシジルメタクリレートを付加反応させることにより、当該アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を合成することがで
きる。使用するジイソシアネート化合物とジオール化合物のモル比は、好ましくは0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又は、アミン類などで処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
また、グリシジルメタクリレートの導入率としては、1段階目の基本骨格となるポリウレタン中のカルボキシル基に対して20〜70%、より好ましくは30〜60%である。20%未満の導入率では、高耐刷性の効果が難しくなる場合があり、70%を超える導入率では、現像性が悪くなる場合がある。
本発明の感光性組成物で使用されるシランカップリング剤は、一般式(II−1)〜(II−5)で表される群から選択される少なく1種以上である。
シランカップリング剤は、イソシアネート基を有するシランカップリング剤とヒドロキシル基を有するメタクリレート又はアクリレートとのウレタン結合反応により製造することができる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としてはイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリプロポキシシラン、イソシアネートプロピルメチルジプロポキシシラン、イソシアネートプロピルジメチルプロポキシシラン、イソシアネートプロピルトリブトキシシラン、イソシアネートプロピルメチルジブトキシシラン、イソシアネートプロピルジメチルブトキシシランなどが挙げられ、工業的に入手が容易である点よりイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
ヒドロキシル基を有するメタクリレート又はアクリレートとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。上記メタクリレート又はアクリレートは、何れも工業品の入手が容易であるため好適である。
ウレタン結合形成反応を行うにあたり反応温度は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは50〜100℃である。30℃未満では、反応が遅くなり非効率となる場合があり、150℃を超えると、メタクリル基又はアクリル基の重合が生じる恐れがある。
ウレタン結合形成反応を行うにあたり必要に応じて溶媒、反応触媒を使用してもよい。溶媒はイソシアネート基並びに、加水分解性シリル基と反応性を有さないものであれば特に限定されず、好ましくは炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒が挙げられる。反応触媒としはウレタン化触媒として公知である化合物であればよく、一般的には3級アミン、スズ化合物などが挙げられる。
一般式(II)の新規シランカップリング剤の含有量は、感光層を形成することとなる感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.5〜8.0質量%、より好ましくは1.0〜7.0質量%である。1.0質量%以上では、特に耐刷性、耐薬品性が良くなる。一方、0.5質量%未満では、耐刷性、耐薬品性が悪くなる場合があり、8.0質量%を超えると、現像不良になる場合がある。
本発明の感光性組成物で使用される赤外線吸収剤は、画像露光光源の光を吸収して、そのエネルギーを熱に変換し得る化合物であれば特に限定されないが、好ましくは波長域650〜1300nmの範囲に吸収極大を有し、吸収極大でモル吸光係数εが好ましくは10以上である赤外線吸収色素が特に有効である。赤外線吸収剤は、光の照射によって赤外線吸収剤から発生する熱、又は光電子移動を引き起こしラジカル発生を促進させるために用いられる。このため、本発明の感光性組成物は、さらに赤外線吸収剤を含有することにより、レーザー露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が減少するネガ型感光層となる。
赤外線吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が好ましい。
これらの色素は、公知の方法によって合成することができるが、以下のような市販品を用いることもできる。
日本化薬株式会社:IR750(アントラキノン系)、IR002,IR003(アルミニウム系)、IR820(ポリメチン系)、IRG022,IRG033(ジインモニウム系)、CY−2,CY−4,CY−9,CY−10,CY−20大日本インキ化学工業株式会社:Fastogen blue 8120みどり化学株式会社:MIR−101,1011,1021、その他、株式会社林原、三井化学株式会社、昭和電工株式会社、富士フィルム株式会社等の各社からも、上記色素は市販されている。
上記赤外線吸収色素の中で、特に下記一般式(V)で表される赤外線吸収剤が好ましい。
Figure 0006017894
(上式中、R及びRは水素原子又は置換基を有してもよい好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R及びRは置換基を有してもよい好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基を示し、Xは電荷中和イオンを示し、mは1〜7の整数を表す。R〜Rが有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、特に塩素もしくは臭素原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、又は硫酸基が挙げられる。)
上記一般式(V)で表される赤外線吸収剤の好ましい具体例を下記に示すが、その化合物の範囲はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006017894
上記赤外線吸収剤の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.6〜8.0質量%である。含有量が0.5質量%以上、特に0.6質量%以上では、感度が特に高くなり、10質量%以下、特に8.0質量%以下では、非画像部(未露光部)の現像性が特に向上するので好ましい。
本発明の感光性組成物で使用されるラジカル重合性開始剤は、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物、オニウム塩(特開2003−114532号公報に記載のヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩)等が挙げられる。これらのラジカル重合性開始剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(VI)で表される。
Figure 0006017894
(式中、R11、R12、R13及びR14は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちでR11、R12、R13及びR14のうち一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。)
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン及びオニウム化合物が挙げられるが、好ましくは、オニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 0006017894
他の好ましいラジカル重合性開始剤として、トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 0006017894
Figure 0006017894
上述したようなラジカル重合性開始剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜20質量%の範囲である。
本発明の感光性組成物で使用されるエチレン性二重結合を有する重合性化合物は、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。上記重合性化合物を含有することによって皮膜強度が向上し、高感度で支持体との密着性に優れ、耐刷性も向上すると考えられる。
エチレン性二重結合を有する重合可能な化合物としては分子量1000以下のモノマーから分子量1000以上のオリゴマー、ポリマー領域のものまで種々のものを用いることができる。このような化合物として不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等、不飽和アルコールとイソシアネート化合物とのウレタン、不飽和カルボン酸とエポキシ化合物とのエステル等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルジオールジアクリレート、ネオペンチルジオールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキ
シポリエチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
上記エチレン性二重結合を有する重合性化合物は、公知の方法で合成できるほか、市販のものを用いることができる。例えば、東亜合成株式会社製、日本油脂株式会社製、共栄社化学株式会社製、新中村化学株式会社製、三菱化学株式会社製、日本化薬株式会社製、大阪有機化学工業株式会社製等がある。
上記エチレン性二重結合を有する重合性化合物の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは1〜80質量%、さらに好ましくは2〜70質量%である。添加量が、1質量%以上の場合は、感度がより早くなり、80質量%以下では、画像部(露光部)の耐キズ性がより向上するので好ましい。
本発明の感光性組成物は、前記の成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要応じて、着色剤、ロイコ色素、感脂性樹脂、重合禁止剤、ピペリジン誘導体化合物、界面活性剤、可塑剤等を含有することができる。
本発明の感光性組成物は、画像を見やすくするために、着色剤を用いることができる。着色剤としては、油溶性染料及び塩基性染料が好ましい。具体的には、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ビクトリアブルー、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンB、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業社製)、オイルグリーン等を挙げることができる。これらの染料の含有量は、好ましくは感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.05〜5.0質量%であり、より好ましくは0.1〜4.0質量%である。0.05質量%以上、特に0.1質量%以上では、感光層の着色が十分で画像が特に見やすくなり、5.0質量%以下、特に4.0質量%以下では、現像後の非画像部に染料の残りが残りにくくなり好ましい。
本発明の感光性組成物は、感光層の着色効果と現像液に対する溶解抑制効果を目的として、ロイコ色素を含有できる。ロイコ色素としては、従来の感熱記録材料に用いられているラクトン環を含む色素が好ましい。好ましい具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3、6−ジメトキシフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジメチルアミノ−5、7−ジメチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7、8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(N−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム等を挙げることができる。
ロイコ色素の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。含有量が0.01質量%以上、特に0.05質量%以上では、感光層の着色が十分となり、可視性が優れ、10質量%以下、特に5質量%以下では、非画像部(露光部)の現像性が特に向上するので好ましい。
さらに、本発明の感光性組成物は、感光層の感脂性(親油性)を向上させるために感脂性樹脂を含有することができる。感脂性樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号公報に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、又はt−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
感脂性樹脂の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜10質量%である。
本発明の感光性組成物は、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を含有することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、0.01〜5質量%が好ましい。また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を含有させて、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の含有量は、感光性組成物中の固形分の総質量中、0.5〜10質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物は、経時保存性を改善する目的からピペリジン誘導体化合物を含有することができる。ピペリジン誘導体化合物として、ビス(1,2,2,6,6)ペンタメチル−4−ピペリジル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエーテル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、1,2−エタン−ビス(N´−3,3,5,5−テトラメチル−2−ピペラジノン)が挙げられる。
これらの化合物は、BASF社からTINUVIN 144、TINUVIN 292として市販されている。
ピペリジン誘導体の含有量は、感光性組成物の固形分の総質量中、好ましくは0.05〜6.0質量%、より好ましくは1.0〜5.0質量%である。
本発明の感光性組成物は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報、特開平3−208514号公報、特願2006−241033号明細書に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を含有することができる。非イオン界面活性剤の好適例としては、ソルビタントリステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。両性界面活性剤の好適例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグ
リシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、第一工業株式会社製商品名「アモーゲンK」)等が挙げられる。非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の含有量は、感光性組成物の固形分中、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは、0.01〜10質量%である。0.01質量%以上では、現像性が特に良好であり、また、15質量%を超えると、画像部の強度が弱くなる場合がある。
本発明の感光性組成物は、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を含有することもできる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブチル等が用いられる。
上記可塑剤の含有量は、感光性組成物の固形分中、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜10質量%である。
支持体の上に、この感光性組成物を用いて形成された感光層を備えるネガ型平版印刷版を提供することができる。平版印刷版原版は、通常、感光性組成物の成分として上述したものを溶媒に溶かして感光液とし、適当な支持体上に感光液を塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、メチレンクロライド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジオキソラン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、γ−ブチルラクトン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これら溶媒は単独あるいは2種以上混合して使用される。感光液中の感光性組成物の固形分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法はとしては、種々の方法を用いることができるが、例えば、回転塗布、押し出し塗布、バーコーター塗布、ロール塗布、エアーナイフ塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等を挙げることができる。感光性組成物の塗布量は、用途により異なるが、乾燥時、すなわち感光性組成物の固形分に関して0.5〜5.0g/mが好ましい。
支持体としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、もしくは鋼等の金属板や、クロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキもしくは蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム、もしくはガラス板や、樹脂が塗布された紙や、親水化処理されたプラスチックフィルム等が挙げられる。
支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものでなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みは、好ましくはおおよそ0.1〜0.5mm、より好ましくは0.12〜0.4mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ブラシ研磨、ボール研磨、ブラスト研磨、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化方法としては、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭53−123204号公報に開示されている機械的方法と電気化学的な方法を組み合わせた方法も利用することができる。このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、一般的に硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜60重量%溶液、液温は5〜60℃、電流密度2〜50A/dm、電圧1〜100V、電解時間5秒〜3分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は0.5〜5.0g/mが適当で、0.5g/m以上では耐摩耗性が特に良くなり、5.0g/m以下では、陽極酸化の孔に染料などが特に染み込みにくくなるので好ましい。
陽極酸化を施された後、アルミニウム板は、さらに、例えばケイ酸アルカリ、リン酸ソーダ、弗化ナトリウム、弗化ジルコニウム、アルキルチタネート、トリヒドロキシ安息香酸などの単独あるいは混合液による化成処理や、熱水溶液への浸漬もしくは水蒸気浴などによる封孔処理や、酢酸ストロンチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、もしくは安息香酸カルシウム等の水溶液による被覆処理や、ポリビニルピロリドン、ポリアミンスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、もしくはポリメタクリル酸等による表面もしくは裏面の化成あるいは被覆処理を後処理として行うこともできる。
さらに、上記支持体として、特開平10−297130号公報に記載の表面処理を施したアルミニウム支持体等も使用することができる。
平版印刷版原版は、支持体の上に、前記感光性組成物を用いて形成された感光層と、感光層の上に形成された保護層とを備えるものがより好ましい。
平版印刷版原版の感光層は、光重合又は熱重合性ネガ型感光層であり、通常、露光を大気中で行うために、画像記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止する目的で、画像記録層の上に、水溶性の保護層を設ける。本発明における水溶性保護層は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことを要し、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、画像記録層との密着に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3458311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が200〜3000の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8、日本酢ビ・ポバール株式会社製のJT−05、JP−05、JF−17、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、
C−500等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐キズ性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高いほど(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高いほど)、膜厚が厚いほど酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また、画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐キズ性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素
の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292501号明細書、米国特許出願番号第44563号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明の感光層組成物に対しては、これら公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3458311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。本発明の感光性組成物には、接着力、感度、不要なカブリの観点から、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを併用することが好ましい。添加量比(質量比)は、ポリビニルアルコール:ポリビニルピロリドンの比率が3:1以下、即ち、PVAに対するPVPの混合比が1/3以下であることが好ましい。水溶性保護層の乾燥後の塗布重量としては、1.0〜3.0g/mであることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、感光層とその上層に保護層とを有するものであれば、感光層と保護層とが隣接している必要は必ずしもなく、感光層と保護層との間に、両者を接着させる目的で中間層を有していてもよい。
本発明の平版印刷原版を合紙なしで多数枚積み重ねた時の版同士の離脱性をよくし、また、合紙を間に入れて積み重ねた場合でも合紙と版との離脱性をよくするために、平版印刷原版の保護層表面をマット化する場合がある。保護層表面をマット化する方法としては、保護層中にマット剤などを添加する方法、保護層表面に水溶性樹脂あるいは水溶性樹脂とマット剤などを溶解、分散させた溶液をスプレー塗布する方法などがある。マット剤としては、例えば二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉末、澱粉、コンスターチ、重合体粒子(例えばポリアクリル酸、ポリスチレンなどの粒子)などが挙げられる。
さらに、保護層に他の機能を付与することができる。例えば、露光に使う波長の光の透過性に優れ、且つ画像形成に寄与しない波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高めることができる。
本発明の平版印刷版用原版に、照射するためのレーザー光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが好ましい。発光波長としては760〜1300nmが好ましい。また、UV露光用の光源としては、カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等がある。発光波長としては、300〜500nmが好ましい。
本発明の平版印刷原版の現像に用いられる現像液及び現像補充液としては、水系アルカリ現像液が好適である。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オクタン酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリ剤等が挙げられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合せて混合して用いてもよい。
上記のアルカリ水溶液には、さらに活性剤を添加することができる。上記活性剤としては、陰イオン界面活性剤あるいは両性界面活性剤を使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、例えば炭素数が8〜22のアルコールの硫酸エステル類(例えばポリオキシエチレンアルキルサルフェートソーダ塩)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシルフェニルサルフェートソーダ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホンソーダ、ナフタレンスルホンソーダのホルマリン縮合物)、ソジウムジアルキルスルホクシネート、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどを用いることができる。また、両性界面活性剤として、例えばアルキルベタイン型、アルキルイミダ
ゾリン型活性剤が好ましい。さらに上記のアルカリ水溶液中には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウム等の水溶性亜硫酸塩を添加することもできる。
以下に、シランカップリング剤の合成例、感光性組成物を用いる実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでない。
<合成例1:一般式II−1に属するシランカップリング剤Aの製造>
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリレートを116g仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は無色液体であり、粘度33mm/sであった。この化合物の1H−NMRスペクトルデータとIRスペクトルは以下の通りである。
HNMR(300MHz,CDCl,δ(ppm):0.52(t,2H)、1.49(m,2H)、3.01(m,2H)、3.43(s,9H)、4.09〜4.31(m,4H)、5.73(d,1H)、6.02(m,1H)、6.30(d,1H)。
IRスペクトル(cm−1):2945、1727、1532、1410、1246、1192、1084、810。
<合成例2:一般式II−5に属するシランカップリング剤Bの製造>
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを524g仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、粘度6270mm/sであった。この化合物の1H−NMRスペクトルデータとIRスペクトルは以下の通りである。
H NMR(300MHz,CDCl,δ(ppm):0.57(t,2H)、1.56(m,2H)、3.08(m,2H)、3.28〜3.46(m,4H)、3.52(s,9H)、3.98〜4.26(m,12H)、5.80(m,5H)、6.05(m,5H)、6.34(m,5H)。
IRスペクトル(cm−1):2944、1728、1634、1408、1268、1188、1062、984、808。
<支持体の準備>
厚さ0.24mmのアルミニウム(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、よく水洗した。次いで、70℃、15重量%水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/mエッチングした後、さらに水洗を行ない、次いで、1N塩酸浴中で200クーロン/dmで電解粗面化処理を行った。引き続き水洗した後、15重量%水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行った後、20重量%の硝酸水溶液に浸漬して、デスマットした。次いで、15重量%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.0g/mの酸化皮膜を形成し、水洗の後、50℃の1重量%のフッ化カリウムと10重量%のリン酸一ナトリ
ウムの混合溶液で後処理し、水洗・乾燥した。
<実施例1>
下記シランカップリング剤Aを用いて、下記組成の感光液を調製した。この感光液を上記支持体であるアルミニウム板上に乾燥後の膜厚が1.5g/mになるように塗布し、90℃で3分間乾燥して感光層を形成した。得られた感光層の表面に、下記組成の水溶性保護層塗布液をワイヤーバーで塗布し、乾燥装置にて90℃で3分間乾燥させて保護膜層を形成し(塗布量は、2.0g/m)、平版印刷版原版を得た。
(感光液の組成)
シランカップリング剤A(0.1g)
重合性化合物(E−1)(0.6g)
特定アルカリ可溶性樹脂(A−1)(2.0g)
赤外線吸収剤:赤外線吸収剤(1)(0.05g)
ラジカル重合性開始剤1:有機ホウ素塩(B−6)(0.1g)
ラジカル重合性開始剤2:トリアジン化合物(T−7)(0.1g)
染料:オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製)(0.05g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル20mlとテトラヒドロフラン20mlの混合液
(水溶性保護層塗布液の組成)
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度89モル%、重合度500) 100g
界面活性剤(日本乳化剤、エマレックス710) 0.03g
蒸留水 50g
Figure 0006017894
<実施例2>
シランカップリグ剤A(0.1g)に換えて上記シランカップリング剤B(0.1g)を用いた以外は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
<実施例3>
シランカップリグ剤A(0.1g)に換えてシランカップリグ剤A(0.05g)とシランカップリング剤B(0.05g)を用いた以外は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
(感光液ハ)
<実施例4>
シランカップリグ剤A(0.1g)に換えてシランカップリグ剤A( 0.01 g)とシランカップリング剤B(0.05g)を用いた以外は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
<比較例1>
シランカップリグ剤A(0.1g)に換えて一般式IIに属さない下記比較シランカップリング剤(0.1g)を用いた以外は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
Figure 0006017894
<比較例2>
アルカリ可溶性樹脂(A−1)(2.0g)に換えて下記比較アルカリ可溶性樹脂(2.0g)を用いた以外は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
Figure 0006017894
<評価方法>
得られた平版印刷版原版を以下のように評価した。
(1.感度評価)
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter 800QTMにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数360rpmで照射エネルギーを変化させて露光した。露光後、富士フィルム社製現像液(HN−D)を4倍希釈し、PK−910II自動現像機を用いて30℃ 12秒で現像処理した。この際、網点濃度計iCplateII(グレタグマクベス社製)を用いてFMモードで設定値50%平網が50.5(±0.5)%を再現しているところを露光感度とした。
(2.FMスクリーニングテスト(画像再現性))
また、上記同様にCreo社製Trendsetter 800QTMにて、露光エネルギー50mj/cmでFM Staccato36で露光した。露光後、富士フィルム社製現像液(HN−D)を4希釈し、PK−910II自動現像機を用いて30℃ 12秒で現像処理した。この際、網点濃度計 iCplateII(グレタグマクベス社製)を用いてFMモードで設定値50%平網が50.5(±0.5)%を再現していることを確認した。
(3.耐刷性テスト)
上記同様にして露光エネルギー50mj/cmで得られた1%〜100%まで1%刻みの網点画像を、リョービ製印刷機で市販オフセット用インキにて、上質紙に印刷した。10000枚印刷するごとに止めて、電子顕微鏡写真にて画像部を拡大し、20μm四方角の1ドットの網点画像が欠落するまでの枚数を数えて判断した。
(4.耐薬品テスト)
上記同様にして露光エネルギー50mj/cmで得られた50%網点画像を、サイバー10(日研化学研究所)を30分間滴下し、脱脂綿で拭取った後、滴下部位をセロテープ(登録商標)(ニチバン社製)で完全に固定する。その後勢いよくはがす。画像部位の侵されかたで評価した。全く侵されないものを「◎」、光沢が減少するものを「○」、画像部が欠落するものを「×」とした。
Figure 0006017894
表1から明らかなように、本発明の感光性組成物において新規シランカップリング剤と特定アルカリ可溶性樹脂を含有する感光層を設けたサーマルネガ型印刷版によると、いずれも高感度で、FMスクリーニング画像再現性に優れ、微小画像部の耐刷性や耐薬品性に優れた平版印刷版原版が提供される。

Claims (5)

  1. 下記式(I)
    Figure 0006017894
    (上式中、R及びRは水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、L及びLは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリーレン基を示す。)
    で表わされる単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂と、下記一般式(II−1)〜(II−5)
    Figure 0006017894
    (上式中、Rは独立して水素原子又はメチル基を示し、Xは独立して炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、nは独立して1〜3の整数である。)
    で表わされる群から選択される少なくとも1種以上のシランカップリング剤と、赤外線吸収剤と、ラジカル重合性開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性化合物とを少なくとも含有するネガ型平版印刷版原版用感光性組成物。
  2. 前記シランカップリング剤が、感光層を形成することとなる前記感光性組成物の固形分中に0.5〜8.0質量%の範囲で含まれる請求項1に記載のネガ型平版印刷版原版用感光性組成物。
  3. 前記アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)
    Figure 0006017894
    (上式中、R及びRは水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、Mは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)
    で表わされる単量体単位をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載のネガ型平版印刷版原版用感光性組成物。
  4. 支持体と、該支持体の上に請求項1〜3のいずれかに記載の感光性組成物を用いて形成された感光層とを備えるネガ型平版印刷版原版。
  5. 前記感光層の上に形成された保護層をさらに備える請求項4に記載のネガ型平版印刷版原版。
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