JP5274982B2 - ネガ型感光性平板印刷版用現像液 - Google Patents

ネガ型感光性平板印刷版用現像液 Download PDF

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Description

本発明は、現像液に関し、特に、コンピュータ等のデジタル信号に基づいてレーザーを走査することにより直接製版できる、いわゆるネガ型感光性平板印刷版の処理に有用な現像液に関する。
近年におけるレーザーの発展は目覚しく、特に近赤外から赤外線に発光領域をもつ、高出力かつ小型のレーザー光源が容易に入手できるようになった。これらのレーザーは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版する(Computer to Plate:以下、CTPと省略する)際の記録光源として非常に有用である。例えば波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーは、他の波長領域にくらべ出力が高いために有用である。従って、このようなレーザーに対し、感応性の高い画像形成材料、即ち、レーザー照射により現像液に対する溶解性が大きい画像形成材料への要望が近年高まっている。
このような画像形成材料として、ラジカル付加重合反応を利用した画像形成材料が提案されており、通常、画像用にレーザー露光した後にアルカリ水溶液で現像し、画像が形成される。その場合、露光後に加熱処理を施し、現像を行う方式と、加熱処理を施さず、露光後直ちに現像を行う方式が提案されている。前者は自動現像機に過熱オーブンを取り付ける必要があるため、設備の大型化、コストアップとなる欠点がある。一方後者は露光によるラジカル重合の促進が十分でないために露光部の硬化が進みにくく、その結果耐刷性が加熱タイプに比較して低い欠点がある。しかし加熱オーブンを必要としないユーザーメリットが大きいため、非加熱方式が待望されている。
非加熱方式で十分な耐刷性を付与する手段としては現像工程での画像部のダメージをできるだけ低減することが望ましい。また、平板印刷版としての機能を安定して発現するためには、現像処理性として、露光部と未露光部との溶解度差(ディスクリミネーション)が大きいことが求められる。この溶解度差に関しては現像液に特定の界面活性剤を加えることである程度改良されることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、例えば特許文献2には、熱重合性組成物を用いたネガ型感光性平板印刷版が開示され、現像にはケイ酸カリウムなどを含む強アルカリ性(pH12.5を超える)水溶液が用いられている。現像液の性能を向上する上では、上述したように画像部へのダメージ低減されたものが望ましく、また現像液が常に安定な活性を保持することが重要であり、このような従来の高いpHを有する現像液では、画像部へのダメージが大きく耐刷性が不十分になる問題点があった。さらに、長期間の現像処理を続けると、環境例えば炭酸ガス濃度の変化によって、現像液の炭酸ガス吸収量が変化し現像液活性が変動するため、版材性能もその影響を受けて変動しやすいこと、また版材成分が現像層内に蓄積し、配管等の詰まりを生じる等の問題も生じていた。
これに対して、この経時および繰り返しの使用による現像性能の低下を抑えるべく、ガラス基板表面に形成した光重合性組成物を、例えば、pH10前後の炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液で現像することが提案されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。しかしながら、本発明者らが、これらの現像液を、アルミニウム支持体表面に光重合性組成物の感光層を有する感光性平板印刷版に適用したところ、非画像部での現像性が十分とは言えなかった。
また、光重合性組成物の支持体との接着性を改良して、十分な画像強度と耐刷力を有する平板印刷版を提供することを目的として、光重合性組成物の酸価を調整することを特徴とした発明が報告されている(特許文献5参照)。
特開2003−43703号公報 特開平8−108621号公報 特開平5−88377号公報 特開平11−65126号公報 特開2002−214780号公報
本発明の目的は、感光性組成物を用いた平板印刷版の現像性及び耐刷性を良好なものとするとともに、現像処理において現像浴槽内に蓄積する現像カスを著しく低減可能にし、長期間安定的に処理をすることができる現像液を提供することにある。
本発明の現像液は、下記式(I)で表わされるアニオン界面活性剤とキレート剤とを含むネガ型感光性平板印刷版用の現像液であって、現像液はアニオン界面活性剤を1.0質量%〜10質量%の範囲で含み、かつキレート剤を0.05質量%〜1.0質量%の範囲で含み、現像液のpHが11〜12.5であることを特徴とする。
Figure 0005274982
(式中、Rは直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、mは1、2又は3を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)また、本発明に係る現像液は、下記式(II)で表わされるアニオン界面活性剤をさらに含むこともできる。
Figure 0005274982
(式中、Rは直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)
さらに、本発明の現像液が適用されるネガ型感光性平板印刷版は、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物とを含むことができる。また、このネガ型感光性平板印刷版は、下記式(III)で表わされる単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂をさらに含むことができる。
Figure 0005274982
(上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、LおよびLはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
本発明によれば、感光性組成物へのダメージが少ないpH11〜12.5の比較的高いpH領域において特定のアニオン界面活性剤とキレート剤を現像液にそれぞれ特定の量を含有させることで、非画像部の現像性が向上し、十分な現像性、耐刷性、及び汚れ性を確保できることを見出し、さらには色素など単なるアルカリ水には不溶である化合物を可溶化し、長期の処理においても現像浴槽内に蓄積するカス沈殿を抑制できることを見出した。
(現像液)
以下に、本発明の現像液について説明する。本発明の現像液は後述する特定のアニオン界面活性剤を1.0質量%〜10質量%の範囲で含有し、かつキレート剤を0.05質量%〜1.0質量%の範囲で含有したpH11〜12.5であるネガ型感光性平板印刷用の現像液である。
(1.アニオン界面活性剤)
本発明の現像液において用いられるアニオン界面活性剤は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0005274982
(上記式中、Rは直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、mは1、2又は3を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)
本発明の好ましい実施態様において、上記式中、Rの好ましい例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−が挙げられ、より好ましくは−CHCH−が挙げられる。また、nは1〜20の整数であることが好ましい。また、Mはナトリウム、カリウム、リチウム、またはNHが好ましい。
式(I)で表される化合物の具体例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005274982
これらのアニオン界面活性剤は市場で入手することができ、市販品として例えば日本乳化剤株式会社製の商品名、「ニューコール707-SF」、「ニューコール707-SFC」、「ニューコール707-SN」、「ニューコール714-SF」、「ニューコール714-SN」、「ニューコール723-SF」、「ニューコール740-SF」、「ニューコール780-SF」、「ニューコール2607-SF」、「ニューコール2614-SF」などが挙げられる。
上記化合物は、単独でも2つ以上を組み合わせて用いても良い。上記化合物の添加量は、現像液中に1.0質量%〜10質量%が適当であり、好ましくは2.0質量%〜10質量%を添加することが効果的である。
ここで添加量が1.0質量%未満では、現像性低下および感光層成分の溶解性低下を招き、10質量%を超えると、現像性過多になり印刷版の耐刷性を低下させる。
また本発明の現像液には、下記式(II)で表されるアニオン界面活性剤を含有させてもよい。
Figure 0005274982
(上記式中、Rは直鎖または分岐鎖を有する炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)
式中のRの好ましい例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−が挙げられ、より好ましくは−CHCH−が挙げられる。また、nは1〜20の整数であることが好ましい。また、Mはナトリウム、カリウム、リチウム、またはNHが好ましい。
一般式(II)で表される具体的な化合物の例としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるのもではない。
Figure 0005274982
上記化合物は、単独で、若しくは2つ以上を組み合わせて含有させても良い。上記化合物の添加量は、現像液中に1.0質量%〜10質量%、より好ましくは2.0質量%〜10質量%の範囲で含有させることが好ましい。
また、本発明の現像液に含有させることのできるその他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のものグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらの界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましい。
(2.キレート剤)
本発明の現像液には、キレート剤を含有させることができる。本発明の現像液に含有されるキレート剤として、特に好ましいものは2価金属に対するキレート剤である。
2価金属の例としては例えば、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。このような2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリム塩、ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、1,3−ジアミノ-2-プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他、2−ホスホノブタントリカルボン酸-1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、2−ホスホノブタノントリカルボン酸―2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリム塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができる。このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度およびその使用量に応じて変化するが、使用時の現像液中に0.05質量%〜1.0質量%、より好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の範囲で含有させる。
ここで添加量が0.05質量%未満だと印刷版の汚れを招き、逆に1.0質量%を超えると現像性低下および感光層成分の溶解性低下させる。
本発明の現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤、またこの他に、消泡剤、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類、還元剤、染料、顔料、防腐剤等も併用することができる。
シリコーン系消泡剤としては、市販のシリコーン系消泡剤を用いることができる。例えば、KS-66(信越化学工業株式会社製)、TSA737(GE東芝シリコーン株式会社製)、FSアンチホーム544(東レ・ダウコーニング株式会社製)、FSアンチホーム90(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
アルコール系消泡剤の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
非イオン界面活性剤系の具体例としては、ソルビタン酸脂肪酸エステル、アセチレングリコール等が挙げられる。例えば、プロナール C-448(東邦化学工業株式会社製)、プロナール EX-300(東邦化学工業株式会社製)、ネオクレールTO-1(竹本油脂株式会社製)、ネオクレノールTO-2(竹本油脂株式会社製)、アセチレノールEL(川研ファインケミカル株式会社製)、アセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製)、アセチレノールE40(川研ファインケミカル株式会社製)、アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、サーフィノール61(エアープロダクツジャパン株式会社製)、サーフィノール82(エアープロダクツジャパン株式会社製)、サーフィノール104(エアープロダクツジャパン株式会社製)、サーフィノールDF-110(エアープロダクツジャパン株式会社製)等が挙げられる。
消泡剤の添加量は、現像液質量に対して0.00001質量%以上添加することが好ましく、0.0001質量%〜0.5質量%程度添加することがより好ましい。
有機酸のアルカリ金属類、無機酸のアルカリ金属塩類としては、例えば炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどが挙げられる。
アルカリ剤としては、例えば第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、および同リチウムなど無機アルカリ剤および、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパンノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなど有機アルカリ剤が挙げられる。
アルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどが挙げられる。
本発明の現像液は、基板との親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiOと、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調整することができる。酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの好ましい混合比率(SiO/MOのモル比)は0.75〜4.0であり、好ましくは0.75〜3.5の範囲である。
前記SiO/MOが0.75未満であると、アルカリ性が強くなり、感光性平板印刷版の支持体としてのアルミ基板の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)され、前記放置汚れが発生したり、溶解アルミと珪酸との錯体形成による不溶性のカスが生じるという弊害が起こり、SiO/MOが4.0更に3.5を超えると、現像性が低下したり珪酸塩の縮合した不溶性のカスが発生するという問題が生じることがある。
また現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、現像液の全質量に対して、SiO量として0.01〜1mol/Lの範囲内にあるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲内である。この濃度が0.01mol/L未満であると、アルミ基板の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果が得られず、現像性、現像処理能力が低下することがあり、1mol/Lを超えると沈殿や結晶を生成し易くなり、また廃液時の中和の際にゲル化し易くなる結果、廃液処理に支障を来たすことがある。
本発明の現像液のpHは、10〜12.5であることが必須であり、11〜12.5であるのが好ましい。また、導電率xは2<x<30mS/cmであることが必須であり、5〜25mS/cmであるのが好ましい。
また導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加え、導電率を調整することができる。
本発明の現像液は、露光されたネガ型感光性組成物の現像液および現像補充液として用いることができ自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の現像液を用いる画像形成方法においても補充方式が好ましく適用される。
本発明の現像液はネガ型感光性平板印刷版に使用することにより、効果が特に顕著になり好ましい。ネガ型感光性平板印刷版の感光層を形成する組成物としては、赤外吸収剤と、重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物とを含有し、アルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性樹脂とシランカップリング剤をさらに含有することがより好ましい。
以下に、本発明の現像液が好適に用いられるネガ型感光性組成物について詳細に説明する。
(赤外線吸収剤)
赤外吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この変換により発生した熱により、後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。上記ネガ型感光性組成物に使用される赤外線吸収剤に含まれる赤外吸収色素としては、波長650nm〜1300nmに吸収極大を有し、好ましくは吸収極大でモル吸光係数εが10以上である赤外吸収色素が特に有効である。
赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクワリリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。
また例えば、赤外吸収色素として、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭59−202829号公報、特開昭60−7878号公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、米国特許第434,875号明細書のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、特開昭58−220143号公報、特開昭59−41363号公報、特開昭59−84248号公報、特開昭59−84249号公報、特開昭59−146061号公報、特開昭59−146063号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特開平5−13514号公報、特開平5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの色素は、公知の方法によって合成することができるが、以下のような市販品を用いることもできる。
日本化薬株式会社:IR750(アントラキノン系)、IR002,IR003(アルミニウム系)、IR820(ポリメチン系)、IRG022,IRG033(ジインモニウム系)、CY-2,CY-4,CY-9,CY-10,CY-20
大日本インキ化学工業株式会社:Fastogen blue 8120
みどり化学株式会社:MIR-101,MIR-1011,MIR-1021
その他、株式会社日本感光色素、三井化学株式会社、昭和電工株式会社、富士フィルム株式会社の各社からも、上記色素は市販されている。
上記赤外吸収色素の中で、特に下記式(A)で表される赤外吸収色素が好ましい。
Figure 0005274982
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアルコキシ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基またはアルコキシ基を表し、Xは電位中和イオンを表し、nは1〜7の整数を表す。)
以下に、好適に用いることのできる一般式(A)で表される赤外吸収剤の具体例([A−1]〜[A−4])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005274982
上記赤外吸収色素を含む赤外線吸収剤の添加量は、感光性組成物の総重量に対して0.5質量%〜10質量%、好ましくは0.6質量%〜8.0質量%である。添加量が0.5質量%以上、特に0.6質量%以上では、感度が高くなり、10質量%以下、特に8.0質量%以下では、非画像部(未露光部)の現像性が向上するので好ましい。
(重合開始剤)
ネガ型感光性組成物は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させるために、光または熱によりラジカルを発生する重合開始剤を含有させることができる。重合開始剤としては、特に熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤である有機ホウ素塩重合開始剤を含有することが好ましい。
また、有機ホウ素塩重合開始剤を前述した赤外吸収剤と併用することで、赤外線レーザーを照射した際に赤外吸収剤が発熱し、その熱によりラジカルを発生することができる。これらの組み合わせにより、高感度なヒートモード記録が可能となるため、このような組み合わせが好ましい。
好適に用いられる有機ホウ素塩重合開始剤としては、下記一般式(B)で表される有機ホウ素アニオンが挙げられる。
Figure 0005274982
(式中、R、R10、R11、およびR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちでR、R10、R11、およびR12の内1つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。)
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が挙げられるが、好ましくは、オニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニル塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩が挙げられる。
以下に、好適に用いることのできる一般式(B)で表される有機ホウ素塩の具体例([OB−1]〜[OB−6])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005274982
また、上記有機ホウ素塩重合開始剤の他に、他の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を併用することができる。
他のラジカル発生剤としては、有機ホウ素塩以外の他のオニウム塩、トリハロアルキル置換化合物、スルホニウム塩が挙げられる。
トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物である。好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサゾール誘導体が挙げられ、あるいは該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
以下に、好適に用いることのできるトリハロアルキルスルホニル化合物の具体例([T−1]〜[T−14]、[BR−1]〜[BR−10])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005274982
Figure 0005274982
他のオニウム塩として、下記式(C)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
Figure 0005274982
式(C)中、R13、R14、およびR15は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニト基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Zはハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
以下に、好適に用いることのできる式(C)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−10])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005274982
Figure 0005274982
上述したような重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、感光性平板印刷版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
感光性組成物における重合開始剤の含有量は、感光性組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂に対して、好ましくは1質量%〜40質量%、更に好ましくは1質量%〜20質量%の範囲である。含有量が1質量%未満であると感度が低くなり、また40質量%を越えると感光性平板印刷版に適用した際に印刷時に非画像部に汚れが発生しやすくなる傾向がある。
感光性組成物における重合開始剤は、有機ホウ素塩重合開始剤、トリハロアルキル化合物を含むものが特に好ましく、有機ホウ素塩重合開始剤、またはトリハロアルキル化合物を1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(重合性化合物)
ネガ型感光性組成物に用いられる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、公知の方法で合成できるほか、市販のものを用いることができる。
感光性組成物に用いられる重合性化合物は、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することができる。感光性組成物における重合性化合物の含有量は、後述するアルカリ可溶性樹脂に対して5.0質量%〜70質量%、より好ましくは10質量%〜60質量%である。5.0質量%以上、特に10質量%以上の場合では、画像形成した場合に強靭で柔軟性の高い画像が得られる。70質量%以下、特に60質量%以下では、アルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度が早く、感度を遅くするようなことが無くなるため好ましい。
感光性組成物における重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調整する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、組成物中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用方法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
(アルカリ可溶性樹脂)
また、感光性組成物には、下記式(III)で表される単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
Figure 0005274982
(上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、LおよびLはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
アルカリ可溶性樹脂は、上記式(III)の構造式を有する重合性化合物の重合により得られる共重合体である。上記式(III)の単量単位を有する重合性化合物は、例えば、アルコール性水酸基を有する重合性化合物と不飽和二重結合を有するイソシアネート化合物との付加反応から得ることができる。
式(III)の構造式を有する重合性化合物の含有量は、アルカリ可溶性樹脂中に対して5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%である。5質量%以上、特に10質量%以上の場合では、画像形成した場合に強靭で柔軟性の高い画像が得られる。70質量%以下、特に60質量%以下では、アルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度を早くし、感度を遅くするようなことは無くなるので好ましい。
また、上記式(III)で表わされる重合成化合物とともに、必要に応じて加えられる重合可能な不飽和結合基を有する他のモノマーとしては、例えば、下記(1)〜(10)に挙げられるモノマーが好ましい。
(1)フェノール性水酸基を有するモノマー
例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノール、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタアクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタアクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタアクリレートである。
(2)スルホンアミド基を有するモノマー
例えば、m−アミノスルホニルメタアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミドである。
(3)活性イミド基を有するモノマー
例えば、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミドである。
(4)脂肪族水酸基を有するモノマー
例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタアクリレートである。
(5)α,β-不飽和カルボン酸
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
(6)アリル基を有するモノマー
例えば、アクリルメタアクリレート、N−アクリルメタクリルアミドである。
(7)アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、グリシジルメタクリレートである。
(8)アクリルアミド類またはメタクリルアミド類
例えば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルールメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヒキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミドである。
(9)スチレン類
例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン等である。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
これらのモノマーは、1種の化合物単独で用いてもよいし、(1)〜(10)の同じグループの化合物を2種類以上組み合わせて、又は異なるグループの化合物を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
上記の必要に応じて加えられる他のモノマー含有量は、アルカリ可溶性樹脂中に対して好ましくは1質量%〜40質量%、更に好ましくは5質量%〜40質量%である。
アルカリ可溶性樹脂の製造方法については、特に制限はなく、通常のビニル系またはアクリル系重合性化合物の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、各モノマー成分を適当な溶媒に溶解し、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じて加熱して重合を行うことにより所望の共重合体をえることができる。このようにして得られた共重合体は、ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量が1万〜20万、好ましくは2万〜10万の範囲にあるものが用いられる。この重合平均分子量が1万未満では画像部の膨潤が起こりやすく、機械的強度が不足してくる。20万を超えると現像不良による汚れが発生しやすくなるため好ましくない。
前記共重合体の重合のために用いられる溶媒としては、メチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、前記重合性化合物の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイン等が挙げられる。添加量としては、モノマーの全量に対して0.1質量%〜1.0質量%である。
また、用いられる共重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。例えば、その中でもアクリル酸誘導体の重合性化合物が好ましい。アクリル酸誘導体の重合性化合物は、側鎖カルボキシル基を有するアクリル酸重合性化合物であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端にエチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性重合性化合物が好ましい。
また、グリシジルメタクリレートの導入率としては、共重合体中のカルボキシル基に対して20〜70%、より好ましくは30〜60%である。20%未満の導入率では、感度が著しく低下する場合があり、70%以上の導入率では、現像性が悪くなる場合がある。
アクリル酸誘導体の重合性化合物のMwは、好ましくは1,000〜500,000、特に好ましくは1,500〜300,000のものが用いられる。Mwが1,000以上、特に1,500以上では、特に十分な塗膜が得られ、500,000以下、特に300,000以下では、露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が良くなり、特に良好に現像できる。
特に限定されるものではないが、感光性組成物において、更に含有されると好ましいポリウレタン樹脂としては、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃〜180℃、更に好ましくは70℃〜150℃の範囲である。Tgが50℃未満の場合には、フィルム形成性、つまり均一な感光層表面が形成しづらくなる場合があり、また、表面べたつきも発生しやすくなる場合があるので好ましくない。Tgが180℃を超える場合には、アルカリ可溶性が悪くなり、現像不良が起きやすくなる場合があるので好ましくない。ここで、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計DSC-60(島津製作所)を用いて測定した。なお、上記ポリウレタン樹脂の平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、従来用いられた任意のポリウレタン樹脂を用いることができる。
一般的に、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂は、特開平2002−311579号に記載されているような側鎖にカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端にエチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂などが特に望ましい。
また、含有されると好ましい末端にエチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を合成するにあたり、好ましく使用されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチルビフェニル−4,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキシル−2,4−(または2,6−)ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
また、上記アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂のカルボキシル基を有するジオール化合物として、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、カルボキシル基を有するジオール化合物として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、N,N−2,2−ジヒドロキシエチルグリシン、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等が挙げられる。
また、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有していてもよいジオール化合物も使用することができ、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、ジオール化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフテレート等が挙げられる。
上記の側鎖カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であって、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加反応させて、末端にエチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂は、2段階反応で合成することができる。まず、基本骨格となるポリウレタン樹脂は上記ジイソシアネート化合物と上記カルボキシル基を有するジオール化合物及びカルボキシル基を有しないジオール化合物とを非プロトン性溶媒中において、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、過熱することにより合成することができる。次いで、得られた基本骨格となるポリウレタンにグリシジルメタクリレートを付加反応させることにより、当該アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂を合成することができる。使用するジイソシアネート化合物とジオール化合物のモル比は、好ましくは0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類または、アミン類などで処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
また、グリシジルメタクリレートの導入率としては、1段階目の基本骨格となるポリウレタン中のカルボキシル基に対して20〜70%、より好ましくは30〜60%である。20%未満の導入率では、高耐刷性の効果が難しくなる場合があり、70%を超える導入率では現像性が悪くなる場合がある。
また、感光性組成物には、アルカリ可溶性樹脂とともに、式(IV)で表わされるシランカップリング剤を含有することが好ましい。
Figure 0005274982
(式中R16〜R18は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基またはアルコキシ基を示す。Xは、エステル結合、アミド結合又はフェニル基を示す。Zは、0または1を示す。Yは、0〜10の整数を示す。)
上記アルカリ可溶性樹脂および上記シランカップリング剤を含有する感光層は、レーザー等によって照射されると、上記アルカリ可溶性樹脂中の特定不飽和二重結合部位と上記シランカップリング剤中の不飽和二重結合部位との高速重合によって、非常に高密度な架橋構造と有することができる。
式(IV)で表わされるシランカップリング剤の含有量は、感光性組成物の総質量に対して好ましくは15〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%である。15質量%以上では、特に耐刷性、耐薬品性が良くなる。一方、10質量%以下では、耐刷性、耐薬品性が悪くなる。
また、感光性組成物を感光性平板印刷版に適用した場合に、支持体や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。
感光性組成物には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関して例示する。
(重合禁止剤)
感光性組成物において、重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻害するために少量の熱重合禁止剤を添加することが好ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジーt−ブチルーp−クレゾール、ピンガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4‘−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の不揮発成分中に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(着色剤)
更に、感光性組成物には、その着色を目的として染料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、油溶性染料及び塩基性染料が好ましい。具体例としては、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ビクトリアブルー、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンB、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業株式会社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製)、オイルグリーン等を挙げることができる。これらの染料の添加量は、好ましくは感光性組成分の0.05質量%〜5.0質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%〜4.0質量%である。0.05質量%以上、特に0.1質量%以上では、感光層の着色が十分で画像が特に見えやすくなり、5.0質量%以下、特に4.0質量%以下では、現像後の非画像部に染料の残りが残り難くなり好ましい。
(その他の添加剤)
更に、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェード、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。また、後述する感光性平板印刷版において、膜強度(耐刷性)向上を目的とした現像後の加熱・露光の効果を強化するためのUV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
上述したネガ型感光性組成物は、以下に述べる感光性平板印刷版における感光層として好適に使用することができる。
(感光性平板印刷版)
感光性平板印刷版は、支持体上に、感光層と、任意に保護層を順次積層してなるものであって、感光層が上述した感光性組成物を含むことを特徴とする。かかる感光性平板印刷版は、上述した感光性組成物を含む感光層塗布液や、保護層等所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体又は中間層上に塗布することによって製造することができる。
(感光層)
感光層は、上述した感光性組成物に相当するネガ型感光層であり、光または熱により重合開始剤が分解し、ラジカルを発生させ、この発生したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こすという機構を有する。これらの感光層を有する感光性平板印刷版は、300nm〜1200nmの波長を有するレーザー光での直接描画での製版に特に好適であり、従来の感光性平板印刷版に比べ、高い耐刷性及び画像形成性を発現するという特徴を有する。
上記の感光層を塗設する際には、前記した感光性組成物を種々の有機溶媒にとかして、支持体又は中間層上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶媒中の固形分の濃度は、2質量%〜50質量%が適当である。
前記感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じて適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が充分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用感光性平板印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5g/m〜5g/mである。
(支持体)
上述した感光性平板印刷版の支持体としては、従来公知の、感光性平板印刷版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポロエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記を如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に、具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム基板は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理された酸化物層を形成したアルミニウム基板には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1A/m〜40A/mの範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。以上の処理によって作成された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5nm〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件を選択することができる。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2mg/m〜40mg/m、より好ましくは4mg/m〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は具体的に、アルカリ金属ケイ酸塩又はポリビニルホスホン酸が1質量%〜30質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲で含まれており、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は処理液中に0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水処理を組み合わせた表面処理も有用である。
[保護層(オーバーコート層)]
上述した感光層の上に保護層を設けることが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。基本的には感光層を保護するために設けているが、感光層がラジカル重合性の画像形成機構を有する場合には酸素遮断層としての役割を持ち、高照度の赤外レーザーで露光する場合はアブレーション防止層としての機能を果たす。
また、保護層に望まれる特性としては、上記以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用できるポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に、一部が他の共重合成分を有していても良い。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA-105、PVA-110、PVA-117、PVA-117H、PVA-120、PVA-124、PVA-124H、PVA-CS、PVA-CST、PVA-HC、PVA-203、PVA-204、PVA-205、PVA-210、PVA-217、PVA-220、PVA-224、PVA-217EE、PVA-217E、PVA-220E、PVA-224E、PVA-405、PVA-420、PVA-613、L-8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(酸素遮断層中の未置換ビニルアリコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
保護層の膜厚は0.5〜5μmが適当であり、特に0.5〜2μmが好適である。
また、平板印刷版現版を合紙なしで多数枚積み重ねた時の版同士の離脱性をよくし、さらに、合紙を間に入れて積み重ねた場合でも合紙と版との離脱性をよくするために、平板印刷版をマット化する場合がある。保護層表面をマット化する方法としては、保護層中にマット剤などを添加する方法、保護層表面に水溶性樹脂あるいは水溶性樹脂とマット剤などを溶解、分散させた溶液をスプレー塗布する方法などがある。マット剤としては、例えば二酸化珪素、酸化チタン、アルミナ粉末、デンプン、コンスターチ、重合体粒子(例えばポリアクリル酸、ポリスチレンなどの粒子)などが挙げられる。
また、画像部との密着性や耐傷性も、版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これらの2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号292,501号、米国特許出願番号44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドンービニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、充分な接着性が得られることが記載されている。保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[感光性平板印刷版1]
<表面処理>
厚さ0.24mmのアルミニウム(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、よく水洗いした。次いで、70℃、15重量%水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/mエッチングした後、さらに水洗いした。次いで、1N塩酸浴中で200C/dmで電解粗面化処理を行った。引き続き水洗した後、15重量%水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行った後、20重量%硝酸水溶液に浸漬して、デスマットした。次いで、15重量%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.0g/mの酸化皮膜を形成し、水洗の後、50℃の1重量%のフッ化カリウムと10質量%のリン酸一ナトリウムの混合液で後処理し、水洗・乾燥した。
[感光層]
次に、下記感光層塗布液[P−1]を調整し、上記処理アルミニウム版上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は温風式乾燥装置にて90℃で3分間行って感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.5g/mであった。
<感光層塗布液[P−1]>
・重合性化合物(E−1) 0.6g
・アルカリ可溶性樹脂(A−1) 2.0g
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.05g
・重合開始剤1(BO−1) 0.1g
・重合開始剤2(T−1) 0.1g
・染料:オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製) 0.05g
・溶媒:プロピレングルコールモノメチルエーテル 20ml
・溶媒:テトラヒドロフラン 20ml
上記感光層塗布液に用いた、重合性化合物(E−1)、特定アルカリ可溶性樹脂(A−1)、赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤(OB−1)および重合開始剤(T−1)の構造を以下に示す。
Figure 0005274982
[保護層(オーバーコート層)]
上記の感光層表面に、ポリビニルアルコール(ケン化度98mol%、重合度500)とポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK-30)の混合水溶液をワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて90℃5分間乾燥させた。PVAの含有量は85質量%であり、塗布量(乾燥後の被覆量)は2.45g/mであった。
以上のようにして、感光性平板印刷版1を得た。
[感光性平板印刷版2]
[感光層]
下記感光層塗布液[P−2]を調整し、感光層塗布液[P−2]を用いた以外は感光性平板印刷版1と同様にして感光性平板印刷版2を得た。
<感光層塗布液[P−2]>
・重合性化合物(E−1) 0.6g
・アルカリ可溶性樹脂(A−2) 2.0g
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.05g
・重合開始剤1(BO−1) 0.1g
・重合開始剤2(T−1) 0.1g
・染料:オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製) 0.05g
・溶媒:プロピレングルコールモノメチルエーテル 20ml
・溶媒:テトラヒドロフラン 20ml
上記感光層塗布液に用いた、アルカリ可溶性樹脂(A−2)の構造を以下に示す。
Figure 0005274982
<現像液1>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.0になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液2>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=12.0になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−2) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液3>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−3) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液4>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 2.5質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液5>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=12.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 9.5質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液6>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.0になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 2.5質量%
・本発明に係わるアニオン界面活性剤:(II−1) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<現像液7>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 2.5質量%
・本発明に係わるアニオン界面活性剤:(II−1) 5.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<比較現像液1>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.0になるように現像液を調整した。
・アニオン界面活性剤:ペレックスNB-L(花王株式会社製) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<比較現像液2>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 0.5質量%
・アニオン界面活性剤:ペレックスNB-L(花王株式会社製) 1.5質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<比較現像液3>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 0.6質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<比較現像液4>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.0になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 1.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 2.5質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
<比較現像液6>
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=12.5になるように現像液を調整した。
・本発明に係わる特定アニオン界面活性剤:(I−1) 1 5.0質量%
・キレート剤:キレスト4K-50(キレスト株式会社製) 0.25質量%
・消泡剤:サーフィノール104E(エアープロダクツジャパン株式会社製) 0.08質量%
・炭酸カリウム 0.2質量%
上記現像液に用いた、特定アニオン界面活性剤(I−1)、(I−2)、(I−3)、および(II−1)の構造を以下に示す。
Figure 0005274982
[評価:印刷版1]
得られた感光性平板印刷版1を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力4〜11Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で実施例、比較例の現像液で現像処理した。フィニッシャーは、富士フィルム(株)社製GN-2Kの1:3水希釈液を用いた。
(現像性評価)
Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で現像し、実際の非画像部の現像性を観察した。現像性評価において、○は残膜なしを表す。
(FMスクリーニングテスト(画像再現性))
得られた感光性平板印刷版1を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2,400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力7WでFM Staccato36で露光した。露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で実施例、比較例の現像液で現像処理した。フィニッシャーは、富士フィルム(株)社製GN-2Kの1:3水希釈液を用いた。
この際、網点濃度計IC plateII(グレイタグマクベス社製)を用いてFMモードで設定値50.5(±0.5)%を再現していることを確認した。
(耐刷性評価)
得られた平板印刷版1を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2,400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力7Wで得られた1〜100%まで1%刻みの網点画像を、リョービ製印刷機にて、市販オフセット用インキを用いて上質紙に印刷した。1,000枚印刷するごとに止めて、電子顕微鏡写真にて画像部を拡大し、20μm四方角の1ドットの網点画像が欠落するまで枚数を数えて判断した。
(現像カスの評価)
上述した塗布感材3,000mを上述の現像液にて、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い現像し、1週間放置し沈降した現像カスの有無を調査した。この結果も示す。
現像カス評価において、○は沈殿なしを表す。△は微量沈殿あり、×は沈殿多量を表し、△×は両者の中間の沈殿量を表す。
[評価:印刷版2]
得られた感光性平板印刷版2を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力4〜16.5Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で現像液6、7および比較例6の現像液で現像処理した。フィニッシャーは、富士フィルム(株)社製GN-2Kの1:3水希釈液を用いた。
(現像性評価)
Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で現像し、実際の非画像部の現像性を観察した。現像性評価において、○は残膜なしを表す。
(FMスクリーニングテスト(画像再現性))
得られた感光性平板印刷版2を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2,400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力16WでFM Staccato36で露光した。露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い、30℃15秒で実施例、比較例の現像液で現像処理した。フィニッシャーは、富士フィルム(株)社製GN-2Kの1:3水希釈液を用いた。
この際、網点濃度計IC plateII(グレイタグマクベス社製)を用いてFMモードを測定した。
(耐刷性評価)
得られた平板印刷版2を、水冷式20W赤外線半導体レーザーを搭載したKodak Polychrome Graphics社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2,400dpi、外面ドラム回転数360rpm、出力16Wで得られた1〜100%まで1%刻みの網点画像を、リョービ製印刷機にて、市販オフセット用インキを用いて上質紙に印刷した。1,000枚印刷するごとに止めて、電子顕微鏡写真にて画像部を拡大し、20μm四方角の1ドットの網点画像が欠落するまで枚数を数えて判断した。
(現像カスの評価)
上述した塗布感材3,000mを上述の現像液にて、Kodak Polychrome Graphics社製PK-1310IIを用い現像し、1週間放置し沈降した現像カスの有無を調査した。この結果も示す。
現像カス評価において、○は沈殿なしを表す。△は微量沈殿あり、×は沈殿多量を表し、△×は両者の中間の沈殿量を表す。
Figure 0005274982


表1から明らかなように、本発明の現像液でネガ型感光性平板印刷版を処理すると、現像性、FMスクリーニング画像再現、耐刷性、現像カス性のいずれにおいても優れていることが判った。更に特定アニオン界面活性剤同士を組み合わせることで優れた現像液に改良することができた。

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表わされるアニオン界面活性剤とキレート剤とを含むネガ型感光性平板印刷版用の現像液であって、前記現像液は前記アニオン界面活性剤を1.0質量%〜10質量%の範囲で含み、かつ前記キレート剤を0.05質量%〜1.0質量%の範囲で含み、前記現像液のpHが11〜12.5である現像液。
    Figure 0005274982
    (式中、Rは直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、mは1、2又は3を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)
  2. 下記式(II)で表わされるアニオン界面活性剤をさらに含む請求項1に記載の現像液。
    Figure 0005274982
    (式中、Rは直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは3〜100までの整数を表し、Mは1価のアルカリ金属またはNHを表す。)
  3. 本現像液が対象とする前記ネガ型感光性平板印刷版が、下記式(III)で表わされる単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂を含む請求項1または2に記載の現像液。
    Figure 0005274982
    (上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、LおよびLは、それぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
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