JP4769144B2 - 感光性組成物およびそれを用いた平版印刷原版 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性組成物に関し、さらにこれを利用した平版印刷原版に関する。さらに詳しくは、赤外線レーザー照射により画像形成可能なネガ型感光性組成物およびネガ型感光性平版印刷版に関する。
従来、ネガ型感光性組成物またはネガ型感光性平版印刷版としては、ジアゾ樹脂塩とアクリル系樹脂あるいはポリウレタン系樹脂のようなアルカリ可溶性樹脂とを主な感光層成分とし、紫外線露光により露光部分が光硬化し、現像液に対する溶解性が減少することを利用し、未露光部分を現像溶解除去して非画像とすることで露光部を画像とするものがあり、通常コンベンショナルネガ型PS版とも称されている。
また、レーザーによる直接描画、製版可能な高感度の感光性組成物も開発され、バインダー樹脂と光重合開始剤と色素増感剤および重合性化合物から構成され、アルゴンレーザー(488nm)で描画するフォトポリマー系感光性組成物が開発されている。
近年、750nm以上の領域に発光する高出力半導体レーザーやYAGレーザー等が光源として利用されるようになり、例えば、特許文献1には、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、潜伏性ブロンステック酸、および赤外吸収剤からなる平版印刷版が開示されている。この系は赤外吸収剤が吸収した光が熱に変換され、発生した熱により熱酸発生剤を分解させて酸を発生し、その後の加熱工程(プレヒート)で、発生した酸がレゾール樹脂を硬化させ、現像液に対する溶解性を減少させ、画像を得るものである。しかしながら、プレヒートによる非画像部の地汚れや現像不良が発生しやすく、また、加熱に関わる非効率性、非経済性が大きな問題点である。
上記750nm以上の波長領域で感応する光重合(フォトポリマー)系感光性組成物としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等に開示されている。これらに開示されている光重合系感光性組成物は、いずれも赤外吸収剤と光重合開始剤とエチレン性不飽和化合物等の重合性化合物とバインダー樹脂から成っており、感光層上にはポリビニルアルコール等を用いた保護層(オーバーコート層)を設けている。
上記エチレン性不飽和化合物等の重合性化合物を含有する感光層は、オーバーコート層を塗布する前では、感光層表面がベタつき(ブロッキング現象)、搬送ローラーを汚したり、空気中の微細な塵や埃を吸着しやすく、それが故で、画像形成後の画像部に微細な欠落が生じたりする場合がある。また、このオーバーコート層が主としてポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーを含有するために、高湿度雰囲気下では、版同士がブロッキングしたり、現像の際に、オーバーコート層除去のためのプレ水洗が必要となることや、感光性印刷版を製造する時には、感光層塗布後に更にオーバーコート層を塗布しなければならない等の製造上の不便さも有る。
このようなオーバーコート層を必要としない感光性組成物として、側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、光ラジカル発生剤、及び可視光から赤外光の波長領域に吸収を有し前記光ラジカル発生剤を増感させる増感剤とを含有する感光性組成物が特許文献6に開示されている。当該感光性組成物における前記重合体は、高分子化するに従がってゲル化し易くなり、高重合体にすることができず、その結果、強固な皮膜形成ができず、キズ付きやすい感光層になるという問題があった。
特開平7−20629号公報 特開平2000−122273号公報 特開平2000−122274号公報 特開平2000−131833号公報 特開平2000−131837号公報 特開平2001−290271号公報
また、上記オーバーコート層を必要としない感光性組成物は、露光量を100mJ/cm2程度以上になるように出力を増加すると漏れ光による光カブリが発生したり、あるいは版の位置決めのためのフォーカスレーザー光(650nm付近の光)による光かぶりが発生し、現像した際に筋状の残膜残り(バンディングと称する)が生じ、汚れの原因となるなどの問題点を有していた。
従って、本発明の目的は、感光層表面のベタつき原因ともされる重合性化合物を含有しない場合でも、近赤外から赤外領域に発振波長を有する固体レーザーや半導体レーザーに感応し、これらのレーザーでの照射後、アルカリ水溶液で現像可能なネガ型感光性組成物に関するものであり、しかも、高感度で、支持体との密着性や耐キズ性に優れ、バンディング現象もなく、高耐刷性を有し、感光層表面のベタつきもなく、オーバーコート層などを必要としない感光性組成物および平版印刷原版を提供するものである。
すなわち、本発明によると、(A)ケイ皮酸ビニル由来の構造単位とアルコール性水酸基を有するモノマー由来の構造単位を含んでなる共重合体に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つのイソシアネートモノマーを付加させた共重合体、(B)重合開始剤、及び、(C)赤外線吸収剤を含有することを特徴とする感光性組成物であり、さらに必要に応じて(D)重合性化合物を含有する感光性組成物、ならびに支持体上に当該感光性組成物を設けた平版印刷原版が提供される。
以下に詳細に説明するように、本発明にかかる感光性組成物を設けた平版印刷原版は、オーバーコート層を必要とせず、レーザー露光した後、コンベンショナルPS版と同じようなアルカリ現像液で現像可能であり、感光層表面がベタつくこともなく、高感度で、支持体との密着性や耐キズ性に優れ、バンディング現象もなく、高耐刷性を有する印刷版を得ることができる。
以下に、本発明明の実施の形態を説明する、もっとも、以下に説明する実施の形態は本発明を限定するものではない。本発明にかかる共重合体は、以下に詳細に説明するように、ケイ皮酸ビニルとアルコール性水酸基を有するモノマーを主成分とし、これらの成分に必要に応じて重合可能な不飽和結合基を有する他のモノマーを加えて合成した共重合体に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つのイソシアネートモノマーを付加させた共重合体である。
本発明の上記共重合体は、明確な理論は不明だが、波長830nm等のレーザー露光により、共重合体ポリマー中におけるケイ皮酸ビニル基による二量化反応とエチレン性ビニル基によるラジカル重合が効率よく同時に起こる可能性が考えられるため、例えば重合性化合物等を含まずとも高分子化されると考えられる。
本発明にかかる共重合体におけるケイ皮酸ビニルとしては、ケイ皮酸ビニル、α−シアノケイ皮酸ビニル、3−メチルケイ皮酸ビニルなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
本発明にかかる共重合体の総質量に占めるケイ皮酸ビニルの配合割合は20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。20質量%以上、特に30質量%以上の場合では、感度が遅くなることが無くなり、強靭な画像を得ることができ、70質量%以下、特に60質量%以下では、光あるいは熱かぶりを起こすことなく、室内での取扱いが容易になるので好ましい。
また、本発明にかかる共重合体におけるアルコール性水酸基を有するモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレ−トなどが挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
上記共重合体におけるアルコール性水酸基を有するモノマーの配合割合は5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。5質量%以上、特に10質量%以上の場合では、現像液として用いるアルカリ水溶液に対して安定になり、画像形成した場合に強固な画像が得られる。40質量%以下、特に30質量%以下では、逆にアルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度を早くし、感度を遅くするようなことは無くなるので好ましい。
これらの成分に必要に応じて加えられる重合可能な不飽和結合基を有する他のモノマーとしては、例えば下記(1)〜(9)に挙げる単量体が好ましい。
(1)芳香族水酸基を有する単量体。例えば、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノ−ル、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、m−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、p−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、o−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、m−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、p−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
(2)α,β−不飽和カルボン酸。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
(3)(置換)アルキルアクリレ−ト。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレ−ト、ベンジルアクリレ−ト、フェニルカルバミン酸エチルアクリレ−トなどが挙げられる。なお、本明細書では「(置換)」は、「置換または非置換」を意味する。
(4)(置換)アルキルメタクリレ−ト。例えば、メチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、プロピルメタクリレ−ト、ブチルメタクリレ−ト、アミルメタクリレ−ト、ベンジルメタクリレ−ト、フェニルメタクリレ−ト、シクロヘキシルメタクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、フェニルカルバミン酸エチルメタクリレ−トなどが挙げられる。
(5)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類。例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどが挙げられる。
(6)ウレタン(メタ)アクリレ−ト。例えばポリエ−テル型ウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレ−トなどが挙げられる。
(7)スチレン類。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等である。
(8)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾ−ル、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(9)ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種の化合物単独で用いてもよいし、(1)〜(9)の同じグループの化合物を2種以上を組み合わせて、又は異なるグループの化合物を2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合体において必要に応じて加えられる他のモノマーの配合割合は好ましくは、1〜75質量%、より好ましくは、3〜70質量%である。
前記共重合体の製造方法については、特に制限はなく、通常のビニル系またはアクリル系共重合体の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、各単量体成分を適当な溶媒に溶解し、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じ加熱して重合を行うことにより所望の共重合体を得ることができる。このようにして得られた共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量が1万〜10万、好ましくは2万〜8万の範囲にあるものが用いられる。この重量平均分子量が1万未満では画像部の膨潤が起こりやすく、機械的強度が不足してくる。10万を超えると現像不良による汚れが発生しやすくなるため好ましくない。
前記共重合体の重合のために用いられる溶媒としては、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエ−テル、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N −ジメチルホルムアミド、N,N −ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、前記共重合体の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。添加量としては、単量体の全量に対して0.1〜1.0質量%である。
次いで、上記の如く合成した共重合体に2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つのイソシアネートモノマーを付加させることにより本発明の共重合体が得られる。
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つのイソシアネートモノマーを付加させる割合は、アルコール性水酸基を有するモノマーの3〜90モル%、好ましくは5〜80モル%である。3モル%以上、特に5モル%以上の場合では、画像形成した場合に強固な画像が得られる。90モル%以下、特に80モル%以下では、アルカリ水溶液に溶解しやすくなり、現像速度を早くし、感度を遅くするようなことは無くなるので好ましい。
より好ましい上限は、60モル%、さらに好ましい上限は、50モル%である。
上記2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートは下記式(I)、(II)、(III)で示される。また、当該化合物は、カレンズAOI、カレンズMOIおよびカレンズBEIの商品名で昭和電工(株)より市販されている。
Figure 0004769144
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本発明の感光性組成物を感光層にした場合、当該感光層における(A)成分の共重合体の含有量は、通常20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%である。20質量%以上では耐刷力が悪くなることが無くなり、95質量%以下では、現像不良や経時安定性を悪くすることが無くなる。
本発明に使用される上記共重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明における上記共重合体は、効果を損なわない範囲において、従来公知の他のバインダーポリマーと混合して用いることもできる。
本発明組成物において、(B)成分として用いられる重合開始剤としては、(a)ビス(p−アミノフェノール−不飽和)ケトン、(b)トリフェニルフォスフィンまたはフォスフォニウム塩のような有機リン化合物、(c)メルカプト誘導体、(d)テトラゾニウム誘導体、(e)イミダゾール類、(f)カルボニル化合物、(g)過酸化物、(h)ハロゲン化化合物、(i)有機ホウ素塩、(j)増感色素などが挙げられ、特に有機ホウ素塩などが好ましい。以下に、上記(a)〜(j)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものでない。
上記(a)ビス(p−アミノフェノール−不飽和)ケトンの例としては、2,6−ビス(4'−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,5−ビス(4'−ジメチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,5−ビス(4'−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4'−ジエチルアミノ−2'−メチルベンジリデン)シクロヘキサン、2,5−ビス(4'−ジエチル −2'−メチルベンジリデン)シクロペンタノンなどが挙げられる。
上記(b)有機リン化合物類の例としては、トリフェニルフォスフィン、アリルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、アリルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、n−アミルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、ブロモメチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイドなどが挙げられる。
上記(c)メルカプト誘導体の例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールなどが挙げられる。
上記(d)テトラゾニウム誘導体の例としては、2,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,5−ジフェニル−3−(p−ジフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−エチルテトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(m−ヒドロキシフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(p−メトキシフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−メトキシテトラゾニウムクロライド、2,5−ジフェニル−3−(p−フェニルアゾフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−3−(4−スチリルフェニル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(p−トリル)テトラゾニウムクロライド、2,3−ジフェニル−3−(4−トリメチルアンモニウムインドール)フェニルテトラゾニウムクロライドなどが挙げられる。
上記(e)イミダゾール類としては、ヘキサアリールビスイミダゾール、2−(2−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(2−クロロフェニル)−4、5−ビス(4−メトキシフェニル)イミダゾール二量体などが挙げられる。
上記(f)カルボニル化合物類としては、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノートプロパンなどが挙げられる。
上記(g)過酸化物の例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化こはく酸、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゼン、3,3',4,4'−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
上記(h)ハロゲン化化合物の例としては、2,4,6−トリ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
上記(i)有機ホウ素塩は、近赤外または赤外線が照射された際、ラジカル発生剤としての役割を果たし、重合性化合物を重合させる。有機ホウ素塩は、特に二重結合基を有するような樹脂が存在すると、その基に重合性化合物を絡めさせて、より高分子とする。これにより、皮膜強度が向上し、高感度で、支持体との密着性に優れ、耐刷性もアップする。有機ホウ素塩としては、有機ホウ素アニオン−対カチオン錯体が好ましく用いられる。有機ホウ素アニオンとして、例えば、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号公報等に記載のものが挙げられるが、特にn−ブチル−メチル−ジフェニルホウ素アニオン、n−ブチル−トリフェニルホウ素アニオン、n−ブチル−トリナフチルホウ素アニオン、n−ブチル−トリ(p−メトキシフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリ(t−ブチルフェニル)ホウ素アニオン、エチル−トリ(1−ナフチル)ホウ素アニオン等が好ましい。また、対カチオンとしては、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩等が挙げられる。
上記(j)増感色素の例としては、キサンテン系色素、メロシアニン系色素、クマリンあるいはケトクマリン系色素などが挙げられる。
本発明における上記重合開始剤(B)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の感光性組成物おける重合開始剤は、全固形分に対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%添加することが好ましい。添加量が0.01質量%以上の場合は、感度がより早くなり、50質量%以下では、非画像部の現像性がより向上するので好ましい。
本発明において、(C)成分として用いられる赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能及び励起電子を発生する機能を有しているものであり、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム染料、ピリリウム染料、金属チオレート錯体染料等が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)等に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これら赤外線吸収剤の添加量は、感光性組成物中における均一性や、ネガ型記録層に適用した際における画像部としての耐久性の観点から、感光性組成物に含まれる全固形分に対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%である。添加量が0.01質量%以上の場合は、感度がより早くなり、50質量%以下では、非画像部の現像性がより向上するので好ましい。
本発明の感光性組成物には、さらに必要に応じて感光層表面がベトつきがなく、ブロッキング現象が生じ無い程度に(D)重合性化合物を含有させることもできる。
このような重合性化合物としては、一般的なラジカル重合性のモノマー、分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。該化合物に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の短官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロネート、マレエ−トに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメロールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロネート、マレエ−トに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト等の多官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロネート、マレエ−トに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述するような化合物等を挙げることができる。また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらのプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスルトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようなエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール−アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート、・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
また、重合性化合物の他の好ましい例として、特開2001−290271号公報に記載されているような分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する多官能スチレン架橋剤が挙げられる。
本発明の感光性組成物には、以上の成分(A)〜(D)の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宣添加することができる。以下、好ましいその他の成分に関し例示する。
[重合禁止剤]
本発明の感光性組成物においては、感光性組成物の製造中或いは保存中において、共重合体樹脂あるいは重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することができる。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の全固形分の質量に対して0.01〜5質量%が好ましい。
また、本発明の感光性組成物を平版印刷原版に適用する場合には、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程でネガ型記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の全固形分に対して約0.5重量%〜約10重量%が好ましい。
[着色剤]
更に、本発明の感光性組成物には、その着色を目的として染料若しくは顔料などを添加してもよい。これにより、本発明の感光性組成物を平版印刷原版に適用した場合、印刷版としての製版後の視認性や、画像濃度測定機適正といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、顔料、染料の使用が好ましい。例えば顔料として、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどが挙げられる。染料としては、ロイコ色素や油溶性染料または塩基性染料が好ましい。具体的には、クリスタルバイオレット、マラカイトグリ−ン、ビクトリアブル−、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンB、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学工業(株)製)、オイルブルー613(オリエント化学工業(株)製)、オイルグリーン等が好ましい。着色剤としての顔料または染料の添加量は、感光性組成物の全固形分に対して約0.5〜約50質量%が好ましい。0.5質量%以上であると、画像形成層の着色が十分で画像が見やすくなり、50質量%以下であると、現像後の非画像部に着色剤の残渣が残りにくくなるので好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の感光性組成物には更に目的に応じて、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、退色防止剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、帯電防止剤やその他種々の特性を付与する添加剤を希釈溶剤等と混合して使用してもよい。
また、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、本発明の感光性組成物を平版印刷原版に適用した場合のネガ型記録層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブチル等が用いられる。
<平版印刷原版>
本発明の平版印刷原版は、支持体上に、本発明の感光性組成物を含むネガ型記録層(感光層)を有することを特徴とする。また、必要に応じて、中間層(下塗り層)あるいはオーバーコート層等の他の層を更に有していてもよい。
本発明の平印刷原版を合紙なしで多数枚積み重ねた時の版同士の離脱性をよくし、また、合紙を間に入れて積み重ねた場合でも合紙と版との離脱性をよくするために、平版印刷原版の感光層表面をマット化する場合がある。感光層表面をマット化する方法としては、本発明明の感光性組成物中にマット剤などを添加する方法、感光層表面に水溶性樹脂あるいは水溶性樹脂とマット剤などを溶解、分散させた溶液をスプレー塗布する方法などがある。マット剤としては、例えば二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ粉末、澱粉、コンスターチ、重合体粒子(例えばポリアクリル酸、ポリスチレンなどの粒子)などが挙げられる。
特に限定されるものではないが、上記各成分を溶媒に溶かした感光液を、支持体上に塗布することにより、感光層を設け、これにより平版印刷原版を製造することができる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、メチレンクロライド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジオキソラン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これら溶媒は単独あるいは二種以上を混合して使用することができる。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、回転塗布、押し出し塗布、バーコーター塗布、ロール塗布、エアーナイフ塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等を挙げることができる。感光層の塗布量は、用途により異なるが、乾燥時で0.5〜5.0g/m2が好ましい。
上記支持体としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、もしくは鋼等の金属板や、クロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキもしくは蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム、もしくはガラス板や、樹脂が塗布された紙や、親水化処理されたプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明の支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものでなく、従来公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みは、おおよそ0.1〜0.5mm、好ましくは0.12〜0.4mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ブラシ研磨、ボール研磨、ブラスト研磨、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化方法としては、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭53−123204号公報に開示されている機械的方法と電気化学的な方法を組み合わせた方法も利用することができる。このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、一般的に硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜60質量%溶液、液温は5〜60℃、電流密度2〜50A/dm、電圧1〜100V、電解時間5秒〜3分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は0.5〜5.0g/mが適当で、0.5g/mより少ないと耐摩耗性が悪くなり、5.0g/m以上であると、陽極酸化の孔に染料などが染み込みやすくなるので好ましくない。
陽極酸化を施された後、アルミニウム板は、さらに、例えばケイ酸アルカリ、リン酸、硫酸、リン酸ソーダ、弗化ナトリウム、弗化ジルコニウム、アルキルチタネート、トリヒドロキシ安息香酸などの単独あるいは混合液による化成処理や、熱水溶液への浸漬もしくは水蒸気浴などによる封孔処理や、酢酸ストロンチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、もしくは安息香酸カルシウム等の水溶液による化成あるいは被覆処理や、ポリビニルピロリドン、ポリアミンスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、もしくはポリメタクリル酸等による化成あるいは被覆処理を後処理として行うこともできる。これらの後処理は、1種類処理あるいは2種類処理以上を続けて行うこともできる。
さらに、上記支持体として、特開平10−297130号に記載の表面処理を施したアルミニウム支持体等も使用することができる。
本発明の平版印刷原版に、照射するためのレーザー光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが好ましい。発光波長としては760〜850nmが好ましい。また、紫外線露光用の光源としては、カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等がある。発光波長としては、300〜500nmが好ましい。
本発明の平版印刷原版の現像に用いられる現像液および現像補充液としては、水系アルカリ現像液が好適である。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、オクタン酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリ剤等が挙げられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合せて混合して用いてもよい。
上記現像液および現像補充液には、必要に応じて界面活性剤、有機溶剤、キレート剤等を添加することができる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤あるいは両性界面活性剤を使用することができる。
上記陰イオン界面活性剤として、例えば炭素数が8から22のアルコールの硫酸エステル類(例えばポリオキシエチレンアルキルサルフェートソーダ塩)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシルフェニルサルフェートソーダ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホンソーダ、ナフタレンスルホンソーダのホルマリン縮合物)、ソジウムジアルキルスルホクシネート、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどを用いることができる。非イオン界面活性剤としては、例えばソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンアリルエーテルなどが挙げられ、両性界面活性剤として、例えばアルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型活性剤が好ましい。
上記溶剤としては、アルコ−ル類、エ−テル類が好ましいが、水中(20℃)に10%以上溶解しない溶剤が好ましく、この種の溶剤として、ベンジルアルコ−ル、フェニルグリコールなどが挙げられる。さらに、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウムなどの水溶性亜硫酸塩を添加することもできる。
キレート剤としては、例えば、Na227、Na533、Na337、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸を挙げることができる。中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、ヘキサメチレンジアミンテトラ、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。このようなキレート剤の最適量は、使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%の範囲で含有させる。
以下に本発明の合成例と実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
合成例1:共重合体溶液1の合成
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト35g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌し続けた。その後、反応溶液を75℃まで冷却した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート20gとジラウリン酸錫0.21gおよびシクロヘキサノン4.9gを加え、68〜72℃で3時間攪拌した。次いで反応液をシクロヘキサンで調整し、30質量%樹脂溶液(共重合体溶液1)を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約35,000であった。
合成例2:共重合体溶液2の合成
上記合成例1で用いた、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの代りに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23gを用いた以外合成例1と同様なる配合および方法にて共重合体溶液2を合成した。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約35,000であった。
合成例3:共重合体溶液3の合成
上記合成例1で用いた、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの代りに1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート33gを用いた以外合成例1と同様なる配合および方法にて共重合体溶液3を合成した。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約40,000であった。
合成例4:比較用共重合体溶液1の合成
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト35g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を75℃まで冷却した後、シクロヘキサンで調整し、30質量%樹脂溶液(比較用共重合体溶液1)を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約30,000であった。
合成例5:共重合体溶液5の合成
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20g、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト15g、メチルメタクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を75℃まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート4.7gとジラウリン酸錫0.21gおよびシクロヘキサノン4.9gを加え、68〜72℃で3時間攪拌する。次いで反応液をシクロヘキサンで調整し、30質量%樹脂溶液(共重合体溶液5)を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約40,000であった。
合成例6:共重合体溶液6の合成
上記合成例5で用いた、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの代りに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた以外合成例5と同様なる配合および方法にて共重合体溶液6を合成した。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約30,000であった。
合成例7:共重合体溶液7の合成
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20g、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト15g、メチルメタクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を75℃まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート5.5gとジラウリン酸錫0.21gおよびシクロヘキサノン4.9gを加え、68〜72℃で3時間攪拌する。次いで反応液をシクロヘキサンで調整し、30質量%樹脂溶液(共重合体溶液7)を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約40,000であった。
支持体の作製
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、その後よく水で洗浄した。次いで、70℃、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/m2エッチングした後、さらに水洗を行い、次いで、1N塩酸およびアルミニウムイオン(20g/L)からなる電解液中で200クーロン/dm2で電解研磨を行った。引き続き水洗した後、70℃、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行なった後、30℃の15%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なって、2.0g/m2の陽極酸化皮膜を形成させた。水洗した後、Aケイ酸カリウム5重量%水溶液で、70℃、10秒間浸漬処理し、水洗、乾燥した。
実施例1〜4
次に、下記組成のような感光液(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、実施例1〜4にかかる平版印刷原版を作製した。この時の塗布量は乾燥重量で2.0g/m2であった。
実施例1[感光液(A−1)]
共重合体(A)…共重合体溶液1(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ チル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤(C)…下記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
Figure 0004769144
実施例2[感光液(A−2)]
共重合体(A)…共重合体溶液2(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ チル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
実施例3[感光液(A−3)]
共重合体(A)…共重合体溶液3(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリ(t−ブチルフェニル)ホウ素−テトラブチ ルアンモニウム錯体(1.0g)
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ チル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
実施例4[感光液(A−4)]
共重合体(A)…共重合体溶液1(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ チル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工 業製 NKエステルA−9300)(0.5g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
[比較例1]
下記組成のような比較用感光液(B−1)を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、比較例1にかかる平版印刷原版を作製した。この時の塗布量は乾燥重量で2.0g/m2であった。
比較用感光液(B−1)
共重合体(A)…比較用共重合体溶液1(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ チル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工 業製 NKエステルA−9300)(2.0g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
上記のように作製した実施例1〜4、比較例1の各平版印刷版の性能評価を以下の通り行った。
(1)ブロッキングの評価
上記のようにして作製した各平版印刷原版を合紙なしで積み重ね、5kg/cm2の荷重をかけて、40℃の恒温室に24時間放置した後、版同士のブロックングの有無を調べた。その結果を表1に示す。○:版同士の接着(ブロッキング)が無い。×:版同士が接着して、離れない。
(2)感度の評価
上記各印刷版を、波長830nmの半導体レーザー(クレオ社製:TrendSetter 400QTM)を用いて、段階的に露光量を変化させて露光し、下記組成現像液の1:2に希釈液を仕込んだ自動現像機(Raptor 85 Thermal(Glunz & Jensen社製))にて、液温30℃、現像時間12秒で現像し、50%網点再現が得られ、なお且つ画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量を感度として評価した。結果を下記表1に示す。
(現像液処方)
トリエタノールアミン 60g
メチルエタンールアミン 25g
非イオン界面活性剤 85g
ブチルナフタレンスルホン酸 32g
フェニルグリコール 40g
水で1000mlに調整
(3)耐キズ性の評価
上記各印刷版を、上記の半導体レーザーを用いて、画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量にて露光し、上記と同じ方法で現像し、画像部を水洗しながらスポンジで擦り、画像の欠落程度、キズの付き易さを目視する。その結果を下記表1に示す。評価基準は以下の通りである。○:キズも画像の欠落も発生しない。△:スポンジのコスリ状にキズが発生し、その部分の画像の欠落が発生する。×:画像が全て欠落し、画像にならない。
(4)耐刷性の評価(網点面積の変化量)
上記と同様に各平版印刷原版を、上記(1)で求めた最低露光量の1.3倍の露光量にて、175線、5%網点画像をレーザー露光し、上記現像液で現像し、各印刷版を得た。次いで、各印刷版をハイデルベルグGTO印刷機にセットし、湿し水には真水を使用し、印刷インキには平版印刷用インキ(大日本インキ化学工業(株)製、Fグロス墨)を使用し、上質紙に3万枚印刷し、刷り始めと刷り終わりでの5%の網点面積を以下の計算式で変化量を調べた。変化量が少ない版ほど耐刷性が良いことを示す。その結果を下記表1に示す。
網点変化量%=[1−(刷り終わり5%網点面積/刷り始め5%網点面積)]×100
(5)バンディングの評価
上記(1)で求めた最低露光量の1.5倍の露光量にて露光し、上記感度の評価と同じ現像条件にて現像した際、筋状のかぶり(バンディング)を確認する。バンディングが明瞭に認められる場合を×とし、全くバンディングが発生していない場合を○とした。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004769144
実施例5〜7
次に、下記組成のような感光液(A−5)、(A−6)、(A−7)を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、実施例5〜7にかかる平版印刷原版(A−5)、(A−6)、(A−7)を作製した。この時の塗布量は乾燥重量で2.0g/m2であった。
実施例5[感光液(A−5)]
共重合体(A)…共重合体溶液5(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…ウレタンアクリレート(新中村化学工業製UA−6100) (2.0g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
実施例6[感光液(A−6)]
共重合体(A)…共重合体溶液6(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工 業製 NKエステルA−9300)(2.0g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
実施例7[感光液(A−7)]
共重合体(A)…共重合体溶液7(27.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリ(t−ブチルフェニル)ホウ素−テトラブチ ルアンモニウム錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工 業製 NKエステルA−9300)(2.0g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…メチルエチルケトン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
[比較例2]
下記組成のような比較用感光液[B−2]を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、比較例3にかかる平版印刷原版[B−2]を作製した。この時の塗布量は乾燥重量で2.0g/m2であった。
比較用感光液[B−2]
重合体(A)…重合体(P−1)(8.0g)
重合開始剤(B)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミ ダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウム 錯体(1.6g)
赤外線吸収剤(C)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
重合性化合物(D)…下記化合物(M−1)(2.0g)
Figure 0004769144
着色剤…10%フタロシアニン顔料分散液(1.5g)
溶媒…ジオキソラン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
なお、上記重合体(P−1)は、特開平2001−290271号公報合成例1の方法により合成した重合体である。
上記のように作製した実施例5〜7、比較例2の各平版印刷版の性能評価を以下の通り行った。
[感度の評価]
上記各印刷版を、波長830nmの半導体レーザー(クレオ社製:TrendSetter 400QTM)を用いて、段階的に露光量を変化させて露光し、下記組成現像液の1:1に希釈液を仕込んだ自動現像機(Raptor 85 Thermal(Glunz & Jensen社製))にて、液温30℃、現像時間12秒で現像し、50%網点再現が得られ、なお且つ画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量を感度として評価した。結果を下記表2に示す。
(現像液処方)
トリエタノールアミン 40g
炭酸ソーダ 4g
ブチルナフタレンスルホン酸 200g
フェニルグリコール 60g
水で1000mlに調整
[耐キズ性の評価]
上記各印刷版を、上記の半導体レーザーを用いて、画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量にて露光し、上記と同じ方法で現像し、画像部を水洗しながらスポンジで擦り、画像の欠落程度、キズの付き易さを目視する。その結果を下記表2に示す。評価基準は以下の通りである。○:キズも画像の欠落も発生しない。△:スポンジのコスリ状にキズが発生し、その部分の画像の欠落が発生する。×:画像が全て欠落し、画像にならない。
[耐刷性の評価]
上記各印刷版を、上記の半導体レーザーを用いて、各版でベタ部が完全ベタになる最低露光量でベタ部と網点部を照射した後、上記と同じ方法で現像して各印刷版を得た。次いで、各印刷版をハイデルベルグGTO印刷機にセットし、湿し水にはアルカリ性湿し水(LRH−ALKY(東洋インキ社製)200倍希釈液)を、印刷インキには平版印刷用インキ(大日本インキ化学工業社製、Fグロス墨)を使用し、上質紙に印刷し、3%の網点が欠落するまでの刷り枚数を数える。その結果を下記表2に示す。
[バンディングの評価(1)]
上記最低露光量にて露光し現像した際、漏れ光あるいは版の位置決めのためのフォーカスレーザー光(650nm付近の光)による筋状のかぶり(バンディング)を確認する。バンディングが明瞭に認められる場合を×とし、全くバンディングが発生していない場合を○とした。その結果を下記表2に示す。
[バンディングの評価(2)]
上記最低露光量の1.5倍の露光量にて露光し、上記感度の評価と同じ現像条件にて現像した際、筋状のかぶり(バンディング)を確認する。バンディングが明瞭に認められる場合を×とし、全くバンディングが発生していない場合を○とした。その結果を下記表2に示す。
Figure 0004769144
表1および表2から明らかなように、本発明の平版印刷原版は、感光層表面のベタつき(ブロッキング)もなく、そのためオーバーコート層を必要とせず、低い露光量で所望の感度が得られ、印刷版においては優れた耐刷性を有し、また耐キズ性にも優れ、バンディング現象も発生しない、赤外レーザーに適した印刷版である。

Claims (3)

  1. (A)ケイ皮酸ビニル由来の構造単位とアルコール性水酸基を有するモノマー由来の構造単位を含んでなる共重合体に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つのイソシアネートモノマーを付加させた共重合体、(B)重合開始剤、及び、(C)赤外線吸収剤を含有することを特徴とする感光性組成物。
  2. さらに、必要に応じて(D)重合性化合物を含有する請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 支持体上に、請求項1または請求項2に記載の感光性組成物を設けてなる平版印刷原版。
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