[第1実施形態に係る電子時計の概略構成:図1]
図1を参照して、第1実施形態に係る電子時計100の概略構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る電子時計の概略構成を示すシステム構成図である。電子時計100は、指針2によって時刻を表示するアナログ表示式時計である。なお、以下の説明において、各構成の符号に添えた添え字aは分針用の構成を示し、添え字bは時針用の構成を示す。なお、いずれ指針用であるかを区別して説明する必要がない場合は、添え字を省略して示す。
電子時計100は、図1に示すように、電源(バッテリ)10と、基準信号源20と、駆動制御回路30と、ドライバ回路90と、ステップモータ1と、指針2とを備えている。指針としては一般的に、秒針、分針、時針があるが、第1実施形態においては、分針2aと時針2bに関する駆動について説明をする。
電源10としては、1次電池、または電圧変動のある2次電池とのいずれを用いてもよい。基準信号源20は、不図示の水晶振動子によって所定の基準信号を出力する発信回路21と、その基準信号を入力しタイミング信号を駆動制御回路30に出力する分周回路22とを備えている。このタイミング信号に基づいて駆動制御回路30において各パルスが出力される。
駆動制御回路30は、主な構成として、通常パルス出力回路40と、補正パルス出力回路50と、検出パルス出力回路60と、パルス制御回路70と、回転検出回路80とを備えている。
通常パルス出力回路40は、分針用通常パルス出力回路40aと、時針用通常パルス出力回路40bとを備えている。分針用通常パルス出力回路40aは、分針用ステップモータ1aを駆動するための分針用通常パルスSPaを生成し、分針用ステップモータ1aに対して分針用通常パルスSPaを出力する。時針用通常パルス出力回路40bは、時針用ステップモータ1bを駆動するための時針用通常パルスSPbを生成し、時針用ステップモータ1bに対して時針用通常パルスSPbを出力する。
補正パルス出力回路50は、分針用補正パルス出力回路50aと、時針用補正パルス出力回路50bとを備えている。分針用補正パルス出力回路50aは、分針用通常パルスSPaよりも駆動力の大きい分針用補正パルスFPaを生成し、分針用ステップモータ1aに対して分針用補正パルスFPaを出力する。時針用補正パルス出力回路50bは、時針用通常パルスSPbよりも駆動力の大きい時針用補正パルスFPbを生成し、時針用ステップモータ1bに対して時針用補正パルスFPbを出力する。なお、第1実施形態においては、分針用ステップモータ1a及び時針用ステップモータ1bのいずれに対しても補正パルスFPを出力可能な構成について説明するが、少なくともいずれか一方のステップモータ1に補正パルスFPを出力可能な構成であってもよい。
検出パルス出力回路60は、分針用検出パルス出力回路60aと、時針用検出パルス出力回路60bとを備えている。分針用検出パルス出力回路60a及び時針用検出パルス出力回路60bは、それぞれ第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2の2種類の検出パルスを生成、出力する。
具体的には、分針用検出パルス出力回路60aは、分針用通常パルスSPaで分針用ステップモータ1aを駆動したときに後述するコイル13に発生する逆起電力で、分針用通常パルスSPaと異なる側(逆極性)に発生する逆起電流を検出する分針用第1検出パルスDP1aを出力する。また、分針用検出パルス出力回路60aは、分針用通常パルスSPaと同じ側(同極性)で逆起電流を検出する分針用第2検出パルスDP2aを出力する。
同様に、時針用検出パルス出力回路60bは、時針用通常パルスSPbで時針用ステップモータ1bを駆動したときに後述するコイル13に発生する逆起電力で、時針用通常パルスSPbと異なる側(逆極性)に発生する逆起電流を検出する時針用第1検出パルスDP1bを出力する。また、時針用検出パルス出力回路60bは、時針用通常パルスSPbと同じ側(同極性)で逆起電流を検出する時針用第2検出パルスDP2bを出力する。
なお、第1実施形態においては、より高精度に回転検出を行うため、検出パルス出力回路60が第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2という2種類の検出パルスを出力可能な構成について説明するが、ステップモータ1の回転、非回転を判定可能な構成であればこれに限られるものではなく、1種類の検出パルスDPのみを出力可能な構成であっても構わない。
回転検出回路80は、分針用回転検出回路80aと、時針用回転検出回路80bとを備えている。
分針用回転検出回路80aは、分針用第1検出パルスDP1aにより発生する分針用第1検出信号DS1aの検出発数を検出する分針用第1検出カウンタ80a1と、分針用第2検出パルスDP2aにより発生する分針用第2検出信号DS2aの検出発数を検出する分針用第2検出カウンタ80a2とを備えている。時針用回転検出回路80bは、時針用第1検出パルスDP1bにより発生する時針用第1検出信号DS1bの検出発数を検出する時針用第1検出カウンタ80b1と、時針用第2検出パルスDP2bにより発生する時針用第2検出信号DS2bの検出発数を検出する時針用第2検出カウンタ80b2とを備えている。なお、これら複数の検出カウンタは、検出パルスDPの検出発数をカウントすると共に、検出された各検出パルスDPの検出位置も検出する。
回転検出回路80は、上述の複数のカウンタにより検出した検出信号DSの検出発数に応じて、ステップモータ1が回転したか否かを判定する。その判定結果に基づいて、パルス制御回路70が特定の周波数や駆動力を選択し、その選択された周波数及び駆動力を駆動制御回路30に対して出力する。回転検出回路80によりステップモータ1が非回転であると判定された場合、補正パルス出力回路50が、非回転と判定されたステップモータ1に対して補正パルスFPを出力する。
ドライバ回路90は、図示しないがバッファ回路を内蔵し、出力端子O1、O2から通常パルスSP、または補正パルスFPを出力し、ステップモータ1を駆動する。また、ドライバ回路90は、第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2に対しては、その短いパルス幅の期間だけ二つの出力端子O1、O2を共にオープン(高インピーダンス)とするように動作する。これにより、ステップモータ1のコイルの両端が、第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2によって短期間オープン状態となるので、そのオープン期間にコイルに発生する逆起電力が現れ、そのパルス状の逆起電力を第1検出信号DS1及び第2検出信号DS2として回転検出回路80に入力する。すなわち、第1検出信号DS1及び第2検出信号DS2は、第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2によって同一タイミングに発生するパルス状の信号である。
[ステップモータの構成と基本動作の説明:図2A、図2B]
次に、ステップモータ1の構成と基本動作を図2A、図2Bを用いて説明する。図2Aは、ステップモータの構成を示す図である。図2Bは、通常パルスの波形と、コイルに流れる電流波形を示す波形図である。なお、第1実施形態においては、各ステップモータ1がロータ11やコイル13等をそれぞれ備える構成について説明するが、これに限られるものではなく、各ステップモータ1においてそれら部品を共通にしても構わない。それにより、各ステップモータ1に対して出力される通常パルスSPや補正パルスFPも共通に出力でき、回路規模を小さくすることが可能となる。
図2Aに示すように、ステップモータ1は、ロータ11、ステータ12、コイル13などによって構成される。ロータ11は2極磁化された円盤状の回転体であり、径方向にN極、S極に着磁されている。ステータ12は、軟磁性材により成り、ロータ11を囲む半円部12a、12bがスリットで分割されている。また、半円部12a、12bが結合している基部12eに単相のコイル13が巻装されている。単相とはコイルが1個であり、通常パルスSPを入力する入力端子C1、C2が2個であることを意味している。
また、ステータ12の半円部12a、12bの内周面の対向する所定の位置に、凹状のノッチ12h、12iが形成されている。このノッチ12h、12iによって、ステータ12の電磁的安定点(直線Aで示す)に対してロータ11の静的安定点(制止時の磁極の位置:斜線Bで示す)がずれることになる。このずれによる角度差を初期位相角θiと称し、この初期位相角θiによって、ロータ11が所定の方向に回転しやすいように癖付けされることになる。
次に、ステップモータ1の基本動作を図2A、図2Bを用いて説明する。図2Bにおいて、横軸は時間であり、通常パルスSPは図示するように、断続的に出力される複数の単パルスによって構成され、この単パルスのパルス幅(すなわち、デューティ)が可変される。この通常パルスSPがステップモータ1の入力端子C1、C2へ交互に供給されることで、ステータ12が交互に反転磁化されてロータ11が回転する。そして、通常パルスSPの繰り返し周期を可変することで、ロータ11の回転速度を増減でき、また、通常パルスSPの駆動力(デューティ比)を可変することで、ステップモータ1の駆動力(回転力)を調整することができる。
ここで、図2Aにおいて、ステップモータ1のコイル13に通常パルスSPが供給されると、ステータ12は磁化され、ロータ11は静的安定点Bから180度回転(図面上左回転)するが、その位置で直ちに停止することはなく、実際には180度の位置をオーバーランして振動し、しだいに振幅が小さくなり停止する(曲線矢印Cで軌跡を示す)。このときのロータ11の減衰振動はコイル13への磁束変化となり、電磁誘導による逆起電力が発生してコイル13に誘起電流が流れる。
図2Bの電流波形i1は、ロータ11が通常パルスSPによって正常に180度回転したときのコイル13に流れる誘起電流の一例である。ここで、通常パルスSPが供給されている駆動期間T1での電流波形i1は、複数の単パルス群による駆動電流と誘起電流が重なった電流波形となり、通常パルスSP終了後の減衰期間T2では、ロータ11の減衰振動による誘起電流が発生する。
また、図2Aの曲線矢印Dは、ステップモータ1が外部磁場等の何らかの影響によって、通常パルスSPが供給されたのにもかかわらず、ロータ11が回転できずに元の位置に戻ってしまう場合の軌跡を示している。そして、図2Bの電流波形i2は、ロータ11が正常に回転できなかったときのコイル13に流れる誘起電流の一例である。ロータ11が回転できなかった場合の減衰期間T2における電流波形i2は、ロータ11が回転しないために、前述した電流波形i1と比較して振幅が小さく周期も異なる。
[ステップモータ(ロータ)の回転検出の基本動作の説明:図3]
次に図3のタイミングチャートを用いて、前述した図2Aの正常回転した場合の電流波形i1を例として、ステップモータ1(ロータ11)の回転状態の検出の基本動作を説明する。図3は、ステップモータの回転状態の検出動作について説明する図である。
図3において、通常パルスSPがステップモータ1に供給されると、ロータ11が矢印Cのように180度回転して、その後、減衰振動する(図2A、図2B参照)。この通常パルスSP終了後の減衰期間T2における電流波形i1を詳細に説明すると、駆動期間T1の終了後、ロータ11の減衰振動によって、通常パルスSPと反対側(GNDに対してプラス側)に誘起電流が流れ、この電流の山形状を「裏の山」と称する。
また、ロータ11の減衰振動によって、通常パルスSPと同じ側(GNDに対してマイナス側)に誘起電流が流れ、この電流の山形状を「表の山」と称する。第1実施形態においては、この裏の山と表の山の位置や期間を、複数の検出区間でなる第1検出パルスDP1及び第2検出パルスDP2によってサンプリングし、詳細に検出することでロータ11の回転状態を高精度に把握できる。
ここで一例として、裏の山を検出する第1検出パルスDP1による回転検出を説明する。図3の第1検出パルスDP1は、一つの検出区間の中で3発のパルス(DP11〜DP13)が出力されたことを示している。この第1検出パルスDP1が出力される区間を第1検出区間G1と称する。
ここで、前述したように、第1検出パルスDP1によってコイル13が短期間オープンとなり、入力端子C1、C2から第1検出信号DS1が発生するが、1発目の第1検出パルスDP11によって発生する第1検出信号DS11は、GNDよりマイナス側となって、裏の山は検出されない。
また、2発目と3発目の第1検出パルスDP12、DP13は、電流波形i1の裏の山の領域で出力されるので、この第1検出パルスDP12、DP13によって発生する第1検出信号DS12、DS13は、GNDよりプラス側となってVthを超えるので、裏の山が検出されたと判定される。すなわち、図3に示す例では、第1検出区間G1の第1検出信号DS1の2発目と3発目で裏の山が検出されたことになる。
このように、裏の山を検出する第1検出区間G1は、裏の山が発生する可能性のある期間(すなわち、第1検出信号DS1が検出可能な期間)に設定される。なお、ステップモータ1から発生する逆起電力による電流波形i1の検出は、実際には回転検出回路80の内部で電流波形i1を電圧波形に変換し、その電圧波形が予め設定したVth(図3参照)を超えたか否かで判定される。
また、ここでは図示せず詳細は後述するが、表の山が発生する可能性のある期間に第2検出区間を設定して所定の第2検出パルスDP2を出力し、表の山を検出する。
このように、第1検出パルスDP1や第2検出パルスDP2を所定の検出区間に分けて出力し、その検出区間での検出結果に応じて通常パルスSPの駆動間隔(周波数)やデューティ比を選択し、ステップモータ1の可能な限りの高速早送り動作を実現できる。
なお、各検出区間は、さらに細かい区間に分けてもよい。たとえば図示しないが、裏の山を検出する第1検出区間G1を前半と後半に分け、その分けられた検出区間での検出結果に応じて、通常パルスSPの駆動間隔等を選択してもよい。これにより、ロータ11の回転状態に応じたきめ細かい駆動制御を実現できる。
また、各検出区間での検出パルスDPの繰り返し周期t1(図3参照)は、検出する電流波形に応じて任意に選択してよく、周期t1が短ければ電流波形のサンプリングを細かくでき、周期t1を長くすれば電流波形のサンプリングが粗くなる。また、検出パルスDPのパルス幅も限定されないが、検出信号DSが発生するために必要なパルス幅を設定する。
なお、以上説明した回転検出動作については一例であり、これに限られるものではなく、第1実施形態においては、少なくともステップモータ1が回転したか否かが判定できるものであればよい。
[駆動制御回路の基本動作の説明:図4]
図4を参照して、駆動制御回路30により生成、出力される各パルスの概要について説明する。図4は、1のステップモータに対して出力される各パルスの出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
通常運針時において、通常パルス出力回路40は、周波数を1Hzとして通常パルスSPを出力する。一方、時刻修正のために指針1を高速に動かす高速運針時においては、通常パルス出力回路40は、例えば、周波数を128Hzとして通常パルスSPを出力する。なお、第1実施形態においては、通常運針時と高速運針時とで通常パルスSPや検出パルスDPを同じ構成としたが、異なる構成としても構わない。なお、ここで、周波数とは、単位時間当たりに通常パルスSPが出力される回数であり、例えば、周波数128Hzの通常パルスSPは、約8.0ms毎に出力され、周波数16Hzの通常パルスSPは約64ms毎に出力される。また、通常パルスSPのデューティ比は任意に設定してよく、例えば、16/32、18/32、20/32、22/32とするとよい。なお、ここで、デューティ比とは、所定の期間内で通常パルスSP等が出力される割合を示す。
通常パルスSPが出力された後、検出パルス出力回路60が検出パルスDPを出力する。そして、回転検出回路80が、検出パルスDPによって発生した検出信号DSの検出発数に基づいて、ステップモータ1が回転したか否かを判定する。
ステップモータ1が非回転と判定された場合、非回転と判定されたステップモータ1が確実に回転できるように、補正パルス出力回路50が駆動力の大きい補正パルスFPを出力する。なお、補正パルスFPが出力された後、再び通常パルスSPが出力されることとなる。
[各パルスの波形についての詳細な説明:図5〜図8]
次に、図5を参照して、第1実施形態における駆動制御回路30により生成、出力される各パルスの波形の詳細について説明する。図5は、第1実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。図6は、単位区間における通常パルスの波形を示す波形図である。図7は、補正パルス出力区間を説明する図である。図8は、図5の拡大図であって、分針用補正パルス及び時針用通常パルスの波形の詳細を示す図である。
なお、第1実施形態において、単位区間Uとは、通常パルスSPの周波数に対応する区間である。また、補正パルス出力区間Hとは、補正パルスFPを出力するために通常パルスSPの周波数を下げた際の、通常パルスSPの周波数に対応する区間である。後述するが、第1実施形態においては、高速運針時の通常パルスSPの周波数は128Hz(8.0ms)とするが、ステップモータ1が非回転と判定された場合、通常パルスSPの周波数、すなわち補正パルス出力区間Hは16Hz(64ms)とする。
分針用通常パルス出力回路40aは、分針用通常パルスSPaを単位区間U内に割り当てられた第1区間u1内で出力する。第1実施形態においては、図5に示すように、第1区間u1の開始時点が単位区間Uの開始時点から始まるように、第1区間u1を単位区間U内に割り当てた。そして、分針用通常パルス出力回路40aが、分針用通常パルスSPaを第1区間u1の開始時点より出力することとした。第1実施形態においては、図5に示すように、単位区間Uの長さを8.0ms、第1区間uの長さを4.0msとし、分針用通常パルスSPaのパルス幅を2.0msとした。
一方、時針用通常パルス出力回路40bは、時針用通常パルスSPbを単位区間U内に第1区間u1と重複しないように割り当てられた第2区間u2内で出力する。第1実施形態においては、第2区間u2の終点が単位区間Uの終点となるように、第2区間u2を単位区間U内に割り当てた。そして、時針用通常パルス出力回路40bが、時針用通常パルスSPbを、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅れて出力することとした。第1実施形態においては、図5に示すように、第2区間u2の長さを4.0msとし、時針用通常パルスSPbのパルス幅を2.0msとした。
上述したように、第1区間u1と第2区間u2とは重複しないため、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbは互いに重複しないタイミングで出力される。そのため、バッテリに過大な負荷がかかることが抑制される。
なお、分針用通常パルスSPa及び時針用通常パルスSPbの周波数やパルス幅は図5に示す波形に限られるものではない。例えば、分針用通常パルスSPaは、第1区間u1内の一部の区間で出力されるものに限らず、第1区間u1と同じ長さのパルス幅を有するものであっても構わない。すなわち、図6に示すように、分針用通常パルスSPa及び時針用通常パルスSPbは、単位区間U内に割り当てられ、かつ互いに重複しない第1区間u1内及び第2区間u2内で出力される波形であれば、その開始時点や終了点はどこであっても構わない。
ここで、いずれかのステップモータ1が非回転と判定されて、補正パルスFPが出力された場合、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbの相対的な出力タイミングが、補正パルスFP出力前後で変わってしまう可能性がある。その場合、補正パルスFP出力後、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbとが互いに重複するタイミングで出力され、その結果、バッテリに過大な負荷がかかってしまうおそれがある。
図5は、分針用ステップモータ1aが非回転と判定され、分針用補正パルス出力回路50aが分針用補正パルスFPaを出力した場合の波形を示す。分針用補正パルスFPaは分針用補正パルス出力区間Ha内において出力される。分針用補正パルスFPaが出力された後、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbの出力タイミングが重複することを回避するため、第1実施形態においては、分針用補正パルス出力区間Haを単位区間Uの終点から開始し、かつ、分針用補正パルス出力区間Haの長さを単位区間Uの長さの整数倍とした。
具体的には、図5に示すように、分針用補正パルス出力区間Haの長さを、単位区間Uの長さ8msの8倍である64msとした。このように、分針用補正パルス出力区間Haの長さを、単位区間Uの長さの整数倍とすることにより、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbの相対的な出力タイミングは、分針用補正パルスFPa出力前後において変わらない。すなわち、分針用補正パルスFPaが出力された後であっても、時針用通常パルスSPbは、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅れたタイミングで出力され、それら通常パルスが互いに重複されるタイミングで出力されることはない。以上説明したような波形の通常パルスSP及び補正パルスFPを採用することにより、バッテリに過大な負荷がかかることを抑制することができる。
なお、図5に示した波形は一例であり、分針用補正パルスFPaの分針用補正パルス出力区間Haの長さは、図7に示すように、単位区間Uのn倍(整数倍)の長さであればよく、図5に示す長さに限られるわけではない。
ここで、高速運針時において、時針用通常パルスSPbは短い周期(高い周波数)で出力されるため、分針用補正パルスFPaのパルス幅(分針用補正パルスFPの開始時点から終了時点までの長さ)は、時針用通常パルスSPbの周期よりも長くなる。具体的には、第1実施形態においては、図5に示すように、時針用通常パルスSPbを8.0ms(128Hz)の周期で出力し、分針用補正パルスFPaの開始時点から終了時点までの長さを16msとした。そのため、分針用ステップモータ1aが非回転と判定され、分針用補正パルスFPaが出力される場合、この分針用補正パルスFPaと時針用通常パルスSPbの出力タイミングは重複してしまう。そこで、第1実施形態においては、分針用補正パルスFPa及び時針用通常パルスSPbの波形を図8に示すような構成とした。
具体的には、分針用補正パルスFPaを、連続的に出力され駆動力が強い強パルスfpa1と、強パルスfpa1よりも駆動力が小さく、断続的に出力される弱パルスfpa2により構成した。分針用補正パルス出力回路50aは、分針用補正パルス出力区間Ha内の分針用強パルス出力区間ha1内に、デューティ比32/32の強パルスfpa1を出力し、分針用補正パルス出力区間Ha内の分針用弱パルス出力区間ha2内に、デューティ比8/32の弱パルスfpa2を出力する。このように、分針用補正パルスFPaが断続的に出力される弱パルスfpa2を含む構成とすることにより、分針用ステップモータ1aの回り過ぎを抑制し、運針動作を安定させることができる。
図8に示すように、分針用強パルス出力区間ha1を、分針用補正パルス出力区間Ha内であって、分針用補正パルス出力区間Haの開始時点から32ms後に開始し、36ms後に終了するよう割り当てた。すなわち、強パルスfpa1のパルス幅を4.0msとした。また、弱パルス出力区間ha2を、分針用補正パルス出力区間Ha内であって、分針用強パルス出力区間ha1の直後に連続するように割り当てた。
一方、時針用通常パルスSPbのそれぞれを、断続的に出力される複数の単パルスspbにより構成し、単パルスspbのデューティ比を16/32とした。
そして、分針用補正パルス出力回路50aが、時針用通常パルスSPbの出力タイミングと、強パルスfpa1の出力タイミングが重複しないよう、強パルスfpa1を出力するようにした。
さらに、時針用通常パルスSPbの単パルスspbと、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2とが、互いの休止区間において出力されるよう構成した。なお、デューティ比については、図6に示すものに限られず、単パルスspbと弱パルスfpa2とが互いにに休止区間に出力可能であればよい。例えば、弱パルスfpa2のデューティ比を8/32と設定した場合、単パルスspbのデューティ比を、最大で24/32と設定することができる。
以上説明したように、第1実施形態においては、分針用補正パルスFPaと、時針用通常パルスSPbとの出力タイミングが重複する場合であっても、分針用補正パルスFPaの強パルスfpa1及び弱パルスfpa2が出力されるタイミングにおいて、時針用通常パルスSPbの単パルスspbは出力されないため、バッテリに過大な負荷がかかることが抑制される。
なお、図5〜図8においては、分針用補正パルスFPaが出力された場合の例について示したが、これに限られるものではない。すなわち、時針用補正パルスFPbが出力され、時針用補正パルスFPbの弱パルスfpb2と分針用通常パルスSPaの単パルスspaとが互いの休止区間に出力される構成であってもよい。
[第2実施形態:図9、図10]
次に、図9及び図10を参照して、第2実施形態に係る電子時計について説明する。図9は、第2実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。図10は、図9の拡大図であって、分針用補正パルス及び時針用補正パルスの波形の詳細を示す図である。第2実施形態に係る電子時計の基本的な構成、動作は、図1〜図4等を参照して説明した第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
分針用回転検出回路80aにより、分針用ステップモータ1aが非回転と判定された場合、分針用補正パルス出力回路50aが分針用補正パルスFPaを出力する。一方で、時針用回転検出回路80bにより、時針用ステップモータ1bが非回転とされた場合、時針用補正パルス出力回路50bが時針用補正パルスFPbを出力する。各ステップモータ1の非回転判定が近いタイミングでなされると、分針用補正パルスFPaと時針用補正パルスFPbとが重複したタイミングで出力され、バッテリに過大な負荷がかかってしまうおそれがある。そこで、第2実施形態においては、分針用補正パルスFPa及び時針用補正パルスFPbの波形を以下で説明する形状とすることにより、バッテリに過大な負荷がかかることを抑制するものである。
図9に示すように、第1実施形態と同様に、分針用補正パルス出力区間Haの長さを64msとし、分針用補正パルスFPaの出力開始から出力終了までの長さを8.0msとした。同様に、時針用補正パルス出力区間Hbの長さを64msとし、時針用補正パルスFPbの出力開始から出力終了までの長さを8.0msとした。図9においては、分針用ステップモータ1aの非回転判定から4.0ms遅れて、時針用ステップモータ1bが非回転判定された場合の例について示す。すなわち、分針用補正パルスFPaの後半の4.0msと、時針用補正パルスFPbの前半の4.0msが重複した場合の例について示す。
図10に示すように、分針用補正パルスFPaを、断続的に出力されるデューティ比が24/32の強パルスfpa1と、断続的に出力されるデューティ比が8/32の弱パルスfpa2とで構成した。図10に示すように、分針用強パルス出力区間ha1を、分針用補正パルスFPaの出力開始時点から4.0ms連続するよう割り当て、その直後に、分針用弱パルス出力区間ha2を4.0ms連続するように割り当てた。
同様に、時針用補正パルスFPbを、断続的に出力されるデューティ比が24/32の強パルスfpb1と、断続的に出力されるデューティ比が8/32の弱パルスfpb2とで構成した。図10に示すように、時針用強パルス出力区間hb1を、時針用補正パルスFPbの出力開始時点から4.0ms連続するよう割り当て、その直後に、時針用弱パルス出力区間hb2を4.0ms連続するように割り当てた。
すなわち、分針用補正パルス出力回路50a及び時針用補正パルス出力回路50bが、分針用補正パルスFPaの弱パルス出力区間ha2と、時針用補正パルスHPbの強パルス出力区間hb1とが重複するよう、分針用補正パルスFPa及び時針用補正パルスFPbを出力する。そして、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2と、時針用補正パルスFPbの強パルスfpb1とが互いの休止区間において出力されるよう構成した。
以上のような構成を採用することにより、分針用補正パルスFPaと時針用補正パルスFPbの出力タイミングが重複する場合であっても、バッテリに過大な負荷がかかることを抑制することができる。
なお、分針用補正パルスFPaと時針用補正パルスFPbの波形は、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2と時針用補正パルスFPbの強パルスfpb1とが互いの休止区間に出力されるものであればよく、図10に示すものに限られるものではない。すなわち、図10では、分針用補正パルスFPaと時針用補正パルスFPbとが4.0msの区間、重複する例について示したが、これに限られるものではない。例えば、それら補正パルスFPの出力タイミングが1.0ms重複する場合は、その重複区間において、互いの強パルスfp1と弱パルスfp2とが互いの休止区間において出力されればよい。
また、強パルスfp1及び弱パルスfp2のデューティ比は図10に示すものに限られない。例えば、図10に示すように弱パルスfpa2のデューティ比を8/32に設定した場合、強パルスfpb1のデューティ比は、例えば、16/32、18/32、20/32、22/32等であっても構わない。
[検出信号に基づく駆動力の変更フロー:図11〜図13]
第1実施形態及び第2実施形態で説明した電子時計においては、検出信号DSの検出発数及び検出タイミングに基づいて、ステップモータ1の回転判定に加えて、通常パルスSPの駆動力を変更可能としてもよい。以下、図11〜図13を参照して、その詳細について説明する。図11は、第1実施形態及び第2実施形態における回転検出のフローを説明するフローチャートである。図12は、第1実施形態及び第2実施形態において、非回転判定された場合のフローを説明するフローチャートである。図13は、第1実施形態及び第2実施形態において、回転判定された場合のフローを説明するフローチャートである。
まず、通常パルスSPの駆動ランクの変更フローの概要について説明する。高速運針時においては、通常パルスSPを高い周波数(例えば、128Hz)で出力する必要があり、通常パルスSP間に補正パルスFPを出力する時間的余裕がない。そこで、ステップモータ1が非回転と判定された場合は、通常パルスSPの出力を一時中断、すなわち、通常パルスSPの周波数を下げる必要がある。例えば、通常パルスSPの周波数を128Hzから16Hzに下げることにより、補正パルスFPを出力するのに十分な時間を確保することができる。
また、ステップモータ1が非回転であると判定された場合、通常パルスSPの駆動力が足りていない可能性があるため、次に出力される通常パルスSPの駆動ランクを上げるとよい。また、第2検出信号DS2の検出終了位置が早ければ、通常パルスSPの駆動力が必要以上に大きい可能性があるため、次に出力される通常パルスSPの駆動ランクを下げるとよい。また、第2検出信号DS2の検出終了位置が遅ければ、ステップモータ1が回転はしているものの、通常パルスSPの駆動力が十分でない可能性があるため、次に出力される通常パルスSPの駆動ランクを上げるとよい。
なお、通常パルスSPの駆動ランクは、適宜複数準備しておくとよく、例えば、通常パルスSPの最大ランクをデューティ比22/32とし、最小ランクをデューティ比16/32とするとよい。
このように通常パルスSPの駆動力を調整することにより、ステップモータ1が非回転とならず、かつ、必要以上の駆動力が出力されていない状態とし、バッテリに余分な負荷がかからないようにする。以上を踏まえて、以下、図11〜図13に示すフローチャートについて説明する。
図11に示すように、分針用通常パルス出力回路40aが分針用通常パルスSPaを出力する(ステップST110a)。分針用通常パルスSPaは8.0ms周期(周波数128Hz)で出力される。その後、分針用検出パルス出力回路60aが分針用第1検出パルスDP1aの出力を開始する(ステップST111a)。分針用回転検出回路80aにおいて、分針用第1検出信号DS1aが3回以上検出された場合(ステップST112aのYes)、続けて分針用検出パルス出力回路60aが分針用第2検出パルスDP2aを出力する(ステップST113a)。分針用回転検出回路80aにおいて、分針用第2検出信号DS2aが2回以上検出された場合(ステップST114aのYES)、分針用通常パルスSPaの周波数を128Hzに維持し(ステップST115a)、分針用通常パルスSPaの駆動ランクを変更する(ステップST116a、図13のフローチャート)。
ステップST112aにおいて、分針用第1検出信号DS1aが3回以上検出されなかった場合(ステップST112aのNO)、又は、ステップST114aにおいて、分針用第2検出信号DS2aが2回以上検出されなかった場合(ステップST114aのNO)、分針用ステップモータ1aは非回転であると判定される(ステップST117a)。その場合、分針用補正パルスFPaを出力するための分針用補正パルス出力区間Haを設ける。すなわち、分針用通常パルスSPaの周波数を16Hzに下げる(ステップST118a)。その後、分針用通常パルスSPaの駆動ランクを変更する(ステップST119a、図12のフローチャート)。
一方、時針用通常パルス出力回路40bが、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅延して、時針用通常パルスSPbを出力する(ステップST110b)。時針用通常パルスSPbは8.0ms周期(周波数128Hz)で出力される。その後、時針用検出パルス出力回路60bが時針用第1検出パルスDP1bを出力する(ステップST111b)。時針用回転検出回路80bにおいて、時針用第1検出信号DS1bが3回以上検出された場合(ステップST112bのYes)、続けて時針用検出パルス出力回路60bが時針用検出パルスDP2bを出力する(ステップST113b)。時針用回転検出回路80bにおいて、時針用第2検出信号DS2bが2回以上検出された場合(ステップST114bのYES)、時針用通常パルスSPbの周波数を128Hzに維持し(ステップST115b)、時針用通常パルスSPbの駆動ランクを変更する(ステップST116b、図13のフローチャート)。
ステップST112bにおいて、時針用第1検出信号DS1bが3回以上検出されなかった場合(ステップST112bのNO)、又は、ステップST114bにおいて、時針用第2検出信号DS2bが2回以上検出されなかった場合(ステップST114bのNO)、時針用ステップモータ1bは非回転であると判定される(ステップST117b)。その場合、時針用補正パルスFPbを出力するための時針用補正パルス出力区間Hbを設ける。すなわち、時針用通常パルスSPbの周波数を16Hzに下げる(ステップST118b)。その後、時針用通常パルスSPbの駆動ランクを変更する(ステップST119b、図12のフローチャート)。
続けて、図12を参照して、ステップモータ1が非回転と判定された場合の動作のフローについて説明する(図11のステップST119a及びステップST119b)。図12は、ステップモータ1が非回転と判定された場合のフローチャートを示す。なお、このフローは、時針用、分針用とで共通であるため、それらを区別せずに説明する。後述する図13についても同様とする。
まず、通常パルスSPの駆動ランクが最大である場合(ステップST121のYES)、駆動ランクを最小のものに変更する(ステップST122)。これは、過剰な駆動力で非回転判定が継続することを回避するためである(後述する図20参照)。その後、補正パルス出力回路50が、確実にステップモータ1を回転させるべく、補正パルス出力区間H内で補正パルスFPを出力する(ステップST123)。
一方、通常パルスSPの駆動ランクが最大ではない場合(ステップST121のNO)、駆動ランクを1ランク上げる(ステップST124)。通常パルスSPの駆動力が足りていないと考えられるためである。その後、補正パルス出力回路50が補正パルスFPを出力する(ステップST123)。
次に、図13を参照して、ステップモータ1が回転判定された場合の動作のフローについて説明する(図11のステップST116a及びステップST116b)。ステップモータ1が回転判定された場合は、第2検出信号DS2が最後に検出された位置(回転検出終了位置)に基づいて、通常パルスSPの駆動ランクの変更を行う。ただし、これは1例であり、例えば、第1検出信号DSが最後に検出された位置や、第1検出信号DS1が最後に検出された位置から第2検出信号DS2が最初に検出されるまでの期間の長さや、第1検出パルスDP1が出力された数や、第2検出パルスDP2が出力された数など、またはそれらの組み合わせに基づいて、通常パルスSPの駆動ランクを変更する構成であっても構わない。後述する他の実施形態において、第2検出信号DS2が最後に検出された位置に基づいて、通常パルスSPの周波数や補正パルスFPの出力タイミング等を変更する場合についても同様である。
回転検出終了位置、すなわち第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から3.375ms後である場合(ステップST131のYES)、通常パルスSPの駆動ランクが最小であれば駆動ランクを変更しない(ステップST132のYES)。通常パルスSPの駆動ランクが最小でなければ(ステップST132のNO)、駆動ランクを1ランク下げる(ステップST133)。回転検出終了が早いため、通常パルスSPの駆動力が大きすぎる考えられるためである。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始から3.625ms〜4.125msである場合(ステップST134のYES)、通常パルスSPの駆動ランクを変更しない。第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始から4.375ms以降である場合(ステップST135のYES)、通常パルスSPの駆動ランクが最大であれば駆動ランクを変更しない(ステップST136のYES)。通常パルスSPの駆動ランクが最大でなければ(ステップST136のNO)、駆動力を1ランク上げる(ステップST137)。回転検出終了が遅いため、通常パルスSPの駆動力が不足していると考えられるためである。
その後、分針用ステップモータ1aに対しては、図11のステップST110aに戻り、第1通常パルス出力回路40aが、駆動ランクが変更された分針用通常パルスSPaを出力する。時針用ステップモータ1bに対しては、図11のステップST110bに戻り、時針用通常パルス出力回路40bが、駆動ランクが変更された時針用通常パルスSPbを、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅れて出力することとなる。
[ステップモータが回転判定された場合の波形の例:図14〜図18]
図14〜図18は、ステップモータ1が回転判定された場合における、コイル13に誘起される電流の波形、及び出力端子O1、O2における電圧波形の一例を示す図である。
なお、図14〜図18及び後述する図19、図20において、例えば、V3.125は、単位区間Uの開始時点から3.125ms後の位置において出力される検出パルスDPを示す。また、検出パルスDPの長さは電圧の大きさを示し、通常パルスSPの同極性側で所定の閾値Vth以上の大きさの電圧が発生している位置において、検出信号DSが検出されることとなる。また、図14〜図18及び後述する図19、図20のc1は、図3で示した駆動期間T1での電流波形i1を示し、c2、c4は図3で示した表の山を示し、c3、c5は図3で示した裏の山を示す。出力端子O1側の波形と出力端子O2側の波形が交互に切り替わり、それに応じて、コイル13に誘起される電流の値の正負が反転する。なお、図14〜図18で示す波形においては、第1検出信号DS1が3回検出された場合に、第2検出信号DS2の検出を開始することとしたが、これは一例であり、第2検出信号DS2の検出を開始するまでの第1検出信号DS1の検出回数については適宜変更しても構わない。
図14においては、第1検出パルスDP1が3回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が3回出力されて第2検出信号DS2が2回検出され、第2検出信号DS2が最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から3.625ms後の場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがYESであり、図13のステップST134がYESの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は回転であると判定され、通常パルスSPの駆動ランクを変更しない。このように、図14に示す電流波形を得られるような駆動力の通常パルスSPが出力されることが望ましい状態といえる。
図15においては、第1検出パルスDP1が3回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が2回出力されて第2検出信号DSが2回検出され、第2検出信号DSが最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から3.375ms後の場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがYESであり、図13のステップST131がYESの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は回転であると判定され、通常パルスSPの駆動ランクが最小でない場合は駆動力を1ランク下げる。第2検出信号DS2が最後に検出される位置が早く、通常パルスSPの駆動力が必要以上に大きいと判断されるためである。
図16においては、第1検出パルスDP1が4回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が4回出力されて第2検出信号DS2が2回検出され、第2検出信号DS2が最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から4.125ms後の場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがYESであり、図13のステップST134がYESの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は回転であると判定され、通常パルスSPの駆動ランクを変更しない。このように、図16に示す電流波形が得られるような駆動力の通常パルスSPが出力される状態は、図14と同様に望ましい状態といえる。
図17においては、第1検出パルスDP1が7回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が4回出力されて第2検出信号DS2が2回検出され、第2検出信号DS2が最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から4.875ms後の場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがYESであり、図13のステップST135がYESの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は回転であると判定され、通常パルスSPの駆動ランクが最大でない場合は駆動力を1ランク上げる。第2検出信号DS2が最後に検出される位置が遅く、通常パルスSPの駆動力が不足していると判断されるためである。
図18においては、第1検出パルスDP1が10回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が4回出力されて第2検出信号DS2が2回検出され、第2検出信号DS2が最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から5.625ms後の場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがYESであり、図13のステップST135がYESの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は回転であると判定され、通常パルスSPの駆動ランクが最大でない場合は駆動力を1ランク上げる。図17で示した波形と同様に、第2検出信号DS2が最後に検出される位置が遅く、通常パルスSPの駆動力が不足していると判断されるためである。
[ステップモータが非回転判定された場合の波形の例:図19、図20]
図19、図20は、ステップモータ1が非回転と判定された場合における、コイル13に誘起される電流の波形、及び出力端子O1、O2における電圧波形の一例を示す図である。
図19においては、第1検出パルスDP1が5回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が6回出力されて、第2検出信号DS2が検出されなかった場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがNOの場合の波形を示す。このような波形が得られた場合は、ステップモータ1は非回転であると判定され、通常パルスSPの周波数が下げられ、補正パルスFPが出力される。通常パルスSPの駆動ランクが最大でなければ(図12のステップST121のNO)、駆動ランクを1ランク上げた上で、補正パルスFPを出力する。なお、このように、通常パルスSPの駆動ランクを1ランク上げても、なおもステップモータ1が非回転判定された場合は、ステップモータ1が適切に回転される駆動力となるように図11〜図12で説明したフローを繰り返す。
図20においては、第1検出パルスDPが8回出力されて第1検出信号DS1が3回検出された後、第2検出パルスDP2が6回出力されて、第2検出信号DS2が検出されなかった場合の波形を示す。すなわち、図11のステップST112aがYESであり、図11のステップST114aがNOの場合の波形を示す。この波形は、実際には、ステップモータ1は回転しているが、過剰な駆動力が出力されているため、回転検出が電流波形に追従できず、非回転と判定されてしまった場合の例である。通常パルスSPの駆動ランクが最大である場合に、このような波形が得られる可能性が高い。このような波形が得られた場合は、通常パルスSPの駆動ランクが最大であれば、一旦駆動ランクを最小にした上で(図12のステップST122)、補正パルスFPが出力される。これは、過剰な駆動力で非回転判定が継続することを回避するためである。
なお、本発明に逸脱しない範囲で通常パルスSPや補正パルスFPの形状、回転判定や駆動ランク変更に基づく検出信号DSの検出位置や検出個数の設定等を、各ステップモータで別々に設定してもよい。後述する他の実施形態においても同様である。
[第3実施形態:図21〜図24]
次に、図21〜図24を参照して、第3実施形態について説明する。図21は、第3実施形態における回転検出のフローを説明するフローチャートである。図22は、第3実施形態において、非回転判定された場合のフローを説明するフローチャートである。図23は、第3実施形態において、回転判定された場合のフローを説明するフローチャートである。
第3実施形態においては、補正パルス出力区間Hの長さ、及び補正パルスFPの出力タイミングを複数パターン有し、いずれを選択するかを第2検出信号DS2が最後に検出された位置に基づいて決定する。
図21に示すように、分針用通常パルス出力回路40aが分針用通常パルスSPaを出力する(ステップST210a)。分針用通常パルスSPaは8.0ms周期(周波数128Hz)で出力される。その後、分針用検出パルス出力回路60aが分針用第1検出パルスDP1aの出力を開始する(ステップST211a)。分針用回転検出回路80aにおいて、分針用第1検出信号DS1aが3回以上検出された場合(ステップST212aのYes)、続けて分針用検出パルス出力回路60aが分針用第2検出パルスDP2aを出力する(ステップST213a)。分針用回転検出回路80aにおいて、分針用第2検出信号DS2aが2回以上検出された場合(ステップST214aのYES)、分針用通常パルスSPaの周波数や駆動ランクを変更する(ステップST215a、図23のフローチャート)。
ステップST212aにおいて、分針用第1検出信号DS1aが3回以上検出されなかった場合(ステップST212aのNO)、又は、ステップST214aにおいて、分針用第2検出信号DS2aが2回以上検出されなかった場合(ステップST214aのNO)、分針用ステップモータ1aは非回転であると判定される(ステップST216a)。その場合、分針用通常パルスSPaの周波数を変更した上で、分針用補正パルスFPaを出力する(ステップST217a、図22のフローチャート)。
一方、時針用通常パルス出力回路40bが、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅延して、時針用通常パルスSPbを出力する(ステップST210b)。時針用通常パルスSPbは8.0ms周期(周波数128Hz)で出力される。その後、時針用検出パルス出力回路60bが時針用第1検出パルスDP1bを出力する(ステップST211b)。時針用回転検出回路80bにおいて、時針用第1検出信号DS1bが3回以上検出された場合(ステップST212bのYes)、続けて時針用検出パルス出力回路60bが時針用検出パルスDP2bを出力する(ステップST213b)。時針用回転検出回路80bにおいて、時針用第2検出信号DS2bが2回以上検出された場合(ステップST214bのYES)、時針用通常パルスSPbの周波数や駆動ランクを変更する(ステップST215b、図23のフローチャート)。
ステップST212bにおいて、時針用第1検出信号DS1bが3回以上検出されなかった場合(ステップST212bのNO)、又は、ステップST214bにおいて、時針用第2検出信号DS2bが2回以上検出されなかった場合(ステップST214bのNO)、時針用ステップモータ1bは非回転であると判定される(ステップST216b)。その場合、時針用通常パルスSPbの周波数を変更した上で、時針用補正パルスFPbを出力する(ステップST217b、図22のフローチャート)。
続けて、図22を参照して、ステップモータ1が非回転と判定された場合の動作のフローについて説明する(図21のステップST217a及びステップST217b)。図22は、ステップモータ1が非回転と判定された場合のフローチャートを示す。なお、このフローは、時針用、分針用とで共通であるため、それらを区別せずに説明する。後述する図23についても同様とする。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から4.375ms後である場合(ステップST220のYES)、通常パルスSPの周波数を32Hz(32ms)に変更する(ステップST221)。さらに、補正パルスFPの出力タイミングを、補正パルス出力区間Hの開始時点から8.0ms後に設定する(ステップST222)。そして、通常パルスSPの駆動ランクが最大である場合(ステップST223のYES)、駆動ランクを最小に下げる(ステップST224)。その後、補正パルスFPを出力する。通常パルスSPの駆動ランクが最大でない場合(ステップST223のNO)、駆動ランクを1ランク上げた上で、補正パルスFPを出力する(ステップST225)。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から4.625ms〜6.375ms後である場合(ステップST227のYES)、通常パルスSPの周波数を16Hz(64ms)に変更する(ステップST228)。さらに、補正パルスFPの出力タイミングを、補正パルス出力区間Hの開始時点から32ms後に設定する(ステップST229)。そして、通常パルスSPの駆動ランクが最大である場合(ステップST223のYES)、駆動ランクを最小に下げる(ステップST224)。その後、補正パルスFPを出力する。通常パルスSPの駆動ランクが最大でない場合(ステップST223のNO)、駆動ランクを1ランク上げた上で、補正パルスFPを出力する(ステップST225)。
次に、図23を参照して、ステップモータ1が回転判定された場合の動作のフローについて説明する(図21のステップST215a及びステップST215bのYES)。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から3.375ms後である場合(ステップST231のYES)、通常パルスSPの周波数を128Hzに維持する(ステップST232)。そして、通常パルスSPの駆動ランクが最小であれば、駆動ランクを変更せず(ステップST233のYES)、最小でなければ、駆動ランクを1ランク下げる(ステップST234)。回転検出終了が早いため、通常パルスSPの駆動力が大きすぎる考えられるためである。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から3.625ms〜4.125msである場合(ステップST235のYES)、通常パルスSPの周波数を128Hzに維持して(ステップST236)、駆動ランクも変更しない。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から4.375ms〜5.375msである場合(ステップST237のYES)、通常パルスSPの周波数を128Hzに維持する(ステップST238)。そして、通常パルスSPの駆動ランクが最大であれば、駆動ランクを変更せず(ステップST239のYESの場合)、最大でなければ、駆動ランクを1ランク上げる(ステップST240)。回転検出終了が遅いため、通常パルスSPの駆動力が不足していると考えられるためである。
第2検出信号DS2が最後に検出された位置が、単位区間Uの開始時点から5.625ms〜6.375msである場合(ステップST241のYES)、通常パルスSPの周波数を64Hzに下げる(ステップST242)。そして、通常パルスSPの駆動ランクが最大であれば、駆動ランクを変更せず(ステップST239のYESの場合)、最大でなければ、駆動ランクを1ランク上げる(ステップST240)。回転検出終了が遅いため、通常パルスSPの駆動力が不足していると考えられるためである。
以上フローチャートを参照して説明したように、第3実施形態においては、回転判定された場合においても、第2検出信号DS2が最後に検出された位置に応じて、通常パルスSPの周波数を変更するステップを採用した。回転判定する場合でもステップモータ1の駆動力が低くなると図16〜図18に示すように電流波形c3、c4が後退する。これは駆動力が低くなるとステップモータ1の回転がなかなか収束しないことを意味する。このように、ステップモータ1の回転の収束が遅くなると、次ステップの通常パルスSPの出力タイミングにこのステップモータ1の減衰振動が重なってしまう可能性がある。このような場合、ステップモータ1(ロータ11)の回転が逆転してしまうといった異常動作を起こしかねない。しかし、第3実施形態においては、検出信号DSが検出された位置に応じて通常パルスSPの周波数を変更するため、正常に回転判定できると共に異常動作になりづらいといったロバスト性の高い高速駆動が実現できる。また変更される通常パルスSPの周波数は単位区間Uの長さの整数倍であるため、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbが重複して出力されることが回避され、バッテリに過大な負荷がかかることを抑制することができる。
また、第3実施形態においては、非回転判定となった場合においても、第2検出信号DS2が最後に検出された位置に応じて、通常パルスSPの周波数を32Hzと16Hzのいずれかに設定するステップを採用した。すなわち、補正パルス出力区間Hの長さが32msと64msのいずれかに設定されるようにした。また、設定された通常パルスSPの周波数に応じて、補正パルスFPの出力タイミングを設定する構成とした。回転検出が早く終了した場合、補正パルスFPの出力タイミングを早くし、かつ次の通常パルスSPの発生タイミングを早くすることで(図22のステップST221及びステップST222)、高速運針を早く終了させることが可能となる。
なお、第3実施形態においては、駆動ランクを1ランク上げる又は1ランク下げる場合のみについて説明したが、これに限られるものではない。例えば、第2検出信号DS2が最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から4.625ms〜6.375msの場合、駆動力が弱く、非回転となる可能性が高いと考えられるため、駆動ランクを2ランク上げることとしてもよい。
さらに、図24を参照して、第3実施形態における波形図の一例について説明する。図24は、第3実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。
図24において、分針用通常パルスSPa、時針用通常パルスSPbの出力タイミング等は、図5を参照して説明した第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図24は、分針用補正パルスFPaが2回出力された場合の波形を示す。1回目に出力された分針用補正パルスFPaは、分針用第2検出信号DS2aが最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から4.625ms〜6.375msである場合に(図22のステップST227のYES)、出力されたものである。すなわち、分針用補正パルス出力区間Haの長さが64ms(言い換えると、分針用通常パルスSPaの周波数が16Hz)に設定され、分針用補正パルス出力区間Haの開始時点から32ms後に、分針用補正パルスFPaの出力が開始される。
2回目に出力された分針用補正パルスFPaは、分針用第2検出信号DS2aが最後に検出された位置が単位区間Uの開始時点から4.375msである場合に(図22のステップST220のYES)、出力されたものである。すなわち、分針用補正パルス出力区間Haが32ms(言い換えると、分針用通常パルスSPaの周波数が32Hz)に設定され、分針用補正パルス出力区間Haの開始時点から8.0ms後に、分針用補正パルスFPaの出力が開始される。
以上説明したように、第3実施形態においては、分針用第2検出信号DS2aが最後に検出された位置に応じて、分針用補正パルス出力区間Haを設定可能な構成とした。分針用補正パルス出力区間Haの長さはいずれも単位区間Uの長さの整数倍とした。具体的には、第3実施形態においては、分針用補正パルス出力区間Haの長さとして、単位区間Uの長さ8.0msの8倍の長さである64ms、単位区間Uの長さ8.0msの4倍である32msを採用した。このように分針用補正パルス出力区間Haを設定することにより、分針用補正パルスFPaの出力前後において、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbの相対的な出力タイミングが変わることはない。そのため、分針用通常パルスSPaと時針用通常パルスSPbが重複して出力されることを回避し、バッテリに過大な負荷がかかることを抑制することができる。
[第4実施形態:図25]
次に、図25を参照して、第4実施形態について説明する。図25は、第4実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。
第1実施形態においては、分針用補正パルスFPaの出力タイミングと、時針用通常パルスSPbの出力タイミングとが重複した場合であっても、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2と、時針用通常パルスSPbの単パルスspbとが互いの休止区間に出力される構成について説明した(図5、図8等参照)。それに対して、第4実施形態においては、分針用補正パルスFPaが出力されている区間において、時針用通常パルスSPbが出力されない構成とした。
図25においては、分針用補正パルスFPaが出力されている区間と重複するように、時針用通常パルスSPbの出力を停止する区間を28ms設けた。このような構成とすることにより、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2と、時針用通常パルスSPbの単パルスspbとが互いの休止区間に出力されるような高い精度が要求される制御を行わなくても、バッテリに過大な負荷がかかることを回避することができる。また、分針用通常パルスSPaが出力されない分針用補正パルス出力区間Haにおいて、時針用通常パルスSPbも出力されないこととなるため(図25においては1回のみ出力)、高速運針の終了タイミングを分針2aと時針2bとで合わせることができるという効果が期待できる。
[第5実施形態:図26]
次に、図26を参照して、第5実施形態について説明する。図26は、第5実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。
第5実施形態においては、第4実施形態で示した波形よりも、時針用通常パルスSPbの出力を停止する区間を短くした。具体的には、分針用補正パルスFPaが出力されている区間と一致する区間である16msの間のみ、時針用通常パルスSPbの出力を停止する構成とした。第4実施形態と比較して、時針用通常パルスSPbを出力する区間を長く確保できるため、時針用ステップモータ2bにおける高速運針を早期に終了することが可能となる。
[第6実施形態:図27]
次に、図27を参照して、第6実施形態について説明する。図27は、第6実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスの相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。
第2実施形態においては、分針用補正パルスFPaの出力タイミングと、時針用補正パルスFPbの出力タイミングとが重複した場合であっても、分針用補正パルスFPaの分針用弱パルスfpa2と、時針用補正パルスFPbの時針用強パルスfpb1とが互いの休止区間に出力される構成について説明した(図9、図10等参照)。それに対して、第6実施形態においては、分針用補正パルスFPaが出力されている区間において、時針用補正パルスFPbが出力されない構成とした。
図27においては、パルス幅16msの分針用補正パルスFPaを、分針用補正パルス出力区間Haの開始時点から32ms後に出力し、パルス幅16msの時針用補正パルスFPbを、時針用補正パルス出力区間Hbの開始時点から12ms後という早いタイミングで出力した場合の波形を示す。このような構成とすることにより、分針用補正パルスFPaの分針用弱パルスfpa2と、時針用補正パルスFPbの時針用強パルスfpb1とが互いの休止区間に出力されるような高度な精度が要求される制御を行わなくても、バッテリに過大な負荷がかかることを回避することができる。
[第7実施形態:図28、図29]
次に、第7実施形態に係る電子時計について説明する。第1〜第6実施形態においては、分針2a及び時針2bを同時に運針する電子時計について説明したが、第7実施形態においては、さらに指針として秒針2cを備え、分針2a、時針2b、及び秒針2cを同時に運針する構成について説明する。なお、通常パルスSPの周波数やデューティ比等は適宜変更する必要はあるが、第7実施形態で説明する3つの指針を同時に運針する構成は、第1〜第6実施形態のいずれにも適用することが可能である。
図28を参照して、第7実施形態に係る電子時計200の概略構成について説明する。図28は、第7実施形態に係る電子時計の概略構成を示すシステム構成図である。電子時計200は、指針によって時刻を表示するアナログ表示式時計である。なお、以下の説明において、各構成の符号に添えた添え字aは分針用の構成を示し、添え字bは時針用の構成を示し、添え字cは秒針用の構成を示す。なお、いずれ指針用であるかを区別して説明する必要がない場合は、添え字を省略して示す。また、図1等を参照して説明した第1実施形態の構成と同様の構成についての説明は省略する。
電子時計200は、図28に示すように、通常パルス出力回路40、補正パルス出力回路50、検出パルス出力回路60、回転検出回路80を有している。
通常パルス出力回路40は、秒針用通常パルス出力回路40cを含む。秒針用通常パルス出力回路40cは、秒針用ステップモータ1cを駆動するための秒針用通常パルスSPcを生成し、秒針用ステップモータ1cに対して秒針用通常パルスSPcを出力する。
補正パルス出力回路50は、秒針用補正パルス出力回路50cを含む。秒針用補正パルス出力回路50cは、秒針用通常パルスSPcよりも駆動力の大きい秒針用補正パルスFPcを生成し、秒針用ステップモータ1cに対して秒針用補正パルスFPcを出力する。
検出パルス出力回路60は、秒針用検出パルス出力回路60cを含む。秒針用検出パルス出力回路60cは、秒針用第1検出パルスDP1c及び秒針用第2検出パルスDP2cの2種類の検出パルスを生成、出力する。具体的には、秒針用検出パルス出力回路60cは、秒針用通常パルスSPcで分針用ステップモータ1cを駆動したときに発生する逆起電力で、秒針用通常パルスSPcと異なる側(逆極性)に発生する裏の山を検出する秒針用第1検出パルスDP1cを出力する。また、秒針用検出パルス出力回路60cは、秒針用通常パルスSPcと同じ側(同極性)で裏の山を検出する秒針用第2検出パルスDP2cを出力する。
回転検出回路80は、秒針用回転検出回路80cを含む。秒針用回転検出回路80cは、秒針用第1検出パルスDP1cにより発生する秒針用第1検出信号DS1cの検出発数を検出する秒針用第1検出カウンタ80c1と、秒針用第2検出パルスDP2cにより発生する秒針用第2検出信号DS2cの検出発数を検出する秒針用第2検出カウンタ80c2とを備えている。
秒針用回転検出回路80cは、前述の複数のカウンタにより検出した検出信号DSの検出発数に応じて、秒針用ステップモータ1cが回転したか否かを判定する。その判定結果に基づいて、パルス制御回路70が特定の周波数や駆動力を選択し、その選択された周波数及び駆動力を駆動制御回路30に対して出力する。秒針用回転検出回路80cにより秒針用ステップモータ1cが非回転であると判定された場合、秒針用補正パルス出力回路50cが、非回転と判定された秒針用ステップモータ1cに対して秒針用補正パルスFPcを出力する。
図29は、第7実施形態における、分針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、時針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、秒針を運針するステップモータに対して出力されるパルスと、の相対的なタイミングを示すタイミングチャートである。
分針用通常パルス出力回路40aは、分針用通常パルスSPaを単位区間U内に割り当てられた第1区間u1内で出力する。第7実施形態においては、図29に示すように、第1区間u1の開始時点が単位区間Uの開始時点から始まるように、第1区間u1を単位区間U内に割り当てた。そして、分子用通常パルス出力回路40aが、分針用通常パルスSPaを第1区間u1の開始時点より出力することとした。第7実施形態においては、図29に示すように、単位区間Uの長さを16ms、第1区間uの長さを4.0msとし、分針用通常パルスSPaのパルス幅を2.0msとした。
時針用通常パルス出力回路40bは、時針用通常パルスSPbを単位区間U内に第1区間u1と重複しないように割り当てられた第2区間u2内で出力する。第7実施形態においては、第2区間u2の開始時点を第1区間u1の終了時点から開始するように、第2区間u2を単位区間U内に割り当てた。そして、時針用通常パルス出力回路40bが、時針用通常パルスSPbを、分針用通常パルスSPaから4.0ms遅れて出力することとした。第7実施形態においては、図29に示すように、第2区間u2の長さを4.0msとし、時針用通常パルスSPbのパルス幅を2.0msとした。
秒針用通常パルス出力回路40cは、秒針用通常パルスSPcを単位区間U内に第1区間u1及び第2区間u2と重複しないように割り当てられた第3区間u3内で出力する。第7実施形態においては、第3区間u3の開始時点が第2区間u2の終了時点から始まるように、第3区間u3を単位区間U内に割り当てた。そして、秒針用通常パルス出力回路40cが、秒針用通常パルスSPcを、時針用通常パルスSPbから4.0ms遅れて出力することとした。第7実施形態においては、図29に示すように、第3区間u3の長さを8.0msとし、秒針用通常パルスSPcのパルス幅を2.0msとした。
上述したように、第1区間u1、第2区間u2、及び第3区間u3は互いに重複しないため、分針用通常パルスSPa、時針用通常パルスSPb、及び秒針用通常パルスSPcは互いに重複しないタイミングで出力される。そのため、バッテリに過大な負荷がかかることが抑制される。
図29は、分針用ステップモータ1aが非回転と判定され、分針用補正パルス出力回路50aが分針用補正パルスFPaを出力した場合の波形を示す。分針用補正パルスFPaは分針用補正パルス出力区間Ha内において出力される。分針用補正パルスFPaが出力された後、分針用通常パルスSPaと、時針用通常パルスSPb及び秒針用通常パルスSPcの出力タイミングが重複することを回避するため、第7実施形態においては、分針用補正パルス出力区間Haを単位区間Uの終了時点から開始し、かつ、分針用補正パルス出力区間Haの長さを単位区間Uの長さの整数倍とした。
具体的には、図29に示すように、分針用補正パルス出力区間Haの長さを、単位区間Uの長さ16msの4倍である64msとした。このように、分針用補正パルス出力区間Haの長さを、単位区間Uの長さの整数倍とすることにより、分針用通常パルスSPa、時針用通常パルスSPb、秒針用通常パルスSPcの相対的な出力タイミングは、分針用補正パルスFPa出力前後において変わらない。すなわち、分針用補正パルスFPaが出力された後であっても、時針用通常パルスSPbは分針用通常パルスSPaから4.0ms遅れたタイミングで出力され、秒針用通常パルスSPcは時針用通常パルスSPbから4.0ms遅れたタイミングで出力される。そのため、それら通常パルスが互いに重複されるタイミングで出力されることはない。
なお、図29に示すように、分針用補正パルスFPaが出力されている間に、時針用通常パルスSPb及び秒針用通常パルスSPcが出力されることとなる。そのため、第1実施形態において図8を参照して説明したのと同様に、分針用補正パルスFPaを強パルスfpa1と弱パルスfpa2とで構成し、時針用通常パルスSPbを単パルスspbで構成し、それらが互いの休止区間に出力される構成とするとよい。さらに、図示は省略するが、秒針用通常パルスSPcを断続的に出力される単パルスで構成し、その単パルスと、分針用補正パルスFPaの弱パルスfpa2とが互いの休止区間に出力されるよう構成するとよい。
なお、第1実施形態〜第7実施形態の分針用ステップモータ1aが本発明の第1ステップモータに対応する構成であり、時針用ステップモータ1bが第2ステップモータに対応する構成である。また、分針用通常パルスSPaが第1通常パルスに対応する構成であり、時針用通常パルスが第2通常パルスに対応する構成であり、分針用補正パルスFPaが第1補正パルスに対応する構成であり、時針用補正パルスFPbが第2補正パルスに対応する構成である。また、第7実施形態の秒針用ステップモータ1cが本発明の第3ステップモータに対応する構成であり、秒針用通常パルスSPcが第3通常パルスに対応する構成であり、秒針用補正パルスFPcが第3補正パルスに対応する構成である。
なお、本実施形態で示したように、単位区間Uの長さを長くすることにより複数のステップモータ1の同時運針が可能である。もちろんいずれかのステップモータ1の運針が早めに終了し、同時運針するステップモータ数が減少すれば単位期間Uの長さを短く変更してもよい。例えば、第7実施形態では同時運針するステップモータ1は3つであり単位区間Uの長さを16msとしたが、途中で同時運針するステップモータが2つになれば、第1実施形態のように単位区間Uの長さを8msと途中で切り替えてもよい。さらに単独でのステップモータ1の運針となった場合は単位区間Uを可能な範囲で短くしてもよい。このように単位区間Uの長さを同時運針するステップモータに応じて切り替えることで、電子時計の高速運針を早期に終了することが可能となる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。