JP2017163799A - ステッピングモーター制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステッピングモーターが停止されるときにステッピングモーターから発生する振動及び騒音を抑制できるステッピングモーター制御装置を提供する。【解決手段】ステッピングモーター制御装置10は、パルス状の制御信号を生成する制御信号生成部11と、制御信号が入力される毎に、ステッピングモーター1のローター2を所定のステップ角だけ回転させる駆動電流を生成する駆動電流生成部12と、を備え、制御信号生成部11は、ローター2の回転を停止させる場合において、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔を、T/3にしている。ここで、Tは、所定の駆動信号によってローター2が回転したときに発生するローター2の単振動の周期であり、所定の駆動信号は、駆動電流生成部12に制御信号が一つ入力されたときに生成される駆動電流である。【選択図】図14
Description
本発明は、ステッピングモーターを停止させる制御に関する技術である。
ステッピングモーターの停止制御に関する技術として、特許文献1は、ステッピングモーターの巻線コイルを励磁する励磁信号と、ステッピングモーターの起動及び停止を指示する制御信号と、を制御部から供給し、制御信号を基にして定電流制御をするステッピングモーターの電流制御方法において、ステッピングモーターを停止するタイミングから予め定められた第2の基準時間が経過した後に、ステッピングモーターの励磁を切る制御を開示している。第2の基準時間は、ステッピングモーターにより駆動されるローラー(搬送ローラー等)が、所定期間中に回転しないようにするために、ステッピングモーターの停止状態を維持する時間である。これにより、ローラーの停止中に搬送されてきた記録材によってローラーが回転することを防止する。
ステッピングモーターは、安定点から、この安定点より一つ先の安定点に向けてローターを回転させる動作を繰り返すことにより、ローターを回転させる。ステッピングモーターは、ステップ角の単位でローターの回転角度を制御できる。
ローターに作用する磁界の向きの変化が止まると、ローターを回転させる力がなくなるので、ローターの回転が停止(すなわち、ステッピングモーターが停止)する。ステッピングモーター制御装置は、ローターの回転を停止させる場合、ローターの回転を停止させたい回転角度でローターの回転が停止するように、磁界の向きの変化を止める制御をする。これにより、複数の安定点のうち、ローターの回転を停止させたい回転角度に対応する安定点で、ローターの回転が停止する。
ローターが回転している状態で磁界の向きの変化が止まるとき、ローターの回転を停止させたい回転角度に対応する安定点で、ローターの回転が直ちに停止するのではなく、ローターは、その安定点を中心に減衰振動をする。詳しく説明すると、ローターは、その安定点を中心に正方向の回転と逆方向の回転とを繰り返す運動をし、その運動は機械損失によって小さくなり、やがて、ローターはその安定点で回転が停止する。言い換えれば、ローターが回転している状態で磁界の向きの変化が止まると、ローターは、磁界の向きの変化が止まったときの回転速度を最大の回転速度として、単振動をし、機械損失により振動が減衰し、ローターの回転が停止する。
磁界の向きの変化が止まったときのローターの回転速度が大きければ、ローターには、大きな減衰振動が発生する。これにより、ステッピングモーターから大きな騒音及び振動が発生する。また、ローターの回転を停止させたい回転角度に対応する安定点を超えて、この安定点より一つ又は二つ以上先の安定点で、ローターの回転が停止する。従って、ローターの回転を停止させたい回転角度でローターの回転が停止できないことになる。
そこで、ステッピングモーターの運転条件がスルー領域にあるときのように、ステッピングモーターが高速運転されているとき、ステッピングモーター制御装置は、ローターの回転速度を徐々に下げる制御(スローダウン)をして、ローターの回転を停止させる。これにより、ローターの単振動の振幅が小さくなるので、ステッピングモーターから大きな騒音及び振動が発生することを防止でき、かつ、ローターの回転を停止させたい回転角度でローターの回転を停止させることができる。
しかし、ステッピングモーターは、ローターの回転速度が低くなるに従って、ステッピングモーターから発生する騒音及び振動が大きくなる特性を有する。従って、スローダウンによっても、ステッピングモーターが停止されるときにステッピングモーターから発生する騒音及び振動の問題は、完全に解決できない。
本発明は、ステッピングモーターが停止されるときにステッピングモーターから発生する振動及び騒音を抑制できるステッピングモーター制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るステッピングモーター制御装置は、パルス状の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号が入力される毎に、ステッピングモーターのローターを所定のステップ角だけ回転させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、前記制御信号生成部は、前記ローターの回転を停止させる場合において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしている。ここで、Tは、所定の前記駆動信号によって前記ローターが回転したときに発生する前記ローターの単振動の周期であり、所定の前記駆動信号は、前記駆動信号生成部に前記制御信号が一つ入力されたときに生成される前記駆動信号である。
本発明に係るステッピングモーター制御装置において、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔が、T/3にされている。これにより、最後の制御信号が発生した時点において、ローターの回転角度は、最終の目標回転角度(最終の目標回転角度に対応する安定点)と一致する。よって、本発明に係るステッピングモーター制御装置によれば、ステッピングモーターが停止されるときにモーターから発生する振動及び騒音を抑制できる。
上記構成において、前記制御信号生成部は、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号と、最後の前記制御信号より二つ前の前記制御信号との時間間隔を、下記式で示す時間間隔にしている。
ここで、Vは、前記ローターの単振動での前記ローターの回転速度の最大値を示し、φは、前記ステップ角を示す。
この構成において、最後の制御信号より一つ前の制御信号と、最後の制御信号より二つ前の制御信号との時間間隔が、上記式で示す値の時間間隔にしている。これにより、最後の制御信号が発生した時点において、ローターの回転速度がゼロになるので、ステッピングモーターが停止されるときにステッピングモーターから発生する振動及び騒音をさらに抑制できる。
上記構成において、前記制御信号生成部は、前記ステッピングモーターのスローダウン制御において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしている。
この構成は、スローダウン制御により、ステッピングモーターの停止をする場合に、本発明を適用する。
上記構成において、前記制御信号生成部は、前記ステッピングモーターのスローダウン制御において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしており、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号と、最後の前記制御信号より二つ前の前記制御信号との時間間隔を、前記式で示す時間間隔にしている。
この構成は、スローダウン制御により、ステッピングモーターの停止をする場合に、本発明を適用する。
本発明によれば、ステッピングモーターが停止されるときにステッピングモーターから発生する振動及び騒音を抑制できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に適用されるステッピングモーター1の一例の構成を示す模式図である。ローター2は、N極とS極とを有する永久磁石である。ステーター3は、A相磁極4と、A相磁極4の位置からローター2が90度回転した位置にあるB相磁極5と、B相磁極5の位置からローター2が90度回転した位置にある/A相磁極6と、/A相磁極6の位置からローター2が90度回転した位置にある/B相磁極7と、を備える。
図2は、本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10の構成を示すブロック図である。ステッピングモーター制御装置10は、制御信号生成部11及び駆動電流生成部12を備える。
制御信号生成部11は、所定のパルスレートを有するパルス状の制御信号を生成する。パルスレートは、制御信号の周波数と言い換えることができる。
駆動電流生成部12は、駆動信号生成部の具体例であり、制御信号生成部11で生成された制御信号を基にして、A相コイル4a、B相コイル5a、/A相コイル6a、及び、/B相コイル7aに流れる駆動電流を生成する。
A相コイル4aを流れる駆動電流によって、A相磁極4が励磁される。B相コイル5aを流れる駆動電流によって、B相磁極5が励磁される。/A相コイル6aを流れる駆動電流によって、/A相磁極6が励磁される。/B相コイル7aを流れる駆動電流によって、/B相磁極7が励磁される。
A相コイル4aと、/A相コイル6aとは、A相コイル4aに流れる駆動電流と、/A相コイル6aに流れる駆動電流とが逆向きになるように接続されている。A相と、/A相とを一つの相とする。
B相コイル5aと、/B相コイル7aとは、B相コイル5aに流れる駆動電流と、/B相コイル7aに流れる駆動電流とが逆向きになるように接続されている。B相と、/B相とを一つの相とする。
駆動電流生成部12は、駆動電流生成部12が2相励磁モードに設定されたとき、制御信号が入力される毎に、所定のステップ角だけ回転させる駆動電流を生成する。なお、「ステップ角だけ回転させる」とは、ステッピングモーター1のローター2をステップ角だけ回転させることを意味している。
1−2相励磁方式のステップ角は、2相励磁方式のステップ角の二分の一であり、W1−2相励磁方式のステップ角は、2相励磁方式のステップ角の四分の一である。
ステッピングモーター1の動作を、2相励磁方式を例にして、図2〜図5を用いて説明する。
図3は、駆動電流生成部12に1番目(最初)の制御信号が入力する前のステッピングモーター1の状態を示す模式図である。ステッピングモーター1のローター2は、回転が停止した状態である。図2及び図3を参照して、A相磁極4がS極になり、B相磁極5がS極になり、/A相磁極6がN極になり、/B相磁極7がN極になるように、駆動電流生成部12で生成された駆動電流が、A相コイル4a、B相コイル5a、/A相コイル6a、及び、/B相コイル7aに流れている。
図4は、駆動電流生成部12に1番目の制御信号が入力したときのステッピングモーター1の状態を示す模式図である。図2及び図4を参照して、制御信号生成部11で生成された1番目の制御信号が、駆動電流生成部12に入力したとする。これにより、A相磁極4がN極になり、B相磁極5がS極になり、/A相磁極6がS極になり、/B相磁極7がN極になるように、駆動電流生成部12で生成された駆動電流がA相コイル4a、B相コイル5a、/A相コイル6a、及び、/B相コイル7aに流れる。従って、ローター2は、図3に示す位置からステップ角90度だけ回転する。
図5は、駆動電流生成部12に2番目の制御信号が入力したときのステッピングモーター1の状態を示す模式図である。図2及び図5を参照して、制御信号生成部11で生成された2番目の制御信号が、駆動電流生成部12に入力したとする。これにより、A相磁極4がN極になり、B相磁極5がN極になり、/A相磁極6がS極になり、/B相磁極7がS極になるように、駆動電流生成部12で生成された駆動電流がA相コイル4a、B相コイル5a、/A相コイル6a、及び、/B相コイル7aに流れる。従って、ローター2は、図4に示す位置からステップ角90度だけ回転する。
このように、制御信号生成部11で生成された制御信号が駆動電流生成部12に入力する毎に、ステッピングモーター1の位相が切り替えられ、ローター2が、1ステップ角ずつ回転する。制御信号は、ローター2を現在の回転角度から次の回転角度(すなわち、1ステップ角回転後の回転角度)に回転する命令を示す信号である。
以上の通り、2相励磁方式は、2相励磁を繰り返してステッピングモーター1を駆動する方式であり、フルステップ駆動とも称される。2相のうち、一方の相は、A相及び/A相であり、他方の相は、B相及び/B相である。
図2に示すステッピングモーター制御装置10は、ステッピングモーター1に対して、スローアップ、定速運転、及び、スローダウンの一連の制御をする。スローアップとは、制御信号の周波数を徐々に高くすることにより、ローター2の回転速度を徐々に大きくして回転速度を目標値に到達させる制御である。定速運転とは、ローター2の回転速度を目標値に維持する制御である。スローダウンとは、制御信号の周波数を徐々に低くすることにより、ローター2の回転速度を徐々に小さくしてローター2の回転を停止させる制御である。
ステッピングモーター制御装置10は、ローター2の回転を停止(すなわち、ステッピングモーター1を停止)させる場合、目標回転角度を最終の目標回転角度に徐々に近づけて、最終の目標回転角度でローター2の回転を停止させる。最終の目標回転角度は、ローター2の回転を停止させたい回転角度である。
本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10が実行するステッピングモーター1の停止制御について説明する前に、比較例について説明する。図6は、比較例が実行するステッピングモーター1の停止制御において、ローター2の回転角度の推移を示すグラフである。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転角度を示す。線L1は、目標回転角度の推移を示す。目標回転角度は、ステッピングモーター制御装置10が設定する回転角度である。線L2は、ローター2の回転角度(すなわち、ローター2の実際の回転角度)の推移を示す。
φは、ステップ角を示し、θ1は、最終の目標回転角度を示す。ローター2の回転の停止制御における最後の制御信号は、時刻t4で発生している。最後の制御信号が発生した後、制御信号は発生しない。
図7は、比較例が実行するステッピングモーター1の停止制御において、ローター2の回転速度の推移を示すグラフである。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転速度を示す。線L3は、目標回転速度の推移を示す。線L4は、ローター2の回転速度(すなわち、ローター2の実際の回転速度)の推移を示す。
図6及び図7を参照して、時刻t4で発生した最後の制御信号により、線L1で示す目標回転角度は、最終の目標回転角度θ1になる(言い換えれば、線L3で示す目標回転速度は、0になる)。
しかし、最終の目標回転角度θ1で、ローター2の回転が直ちに停止されず、最終の目標回転角度θ1(最終の目標回転角度θ1に対応する安定点)を中心に、ローター2が減衰振動をし、やがてローター2の回転が停止する。この減衰振動により、ステッピングモーター1から騒音及び振動が発生する。また、この減衰振動により、線L2で示すローター2の回転角度が最終の目標回転角度θ1で停止するのは、時刻t4でなく、時刻t4より後の時刻である。比較例では、ローター2の回転が停止するのを、機械損失に委ねるので、時刻t4からローター2の回転が停止するまでに要する時間が比較的長くなる。
図8は、図6の時刻t4より前の時刻t1付近において、ローター2の回転角度の推移を示すグラフである。ローター2は、等速円運動をしているので、線L2で示すローター2の回転角度の変化は、直線で示される。
時刻t1で発生した制御信号により、線L1で示すように、ローター2の目標回転角度は、θ0−φからθ0になる。ローター2に過剰な負荷がかかっていたり、又は、ローター2が過剰に振動したりしていなければ、時刻t1において、ローター2の回転角度は、θ0−φ/2を中心にして、θ0−φからθ0までの間で変動している。このため、時刻t1で発生した制御信号により、ローター2は、点線L6で示すような周期Tの回転をし、これにより、ローター2の回転角度は、3φ/2だけ変化し、目標回転角度θ0を超えて、次の目標回転角度θ0+φに到達して、減少する。
このように、一つの制御信号が発生したとき、ローター2の回転角度は、まず、3φ/2だけ増加し、そして、減少する。
次に、ローター2の単振動について説明する。図9は、駆動信号生成部に制御信号が一つ入力されたときに生成される駆動信号(所定の駆動信号)によって、ローター2が回転される制御において、ローター2の回転速度の推移を示すグラフである。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転速度を示す。線L4は、図7で説明したように、ローター2の回転速度の推移を示す。t10は、制御信号生成部11が、上記一つの制御信号を生成した時刻を示す。ローター2は、時刻t10の直後の時刻での回転速度を最大の回転速度として、単振動をし、振動が徐々に減衰し、回転速度が0に向かう。
図10は、図9の時刻t10付近でのローター2の回転速度の推移を示すグラフである。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転速度を示す。Vは、最大の回転速度を示す。点線L5は、本実施形態の第2態様で説明する。
図11は、図9の時刻t10付近でのローター2の回転角度の推移を示すグラフである。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転角度を示す。図6で説明したように、線L1は、目標回転角度の推移を示し、線L2は、ローター2の回転角度の推移を示し、φは、ステップ角を示す。Tは、上記所定の駆動信号によってローター2が駆動されたときに発生するローター2の単振動の周期を示す。
図11を参照して、時刻t10で回転角度が0とし、回転角度が3φ/2となる時刻をt11とする。回転角度が3φ/2だけ変化するのに要する時間は、T/3であることが分かる。
以上説明したように、一つの制御信号が発生したとき、ローター2の回転角度は、まず、3φ/2だけ増加し、そして、減少する(図8)。回転角度が3φ/2だけ変化するのに要する時間は、T/3である(図11)。本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10は、これらを基にして、ステッピングモーター1の回転の停止制御をする。
本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10には、第1態様及び第2態様がある。第1態様に係る制御信号生成部11は、ローター2の回転を停止させる場合において、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔を、T/3にしている。
図12は、本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10の第1態様が実行するステッピングモーター1の停止制御において、ローター2の回転角度の推移を示すグラフであり、図6と対応する。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転角度を示す。図6で説明したように、線L1は、目標回転角度の推移を示し、線L2は、ローター2の回転角度(実際の回転角度)の推移を示し、φは、ステップ角を示し、θ1は、最終の目標回転角度を示す。ローター2の回転の停止制御における最後の制御信号は、時刻t4で発生している。
ローター2の回転の停止制御における最後の制御信号より一つ前の制御信号は、時刻t4より前の時刻t3で発生している。ローター2の回転の停止制御における最後の制御信号より二つ前の制御信号は、時刻t3より前の時刻t2で発生している。
図13は、本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10の第1態様が実行するステッピングモーター1の停止制御において、ローター2の回転速度の推移を示すグラフであり、図7と対応する。グラフの横軸は、時刻を示し、グラフの縦軸は、ローター2の回転速度を示す。図7で説明したように、線L3は、目標回転速度の推移を示し、線L4は、ローター2の回転速度(実際の回転速度)の推移を示す。
図14は、図12に示す時刻t2,t3,t4付近において、ローター2の回転角度の推移を示すグラフである。時刻t3において、最後の制御信号より一つ前の制御信号が発生したときに、ローター2が位置すると見なされる回転角度は、θ1−(3φ/2)である。時刻t3において、ローター2の回転角度は、θ1−3φ/2を中心にして、θ1−2φからθ1−φまでの間で変動するからである。このことは、図8で説明した。
最後の制御信号より一つ前の制御信号と最後の制御信号との時間間隔が、T/3であるとき、回転角度θ1−(3φ/2)と最終の目標回転角度θ1との差が、3φ/2となる。このことは、図11で説明した。
よって、図14に示すように、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔が、T/3のとき、線L2で示すローター2の回転角度が、時刻t4において、最終の目標回転角度θ1(最終の目標回転角度θ1に対応する安定点)と一致する。これにより、ローター2は、最終の目標回転角度θ1での減衰振動が抑制されることになる。従って、第1態様によれば、ステッピングモーター1が停止されるときにステッピングモーター1から発生する振動及び騒音を抑制でき、かつ、時刻t4からローター2か停止するまでの時間を短くすることができる。
図15は、本実施形態に係るステッピングモーター制御装置10の第2態様が実行するステッピングモーター1の停止制御において、ローター2の回転角度の推移を示すグラフであり、図14と対応する。第2態様に係る制御信号生成部11は、第1態様に係る制御信号生成部11と同様に、ローター2の回転を停止させる場合において、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔を、T/3にしている。さらに、第2態様に係る制御信号生成部11は、最後の制御信号より一つ前の制御信号と、最後の制御信号より二つ前の制御信号との時間間隔を、下記式で示す時間間隔にしている。
Vは、図10に示すように、ローター2の単振動でのローター2の回転速度の最大値を示す。φは、ステッピングモーター1のステップ角を示す。
時刻t4において、ローター2の回転速度が0であり、線L2で示すローター2の回転角度が最終の目標回転角度θ1であれば、理論上、時刻t4において、ローター2が最終の目標回転角度θ1で停止する。
第1態様で説明したように、最後の制御信号と、最後の制御信号より一つ前の制御信号との時間間隔が、T/3にすることにより、時刻t4において、線L2で示すローター2の回転角度が、最終の目標回転角度θ1に一致する。
時刻t4において、ローター2の回転速度が0になるには、最後の制御信号より一つ前の制御信号と、最後の制御信号より二つ前の制御信号との時間間隔が、上記式で示される値にすればよい。これについて説明する。
図10を参照して、一つの制御信号が発生した時刻t10で、ローター2は、単振動を開始し、時刻t10からT/3が経過した時刻t11のときに、線L4で示すように、ローター2の回転速度がVsin(2π/3)となる。これは、Vsinωtに、角速度ω=2π/T、時間t=T/3が代入された値である。
時刻t10において、ローター2の回転速度が、Vsin(2π/3)であれば、点線L5で示すように、時刻t10からT/3が経過した時刻t11のときに、ローター2の回転速度が0になることが分かる。これを、図15で説明すると、時刻t3において、ローター2の回転速度が、Vsin(2π/3)のとき、時刻t3からT/3が経過した時刻t4において、ローター2の回転速度が0になる。
時刻t3において、ローター2の回転速度が、Vsin(2π/3)になるには、最後の制御信号より一つ前の制御信号と、最後の制御信号より二つ前の制御信号との時間間隔を、上記式で示す値にすればよい(ステップ角φ÷上記式で示す値=Vsin(2π/3))。
よって、時刻t4において、ローター2の回転速度が0であり、線L2で示すローター2の回転角度が最終の目標回転角度θ1となる。これにより、ローター2は、最終の目標回転角度θ1での減衰振動がさらに抑制されることになる(理論上は減衰振動がゼロとなり、時刻t4でローター2の回転が停止する)。従って、第2態様によれば、第1態様よりも、ステッピングモーター1が停止されるときにステッピングモーター1から発生する振動及び騒音をさらに抑制でき、かつ、時刻t4からローター2が停止するまでの時間を短くすることができる。
図6及び図7で説明した比較例によれば、ステッピングモーター1が停止されるときに、ステッピングモーター1から発生する振動及び騒音が比較的大きい。このため、ステッピングモーター1が適用されることになる装置(例えば、画像形成装置)に、ステッピングモーター1が組み込まれた状態で、ステッピングモーター1からの振動及び騒音が小さくなるように、各種の調整が必要となる。これに対して、本実施形態の第1態様及び第2態様によれば、ステッピングモーター1が停止されるときにステッピングモーター1から発生する振動及び騒音を抑制できるので、そのような調整が不要となる。
ステッピングモーター1の運転条件には、スルー領域及び自起動領域がある。スルー領域は、ステッピングモーター1が高速運転される領域である。ステッピングモーター制御装置10は、スルー領域の状態からステッピングモーター1を停止させる場合、スローダウン制御をする。このスローダウン制御において、本実施形態の第1態様や第2態様が適用される。自起動領域は、ステッピングモーター1が制御信号に同期して、瞬時に停止できる領域である。ステッピングモーター制御装置10は、自起動領域の状態からステッピングモーター1を停止させる場合、スローダウン制御をしない。自起動領域の状態からステッピングモーター1を停止させる場合にも、本実施形態の第1態様や第2態様が適用される。
1 ステッピングモーター
2 ローター
3 ステーター
4 A相磁極
5 B相磁極
6 /A相磁極
7 /B相磁極
10 ステッピングモーター制御装置
11 制御信号生成部
12 駆動電流生成部(駆動信号生成部の具体例)
2 ローター
3 ステーター
4 A相磁極
5 B相磁極
6 /A相磁極
7 /B相磁極
10 ステッピングモーター制御装置
11 制御信号生成部
12 駆動電流生成部(駆動信号生成部の具体例)
Claims (4)
- パルス状の制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号が入力される毎に、ステッピングモーターのローターを所定のステップ角だけ回転させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記制御信号生成部は、前記ローターの回転を停止させる場合において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしているステッピングモーター制御装置。
(ここで、Tは、所定の前記駆動信号によって前記ローターが回転したときに発生する前記ローターの単振動の周期であり、所定の前記駆動信号は、前記駆動信号生成部に前記制御信号が一つ入力されたときに生成される前記駆動信号である。) - 前記制御信号生成部は、前記ステッピングモーターのスローダウン制御において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしている請求項1に記載のステッピングモーター制御装置。
- 前記制御信号生成部は、前記ステッピングモーターのスローダウン制御において、最後の前記制御信号と、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号との時間間隔を、T/3にしており、最後の前記制御信号より一つ前の前記制御信号と、最後の前記制御信号より二つ前の前記制御信号との時間間隔を、前記式で示す時間間隔にしている請求項2に記載のステッピングモーター制御装置。
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