JP5036592B2 - ステップモータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、モータ、特に、ステップモータにより駆動される歯車列などで構成された伝達機構系に対して適用されるステップモータ制御装置に関する。
従来のステップモータ制御装置は、歯車列を介してステップモータと連動する被駆動体の動作位置を検出するセンサを備えた伝達機構系において、センサ検出値をフィードバックする、いわゆる閉ループ制御系を組んでバックラッシを補正している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の発明によれば、反転駆動されてからセンサの出力信号が変化するまでの間に計数されたステップ数を、ステップモータと被駆動体との間におけるバックラッシ量として測定し、この実測値分だけバックラッシ補正を行う。この結果、必要最小限の効率のよい補正動作を可能としている。
特開平4−331859号公報
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。
特許文献1の発明は、バックラッシを検出する回転角センサを具備したステップモータの閉ループ制御系に関するものであり、開ループ制御系ではない。従って、システムとしては、回転角センサのような付加的なセンサを要すために、機械的な構造および制御系が複雑化するといった課題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、開ループ制御で、伝達機構系の高精度位置決め、および駆動時の振動抑制の両方を実現するステップモータ制御装置を得ることを目的としている。
本発明に係るステップモータ制御装置は、ステップモータをアクチュエータとして具備し、コントローラにより生成される指令パルスに基づいて位置決め制御を行う伝達機構系に適用するステップモータ制御装置であって、コントローラは、あらかじめ設定された角速度閾値に基づいてマイクロステップ駆動とフルステップ駆動を切り換え、角速度が角速度閾値以上の場合にはフルステップ駆動を行うように指令パルスを生成し、角速度が角速度閾値未満の場合には電流ベクトルの大きさをフルステップ駆動の電流ベクトルの大きさと一致するように拡大してマイクロステップ駆動を行うように指令パルスを生成するものである。

本発明のステップモータ制御装置によれば、起動および停止における振動をマイクロステップ駆動で低減するとともに、フルステップ駆動に比較して通常電流ベクトルの大きさが低下するマイクロステップ駆動においても、フルステップ駆動と同等の電流ベクトルまで拡大して位置決め制御することにより、開ループ制御で、伝達機構系の高精度位置決め、および駆動時の振動抑制の両方を実現するステップモータ制御装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるステップモータ制御装置とステップモータを示す構成図である。図1に示すように、ステップモータ制御装置1は、計算機2(CPU、DSP、マイコンなどによるコントローラに相当)とステップモータ駆動回路3より構成されている。また、ステップモータ駆動回路3は、ステップモータ4の各相のモータコイルに所望の電流を流す。
ステップモータ制御装置1の計算機2は、ステップモータ4を所定の速度プロファイルで動作させるための情報をあらかじめ記憶部(図示せず)に有している。この情報は、前述した速度プロファイルに関するものであり、具体的には、適用する速度プロファイル(三角、台形、S字など)の加速時間、等速時間、減速時間、最大角速度、行き過ぎ量、反転動作による戻り量、モータステップ角、駆動パルスを打ち出す時間幅、ステップモータ4の回転方向切り換えタイミング、フルステップとマイクロステップの励磁方式切り換えタイミング、モータコイルに流す電流の電流振幅切り換えタイミングが含まれる。
ここで、タイミングとは、前述のように計算された速度プロファイルから得られる指令パルスのどこで、論理切り換えパルスを操作するかということを意味している。
図2は、本発明の実施の形態1におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。図2について、以下に説明する。
まず、計算機2において、適用する速度プロファイルを作成するためのパラメータである加速時間、等速時間、減速時間、最大角速度、行き過ぎ量、反転動作による戻り量、モータステップ角をもとに、指令パルスを打ち出す時間幅とパルス打ち出し時間に対する角速度の関係を算出する(ステップS1)。この角速度は、モータ軸角速度、もしくは伝達機構系の出力軸角速度のどちらでもよい。
また、指令パルスを打ち出す時間幅とパルス打ち出し数に対する角速度の関係を参照して、角速度の閾値を決める。この閾値決めは、具体的には、加速傾斜区間の任意の角速度ω_ac、および減速傾斜区間の任意の角速度ω_dcを決めて、ω_ac未満はマイクロステップ駆動、ω_ac以上はフルステップ駆動、ω_dc以上はフルステップ駆動、ω_dc未満はマイクロステップ駆動というように、相電流の励磁方式を切り換えてモータを駆動する閾値決めに相当する。
図2のステップS1における指令パルスは、上述した駆動パルスを打ち出す時間幅、角速度の閾値のほかに、角速度の閾値を参照してマイクロステップとフルステップの励磁方式を切り換える信号と、マイクロステップとフルステップそれぞれでステップモータのモータコイルに流す電流の振幅を調整する信号、ステップモータの正転および反転動作を切り換える信号も含んでいる。そして、これらの信号の送信タイミングが計算機2内に実装されたソフトウェアで制御されて、ステップモータ駆動回路3へと送信される。
ステップS2における条件分岐は、角速度零、もしくは任意の自起動周波数からステップモータを起動させた際に、角速度が加速傾斜の規定角速度ω_acに達したか否かを判定するためのものである。判定結果がNO、つまり角速度が加速傾斜の規定角速度ω_ac未満の場合には、ステップS3へ進む。なお、起動時にすでに自起動周波数で加速傾斜の規定角速度ω_ac以上を満たしていれば、つまり、ステップS2の判定結果がYESであれば、ステップS9へと進む。
ステップS2の条件分岐がNOであった場合について、以下に説明する。
ステップS2の条件分岐がNOであった場合には、ステップS3に示すようにマイクロステップ駆動を実施するための手続きを実行する。ステップS3は、2つのステップS4、S5からなる。
ステップS4は、先に説明した励磁方式の切り換え信号を用いてマイクロステップの相電流励磁方式に切り換えるステップである。また、ステップS5は、ステップS4と同時にマイクロステップ駆動時の相電流を電流振幅調整信号によって所定の大きさに切り換えるステップである。
図3は、本発明の実施の形態1における2相のステップモータをアクチュエータとして使う場合のフルステップ駆動とマイクロステップ駆動の電流波形を比較した説明図である。図3では、2相あるコイルのうちの一方をA相,他方をB相としている。そして,フルステップ駆動している場合の各相の電流波形を図3(a)に示し,マイクロステップの一例としてW1−2相励磁で駆動している場合の電流波形を図3(b)に示している。
図3から分かるように、フルステップ駆動が各相ともに電流が矩形波となる一方で、マイクロステップ駆動では、各相ともに電流が正弦波に近い滑らかな変化をたどる。このため,マイクロステップ駆動を行うことにより、1ステップあたりの角度分解能が向上し、かつ駆動時の振動を低減できる。
図3(b)は、1ステップ角を4分割していることに相当している。また、簡単のために図3(a)および図3(b)の縦軸ともにA相とB相は、それぞれ定格電流に対する実電流の比として無次元化したパーセンテージで表している。また、横軸は、ステップ数である。
図4は、本発明の実施の形態1におけるA相とB相の各相電流比を2次元平面にプロットした電流ベクトル軌跡である。図4に示す電流ベクトル軌跡は、図3を参照して描いたものであり、実線矢印は、フルステップ駆動時の電流ベクトルであり、破線矢印は、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルである。このように、通常、フルステップ駆動時の電流ベクトルが、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルの√2倍となるように、各相電流が制御されるものである。
また、フルステップ駆動時に取り得る電流ベクトルの位相に対して、一例として示したW1−2相励磁マイクロステップ駆動時に取り得る電流ベクトルの位相は、4倍となることも分かる。すなわち、フルステップ駆動時に取り得る電流ベクトルの位相が4通りであるのに対し、マイクロステップ駆動時に取り得る電流ベクトルの位相は、16通りとなっている。
以上、図3と図4から分かるように、駆動パルスの1パルスにつきモータ軸が1ステップ角歩進するステップモータにおいて、フルステップ駆動とマイクロステップ駆動を切り換えて動作させる場合には、フルステップ駆動時の電流ベクトルの方向とマイクロステップ駆動時の電流ベクトルの方向が一致する時に励磁方式を切り換える必要がある。
つまり、先の図2のステップS4に示したマイクロステップ励磁切り換えは、上述したフルステップとマイクロステップの電流ベクトルが共に一致した方向、つまり、図4内のP1、P2、P3、P4での切り換えを行えば、モータ軸の正確な送り動作が実現できる。
また、図4から分かるように、フルステップ駆動時の電流ベクトルに比較して、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルは、通常低下する。そのために、マイクロステップ駆動時にモータが発生するトルクも、フルステップ駆動時にモータが発生するトルクに比較して低下する。
そこで、本実施の形態1におけるステップモータ制御装置は、フルステップ駆動とマイクロステップ駆動を切り換えて動作させる場合には、マイクロステップ駆動で低下する電流ベクトルの大きさを、フルステップ駆動時の電流ベクトルの大きさと一致するように、拡大させることを行っている。
図5は、本発明の実施の形態1におけるマイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさを拡大させた状態を示す説明図である。先の図2のステップS5における電流振幅切り換えによって、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさを拡大させることを行っている。
このように、ステップS4、S5より構成されるステップS3によって、フルステップ駆動の電流ベクトルの方向とマイクロステップ駆動の電流ベクトルの方向が一致するときに、相電流の励磁方式を切り換えるとともに、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさを、フルステップ駆動時の電流ベクトルの大きさまで拡大させている。この結果、マイクロステップ駆動時のトルクを、フルステップ駆動時のトルクと同等まで大きくすることができる。
次に、先の図2に戻って、ステップS6について説明する。ステップS6は、駆動パルス1発間の電流振幅を切り換える操作である。より具体的には、駆動パルス1発につきモータ軸が1ステップ角歩進するステップモータにおいて、1ステップ角に対応する電流応答1ステップ間で電流振幅を階段状に、あるいは滑らかに切り換える操作である。
図6は、本発明の実施の形態1における駆動パルス1発間の電流振幅の切り換え操作の説明図であり、ステップS6の内容を図的に示したものである。図6において、駆動パルスのHighレベルを励磁送り区間、Lowレベルを励磁保持区間とする。このときに、図6に示した相電流(A相、B相のうちの1相のみを図示)が実線で示されたプロファイルで変化するものとする。
図6では、一例として、駆動パルス1周期間を4段階で、電流振幅を切り換えた場合の相電流波形を破線で示している。つまり、駆動パルス1周期間の電流応答を階段状に徐々に立ち上げることで、実線にあるような電流応答の急な変化を防止している。従って、駆動パルス1周期間に相当する1ステップ角の位置応答を、徐々に変化させることができる。その結果、位置応答1ステップ角あたりのオーバーシュートおよび駆動時、特に低速駆動時の速度変動を抑制できる。
なお、図6では、4段階で電流振幅を切り換えているが、ハードウェアやソフトウェアの追加によって、それ以上の段階数で切り換えることも、また階段状ではなく滑らかに変化させることもできる。
次に、先の図2におけるステップS7において、マイクロステップ駆動を行う。これは、駆動パルス1発分のマイクロステップ駆動であることを意味する。
次に、条件分岐であるステップS8は、角速度ωが加速傾斜の規定角速度ω_acに達したか否かを判定するステップである。判定結果がNO、つまり角速度ωが加速傾斜の規定角速度ω_ac未満の場合には、ステップS6へ進む。また、ステップS8での判定結果がYES、つまり角速度ωが加速傾斜の規定角速度ω_ac以上であれば、ステップS9へと進む。
このように、条件分岐ステップS8での判定結果がNOの場合には、ステップS8の条件を満たすまでステップS6〜S8の処理が繰り返し実行され、ステップS8の条件を満足した時点でステップS9へ移行する。
次に、ステップS2の条件分岐、もしくはステップS8の条件分岐において判定がYESの場合に進むステップ9の動作について説明する。ステップS9では、フルステップ駆動を実施するための手続きを実行する。ステップS9は、2つのステップS10、S11からなる。
ステップS10は、励磁方式の切り換え信号を用いてフルステップの相電流励磁方式に切り換えるステップである。また、ステップS11は、ステップS10と同時にフルステップ駆動時の相電流を電流振幅調整信号によって所定の大きさに切り換えるステップである。
ステップS9における手続きが完了すると、ステップS12において、フルステップ駆動を行う。これは、駆動パルス1発分のフルステップ駆動であることを意味する。
次に、条件分岐であるステップS13は、角速度ωが減速傾斜の規定角速度ω_dcに達したか否かを判定するステップである。判定結果がNO、つまり角速度ωが減速傾斜の規定角速度ω_dcより大きい場合には、ステップS12へ進む。また、ステップS13での判定結果がYES、つまり角速度ωが減速傾斜の規定角速度ω_dc以下であれば、ステップS14へと進む。
このように、条件分岐ステップS13での判定結果がNOの場合には、ステップS13の条件を満たすまでステップS12、S13の処理が繰り返し実行され、ステップS13の条件を満足した時点でステップS14へ移行する。
次に、ステップS14は、マイクロステップ駆動を実施するための手続きを実行する。ステップS14は、2つのステップS15、S16からなる。ステップS15は、先に説明した励磁方式の切り換え信号を用いてマイクロステップの相電流励磁方式に切り換えるステップである。また、ステップS16は、ステップS15と同時にマイクロステップ駆動時の相電流を電流振幅調整信号によって所定の大きさに切り換えるステップである。なお、ステップS14の具体的な内容は、前述したステップS3と同様であり、説明を省略する。
ステップS14が完了すると、ステップS17へ進む。ここで、ステップS17は、1ステップパルス間の電流振幅を切り換える操作を実行するが、これも前述したステップS6と実行内容が同様であり、説明を省略する。
次に、ステップS18は、マイクロステップ駆動を行う。これは、駆動パルス1発分のマイクロステップ駆動であることを意味する。なお、ステップS18の具体的な内容は、前述したステップS7と同様であり、説明を省略する。
次に、条件分岐であるステップS19は、角速度ωが零に達したか否かを判定するステップである。判定結果がNO、つまり角速度ωが零でない場合には、ステップS17へ進む。また、ステップS19で判定結果がYES、つまり角速度ωが零であれば、ステップS20へと進む。
このように、条件分岐ステップS19での判定結果がNOの場合には、ステップS19の条件を満たすまでステップS17〜S19の処理が繰り返し実行され、ステップS19の条件を満足した時点でステップS20へ移行する。
ステップS20は、マイクロステップ駆動でXステップ(これは、マイクロステップ駆動時の駆動パルス数Xと同一)だけ減速時の回転方向と同一方向へ行き過ぎ動作を実行するステップである。ここで、行き過ぎ量Xは、伝達機構系が有するバックラッシの大きさと同等か、それ以上の数値を設定する。
次に、ステップS21は、先のステップS20で実行した行き過ぎ動作時の回転方向とは反対方向に回転方向を切り換える信号をステップモータ駆動回路3へと送信するステップである。
ステップS21に従って、ステップS22は、マイクロステップ駆動でXステップ(これは、マイクロステップ駆動時の駆動パルス数Xと同一)だけ反転動作する。つまり、ステップS20の行き過ぎ量と同量だけの反転動作を実行する。
伝達機構系がバックラッシを有していても、ステップS20〜S22によって、そのバックラッシと同等の行き過ぎ動作と反転動作による開ループ制御を行うことで、高精度な位置決めを可能としている。ステップS20〜S22は、バックラッシによって悪化する位置決め精度を補償するものであるが、その効果について、以下に、具体的に説明する。
歯車列のような機構要素で構成される伝達機構系では、歯車間にバックラッシが存在する。このバックラッシの影響で,モータ軸が正確な送り動作を行っているとしても、このバックラッシ量が1ステップあたりのモータ軸送り動作に比較して大きい場合には、バックラッシの間隔で従動軸の歯車に駆動軸の歯車が噛みあわずに遊んでしまう。その結果、モータ軸から出力軸への正確な送り動作が実現できない。また、このバックラッシは、出力軸1回転で数値的なばらつきがあることが少なくない。
また、伝達機構系を繰り返して動作させる際に、起動時の送り量がバックラッシ量に比較して小さい場合には、指令パルスは適切であるにもかかわらず、所望する停止位置とずれた位置で停止してしまうというような、位置決め精度の悪化に繋がる。
このような状況を改善するために、伝達機構系の繰り返し動作では、特に起動時のミスステップを防止するように、所定の方向へと起動を開始する初期の状態は、駆動軸の歯車と従動軸の歯車が常に起動する方向でかみ合うようにする。
具体的には、伝達機構の出力軸1回転のバックラッシを所定角度毎に事前に測定し、当該バックラッシ量の最大値をX’とした場合、行き過ぎ量および反転動作による戻し量XをX≧X’として設定する。
このように動作させることで、所定回転方向への起動の際に駆動軸ならびに従動軸の歯車同士がかみ合っている状態にできるため、起動開始時のバックラッシによるモータ軸送り量のミスステップを防ぐことができる。その結果、モータ軸の送り量が出力軸に正確に伝達され、位置決め精度を向上させることができる。以降では、ステップS20〜S22の処理をまとめてバックラッシ補正と呼ぶことにする。
以上、本実施の形態1におけるステップモータ制御装置1の基本的な動作について説明した。次に、先の図2のフローチャートに基づいて、ウォームギアで構成された伝達機構系をステップモータで駆動させた場合の測定結果の一例を具体的に示す。また、図2のフローチャートで構成される各ステップの効果を明確にするために、以降では測定結果を段階的に示す。
まず、ステップS20〜S22の処理がない、つまりバックラッシ補正処理がない場合の、出力軸360°回転の指令パルスを与えた場合の位置応答、ならびに停止位置の繰り返し位置精度について示す。図7は、本発明の実施の形態1における停止位置の繰り返し位置精度の測定方法に関する説明図である。
より具体的には、絶対原点をA、360°回転位置をB1、−360°回転位置をB2として、Aを初期位置としてA→B1→A→B2→Aのように繰り返し運転する試験形態を示している。そして、このような繰り返し運転を行ったときの、Aからの位置ずれを繰り返し位置精度として測定する。
まず始めに、バックラッシ補正がない場合において、先の図2に示したステップS5とステップS16の効果を確認する。前述したように、ステップS5とステップS16は、マイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさをフルステップ駆動時の電流ベクトルの大きさと同等となるまで拡大させ、つまり、マイクロステップ駆動時のモータ発生トルクをフルステップ駆動時のモータ発生トルクと同等となるまで大きくする機能を有している。
そこで、ステップS5とステップS16がない場合とある場合とで、位置応答と繰り返し位置精度の挙動に差異が生じることを示す。図8は、本発明の実施の形態1において、ステップS5とステップS16の処理がない場合の出力軸角度の時間波形であり、(a)は、全時間波形を示しており、(b)は、(a)の360°、0°、−360°近辺を拡大した出力軸角度の時間波形を示している。
これに対して、図9は、本発明の実施の形態1において、ステップS5とステップS16の処理がある場合の出力軸角度の時間波形であり、(a)は、全時間波形を示しており、(b)は、(a)の360°、0°、−360°近辺を拡大した出力軸角度の時間波形を示している。
ステップS5とステップS16の処理がない場合の過渡応答を示した図8(a)と図8(b)を見ると、起動および停止時にオーバーシュートが発生していることが分かる。これに対して、ステップS5とステップS16の処理がある場合の過渡応答を示した図9(a)と図9(b)を見ると、起動および停止時のオーバーシュートがほとんど見られない程度まで低減されていることが分かる。これは、マイクロステップ区間の電流ベクトルの大きさを拡大させたことで、摩擦などの機械負荷に対して十分な起動トルクと保持トルクが発生できているためである。
図10は、本発明の実施の形態1におけるバックラッシ補正処理がない場合の繰り返し位置精度の測定結果を示した図である。ステップS5とステップS16の処理がない場合の繰り返し位置精度を○印でプロットし、ステップS5とステップS16の処理がある場合の繰り返し位置精度を+印でプロットしている。両者を比較すると、後者のステップS5とステップS16の処理がある場合の繰り返し位置精度の方がPeak−to−Peak値で比較して低減できていることが分かる。
この図10の結果からも明らかなように、ステップS5とステップS16によるマイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさをフルステップ駆動時の電流ベクトルの大きさまで拡大させたことにより、繰り返し位置精度を向上させることができる。
次に、バックラッシ補正がある場合、つまり、先の図2に示す全ての処理が盛り込まれた場合の繰り返し位置精度について説明する。図11は、本発明の実施の形態1におけるバックラッシ補正処理がある場合の繰り返し位置精度の測定結果を示した図である。ステップS5とステップS16の処理とともに、バックラッシュ補正処理がある場合の繰り返し位置精度を□印でプロットし、ステップS5とステップS16の処理だけがあり、バックラッシ補正処理がない場合の繰り返し位置精度(すなわち、先の図10における+印でプロットしたものと同じ条件のもの)を+印でプロットしている。
ここで、バックラッシ補正動作時の行き過ぎ量および反転戻し量Xは、出力軸1回転における最大バックラッシ量のおよそ2倍程度の値として設定している。両者を比較すると、前者のバックラッシュ補正処理がさらにある場合の繰り返し位置精度の方が、さらに精度が向上し、バックラッシ補正の効果が出ていることが分かる。
次に、先の図2におけるステップS6、S17、および先の図6で説明した1ステップ駆動パルス間の電流振幅切り換えの効果について説明する。ここでは、出力軸を1°/sec一定と比較的低速で回転させた場合の出力軸の挙動を観察した。図12は、本発明の実施の形態1における出力軸の挙動を示した図である。図12の上段は、出力軸角度の時間波形を示しており、下段は、上段の時間波形を任意の時間間隔で切り出した時間波形を示している。
この図12では、先の図2におけるステップS6、S17の効果を明確にするために、ステップS6、S17の処理がない場合の挙動を実線で示し、ステップS6、S17の処理がある場合の挙動を破線で示している。なお、電流応答は、先の図6に示すように、指令パルス1周期を4等分割して階段状に整形している。
この図12(特に、下段の部分拡大図)より、1ステップ駆動パルス間の電流応答を階段状整形しない場合には、1ステップあたりの位置応答にオーバーシュートが発生している。これに対して、1ステップ駆動パルス間の電流応答を階段状整形した場合には、1ステップあたりの位置応答のオーバーシュートを抑制した滑らかな挙動が得られていることがわかる。
従って、この図12の結果からも、1ステップ駆動パルス間で電流応答を階段状に整形する、先の図2におけるステップS6、S17の効果は、明らかである。このように、低速で対象物を追従するシステムにとっては、電流応答の階段状整形を適用することで、振動による速度変動を抑制できる。
以上のように、実施の形態1によれば、ステップモータの開ループ制御系を構成することで、回転角センサを有する閉ループ制御系のように制御系の構成が複雑化せず簡素化できる。
さらに、起動および停止における振動をマイクロステップ駆動で低減するとともに、フルステップ駆動に比較して通常電流ベクトルの大きさが低下するマイクロステップ駆動においても、フルステップ駆動と同等の電流ベクトルまで拡大している。この結果、伝達機構系に摩擦負荷やバネ要素が存在しても、起動時の駆動トルクと停止時の保持トルクを十分に発生し、脱調や振動がなく安定した動作を得ることができる。
さらに、バックラッシ補正処理を備えることにより、伝達機構系が有するバックラッシの大きさによらず、高精度な位置決めができる。
さらに、1ステップ駆動パルス間で電流応答を階段状に整形することにより、駆動パルス1発あたりの位置応答のオーバーシュートを抑制し、振動を低減することができる。
そして、このような種々の機能を備えることにより、ステップモータ本来の特徴である開ループ制御系を構成することで、低コスト化、制御系の簡素化を実現するとともに、高精度位置決めと駆動時の振動抑制を実現することができる。
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。本実施の形態2における図13のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャートと比較すると、1ステップ駆動パルス間の電流応答を階段状整形するステップS6、S17の処理がない点が異なっている。
例えば、繰り返し位置精度のみが問題であって、低速時の追従精度が問題とならない伝達機構系に対しては、ステップS6、S17の処理を省くことにより、計算機2内に構築するソフトウェアの簡略化を図ることができる。
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。本実施の形態3は、指令パルスを生成する計算機2の制御周期が、モータ軸の最大角速度よりも小さく設定できる程度に計算機2の能力が高い場合のものに対応する。このように、計算機2の能力が高い場合には、速度プロファイルの全区間をマイクロステップで駆動できるようになり、そのフローチャートを示したものが図14である。
なお、図14中の各ステップ番号の処理は、図2および図13に示すステップ番号の処理と同一であり、詳細な説明を省略する。図14に示した機能を備えることにより、伝達機構系の繰り返し位置精度と低速時の追従精度を向上させ、かつ計算機2内に構築するソフトウェアの簡略化を図ることができる。
実施の形態4.
図15は、本発明の実施の形態4におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。本実施の形態4における図15のフローチャートは、先の実施の形態3における図14のフローチャートと比較すると、1ステップ駆動パルス間の電流応答を階段状整形するステップS17の処理がない点が異なっている。
例えば、計算機2の能力が高く、速度プロファイルの全区間をマイクロステップで駆動した場合にも、繰り返し位置精度のみが問題であって、低速時の追従精度が問題とならない伝達機構系に対しては、ステップS17の処理を省くことにより、計算機2内に構築するソフトウェアの簡略化を図ることができる。
本発明の実施の形態1におけるステップモータ制御装置とステップモータを示す構成図である。 本発明の実施の形態1におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1における2相のステップモータをアクチュエータとして使う場合のフルステップ駆動とマイクロステップ駆動の電流波形を比較した説明図である。 本発明の実施の形態1におけるA相とB相の各相電流比を2次元平面にプロットした電流ベクトル軌跡である。 本発明の実施の形態1におけるマイクロステップ駆動時の電流ベクトルの大きさを拡大させた状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1における駆動パルス1発間の電流振幅の切り換え操作の説明図である。 本発明の実施の形態1における停止位置の繰り返し位置精度の測定方法に関する説明図である。 本発明の実施の形態1において、ステップS5とステップS16の処理がない場合の出力軸角度の時間波形である。 本発明の実施の形態1において、ステップS5とステップS16の処理がある場合の出力軸角度の時間波形である。 本発明の実施の形態1におけるバックラッシ補正処理がない場合の繰り返し位置精度の測定結果を示した図である。 本発明の実施の形態1におけるバックラッシ補正処理がある場合の繰り返し位置精度の測定結果を示した図である。 本発明の実施の形態1における出力軸の挙動を示した図である。 本発明の実施の形態2におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。 本発明の実施の形態4におけるステップモータ制御装置の、開ループ制御のためのフローチャートである。
符号の説明
1 ステップモータ制御装置、2 計算機(コントローラ)、3 ステップモータ駆動回路、4 ステップモータ。

Claims (5)

  1. ステップモータをアクチュエータとして具備し、コントローラにより生成される指令パルスに基づいて位置決め制御を行う伝達機構系に適用するステップモータ制御装置であって、
    前記コントローラは、あらかじめ設定された角速度閾値に基づいてマイクロステップ駆動とフルステップ駆動を切り換え、角速度が前記角速度閾値以上の場合にはフルステップ駆動を行うように前記指令パルスを生成し、角速度が前記角速度閾値未満の場合には電流ベクトルの大きさを前記フルステップ駆動の電流ベクトルの大きさと一致するように拡大してマイクロステップ駆動を行うように前記指令パルスを生成することを特徴とするステップモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のステップモータ制御装置において、
    前記コントローラは、前記伝達機構系が有する歯車列の出力軸1回転のバックラッシを所定角度毎にあらかじめ計測し、前記バックラッシの計測値の最大値と同等以上の行き過ぎ動作と、前記行き過ぎ動作と同量の反転動作を実行するように前記指令パルスを生成することを特徴とするステップモータ制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のステップモータ制御装置において、
    前記コントローラは、所定の速度プロファイルにおける加速傾斜区間および減速傾斜区間の任意の速度でフルステップ駆動とマイクロステップ駆動を切り換えることを特徴とするステップモータ制御装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のステップモータ制御装置において、
    前記コントローラは、駆動パルス1周期あたりの電流応答を階段状あるいは滑らかに変化させるように前記指令パルスを生成することを特徴とするステップモータ制御装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のステップモータ制御装置において、
    前記コントローラは、駆動パルス信号、正転および反転動作切り換え信号、相電流の励磁方式切り換え信号、および電流振幅調整信号を参照して前記指令パルスを生成することを特徴とするステップモータ制御装置。
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