JP6772763B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性フィルムと貼り合わせを行っても剥がれを生じにくいポリエステルフィルムを提供することである。
従来よりポリエステルフィルムは、機械特性、光学特性、寸法安定性などの長所を生かして各種分野に使用されている。その一例として、フレキシブル基板、タッチパネル製品などが例示される。中でも、タッチパネルの分野では、導電性フィルムとしてITOフィルムが広く使用されている。
しかしながら、近年のタッチパネルの大画面化に伴い、ITOフィルムの低抵抗化が求められている。一般的に、ITOフィルムの低抵抗化を実現するためには高温焼成が必要であり、耐熱性フィルムが求められている。このため、ポリエステルフィルムに更なる耐熱性が求められるケースが近年増えてきている。
前記ITOフィルムだけでなく、配線基板のパターニング、もしくは、特開2016−9118号公報(特許文献1)のように有機EL表示装置を作成する際に高温処理加工されることは年々多くなってきており、ポリエステルフィルムでは耐熱性が不十分であった。
こういった要求に対して、ポリエステルフィルム以外の耐熱性フィルム、例えばポリイミドやシクロオレフィンポリマーを用いたフィルムを使用するケースがある。
しかしながら、こうしたフィルムはポリエステルフィルムよりも高価であることが一般的であり、最終製品の生産コストが大幅に増加してしまう。生産コストを押さえるためにフィルムの薄膜化を実施することがあるが、薄膜にすると製品を製造する際のハンドリングが悪くなる。
これらの問題点を解決する方法として、耐熱性フィルムを使用して高温加工を実施した後、ポリエステルフィルムを貼り合わせて使用するケースがある。
耐熱性フィルムとポリエステルフィルムと貼り合わせを行うことで、低コストでハンドリングに優れた高機能なフィルムを提供することができる。また、このポリエステルフィルムに例えばハードコートといった機能をあらかじめ付与することで、傷つき防止などのさらなる機能付与も可能である。
特開2016−9118号公報
しかしながら、耐熱性フィルムとポリエステルフィルムとを貼り合わせる場合、耐熱性フィルムとポリエステルフィルムとで収縮率に差があるため、貼り合わせ後に加熱加工を行うと剥がれを生じるおそれがあった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その目的は、耐熱性フィルムと貼り合わせを行っても剥がれを生じにくいポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意検討した結果、架橋剤を特定の割合で含有する塗布層を設け、しかも架橋剤として特定の化合物を用い、特定の収縮率を有するポリエステルフィルムを構成部材として用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、当該塗布層は、架橋剤を不揮発成分全体に対して70重量%以上含有する塗布剤から形成された層であり、前記架橋剤としてメラミン化合物及び/またはオキサゾリン化合物を含有し、かつ、 150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向(MD)の収縮率SMDが0.05%〜0.25%およびフィルムの走行方向と直交方向(TD)の収縮率STDが−0.05%〜0.05%であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、耐熱性フィルムと貼り合わせを行っても剥がれを生じにくいポリエステルフィルムを提供することが出来る。そのため、低抵抗な導電性フィルム、有機EL表示装置の樹脂基板といった高温で加工を必要とする高機能フィルムを低コストで生産した場合の問題点であるハンドリングの問題を解消することができる。また、その後の加工時にも不具合を生じにくく、その工業的価値は非常に高い。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の積層構成であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明に使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、および、セバシン酸等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明に使用するポリエステルフィルムは、耐熱性フィルムと貼り合わされる前に加熱工程を経る場合、ポリエステルフィルムからオリゴマーが発生し、製造工程を汚染する可能性がある。そのため、ポリエステルフィルムに含まれるオリゴマー量は0.7重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下である。オリゴマー量が0.7重量%より多い場合、製造工程を汚染する場合がある。
本発明に使用するポリエステルフィルムにおいては、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなる層の少なくとも片側の表面に、かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、かかる構造を有する場合、本発明で得られるオリゴマー析出の抑制効果を高度に発揮できる。
本発明に使用するポリエステルフィルムが積層構成を有する場合、両外層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、平均粒径が0.1〜0.6μmの粒子を配合することが好ましい。
配合する粒子は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。
この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
さらに両外層中の粒子含有量は、通常0.05〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.05重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、その結果、フィルム加工時に傷等の外観不良が生じることがある。一方、粒子を1.0重量%を超えて添加する場合、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
さらに、本発明に使用するポリエステルフィルムを構成する両外層のポリエステル層中には、傷つき防止あるいは易滑性付与を目的として、酸化アルミニウム粒子を使用することが好ましい。酸化アルミニウム粒子の平均粒径が前記範囲を外れる場合には、傷つき防止効果あるいは易滑性が乏しくなる場合がある。
本発明において使用する酸化アルミニウム粒子の具体例として、例えば、無水塩化アルミニウムを原料に火炎加水分解によって製造される、γ型、δ型酸化アルミニウム等が挙げられる。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明における積層ポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に、得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においてはポリエステルフィルムの製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で走行方向および走行方向と直交方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法により積層ポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、積層ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、薄膜の耐熱性フィルムの支持体として好適なのは通常50〜250μmの範囲である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、加工時の滑り性向上などを目的として塗布層を有することが特徴である。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
本発明において、塗布層の不揮発成分全体に対して架橋剤が70重量%以上含有されていることが重要であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。一方、上限としては特に限定しないが、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。架橋剤が70重量%以上含有されていることによって、外部からの熱的ダメージによるオリゴマー析出を十分に低減することができる。なお塗布層中には、その他の成分を含有していても構わない。
本発明において、架橋剤として、メラミン化合物または/及びオキサゾリン化合物を含むことが重要である。メラミン化合物が含まれることによって、加熱によるフィルム表面へのエステル環状三量体の析出防止や、塗布層の耐久性や塗布性向上という効果が得られ、オキサゾリン化合物が含まれることによって、塗布層上に金属層を設ける用途に用いる場合、耐久密着性が向上するという効果が得られる。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン構造を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
加熱後のエステル環状三量体の析出防止の観点から、架橋剤の一つにメラミン化合物を選択する場合、塗布層の不揮発成分全体に対する割合として、メラミン化合物の割合は、通常5〜95重量%の範囲、好ましくは15〜80重量%の範囲、特に好ましくは30〜65重量%の範囲である。メラミン化合物の割合が上記範囲以下の場合、加熱後のエステル環状三量体の析出を効果的に抑えることができない場合がある。割合が上記範囲以上の場合、塗布外観が悪化する場合がある。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層に含有されるオキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、通常0.5〜10mmol/g、好ましくは3〜9mmol/g、より好ましくは5〜8mmol/gの範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
前記架橋剤は、さらに種々の架橋剤が含まれていてもよい。例えば、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等が具体的に挙げられる。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
また、イソシアネート系化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
カルボジイミド系化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
カルボジイミド系化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、通常100〜1000、好ましくは250〜700、より好ましくは300〜500の範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
さらに本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
これらの架橋剤は単独でも2種類以上の併用でもあってもよいが、2種類以上組み合わせることにより、両立が困難であった金属層との密着性と加熱後のエステル環状三量体の析出防止性を向上させることを見いだした。その中でも、特に金属層との密着性を向上させられるオキサゾリン化合物と、加熱後のエステル環状三量体の析出防止性が良好なメラミン化合物との組み合わせが最適である。
また、金属層との密着性をより向上させるためには、3種類の架橋剤を組み合わせることがより好ましい。3種類以上の架橋剤の組合せとしては、架橋剤の1つとしてはメラミン化合物を選択することが最適であり、メラミン化合物との組合せとしては、オキサゾリン化合物とエポキシ化合物、カルボジイミド系化合物とエポキシ化合物が特に好ましい。
なお架橋剤は、乾燥過程や製膜過程において、熱架橋で塗布層の性能を向上させるものが好ましい。この時、熱架橋を促進するために、架橋触媒などを併用してもよい。
なお、できあがった塗布層中には、架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層の形成には、塗布外観の向上だけでなく、塗布層上に金属層を積層させる場合、金属層との密着性の向上等のためにポリマーを併用することも可能である。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも、金属層との密着性向上の観点からは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましい。ただし、含有量が多くなると、加熱後のエステル環状三量体の析出防止性が悪化する場合があり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。割合が上記範囲を超える場合、加熱後のエステル環状三量体の析出を効果的に抑えることができない場合がある。
また、塗布層の形成にはブロッキング、滑り性改良を目的として粒子を含有させることも可能である。その平均粒径の上限はフィルムの透明性の観点から好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下の範囲である。一方、平均粒径の下限は滑り性をより効果的に向上させるために、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは塗布層の膜厚よりも大きい範囲である。粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられる。中でも、透明性の観点からシリカがより好ましい。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
また、塗布層の厚みは、最終的に得られるフィルム上の塗布層の厚みとして、通常0.003μm〜1μmの範囲であり、好ましくは0.005μm〜0.5μm、さらに好ましくは0.01μm〜0.2μmの範囲である。厚みが0.003μmより薄い場合には、フィルムから析出するエステル環状三量体量が十分に少なくならないことがある。また1μmより厚い場合には、塗布層の外観の悪化や、ブロッキングしやすくなるなどの問題が生じることがある。
ポリエステルフィルムに塗布剤組成物を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレイコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗布方法を用いることができる。
塗布剤組成物のフィルムへの塗布性、密着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムに関して、例えば、タッチパネル用等、長時間、高温雰囲気下に晒された後であっても、高度な透明性が要求される場合がある。かかる観点より、タッチパネル用部材として使用するためには、室温時における熱処理前のヘーズ(H)および熱処理(150℃、90分間)後のヘーズ(H)は、いずれも1%以下が好ましく、0%以上或いは0.8%以下がより好ましい。
また同様の理由により、熱処理(150℃、90分間)前後におけるヘーズ変化量(ΔH=H−H)は0.5%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0%以上或いは0.1%以下がよい。ΔHが0.5%を超える場合にはヘーズ上昇に伴い視認性が低下し、例えば、タッチパネル用等、高度な視認性が必要とされる用途に不適当となる場合がある。なお、ΔHが小さいほど、オリゴマーの析出が少ないことを示す。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向(MD)の収縮率SMDが0.05%〜0.25%であり、好ましくは0.23%〜0.05%、より好ましくは0.20%〜0.05%である。
前記収縮率SMDが0.25%より大きいと、積層ポリエステルフィルムの耐熱性が不十分となるだけでなく、貼りあわせた耐熱性フィルムとの収縮率差が大きくなるため、高温環境下で長時間加工が実施された際に剥がれが生じる。一方、前記収縮率SMDが0.05%未満である場合、耐熱性フィルムよりも収縮率が小さくなるため、加工後のカール方向が逆転し、不具合を生じる。
また本発明の積層ポリエステルフィルムは、150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向と直交方向(TD)の収縮率STDが−0.05%〜0.05%であり、好ましくは−0.04%〜0.04%、より好ましくは−0.03%〜0.03%である。
前記収縮率STDが規定した範囲から外れる場合、積層ポリエステルフィルムの耐熱性が不十分になるだけでなく、耐熱性フィルムとの貼合時に幅変化が大きくなり不具合を生じる。
本発明において、前記収縮率を調整(最適化)するためには、アニール処理を行うのが好ましい。アニール処理に関しては、公知の手法を採用することが可能であるが、中でもオフラインアニールがより好ましい。アニールの温度範囲は160〜200℃が好ましく、より好ましくは165〜195℃であり、さらに好ましくは、170〜190℃である。
アニール処理時間は、1〜30秒が好ましく、より好ましくは3〜20秒であり、さらに好ましくは5〜15秒である。フィルム走行速度は10〜300m/minが好ましく、また、フィルムの搬送時における、フィルム張力は1kg〜10kg/フィルム幅が好ましく、より好ましくは1kg〜7kg/フィルム幅であり、さらに好ましくは1kg〜5kg/フィルム幅である。
またアニールに関しては、一旦製造したフィルムを系外で再度熱入れする、いわゆるオフラインアニールを採用してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、更に金属層が設けられていてもよい。積層ポリエステルフィルムにおける金属層の位置は限定されないが、架橋剤を含有する塗布層の表面に設けることが好ましく、導電膜として好適である。
本発明において、金属層を設ける場合、金属としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体やニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)を使用することもできる。中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等を考慮して、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀および銅が好ましい。さらに好ましくは、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀および銅であり、最も好ましくは、銅(酸化銅も含む)である。また、金属層は単層であっても、異なる金属が2層以上積層した積層構造であってもよい。
本発明において、金属層の厚みは特に限定されないが、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは10nm〜300nmである。金属層の厚みが5nm未満の場合、金属層にクラックが入り易い場合がある。一方、金属層の厚みが500nmを越える場合、金属層形成に長時間を要し、コストがかかる傾向にある。
本発明において、塗布層上への金属層形成方法については、従来から公知の手法を採用することができる。具体的には、蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されるのが好ましく、特にスパッタリング法により形成されるのが好ましい。前記方法は2種類以上を組合せて用いることもできるし、いずれかの方法を単独で用いることもできる。
蒸着法(真空蒸着法)は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより塗布層上に金属層の形成を行うことが好ましい。
スパッタリング法は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により、塗布層上に金属層の形成を行うことが好ましい。
イオンプレーティング法は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、グロー放電雰囲気下で、金属を加熱蒸発させ、イオン化した蒸発金属により塗布層上に金属層形成を行うことが好ましい。
パターン化においては、従来公知の技術を用いて実施することができる。例えば、特開2014−150118号公報に記載がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステル原料の極限粘度(固有粘度)
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステル原料のオリゴマー(エステル環状三量体)含有量
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の体積比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの体積比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させた。前記乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所社製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、オリゴマー含有量(重量%)とした。DMF中のオリゴマー含有量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積とのピーク面積比より求めた。(絶対検量線法)
(3)平均粒径(d50)
遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型(島津製作所社製)を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定し、平均粒径を求めた。
(4)フィルム厚み
積層ポリエステルフィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、積層ポリエステルフィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。前記断面のうち積層ポリエステルフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値をフィルム厚みとした。
(5)塗布層厚み
包埋樹脂で積層ポリエステルフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料フィルムを調整した。得られた試料フィルムを、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。試料フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を塗布層厚みとした。
(6)収縮率(SMD、STD
試料フィルムのそれぞれのMD、TDの収縮率について、試料フィルムを無張力状態で所定の温度(150℃)に保ったオーブンで90分間熱処理し、その熱処理前後の試料フィルムの長さを測定。下記式にて収縮率を算出した。
収縮率=[{(熱処理前の長さ)−(熱処理後の長さ)}/(熱処理前の長さ)]×100
(7)ヘーズ(H
室温環境下で、試料フィルムをJIS K7136に準じ、村上色彩研究所製「HM−150」により、ヘーズを測定した。
(8)熱処理後のヘーズ(H
試料フィルムを所定の熱処理条件(150℃、90分間)で処理した後、(7)項と同様にして、ヘーズを測定した。
(9)ヘーズ変化量(ΔH)
(7)項と(8)項の測定値より、試料フィルムのヘーズ変化量(ΔH=H−H)を算出した。ΔHが低いほど、高温処理によるオリゴマーの析出が少なくて良好であることが示唆される。
(10)透明導電膜積層の工程汚染評価(実用特性代用評価)
試料フィルムの片面に、アルゴンガス95体積%と酸素ガス5体積%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚み25nmのITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は150℃で1時間の加熱処理により結晶化させた。ロール搬送をイメージして、得られた前記フィルムを3インチφの鉄製の棒に擦り付けた時のオリゴマーの付着の状態から、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:金属棒にオリゴマーの付着がほとんどみられない(実用上、問題ないレベル)
×:金属棒にオリゴマーの付着が多く見られる(実用上、問題あるレベル)
(11)金属密着性(実用特性代用評価)
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚み20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬して、12mm幅に酸化銅層が残るようにエッチング処理してサンプルを作製した。得られたサンプルは150℃、90分間の加熱処理により結晶化させ、85℃、85%RHの条件に保たれた恒温槽の中に48時間入れた。
恒温槽に投入後のサンプルは、次に、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、JIS C 5016に定めるように、90°方向での引っ張り試験を行い、金属層に対する密着力を測定し、下記判定基準により、判定を行った(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて測定を行い、下記判定基準により、判定を行った。金属層に対する密着力を測定。下記判定基準により、判定を行った。なお、両面とも金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にてそれぞれの面の測定を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
〇:密着力が0.5N/mm以上(密着性は非常に良好、実用上問題ないレベル)
△:密着力が0.2N/mm以上0.5N/mm未満(密着性は良好、実用上問題になる場合があるレベル)
×:密着力が0.2N/mm未満(密着性は不良、実用上問題あるレベル)
(12)耐熱性フィルムと貼合後の加熱試験(耐熱性の実用特性代用評価)
試料フィルムにシリコーン系粘着剤を塗布し、耐熱性フィルム(ポリイミド)を貼り合わせた。貼り合わせ後、150℃に保ったオーブンで90分間熱処理し、剥がれの有無を確認した。その後10cm四方に切り出し、耐熱性フィルムを下にして、水平な机の上に置き、各頂点の机からの高さの測定を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:剥がれがなく、かつ、各頂点の机からの高さが10mm以下。
×:剥がれがあり、いずれかの頂点の机からの高さが10mmより大きく、耐熱性フィルム側へカール。これらの現象のうちいずれか一つ以上が発生。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
[ポリエステル(I)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。さらに4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物は重縮合槽に移して、4時間重縮合反応を行った。重縮合反応の際、温度は230℃から280℃へ徐々に昇温する一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。重縮合反応開始後、重縮合槽の攪拌動力の変化により、極限粘度が0.55に相当する時点で重縮合反応を停止し、窒素加圧下でポリマーを吐出させ、極限粘度が0.59dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.89重量%のポリエステル(I)を得た。
[ポリエステル(II)の製造方法]
ポリエステル(I)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度が0.72dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.46重量%のポリエステル(II)を得た。
[ポリエステル(III)の製造方法]
ポリエステル(I)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒径0.3μmの酸化アルミニウム粒子を含有量が1.5重量%となるように添加する以外は同様にして製造して、ポリエステル(III)を得た。得られたポリエステル(III)は、極限粘度が0.59dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.87重量%であった。
〈塗布層〉
本実施例で塗布層に使用した化合物は下記の通りである。
(A1):メラミン化合物(ヘキサメトキシメチロールメラミン)
(A2):オキサゾリン化合物(エポクロスWS−300(日本触媒社製)、オキサゾリン基量:7.7mmol/g)
(A3):オキサゾリン化合物(エポクロスWS−700(日本触媒社製)、オキサゾリン基量4.5mmol/g)
(A4):エポキシ化合物(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)
(B1):下記の方法で作製したポリエステルポリウレタン水分散物
(B2):ポリビニルアルコール(けん化度:88モル%、重合度:500)
(C1):メラミン系架橋触媒(2−アミノ−2−メチルプロパノールハイドロクロライド)
(D1):4級アンモニウム塩基含有ポリマー(2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー、対イオン:メチルスルホネート、数平均分子量:30000)
(F1):平均粒径0.07μmのシリカ粒子
(F2):平均粒径0.02μmのアルミナ変性シリカ粒子
前記ポリエステルポリウレタン水分散物(B1)は、以下の製造方法によって作製した。
本発明では、テレフタル酸315重量部、イソフタル酸299重量部、エチレングリコール74重量部、およびジエチレングリコール265重量部を成分とするポリエステルポリオール(B1a)を用いた。前記ポリエステルポリオール(B1a)953重量部、イソホロンジイソシアネート267重量部、エチレングリコール56重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させることで、ポリエステルポリウレタン水分散物(B1)を得た。(濃度:23重量%、25℃での粘度:30mPa・s)
実施例1:
前記ポリエステル(II)、(III)をそれぞれ99重量%、1重量%の割合で混合した混合原料をa層の原料とし、ポリエステル(I)100重量%の原料をb層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、a層を両外層、b層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(a層/b層/a層)で厚み構成比がa層:b層:a層=2:19:2になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃でフィルムの走行方向(MD)に3.3倍延伸した後、下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層1を乾燥後の塗布層厚みが片面で0.04μmとなるように、フィルム両面に塗布した後に、テンターに導き、フィルムの走行方向と直交方向(TD)に120℃で5.1倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に弛緩し、フィルムをロール上に巻き上げ、フィルム幅1000mm、巻長さ6000m、塗布層厚み50μmが設けられた積層ポリエステルフィルムを得た。
一旦製造した積層ポリエステルフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、50m/minのフィルム搬送速度で、190℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した。
実施例2〜10:
下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層を変更する以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例11〜13:
実施例2において、フィルム厚みを変更する以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例1:
実施例2において、オフラインアニールを実施しないという以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例2:
実施例2において、オフラインアニール時の加工速度を5m/minに変更する以外は実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例3〜6:
下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層を変更する以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各積層ポリエステルフィルムの物性を下記表2〜3に示す。
Figure 0006772763
Figure 0006772763
Figure 0006772763

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、当該塗布層は、架橋剤を不揮発成分全体に対して70重量%以上含有する塗布剤から形成された層であり、前記架橋剤としてメラミン化合物及び/またはオキサゾリン化合物を含有し、かつ、
    150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向(MD)の収縮率SMDが0.05%〜0.25%およびフィルムの走行方向と直交方向(TD)の収縮率STDが−0.05%〜0.05%であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量が0.5〜10mmol/gであることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記塗布層上に金属層がさらに積層されてなること特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステルフィルムとして、160〜200℃でオフラインアニールする工程を経て得られたものを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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