JP5760804B2 - ポリエステル樹脂成形フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂、金属、ガラスなどの製品への機能、情報、意匠の付与(即ち、装飾)の際に、その製品の外観に沿った形状に賦形されるポリエステル製の成形フィルムに関する。該装飾を製品に転写、あるいは、該装飾とともに一体化するために適用されるポリエステル製の成形フィルムに関する。特に、低い温度、及び、低い圧力における賦形性と平面性に優れたポリエステル樹脂の成形フィルムに関する。更に、ガラスへの貼り合わせに好適なポリエステル樹脂の成形フィルムに関する。
樹脂、金属、ガラスなどの製品に機能、情報、意匠の付与、即ち、装飾を施す加飾方法として、高硬度層、金属層、図柄層などの機能、情報、意匠を付与する装飾層、ならびに、必要に応じて、製品と一体化するための接着層を順次に形成したものを、剥離機能を設けた剥離フィルムに敷設して、製品に転写する方法(以下、転写法と称す)と該装飾層を設けた加飾フィルムを製品と接着して一体とする方法(以下、一体化法と称す)がある。
これらの剥離フィルム、ならびに、加飾フィルムに適用される成形フィルムは成形温度付近において、流体減圧、流体加圧、型による固体加圧などにより賦形されるため、柔軟性が重要である。一方、装飾層を敷設する際に、その加工工程の安定性の得るため、室温付近における剛直性も求められる。
成形フィルムに求められる、上記のような剛直性と柔軟性の両立に対して、ポリエステル樹脂などを対象に、(1)延伸などによって樹脂の分子配向を高くしたり、(2)ガラス転移温度が高くなる酸成分やアルコール成分を共重合した高分子を適用したり、(3)厚み方向に対して表層に硬い層を配置することなどにより剛直性を制御したり、(4)厚みの低減やガラス転移温度が低くなる酸性分やアルコール成分を共重合したポリエステル樹脂を適用して柔軟性を確保するなどの技術が検討されてきた(特許文献1〜4)。
本発明者らも、剛直性と柔軟性の両立に対して、特定した組成の共重合したポリエステル樹脂を原料とし、かつ、フィルムの100%伸張時応力を特定化する方法を提案している(特許文献5〜6)。
上記のような成形フィルムは、ガラス製品に対する熱遮断性、耐飛散性、視線遮断性などの機能性を付与することが期待され、一般的なホモのポリエステル樹脂を使用した延伸フィルムやホモのポリエステル樹脂と共重合したポリエステル樹脂を積層した延伸フィルムなどが提案されている(特許文献7〜10)。
しかし、ガラスへの貼り合わせに関しては成形温度付近で発生するシワやゆがみなどの平面性の不良や成形フィルム内部の層間はく離などの課題があった。
更に、ガラスへの貼り合わせに関しては、ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物による膜などを介して、接着させる際には、上記のような成形フィルムは延伸により結晶配向性を有するため、充分な接着性を得ることが困難であった。
特開平07−196821号公報 特開平07−237283号公報 特開2004−009596号公報 特許4069686号公報 特開2001−347565号公報 特開2004−075713号公報 特開平06−190995号公報 特開平06−190997号公報 特開平10−076620号公報 特開2005−186613号公報
樹脂、金属、ガラスなどの製品に加飾を行なうために、一般的に薄く、柔軟性を有する成形フィルムを使用する場合、成形温度付近でフィルムにシワやゆがみなどの平面性の不良が発生するという問題がある。これは金属調、パール調や高光沢などの高度な機能性、意匠性をガラス製品に付与することを妨げるため、解消すべき課題であった。
また、成形フィルムのガラスへの貼り合わせにはポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物(以下、これらを総称して「ポリビニルアルコール化合物等」と表現する場合もある。)の膜などを介して一般的に実施される。しかし、成形フィルムは延伸により結晶配向性を有するため、ポリビニルアルコール化合物等の膜を介してガラス製品の表面と充分な接着性を得ることは困難で、たとえ、充分な接着性を得たとしても、フィルム内部の層間はく離が発生する課題があった。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。即ち、本発明は、ガラス製品の表面に貼り合わせられる際に、シワやゆがみなどの発生が少なく、高い平面性を奏し、且つ、充分な密着性を有する、優れた成形フィルムを提供することを目的とする。更に、本発明は、優れた成形性を有するための成形温度における柔軟性に加えて、加工工程においてフィルム材料が滑らかに通過する適度な剛直性を兼ね備えた成形フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
発明の第一は、ポリエステル樹脂フィルムの少なくとも片面に易接着層を有しており、該易接着層がポリエステル系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)と架橋剤(C)を含有する塗布液から形成される層であり、該ポリエステル系樹脂(A)の酸価が20KOHmg/g以下であり、該ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が60〜85モル%であり、該ポリエステル樹脂フィルムの弾性率が30℃で1,000MPa以上であり、100℃で2,200MPa以下であり、150℃の熱収縮率MD+TDが2%以上であることを特徴とする成形用フィルムである。
発明の第二は、該ポリエステル樹脂フィルムが、少なくとも一層からなり、いずれの層も共重合ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の成形用フィルムである。
発明の第三は、該易接着層における該ポリエステル系樹脂(A)が5−スルホイソフタル酸成分をジカルボン酸成分中1〜15モル%含有することを特徴とする請求項1〜2に記載の成形用フィルムである。
発明の第四は、該易接着層における該架橋剤(C)がイソシアネート化合物、又は、メラミン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形用フィルムである。
発明の第五は、該易接着層におけるポリエステル系樹脂(A)、および、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、および、架橋剤(C)の質量比が以下の式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形用フィルムである。
0.8≦(A)/(B)≦ 5
2≦((A)+(B))/(C)≦50
本発明の易接着層を有するポリエステル樹脂フィルムは、所定の弾性率及び熱収縮率を有することにより、成形性に優れ、樹脂、金属、ガラスなどの製品の表面形状に、シワやゆがみを生じることなく追従することができる。よって本発明のポリエステル樹脂フィルムは、樹脂、金属、又はガラス製品等に、機能、情報、又は意匠を付与するための装飾に極めて適している。
また、本発明のポリエステル樹脂フィルムは、所定の弾性率を有することにより、本発明の成形用フィルムは適度な剛直性を有するため、加工工程において優れた通過性を有する。ここで、加工工程の通過性が優れるとは、フィルムでガラス等の大きな面積を修飾する場合、ロールツーロール加工(又は巻取)が通常採用され、多くの駆動ロール及び自由ロールをフィルムが通過することになるところ、通過中に蛇行やシワの発生等の問題が生じないことを意味する。
更に、本発明の成型用フィルムは、少なくともその片面に、ポリビニルアルコール化合物等の層との接着性に極めて優れた易接着層を有する。よって、本発明のポリエステル樹脂フィルムは、その易接着層の存在により、ガラス製品の表面上に設けられるポリビニルアルコール化合物等の層を介してガラス製品との接着性に優れている。
このように本発明のポリエステル樹脂フィルムは、優れた成形性ないし追従性、接着性、及び通過性を備え、これらの効果を互いに阻害することなく相乗的に発揮することが可能であるため、各種ガラス製品(例えば、自動車用、家庭用電化製品、携帯電話用、パーソナルコンピューター用などの部材)を装飾又はコーティングための使用に効果的である。本発明のポリエステル樹脂フィルムを用いてガラス製品を装飾することにより、ガラス製品に飛散防止性や遮熱性等の機能を付与することや意匠性を高めることが可能である。
(ポリエステル樹脂フィルム)
本発明のポリエステル樹脂成形フィルムは賦形に必要な柔軟性(成形性)と装飾層などの加工工程に耐える剛直性(形態安定性)を有している。この特性は各温度におけるフィルムの弾性率を制限することで得られる。即ち、形態安定性を示す30℃での弾性率が小さい場合、装飾層などを設ける工程で面内方向のひずみが生じ、平面性の確保が困難になる。そのため、30℃での弾性率は1,000MPa以上とすることが望ましく、1,500MPa以上とすることがより好ましく、2,000MPa以上とすることがさらに好ましく、3,000MPa以上とすることがよりさらに好ましい。なお、30℃での弾性率が大きいと装飾層などを設ける工程で、ロールなどに沿い難くなるなどの問題が生じることがあり、そのため、30℃での弾性率は8,000MPa以下が好ましく、7,000MPa以下がより好ましく、6,000MPa以下が更に好ましく、5000MPa以下がより好ましい。
一方、成形性を示す100℃の弾性率が大きい場合、形状付与に必要な柔軟性が損なわれる。そのため、100℃での弾性率は2,200MPa以下とすることが望ましく、2,000MPa以下とすることが好ましく、1,800MPa以下とすることがより好ましい。なお、100℃での弾性率が小さい場合、加工工程通過時の張力によるゆがみや蛇行が生じることがあり、そのため、100℃での弾性率は10MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましく、100MPa以上が更に好ましい。
加飾した成形フィルムを製品と接着して一体とする一体化法において、特に、意匠、機能を有効に発現させるには、透明性が重要な場合が多い。このような場合、適用する易接着層による影響、付与する加飾層の影響などを考慮する必要はあるが、基本的には、ポリエステル樹脂フィルムは、そのヘーズが2.0%以下であることが好ましく、更に、好ましくは1.5%、更に、好ましくは1.0%以下であることが望ましい。
ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物による厚い粘着層を介した貼り合わせの際は、その粘着層の複雑な伸縮や流動によるものと憶測する要因により成形フィルムの平坦が損なわれる。このような問題を回避するため、ポリエステル樹脂フィルムは、150℃の熱収縮率の縦方向(MD)と横方向(TD)の和が2%以上にすることが好ましく、2.5%以上が更に好ましい。150℃の熱収縮率の縦方向(MD)と横方向(TD)の和の上限は14%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、更に好ましくは8%である。なお、150℃の熱収縮率の縦方向(MD)と横方向(TD)は、各々については、印刷位置のズレなどを考えると0〜7%であることが好ましく、0〜5%であることがより好ましい。このような所定の熱収縮率を有するポリエステル樹脂フィルムは、従来から知られる方法に基づいて、フィルムを熱処理する際の緊張・弛緩熱処理を調整することによって得ることができる。
また、本発明のポリエステル樹脂成形フィルムの物性を上記の範疇に制御するには、構成するポリエステル系樹脂の配合比や延伸による分子配向制御などが好ましい。具体的な様態を以下に示す。
本発明のポリエステル樹脂成形フィルムに使用するポリエステル樹脂は、一般的なジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とからなる樹脂であり、ジカルボン酸構成単位に適したモノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の飽和脂環族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ジオール構成単位に適したモノマーとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール類やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテル化合物類、また、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノールなどの脂環族ジオール類、更に、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)などのビスフェノール類、及び、前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。加えて、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、及び、前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物などや環状アセタール骨格を有するジオールなども挙げられる。
上記のポリエステル樹脂おいて、ジカルボン酸構成単位として芳香族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体が汎用性の観点から好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸類、又は、それらのエステル形成性誘導体が好適である。全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸、及び/又は、イソフタル酸、及び/又は、ナフタレンジカルボン酸類の配合割合は、他のポリエステル系樹脂と混合する場合の相溶性などの観点から70mol%以上、好ましくは85mol%以上、特に好ましくは95mol%以上が好ましい。
また、上記のポリエステル樹脂において、ジオール構成単位としては、汎用性の観点から、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール類が好ましく、分岐状脂肪族グリコールであるネオペンチルグリコールと脂環族グリコールである1,4−シクロヘキサンジメタノールの適用が透明性、成形性の観点から好ましく、全ジオール成分中に10〜60mol%が好ましく、15〜50mol%が特に好ましい。更に、これらのジオール構成単位に加えて、1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを適用することが成形性の観点から望ましく、全ジオール成分中に70mol%以上が好ましく、特に好ましくは90mol%以上が好ましい。
また、このようなポリエステル樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類やトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸を原料モノマーとして用いることができ、更に、必要に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤、光安定化剤、ワックス類などの添加剤を含むことができるが、一体化においては、意匠性の観点から、透明性が損なわれることを避けることが好ましい場合は、透明性を損なうような粒子は添加しないことが好ましい。
好ましい実施形態において、本発明のポリエステル樹脂フィルムは共重合ポリエステル樹脂である。共重合ポリエステルは、上述のようなポリエステルに第三成分を共重合成分として共重合した共重合ポリエステル又は2種類以上のホモポリエステルをブレンドして得ることができる。共重合ポリエステル樹脂フィルムの弾性率を制御する観点から、例えば、テレフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする場合は、それ以外の第三成分を好ましくは3〜50mol%、より好ましくは4〜30mol%、さらに好ましくは5〜20mol%含むことが好ましい。
前記第三成分は、得られる共重合ポリエステル樹脂フィルムの弾性率及び熱収縮率が所望の範囲である限り特に限定されないが、ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の飽和脂環族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体などが挙げられ、これらから成る群より選択される1種以上を適宜選択して使用することができる。
同様に第三成分として用いられる好適なジオール成分としては、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールが挙げられ、これらから成る群より選択される1種以上を適宜選択して使用することができる。特に、分岐状脂肪族グリコールであるネオペンチルグリコールや脂環族グリコールである1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。更に、これらのジオール構成単位に加えて、1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを適用することが成形性の観点から望ましい。
ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートなどのホモポリエステルとをブレンドしたものを用いることで、共重合ポリエステルを含んだ状態を実現できるが、未溶融物が輝点として生じやすいので、共重合ポリエステルを使用することが好ましい。
また、弾性率の制御や加飾における印刷性や耐溶剤性などの観点から、上記のような共重合ポリエステルを含んだポリエステル樹脂を使用して、例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成の積層構造にすることができる。この場合、各層におけるジカルボン酸構成単位、及び/または、ジオール構成単位の量の差異が大きいと層間のはく離が生じる易くなる。そのため、各層におけるジカルボン酸構成単位及び又はジオール構成単位の量の差は、8mol%以下であることが好ましく、より好ましくは5mol%以下である。なお、ホモのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどホモポリエステルの層が存在すると賦形時に白化が発生するが、共重合ポリエステルを含む層で構成することで白化を抑制することができる。
ポリエステルフィルムが2層以上の構造を有する場合は、全ての層が共重合ポリエステル樹脂を含有することが成形性及び加工通過性に優れたフィルムを得るという観点から好ましい。
このようなポリエステル樹脂成形フィルムは層構成や層構造によるが、ガラス転移温度が低いと熱ジワなどにより平面性を損ない易くなり、装飾層を敷設することが困難になり、高いと立体的形状に対する追従が困難になる。そのため、ガラス転移温度としては、40〜100℃が好ましく、45〜90℃がより好ましく、更に、60〜90℃が好ましい。
加えて、ポリエステル樹脂フィルムの融点は低いと立体的形状に追従させる際の加熱により破断などが生じることがあり、高いと押出しでの温度を高くする必要が生じ、設備の負荷が大きくなる。そのため、融点としては、200〜270℃が好ましく、200〜260℃がより好ましい。
なお、装飾層などを設ける際の加工工程での熱ジワなどを抑制する観点から、ポリエステル樹脂フィルムの100℃における単位幅1mmあたりの断面二次モーメントIと弾性率Eの積である剛性EIが0.01N・mm以上であることが好ましく、0.05N・mm以上であることがより好ましく、0.1N・mm以上であることがさらに好ましい。剛性を上記範囲に制御するために、基材の厚みは、10〜150μmが好ましく、15〜125μmがより好ましく、20〜100μmがさらに好ましく、20〜75μmがよりさらに好ましく、20〜65μmがさらにより好ましい。
(易接着層)
本発明のポリエステル樹脂フィルムは、少なくとも片面に易接着層を有する。
易接着層としては、特に、ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物との接着性をも確保するため、ポリエステル系樹脂、及び、ポリビニルアルコール系樹脂、及び、架橋剤を含有する樹脂を適用することが有効である。
(易接着層:ポリエステル系樹脂(A))
接着層に用いるポリエステル系樹脂としては、分岐したグリコール成分を構成成分とする共重合ポリエステル樹脂が好適である。分岐を有するグリコール成分としては、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが例示でき、これら以外のグリコール成分としてはエチレングリコールであることが好ましい。
十分な接着性を発揮するという観点から、上記の分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中において、少なくとも10モル%以上存在することが好ましく、20モル%以上存在することがより好ましい。分岐を有するグリコール成分が、比較的少量存在する場合は、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4シクロヘキサンジメタノールなどが同時に存在しても良い。
また、上記の共重合ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、および、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチルが好ましく、少量であれば、ジフェニルカルボン酸、2,6−ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸を加えても良く、これらで構成することで、前述のフィルムと類似した構造、性質を有することができ、ポリエステル樹脂層との接着性の確保が可能となる。
更に、上記の易接着層に用いるポリエステル系樹脂は、後述のポリビニルアルコール系樹脂との相溶性の点から水溶性、もしくは、水分散性樹脂を使用することが好ましい。
ポリエステル系樹脂の水溶性化、あるいは、水分散化のためには、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基などの親水性基を含む化合物を共重合させることが好ましいく、ポリエステル系樹脂の酸価を低く保持して架橋剤との反応性を制御しながら親水性を付与するという観点から、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が好適である。
このようなスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸、および、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、または、そのアルカリ金属塩を挙げることができ、その中でも、5−スルホイソフタル酸が好ましい。なお、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分は、その存在量が多いとポリエステル系樹脂の水溶性、あるいは、水分散性が低下し、また、少ないと前述のフィルムとの接着性が低下するので、ポリエステル系樹脂のジカルボン酸成分中において、1〜15モル%が好ましく、1.5〜12モル%がより好ましく、2〜10モル%が望ましい。
接着層に用いるポリエステル系樹脂としては、カルボン酸基が多いと、後述の架橋剤との反応が進み、接着性が低下するので、ポリエステル系樹脂の酸価は20KOHmg/g以下が好ましく、15KOHmg/g以下がより好ましく、10KOHmg/g以下が更に好ましく、8KOHmg/g以下が望ましく、5KOHmg/g以下がより望ましい。
上記のような範囲にポリエステル系樹脂の酸価を制御するためには、水溶性化、あるいは、水分散化のためのカルボン酸塩基の導入量を少なくしたり、カルボン酸塩基以外の親水性基を適用したり、ポリエステル系樹脂のカルボン酸末端濃度を低くすることが好ましい。ポリエステル系樹脂のカルボン酸末端濃度を低くする方法としては、カルボン酸末端基を末端修飾したポリエステル系樹脂を採用したり、数平均分子量が大きなポリエステル系樹脂を採用することが好ましい。このような観点からカルボキシル基を二つ以上有する化合物の具体的な数平均分子量としては、5000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、10000以上が更に好ましい。また、ポリエステル系樹脂を構成成分としてカルボキシル基を3つ以上有する酸成分の含有量を低くすることが好ましい。
このようなポリエステル系樹脂のガラス転移温度は低いとブロッキングが発生しやすくなり、高いと接着性が低下する。このような観点から易接着層中のポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、20〜90℃であることが好ましく、30〜80℃であることがより好ましい。
なお、易接着層中におけるポリエステル系樹脂の含有量は低いと上述する成形性ポリエステル樹脂フィルムとの接着性が低下し、高いとポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物などとの接着性が低下するため、40質量%以上90質量%以下が好ましく、45質量%以上85%質量%以下がより好ましく、50質量%以上80質量%以下が望ましい。
(易接着層:ポリビニルアルコール系樹脂(B))
接着層に用いるポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定されないが、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたポリビニルアルコール、ならびに、その誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のけん化物、ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。前記の単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体などが挙げられ、これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良いが、これらの中でもビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましく、その重合度は、特に、限定しないが、塗布時の液粘性より3000以下であることが好ましい。
上記のポリビニルアルコール系樹脂の共重合比率であるけん化度は高いと前述のポリエステル系樹脂との相溶性に問題が生じやすくなり、低いと後述の架橋剤との反応が行なわれないなどの課題が生じやすくなるので、60モル%以上85モル%以下が好ましく、65モル%以上83モル%以下がより好ましく、68モル%以上80モル%以下が更に好ましく、70モル%以上80モル%未満がより好適であり、71モル%以上78モル%以下が更に好適であり、73モル%以上75モル%以下が望ましい。
なお、易接着層中におけるポリビニルアルコール系樹脂の含有量が高いとフィルムとの接着性が低下し、低いとポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物との接着性が低下するため、10質量%以上60質量%以下が好ましく、15質量%以上55%質量%以下がより好ましく、20質量%以上50質量%以下が更に好ましい。
(易接着層:架橋剤(C))
接着層に用いる架橋剤としては、水酸基と架橋性を有するものであれば特に限定されないが、メラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等の化合物が挙げられる。これらの中でも、塗布液の経時安定性の点からメラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系の化合物が好ましく、官能基として水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂とより好適に架橋構造を形成すると考えられるメラミン系化合物、もしくは、イソシアネート系化合物が好ましい。これらの架橋剤は、当該技術分野において公知の架橋剤を適宜選択して使用することができる。また、架橋反応を促進する触媒などを必要に応じて使用しても良い。
上述のメラミン系化合物としては、置換基 −(CH)n−O−R(式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)で置換されたメラミン系化合物が挙げられ、前記式中のRは好ましくはメチルである。1つのメラミン構造が有する上記置換基の数は好ましくは3〜6である。なお、メラミン系化合物の具体例としては、住友化学社製スミテックスレジンシリーズのM−3、MK、M−6、M−100、MC等や株式会社三和ケミカル社製メチル化メラミン樹脂MW−22、MX−706、MX−042等が挙げられる。
イソシアネート系化合物としては、低分子、または、高分子のジイソシアネート、もしくは、3価以上のポリイソシアネートを用いることができる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体があるが挙げられる。更に、これらのイソシアネート系化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる高分子の末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができ、更に、易接着層の塗布液の経時安定性を考慮すると、ブロック化イソシアネート系化合物を添加することも好ましい。
ブロック化イソシアネート系化合物は上記のイソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の方法より付加反応させて調製することで得られ、ブロック化剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類、アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダなどが挙げられる。
なお、易接着層中におけるポリビニルアルコール系樹脂の含有量が高いとフィルムとの接着性が低下し、低いと前述のポリビニルアルコール系樹脂の架橋形成が少なくなるので、2質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40%質量%以下がより好ましく、8質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
易接着層を構成するポリエステル系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)の配合比(A)/(B)は低いとフィルムとの接着性が低下し、高いとポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、および、その共重合物、ならびに、そのケン化物との接着性が低下するため、1.5〜5であることが好ましく、1.5〜4であることがより好ましく、2〜4が更に好ましく、2.5〜3.5であることが望ましい。
また、ポリエステル系樹脂(A)、及び、ポリビニルアルコール系樹脂(B)と架橋剤(C)の配合比((A)+(B))/(C)は低いと全般的に接着性が低下し、高いと同様に接着性が低下するので、5〜40であることが好ましく、8〜30であることがより好ましい。
易接着層は上記組成を採用することで、ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、及びその共重合物、ならびにそのケン化物に対して、高い接着性を示す。そのため、ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルブチラール化合物、酢酸ビニル化合物、及びその共重合物、ならびにそのケン化物等の膜を介して、ガラスと良好に張り合わせることができる。具体的には、後述の接着性試験による水系接着剤に対して1回剥離後の残存面積が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%であり、5回連続剥離後の残存面積が好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上であり、10回連続剥離後の残存面積が好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは93%以上、特に好ましくは95%である。
(添加剤など)
本発明の易接着層中には、効果を阻害しない範囲において、界面活性剤、酸化防止剤、触媒、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機、または、無機の粒子、帯電防止剤、核剤などの公知の添加剤を付与して良い。
特に、易接着層によるブロッキングを防止する上で、易接着層に粒子を添加することが好ましく、含有させる粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど、あるいは、これらの混合物、更に、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムなどの無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系などの有機ポリマー系粒子などを単独、あるいは、併用することが挙げられる。
上記の場合、易接着層における粒子のSEMによる個数基準の平均粒径(以下、平均粒径と称する)は、小さいとフィルム表面の凹凸形成が不充分となり、ブロッキング防止や滑り性に対する効果が小さくなり、大きいと粒子の脱落による問題が生じやすくなるので、0.04〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmが更に好ましい。また、粒子の濃度に関しても、低いとブロッキング防止や滑り性に対する効果が小さくなり、高いと透明性を損なうので、易接着層としての固形成分中において、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
また、易接着層の厚みは小さいと接着性が不充分になることがあり、大きいとブロッキングを生じやすくなるので、0.01〜1.00μmの範囲が好ましく、0.02〜0.80μmがより好ましく、更に、0.05〜0.50μmが望ましい。
ポリエステル樹脂フィルムの製造方法
本発明のポリエステル樹脂フィルムは、公知の手法に準じて製造することが可能である。まず、前記のポリエステル系樹脂の1種類以上を押出してシート状物を得る。なお、この際に、固有粘度の異なる同種のポリエステル系樹脂、種類の異なるポリエステル系樹脂などをコンバイニングアダプタ法、マルチスロット法、マルチマニホールド法などの公知の方法で、例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成などの積層構造にすることが可能である。
次に、特に方式は限定されないが、該シート状物を機械方向1.6〜4.2倍、及び/又は、幅方向1.6〜4.2倍に延伸した後、寸法安定性などを主な目的に熱処理を行なってフィルム状の基材を得ることができる。フィルムに配向性を付与することでフィルム加工時において、より好適に形態の安定化をはかることができる。なお、具体的な方法としては、該シート状物をガラス転移温度の+10℃〜+50℃の温度範囲で縦方向(MD)に延伸した後、該温度範囲に対して、−20℃〜+15℃の温度範囲で横方向(TD)に延伸するMD/TD法を用いた後、融点の−5℃〜−30℃の温度範囲で熱処理を行ないフィルム状の基材を得る。なお、熱処理にあたっては、緊張熱処理、あるいは、弛緩熱処理なども選択できる。また、延伸方式に関しては、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式もあるが、長手方向、及び、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましく、延伸倍率に関しては必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸を行なってもよい。
得られたポリエステル樹脂フィルムに上述の易接着層を設ける方法は、特に限定されず、公知手法に従って実施することができる。例えば、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、延伸後に熱処理を行なった段階で塗布する方法が可能であるが、中でも、フィルムの配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも一方向に延伸した後、フィルムの配向を完了させるインラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい。
次に本発明の実施例、比較例、及び、測定法・評価法を以下に示すが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
(測定法・評価法)
(1)固有粘度([η])
JIS K 7367−5「プラスチック―毛細管形粘度計を用いた希釈溶液の粘度の求め方―第5部:熱可塑性ポリエステル(TP)ホモポリマー及びコポリマー」に準拠して得た粘度数に対して、下記の測定条件で、溶液の質量濃度 c に対する粘度数の関係を導き出し、質量濃度c=0としたときの値を固有粘度[η]とした。
溶媒:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40(wt%)
管 :ウベローデ粘度管
温度:30±0.1(℃)
(2)転移温度(Tm、Tg)
JIS K 7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠した示差走査熱量測定(DSC)のDSC曲線より得られる融解ピーク温度を融解温度(Tm)、中間点ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(3)樹脂組成のモル比
樹脂を重クロロホルムに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析による各樹脂組成の積分値の比をモル比として求めた。
(4)酸価(AV)
JIS K 0070「化学製品の酸価、けん価、エステル価、ヨウ素価、水酸基価および不けん価物の試験方法」の(3.1)中和滴定法に準拠し、樹脂中のカルボキシル基を中和するのに必要なKOHの量を酸価(AV)とした。
(5)けん化度
JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準じて、水酸化ナトリウムを用いたポリビニルアルコール樹脂の残存酢酸基を定量した値をけん化度として求めた。
(6)弾性率(E’)
JIS K 7198「プラスチックの非共振強制振動法による動的粘弾性の温度依存性に関する試験方法」に準拠して得られる各フィルムの温度依存曲線において、30℃と100℃の動的貯蔵弾性率を各々30℃と100℃の弾性率(E’)とした。
(7)熱収縮率(SH)
JIS C 2318「電気用ポリエチレンテレフタレートフィルム」の寸法変化に準拠して得られる各フィルムの150℃の寸法変化率を熱収縮率(SH)とした。
(8)剛性(EI)
JIS L 1096「織物及び編物の生地試験方法」における剛軟度(B法)に準拠し、30℃、又は、100℃に設定した加熱炉内に設置したスタンド台を用いて計測されるたわみ量(δ)、試料の長さ(L)、及び、予め求めた、単位幅1mmにおける単位長さあたりの試料の荷重(W)から計算した剛軟度を剛性(EI)とした。なお、試料は、縦方向(MD)と横方向(TD)の二方向の平均値を適用した。
(9)ヘーズ(Hz)
JIS K 7105「プラスチックの光学特性試験方法」に準拠して、積分球式光線透過率測定装置により得られる各フィルムの全光線透過率と拡散透過率より曇価(ヘーズ)を求めた。
(10)フィルムの加工工程通過性
一般の「roll to roll」方式の塗工加工機を用い、フィルムに模擬的にハードコートを塗工した後、熱風方式(80〜100℃)で乾燥させる工程において、下記の基準のランク付けを行った。なお、◎、および、○、および、△を合格とし、×を不合格とした。
◎:熱ジワや蛇行などの解消に、張力、温度などの条件変更が殆ど不要
○:熱ジワや蛇行などの解消に、張力、温度などの条件変更が必要であるが、
安定した条件が設定できる
△:熱ジワや蛇行などに対して、張力、温度などの条件変更が必要であり、
設定した条件も範囲が狭い、あるいは、熱ジワや蛇行が発生する
×:熱ジワや蛇行などの解消が、張力、温度など条件変更のみでは困難
(11)賦形性
フィルムに5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを加熱した後、開口部の直径が50mm、底面部の直径が40mm、深さが20mm、底面部周囲の角に直径0.5mmの曲率を設けた金型で真空成形を行なった。なお、フィルムに対する加熱時間10〜20sec、金型温度40〜90℃の条件における最適条件下で得た賦形状態について、下記の基準のランク付けを行った。なお、◎、および、○、および、△を合格とし、×を不合格とした。
◎: (i) 賦形状態に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mm以下で、かつ、印刷ずれが0.1mm以下である
○: (i) 賦形状態に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1〜1.5mm、または、印刷ずれが0.1〜0.2mm
△: (i) 賦形状態に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1.5mmを超える、かつ、
印刷ずれが0.2mmを越える
×: (i) 賦形状態に破れがあるもの、
または、
(ii)賦形状態に破れがなく、下記の項目(a)〜(b)の1項目が該当する
(a)角の曲率半径が1.5mmを超える、かつ、
印刷ずれが0.2mmを越える
(b)大きなシワが入る。
(12)外観性
厚さ3mmのフロートガラス製の四分の一曲げガラス(曲率半径200mm、長さ400mm)の凸面上に、ポリビニルブチラール膜(厚み500μm)を設け、易接着層がポリビニルブチラール層に接着するようにポリエステル樹脂フィルムを接着させ、更に易接着層を塗工しない面に順次、アルミニウム蒸着層、アンカー層、ハードコート層を施した成形フィルムを積層し、それをバギング材に封入して、オートクレーブ釜(約140℃)で一体化し、貼付けガラスを成形した。そのガラスに対するハードコート層側からの蛍光灯(直管型蛍光灯や環型蛍光灯のように反射させた際に蛍光管の外形ラインが明瞭になるもの)の写像性について、下記の基準のランク付けを行った。なお、○、および、△を合格とし、×を不合格とした。
◎:蛍光灯などの写像にゆがみなどは観察されない
○:蛍光灯などの写像にゆがみなどが若干観察される
△:蛍光灯などの写像にゆがみがかなり観察される
×:蛍光灯などの写像にゆがみがかなり観察され、輪郭もぼける。
(13)PVA接着性
ポリエステル樹脂フィルムの易接着層表面に、固形分濃度5質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液(クラレ製 PVA117)を、乾燥後のポリビニルアルコール樹脂層の厚みが、2μmになるようにワイヤーバーで塗布し、70℃で5分間乾燥した。ポリビニルアルコール水溶液には、判定が容易となるよう赤色染料を加えたものを使用した。このようにして作成した評価用フィルムを、両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、ポリビニルアルコール樹脂層が形成された面の反対面を上記両面テープに貼り付けた。次いで、カッターガイドを用いてポリビニルアルコール樹脂層を貫通して、ポリエステル樹脂層に達する切込みを、2mm間隔で100個の升目が形成されるように設けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製セロテープ (登録商標)CT−24;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に粘着テープとポリビニルアルコール樹脂層との界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がす作業を1回、5回、10回実施した。ポリビニルアルコール樹脂層が剥がれていない升目の個数を数え、PVA接着性を評価した。即ち、PVA層が全く剥がれていない場合を、接着率100とし、PVA層が全て剥がれた場合は、PVA接着率0とした。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含めた。
(ポリエステル樹脂フィルム用ポリエステル樹脂の重合)
<樹脂A:ポリエチレンテレフタレート>
テレフタル酸(TPA)及びエチレングリコール(EG)を1:1のモル比でエステル化反応釜に仕込み、圧力0.25MPa、温度220〜240℃の条件下で120分間エステル化反応を行なった後、反応釜内を常圧にして、重合触媒としてチタニウムテトラブトキシドなどを加えて、撹拌しながら反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5hPaとすると共に、温度を280℃に昇温して、280℃で溶融粘度が所定の値となるまで撹拌して重合反応を行ない、その後、水中に吐出して冷却し、樹脂Aを得た。
<樹脂B:ポリトリメチレンテレフタレート>
テレフタル酸に代えてテレフタル酸ジメチル(DMT)を用い、エチレングリコールに代えて1,3−プロパンジオールを用い、反応釜で、常圧、170〜210℃で180分間、エステル交換反応を行なった以外は、上記樹脂Aの重合と同様にして樹脂Bを得た。
<樹脂C:共重合ポリエステル>
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及びネオペンチルグリコール(NPG)を下記の表1に示すモル比になるようにエステル化反応釜に仕込み、樹脂A及び樹脂Bの製法に準じて樹脂Cを得た。
樹脂A〜Cの組成及び物性を表1に示す。
Figure 0005760804
(易接着層用共重合ポリエステル系樹脂の水分散体)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って下記の表2に示す組成の共重合ポリエステル樹脂を調整した。ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、及び/又は、5−スルホナトイソフタル酸ナトリウムを使用した。グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロパンジオール、及び/又は、トリメチロールプロパンを使用した。各共重合ポリエステル樹脂におけるジカルボン酸成分とグリコール成分の配合割合及び物性を表2に示す。
Figure 0005760804
次に、30質量部の各共重合ポリエステル樹脂(a1)〜(a5)に対して、15質量部のエチレングリコールn−ブチルエーテルを入れ、110℃で加熱、攪拌を行なうことで樹脂を溶解し、55質量部の水をそのポリエステル溶液に添加した上で冷却を行ない、固形分が30質量%の乳白色の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル水分散体(aw1)〜(aw5)を得た。
(易接着層用ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液)
けん化度の異なるポリビニルアルコール樹脂(b1)〜(b7)を使用し、攪拌機と温度計を備えた容器に、水90質量部を入れ、攪拌しながら10質量部の各ポリビニルアルコール樹脂を徐々に添加した後、95℃まで液を攪拌しながら加熱して樹脂を溶解させた。その後、室温まで冷却して、固形分10質量%の各ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(bw1)〜(bw7)を得た。各ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を以下の表3に示す。
Figure 0005760804
(ポリイソシアネート架橋剤の水分散液)
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート架橋剤の水分散液(c1)を得た。
(易接着層用塗布液の調製:d1)
上記の易接着層用ポリエステル系樹脂の水分散体(aw1)、易接着層用ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(bw4)、ブロックポリイソシアネート架橋剤の水分散液(c1)、水、イソプロパノール、平均粒径100nmのシリカゾルを固形分濃度40質量%含有した粒子分散液、固形分濃度40質量%の有機スズ化合物の溶液、及び、固形分濃度10質量%のシリコーン系界面活性剤の溶液を下記の表4に示す配合比で調合することで易接着層を形成する塗布液(d1)を調整した。
Figure 0005760804
(易接着層用塗布液の調製:d2〜d19)
上記の易接着層用塗布液(d1)と同様に、易接着層用ポリエステル樹脂の水分散体(aw1)〜(aw5)、易接着層用ポリビニルアルコール樹脂の水溶液(bw1)〜(bw7)、ブロックポリイソシアネート架橋剤の水分散液(c1)、メラミン系架橋剤の水分散液(三和ケミカル製ニカラックMX−042:固形分濃度70%)、オキサゾリン系架橋剤の分散液(日本触媒製エポクロスWS−500:固形分濃度40%)、水、イソプロパノール、平均粒径100nmのシリカゾルが固形分濃度40質量%含有した粒子分散液、固形分濃度40質量%の有機スズ化合物の溶液、及び固形分濃度10質量%のシリコーン系界面活性剤の溶液を下記表6に示す配合比で調合し易接着層を形成する塗布液(d2)〜(d19)を調整した。
<実施例1〜4>
上記のフィルム用ポリエステル樹脂の樹脂A、樹脂B、樹脂Cを下記の表5に示す配合比でドライブレンドした。これを、押出機を使用して、混練・押出し、スキン層/コア層/スキン層(比率10重量%/80重量%/10重量%)となるように、スリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させることにより無定形の未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に延伸した。延伸倍率及び延伸時の温度は、表5に示す通りである。この縦方向の延伸時の温度は、ガラス転移温度(より高い温度領域を基準とした)に対して、所定の温度となるように設計された。延伸後、上記に示す易接着層を形成する塗布液(d1)をロールコート法でフィルムの片面に塗布量が0.12g/m になるように塗布し、130℃で3秒間乾燥させた。それを、表5に示す温度で横(機械方向に対して垂直)方向に表5に示す倍率に延伸した。次に、延伸したフィルムを、融解温度(低い温度領域を基準とした)に対して−10〜−35℃の温度範囲で3〜5%の弛緩処理(熱処理)をして、片面に易接着層を有するポリエステル樹脂フィルム(厚み25μm)を作製した。得られたフィルムについて測定した物性及び評価結果を表5に示す。
<比較例1〜4>
実施例1と比較して、ポリエステル樹脂フィルムを構成する樹脂A、樹脂B、樹脂Cの配合比、及び、製膜条件の一部が異なること条件(表5)で片面に塗布層を有するポリエステル樹脂フィルムを作成した。具体的には、実施例1〜4と同じ押出機を使用して、押出した樹脂を、スリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させながら無定形の未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向にガラス転移温度に対して、表5に示される温度及び倍率で縦(機械)方向に延伸した後、上記に示す塗布液(d1)をロールコート法でフィルムの片面に塗布し、130℃で3秒間乾燥した。これを表5に示される温度及び倍率で横(機械方向に対して垂直)方向に延伸し、次に、融解温度に対して−10〜−35℃の温度範囲を基準に3〜5%の弛緩を行なって片面に塗布層を有するポリエステル樹脂フィルムを得た。
比較例1〜4のフィルムについての物性及び評価結果も下記の表5に示す。
Figure 0005760804
実施例1〜4、及び、比較例1〜4は、ポリエステル樹脂フィルムの柔らかさ変化したものである。柔らかいほど、賦形性は高く、加工工程通過性が低い傾向が認められた。なお、比較例1及び比較例2はスキン層とコア層の間で剥離が発生していた。また、比較例1〜4において、樹脂A(PET)の比率が高くなるほど、白化が強く認められる傾向にあり、意匠性が重視される場合、問題となる可能性が高い。これらのことから、賦形性と工程通過性の均衡を図る場合、フィルム用ポリエステル系樹脂の配合比、層構成などに注意が必要であることが認められ、本発明の範疇にある実施例は、特に、一体化法の加飾フィルムとして、賦形に必要な柔軟性(成形性)と装飾層などの加工工程に適した剛直性(形態安定性ないし加工工程通過性)の均衡性に優れている。
<実施例5〜16>
易接着層用塗布液が(d2)〜(d13)のいずれかであること以外は実施例2と同様にして片面に塗布層を有するポリエステル樹脂フィルムを作製した。具体的には、フィルム用ポリエステル樹脂の樹脂A、樹脂Cを実施例2と同様の配合比でドライブレンドし、押出機を使用し、混練・押出したものをスキン層/コア層/スキン層(比率10重量%/80重量%/10重量%)となるように、スリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させながら無定形の未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向にガラス転移温度に対して、実施例2と同様の温度、ならびに、倍率で、縦(機械)方向に延伸した。その後、塗布液をロールコート法でフィルムの片面に塗布量が0.12g/m になるように塗布すること、130℃で3秒間乾燥してから、所定の温度、ならびに、所定の倍率で横(機械方向に対して垂直)方向に延伸し、次に、融解温度に対して−10〜−35℃の温度範囲を基準に3〜5%の弛緩を行ない、各々の樹脂比率で構成した成形フィルムを得た。
<比較例5〜10>
易接着層用塗布液が(d14)〜(d19)であること以外は実施例2と同様にして片面に易接着層を有するポリエステル樹脂フィルムを作製した。樹脂A及び樹脂Cを実施例2と同様の配合比でドライブレンドし、押出機を使用し、混練・押出したものをスキン層/コア層/スキン層(比率10重量%/80重量%/10重量%)となるように、スリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させながら無定形の未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向にガラス転移温度に対して、実施例2と同様の温度、ならびに、倍率で、縦(機械)方向に延伸した。その後、塗布液をロールコート法でフィルムの片面に塗布量が0.12g/m になるように塗布すること、130℃で3秒間乾燥してから、所定の温度、ならびに、所定の倍率で横(機械方向に対して垂直)方向に延伸し、次に、融解温度に対して−10〜−35℃の温度範囲を基準に3〜5%の弛緩を行ない、各々の樹脂比率で構成した成形フィルムを得た。
実施例2及び5〜16並びに比較例5〜10の片面に易接着層を有するポリエステル樹脂フィルムの物性及び評価結果を表6に示す。
Figure 0005760804
表6に示される結果からポリエステル系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)と架橋剤(C)よりなる本発明の範疇にある実施例は、高い接着性が得られることが認められる。
本発明のポリエステル樹脂成形フィルムは、装飾層を付与する工程において、その通過性を確保するための剛直性と成形温度付近における成形性を得るための柔軟性を維持しつつ、かつ、シワやゆがみなどの発生を抑制し、高い平面性を奏し、充分な密着性を有しており、曲面、平面を問わず、特に、建築用二次加工ガラスに対する装飾のためにガラスへの貼り付ける成形フィルムとして、好適に用いることが可能である。

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂フィルムの少なくとも片面に易接着層を有しており、
    該易接着層は、ポリエステル系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)と架橋剤(C)を含有する塗布液から形成される層であり、
    該ポリエステル系樹脂(A)の酸価は20KOHmg/g以下であり、
    該ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は60〜85モル%であり、
    該ポリエステル樹脂フィルムの弾性率は30℃で1,000MPa以上であり、且つ、100℃で2,200MPa以下であり、
    該ポリエステル樹脂フィルムの150℃の熱収縮率MD+TDが2%以上であることを特徴とする成形用フィルム。
  2. 該ポリエステル樹脂フィルムは、少なくも一層からなり、いずれの層も共重合ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の成形用フィルム。
  3. 該易接着層における該ポリエステル系樹脂(A)が5−スルホイソフタル酸成分をジカルボン酸成分中1〜15モル%含有することを特徴とする請求項1〜2に記載の成形用フィルム。
  4. 該易接着層における該架橋剤(C)がイソシアネート化合物、又は、メラミン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形用フィルム。
  5. 該易接着層におけるポリエステル系樹脂(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、及び、架橋剤(C)の質量比が以下の式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形用フィルム。
    0.8≦(A)/(B)≦ 5
    2≦((A)+(B))/(C)≦50
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