JP5532594B2 - 成型用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、成型用ポリエステルフィルムに関する。特に、加飾性と加工性に優れた成型用ポリエステルフィルムに関する。
従来、成型用シートとしては、ポリ塩化ビニルフィルムが代表的であり、加工性などの点で好ましく使用されてきた。しかしながら、フィルムの燃焼時の有毒ガスの発生、可塑剤のブリードアウトなど、環境適性の点で問題がある。
一方、環境適性に優れる材料として、ポリエステル、ポリカーボネート、またはアクリル系樹脂よるなる未延伸のシートが、広い分野において使用されてきている。例えば、特許文献1のように、成型性に優れた特性を有する成型用積層ポリエステルフィルムが提案されているは、成型性に優れている。
一方、ポリエステルフィルムの接着性を改良する方法として、これまで種々の提案がされている。例えば、特許文献2では、易接着層として共重合ポリエステルと水溶性ポリウレタン樹脂を利用する方法が検討されている。
特開2008−30475号公報 特開2005−290354号公報
成型用フィルムは、特に加飾用成型部材として用いる場合、フィルム表面に設けられた易接着層に印刷が施された後、成型される。そのために、成型後も印刷層との良好な接着性を保持する必要がある。よって、易接着層自体が柔軟性を有し成型に追随できることが必要である。一方、成型加工においては、シート面同士が高速で擦れ合う場合がある。特に、生産性の向上に伴い、加温もしくは加圧状態下での加工速度がより速くなる傾向にある。そのため、特許文献2の易接着層を用いると、接着性は向上するものの、加温もしくは加圧状態下における高速加工で要求される耐ブロッキング性は不十分な場合があった。
本発明の目的は、前記課題を解決することにある。すなわち、柔軟性と耐ブロッキン性を両立させることで、加飾性に適した接着性と加工性に優れる成型用積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記の課題を解決することができる、本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは以下
の構成からなる。
すなわち、本発明における第1の発明は、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する積層ポリエステルフィルムであって、
前記易接着層は、共重合ポリエステルと、ガラス転移温度が70〜120℃のポリウレタンと、架橋剤とを含有し、
前記基材フィルムはポリエステルA層の両面にポリエステルB層を積層してなる3層構造をしており、A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)を満足することを特徴とする成型用積層ポリエステルフィルムである。
260>TmB>TmA>200・・・(1)
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、良好な接着性と加工性を有する。そのため、建材用部材などの加飾用成型部材、自動車用の内装や外装の加飾材、家電メンブレンスイッチ、携帯電話用基材として好適に用いることができる。
(基材フィルム)
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルからなる基材フィルムであって、ポリエステルA層(コア層)の両面に、ポリエステルB層(スキン層)を積層してなる。ここで、A層およびB層はいずれも、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルを構成成分とし、A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)を満足するものである。ここで、融点とは、示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される、融解時の吸熱ピーク温度を意味する。
260>TmB>TmA>200・・・(1)
TmAとTmBは、フィルム全体の成型性の点から、260℃未満とすることが好ましい。また、TmB、TmAは、フィルム全体の耐熱性を維持し、高温での熱変形を小さくするために、200℃よりも高くすることが重要である。TmBとTmAは、205℃より高くすることが好ましく、特に好ましくは210℃より高くする。
また、本発明では、スキン層(B層)の融点(TmB)は、コア層(A層)の融点(TmA)よりも、大きくすることが重要である。これにより、主としてコア層(A層)による成型性、柔軟性を向上させつつ、スキン層(B層)によるフィルム厚みの均一性、表面強度、耐薬品性、耐薬品性、耐熱性といった機械的特性を維持することができる。これにより、成型性、柔軟性と機械的特性とを高度にバランスさせることができる。フィルム厚み全体に対するスキン層(B層)厚み合計の比率は、1〜30%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜27%、さらに好ましくは3〜25%である。
さらに、B層の融点(℃)は230℃以上、好ましくは240℃以上である。230℃未満ではフィルム厚みの均一性や金型との十分な滑り性が得にくい、強いては優れた成型性が得られない場合がある。
また、TmBとTmAの温度差は5〜50℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは15〜35℃である。上記温度差が50℃以上の場合、A層とB層との融点の差が大きすぎるために、成型性、柔軟性と機械的特性を高度に満足できなくなる。また、上記温度差が5℃以下では、融点の差が小さすぎるため、成型性、柔軟性と機械的特性を高度にバランスすることが難しくなる。
ポリエステルの融点(Tm)を決定する要因は複数有るが、主体となるポリエステルの結晶性をどのように乱すかによって、Tmが決定されると考えている。すなわち、主体となるホモポリエステルに対し、共重合ポリエステルをブレンドする、またはホモポリエステルを共重合することで、主体となるポリエステルの結晶性を下げて、必要なTmを得ることができる。
共重合ポリエステルとしては、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルが好適である。
前記の共重合ポリエステルの共重合成分が、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールの場合、該グリコールの分子構造の嵩高さにより、高温での分子運動性を抑制することができる。そのため、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを共重合成分として含む共重合ポリエステルを用いたフィルムは、耐熱性が向上する。一方、共重合成分のジカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸成分のみからなる場合も耐熱性が向上する。
また、共重合ポリエステルが、さらにグリコール成分として1,3−プロパンジオール単位または1,4−ブタンジオール単位を含むことが成型性をさらに向上させる点から好ましい。また、これらの単位を共重合ポリエステルに導入することにより、分子中に微結晶が形成され、例えば、成型性に重要な高温での弾性率の低下を抑制することができる。これらの単位は、共重合ポリエステルの共重合成分として導入しても良いし、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなホモポリエステルをブレンドする方法を用いてもよい。
本発明において、フィルム原料としては、共重合ポリエステル単独、2種類以上の共重合ポリエステルとのブレンド、または少なくとも1種のホモポリエステルと少なくとも1種の共重合ポリエステルのブレンド、のいずれの方法も可能である。これらの中でも、ホモポリエステルと共重合ポリエステルとのブレンドが、融点の低下を抑制する点から好適である。
前記の共重合ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体が好適である。全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%である。テレフタル酸単位と2,6−ナフタレンジカルボン酸単位のモル比は、100/0〜50/50が好ましい。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、易接着層との接着性を向上させる点からも好ましい。
また、前記の共重合ポリエステルとして、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、エチレングリコールの量は全グリコール成分に対し70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、前記の分岐状脂肪族グリコールや脂環族グリコール、またはジエチレングリコールが好適である。また、テレフタル酸単位とイソフタル酸単位のモル比は、100/0〜50/50の範囲が好ましい。
また、前記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、本発明の成型用積層ポリエステルフィルムの原料として使用することは、成型性の点からもさらに好ましい。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えばペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
前記の共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
前記の共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
前記の共重合ポリエステルは、成型性および製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。一方、耐衝撃性の点からは、フィルムの固有粘度を0.60dl/g以上とすることにより、フィルムの衝撃強度が向上し、フィルム製膜時や加工時の破断の頻度を少なくすることができる。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
本発明において、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の改善のために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を形成させる方法としては、一般に基材フィルム中に粒子を含有させる方法が用いられる。
しかしながら、基材フィルム中に含有させる粒子は、一般的には屈折率がポリエステルと異なるため、フィルムの透明性を低下させる要因となる。成型品は意匠性を高めるために、フィルムを成型する前に易接着層表面に印刷が施される場合が多い。よって印刷鮮明性の点から、フィルムの透明性が高いことが好ましい。そのため、印刷層を設けるために高透明性が求められる用途においては、本発明の成型用積層ポリエステルフィルムのヘイズは1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
そこで、本発明では、透明性を改善するために、基材フィルムの少なくとも片面に粒子を含有する易接着層を設け、基材フィルムには実質的に粒子を含有させない構成をとることが望ましい。なお、「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
本発明のフィルムの厚みは、用途に応じて10〜500μmの範囲で適宜設定すればよい。易接着層に印刷層を設けた加飾用途に用いる場合は、本発明のフィルムの厚みは15〜200μmであることが好ましく、25〜125μmであることがさらに好ましい。成型体の外観を良好にするために、本発明のフィルムの厚み変動率は、小さいことが好ましい。本発明の厚み変動率は、好ましくは7%以下であり、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
(易接着層)
本発明の易接着層について詳細に述べる。
(共重合ポリエステル)
本発明では易接着層に共重合ポリエステルを含有する。共重合ポリエステルは基材フィルム及び印刷層との密着性を向上させるために必要である。共重合ポリエステルを含まないと微小な易接着層の剥がれが発生しやすくなり、結果として密着性が低下する。
共重合ポリエステルは、塗工性の点から水溶性もしくは水分散性を有することが好ましい。このような共重合ポリエステルとしては、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合した共重合ポリエステル(以下、スルホン酸基含有共重合ポリエステルという)を用いるのが好ましい。
ここでスルホン酸基含有共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分又はグリコール成分の一部にスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合したポリエステルをいい、なかでも、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有した芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分に対して2〜10モル%の割合で用いて調整した共重合ポリエステルが好ましい。
このようなジカルボン酸の例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好適である。この場合、他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等が挙げられる。
なお、表面硬度を高くし、良好な耐ブロッキング性を維持するためには、全酸性分中の96〜90モル%をテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とすることが好ましく、これらの芳香族ジカルボン酸の4〜10モル%を前記のスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有させることがさらに好ましい。
スルホン酸基含有共重合ポリエステルを製造するためのグリコール成分としては、エチレングリコールが主として用いられ、この他に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を共重合成分として用いると、ポリスチレンスルホン酸塩との相溶性が向上するという点で好ましい。
この他、共重合ポリエステルの共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、グリコール成分を含んでも良い。さらに、得られる塗膜の表面硬度を向上させるために、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多カルボキシル基含有モノマーを5モル%以下の割合で上記ポリエステルの共重合成分として用いることも可能である。これらの多カルボキシル基含有モノマーが5モル%を越える場合には、得られるスルホン酸基含有共重合ポリエステルが熱的に不安定となり、ゲル化しやすく好ましくない。
スルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、前記ジカルボン酸成分、グリコール成分、及び必要に応じて、多カルボキシル基含有モノマーを用いて、常法により、エステル化、エステル交換、重縮合反応等により得ることができる。得られたスルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、n−ブチルセロソルブのような溶媒とともに加熱攪拌され、さらに攪拌しながら徐々に水を加えることにより、水溶液又は水分散液として用いることができる。
(ポリウレタン)
本発明において、ポリウレタンは易接着層の柔軟性付与のため添加される。しかしながら、ポリウレタンによる柔軟性が増すと、加温条件下の高速加工での耐ブロッキング性が低下する場合がある。そのため、本発明においては、ポリウレタンのガラス転移温度(Tg1)を特定の範囲に制御することが重要である。すなわち、本発明のポリウレタンのガラス転移温度(Tg1)は、下限70℃、好ましくは80℃、さらに好ましくは85℃、上限120℃、好ましくは110℃、さらに好ましくは100℃を有することが好ましい。該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg1)が70℃未満の場合、耐ブロッキング性が低下する場合がある。逆に120℃を超えると塗布層の柔軟性、密着性が低下する場合がある。ポリウレタンのガラス転移温度(Tg1)を上記範囲に制御するためには、下記のポリオール成分、もしくはポリウレタンの分子量を適宜選択、調整することにより行うことができる。
本発明の易接着層におけるポリウレタンは、水性ポリウレタン系樹脂が好ましい。水性ポリウレタン系樹脂はカルボン酸塩基、スルホン酸塩基または硫酸半エステル塩基により水への親和性が高められたポリウレタン系樹脂を挙げることができる。ポリウレタン系樹脂の合成に用いるポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコール、ポリテトラプロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペートポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン等を挙げることができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物等が挙げられる。
カルボン酸含有ポリオールとしては、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、トリメリット酸ビス(エチレングリコール)エステル等が挙げられる。アミノ酸含有カルボン酸としては、例えばβ−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、p−アミノ安息香酸等が挙げられる。水酸基含有カルボン酸としては、例えば3−ヒドロキシプロピオン酸、γ−ヒドロキシ酪酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、リンゴ酸等が挙げられる。アミノ基または水酸基とスルホン酸基を有する化合物としては、例えばアミノメタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−2−スルホン酸、β−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム、脂肪族ジ第1級アミン化合物のプロパンサルトン、ブタンサルトン付加生成物等が挙げられ、好ましくは脂肪族ジ第1級アミン化合物のプロパンサルトン付加物が挙げられる。更に、アミノ基または水酸基と硫酸半エステル基を含有する化合物としては、例えばアミノエタノール硫酸、アミノブタノール硫酸、ヒドロキシエタノール硫酸、α−ヒドロキシブタノール硫酸等が挙げられる。
ここでポリウレタン形成成分の主要な構成成分は、ポリイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤、架橋剤などである。また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖延長剤およびイソシアネート基と反応する基、およびアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が望ましい。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基は、好ましくは−SOH、−OSOH、−COOHおよびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、あるいはマグネシウム塩として用いられる。
本発明において、易接着層の柔軟性と耐ブロッキング性をより高度に両立させるためには、上記共重合ポリエステルとポリウレタンの配合割合が共重合ポリエステル/ポリウレタン(質量比)=80/20〜40/60であることが好ましい。前記配合割合は75/25〜45/55であることがより好ましく、70/30〜50/50であることがさらに好ましい。共重合ポリエステル/ポリウレタン(質量比)=100/0〜90/10では易接着層の柔軟性が低下し、30/70〜0/100では耐ブロッキング性および密着性が低下する場合がある。
(架橋剤)
耐ブロッキングの点から本発明の易接着層には架橋剤を含む。これにより、易接着層に適度な架橋構造が形成されるため、架橋剤の添加は耐ブロッキング性の付与に重要である。架橋剤の配合割合は、共重合ポリエステルとポリウレタンの合計量100質量部に対して8〜25質量部であることが好ましく、10〜23質量部であることがより好ましく、12〜21質量部であることがさらに好ましい。上記架橋剤の配合割合が共重合ポリエステルとポリウレタンの合計量100質量部に対して8質量部未満では耐ブロッキング性が低下したり、密着性が低下することがあるので好ましくない。逆に、25質量部を超えると成型性に追従するための柔軟性が低下する場合がある。
上記架橋剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物などを用いる。
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンなどを挙げることができる。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
架橋剤のなかでも、本発明に用いる架橋剤としては、ブロックイソシアネート系架橋剤が好ましい。ブロックイソシアネート系架橋剤を添加することにより高度に接着性、耐ブロッキング性を両立させることが可能となる。
ブロック化イソシアネート系架橋剤は上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
ブロックイソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基含有量が4.0〜10.0質量%であることが好ましい。ブロックイソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基含有量が4.5〜9.0質量%であることが好ましく、5.0〜8.0質量%であることがさらに好ましい。該ブロックイソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基含有量が4.0質量%未満では、インキ接着性が悪化するので好ましくない。逆に、10.0質量%を超えると接着性が悪化するので好ましくない。
架橋剤としてブロックイソシアネート系架橋剤を用いる場合、ブロックイソシアネート系架橋剤のブロック解離温度(Td2:℃)は下記式(2)を満足することが好ましい。
260>TmB>TmA>200>Td2>Tg1・・・(2)
ブロック解離温度(Td2)が200℃を超える場合、製膜工程において高い温度を長い時間かけなければ十分な架橋が得られないが、基材フィルムの配向性の低下も引き起こすため、十分なフィルムの機械的強度が得られない場合がある。また、ブロック解離温度(Td2)がウレタンのガラス転移温度(Tg1)より低い場合、インラインコートにより設けられたウレタンを含む塗布層が十分伸展する前に、架橋反応が進行してしまうので、易接着層における架橋構造にムラが生じ、密着性が低下する場合がある。
ブロックイソシアネート系架橋剤のブロック解離温度(Td2)は、120〜200℃であることが好ましく、130〜180℃であることがさらに好ましい。なお、ブロックイソシアネート系架橋剤のブロック解離温度は、特定のアクリルポリオールにブロックイソシアネート系架橋剤をイソシアネート基と水酸基の比率を1:1にして均一に配合し、30分間焼付硬化させ、焼付後の物性(酢酸エチルやメチルエチルケトンで表面を例えばラビング試験で50回以上を示す等)が発現する最低温度として通常カタログ等に表示されている。
(粒子)
本発明では、易接着層の耐ブロッキング性をより向上させるために、易接着層に粒子を添加することも好ましい態様である。本発明において易接着層中に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
易接着層中の性粒子の平均粒径(SEMによる個数基準の平均粒径。以下同じ)は、0.04〜2.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.04μm未満であると、フィルム表面への凹凸の形成が不十分となるため、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下してしまうし、成型性も低下する場合がある。逆に、2.0μmを越えると、フィルムのヘイズが悪化してしまい好ましくない。高い透明性を得るために、易接着層中の粒子濃度は、固形成分中0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明においては易接着層の厚みは、0.001〜1.00μmの範囲で適宜設定することができるが、高い透明性と密着性とを両立させるには0.01〜0.10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜0.09μm、さらに好ましくは0.03〜0.08μmである。易接着層の厚みが0.01μm未満であると、接着性が不十分となる。易接着層の厚みが0.10μmを超えると、易接着層が粒子を含む場合、フィルムのヘイズが悪化してしまい、高度な透明性が得られない場合がある。
本発明の塗液中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤、核剤等を添加しても良い。
(製造方法)
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸により得られた二軸配向積層ポリエステルが望ましい。以下、最も好んで用いられる逐次二軸延伸方法について説明する。
まず、原料のペレットを十分に真空乾燥する。次に押出機を用いて融点以上の温度で溶融し、ダイスから共押出し法により3層構成を有するポリエステルシートを層状に押出し、回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸ポリエステルフィルムを得る。回転式冷却ロールへ密着させる方法として、公知の静電密着法、エアーナイフ法、エアーチャンバー法等を用いることができる。また、必要に応じて、回転式冷却ロールの反対面から空気を吹付けて冷却してもかまわない。未延伸ポリエステルフィルムをロール方式の縦延伸機に導き、80〜125℃に加熱した後、ロールの周速差により縦方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸延伸フィルムを得る。縦延伸は一段階で実施しても、多段階に分けて実施してもかまわない。
その後、一軸延伸ポリエステルフィルムをグリップ方式の横延伸機に導き、80〜180℃に加熱した後、横方向に2.5〜5.0倍延伸し、次いで、200〜240℃で熱固定処理した後、必要に応じて縦方向および/または横方向に1〜10%緩和処理し、次いで、フィルムワインダーで巻き取って二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
易接着層の塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗
布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが中でも、基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、インラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である
易接着層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる
(成型体)
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、良好な成型性および接着性を有する。よって、易接着層面に印刷層を施した後、成型加工した成型体として好適に用いることができる。このように、易接着層に印刷層を積層した成型体は建材用部材や携帯電話用基材などの加飾成型用部材として好適である。また、フィルムの易接着層に印刷層を施し、さらにアクリル系樹脂などからなる接着剤層と、厚さ1〜5mm程度のアクリル樹脂シートを順次積層し、且つ、反対面に金属薄膜層を積層した後、成型加工した成型体としても好適に用いることができる。このような成型体は、たとえば、自動車用の内装や外装の加飾材として好適である。
次に本発明の実施例および比較例を示す。まず本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
(1)融点
示差走査熱量測定器(デュポン社製、V4 OB2000型)を用い、サンプル量約0.010g、測定温度範囲を室温から300℃、昇温速度20℃/分の条件で測定した。A層とB層の融点の判別は、フィルムをA4サイズに切りだし、平板に接着固定した後、片刃カミソリを用いて表面を削り取り、DSC測定を行うことで、B層の融点を測定する。次いで、フィルム全体の融点をDSC測定で求め、B層の融点に関する融解ピークの情報を除することで、A層の融点を求めた。
(2)ガラス転移温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、25〜300℃の温度範囲にわたって20℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
(3)固有粘度
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(4)ヘイズ
JIS−K7105に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製)を用いて評価した。
(5)易接着層の厚み
フィルム断面をフィルム面に対し直角にミクロトームで切断し、透過型電子顕微鏡(TEM)でフィルムの断面写真を撮り、その写真上で樹脂成分の厚みを計測する。同様の計測を場所を変えて10回行い、その計測値の平均を樹脂成分の厚み(μm)とした。
(6)厚み変動率
フィルムの幅方向に3m、長手方向に5cmの長さの連続したテープ状サンプルを巻き取り、フィルム厚み連続測定機(アンリツ株式会社製)にて、フィルムの厚みを測定し、レコーダーに記録する。チャートより、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み変動率(%)を算出した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。また、幅方向の長さが3mに満たない場合は、つなぎ合せて行う。なお、つなぎの部分はデータから削除する。
厚み変動率(%)=((dmax−dmin)/d)×100
(7)接着性
UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(易接着層が設けられている場合は、易接着層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。
硬化した印刷層に対し、カッターナイフにより2mm角100マスのクロスカット面を入れ、その上にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製、CT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロテープ(登録商標)が密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。なお、本発明でいう易接着性とは、上記評価を行った際にインキ残留率が90%以上を有するものと定義する。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する
可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性不良)
(8)成型性
フィルムに5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で真空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で真空成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けを行った。なお、○を合格とし、×を不合格とした。
○:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1.5mm以下、または印刷ずれが0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、または破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i) 角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii) 大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv) 印刷のずれが0.2mmを超えるもの
(9)耐ブロッキング性
2枚のフィルム試料の易接着層面同士を重ね合わせ、これに1kgf/cmの圧力を60℃、60%RHの雰囲気下で24時間密着させた後、剥離し、その剥離状態を下記の基準で判定した。
○ 塗布層の転移がなく軽く剥離できるもの
△ 剥離音は発生するが、塗布層は相手面に転移していないもの
× 塗布層が相手面に転移しているもの、2枚のフィルムが固着し剥離できないも
の、あるいは剥離できても基材ポリエステルフィルムが劈開しているもの
実施例1
(共重合ポリエステル樹脂液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂30質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度25質量%の均一な水分散性を有する共重合ポリエステル樹脂液(a1)を得た。
(塗布液Aの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物が20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(フィルム原料の製造)
表1に記載の組成の樹脂を乾燥し、コア層(A層)およびスキン層(B層)の原料として使用した。
(積層フィルムの製造)
フィードブロックとTダイを有する共押出し可能な押出し機を用い、表1のB層用原料とA層用原料を共押出しした。層の構成はB/A/Bの2種3層である。また、最終フィルム厚みが25μm、各層の厚みがB/A/B=8/84/8の比率となるように、溶融押出し時の樹脂の吐出量を調整した。スキン層(B層)の滞留時間は18分、コア層(A層)の滞留時間は8分で、表面温度40℃のキャストドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。
得られたシートを、加熱ロールを用いて83℃で、周速が異なる二対のニップロールで3.3倍に延伸した。
続いて、得られた一軸延伸フィルムに上記に示す水系塗布液Aをロールコート法でフィルムの片面に塗布し、130℃で3秒間乾燥し水分を除去した。
その後、連続的に端部をクリップで把持しながらテンターに導き、100℃の設定で加熱して3.8倍に横延伸し、幅固定しながら230℃で5秒間の熱処理を施し、更に205℃で幅方向に5%緩和させることにより、易接着層の塗布厚みが0.07μmの成型用積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
本実施例で得られた成型用積層ポリエステルフィルムはインキ接着性をはじめ全ての特性が優れており高品質であった。
(塗布液Bの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合がポリエステル系グラフト共重合体/ポリウレタン樹脂(質量比)=70/30であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例2
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Cの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=40/60であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例3
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Dの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が85℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例4
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Eの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が85℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が4.5質量%でブロック解離温度148℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例5
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Fの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物40質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例6
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Gの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物25質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例7
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Hの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物8質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例8
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Iの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.4μmのものを全樹脂に対し3.0質量%および平均粒径0.2μmのシリカ粒子を全樹脂に対して0.02質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
実施例9
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Iを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
実施例10
易接着層の塗布厚みが0.2μmである以外は実施例1と同様の積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
実施例11
易接着層の塗布厚みが0.09μmである以外は実施例1と同様の積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
実施例12
易接着層の塗布厚みが0.04μmである以外は実施例1と同様の積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
実施例13
易接着層の塗布厚みが0.02μmである以外は実施例1と同様の積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Jの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=100/0であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
比較例1
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Jを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Kの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=0/100であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
比較例2
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Kを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Lの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が90℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
比較例3
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Lを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Mの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、ガラス転移温度が35℃のポリウレタン樹脂の割合が共重合ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂(質量比)=80/20であり、且つ、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計量100質量部に対してイソシアネート基含有量が5.4質量%でブロック解離温度150℃であるブロックイソシアネート化合物20質量部になるように混合し、全樹脂固形分濃度が3.8質量%、粒子としてシリカ粒子平均粒径1.0μmのものを全樹脂に対し0.44質量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を全樹脂に対して10質量%含有するように、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
比較例4
実施例1において、表2に示す融点を持った積層フィルムに塗布液Mを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
(塗布液Nの調製)
共重合ポリエステル樹脂の調製
塗布液Iを以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂(a2)を得た。
ポリウレタン系樹脂水溶液の調合
アジピン酸//1.6ーヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール(モル比:4//2/3)の組成からなるポリエステルジオール(OHV:2000eq/ton)100質量部と、キシリレンジイソシアネートを41.4質量部混合し、窒素気流下、80〜90℃で1時間反応させた後、60℃まで冷却し、テトラヒドロフラン70質量部を加えて溶解し、ウレタンプレポリマー溶液(NCO/OH比:2.2、遊離イソシアネート基:理論値3.56質量%、実測値3.30質量%)を得た。引き続き、前記のウレタンプレポリマー溶液を40℃にし、次いで、20質量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液を45.5質量部加えて*激しく撹拌を行いつつ、40〜50℃で30分間反応させた。遊離イソシアネート基含有量(固形分換算)の消失を確認した後、乳化水で希釈し、固形分20質量%のポリウレタン系樹脂水溶液(b)を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂(a2)の30質量%水分散液を7.5質量部、ポリウレタン系樹脂水溶液(b)を11.3質量部、触媒(ジブチルチンラウレート)を0.03質量部、水を39.8質量部およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。さらに、ノニオン系界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子としてコロイダルシリカ;平均粒径0.04μm)の20質量%水分散液を2.3質量部、次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液を調整した。
比較例5
実施例1において、表1に示す原料および表2に示す融点を持った単層フィルムに塗布液Nを用いたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層の塗布厚みが0.07μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られた単層フィルムの特性と評価結果を表2に示す。
実施例14
実施例1において、表1に示す原料を用い、縦延伸の設定温度を90℃に変更した以外は、実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
比較例6
実施例1において、表1に示す原料を用いた以外は、実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表2に示す。
ここで、TPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル酸、EG:エチレングリコール、CHDM:1、4−シクロヘキサンジメタノール、PG:1、2−プロパンジオールである。
Figure 0005532594
Figure 0005532594
本発明による成型用積層ポリエステルフィルムは、接着性と加工性に優れているので幅広い成型方法に適用ができる。このため、家電、携帯電話、自動車用の内装材や外装材、または建材用部材として好適に用いることができるという利点があり、産業界への寄与が大きい。

Claims (6)

  1. 共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する積層ポリエステルフィルムであって、
    前記共重合ポリエステルは、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルであり、
    前記易接着層は、水溶性もしくは水分散性の共重合ポリエステルと、ガラス転移温度(Tg1)が70〜120℃のポリウレタンと、架橋剤とを含有し、
    前記架橋剤はブロックイソシアネート系架橋剤であり、
    前記基材フィルムはポリエステルA層の両面にポリエステルB層を積層してなる3層構造をしており、A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)を満足し、前記ブロックイソシアネート系架橋剤のブロック解離温度(Td2:℃)が下記式(2)を満足することを特徴とする成型用積層ポリエステルフィルム。
    260>TmB>TmA>200・・・(1)
    260>TmB>TmA>200>Td2>Tg1・・・(2)
  2. 前記易接着層は、共重合ポリエステルとポリウレタンの配合割合が共重合ポリエステル/ポリウレタン(質量比)=80/20〜40/60であり、
    且つ、前記架橋剤の添加量は、共重合ポリエステルとポリウレタンの合計量100質量部に対して8〜25質量部であることを特徴とする請求項1に記載の成型用積層ポリエステルフィルム。
  3. ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成型用積層ポリエステルフィルム
  4. 前記易接着層の厚みが0.01〜0.10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型用積層ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムの易接着層に印刷層を積層した成型体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムの易接着層に印刷層、接着剤層、アクリル樹脂シートが順次積層され、且つ、反対面に金属薄膜層を有する成型体。
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