JP2018070780A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
耐熱性フィルムと貼り合わせを行っても剥がれを生じにくいポリエステルフィルムを提供することである。
【解決手段】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、当該塗布層は、架橋剤を不揮発成分全体に対して70重量%以上含有する塗布剤から形成された層であり、前記架橋剤としてメラミン化合物及び/またはオキサゾリン化合物を含有し、かつ、150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向(MD)の収縮率SMDが0.05%〜0.25%およびフィルムの走行方向と直交方向(TD)の収縮率STDが−0.05%〜0.05%であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
耐熱性フィルムとポリエステルフィルムと貼り合わせを行うことで、低コストでハンドリングに優れた高機能なフィルムを提供することができる。また、このポリエステルフィルムに例えばハードコートといった機能をあらかじめ付与することで、傷つき防止などのさらなる機能付与も可能である。
本発明におけるポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の積層構成であってもよく、特に限定されるものではない。
この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
なお、できあがった塗布層中には、架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
前記収縮率SMDが0.25%より大きいと、積層ポリエステルフィルムの耐熱性が不十分となるだけでなく、貼りあわせた耐熱性フィルムとの収縮率差が大きくなるため、高温環境下で長時間加工が実施された際に剥がれが生じる。一方、前記収縮率SMDが0.05%未満である場合、耐熱性フィルムよりも収縮率が小さくなるため、加工後のカール方向が逆転し、不具合を生じる。
前記収縮率STDが規定した範囲から外れる場合、積層ポリエステルフィルムの耐熱性が不十分になるだけでなく、耐熱性フィルムとの貼合時に幅変化が大きくなり不具合を生じる。
アニール処理時間は、1〜30秒が好ましく、より好ましくは3〜20秒であり、さらに好ましくは5〜15秒である。フィルム走行速度は10〜300m/minが好ましく、また、フィルムの搬送時における、フィルム張力は1kg〜10kg/フィルム幅が好ましく、より好ましくは1kg〜7kg/フィルム幅であり、さらに好ましくは1kg〜5kg/フィルム幅である。
またアニールに関しては、一旦製造したフィルムを系外で再度熱入れする、いわゆるオフラインアニールを採用してもよい。
本発明において、金属層を設ける場合、金属としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体やニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)を使用することもできる。中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等を考慮して、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀および銅が好ましい。さらに好ましくは、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀および銅であり、最も好ましくは、銅(酸化銅も含む)である。また、金属層は単層であっても、異なる金属が2層以上積層した積層構造であってもよい。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の体積比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの体積比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させた。前記乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所社製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、オリゴマー含有量(重量%)とした。DMF中のオリゴマー含有量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積とのピーク面積比より求めた。(絶対検量線法)
遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型(島津製作所社製)を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定し、平均粒径を求めた。
積層ポリエステルフィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、積層ポリエステルフィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。前記断面のうち積層ポリエステルフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値をフィルム厚みとした。
包埋樹脂で積層ポリエステルフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料フィルムを調整した。得られた試料フィルムを、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。試料フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を塗布層厚みとした。
試料フィルムのそれぞれのMD、TDの収縮率について、試料フィルムを無張力状態で所定の温度(150℃)に保ったオーブンで90分間熱処理し、その熱処理前後の試料フィルムの長さを測定。下記式にて収縮率を算出した。
収縮率=[{(熱処理前の長さ)−(熱処理後の長さ)}/(熱処理前の長さ)]×100
室温環境下で、試料フィルムをJIS K7136に準じ、村上色彩研究所製「HM−150」により、ヘーズを測定した。
試料フィルムを所定の熱処理条件(150℃、90分間)で処理した後、(7)項と同様にして、ヘーズを測定した。
(7)項と(8)項の測定値より、試料フィルムのヘーズ変化量(ΔH=H1−H0)を算出した。ΔHが低いほど、高温処理によるオリゴマーの析出が少なくて良好であることが示唆される。
試料フィルムの片面に、アルゴンガス95体積%と酸素ガス5体積%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚み25nmのITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は150℃で1時間の加熱処理により結晶化させた。ロール搬送をイメージして、得られた前記フィルムを3インチφの鉄製の棒に擦り付けた時のオリゴマーの付着の状態から、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:金属棒にオリゴマーの付着がほとんどみられない(実用上、問題ないレベル)
×:金属棒にオリゴマーの付着が多く見られる(実用上、問題あるレベル)
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚み20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬して、12mm幅に酸化銅層が残るようにエッチング処理してサンプルを作製した。得られたサンプルは150℃、90分間の加熱処理により結晶化させ、85℃、85%RHの条件に保たれた恒温槽の中に48時間入れた。
恒温槽に投入後のサンプルは、次に、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、JIS C 5016に定めるように、90°方向での引っ張り試験を行い、金属層に対する密着力を測定し、下記判定基準により、判定を行った(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて測定を行い、下記判定基準により、判定を行った。金属層に対する密着力を測定。下記判定基準により、判定を行った。なお、両面とも金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にてそれぞれの面の測定を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
〇:密着力が0.5N/mm以上(密着性は非常に良好、実用上問題ないレベル)
△:密着力が0.2N/mm以上0.5N/mm未満(密着性は良好、実用上問題になる場合があるレベル)
×:密着力が0.2N/mm未満(密着性は不良、実用上問題あるレベル)
試料フィルムにシリコーン系粘着剤を塗布し、耐熱性フィルム(ポリイミド)を貼り合わせた。貼り合わせ後、150℃に保ったオーブンで90分間熱処理し、剥がれの有無を確認した。その後10cm四方に切り出し、耐熱性フィルムを下にして、水平な机の上に置き、各頂点の机からの高さの測定を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:剥がれがなく、かつ、各頂点の机からの高さが10mm以下。
×:剥がれがあり、いずれかの頂点の机からの高さが10mmより大きく、耐熱性フィルム側へカール。これらの現象のうちいずれか一つ以上が発生。
[ポリエステル(I)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。さらに4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物は重縮合槽に移して、4時間重縮合反応を行った。重縮合反応の際、温度は230℃から280℃へ徐々に昇温する一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。重縮合反応開始後、重縮合槽の攪拌動力の変化により、極限粘度が0.55に相当する時点で重縮合反応を停止し、窒素加圧下でポリマーを吐出させ、極限粘度が0.59dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.89重量%のポリエステル(I)を得た。
ポリエステル(I)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度が0.72dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.46重量%のポリエステル(II)を得た。
ポリエステル(I)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒径0.3μmの酸化アルミニウム粒子を含有量が1.5重量%となるように添加する以外は同様にして製造して、ポリエステル(III)を得た。得られたポリエステル(III)は、極限粘度が0.59dL/g、オリゴマー(エステル環状三量体)含有量が0.87重量%であった。
本実施例で塗布層に使用した化合物は下記の通りである。
(A1):メラミン化合物(ヘキサメトキシメチロールメラミン)
(A2):オキサゾリン化合物(エポクロスWS−300(日本触媒社製)、オキサゾリン基量:7.7mmol/g)
(A3):オキサゾリン化合物(エポクロスWS−700(日本触媒社製)、オキサゾリン基量4.5mmol/g)
(A4):エポキシ化合物(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)
(B1):下記の方法で作製したポリエステルポリウレタン水分散物
(B2):ポリビニルアルコール(けん化度:88モル%、重合度:500)
(C1):メラミン系架橋触媒(2−アミノ−2−メチルプロパノールハイドロクロライド)
(D1):4級アンモニウム塩基含有ポリマー(2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー、対イオン:メチルスルホネート、数平均分子量:30000)
(F1):平均粒径0.07μmのシリカ粒子
(F2):平均粒径0.02μmのアルミナ変性シリカ粒子
本発明では、テレフタル酸315重量部、イソフタル酸299重量部、エチレングリコール74重量部、およびジエチレングリコール265重量部を成分とするポリエステルポリオール(B1a)を用いた。前記ポリエステルポリオール(B1a)953重量部、イソホロンジイソシアネート267重量部、エチレングリコール56重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させることで、ポリエステルポリウレタン水分散物(B1)を得た。(濃度:23重量%、25℃での粘度:30mPa・s)
前記ポリエステル(II)、(III)をそれぞれ99重量%、1重量%の割合で混合した混合原料をa層の原料とし、ポリエステル(I)100重量%の原料をb層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、a層を両外層、b層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(a層/b層/a層)で厚み構成比がa層:b層:a層=2:19:2になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃でフィルムの走行方向(MD)に3.3倍延伸した後、下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層1を乾燥後の塗布層厚みが片面で0.04μmとなるように、フィルム両面に塗布した後に、テンターに導き、フィルムの走行方向と直交方向(TD)に120℃で5.1倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に弛緩し、フィルムをロール上に巻き上げ、フィルム幅1000mm、巻長さ6000m、塗布層厚み50μmが設けられた積層ポリエステルフィルムを得た。
一旦製造した積層ポリエステルフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、50m/minのフィルム搬送速度で、190℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した。
下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層を変更する以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例2において、フィルム厚みを変更する以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例2において、オフラインアニールを実施しないという以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例2において、オフラインアニール時の加工速度を5m/minに変更する以外は実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
下記表1に示す塗布剤組成物からなる塗布層を変更する以外は、実施例2と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
Claims (4)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、当該塗布層は、架橋剤を不揮発成分全体に対して70重量%以上含有する塗布剤から形成された層であり、前記架橋剤としてメラミン化合物及び/またはオキサゾリン化合物を含有し、かつ、
150℃で90分間加熱後のフィルムの走行方向(MD)の収縮率SMDが0.05%〜0.25%およびフィルムの走行方向と直交方向(TD)の収縮率STDが−0.05%〜0.05%であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。 - 前記オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量が0.5〜10mmol/gであることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 前記塗布層上に金属層がさらに積層されてなること特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムとして、160〜200℃でオフラインアニールする工程を経て得られたものを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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