JP6771539B2 - 加工装置、加工装置の使用方法及びチャック装置 - Google Patents
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Description
この加工装置によれば、長尺なワークに対して穴あけ加工を行う場合には、その長尺なワークをコレット及びスリーブの一端側開口から挿入すれば、その長尺なワークをチャック装置に貫通した状態でチャックできることになり、穴あけ加工機は、短尺なワークだけでなく、その長尺なワークに対しても、穴あけ加工を行うことができる。しかも、コレット及びスリーブの向きを反転できることから、チャック装置に貫通した状態でチャックされているワークを反転させれば、そのワークに対して、その一端側だけでなく他端側からも穴あけ加工を行うことができる。
第2の目的は、上記加工装置に用いられる加工装置の使用方法を提供することにある。
第3の目的は、上記加工装置に用いられるチャック装置を提供することにある。
(1)穴あけ加工機と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口されている加工装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている構成とされている。
この構成によれば、軸部と、該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるワークのうち、長尺なワークに関しては、そのワークの長い軸部をコレット内に穴あけ加工機に近い側のスリーブの一端側開口から挿入すれば、コレット及びスリーブの各両端がチャック装置の外部に開口されていること、ワークの軸部が長いことを利用することができ、コレットとスリーブとの相対移動により、穴あけ加工機から離れたコレットにその長い軸部をチャックすることができる。その際、ワークの拡径部の端面が穴あけ加工機に臨むことから、拡径部の端面から穴あけ加工を行うことができる。
他方、前記ワークのうち、短尺なワークに関しては、その短い軸部をコレット内に穴あけ加工機に対して遠い側のスリーブの他端側開口から挿入すれば、そのワークの軸部が短くても、スリーブ内でのコレットの配置位置を利用して、そのコレットとスリーブとの相対移動によりそのコレットにそのワークの短い軸部をチャックすることができる。その際、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていることを利用して、穴あけ加工機をスリーブ内にその一端側開口から進入させることができることから、チャック装置におけるコレット及びスリーブの向きを反転させなくても、ワークの軸部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記チャック装置の外面のうち、前記穴あけ加工機に近い側に位置するものに比して遠い側に位置するものに近づけられている構成とされている。
この構成によれば、コレットを、チャック装置の外面のうち、穴あけ加工機に近い側に位置するものに比して遠い側に位置するものに近づけることができ、ワークの軸部がかなり短いものであっても、その短い軸部をスリーブの他端側開口から挿入することにより、コレットに的確にチャックすることができる。
前記チャック装置が、前記コレットチャックが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径させるときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段として、コレットに対して接近、離間動する押圧装置が用いられることから、チャック装置本体内部に、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段として、複雑で緻密な油圧回路等を設ける必要がなくなり、チャック装置の構成を簡素化することができる。
また、チャック装置本体内部に、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段を設けずに、押圧装置を、その駆動手段として、チャック装置本体の外部に設けることから、チャック装置本体の長さを、コレットの軸線方向において、駆動手段をチャック装置本体内部に設ける場合(例えば特許文献1に記載の装置)に比べて短くすることでき、短尺なワークの軸部端面から穴あけ加工をするに際して、チャック装置本体(スリーブ内)への穴あけ加工機の進入量を減らすことができる。このため、穴あけ加工機(切削具)としては、上記進入量分だけ減らしたものを用いることができ、穴あけ加工時において、その穴あけ加工機(切削具)の撓み抑制効果を高めることができる。この結果、ワークにおいて穴あけ加工を行うに当り、加工穴が振れた状態に形成されることを抑えることができ、加工穴として、精度が高いものを形成できる。
前記チャック装置本体に筒状の本体が、その軸線方向を前記コレットの軸線方向に向くようにして備えられ、
前記本体内に前記スリーブが、その他端側を前記押圧装置に向けた状態で取付けられ、
前記スリーブの他端側内に前記コレットが、該コレットの他端側を前記押圧装置に向けた状態で嵌合され、
前記スリーブの内周面が、該スリーブの一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記コレットの外周面が、その一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記押圧装置は、前記コレットを縮径させるときには、該コレットを押圧して該コレットと前記スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、コレットに対する押圧装置の押圧によりワークの軸部をコレットにチャックさせることができる一方で、スリーブの内周面及びコレットの外周面の形状に基づき、スリーブの他端側において、スリーブに対するコレットの着脱を確実且つ容易に行うことができ、コレットを、ワークに応じたより好ましいコレットに容易に交換することができる。
前記コレットの他端側開口周縁部に係止部材が設けられ、
前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に、筒状部材の一端側が、該筒状部材の他端側を前記スリーブの他端側外方に突出させた状態で摺動可能に介在され、
前記筒状部材の他端側内周面に、該筒状部材の他端側内径を該筒状部材の一端側内径よりも縮径させた縮径部が形成され、
前記縮径部には、前記コレットの他端面外周縁部に当接する当接面と、該当接面が該コレットの他端面外周縁部に当接している状態の下で前記係止部材に係止されて該コレットと前記筒状部材とを該コレットの軸線方向に相対変位不能とする規制爪部と、が設けられ、
前記筒状部材の一端面と前記本体との間に、該筒状部材の縮径部を前記スリーブの他端面から離間する方向に付勢する付勢手段が介在されている構成とされている。
この構成によれば、軸部と、該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるワークのうち、短尺なワークを加工するに際して、そのワークの拡径部の径が大きなものであっても、筒状部材の他端面の外径を大きくすることにより、その筒状部材の他端面を押圧装置により押圧することができ、その筒状部材の他端面に対する押圧によりコレットをスリーブに対して後退させて該コレットを的確に縮径させることができる(ワーク軸部のチャック)。
その一方で、押圧装置が筒状部材の他端面を押圧しないときには、コレットが、付勢手段の付勢力によりスリーブの他端側から外方に突出された状態となり、筒状部材を容易に把持できるばかりか、その筒状部材を外方に引き出すことによりコレットを簡単に引き出すことができる。このため、コレットの交換を容易に行うことができる。
前記スリーブの一端面に、軸状ワークの径よりも縮径された貫通孔を有する第1環状部材又は軸状ワークの径よりも拡大された貫通孔を有する第2環状部材のいずれかが選択的に着脱可能に取付けられ、
前記第1環状部材として、該第1環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第1環状部材の貫通孔周縁部に位置決め用筒部を突設して該位置決め用筒部を前記スリーブ内に該スリーブの一端側から進入させるものが用いられ、
前記第2環状部材として、該第2環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第2環状部材の外面側に該環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所を形成して該凹所の内面を該貫通孔の軸線方向外方に向うに従って拡径するように傾斜させたものが用いられる構成とされている。
この構成によれば、第1環状部材を用いた状態で、短尺なワークの短い軸部をスリーブ内にその他端側開口から挿入したときには、その軸部端面を位置決め用筒部の先端面に当接させることができ、コレットに対する短尺なワークの位置決めを行うことができる。また、第2環状部材を用いた状態で、長尺なワークの長い軸部をスリーブ内にその一端側開口から挿入したときには、その傘部背面を凹所内面に当接させることができ、コレットに対する長尺なワークの位置決めを行うことができる。このため、いずれの場合においても、位置決めされたワークに対して、穴あけ加工機により穴あけ加工が行われることになり、穴あけ加工を精度の高いものとすることができる。
また、第1、第2の環状部材がスリーブの一端面に選択的に着脱可能に取付けられることから、ワークに応じた最適な環状部材(第1又は第2の環状部材)を選択し、その環状部材をスリーブの一端面に簡単に取付けることができる。
前記第1環状部材の外面側には、該第1環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所が形成され、
前記凹所内面が、前記貫通孔の軸線方向において前記位置決め用筒部から前記環状部材の外面側に向うに従って拡径されるように傾斜されている構成とされている。
この構成によれば、短尺なワークに対してその軸部端面から穴あけ加工を行うに際して、切削屑が発生しても、その切削屑を凹所内面の案内作用により外部に容易に排出することができる。
前記スリーブの一端面に前記第2環状部材が取付けられたときには、前記スリーブ内に、前記コレットとして、該コレットの軸線方向長さが標準長さよりも長くされた長尺コレットが組み込まれ、
前記長尺コレットの一端面が前記スリーブの軸線方向中央部を越えて該第2環状部材の内面側に位置されている構成とされている。
この構成によれば、長尺コレットが長尺なワークの長い軸部を長い範囲に亘ってチャックできることになり、長尺なワークに対する穴あけ加工に際して、その長い軸部が振れることを高い確実性をもって防止できる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工の精度を高めることができる。
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされる移動体と、該移動体に、前記コレットに臨む領域において回転可能に支持される押圧部材と、を備えている構成とされている。
この構成によれば、穴あけ加工に際して、ワークが回転させられるとしても、その回転は、移動体に対する押圧部材の相対回転により吸収されることになり、押圧装置を、ワークの回転に支障を与えることなく穴あけ加工に的確に用いることができる。
前記筒状部材が、一端側が前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に摺動可能に挿入され他端側が前記スリーブの他端面よりも外方に突出される筒本体と、該筒本体の他端面に着脱可能に取付けられる環状蓋とにより構成され、
前記本体に、前記筒本体の他端側が前記スリーブの他端面に対して所定突出量を超えたとき、該筒本体に係合して該筒本体の移動を規制するストッパが取付けられ、
前記環状蓋が、前記縮径部として、前記当接面及び前記規制爪部を構成している構成とされている。
この構成によれば、環状蓋を取り外すことにより、筒本体及び付勢手段を本体内に残しつつ、コレットだけをスリーブから引き出すことができ、コレットの取外し、組付け作業を著しく向上させることができる。
(11)穴あけ加工機と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口され、前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている加工装置の下で、
ワークとして、軸部と該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるものを用意し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその他端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその一端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持する構成とされている。
この構成によれば、ワークのうち、長尺なワークに関しては、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていること、ワークの軸部が長いことを利用することにより、コレットにその長い軸部を的確にチャックすることができ、その際、ワークの拡径部の端面が穴あけ加工機に臨むことから、拡径部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
ワークのうち、短尺なワークに関しては、チャック装置内でのコレットの配置位置を利用することにより、コレットにその短い軸部を的確にチャックすることができ、その際、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていることを利用することにより、穴あけ加工機をスリーブ内に進入させて、チャック装置におけるコレット及びスリーブの向きを反転させなくても、ワークの軸部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部から筒部が突出するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の筒部を前記スリーブ内に進入させた上で、
前記ワークの軸部を前記コレットの他端側開口から挿入することにより、該ワークの軸部の他端面を前記筒部の端面に当接させる構成とされている。
この構成によれば、ワークが短尺なワークであっても、コレットに対する短尺なワークの挿入状態を決めることができ、コレットにおいて短尺なワークを所定の位置状態でチャックすることができる。このため、短尺なワークに対する穴あけ加工を的確に行うことができる。
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部が前記ワークの拡径部を受け止める受け面を構成するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の受け面を外側に向け、
その上で、前記ワークの軸部を前記環状部材の貫通孔及び前記スリーブの一端側開口を介して前記コレット内に挿入することにより、該ワークの拡径部を前記環状部材の受け面に当接させる構成とされている。
この構成によれば、コレットに対する長尺なワークの挿入状態を環状部材の受け面により決めることができ、コレットにおいて長尺なワークを所定の位置状態でチャックすることができる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工を的確に行うことができる。
前記コレットとして、その軸線方向長さが標準長さよりも長い長尺コレットを用意し、
前記長尺コレットを前記スリーブ内に組み込んで、該長尺コレットの一端面を該スリーブの軸線方向中央部を越えて前記環状部材の内面に近づける構成とされている。
この構成によれば、長尺コレットが長尺なワークの長い軸部を長い範囲に亘ってチャックすることになり、長尺なワークに対する穴あけ加工に際して、その長い軸部が振れることを高い確実性をもって防止できる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工の精度を高めることができる。
(15)軸線方向一端面が穴あけ加工機に対向する対向端面とされる筒状の本体と、該本体の軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該本体内に設けられるスリーブと、該スリーブの軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該スリーブ内に嵌合されるコレットと、が備えられ、該スリーブ及び該コレットの両端開口が前記本体の軸線方向両端外方に向けて開口されているチャック装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記対向端面の開口に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている構成とされている。
この構成によれば、前記(1)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記本体の軸線方向一端面よりも該本体の軸線方向他端面に近づけられている構成とされている。
この構成によれば、前記(2)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
前記本体、前記コレット及び前記スリーブが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径させるときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、前記(3)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされた移動体と、該移動体に、前記コレットに臨む領域において回転可能に支持される押圧部材と、を備えている構成とされている。
この構成によれば、ワークが回転させられるとしても、押圧装置に対しては、その回転は、移動体に対する押圧部材の相対回転により吸収されることになり、押圧装置がワークの回転に支障を与えることを防止できる。
また、上記加工装置に用いられる加工装置の使用方法及びチャック装置を提供できる。
図1、図2において、符号1は、実施形態に係る加工装置を示す。この加工装置1は、穴あけ加工機としての深穴加工機2(後述のガンドリル2Aをもって示す)と、その深穴加工機2により深穴加工されるワークをチャック(保持)するチャック装置3とを備えており、深穴加工機2とチャック装置3とは、ワークに対する深穴加工を可能とすべく、対向した状態で配置されている。
この深穴加工機2には、種々の付属品を取付けることができることになっている。本実施形態においては、長尺ワークWLに対する深穴加工を行う場合には、後述の図12、図13等に示すように、ドリルブッシュ5が深穴加工機2の装置本体に取付けられることになっており、そのドリルブッシュ5に対して長尺ワークWLの傘部W2端面が当接され、ガンドリル2Aは、そのドリルブッシュ5を通って長尺ワークWLに対して深穴加工を行うことになる。
スライドベース6は、基盤7上に設けられる一対のガイドレール8(図1等では一方のガイドレールのみを図示)にスライド可能に支持されている。一対のガイドレール8は、基盤7上において、チャック装置3と深穴加工機2の並設方向(図1中、左右方向)に伸びており、スライドベース6は、その一対のガイドレール8に案内されて、深穴加工機2に対して接近、離間動可能となっている。このスライドベース6には、図示を略す往復駆動源が連係されており、その往復駆動源を駆動することによりスライドベース6が駆動され、それに伴い、チャック装置3が深穴加工機2に対して接近、離間動されることになっている。
チャック装置本体9は、基本構造の下で、その基本構造に取付けるべき構成部品を取り替えることにより、短尺ワークWSと長尺ワークWLとに対する各保持を独自のものとしており、図1、図2は、短尺ワークWSを保持するための構成部品を取付けたチャック装置本体9を示し、図6は、長尺ワークWLを保持するための構成部品を取付けたチャック装置本体9を示している。先ず、短尺ワークWSを保持するための構成部品を取付けたチャック装置本体9について説明する。
軸受け19は、その軸線方向をハウジング12の貫通孔13の軸線方向に向けつつ前記第1内周面14に嵌合保持されている。その軸受け19は、その軸受け19の一端面外周縁部が前記カバー部材17における孔周縁部に当接され、軸受け19の他端面は、その外周縁部においてハウジング12における段差面16に当接されている。
回転体20は、上記軸受け19の内周面に嵌合保持されている。この回転体20は、その一端部が軸受け19の一端面よりも多少、外方に突出して、カバー部材17の孔18内にまで伸びており、その回転体20の一端部外周面には環状板90が螺合されている。この環状板90は、カバー部材17における孔18の内周面と回転体20の一端部外周面との間をほぼ閉塞した状態で、軸受け19の一端面内周縁部に臨んでいる。他方、回転体20の他端部外周面には、ハウジング12の第2内周面15に向けて拡がるようにして拡径部21が一体的に形成されており、その拡径部21は軸受け19の他端面内周縁部に臨んでいる。これにより、回転体20は、軸受け19に基づき、その軸受け19の軸線方向に変位動することなくハウジング12に対して相対回転可能となっている。この回転体20の貫通孔22は、その軸線方向内方部分における内周面23の内径が最も短くされ、その軸線方向一端側(図1、図2中、右端側)及び他端側(図1、図2中、左端側)の各内周面24,25の内径は、その軸線方向内方部分の内径よりも拡径されている。このため、軸受け19の軸線方向内方部分の内周面23とその軸線方向一端側の内周面24との間には段差面26が形成され、軸受け19の軸線方向内方部分の内周面23とその軸線方向他端側の内周面25との間には段差面27が形成されている。
スリーブ29としては、その軸線方向長さが前記ハウジング12の幅方向長さよりも多少、長くされたものが用いられている。このスリーブ29は、その一端部外周面において拡径部31が形成され、その一端部よりも他端側における外周面においては、その外径は、拡径部の外径よりも短いものをもって一定に維持されている。このスリーブ29は、その他端側が回転体20の一端側開口から挿入されることにより、回転体20の軸線方向内方部分の内周面23に嵌合され、そのスリーブ29の拡径部31は、前記回転体20の段差面26に当接される。この拡径部31と段差面26とは、留め具32を用いることにより固定されており、スリーブ29と回転体20とは着脱可能に一体化されている。これにより、このスリーブ29の他端側外周面と回転体20の他端側内周面との間には、環状空間33が形成されており、その環状空間33は、ハウジング12の幅方向他端側外方に向けて開口されている。また、このスリーブ29は、その内部において軸線方向全長に亘って伸びる貫通孔29aを有しており、その貫通孔29aが形成する内周面29aaは、その一端側から他端側に向うに従って拡径されるように形成され、そのスリーブ29(貫通孔29a)の他端開口は外部に開放されている。
尚、本実施形態においては、前記円筒本体43の外周面に段部43aが形成され、その段部43aにプーリ51の中央孔周縁部がストッパとして臨んでおり、プーリ51の中央孔周縁部は、円筒本体43の抜け止めを図っている。
一対のガイドレール66は、スライドベース6上において、チャック装置3と深穴加工機2の並設方向(図1中、左右方向)に伸びており、押圧装置10は、その一対のガイドレール66に案内されて、チャック装置本体9に対して接近、離間動可能となっている。
また、シリンダ駆動装置70は、そのシリンダ74内の作動流体(エア)に基づき伸縮ロッド71(ピストン)が作動されるが、プッシャヘッド73に一定力以上の反力が作用したときには、シリンダ74内の作動流体がリリーフ弁(図示略)を介して逃がされ、伸縮ロッド71は、その状態以上には、伸長しないようになっている。
またこのとき同時に、スライドベース6がその位置状態を維持する一方、ガンドリル2Aがチャック装置本体9に接近動することになり、ガンドリル2Aは、第1環状部材56の貫通孔60、ブッシュ59の貫通孔59aを経て、回転中の短尺ワークWSの軸部W1端面へと移動し、その軸部W1端面からその軸部W1に対して深穴加工を行う。この深穴加工に伴い、切削屑が発生するが、その切削屑は、第1環状部材56の凹所内面61aにより、順次、円滑に外部に排出される。
この深穴加工を終えると、プーリ51の回転が停止されると共に、ガンドリル2Aがチャック装置本体9内から退出動する。また同時に、シリンダ駆動装置75における伸縮ロッド78が短縮することになり、押圧装置10は、チャック装置本体9から離間して元の待避位置に戻ることになる。
これにより、加工装置1においては、長尺ワークWLからかなり短い短尺ワークWSまでの多くの種類のワーク(バルブ)に対して深穴加工を行うことができることになり、種々のエンジンに用いる多くの種類のバルブの深穴加工に対応できることになる(エンジンバリエーションに対応)。
2 深穴加工機(穴あけ加工機)
2A ガンドリル
3 チャック装置
9 チャック装置本体
10 押圧装置
12 ハウジング
20 回転体(筒状の本体)
22 回転体の貫通孔(対向端面の開口)
28 コレットチャック
29 スリーブ
29a スリーブの貫通孔
30 コレット
30a コレットの貫通孔
37 係止部材
42 円筒状部材(円筒状部材、筒状部材)
43 円筒本体(筒本体)
45 円環状部材(縮径部、環状蓋)
45a 円環状部材の中央孔
45b 円環状部材の中央孔周縁部分(当接面)
48 規制爪部
49 コイルスプリング(付勢手段)
51 プーリ(ストッパ)
55 環状部材
56 第1環状部材(環状部材)
57 第2環状部材(環状部材)
59 筒部(位置決め用筒部)
61a 凹所内面
63a 凹所内面(受け面)
67 移動体
69 円筒体(押圧部材)
WL 長尺ワーク(ワーク)
WS 短尺ワーク(ワーク)
W1 軸部
W2 傘部(拡径部)
Claims (18)
- 穴あけ加工機と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口されている加工装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置され、
前記穴あけ加工機として、1台の穴あけ加工機が備えられている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項1において、
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記チャック装置の外面のうち、前記穴あけ加工機に近い側に位置するものに比して遠い側に位置するものに近づけられている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項2において、
前記チャック装置が、前記コレットチャックが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径状態とするときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させた上で、その押圧状態を維持するように設定されている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項3において、
前記チャック装置本体に筒状の本体が、その軸線方向を前記コレットの軸線方向に向くようにして備えられ、
前記本体内に前記スリーブが、その他端側を前記押圧装置に向けた状態で取付けられ、
前記スリーブの他端側内に前記コレットが、該コレットの他端側を前記押圧装置に向けた状態で嵌合され、
前記スリーブの内周面が、該スリーブの一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記コレットの外周面が、その一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記押圧装置は、前記コレットを縮径させるときには、該コレットを押圧して該コレットと前記スリーブとを相対移動させるように設定されている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項4において、
前記コレットの他端側開口周縁部に係止部材が設けられ、
前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に、筒状部材の一端側が、該筒状部材の他端側を前記スリーブの他端側外方に突出させた状態で摺動可能に介在され、
前記筒状部材の他端側内周面に、該筒状部材の他端側内径を該筒状部材の一端側内径よりも縮径させた縮径部が形成され、
前記縮径部には、前記コレットの他端面外周縁部に当接する当接面と、該当接面が該コレットの他端面外周縁部に当接している状態の下で前記係止部材に係止されて該コレットと前記筒状部材とを該コレットの軸線方向に相対変位不能とする規制爪部と、が設けられ、
前記筒状部材の一端面と前記本体との間に、該筒状部材の縮径部を前記スリーブの他端面から離間する方向に付勢する付勢手段が介在されている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項1において、
前記スリーブの一端面に、軸状ワークの径よりも縮径された貫通孔を有する第1環状部材又は軸状ワークの径よりも拡大された貫通孔を有する第2環状部材のいずれかが選択的に着脱可能に取付けられ、
前記第1環状部材として、該第1環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第1環状部材の貫通孔周縁部に位置決め用筒部を突設して該位置決め用筒部を前記スリーブ内に該スリーブの一端側から進入させるものが用いられ、
前記第2環状部材として、該第2環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第2環状部材の外面側に該環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所を形成して該凹所の内面を該貫通孔の軸線方向外方に向うに従って拡径するように傾斜させたものが用いられる、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項6において、
前記第1環状部材の外面側には、該第1環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所が形成され、
前記凹所内面が、前記貫通孔の軸線方向において前記位置決め用筒部から前記環状部材の外面側に向うに従って拡径されるように傾斜されている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項6において、
前記スリーブの一端面に前記第2環状部材が取付けられたときには、前記スリーブ内に、前記コレットとして、該コレットの軸線方向長さが標準長さよりも長くされた長尺コレットが組み込まれ、
前記長尺コレットの一端面が前記スリーブの軸線方向中央部を越えて該第2環状部材の内面側に位置されている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項4において、
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされる移動体と、該移動体に、前記コレットに対する押圧力作用可能領域に臨むようにした状態で回転可能に支持される押圧部材と、を備えている、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項5において、
前記筒状部材が、一端側が前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に摺動可能に挿入され他端側が前記スリーブの他端面よりも外方に突出される筒本体と、該筒本体の他端面に着脱可能に取付けられる環状蓋とにより構成され、
前記本体に、前記筒本体の他端側が前記スリーブの他端面に対して所定突出量を超えたとき、該筒本体に係合して該筒本体の移動を規制するストッパが取付けられ、
前記環状蓋が、前記縮径部として、前記当接面及び前記規制爪部を構成している、
ことを特徴とする加工装置。 - 穴あけ加工磯と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口され、前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている加工装置の下で、
ワークとして、軸部と該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるものを用意し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその他端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその一端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持する、
ことを特徴とする加工装置の使用方法。 - 請求項11において、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部から位置決め用筒部が突出するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の位置決め用筒部を前記スリーブ内に進入させた上で、
前記ワークの軸部を前記コレットの他端側開口から挿入することにより、該ワークの軸部の他端面を前記筒部の端面に当接させる、
ことを特徴とする加工装置の使用方法。 - 請求項11において、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部が前記ワークの拡径部を受け止める受け面を構成するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の受け面を外側に向け、
その上で、前記ワークの軸部を前記環状部材の貫通孔及び前記スリーブの一端側開口を介して前記コレット内に挿入することにより、該ワークの拡径部を前記環状部材の受け面に当接させる、
ことを特徴とする加工装置の使用方法。 - 請求項13において、
前記コレットとして、その軸線方向長さが標準長さよりも長い長尺コレットを用意し、
前記長尺コレットを前記スリーブ内に組み込んで、該長尺コレットの一端面を該スリーブの軸線方向中央部を越えて前記環状部材の内面に近づける、
ことを特徴とする加工装置の使用方法。 - 軸線方向一端面が穴あけ加工機に対向する対向端面とされ、軸線方向他端面が、穴あけ加工機が存在しない空間に臨む端面とされている筒状の本体と、該本体の軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該本体内に設けられるスリーブと、該スリーブの軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該スリーブ内に嵌合されるコレットと、が備えられ、該スリーブ及び該コレットの両端開口が前記本体の軸線方向両端外方に向けて開口されているチャック装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記対向端面の開口に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている、
ことを特徴とするチャック装置。 - 請求項15において、
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記本体の軸線方向一端面よりも該本体の軸線方向他端面に近づけられている、
ことを特徴とするチャック装置。 - 請求項16において、
前記本体、前記コレット及び前記スリーブが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径状態とするときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させた上で、その押圧状態を維持するように設定されている、
ことを特徴とするチャック装置。 - 請求項17において、
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされた移動体と、該移動体に、前記コレット又はスリーブに対する押圧力作用可能領域に臨むようにした状態で回転可能に支持される押圧部材と、を備えている、
ことを特徴とするチャック装置。
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