以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
[実施形態]
図1は、電子機器1の正面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が閉位置P0に位置された状態の図である。図2は、電子機器1の正面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が第一展開位置P1に位置された状態の図である。なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、ベース筐体2の奥行(前後方向)に沿い、Y方向は、ベース筐体2の幅(左右方向、長手方向)に沿い、Z方向は、ベース筐体2の厚さ(上下方向)に沿う。また、以下の説明では、X方向は後方、X方向の反対方向は前方とも称され、Y方向は左方、Y方向の反対方向は右方とも称され、Z方向は上方、Z方向の反対方向は下方とも称される場合がある。
図1,2に示されるように、電子機器1は、例えば、クラムシェル型(ノートブック型)のパーソナルコンピュータとして構成されており、ベース筐体2と、ディスプレイ筐体3と、を備えている。ベース筐体2には、キーボード4(入力装置)や、不図示の基板等が収容され、ディスプレイ筐体3には、アンテナユニット5や、ディスプレイユニット6、後述するスペーサ10(図6参照)等が収容されている。ディスプレイ筐体3は、筐体の一例である。なお、電子機器1は、この例には限定されず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、映像表示装置、テレビジョン受像機、ゲーム機、映像表示制御装置、情報記憶装置等であってもよい。
ベース筐体2は、例えば、キーボード4が露出する上面2a1と、上面2a1とは反対側を向いた下面2b1と、を有する。キーボード4は、上方から操作可能な状態に、ベース筐体2に支持されている。また、ベース筐体2内には、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数の電子部品が実装された基板が設けられている。基板内の配線とこれら複数の電子部品とによって、電子機器1の制御回路の少なくとも一部が構成されている。
ディスプレイ筐体3は、例えば、ディスプレイユニット6の表示画面6aが露出する前面3a1と、前面3a1とは反対側を向いた後面3b1と、を有する。ディスプレイユニット6は、表示画面6aが前方から視認可能な状態に、ディスプレイ筐体3に支持されている。また、前面3a1の一部および表示画面6aは、タッチパネル9の透明部によって覆われている。なお、本実施形態では、ディスプレイ筐体3にタッチパネル9が設けられている場合が例示されるが、この例には限定されず、例えば、タッチパネル9は無くてもよい。
アンテナユニット5は、例えば、ディスプレイ筐体3の上端部3j側の左右に設けられている。アンテナユニット5は、それぞれケーブル40(図6参照)を介して、基板の通信チップと電気的に接続されている。アンテナユニット5は、ダイバーシティアンテナの一例である。本実施形態によれば、複数のアンテナユニット5で受信した同一の無線信号について、電波状況の優れたアンテナユニット5の信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりすることによって、通信の質や信頼性の向上を図ることができる。なお、アンテナユニット5は、この例には限定されず、例えば、上端部3j側の中央部や、左右の一方のみに設けられてもよい。
図3は、電子機器1の背面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が第二展開位置P2に位置された状態の図である。図4は、電子機器1の背面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が第三展開位置P3に位置された状態の図である。本実施形態では、電子機器1は、図2に示されるノートブックモードや、図3に示されるテントモード(スタンドモード)、図4に示されるスレートモード(タブレットモード)等、複数のモードで使用可能に構成されている。
具体的には、ディスプレイ筐体3は、ベース筐体2にY方向に沿って延びる二つの回転中心Ax1,Ax2(回転軸)を有したヒンジ7を介して回転可能に支持されている。ディスプレイ筐体3は、ヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2回りに回転することで、閉位置P0(図1)と、第一展開位置P1(図2)と、第二展開位置P2(図3)と、第三展開位置P3(図4)と、の間で移動可能である。
図1に示されるように、ディスプレイ筐体3が閉位置P0に位置された状態では、ベース筐体2の上面2a1およびキーボード4と、ディスプレイ筐体3の前面3a1およびディスプレイユニット6の表示画面6aとが対向する。よって、閉位置P0では、キーボード4やタッチパネル9等は、ベース筐体2およびディスプレイ筐体3によって隠れるため、操作不能である。閉位置P0は、初期位置や、第一折り畳み位置等とも称される。
図2に示されるように、ディスプレイ筐体3が第一展開位置P1に位置された状態では、上面2a1およびキーボード4と、前面3a1および表示画面6aとが対向せず、上面2a1、キーボード4、前面3a1、および表示画面6aが露出する。第一展開位置P1におけるディスプレイ筐体3のベース筐体2に対する回転角度は、例えば、90°〜170°である。第一展開位置P1では、所謂ノートブックモードとして使用され、ベース筐体2が不図示の机や台等の載置部に載せられた状態でキーボード4によって操作が行われる。第一展開位置P1は、第一使用位置等とも称される。
図3に示されるように、ディスプレイ筐体3が第二展開位置P2に位置された状態では、上面2a1およびキーボード4と、前面3a1および表示画面6aとが互いに反対側を向く。第二展開位置P2におけるディスプレイ筐体3のベース筐体2に対する回転角度は、例えば、270°〜350°である。第二展開位置P2では、所謂テントモード(スタンドモード)として使用され、ベース筐体2およびディスプレイ筐体3が不図示の載置部に立てられた状態でタッチパネル9によって操作が行われる。第二展開位置P2は、第二使用位置等とも称される。
また、図4に示されるように、ディスプレイ筐体3が第三展開位置P3に位置された状態においても、上面2a1およびキーボード4と、前面3a1および表示画面6aとが互いに反対側を向く。第三展開位置P3におけるディスプレイ筐体3のベース筐体2に対する回転角度は、360°である。第三展開位置P3では、所謂スレートモード(タブレットモード)として使用され、ベース筐体2が不図示の載置部に載せられた状態あるいはベース筐体2が載置部から持ち上げられた状態でタッチパネル9によって操作が行われる。
なお、第三展開位置P3は、この例には限定されず、例えば、互いに交差(直交)する二つの回転中心を有したヒンジによって、ベース筐体2の上面2a1(図2参照)側でディスプレイ筐体3の表示画面6aが上面2a1とは反対側を向くように重ねられてもよい。第三展開位置P3は、第三使用位置や、第二折り畳み位置等とも称される。
図1〜4に示されるように、ディスプレイ筐体3は、例えば、一方向(図1ではZ方向)に扁平な直方体状に構成されている。ディスプレイ筐体3は、前壁3aや、後壁3b、複数の側壁3c〜3f等を有している。前壁3aは、前面3a1を含み、後壁3bは、後面3b1を含む。前壁3aは、四角形状の枠状に構成され、後壁3bは、四角形状の板状に構成されている。
図2に示されるように、側壁3cおよび側壁3eは、それぞれ、ディスプレイ筐体3の下端部3hおよび上端部3jを構成している。下端部3hは、ヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と隣接(近接)している。上端部3jは、下端部3hよりもヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と離間している。また、側壁3dおよび側壁3fは、それぞれ、ディスプレイ筐体3の左端部3iおよび右端部3kを構成している。
また、ディスプレイ筐体3には、四つの角部3m〜3pが設けられている。角部3mは、左端部3iと上端部3jとの交差部によって構成され、角部3nは、上端部3jと右端部3kとの交差部によって構成されている。また、角部3oは、右端部3kと下端部3hとの交差部によって構成され、角部3pは、下端部3hと左端部3iとの交差部によって構成されている。各角部3m〜3pは、角丸(角R)状に構成されている。
また、ディスプレイ筐体3は、複数の部品(分割体)が組み合わせられて構成されている。具体的には、ディスプレイ筐体3は、例えば、フロントカバー31と、リヤカバー32と、を有している。フロントカバー31は、前壁3aと、側壁3c〜3fのそれぞれの一部と、を含む。リヤカバー32は、後壁3bと、側壁3c〜3fのそれぞれの一部と、を含む。フロントカバー31とリヤカバー32とは、爪やネジ等によって互いに結合されている。
ベース筐体2は、例えば、Z方向に扁平な直方体状の箱型に構成されている。ベース筐体2は、上壁2aや、下壁2b、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f等の複数の壁部を有している。前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fは、側壁や、周壁、立壁等とも称される。
上壁2aおよび下壁2bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。上壁2aは、上面2a1を含み、下壁2bは、下面2b1を含む。下面2b1には、ベース筐体2を不図示の載置部から離間した状態に支持する複数の支持部2p(図3参照)が設けられている。支持部2pは、脚やゴム脚等とも称される。
前壁2cおよび後壁2eは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cおよび後壁2eは、それぞれ、ベース筐体2の前端部2hおよび後端部2jを構成している。前端部2hは、ヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と離間している。後端部2jは、前端部2hよりもヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と隣接(近接)している。
左壁2dおよび右壁2fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁2dは、上壁2aおよび下壁2bのY方向の端部の間に亘り、右壁2fは、上壁2aおよび下壁2bのY方向の反対方向の端部の間に亘っている。左壁2dおよび右壁2fは、それぞれ、ベース筐体2の左端部2iおよび右端部2kを構成している。
また、ベース筐体2は、複数の部品(分割体)が組み合わせられて構成されている。具体的には、ベース筐体2は、例えば、トップカバー21と、ボトムカバー22と、を有している。トップカバー21は、上壁2aと、前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fのそれぞれの一部と、を含む。ボトムカバー22は、下壁2bと、前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fのそれぞれの一部と、を含む。トップカバー21とボトムカバー22とは、爪やネジ等によって互いに結合されている。
図5は、図4のV−V断面図である。図5に示されるように、ディスプレイ筐体3のリヤカバー32は、第一部材32Tと、第二部材32Uと、を有している。第一部材32Tは、合成樹脂材料によって構成され、第二部材32Uは、マグネシウム合金等の金属材料によって構成されている。第一部材32Tと第二部材32Uとは、例えば、インサート成形(ハイブリット成形)等によって製造され、互いに接合(一体化)されている。なお、第二部材32Uは、この例には限定されず、例えば、合成樹脂材料によって構成されてもよい。
また、ディスプレイ筐体3のフロントカバー31は、第一部材31Aと、第二部材31Bと、を有している。第一部材31Aは、合成樹脂材料によって構成され、第二部材31Bは、ゴムやエラストマ等によって構成されている。第二部材31Bは、第一部材31Aおよびタッチパネル9よりも後壁3bの内面から離れるD1方向に突出している。これにより、ディスプレイ筐体3が閉位置P0(図1参照)に位置された状態において、第一部材31Aおよびタッチパネル9とベース筐体2とが接触するのを防止している。
また、第一部材31A,32Tは、アンテナユニット5のアンテナ5aとディスプレイ筐体3の厚さ方向(D1方向)に重なって位置されている。第一部材31A,32Tは、合成樹脂材料によって構成されているので、アンテナ5aは、第一部材31A,32Tを介して電波を送受信することができる。アンテナ5aは、例えば、無線LAN(Local Area Network)用である。なお、アンテナ5aは、無線LAN用以外のものであってもよい。アンテナ5aは、金属材料によって構成されている。
また、アンテナユニット5は、接続部材5bを有している。接続部材5bは、複数の折り曲げ部を有した板状に形成され、アンテナ5aから延びている。接続部材5bは、金属材料によって構成されている。接続部材5bは、リヤカバー32の第二部材32Uの内面に接触した状態で、アルミテープ等によって第二部材32Uに固定されている。これにより、アンテナ5aと第二部材32Uとが接続部材5bを介して電気的に接続され、第二部材32Uがアンテナ5aのグランド部材として機能する。
また、図5に示されるように、ベース筐体2のトップカバー21およびボトムカバー22についても、それぞれ、第一部材21F,22Fと、第二部材21R,22Rと、を有している。第一部材21F,22Fは、合成樹脂材料によって構成され、第二部材21R,22Rは、マグネシウム合金等の金属材料によって構成されている。第一部材21F,22Fと第二部材21R,22Rとは、例えば、インサート成形(ハイブリット成形)等によって製造され、互いに接合(一体化)されている。なお、第二部材21R,22Rは、この例には限定されず、例えば、合成樹脂材料によって構成されてもよい。
第一部材21F,22Fと第二部材21R,22Rとは、それぞれ、X方向に並んでいる。言い換えると、第二部材21R,22Rは、第一部材21F,22Fよりも前端部2hから離れて位置されている。本実施形態では、ディスプレイ筐体3が第三展開位置P3に位置された状態で、第一部材21F,22Fがアンテナ5aとZ方向に重なって位置されている。これにより、ディスプレイ筐体3が第三展開位置P3で使用されるような場合にも、アンテナ5aは、合成樹脂材料で構成された第一部材21F,22Fを介して電波を送受信することができる。
次に、スペーサ10についてより詳しく説明する。図6は、図2の角部3nのアンテナユニット5近傍のフロントカバー31およびタッチパネル9を取り外した状態の斜視図である。図7は、スペーサ10の斜視図である。図8は、図6のスペーサ10近傍の分解斜視図である。
図6〜8に示されるように、スペーサ10は、例えば、後壁3bとディスプレイユニット6との間に介在される。スペーサ10は、エラストマやゴム等によって構成され、ディスプレイユニット6を弾性的に支持している。スペーサ10は、弾性部材や、クッション部材、緩衝材、衝撃吸収材等とも称される。後壁3bは、壁部の一例であり、ディスプレイユニット6は、第一電気部品の一例である。
また、スペーサ10は、例えば、ディスプレイユニット6の角部6eに対応する位置に設けられている。ディスプレイユニット6は、ディスプレイ筐体3と同様に、後壁3bと交差したD1方向に扁平な直方体状である。本実施形態では、ディスプレイユニット6の四つの角部6eに対応して、四つのスペーサ10が設けられている。
スペーサ10は、例えば、ベース部11(図7参照)と、ベース部11から突出したケーブル保持部12と、を有している。ベース部11は、D1方向から見た場合に、ディスプレイユニット6の角部6eを構成する一方の端部6cと他方の端部6dとの間に亘り角部6eに向けて開放された略L字状(略V字状)に構成されている。端部6cは、第一端部の一例であり、端部6dは、第二端部の一例である。
端部6cは、ディスプレイ筐体3の右端部3kおよび左端部3iと平行に延び、端部6dは、ディスプレイ筐体3の上端部3jおよび下端部3hと平行に延びている。端部6cのディスプレイユニット6とは反対側には、ケーブル保持部12が設けられ、端部6dのディスプレイユニット6とは反対側には、アンテナユニット5が設けられている。アンテナユニット5は、第二電気部品の一例である。
また、ベース部11(図7参照)は、例えば、底壁11aと、立壁11b,11cと、突出壁11dと、を有している。底壁11aは、後壁3bと平行に延びた略L字状(略V字状)の板状である。底壁11aは、後壁3bとディスプレイユニット6との間に位置され、ディスプレイユニット6の表示画面6aとは反対側の面6b(図12参照)を弾性的に支持する。
立壁11bは、底壁11aの端部6c(ケーブル保持部12)側の一端部に設けられている。立壁11bは、底壁11aからD1方向に突出し、端部6cに沿うD2方向に延びている。立壁11bは、ディスプレイユニット6と後壁3bに設けられたリブ3y(図12参照)との間に位置され、端部6cの端面を弾性的に支持する。
図6,7に示されるように、立壁11cは、底壁11aの端部6d(アンテナユニット5)側、すなわち端部6cとは反対側の他端部に設けられている。立壁11cは、底壁11aからD1方向に突出し、端部6dに沿うY方向に延びている。立壁11cは、ディスプレイユニット6と後壁3bに設けられた突出部3u(図6,8参照)との間に位置され、端部6dの端面を弾性的に支持する。
突出壁11dは、立壁11cの底壁11aとは反対側の端部に設けられている。突出壁11dは、立壁11cから底壁11aに沿って底壁11aとは反対側、すなわちD2方向に延びている。突出壁11dには、開口部11eが設けられている。開口部11eは、突出壁11dをD1方向に貫通するとともにY方向に延びた長穴である。
開口部11eには、上述した突出部3uが挿入される。そして、本実施形態では、開口部11eの縁部と突出部3uとの当接によって、ベース部11(スペーサ10)の後壁3bに沿った移動が制限される。突出部3uおよび開口部11eは、第一位置決め部の一例である。
リブ3yは、立壁11bのディスプレイユニット6とは反対側に設けられている。リブ3yは、後壁3bからD1方向に突出し、D2方向に延びている。リブ3yは、ディスプレイ筐体3の側壁3f(右端部3k)と離れて位置されている。そして、リブ3yと側壁3fとの間には、ケーブル40をD2方向に沿って配索可能な配線通路Pが設けられている。
なお、本実施形態では、左端部3i(図2参照)側のアンテナユニット5に対応して、側壁3dと左端部3i側のリブ3yとの間にも、ケーブル40をD2方向(図2ではZ方向)に沿って配索可能な配線通路Pが設けられている。なお、角部3m,3o,3pのスペーサ10は、例えば、角部3nのスペーサ10(図7参照)と略対称となるように構成されてもよいし、異なる形状や大きさに構成されてもよい。
図7,8に示されるように、ケーブル保持部12は、例えば、接続片12aと、保持片12bと、を有している。保持片12bは、リブ3yの立壁11b(ディスプレイユニット6)とは反対側、すなわち配線通路Pに位置されている。保持片12bは、エラストマやゴム等のベース部11と同じ材料によって構成されているため、可撓性を有している。保持片12bは、自由状態(図9参照)では、配線通路Pに面したリブ3y、後壁3b、および側壁3fに沿いD1方向に開放された略U字状に構成されている。
また、保持片12bには、突起12cが設けられている。突起12cは、保持片12bの先端部12b1と基端部12b2との間に位置され、ケーブル40側に突出している。そして、本実施形態では、突起12cよりも保持片12bの基端部12b2側にケーブル40を保持可能な空間S1(図7参照)が設けられ、突起12cよりも保持片12bの先端部12b1側に別の空間S2が設けられている。空間S1,S2は、ケーブル40(保持片12b)に沿ってD2方向に延びている。空間S1は、第一空間の一例であり、空間S2は、第二空間の一例である。
また、突起12c(図11,12参照)は、例えば、ケーブル40と部分的に重なるように設けられている。突起12cの先端と保持片12bとの間のY方向の開口幅は、ケーブル40の直径よりも僅かに狭い。これにより、ケーブル40の空間S1内への挿入が許容されているとともに、ケーブル40の空間S1からの抜けが抑制されている。
接続片12aは、リブ3yとD1方向に重なって位置されている。接続片12aは、保持片12bの基端部12b2と立壁11b(ベース部11)とをリブ3yを跨ぐように接続している。図8に示されるように、接続片12a(ケーブル保持部12)のD2方向に沿った幅は、リブ3yのD2方向に沿った幅と略同じである。
また、接続片12aには、開口部12eが設けられている。開口部12eは、接続片12aをD1方向に貫通している。開口部12eには、リブ3yから後壁3bとは反対側、すなわちD1方向に突出したフック部3xが挿入される。そして、本実施形態では、開口部12eの縁部とフック部3xの根元3x2との当接によって、ケーブル保持部12(スペーサ10)の後壁3bに沿った移動が制限される。開口部12eは、第二開口部の一例である。また、開口部12eおよびフック部3xは、第二位置決め部の一例である。
また、保持片12bの先端部12b1には、フック部3xと係合可能な開口部12dが設けられている。図6に示されるように、本実施形態では、フック部3xの爪3x1と開口部12dの周縁部との係合によって、保持片12bのD1方向、すなわち後壁3bから離れる方向への移動が制限される。これにより、保持片12bがケーブル40の周囲を囲んだ状態が保持される。開口部12dは、第一開口部の一例である。
次に、スペーサ10およびディスプレイユニット6の組付方法について説明する。図9は、電子機器1のスペーサ10およびディスプレイユニット6の組付方法を説明する斜視図であって、図8の状態よりも後の状態を示した図である。図10は、電子機器1のスペーサ10およびディスプレイユニット6の組付方法を説明する斜視図であって、図9の状態よりも後の状態を示した図である。
図8に示されるように、まず、スペーサ10の開口部11eをD1方向から後壁3bの突出部3uに近づけて開口部11e内に挿入するとともに、スペーサ10の開口部12eをD1方向から後壁3bのフック部3xに近づけて開口部12e内に挿入する(図9参照)。これにより、スペーサ10が後壁3bに対して二箇所で位置決めされて、スペーサ10の後壁3bに沿った移動や回転等が制限される。
次に、ディスプレイユニット6をD1方向からスペーサ10に近づけて立壁11b,11cの内側のスペースに挿入する(図10参照)。これにより、ディスプレイユニット6の表示画面6aとは反対側の面6b(図12参照)が底壁11aに弾性的に支持されるとともに、ディスプレイユニット6の端部6c,6dの端面が立壁11b,11cに弾性的に支持される。
次に、ケーブル40の固定方法について説明する。図11は、図10のスペーサ10近傍の断面図である。図12は、電子機器1のケーブル40の固定方法を説明する断面図であって、図11の状態よりも後の状態を示した図である。図13は、電子機器1のケーブル40の固定方法を説明する断面図であって、図12の状態よりも後の状態を示した図である。図14は、電子機器1のケーブル40の固定方法を説明する断面図であって、図13の状態よりも後の状態を示した図である。
図10に示されるように、まず、ケーブル40をD1方向からケーブル保持部12に近づけて保持片12bの内側(空間S2)に挿入する。次に、図11に示されるように、ケーブル40を保持片12bの突起12cに押し付ける。これにより、突起12cがD1方向に沿って弾性変形してケーブル40が突起12cよりも基端部12b2側の空間S1に挿入される(図12参照)。
図12の状態では、ケーブル40と突起12cとの当接によって、ケーブル40の保持片12bに対するD1方向への移動が制限される。また、ケーブル40が基端部12b2と突起12cとの間に挟まれることによって、ケーブル40の保持片12bに対するD2方向、すなわちケーブル40の長手方向(軸方向)への移動が制限される。
次に、図13に示されるように、保持片12bの先端部12b1をフック部3xに近づけるように変形させ、フック部3xを開口部12d内に挿入する(図14参照)。これにより、フック部3xの爪3x1と開口部12dの周縁部とが係合し、保持片12bのD1方向、すなわち後壁3bから離れる方向への移動が制限される。
このように、本実施形態によれば、スペーサ10にケーブル保持部12が設けられているため、例えば、アンテナユニット5のケーブル40をケーブル保持部12に固定することにより、ケーブル40がディスプレイ筐体3内の配線通路Pから外れるのを抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、スペーサ10は、ディスプレイ筐体3(筐体)の後壁3b(壁部)とディスプレイ筐体3に収容されたディスプレイユニット6(第一電気部品)との間に介在し、ディスプレイユニット6を弾性的に支持するベース部11と、ベース部11から突出し、ディスプレイ筐体3内のケーブル40を保持可能なケーブル保持部12と、を備える。
このような構成によれば、例えば、スペーサ10のケーブル保持部12を利用することにより、ディスプレイ筐体3内に配索されたケーブル40を固定可能な新規な構成のスペーサ10を得ることができる。また、例えば、ケーブル保持部12がベース部11から後壁3bに沿うY方向またはY方向の反対方向に突出しているため、ケーブル40がディスプレイユニット6とY方向に並んで配置されやすく、ひいてはディスプレイ筐体3が後壁3bと交差したD1方向により小型(薄型)に構成されやすい。
また、本実施形態では、ケーブル保持部12は、可撓性を有し、ケーブル40の周囲を囲むように変形可能な保持片12bを有している。
このような構成によれば、例えば、保持片12bによって、ケーブル40の周囲を囲むように覆った状態で、ケーブル40を保持することができる。また、例えば、保持片12bが可撓性を有するため、保持片12bをより容易にケーブル40の周囲を一回りするように変形(屈曲)させることができる。
また、本実施形態では、保持片12bの先端部12b1には、後壁3bに設けられたフック部3xと係合可能な開口部12d(第一開口部)が設けられる。
このような構成によれば、例えば、フック部3xと開口部12dとの係合によって、保持片12bの後壁3bから離れるD1方向への移動が制限され、ひいては保持片12bがケーブル40の周囲を囲んだ状態を保持することができる。
また、本実施形態では、保持片12bは、ケーブル40と部分的に重なるように突出した突起12cを有し、突起12cよりも保持片12bの基端部12b2側にケーブル40を保持可能な空間S1(第一空間)が設けられ、突起12cよりも保持片12bの先端部12b1側に別の空間S2(第二空間)が設けられる。
このような構成によれば、例えば、ケーブル40が一つの場合と、ケーブル40が複数の場合とで共用可能なスペーサ10を得ることができる。また、例えば、ケーブル40が一つの場合には、ケーブル40と突起12cとの当接によって、ケーブル40のD1方向への移動を制限できるとともに、ケーブル40が突起12cと基端部12b2との間に挟まれることによって、ケーブル40の保持片12bに対するD2方向、すなわちケーブル40の長手方向(軸方向)への移動を制限できる。
また、本実施形態では、電子機器1は、スペーサ10と、スペーサ10が取り付けられた後壁3bを有したディスプレイ筐体3と、ディスプレイ筐体3に収容され、スペーサ10のベース部11に弾性的に支持されたディスプレイユニット6と、ディスプレイ筐体3に収容され、スペーサ10のケーブル保持部12に保持されたケーブル40と、を備える。
このような構成によれば、例えば、スペーサ10のケーブル保持部12を利用することにより、ディスプレイ筐体3内に配索されたケーブル40を固定可能な新規な構成の電子機器1を得ることができる。
また、本実施形態では、ディスプレイユニット6は、ケーブル保持部12側の端部6c(第一端部)と、端部6cと交差した端部6d(第二端部)と、を有し、端部6dのディスプレイユニット6とは反対側に設けられ、ケーブル40と接続されたアンテナユニット5(第二電気部品)を備える。
このような構成によれば、例えば、ケーブル保持部12によって、端部6cとは異なる端部6dに設けられたアンテナユニット5のケーブル40を保持することができ、ひいてはケーブル40をディスプレイユニット6の周縁部に沿って配索することができる。
また、本実施形態では、ディスプレイ筐体3は、後壁3bから突出し、端部6cに沿って延びたリブ3yを有し、ケーブル保持部12は、保持片12bとベース部11とをリブ3yを跨ぐように接続する接続片12aを有している。
このような構成によれば、例えば、接続片12aによって、リブ3yのディスプレイユニット6とは反対側に位置された保持片12bと、リブ3yのディスプレイユニット6側に位置されたベース部11とを接続することができる。
また、本実施形態では、ディスプレイ筐体3は、リブ3yから後壁3bとは反対側に突出したフック部3xを有し、接続片12aには、フック部3xが貫通し、フック部3xの根元3x2との当接によってスペーサ10の後壁3bに沿った移動を制限する開口部12e(第二開口部)が設けられる。
このような構成によれば、例えば、開口部12eおよびフック部3xによって、スペーサ10の後壁3bに対する位置ずれを抑制することができる。また、例えば、ベース部11の立壁11c側の開口部11eおよび突出部3uと併用することによって、スペーサ10の後壁3bに対する位置ずれをより一層抑制することができる。
[変形例]
図15は、変形例の電子機器1Aの正面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が第一展開位置P1に位置された状態の図である。電子機器1Aは、上記実施形態の電子機器1と同様の構成を備えている。よって、電子機器1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図15に示されるように、アンテナユニット5とY方向に並んでアンテナユニット50が設けられている点が、上記実施形態と相違している。アンテナユニット50のアンテナは、例えば、無線WAN(Wide Area Network)用である。なお、アンテナユニット50のアンテナは、無線WAN用以外のものであってもよい。
アンテナユニット50は、例えば、ディスプレイ筐体3の上端部3j側の左右に設けられている。アンテナユニット50は、それぞれアンテナユニット5のケーブル40とは別のケーブル60(図18参照)を介して、基板の通信チップと電気的に接続されている。なお、アンテナユニット50は、この例には限定されず、例えば、上端部3j側の中央部や、左右の一方のみに設けられてもよい。
次に、ケーブル40,60の固定方法の一例について説明する。図16は、変形例の電子機器1Aのケーブル40,60の固定方法を説明する断面図である。図17は、変形例の電子機器1Aのケーブル40,60の固定方法を説明する断面図であって、図16の状態よりも後の状態を示した図である。図18は、変形例の電子機器1Aのケーブル40,60の固定方法を説明する断面図であって、図17の状態よりも後の状態を示した図である。
まず、ケーブル40をD1方向からケーブル保持部12に近づけて保持片12bの内側(空間S2)に挿入し、ケーブル40を保持片12bの突起12cに押し付ける。これにより、突起12cがD1方向に沿って弾性変形してケーブル40が突起12cよりも基端部12b2側の空間S1に挿入される(図16参照)。
次に、図17に示されるように、ケーブル40とは別のケーブル60をD1方向からケーブル保持部12に近づけて保持片12bの空間S2に挿入する。
そして、保持片12bの先端部12b1をフック部3xに近づけるように変形させ、フック部3xを開口部12d内に挿入する(図18参照)。これにより、フック部3xの爪3x1と開口部12dの周縁部とが係合し、保持片12bのD1方向、すなわち後壁3bから離れる方向への移動が制限される。
図18の状態では、ケーブル40が基端部12b2と突起12cとの間に挟まれ、ケーブル60が先端部12b1と突起12cとの間に挟まれることによって、ケーブル40,60の保持片12bに対するD1方向への移動が制限されるとともに、ケーブル40,60の保持片12bに対するD2方向、すなわちケーブル40,60の長手方向(軸方向)への移動が制限される。
このように、本変形例によれば、例えば、突起12cよりも保持片12bの先端部12b1側の空間S2(第二空間)を利用することにより、ケーブル40が一つの場合と、ケーブル40,60が複数の場合とで共用可能なスペーサ10を得ることができる。
なお、本変形例では、ケーブル保持部12によってアンテナユニット5,50のケーブル40,60が保持された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、左右のアンテナユニット5(図2参照)の二つのケーブル40がケーブル保持部12によって片側の配線通路Pにまとめられて保持されてもよい。
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。