JP6766028B2 - 鞍乗り型車両のスイングアーム - Google Patents
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Description
また、軽量化及び剛性向上の観点から、筒状の構造部品(プロペラシャフト)を繊維強化樹脂で構成することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、剛性が高い中空のスイングアームを提供することを目的とする。
さらに、上記発明において、前記センター部材(27)は、前記スイングアーム本体(25)に重ねられて接合され、前記センター部材(27)の外縁(51a,52a)は、車幅方向の中央部に凹部(53,54)を備えても良い。
また、上記発明において、前記ピボット部材(26L)に、チェーンスライダー(29)が取り付けられるチェーンスライダー取付部(59)が設けられても良い。
この構成によれば、スイングアーム本体は、ピボット側開口部から車輪側開口部まで連続する中空状であるため、繊維強化樹脂製のスイングアーム本体の内部から圧力を加えることができ、この圧力によってスイングアーム本体を中空に成形できる。これにより、繊維強化樹脂の繊維の連続性をスイングアーム本体の広い範囲に亘って維持できるため、剛性が高い中空のスイングアームを提供できる。
また、上記発明において、ピボット部材とセンター部材との当接面は、ピボット部の軸線に対して垂直な面であっても良い。この構成によれば、ピボット部材をセンター部材に真っ直ぐに突き当てて、ピボット部材を高精度に位置決めできる。
また、上記発明において、ピボット部材に、チェーンスライダーが取り付けられるチェーンスライダー取付部が設けられても良い。この構成によれば、金属製のピボット部材にチェーンスライダー取付部が設けられるため、チェーンスライダー取付部を設けるために繊維強化樹脂の繊維の連続性を分断する必要がない。このため、スイングアームの剛性を高くできる。
また、上記発明において、ピボット部材及びセンター部材は、ピボット側開口部を塞いでも良い。この構成によれば、簡単な構造でピボット側開口部を塞ぐことができる。
自動二輪車1は、車体フレームF(車体)にパワーユニットとしてのエンジン10が支持され、前輪2を操舵可能に支持する操舵系11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3(車輪)を支持するスイングアーム12が車体フレームFの後部側に設けられる車両である。自動二輪車1は、運転者が跨るようにして着座するシート13が車体フレームFの後部の上方に設けられる鞍乗り型車両である。
スイングアーム12の前端は、ピボット軸17に軸支される。スイングアーム12は、ピボット軸17を中心に上下方向に揺動可能である。スイングアーム12は、筒状のリアクッションユニット9を介して車体フレームFに連結される。
後輪3は、スイングアーム12の後端部に設けられる車軸18に軸支される。
スイングアーム12は、ピボット軸17(図1)によって軸支されるピボット部20を前端部に備え、車軸18を介して後輪3を支持する車輪支持部21を後端部に備える。
図2及び図3に示すように、スイングアーム12は、ピボット軸17側から後輪3側に向かってアーム状に延びるスイングアーム本体25と、スイングアーム本体25の前端部の左右の側部に結合される一対のピボット部材26L,26Rと、ピボット部材26L,26Rの間に介在するセンター部材27とを備える。
また、スイングアーム12は、スイングアーム本体25の後端部に結合される左右一対のエンドピース28L,28Rを備える。
さらに、スイングアーム12には、駆動チェーン19(図1)をガイドするチェーンスライダー29が取り付けられる。
スイングアーム本体25を構成する繊維強化樹脂は、一例として、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)である。CFRPは、マトリックス樹脂と、強化用のカーボン繊維とによって構成される複合材料であり、例えば、カーボン繊維が束ねられて出来た縦糸と横糸とから織られたクロスにマトリックス樹脂を含浸させたものを加熱・硬化させたものである。マトリックス樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂が用いられるが、熱可塑性樹脂であっても良い。
なお、繊維強化樹脂は、CFRPに限らず、他の種類の繊維を用いたFRP(繊維強化樹脂)を用いても良い。
一側アーム部30Lの前後の中間部には、一側アーム部30Lを前後方向及び車幅方向に貫通するチェーン通し孔36が設けられる。駆動チェーン19の下部はチェーン通し孔36を通る。
車輪支持部21は、一側アーム部30Lの後端部及び他側アーム部30Rの後端部に設けられる。
前端連結部31は、一側アーム部30Lと他側アーム部30Rとを車幅方向に繋ぐ連結部後壁31aと、連結部後壁31aの上縁から前方に延びる連結部上壁31bと、連結部後壁31aの下縁から前方に延びる連結部下壁31cとを備える。また、前端連結部31は、連結部上壁31bと連結部下壁31cとによって区画されて前方に開口する連結部開口31dを備える。
連結部上壁31bは、前下がりに湾曲し、前下方に延びる。連結部下壁31cは、前上がりに湾曲し、前上方に延びる。
ピボット側開口部40は、スイングアーム本体25の前面における車幅方向の一端から他端まで連続して開口している。
ピボット部材26L,26R、センター部材27、及びエンドピース28L,28Rは、それぞれスイングアーム本体25とは個別に形成され、スイングアーム本体25に結合される。
図2〜図5を参照し、センター部材27は、車幅方向に延びる円筒状の筒状部50と、筒状部50から上方に延びる上方延出部51と、筒状部50から下方に延びる下方延出部52とを一体に備える。
センター部材27を構成する素材は、スイングアーム本体25の素材と同一の繊維強化樹脂である。
上方延出部51の上縁51a(外縁)において車幅方向の中央部には、上縁51aを前方側に凹ませる円弧状の上側凹部53(凹部)が設けられる。
下方延出部52の下縁52a(外縁)において車幅方向の中央部には、下縁52aを前方側に凹ませる円弧状の下側凹部54(凹部)が設けられる。
センター部材27の車幅方向の両端面51b,51cは、ピボット軸17(図1)に略直交する向きで直線的に延びる。
詳細には、上方延出部51は、前端連結部31の連結部上壁31bに上方から重ねられ、接着剤によって連結部上壁31bに接着される。
また、下方延出部52は、前端連結部31の連結部下壁31cに下方から重ねられ、接着剤によって連結部下壁31cに接着される。ここで、センター部材27とスイングアーム本体25とは同一の繊維強化樹脂である。このため、センター部材27とは異なるマトリックス樹脂を備える繊維強化樹脂や金属材料にセンター部材27を接着する場合に比して、接着剤によってセンター部材27を強固に接合できる。
筒状部50は、連結部上壁31bと連結部下壁31cとの間の連結部開口31d内で車幅方向に延びる。
スイングアーム本体25の連結部開口31dは、センター部材27によって前方から塞がれる。
図2、図3及び図6を参照し、ピボット部材26Lは、車幅方向に延びる円筒状のピボット筒部56と、ピボット筒部56から後方に延びる取付部57とを一体に備える。
ピボット部材26Lを構成する素材は、金属材料であり、スイングアーム本体25の素材とは異なる。ピボット部材26Lは、本実施の形態では、アルミニウム合金等の軽金属で構成される。
チェーンスライダー取付部59は、ピボット筒部56の前面に設けられる係合突起59aと、取付部57の側壁57cに設けられる固定部59bとを備える。固定部59bには、チェーンスライダー固定具59cが車幅方向外側から締結される。ここでは、チェーンスライダー固定具59cはボルトである。
ピボット部材26Rは、車幅方向に延びる円筒状のピボット筒部61と、ピボット筒部61から後方に延びる取付部62とを一体に備える。
ピボット部材26Rを構成する素材は、金属材料であり、スイングアーム本体25の素材とは異なる。ピボット部材26Rは、本実施の形態では、アルミニウム合金等の軽金属で構成される。
上壁62aの車幅方向の内端面、段部61c、及び下壁62bの車幅方向の内端面は、面一な結合面63を構成する。結合面63は、ピボット軸17(図1)に略直交する向きで直線的に延びる。
図2〜図8を参照し、ピボット部20は、センター部材27及びピボット部材26L,26Rによって構成される。ピボット部20の回動の軸線20aは、ピボット軸17の軸線に一致する。
左側のピボット部材26Lは、一側アーム部30Lの前端部及びセンター部材27に結合される。
詳細には、ピボット部材26Lは、取付部57が一側アーム部30Lの前端部に外側から被せられ、取付部57の内面に設けられる接着剤で一側アーム部30Lの前端部に接着される。
ピボット筒部56は、一側アーム部30Lの前端開口33内に位置する。前端開口33は、ピボット部材26Lによって前方から塞がれる。
詳細には、ピボット部材26Rは、取付部62が他側アーム部30Rの前端部に外側から被せられ、取付部62の内面に設けられる接着剤で他側アーム部30Rの前端部に接着される。
ピボット筒部61は、他側アーム部30Rの前端開口37内に位置する。前端開口37は、ピボット部材26Rによって前方から塞がれる。
ピボット軸17は、互いに同軸に配置されるピボット筒部56、筒状部50、及びピボット筒部61に挿通される。
ピボット軸17は、ピボット筒部56の内周部及びピボット筒部61の内周部に設けられるベアリング(不図示)を介して、ピボット部材26L,26Rに支持される。
連結部29cには、ピボット部材26Lの係合突起59aが後方から係合する係合孔29eが設けられる。上下連結部29dの上下の中間部には、チェーンスライダー固定具59cが車幅方向外側から挿通される。
エンドピース28L,28Rは、略矩形の板状に形成される。エンドピース28L,28Rは、車幅方向に貫通する車軸挿通孔28a,28aを備える。車軸18は、車軸挿通孔28a,28aに挿通されてエンドピース28L,28Rに支持される。
エンドピース28L,28Rは、後端開口34及び後端開口38にそれぞれ後方から差し込まれ、接着剤によって一側アーム部30L及び他側アーム部30Rの後端部に接着される。
スイングアーム本体25、ピボット部材26L,26R、センター部材27、及びエンドピース28L,28Rは、それぞれ個別に製造される。
スイングアーム本体25は、素材となる繊維強化樹脂が成形用の金型内にセットされ、スイングアーム本体25の中空部に配置される風船状のチューブが空気圧等によって膨張することで、繊維強化樹脂がチューブによって金型の内面に押し付けられ、製品形状に成形される。
その後、ピボット部材26L,26R、センター部材27、及びエンドピース28L,28Rがスイングアーム本体25に接着される。
また、互いに独立した複数の上記チューブを後端開口34,38からスイングアーム本体25に通すこともでき、スイングアーム本体25の成形の自由度が高い。
また、スイングアーム本体25の成形後には、ピボット側開口部40は、ピボット部材26L,26R及びセンター部材27によって塞がれ、後端開口34,38は、エンドピース28L,28Rによって塞がれる。このため、スイングアーム本体25内への小石等の異物の侵入を防止できる。
この構成によれば、スイングアーム本体25は、ピボット側開口部40から後端開口34,38まで連続する中空状であるため、繊維強化樹脂製のスイングアーム本体25の内部から圧力を加えることができ、この圧力によってスイングアーム本体25を中空に成形できる。これにより、繊維強化樹脂の繊維の連続性をスイングアーム本体25の広い範囲に亘って維持できるため、剛性が高い中空のスイングアーム12を提供できる。
また、ピボット部材26L,26Rとセンター部材27との当接面65,66は、ピボット部20の軸線20aに対して垂直な面である。この構成によれば、ピボット部材26L,26Rをセンター部材27に真っ直ぐに突き当てて、ピボット部材26L,26Rを高精度に位置決めできる。当接面65,66は、スイングアームを前方から見た場合、前後方向に真っ直ぐ延びる直線状である。
また、ピボット部材26L,26Rに、チェーンスライダー29が取り付けられるチェーンスライダー取付部59が設けられる。この構成によれば、金属製のピボット部材26L,26Rにチェーンスライダー取付部59が設けられるため、チェーンスライダー取付部59を設けるために繊維強化樹脂の繊維の連続性を分断する必要がない。このため、スイングアーム12の剛性を高くできる。
また、ピボット部材26L,26R及びセンター部材27は、ピボット側開口部40を塞ぐ。この構成によれば、簡単な構造でピボット側開口部40を塞ぐことができる。
上記実施の形態では、自動二輪車1のスイングアーム12のピボット部20は、車体としての車体フレームFに連結されるものとして説明したが、これに限らず、ピボット部20は、例えば、車体としてのエンジンにピボット軸で連結されても良い。
上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明のスイングアーム12は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両、及び4輪以上を備えた鞍乗り型車両などの鞍乗り型車両に適用可能である。
3 後輪(車輪)
12 スイングアーム
20 ピボット部
20a 軸線
21 車輪支持部
25 スイングアーム本体
26L,26R ピボット部材
27 センター部材
29 チェーンスライダー
34 後端開口(車輪側開口部)
38 後端開口(車輪側開口部)
40 ピボット側開口部
51a 上縁(外縁)
52a 下縁(外縁)
53 上側凹部(凹部)
54 下側凹部(凹部)
59 チェーンスライダー取付部
65 当接面
66 当接面
F 車体フレーム(車体)
Claims (4)
- 車体(F)に連結されるピボット部(20)と、車輪(3)を支持する車輪支持部(21)とを備え、前記ピボット部(20)を中心に揺動可能な鞍乗り型車両のスイングアームにおいて、
繊維強化樹脂製のスイングアーム本体(25)を備え、
前記スイングアーム本体(25)は、前記ピボット部(20)側の端を開口させるピボット側開口部(40)と、前記車輪支持部(21)側の端を開口させる車輪側開口部(34,38)とを備えるとともに、前記ピボット側開口部(40)から前記車輪側開口部(34,38)まで連続する中空状に形成され、
前記ピボット部(20)は、前記スイングアーム本体(25)の左右に一対設けられる金属製のピボット部材(26L,26R)と、左右の前記ピボット部材(26L,26R)の間に介在する繊維強化樹脂製のセンター部材(27)とを備え、
前記ピボット部材(26L,26R)及び前記センター部材(27)は、前記ピボット側開口部(40)を塞ぐことを特徴とする鞍乗り型車両のスイングアーム。 - 前記ピボット部材(26L,26R)と前記センター部材(27)との当接面(65,66)は、前記ピボット部(20)の軸線(20a)に対して垂直な面であることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のスイングアーム。
- 前記センター部材(27)は、前記スイングアーム本体(25)に重ねられて接合され、前記センター部材(27)の外縁(51a,52a)は、車幅方向の中央部に凹部(53,54)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両のスイングアーム。
- 前記ピボット部材(26L)に、チェーンスライダー(29)が取り付けられるチェーンスライダー取付部(59)が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両のスイングアーム。
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