JP6757628B2 - 金属/繊維強化樹脂複合構造体および金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法 - Google Patents

金属/繊維強化樹脂複合構造体および金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属/繊維強化樹脂複合構造体および金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)製品は様々な方法によって製造されている。FRP製品の製造方法の中でも、原料としてガラス繊維補強材や炭素繊維補強材等の繊維補強材に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸させることにより得られるシート状のシートモールディングコンパウンド(SMC)を使用し、このSMCを加熱加圧成形することによりFRP製品を製造する方法は、大量生産に適し、工業的に広く用いられている。
また、原料として不飽和ポリエステル樹脂組成物と繊維補強材とを混練機等で混合して得られる塊状のバルクモールディングコンパウンド(BMC)を使用し、このBMCを加熱加圧成形することによりFRP製品を製造する方法も大量生産に適し、工業的に広く用いられている。
SMC成形品およびBMC成形品の主用途は、住宅用と自動車用とに分類される。このうち、自動車用途、特に自動車外板用SMC成形品およびBMC成形品は主にフード、フェンダー、ドア、ピラー及びスポイラー等の外板の用途に用いられている。自動車外板用SMC成形品の特徴として、鋼板並の美麗な外観が得られること、鋼板品と比べると比強度および比弾性率が高いこと、鋼板の比重の1/4程度と軽量であること、鋼板品では板金しにくい複雑形状を比較的容易に形成できること、製品原価は高価であるが金型代が相対的に安価であること等の理由によって、最近急速に注目を集めつつある。
特開2012−111103号公報
自動車用SMC成形品およびBMC成形品を自動車外板に適用する場合は、該SMC成形品およびBMC成形品を車両本体部に固定するための取り付け部分の剛性および強度は非常に重要な特性であり、コストアップを最小限に抑えながらこれらの特性を維持あるいは向上させることが必要である。
取り付け部の剛性と強度を確保する最も一般的な手段としては、SCM成形品およびBMC成形品に穴を設け、この穴にボルトを通して金具をナット締めして車両本体に固定し一体化する方法(かしめ法)が挙げられる。しかし、この方法では成形品の表面にボルトあるいはナットが露出してしまい外観を重視する自動車外板には適用できない場合があった。
また、SMC成形品およびBMC成形品の裏面側に接着剤を塗布し、これに取り付け金具を貼り付けて一体化する方法(接着剤法)も知られている。しかし、この接着剤法では接着剤を用いることで工数が増えること、接着処理及び接着剤の収縮に起因する表面凹凸が発生する場合があること、接着剤が完全硬化して所望の強度を発現するために加熱操作が必要か、さもなければ自然硬化の場合は長時間が必要である等の不具合があった(特許文献1参照)。
以上から、コストアップを伴わない、より経済的な取り付け金具、具体的には、ボルトまたは接着剤を用いることなく取り付け部分の強度と外観に優れた取り付け金具が接合・固定化されたSMC成形品およびBMC成形品が産業界から強く求められていたのである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、金属部材とシートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材とを接着剤を用いることなく直接接合することができ、かつ、金属部材と繊維強化樹脂部材との接合強度および外観に優れた金属/繊維強化樹脂複合構造体を提供するものである。
本発明者らは、金属部材とSMC部材およびBMC部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材とを接着剤を用いることなく直接接合し、金属部材と繊維強化樹脂部材との接合強度および外観に優れた金属/繊維強化樹脂複合構造体を得るための設計指針について鋭意検討した。その結果、金属部材表面の粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)という尺度がこうした設計指針として有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、以下に示す金属/繊維強化樹脂複合構造体および金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法が提供される。
[1]
金属部材と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材と、が接合してなる金属/繊維強化樹脂複合構造体であって、
上記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす金属/繊維強化樹脂複合構造体。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
[2]
上記[1]に記載の金属/繊維強化樹脂複合構造体において、
上記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(3)をさらに満たす金属/繊維強化樹脂複合構造体。
(3)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を1直線部以上含む
[3]
上記[1]または[2]に記載の金属/繊維強化樹脂複合構造体において、
上記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(4)をさらに満たす金属/繊維強化樹脂複合構造体。
(4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満である
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の金属/繊維強化樹脂複合構造体において、
上記金属部材を構成する金属材料がアルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される一種または二種以上の金属を含む金属/繊維強化樹脂複合構造体。
[5]
金属部材と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材と、が接合してなる金属/繊維強化樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
上記繊維強化樹脂部材との接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす上記金属部材を準備する工程と、
上記金属部材の上記接合部表面と上記繊維強化樹脂部材の少なくとも一部とが接するように上記金属部材と上記繊維強化樹脂部材とを重ねて、加熱下で加圧成形する工程と、
を含む金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
本発明によれば、金属部材とSMC部材およびBMC部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材とを接着剤を用いることなく直接接合することができ、かつ、金属部材と繊維強化樹脂部材との接合強度および外観に優れた金属/繊維強化樹脂複合構造体を提供することができる。
本発明に係る実施形態の金属/繊維強化樹脂複合構造体の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[金属/繊維強化樹脂複合構造体]
まず、本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100について説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の金属/繊維強化樹脂複合構造体100の構造の一例を模式的に示した斜視図である。ここで、図1は、金属部材102がフック形状の金具である例を示している。
本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100は、金属部材102と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材101と、が接合してなる。そして、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
本実施形態に係る金属部材102は、繊維強化樹脂部材101との接合部表面103に上記の要件(1)および(2)を同時に満たすような微細凹凸構造が形成されている。このような微細凹凸構造に繊維強化樹脂部材101に含まれる半硬化成分の一部分が侵入し、次いで硬化することにより、金属部材102と繊維強化樹脂部材101が接合することができる。こうすることによって、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間に物理的な抵抗力(アンカー効果)が効果的に発現し、金属部材102と繊維強化樹脂部材101とを接着剤を使用せずに強固に接合することが可能になる。したがって、本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100は、接着剤を用いなくとも金属部材102と繊維強化樹脂部材101とが強固に接合されており、さらにボルトや接着剤を用いないため、外観にも優れている。
以下、本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100を構成する各部材について説明する。
<繊維強化樹脂部材>
以下、本実施形態に係る繊維強化樹脂部材101について説明する。
本実施形態に係る繊維強化樹脂部材101は、SMC部材およびBMC部材から選択される少なくとも一種である。
SMC部材とは、後述するSMCシートを所定の形状に裁断・加工した部材である。
ここで、SMCシートとは不飽和ポリエステル樹脂を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させてなるシート状の半硬化状態の成形材料である。
また、BMC部材とは、後述するBMC成形品を所定の形状に裁断・加工した部材である。ここで、BMC成形品とは、不飽和ポリエステル樹脂組成物と繊維補強材とを混練機等で混合して得られる塊状のバルクモールディングコンパウンド(BMC)を所定の形状に成形して得られる半硬化状態の成形材料である。
ここで、繊維強化樹脂部材101に用いられる上記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、必要に応じて無機充填剤、ビニル系単量体、硬化剤、剥離剤、後述するその他の添加剤等の各種添加剤をさらに含んでもよい。
上記不飽和ポリエステル樹脂は分子構造内に二重結合が含まれているので、熱によって硬化し、樹脂の物性が向上する。上記不飽和ポリエステル樹脂は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、イソ(iso)系樹脂、オルト(ortho)系樹脂、テレ(tere)系樹脂、変性ビスフェノール系樹脂、ビスフェノール系樹脂、及びビニルエステル系樹脂等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
上記不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、5〜30質量%である。
上記無機充填剤は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、球状シリカ、及びセラミックビーズ等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
上記無機充填剤の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、30〜60質量%である。上記無機充填剤の含有量が上記上限値以下であると物性の低下を抑制できる。上記無機充填剤の含有量が上記下限値以上であると製造コストを低減できる観点から好ましい。
また、上記ビニル系単量体および硬化剤は上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化反応に用いられる。
上記ビニル系単量体は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、スチレン、メチルメタアクリレート、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルアセテート、アクリレート等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
上記ビニル系単量体の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、0.1〜10質量%である。
上記硬化剤は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、ペルオキシエステル、ジアルキル過酸化物、アルキルアリール過酸化物、ジアリール過酸化物、ペルオキシケタル、ケトン過酸化物、及びアゾ化合物等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
上記硬化剤の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、0.01〜2質量%である。
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物は脱型時の作業性を向上させるために剥離剤を含んでもよい。剥離剤は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。上記剥離剤の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%である。
上記繊維補強材は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、ガラス繊維補強材、炭素繊維補強材等の無機繊維補強材;ポリエステル繊維補強材、セルロース繊維補強材、ナイロン繊維補強材、アラミド繊維補強材、カーボネート繊維補強材、ポリビニルアルコール系繊維補強材等の有機繊維補強材等を用いることができる。
繊維補強材の長さは、例えば、0.5〜5mm程度である。繊維補強材の長さが上記下限値以上であると、繊維強化樹脂部材101の機械的物性をより良好にすることができる。また、繊維補強材の長さが上記上限値以下であると、繊維強化樹脂部材101に亀裂が発生することをより抑制することができる。
上記繊維補強材の含有量は、繊維強化樹脂部材101の全体を100質量%としたとき、例えば、20〜35質量である。上記繊維補強材の含有量が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂部材101の機械的物性をより良好にすることができる。上記繊維補強材の含有量が上記上限値以下であると製造コストの観点から好ましい。
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらにその他の添加剤を混合することができる。
その他の添加剤は特に限定されず、SMCやBMCに一般的に用いられるものを用いることができ、例えば、顔料、熱安定剤、UV安定剤、重合反応抑制剤、低収縮剤、ブタジエン系ゴム、増粘剤等が挙げられる。これらの添加剤については、いずれかの使用を省略しても所望の物性が得られるが、機械特性、表面外観、成形性等各種性能の微調整に好んで用いられる。
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物および上記繊維補強材をSMC工法によりシート状で、かつ、半硬化状態の熱硬化性成形材料とし、これを所定形状に切断加工することによって本実施形態に係るSMCシートを得ることができる。例えば、以下の手順により、本実施形態に係るSMCシートを得ることができる。
まず、ドクターブレード等を用いることによって、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン製の二枚の離型フィルム上にペースト状の上記不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布して、離型フィルム上に不飽和ポリエステル樹脂層が形成された二枚の樹脂シートを作製する。
次いで、得られた二枚の樹脂シートのうち、一方の樹脂シートの不飽和ポリエステル樹脂層上に、その上方から繊維補強材を、例えば回転チョッパ等を通して撒布する。得られた繊維補強材が散布された樹脂シートの繊維補強材が散布されている面に、先に用意した他方の樹脂シートを不飽和ポリエステル樹脂層の面を内側にして積層する。これによって繊維補強材が上下の不飽和ポリエステル樹脂層で挟み込まれる。
これを複数のロール間に通す等して、加圧することによって繊維補強材に不飽和ポリエステル樹脂層を含浸せしめると同時に厚み調整を行う。これにより、離型フィルム/繊維強化樹脂層(=繊維補強材に不飽和ポリエステル樹脂組成物が含浸した層)/離型フィルムである三層構造のシートが作成される。
その後、必要に応じて熟成処理(増粘処理)が施されることによって半硬化されて本実施形態に係るSMCシートを作製できる。なお、上記熟成処理を行う場合、その条件は、SMCの成形性を考慮して適宜に決定され得るものであり、例えば、40〜70℃の温度で数時間〜数日の間加熱処理が施される。
また、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物および上記繊維補強材をBMC工法により塊状で、かつ、半硬化状態の熱硬化性成形材料とし、これを所定形状に成形することによって本実施形態に係るBMC成形品を得ることができる。例えば、以下の手順により、本実施形態に係るBMC成形品を得ることができる。
まず、不飽和ポリエステル樹脂組成物と繊維補強材とを混練機等で混合して不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させることにより塊状のBMCを作製する。
その後、所定形状に成形し、必要に応じて熟成処理(増粘処理)が施されることによって半硬化されて本実施形態に係るBMC成形品を作製できる。なお、上記熟成処理を行う場合、その条件は、BMCの成形性を考慮して適宜に決定され得るものであり、例えば、40〜70℃の温度で数時間〜数日の間加熱処理が施される。
<金属部材>
以下、本実施形態に係る金属部材102について説明する。
本実施形態に係る金属部材102を構成する金属材料は特に限定されないが、例えば、鉄、鉄鋼材、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタンおよびチタン合金等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、軽量、安価、および高強度の点から、アルミニウム(アルミニウム単体)およびアルミニウム合金が好ましく、アルミニウム合金がより好ましい。
アルミニウム合金としては、JIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、5052、7075等が好ましく用いられる。
金属部材102の形状は、繊維強化樹脂部材101と接合できる形状であれば特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等とすることができる。また、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。
また、繊維強化樹脂部材101と接合する接合部表面103の形状は、特に限定されないが、平面および曲面等が挙げられる。
金属/繊維強化樹脂複合構造体100の用途が自動車外板の場合、繊維強化樹脂部材101に接合される金属部材102は、通常、外板の内側、すなわち繊維強化樹脂部材101の裏面側に取り付けられ、金属部材102の形状は、車両本体に強固に取り付けられる金具としての機能を有する限りは特に制限されるものではない。通常は凸字状金具であって、両端の底板部分が繊維強化樹脂部材101に接合する凸型金具が好んで用いられる(図1参照)。
金属部材102は上記金属材料を、切断、プレス等による塑性加工、打ち抜き加工、切削、研磨、放電加工等の除肉加工等の公知の方法によって所定の形状に加工された後に、後述する粗化処理がなされたものが好ましい。要するに、種々の加工法により、必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度を向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
図2は、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部を説明するための模式図である。
上記6直線部は、例えば、図2に示すような6直線部B1〜B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材102の接合部表面103の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1〜D4は、例えば、2〜5mmである。
なお、通常、金属部材102は、金属部材102の繊維強化樹脂部材101との接合部表面103のみならず、金属部材102全体に対し、表面粗化処理が施されているため、例えば、金属部材102の繊維強化樹脂部材101との接合部表面103と同一面、または反対面で、接合部表面103以外の箇所から6直線部を選択してもよい。
上記要件(1)および(2)を同時に満たすと、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度に優れた金属/繊維強化樹脂複合構造体100が得られる理由は必ずしも明らかではないが、金属部材102の繊維強化樹脂部材101との接合部表面103が、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間のアンカー効果を効果的に発現できる構造になっているためと考えられる。
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1A)〜(1C)のうち1つ以上の要件をさらに満たすことが好ましく、要件(1C)を満たすことがとりわけ好ましい。なお、要件(1C)は上述した要件(3)に同一である。
(1A)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を好ましくは2直線部以上、より好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1B)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が20%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1C)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
また、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)の平均値が好ましくは0.1%以上40%以下であり、より好ましくは0.5%以上30%以下であり、さらに好ましくは1%以上20%以下であり、最も好ましくは2%以上15%以下である。
なお、上記負荷長さ率(Rmr)の平均値は、前述の任意の6直線部の負荷長さ率(Rmr)を平均したものを採用することができる。
本実施形態に係る金属部材102の接合部表面103の負荷長さ率(Rmr)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、特にエッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング等が、上記負荷長さ率(Rmr)を制御するための因子として挙げられる。
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(2A)をさらに満たすことが好ましい。
(2A)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が好ましくは5μm超、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、十点平均粗さ(Rz)の平均値が好ましくは2μmを超えて50μm以下、より好ましくは5μmを超えて45μm以下、さらに好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは15μm以上30μm以下である。
なお、上記十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部の十点平均粗さ(Rz)を平均したものを採用することができる。
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(4)をさらに満たすことが好ましい。
(4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満であり、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
金属部材102と繊維強化樹脂部材101との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材102の接合部表面103上の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が好ましくは10μmを超え300μm未満、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を平均したものを採用することができる。
本実施形態に係る金属部材102の接合部表面103の十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、特に粗化処理の温度および時間、エッチング量等が、上記十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を制御するための因子として挙げられる。
次に、負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)等を満たす金属部材102の調製方法について説明する。
このような金属部材102は、例えば、エッチング剤を用いて金属部材の表面を粗化処理することにより形成することができる。
ここで、エッチング剤を用いて金属部材の表面を粗化処理すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、エッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング、等の因子を高度に制御している。本実施形態に係る金属部材102の接合部表面103を得るためには、これらの因子を高度に制御することが重要となる。
以下、負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)等を満たす金属部材102を得るための金属部材の粗化処理方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る金属部材の粗化処理方法は、以下の例に限定されない。
(1)前処理工程
まず、金属部材は、少なくとも繊維強化樹脂部材101との接合側の表面に酸化膜や水酸化物等からなる厚い被膜がないことが望ましい。このような厚い被膜を除去するため、次のエッチング剤で処理する工程の前に、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工、研削加工、バレル加工等の機械研磨や、化学研磨により表面層を研磨してもよい。また、繊維強化樹脂部材101との接合側の表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行なうことが好ましい。
(2)表面粗化処理工程
本実施形態において金属部材の表面粗化処理方法としては、後述する酸系エッチング剤による処理を特定のタイミングで行うことが好ましい。具体的には、該酸系エッチング剤による処理を表面粗化処理工程の最終段階で行うことが好ましい。
上記酸系エッチング剤を用いて粗化処理する方法としては、浸漬、スプレー等による処理方法が挙げられる。処理温度は20〜40℃が好ましく、処理時間は5〜350秒程度が好ましく、金属部材表面をより均一に粗化できる観点から、20〜300秒がより好ましく、50〜300秒が特に好ましい。
なお、本実施形態では、上記酸系エッチング剤を用いて金属部材を粗化処理する際、金属部材表面の全面を粗化処理してもよく、繊維強化樹脂部材101が接合される面だけを部分的に粗化処理してもよい。
(3)後処理工程
本実施形態では、上記表面粗化処理工程の後、通常、水洗および乾燥を行うことが好ましい。水洗の方法については特に制限はないが浸漬または流水にて所定時間洗浄することが好ましい。
さらに、後処理工程としては、上記酸系エッチング剤を用いた処理により生じたスマット等を除去するため、超音波洗浄を施すことが好ましい。超音波洗浄の条件は、生じたスマット等を除去することができる条件であれば特に限定されないが、用いる溶媒としては水が好ましく、また、処理時間としては、好ましくは1〜20分間である。
(酸系エッチング剤)
本実施形態において、金属部材表面の粗化処理に用いられるエッチング剤としては、後述する特定の酸系エッチング剤が好ましい。特定の酸系エッチング剤で処理することにより、金属部材の表面に、繊維強化樹脂部材101との間の密着性向上に適した微細凹凸構造が形成され、そのアンカー効果により金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間の接合強度がより一層向上するものと考えられる。
以下、本実施形態で使用できる酸系エッチング剤の成分について説明する。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸と、を含み、必要に応じて、マンガンイオン、各種添加剤等を含むことができる。
・第二鉄イオン
上記第二鉄イオンは、金属部材を酸化する成分であり、第二鉄イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二鉄イオンを含有させることができる。上記第二鉄イオン源としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。上記第二鉄イオン源のうちでは、塩化第二鉄が溶解性に優れ、安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二鉄イオンの含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜12質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、さらにより好ましくは1〜6質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。上記第二鉄イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二鉄イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間の接合強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
・第二銅イオン
上記第二銅イオンは金属部材を酸化する成分であり、第二銅イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二銅イオン含有させることができる。上記第二銅イオン源としては、硫酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、水酸化第二銅等が挙げられる。上記第二銅イオン源のうちでは、硫酸第二銅、塩化第二銅が安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二銅イオンの含有量は、0.001〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜7質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、さらにより好ましくは0.1〜0.8質量%、さらにより好ましくは0.15〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.4質量%である。上記第二銅イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二銅イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間の接合強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの一方のみを含むものであってもよく、両方を含むものであってもよいが、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことが好ましい。酸系エッチング剤が第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことで、金属部材102と繊維強化樹脂部材101との間の接合強度向上により適した良好な粗化形状が容易に得られる。
上記酸系エッチング剤が、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含む場合、第二鉄イオンおよび第二銅イオンのそれぞれの含有量が、上記範囲であることが好ましい。また、酸系エッチング剤中の第二鉄イオンと第二銅イオンの含有量の合計は、0.011〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
・マンガンイオン
上記酸系エッチング剤には、金属部材表面をむらなく一様に粗化するために、マンガンイオンが含まれていてもよい。マンガンイオンは、マンガンイオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該マンガンイオンを含有させることができる。上記マンガンイオン源としては、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、フッ化マンガン、硝酸マンガン等が挙げられる。上記マンガンイオン源のうちでは、硫酸マンガン、塩化マンガンが安価である等の点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記マンガンイオンの含有量は、0〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜0.5質量%である。
・酸
上記酸は、第二鉄イオンおよび/または第二銅イオンにより酸化された金属を溶解させる成分である。上記酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸や、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸が挙げられる。上記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記酸系エッチング剤には、これらの酸を一種または二種以上配合することができる。上記無機酸のうちでは、臭気がほとんどなく、安価である点から硫酸が好ましい。また、上記有機酸のうちでは、粗化形状の均一性の観点から、カルボン酸が好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記酸の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜50質量%であることがより好ましく、1〜50質量%であることがさらに好ましく、1〜30質量%であることがさらにより好ましく、1〜25質量%であることがさらにより好ましく、2〜18質量%であることがさらにより好ましい。上記酸の含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防止できる。一方、上記酸の含有量が上記上限値以下であれば、液温が低下した際の金属部材の金属塩の結晶析出を防止できるため、作業性を向上できる。
・他の成分
本実施形態において使用できる酸系エッチング剤には、指紋等の表面汚染物による粗化のむらを防ぐために界面活性剤を添加してもよく、必要に応じて他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、深い凹凸を形成するために添加されるハロゲン化物イオン源、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を例示できる。あるいは、粗化処理速度を上げるために添加されるチオ硫酸イオン、チオ尿素等のチオ化合物や、より均一な粗化形状を得るために添加されるイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等のアゾール類や、粗化反応を制御するために添加されるpH調整剤等も例示できる。これら他の成分を添加する場合、その合計含有量は、酸系エッチング剤中に0.01〜10質量%程度であることが好ましい。
本実施形態の酸系エッチング剤は、上記の各成分をイオン交換水等に溶解させることにより容易に調製することができる。
[金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法]
次に、本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100の製造方法について説明する。ここでは、図1に示すような金属部材102がフック形状の金具である金属/繊維強化樹脂複合構造体100の製造方法を例にとって説明する。
本実施形態に係る金属/繊維強化樹脂複合構造体100の製造方法は、例えば、以下の工程(A)および(B)を含む。
(A)繊維強化樹脂部材101との接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが前述した要件(1)および(2)を同時に満たす金属部材102を準備する工程
(B)金属部材102の接合部表面103と繊維強化樹脂部材101の少なくとも一部とが接するように金属部材102と繊維強化樹脂部材101とを重ねて、加熱下で加圧成形する工程
(工程(A))
はじめに、繊維強化樹脂部材101との接合部表面103上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが前述した要件(1)および(2)を同時に満たす金属部材102を準備する。
ここで、金属部材102は、少なくとも繊維強化樹脂部材101が接合される接合部表面103に前述した粗化処理を施すことによって得ることができる。
金属部材および粗化処理の詳細はここでは省略する。
(工程(B))
次いで、金属部材102の接合部表面103と繊維強化樹脂部材101の少なくとも一部とが接するように金属部材102と繊維強化樹脂部材101とを重ねて、加熱下で加圧成形する。これにより、金属/繊維強化樹脂複合構造体100が得られる。
加熱下で加圧成形する方法としては、例えば、接合部表面103が繊維強化樹脂部材101と接するように、フック形状の金具の金属部材102を半硬化状態にある繊維強化樹脂部材101上の所望の位置に配置した後、少なくとも接合部表面103を含む面を加熱加圧成形して繊維強化樹脂部材101を硬化させる方法が一般的に採用される。
加熱加圧成形の際には任意に金型を用いることもできる。金型を用いる場合、上下金型の温度は、例えば、130〜170℃、好ましくは140〜160℃であり、圧力は、例えば、100〜2000MPa、好ましくは500〜1500MPaである。加圧時間は、例えば、0.5〜10分、好ましくは1〜5分である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
100 金属/繊維強化樹脂複合構造体
101 繊維強化樹脂部材
102 金属部材
103 接合部表面

Claims (5)

  1. 金属部材と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材と、が接合してなる金属/繊維強化樹脂複合構造体であって、
    前記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部(ただし、前記6直線部における各直線間の垂直距離は、2〜5mmである。)について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)、(2)および(4)を同時に満たす金属/繊維強化樹脂複合構造体。
    (1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
    (2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
    (4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満である
  2. 請求項1に記載の金属/繊維強化樹脂複合構造体において、
    前記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部(ただし、前記6直線部における各直線間の垂直距離は、2〜5mmである。)について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(3)をさらに満たす金属/繊維強化樹脂複合構造体。
    (3)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を1直線部以上含む
  3. 請求項1または2に記載の金属/繊維強化樹脂複合構造体において、
    前記金属部材を構成する金属材料がアルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される一種または二種以上の金属を含む金属/繊維強化樹脂複合構造体。
  4. 金属部材と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材と、が接合してなる金属/繊維強化樹脂複合構造体であって、
    前記金属部材の接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部(ただし、前記6直線部における各直線間の垂直距離は、2〜5mmである。)について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たし、
    前記金属部材を構成する金属材料がアルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される一種または二種以上の金属を含む金属/繊維強化樹脂複合構造体。
    (1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
    (2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
  5. 金属部材と、シートモールディングコンパウンド(SMC)部材およびバルクモールディングコンパウンド(BMC)部材から選択される少なくとも一種である繊維強化樹脂部材と、が接合してなる金属/繊維強化樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
    前記繊維強化樹脂部材との接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部(ただし、前記6直線部における各直線間の垂直距離は、2〜5mmである。)について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす前記金属部材を準備する工程と、
    前記金属部材の前記接合部表面と前記繊維強化樹脂部材の少なくとも一部とが接するように前記金属部材と前記繊維強化樹脂部材とを重ねて、加熱下で加圧成形する工程と、
    を含む金属/繊維強化樹脂複合構造体の製造方法。
    (1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
    (2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
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