JP6654407B2 - 樹脂被膜金属材料 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた接着耐久性を有し、電子機器あるいは家電用筐体などに適用できる樹脂被膜金属材料に関する。
従来より、金属薄板や金属箔あるいは金属線に合成樹脂を被覆したり、あるいは合成樹脂フィルムをラミネートして、金属表面の耐食性や装飾性を向上させる処理を施した壁材や電子用部材、送電線などが使用されている。例えば、アルミニウム系材料について言えば、軽量で加工性や耐食性に優れることから、様々な形状に加工されて電気・電子分野、家庭用品分野、建築分野、車両等の鋼材分野で幅広く用いられている。このようなアルミニウム材料においては、その用途に応じた種々の表面処理が施され、それによって、用途毎に最適な製品形態で市場に流通している。例えば、建築材料用途においては、陽極酸化処理による表面処理が実施されることによって、その表面上にアルマイト被膜が形成され、その後、該アルマイト層の封孔等を目的として、特定の条件下で湯洗等処理が行なわれた後、更に、所定の合成樹脂塗料を用いた塗装が行なわれることにより、該アルマイト層上に塗膜が積層形成されて、耐食性に優れた樹脂被覆金属材料が製造できることが開示されている(例えば、特許文献1)。
一方で、あらゆる産業分野において、より生産性を高め、コスト競争力に優れた技術・製品が求められていることは論を俟たず、樹脂被膜金属材料も例外ではない。本発明者らは、上記したような既存技術における陽極酸化被膜を形成させることなく、樹脂と金属表面との接着性のみならず高温・高湿環境下における接着耐久性に優れた樹脂被膜金属材料を経済的な方法で提供するべく鋭意検討した結果、金属表面上に、特定の微細凹凸構造を有する粗化金属表面上に特定の樹脂塗膜をコートすることによって、接着性のみならず耐久接着性にも優れた樹脂被覆金属材料が得られることを見出し、本発明に至った。
特許3816573号
本発明は、樹脂と金属表面との接着性のみならず高温・高湿環境下における接着耐久性に優れた樹脂被膜金属材料を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の主旨は以下の通りである。
[1]微細凹凸表面を有する金属部材の前記微細凹凸表面に固着した接合面を有する樹脂被膜金属材料であって、前記金属部材の前記微細凹凸表面には、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立している樹脂被膜金属材料。
[2]上記金属部材の上記微細凹凸表面には、間隔周期が500nm未満の超微細凹凸構造が観測される前記[1]に記載の樹脂被膜金属材料。
[3]上記金属部材の上記微細凹凸表面には、間隔周期が500nm未満の超微細凹凸構造が観測されず、かつ、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.5μm以上500μm以下の凸部が林立した微細凹凸構造が形成されている前記[1]に記載の樹脂被膜合金材料。
[4]上記[3]に記載の複合構造体において、
前記金属材料の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす樹脂被膜金属材料。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む。
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える。
[5]金属部材が、アルミニム合金部材または鉄鋼部材である前記[1]〜[4]のいずれかの樹脂被膜金属材料。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの樹脂被膜金属材料において、上記合成樹脂塗膜がエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる1種あるいは2種以上からなる樹脂被膜金属材料。
本発明の樹脂被覆金属材料は、樹脂塗膜と金属表面との接着性のみならず高温・高湿環境下における接着耐久性に優れる。
本実施形態に係る金属部材の被塗装部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。 各調製例で得られたアルミニウム板表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。
以下、微細凹凸表面を有する金属、および合成樹脂塗膜の順に本発明の内容を詳説する。
1.微細凹凸表面を有する金属部材
本実施形態で用いる金属部材とは、鉄鋼部材またはアルミニウム合金部材である。
アルミニウム合金部材とは、純アルミニウム又はアルミニウム合金のいずれかよりなる部材である。該アルミニウム合金部材としては、用途に応じて様々な組成の金属板を採用することができる。具体的には、1000系、3000系、5000系、6000系など、成形加工に好適な材質を用いることができる。例えば、JIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、3004、3104、5052、5182、5N01、6061、6063、7075、8021、などがある。
また、本実施形態で用いる鉄鋼部材とは、鉄鋼材により構成され、所定の構造物を組み立てている部品材のことを示す。ここで鉄鋼部材とは普通鋼(炭素鋼)およびステンレス鋼の如き特殊鋼全体を包含し、例えば一般構造用圧延鋼材等の炭素鋼、低温用鋼、原子炉用鋼板材料等をいい、冷間圧延鋼材(以下、「SPCC」という。)、熱間圧延鋼材(以下、「SPHC」という。)、自動車構造用熱間圧延鋼板材(以下、「SAPH」という。)、自動車加工用熱間圧延高張力鋼板材(以下、「SPFH」という。)等の鉄鋼材である。これらの多くはプレス加工、切削加工が可能であるので、部品、本体として採用するとき、構造、形状も自由に選択できる。また、本実施形態でいう鉄鋼材は上記鋼材に限らず、例えば、日本工業規格(JIS「SS400」等で規格化されたあらゆる鉄鋼材が含まれる。
以下、本実施形態に係る、微細凹凸構造を有する金属部材について説明する。
金属部材の形状は、合成樹脂塗膜が接着できる形状であれば特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等とすることができる。また、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。
また、合成樹脂塗膜と接着する、金属部材の接着部表面の形状は、特に限定されないが、平面、曲面等が挙げられる。
金属部材は、金属を切断、プレス等による塑性加工、打ち抜き加工、切削、研磨、放電加工等の除肉加工によって上述した所定の形状に加工された後に、後述する粗化処理がなされたものが好ましい。要するに、種々の加工法により、必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。
必要な形状に加工された金属部材は、長期間の自然放置で表面に酸化皮膜である錆の存在が明らかなものは研磨、化学処理等でこれを取り除くことが好ましい。
本実施形態に係る金属部材は、少なくとも樹脂塗膜と接する部位(接着部表面とも呼ぶ。)に、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立した微細凹凸が形成されていることが好ましい。
これにより、本発明に係る合成樹脂塗膜が、金属部材表面の上記微細凹凸に入り込むため、金属部材と合成樹脂塗膜との接着強度を向上させることができる。凸部の間隔周期が上記下限値以上であると、上記微細凹凸表面の凹部に合成樹脂塗膜が十分に進入することができ、その結果、金属部材と合成樹脂塗膜との接着強度を向上させることができる。また、凸部の間隔周期が上記上限値以下であると、得られる樹脂被覆金属材料のアルミニウム―塗膜界面に隙間が生じるのを抑制できる。その結果、アルミニウム―塗膜界面の隙間から水分等の不純物が浸入することを抑制できるため、樹脂被覆金属材料を高温、高湿下で用いた際、強度が低下することを抑制できる。
上記微細凹凸の間隔周期は凸部から隣接する凸部までの距離の平均値であり、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真、あるいは表面粗さ測定装置から求めることができる。
具体的には、間隔周期が500nm未満の超微細な凹凸構造については電子顕微鏡により測定することが可能であり、間隔周期が500nmを超える微細凹凸面についてはレーザー顕微鏡または表面粗さ測定装置を用いることによって求めるがこの限りではない。なお、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真から間隔周期を求める場合は、具体的には、金属部材の表面を撮影する。その写真から、任意の凸部を50個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して50で除したものを間隔周期とする。
本発明においては、金属部材の表面には、間隔周期が500nm未満の超微細凹凸構造が観測される表面処理金属部材(m1)、または金属部材の表面に間隔周期が500nm未満の超微細凹凸構造が観測されず、かつ、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が0.5μm以上500μm以下の凸部が林立した微細凹凸構造が形成されている表面処理金属部材(m2)を用いることが接着強度発現の点から好ましい。どちらを選択するかは、当業者が有する金属表面処理装置によって任意に決定されるが、接着強度の視点からは後者の表面処理金属部材(m2)が好んで用いられる。
上記間隔周期を有する微細凹凸表面を形成する方法としては、特許第4020957号に開示されているようなレーザー加工を用いる方法、苛性ソーダ等の無機塩基水溶液および/または塩酸、硝酸等の無機酸水溶液に金属部材を浸漬する方法、特開2001-348684号に開示されているような、無機酸、第二鉄イオン、第二銅イオンおよびマンガンイオンを含む水溶液によってエッチングする置換晶析法、国際公開第2009/31632号パンフレットに開示されているような、水和ヒドラジン、アンモニア、及び水溶性アミン化合物から選ばれる1種以上の水溶液に金属部材を浸漬する方法(以下、NMT法と呼ぶ場合がある)等が挙げられる。これらの方法によって、上記間隔周期の範囲内において形成する凹凸形状によって上記エッチング方法を任意に使い分けることが可能である。金属部材と樹脂塗膜との接着強度の視点から、本発明では、前記NMT法による表面処理金属部材(m1)または置換晶析法による表面処理金属部材(m2)が本発明の樹脂被膜金属材料の接着部の粗化金属部材として好ましく、さらに二つの表面処理金属部材の中では置換晶析法による表面処理金属部材(m2)がより好ましい。
NMT法による表面処理金属部材(m1)は、処理剤として通常は上記のような公知の水和ヒドラジン、アンモニア、及び水溶性アミン化合物が用いられる。NMT法に類似する処理剤として、最近本発明者らによって開発された、分子内に酸素官能基を有するアミンとして、下記式(1)により示されるモルホリン系化合物および下記式(2)により示されるアルカノールアミン系化合物から選択される少なくとも一種を含む化合物によって表面処理された金属部材を用いることも好ましい。この処理剤を用いる方法では、合成樹脂の種類によっては、ヒドラジンを用いる場合に比べて金属部材との接着強度を格段に向上できる場合がある。
(上記式(1)中、Rは水素原子または炭素数1以上10以下の炭化水素基である)
(上記式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、または1つのヒドロキシ基を有する脂肪族飽和炭化水素基であり、R〜Rの少なくとも1つが、1つのヒドロキシ基を有する脂肪族飽和炭化水素基である)
好適なモルホリン系化合物は、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリンおよびN−n−プロピルモルホリンである。
また好適なアルカノールアミン系化合物がトリエタノールアミンである。
次に、置換晶析法を用いた表面処理金属部材(m2)について詳説する。
本発明に係る金属部材は、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。このような要件を満たす表面形状を有する金属部材は、前記した置換晶析法によって得られ、その詳細な方法については後述する。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む。
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える。
図1は、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部を説明するための模式図である。
上記6直線部は、例えば、図1に示すような6直線部B1〜B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材の被塗装部表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1〜D4は、例えば、2〜5mmである。
なお、通常、金属部材の表面中の被塗装表面104だけでなく、金属部材の表面全体に対し、表面粗化処理が施されているため、例えば、図2に示すように、金属部材の被塗装部表面と同一面で、被塗装部表面以外の箇所103から6直線部を選択してもよい。
上記要件(1)および(2)を同時に満たすと、接着強度により一層優れた樹脂被覆金属材料が得られる理由は必ずしも明らかではないが、金属部材の被塗装部表面が、金属部材と合成樹脂被覆層との間のアンカー効果が効果的に発現し、強く結合できる構造になっているためと考えられる。
本発明者らは、金属部材と、合成樹脂塗膜との接着強度を向上させるために、金属部材表面の十点平均粗さ(Rz)を調整することを検討した。
しかし、金属部材の表面の十点平均粗さ(Rz)を単に調整するだけでは金属部材と樹脂塗膜との接着強度を十分に向上させることができないことが明らかとなった。
ここで、本発明者らは、負荷長さ率という尺度が金属部材表面の凹凸形状の鋭利性を表す指標として有効であると考えた。負荷長さ率が小さい場合は、金属部材表面の凹凸形状の鋭利性が大きいことを意味し、負荷長さ率が大きい場合は、金属部材表面の凹凸形状の鋭利性が小さいことを意味する。
そこで、本発明者らは、金属部材と、樹脂塗膜との接着強度を向上させるための設計指針として、金属部材表面の粗さ曲線の負荷長さ率という尺度に注目し、さらに鋭意検討を重ねた。その結果、金属部材表面の負荷長さ率を特定値以下に調整することにより、金属部材と樹脂塗膜との間にアンカー効果がより効果的に発現し、その結果、接着強度が一層優れることを見出した。
金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1A)〜(1C)のうち1つ以上の要件をさらに満たすことが好ましく、要件(1C)を満たすことがとりわけ好ましい。なお、要件(1C)は上述した要件(3)と同一である。
(1A)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を好ましくは2直線部以上、より好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1B)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が20%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1C)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
また、金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)の平均値が好ましくは0.1%以上40%以下であり、より好ましくは0.5%以上30%以下であり、さらに好ましくは1%以上20%以下であり、最も好ましくは2%以上15%以下である。
なお、上記負荷長さ率(Rmr)の平均値は、前述の任意の6直線部の負荷長さ率(Rmr)を平均したものを採用することができる。
本実施形態に係る金属部材の表面の各負荷長さ率(Rmr)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、とくにエッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング等が、上記各負荷長さ率(Rmr)を制御するための因子として挙げられる。
金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(2A)をさらに満たすことが好ましい。
(2A)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が好ましくは5μm超、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。
金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、十点平均粗さ(Rz)の平均値が好ましくは2μmを超えて50μm以下、より好ましくは5μmを超えて45μm以下、さらに好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは15μm以上30μm以下である。
なお、上記十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部の十点平均粗さ(Rz)を平均したものを採用することができる。
金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(4)をさらに満たすことが好ましい。
(4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満であり、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
金属部材と樹脂塗膜との接着強度をより一層向上させる観点から、金属部材の表面上の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が好ましくは10μmを超え300μm未満、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部のRSmを平均したものを採用することができる。
本実施形態に係る金属部材の表面の十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、とくに粗化処理の温度および時間、エッチング量等が、上記十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を制御するための因子として挙げられる。
次に、上記要件(1)〜(4)、(1A)〜(1C)、(2A)等を満たす金属部材の調製方法について説明する。
このような金属部材は、例えば、エッチング剤を用いて粗化処理することにより形成することができる。
ここで、エッチング剤を用いて金属部材の表面を粗化処理すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、エッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング、等の因子を高度に制御している。上記要件(1)〜(4)、(1A)〜(1C)、(2A)等を満たす金属部材3を得るためには、これらの因子を高度に制御することが重要となる。
以下、上記要件(1)〜(4)、(1A)〜(1C)、(2A)等を満たす金属部材を得るための金属部材表面の粗化処理方法である置換晶析法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る金属部材表面の粗化処理方法は、以下の例に限定されない。
(1)前処理工程
エッチング剤で処理する工程の前に、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工、研削加工、バレル加工等の機械研磨や、化学研磨により表面層を研磨する等の前処理工程を行うことが好ましい。また、樹脂塗膜との接着側の表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行なうことが好ましい。
(2)表面粗化処理工程
本実施形態において金属部材の表面粗化処理方法としては、後述する酸系エッチング剤による処理を特定のタイミングで行うことが好ましい。具体的には、該酸系エッチング剤による処理を表面粗化処理工程の最終段階で行うことが好ましい。
上記酸系エッチング剤を用いて粗化処理する方法としては、浸漬、スプレー等による処理方法が挙げられる。処理温度は20〜40℃が好ましく、処理時間は5〜350秒程度が好ましく、金属部材表面をより均一に粗化できる観点から、20〜300秒がより好ましく、50〜300秒が特に好ましい。
上記酸系エッチング剤を用いた粗化処理によって、金属部材の表面が凹凸形状に粗化される。上記酸系エッチング剤を用いた際の金属部材の深さ方向のエッチング量(溶解量)は、溶解した金属部材の質量、比重および表面積から算出した場合、0.1〜500μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが更に好ましい。エッチング量が上記下限値以上であれば、金属部材と樹脂塗膜との間の接着強度をより向上させることができる。また、エッチング量が上記上限値以下であれば、処理コストの低減が可能となる。エッチング量は、処理温度や処理時間等により調整できる。
なお、本実施形態では、上記酸系エッチング剤を用いて金属部材を粗化処理する際、金属部材表面の全面を粗化処理してもよく、樹脂塗膜が接着される面だけを部分的に粗化処理してもよい。
(3)後処理工程
本実施形態では、上記表面粗化処理工程の後、通常、水洗および乾燥を行うことが好ましい。水洗の方法については特に制限はないが浸漬または流水にて所定時間洗浄することが好ましい。
さらに、後処理工程としては、上記酸系エッチング剤を用いた処理により生じたスマット等を除去するため、超音波洗浄を施すことが好ましい。超音波洗浄の条件は、生じたスマット等を除去することができる条件であれば特に限定されないが、用いる溶媒としては水が好ましく、また、処理時間としては、好ましくは1〜20分間である。
(酸系エッチング剤)
本実施形態において、金属部材表面の粗化処理に用いられるエッチング剤としては、後述する特定の酸系エッチング剤が好ましい。上記特定のエッチング剤で処理することにより、金属部材の表面に、密着性向上に適した凹凸形状が形成され、そのアンカー効果により金属部材と樹脂塗膜との間の接着強度がより一層向上するものと考えられる。
以下、本実施形態で使用できる酸系エッチング剤の成分について説明する。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸と、を含み、必要に応じて、マンガンイオン、各種添加剤等を含むことができる。
・第二鉄イオン
上記第二鉄イオンは、金属部材を酸化する成分であり、第二鉄イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二鉄イオンを含有させることができる。上記第二鉄イオン源としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。上記第二鉄イオン源のうちでは、塩化第二鉄が溶解性に優れ、安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二鉄イオンの含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜12質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、さらにより好ましくは1〜6質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。上記第二鉄イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二鉄イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材と樹脂塗膜との間の接着強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
・第二銅イオン
上記第二銅イオンは金属部材を酸化する成分であり、第二銅イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二銅イオン含有させることができる。上記第二銅イオン源としては、硫酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、水酸化第二銅等が挙げられる。上記第二銅イオン源のうちでは、硫酸第二銅、塩化第二銅が安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二銅イオンの含有量は、0.001〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜7質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、さらにより好ましくは0.1〜0.8質量%、さらにより好ましくは0.15〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.4質量%である。上記第二銅イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二銅イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材と樹脂塗膜との間の接着強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの一方のみを含むものであってもよく、両方を含むものであってもよいが、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことが好ましい。酸系エッチング剤が第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことで、金属部材と樹脂塗膜との間の接着強度向上により適した良好な粗化形状が容易に得られる。
上記酸系エッチング剤が、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含む場合、第二鉄イオンおよび第二銅イオンのそれぞれの含有量が、上記範囲であることが好ましい。また、酸系エッチング剤中の第二鉄イオンと第二銅イオンの含有量の合計は、0.011〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
・マンガンイオン
上記酸系エッチング剤には、金属部材表面をむらなく一様に粗化するために、マンガンイオンが含まれていてもよい。マンガンイオンは、マンガンイオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該マンガンイオンを含有させることができる。上記マンガンイオン源としては、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、フッ化マンガン、硝酸マンガン等が挙げられる。上記マンガンイオン源のうちでは、硫酸マンガン、塩化マンガンが安価である等の点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記マンガンイオンの含有量は、0〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜0.5質量%である。
・酸
上記酸は、第二鉄イオンおよび/または第二銅イオンにより酸化された金属を溶解させる成分である。上記酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸や、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸が挙げられる。上記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記酸系エッチング剤には、これらの酸を一種または二種以上配合することができる。上記無機酸のうちでは、臭気がほとんどなく、安価である点から硫酸が好ましい。また、上記有機酸のうちでは、粗化形状の均一性の観点から、カルボン酸が好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記酸の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜50質量%であることがより好ましく、1〜50質量%であることがさらに好ましく、1〜30質量%であることがさらにより好ましく、1〜25質量%であることがさらにより好ましく、2〜18質量%であることがさらにより好ましい。上記酸の含有量が上記下限値以上であれば、金属の粗化速度(溶解速度)の低下を防止できる。一方、上記酸の含有量が上記上限値以下であれば、液温が低下した際の金属塩の結晶析出を防止できるため、作業性を向上できる。
・他の成分
本実施形態において使用できる酸系エッチング剤には、指紋等の表面汚染物による粗化のむらを防ぐために界面活性剤を添加してもよく、必要に応じて他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、深い凹凸を形成するために添加されるハロゲン化物イオン源、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を例示できる。あるいは、粗化処理速度を上げるために添加されるチオ硫酸イオン、チオ尿素等のチオ化合物や、より均一な粗化形状を得るために添加されるイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等のアゾール類や、粗化反応を制御するために添加されるpH調整剤等も例示できる。これら他の成分を添加する場合、その合計含有量は、酸系エッチング剤中に0.01〜10質量%程度であることが好ましい。
本実施形態の酸系エッチング剤は、上記した各成分をイオン交換水等に溶解させることにより容易に調製することができる。
2.合成樹脂塗膜
本発明に係る合成樹脂塗膜は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる1種あるいは2種以上からなる樹脂を含んでなる塗料から形成される。該塗料は、顔料を含まないクリアー型であっても、顔料を含むエナメル型であってもよい。その他、塗装時の作業性向上のために油、水、シンナー等の汎用溶剤、展色材(ビヒクル)を含んでいてもよい。また、可塑剤や分散剤などの添加剤を含むことも任意である。
該塗料から塗膜を塗膜形成する方法としては、化学反応を伴わない溶剤乾燥型、化学反応を伴う硬化型、および溶剤乾燥と硬化反応を組み合わせた複合型に三分類されるが、本発明の効果が発現しやすいのは硬化型または複合型塗料である。このような、化学反応を伴う硬化型または複合型塗料は、合成樹脂中の二重結合の重合反応を利用したものが好ましく、このような樹脂の代表例として、不飽和ポリエステル樹脂、UV硬化樹脂が挙げられる。二重結合を持つモノマーとしてはフッ素原子含有モノマーであってもよい。また、主剤と硬化剤の硬化反応を利用した二液型樹脂も好ましく、このような主剤としてはエポキシ樹脂とウレタン樹脂が特に好ましい態様である。なお、エポキシ樹脂用の硬化剤としては、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ基を有するアミノ化合物とアルデヒドとの付加縮合反応によって得られるアミノ樹脂などを用いることもできる。また、ウレタン樹脂用硬化剤としては、芳香族、脂肪族、又は脂環式のイソシアネート類による遊離もしくはブロックされたイソシアネート基を含む樹脂が挙げられる。
本発明に係る樹脂被覆金属材料は、塗膜―アルミニウム間の接着性にも優れ、実用的かつ生産性も高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
さらに、本実施形態に係る樹脂被覆金属材料は、高い耐熱性、機械特性、耐摩擦性、摺動性、気密性、水密性が発現するので、これらの特性に応じた用途に好適に用いられる。
例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、調理用の容器、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
より具体的には、樹脂だけでは強度が足りない部分を金属がサポートする様にデザインされた次のような部品である。車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。また、建材や家具類として、ガラス窓枠、手すり、カーテンレール、たんす、引き出し、クローゼット、書棚、机、椅子等が挙げられる。また、精密電子部品類として、コネクタ、リレー、ギヤ等が挙げられる。また、輸送容器として、輸送コンテナ、スーツケース、トランク等が挙げられる。
また、金属部材の高い熱伝導率と、樹脂塗膜の断熱的性質とを組み合わせ、ヒートマネージメントを最適に設計する機器に使用される部品用途、例えば、各種家電にも用いることができる。具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
その他の用途として、玩具、スポーツ用具、靴、サンダル、鞄、フォークやナイフ、スプーン、皿等の食器類、ボールペンやシャープペン、ファイル、バインダー等の文具類、フライパンや鍋、やかん、フライ返し、おたま、穴杓子、泡だて器、トング等の調理器具、リチウムイオン2次電池用部品、ロボット等が挙げられる。
次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で用いた金属部材の表面形状の測定方法について示す。
〔金属部材表面の微細凹凸形状の測定方法〕
次に、微細凹凸形状が形成された金属部材の表面上の間隔周期の測定方法について述べる。既に述べたように、間隔周期が500nm未満の超微細な凹凸構造については電子顕微鏡により測定する。本発明ではレーザー顕微鏡(KEYENCE社製VK−X100)または走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6701F)を用いて測定した。なお、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真から間隔周期を求める場合は、具体的には、金属部材の表面を撮影する。その写真から、任意の凸部を50個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して50で除したものを間隔周期とした。
一方で、間隔周期が500nmを超える微細凹凸面についてはまたはレーザー顕微鏡または表面粗さ測定装置を用いる。表面粗さ測定装置を用いる方法では具体的には次の方法によって凹凸に係る各種パラメーターを求めた。
(金属部材表面の、粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定)
表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO 4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を測定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
・触針先端半径:5μm
・基準長さ:0.8mm
・評価長さ:4mm
・測定速度:0.06mm/sec
測定は、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部についておこなった(図2参照)。
〔調製例1〕−置換晶析法による金属部材1の調製−
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム板を酸系エッチング剤(硫酸:8.2質量%、塩化第二鉄:7.8質量%(Fe3+:2.7質量%)、塩化第二銅:0.4質量%(Cu2+:0.2質量%)イオン交換水:残部)(30℃)中に80秒間浸漬し、揺動させることによってエッチングした。次いで、流水で超音波洗浄(水中、1分)を行い、乾燥させることにより表面処理済みの金属部材1を得た。
得られた金属部材1の間隔周期は、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製VK−X100)にて測定した。
また、得られた金属部材1の表面粗さを、表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用して測定し、6直線部について、切断レベル10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%および80%における負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を求めた。このうち、切断レベル20%におけるRmr(20%)値、上記Rmr(20%)値が30%以下となる直線部の本数、切断レベル40%におけるRmr(40%)値、上記Rmr(40%)値が60%以下となる直線部の本数、6直線部のRz値、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)、エッチング処理前後の金属部材の質量比から求めたエッチング率を算出した。
得られた結果を以下に示す。
間隔周期[μm]:92
切断レベル20%におけるRmr(20%)値:17.5、10.3、13.4、10.6、3.8、7.4
Rmr(20%)値が30%以下となる直線部の本数:6
切断レベル40%におけるRmr(40%)値:43.6、26.1、48.0、46.7、33.5、34.2
Rmr(40%)値が60%以下となる直線部の本数:6
6直線部のRz値[μm]:17.8、18.1、19.6、17.8、17.2、18.0
6直線部のRSm値[μm]:104、83.0、85.6、98.7、106.6、103.1
エッチング率[質量%]:2.6
〔調製例2〕―NMT法による金属部材2の調製―
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム板を特開2005−119005号公報の実施例1に記載の処理をおこなった。具体的には、市販のアルミニウム脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を15%濃度で水に溶かし75℃とした。この水溶液が入ったアルミニウム脱脂槽に上記アルミニウム板を5分間浸漬し水洗し、40℃の1%塩酸水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。つづいて、40℃の1%水酸化ナトリウム水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。次いで40℃の1%塩酸水溶液を入れた槽に1分浸漬し水洗し、60℃の2.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第1ヒドラジン処理槽に1分浸漬し、40℃の0.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第2ヒドラジン処理槽に0.5分浸漬し水洗した。これを40℃で15分間、60℃で5分程度温風乾燥させることにより、表面処理済みの金属部材2を得た。
得られた金属部材2の間隔周期は、走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6701F)にて測定した。
また、エッチング処理前後の金属部材の質量比から求めたエッチング率を算出した。得られた結果を以下に示す。
間隔周期[nm]:45
エッチング率[質量%]:0.3
〔実施例1〕
調製例1で得られた、金属部材1の片側の表面上に、光硬化型塗料である三井化学製のウレタンアクリレート塗料(商品名;オレスターRA1353)を酢酸エチルで希釈したもの(固形分濃度40質量%)を、塗膜として10〜15μm厚みとなるように塗装し、その後50℃×5分間乾燥した。次いで、100W/cmの高圧水銀灯を3灯有する紫外線照射装置で照射距離10cm、ライン速度10m/分で紫外線を照射した。これで得られた試験片について、塗膜密着性を碁盤目試験(JIS K5600−5−6に準拠。間隔1mm、剥離テープ;透明感圧付着テープ、試験環境;23℃×50%)によって評価したところ、100/100であった。
〔実施例2〕
金属部材2を用いた以外は実施例1と同様の条件で実施した。得られた試験片について、塗膜密着性を実施例1と同様な碁盤目試験によって評価したところ、100/100であった。
〔比較例1〕
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム板(厚み:2.0mm、長さ45mm、幅18mm)を、何ら処理することなくそのまま用いた以外は施例1と同様の条件で実施した。得られた試験片について、塗膜密着性を実施例1と同様な碁盤目試験によって評価したところ、0/100であった。

Claims (3)

  1. 微細凹凸表面を有する金属部材と、前記金属部材の前記微細凹凸表面に固着した接合面を有する合成樹脂塗膜とを備える樹脂被膜金属材料であって、前記金属部材の前記微細凹凸表面には、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立していることを特徴とし、前記合成樹脂塗膜は光硬化型樹脂の硬化物であることを特徴とする樹脂被膜金属材料であって、
    前記金属部材の前記微細凹凸表面には、間隔周期が500nm未満の超微細凹凸構造が観測されることを特徴とする樹脂被膜金属材料
  2. 前記金属部材が、アルミニム合金部材または鉄鋼部材であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被膜金属材料。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂被膜金属材料において、前記合成樹脂塗膜がウレタンアクリレートを含む光硬化性樹脂の硬化物からなることを特徴とする樹脂被膜金属材料。
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