JP6756860B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明はスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関の点火用に使用されるスパークプラグは、一般に、次の構成とされている。すなわち、スパークプラグは、筒状の主体金具と、この主体金具の内孔に配置される筒状の絶縁体と、この絶縁体の内孔に配置される中心電極と、一端が主体金具の先端側に接合され、他端が中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極とを備える。そして、スパークプラグは、内燃機関の燃焼室内で、中心電極の先端部と接地電極の先端部との間に形成される火花放電間隙に火花放電され、燃焼室内に充填された燃料を燃焼させる。
ところで、近年、スパークプラグには、進行国市場の拡大を背景とした廉価で、かつ耐久性(耐酸化性及び耐火花消耗性の両方)に優れるスパークプラグが求められている。貴金属チップを用いるスパークプラグはチップ自体が高価であり、かつチップの溶接工程を含むため、全ての市場に受け入れられるものではない。そこで、特許文献1では、上記耐久性に優れる接地電極用の電極材として、Ni量が非常に多い母材と、母材よりも外表面側に形成された保護層が存在する2層構造の電極材を用いたスパークプラグが検討されている。この文献での保護層は、Cr,Al等が母材に比べて多く、耐酸化性に優れる層とされている。そして、この電極材では、母材はNi量が多いため、耐火花消耗性に優れ、また、保護層は耐酸化性に優れているとされている。また、特許文献2では、Cu量が非常に多い芯部と、芯部を内包する外層が存在する2層構造の中心電極を用いたスパークプラグが検討されている。この文献の外層は、表面より内部においてCr,Alを含有するとされている。
特開2017−50096号公報 特開2012−182118号公報
しかし、特許文献1のスパークプラグでは、接地電極を曲げ加工する際や、スパークプラグの使用時に保護層に割れが生じ、耐酸化性が急激に落ちる課題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐酸化性及び耐火花消耗性の両方が優れたスパークプラグを提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔内の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられ、前記軸線方向の先端側から後端側に延びる筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端側端部に固定された基端部及び前記中心電極の先端面と間隙を介して対向する先端部を有する接地電極と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接地電極は、母材と、前記母材を被覆している外層部と、を備えており、
前記母材及び前記外層部は、共にNiを主成分としており、
前記母材のNiの含有率は、95wt%以上であり、
前記外層部のAlの含有率は、5wt%以上15wt%以下であり、
前記外層部の厚さは、0.05mm以上0.3mm以下であるスパークプラグ。
この構成では、耐酸化性と耐火花消耗性の両方を高い次元で実現できる。
(2)前記母材は、希土類元素のうちの少なくとも1種を含有し、希土類元素の合計含有率が0.05wt%以上1.0wt%以下である請求項1に記載のスパークプラグ。
この構成では、母材に対する外層部の密着性が向上し、外層部が剥がれにくくなる。
(3)前記接地電極の断面形状が略長方形であり、かつ前記断面形状における4隅の曲率半径が全て10mm以上である請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
断面形状における4隅の曲率半径が全て10mm以上とすることで、外層部の割れを更に抑制できる。
(4)前記接地電極の曲げ部における曲率半径が1.5mm以上とされている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
前記接地電極の曲げ部における曲率半径を1.5mm以上とすることで、外層部の割れを更に抑制できる。
スパークプラグの一実施形態を示す一部断面の全体説明図である。 スパークプラグの接地電極近傍を拡大して示す断面図である。 図2のA−A断面を示す断面図である。 変形例のスパークプラグの接地電極近傍を拡大して示す断面図である。 変形例のスパークプラグの接地電極の断面を示す断面図である(図2のA−A断面を示す)。
この発明に係るスパークプラグ1の一実施例であるスパークプラグ1を図1に示す。図1はこの発明に係るスパークプラグ1の一実施例であるスパークプラグ1の一部断面の全体説明図である。なお、図1では紙面下方すなわち後述する接地電極8が配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示されるように、軸線O方向に沿って延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、軸孔2内の先端側に設けられた略棒状の中心電極4と、を備える。スパークプラグ1は、更に軸孔2内の後端側に設けられた端子金具5と、軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置された接続部6と、絶縁体3の外周に設けられ、軸線O方向先端側から後端側に延びる略円筒形状の主体金具7と、接地電極8と、を備える。接地電極8は、主体金具7の先端側端部に固定された基端部15及び中心電極4の先端面33と間隙Gを介して対向する先端部16を有する。
絶縁体3は、軸線O方向に延びる軸孔2を有し、略円筒形状とされている。絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、後端側胴部11よりも先端側に配置され、径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、大径部12の先端側に配置され、大径部12より小さい外径を有し、接続部6を収容する。脚長部14は、先端側胴部13の先端側に配置され、先端側胴部13より小さい外径及び内径を有し、中心電極4を収容する。絶縁体3は、絶縁体3における先端側端部が主体金具7の先端側端部から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気絶縁性を有する材料で形成される。
接続部6は、下部シール層6a、抵抗体6b、上部シール層6cからなり、それぞれ軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置される。接続部6は、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。
主体金具7は、略円筒形状を有している。主体金具7は、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持する。主体金具7における先端方向の外周面には、ネジ部24が設けられている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有する。ガスシール部25の後端側には、スパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26が備えられている。工具係合部26の後端側には、加締め部27が備えられている。ネジ部24の内周面における先端側は、脚長部14に対して空間を有するように配置されている。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行うための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて接続部6により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼等の金属材料により形成されることができる。
中心電極4は、接続部6に接する後端部28と、後端部28から先端側に延びる棒状部29とを有する。中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定され、主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4における後端部28と棒状部29とは、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。中心電極4は、2層構造であり、Ni合金等により形成される外層31と、芯部32と、を有する。芯部32は、外層31を形成するNi合金等よりも熱伝導率の高い材料により形成され、外層31の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されている。芯部32を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。なお、中心電極4は、単層構造でNi合金等により形成されてもよい。
次に、本実施形態の特徴部分である接地電極8について説明する。
図2,3に示すように、接地電極8は、例えば、略角柱形状とされている。接地電極8の基端部15は、主体金具7の先端側端部に固定され、途中で略L字状に屈曲されている。接地電極8の先端部16は、中心電極4の先端面33との間に間隙Gを介して対向するように設けられている。本実施形態における間隙Gは、中心電極4の先端面33と先端面33に対向する接地電極8の内側面45との最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。
接地電極8は、母材41と、母材41を被覆している外層部42と、を備えている。外層部42は、母材41よりも外表面側に形成された保護層である。外層部42は、母材41の表面の少なくとも一部に形成されていればよいが、表面の全体に形成されていることが好ましい。
本実施形態では、接地電極8は、以下の要件〔1〕〜〔4〕を全て満たしている。
要件〔1〕:母材41及び外層部42は、共にNiを主成分としている。なお、主成分とは、含有率(wt%)が50wt%以上の物質をいう。
要件〔2〕:母材41のNiの含有率は、95wt%以上であり、好ましくは96wt%以上であり、より好ましくは97wt%以上である。
要件〔3〕:外層部42のAlの含有率は、5wt%以上15wt%以下であり、好ましくは7wt%以上13wt%以下であり、より好ましくは9wt%以上11wt%以下である。
要件〔4〕:外層部42の厚さは、0.05mm以上0.3mm以下であり、好ましくは0.1mm以上0.25mm以下であり、より好ましくは0.15mm以上0.2mm以下である。
本実施形態では、これらの要件〔1〕〜〔4〕を全て満たすことにより、耐酸化性と耐火花消耗性の両方を高い次元で実現できる。
なお、母材41のNiの含有率が、95wt%以上とする要件〔2〕は、耐火花消耗性を確保するために重要な要件である。
また、外層部42のAlの含有率が、5wt%以上15wt%以下であるという要件〔3〕、及び外層部42の厚さが、0.05mm以上0.3mm以下であるという要件〔4〕は、母材41に含まれるNiの酸化抑制に重要な要件である。
外層部42の形成方法は、特に限定されない。例えば、アルミナイズ法、メッキ処理等が用いられる。アルミナイズ法の一例を説明する。外層部42は、Ni又はNi合金で形成された母材41に対して、アルミナイズ法を用いて、NiAl金属間化合物を被覆することによって形成される。アルミナイズ法は、Alを含む合金粉末中に基材と還元剤を入れ、所定の保持温度(例えば、摂氏800度〜1300度)で所定の保持時間(例えば、2〜6時間)保持することによって、母材41の表面にAl化合物を生成するプロセスである。具体的には、(1)Alの活量を低減させるためのAl合金粉末、(2)母材41とAl合金粉末の反応の急激な進行を制御するためのアルミナ粉末、及び、(3)Al合金粉末中のAlを活性化して気相のAl塩化物を発生させる活性剤粉末、の3種類から構成される処理粉末を用いる。Al合金粉末には、Fe、Ni、及びCrのうちの少なくとも1種以上を含むものが例示される。活性剤粉末は、アンモニアの塩化物、又はNa、Cr、Ag等のAlの塩化物の生成を促進させる金属の塩化物が適当である。Al合金粉末と、Al合金粉末と同量のアルミナ粉末と、活性剤粉末としてのNHClと、を混合した処理粉末中に、Ni又はNi合金の母材41を浸漬し、所定の保持温度で、所定の保持時間保持する。これによって、母材41の表面に、NiAl金属間化合物を被覆させることができる。Al合金粉末におけるAlの含有率や、保持温度、保持時間等の条件を調整することによって、外層部42の厚さを調整できる。Alの含有率が高いほど、保持温度が高いほど、保持時間が長いほど、外層部42の被覆層が厚くなる。なお、アルミナイズ法の詳細は、例えば、特開2014−55325号公報、及び、国際公開第2012/033160号公報に、開示されている。
本発明者らは、耐酸化性及び耐火花消耗性を両立するためには、Ni量が多い母材41と、母材41よりも外表面側に形成された外層部42が存在する2層構造の電極材を用いる必要があると考え、上述の特許文献1に記載の技術を開発した。この文献の技術では、外層部42はCr(クロム)を主たる副成分として含有している。
ところが、このように作製したスパークプラグ1では、耐酸化性が必ずしも十分でない場合があった。
本発明者らが検討した結果、Al(アルミニウム)を主たる副成分としたNi−Al合金が耐酸化性及び耐火花消耗性を向上できるという事実を見出した。
しかし、検討を進めていくうちに、Ni−Al合金を用いても耐酸化性が低くなる場合があることが分かった。この原因を明らかにするために、Alの含有率を変えて検討した。その結果、Ni−Al合金は、Alの含有率が高いほど、耐酸化性の向上に寄与するが、他方、含有率が高いほど、合金の結晶構造が変化して延性がなくなることが分かった。このため、Alの含有率が高すぎると、接地電極8を曲げ加工する際や、スパークプラグ1の使用時に外層部42に割れが生じ、耐酸化性が急激に落ちることが判明した。すなわち、Alの含有率を規定することで、曲げ変形に対して割れにくく、しかも耐酸化性にも優れた外層部42となるとの結論に至った。
更に、耐酸化性及び耐火花消耗性の両方を確保するためには、外層部42の厚さ、及び母材41のNiの含有率も重要であろうと考えられた。
本発明者らが、上述の思想の下、鋭意研究を重ねた結果、母材41のNiの含有率、外層部42のAlの含有率、及び外層部42の厚さを特定範囲内に収めることで、耐酸化性及び耐火花消耗性が両立したスパークプラグ1が実現できることを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
母材41は、Niの含有率が95wt%以上である金属材料により形成されている。母材41は、Ni以外の元素の含有率が5wt%未満であるので、熱伝導性に優れる。従って、接地電極8は、火花放電により接地電極8が熱を受熱した場合に、先端部16から基端部15及び主体金具7に向かって熱を速やかに伝導することができ、いわゆる熱引きが良好であるので、耐火花消耗性に優れる。なお、本実施形態では、外層部42も、Niを主成分としている。よって、Niを多く含有する母材41と、外層部42との密着性が向上している。
母材41は、Ni以外の元素として、希土類元素のうちの少なくとも1種を含有することができる。希土類元素としては、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテチウム)を挙げることができる。これらの希土類元素の中でも、Y、Dy、Ybが特に好ましい。
母材41は、希土類元素のうちの少なくとも1種を含有し、希土類元素の合計含有率が0.05wt%以上1.0wt%以下であることが好ましく、0.1wt%以上0.5wt%以下であることがより好ましく、0.2wt%以上0.4wt%以下であることが更に好ましい。
母材41が、希土類元素の含有量をこの範囲内で含有すると、希土類元素が、母材41と外層部42との界面近傍に速やかに拡散される。その結果、母材41に対する外層部42の密着性が向上し、外層部42が母材41から剥がれにくくなる傾向にある。よって、接地電極8の基端部15を主体金具7の先端側端部に固定した後に、先端部16を中心電極4の先端面33に近づけるように屈曲させる際に、外層部42の割れが発生するのを抑制できる。また、母材41が、希土類元素のうちの少なくとも1種を合計で0.05wt%以上含有すると、内燃機関の稼働中に結晶が粒成長するのを抑制することができる。その結果、接地電極8の耐アルコール腐食性を向上させることができる。
また、母材41が、希土類元素をこの範囲内で含有すると、母材41が脆くなることを防止できる。
外層部42の厚さ、及び外層部42におけるAlの含有率は、FE−EPMAに付属されたWDS(Wavelength Dispersive X−ray Spectrometer)を用いて、次のようにして求めることができる。
Alの含有率が5wt%以上15wt%以下である外層部42の厚さは、まず、未使用の接地電極8の先端面46から基端部15側に2mmの位置で、外層部42の外表面に直交するように接地電極8を切断し、切断面を得る。この切断面において、加速電圧20kV、スポット径10μmにて、外層部42の外表面から内部に向かってライン分析を行う。Alの含有率が5wt%以上15wt%以下である領域の外表面からの距離を測定し、これを外層部42の厚さとする。
外層部42におけるAlの含有率は、Alの含有率が5wt%以上15wt%以下である外層部42の厚さ方向の中心で、加速電圧20kV、スポット径1μmにてライン分析を行うことにより、測定する。
母材41の組成は、FE−EPMAに付属されたWDSを用いて、次のようにして求めることができる。
母材41の組成は、まず、未使用の接地電極8の先端面46から基端部15側に2mmの位置で、外層部42の外表面に直交するように接地電極8を切断し、切断面を得る。この切断面のうちAlの含有率が5wt%未満の部分において、加速電圧20kV、スポット径100μmにて、0.1mm×0.1mmの正方形の領域でエリア分析を行うことにより、測定する。
本実施形態では、図3に示すように、接地電極8の断面形状が略長方形であり、かつ断面形状における4隅eの曲率半径Eが全て10mm以上であることが好ましい。これらの曲率半径Eは、全て15mm以上であることがより好ましく、全て20mm以上であることが更に好ましい。曲率半径Eをこの範囲とすることで、接地電極8を曲げ加工する際や、スパークプラグ1の使用時における外層部42の割れが抑制される。
曲率半径Eの測定は、投影機及びテンプレートを用いて以下のようにして測定する。まず、未使用の接地電極8の先端面46から基端部15側に2mmの位置で、外層部42の外表面に直交するように接地電極8を切断し、切断面を得る。投影機のステージ上に被検物(切断された接地電極8)の光学像を、50倍でスクリーンに投影する。スクリーン上で光学像にテンプレートを当てて測定し、測定値を対物レンズの倍率(50倍)で割って、曲率半径Eを求める。
また、本実施形態では、図2に示すように、接地電極8の曲げ部17における曲率半径Rが1.5mm以上あることが好ましい。曲率半径Rは、2.0mm以上であることがより好ましく、3.0mm以上であることが更に好ましい。曲率半径Rをこの範囲とすることで、接地電極8を曲げ加工する際や、スパークプラグ1の使用時における外層部42の割れが抑制される。
曲率半径Rの測定は、投影機及びテンプレートを用いて以下のようにして測定する。投影機のステージ上に接地電極8の光学像を、50倍でスクリーンに投影する。そして、スクリーン上で光学像にテンプレートを当てて測定し、測定値を対物レンズの倍率(50倍)で割って、曲率半径Rを求める。
次に、上記のように構成したスパークプラグ1の作用効果について説明する。
本実施形態のスパークプラグ1は、耐酸化性と耐火花消耗性の両方を高い次元で実現できる。
母材41が、0.05wt%以上1.0wt%以下の希土類元素を含有することで、希土類元素が、母材41と外層部42との界面近傍に速やかに拡散される。その結果、母材41に対する外層部42の密着性が向上し、外層部42が母材41から剥がれにくくなる。
接地電極8の断面形状における4隅eの曲率半径Eを全て10mm以上とすることで、外層部42の割れを更に抑制できる。
接地電極8の曲げ部17における曲率半径Rが1.5mm以上とすることで、外層部42の割れを更に抑制できる。
実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実験例1〜8は、比較例である。実験例9〜22は、実施例である。
実験例13〜22は、母材41における希土類元素の合計含有率が0.05wt%以上1.0wt%以下である。
実験例17〜22は、接地電極8の断面形状における4隅eの曲率半径Eが全て7mm以上30mm以下である。
実験例20〜22は、接地電極8の曲げ部17における曲率半径Rが1.5mm以上4.0mm以下である。
1.スパークプラグ1の作製
高Ni合金製の母材41にアルミナイズ法を用いて外層部42を形成した。これにより、2層構造を有する接地電極8を形成した。具体的には、表1に記載の各種組成の母材41に対して、所定のAl含有率を有する外層部42を形成した。なお、アルミナイズ法を用いるに際して、Al合金粉末におけるAlの含有率や、保持温度、保持時間などの条件を調整することによって、外層部42のAl含有率、及び厚さを表1に記載のように調整した。
また、母材41の4隅eを研磨等することで、接地電極8の断面形状における4隅eの曲率半径Eを調整した。
作製した接地電極8を準備した主体金具7に接合し、主体金具7に中心電極4及び端子金具5を固定した絶縁体3を組み付けた。最後に、接地電極8の先端部16を中心電極4側に折り曲げて接地電極8の先端部16の内側面45と中心電極4の先端面33とが対向するようにして、図2に示す構造を有するスパークプラグ1を製造した。なお、接地電極8の折り曲げ形状を調整することで、曲率半径Rを調整した。
製造したスパークプラグ1のネジ径はM14であり、主体金具7の先端から突出している絶縁体3の長さは2mmであった。絶縁体3の先端から突出している中心電極4の長さは3mm、中心電極4の先端面33と接地電極8との間隙Gは0.85mmであった。中心電極4の先端面33における直径は0.6mmであった。また、接地電極8の断面は、1.5mm×2.8mmの略長方形であった。
2.母材の組成、外層部のAl含有率、外層部の厚さの測定
接地電極8における母材41及び外層部42の組成は、FE−EPMA(日本電子株式会社製JXA−8500F)に付属されたWDSを用いて、測定した。まず、作製した接地電極8の先端面46から基端部側に2mmの位置で、外層部42の外表面に直交するように接地電極8を切断し、切断面を得た。
母材41のNiの含有率は、この切断面における一方の端部から他方の端部に向かって、加速電圧20kV、スポット径10μmにてライン分析を行うことにより測定し、分析値の最大値を表1に示した。
母材41の希土類元素の含有率は、この切断面における接地電極8の厚さ方向の中心において、加速電圧15kV、スポット径10μmにて1辺1mmの正方形の領域でエリア分析を行うことにより、測定した。
外層部42におけるAl含有率は、接地電極8の先端面46から基端部側に2mmの位置で、接地電極8の幅方向の中心において、加速電圧20kV、スポット径1μmにて1ライン分析を行うことにより、測定した。
Alの含有率が5wt%以上15wt%以下である外層部42の厚さは、上記切断面において、加速電圧20kV、スポット径10μmにて、外層部42の外表面から内部に向かってライン分析を行い、Alの含有率が5wt%以上15wt%以下である領域の外表面からの距離を測定した。
各測定結果を表1に示す。
3.曲率半径E及び曲率半径Rの測定
曲率半径Eの測定は、投影機及びテンプレートを用いて以下のようにして測定した。まず、未使用の接地電極8の先端面46から基端部15側に2mmの位置で、外層部42の外表面に直交するように接地電極8を切断し、切断面を得た。投影機のステージ上に被検物(切断された接地電極8)の光学像を、50倍でスクリーンに投影した。スクリーン上で光学像にテンプレートを当てて測定し、測定値を対物レンズの倍率(50倍)で割って、曲率半径Eを求めた。
曲率半径Rの測定は、投影機及びテンプレートを用いて以下のようにして測定した。投影機のステージ上に接地電極8の光学像を、50倍でスクリーンに投影した。そして、スクリーン上で光学像にテンプレートを当てて測定し、測定値を対物レンズの倍率(50倍)で割って、曲率半径Rを求めた。
各測定結果を表1に示す。
Figure 0006756860
4.耐火花消耗性の評価方法
1300ccのガソリンを燃料とするエンジンにそれぞれスパークプラグ1を取り付け、スロットル全開状態、エンジン回転数3500rpmの全開耐久試験を200時間行った。全開耐久試験後(運転200時間後)の中心電極4の先端面33と接地電極8との間隙Gをピンケージで測定した。以下の基準によって耐火花消耗性を評価した。結果を表2に示す。

(評価基準)
A:間隙Gが0.1mm未満
B:間隙Gが0.1mm以上
5.耐酸化性評価の評価方法
1300ccのガソリンを燃料とするエンジンにそれぞれスパークプラグ1を取り付け、次の〔1〕の状態と、〔2〕の状態とを交互に繰り返して、冷熱耐久試験を200時間行った。冷熱耐久試験に、サンプル(接地電極8)の断面における背面側の酸化層の厚さを測定した。以下の基準によって耐酸化性を評価した。結果を表2に示す。

(冷熱耐久試験の条件)
〔1〕スロットル全開状態、エンジン回転数3500rpm、1分間
〔2〕Idol(760rpm)、1分間

(評価基準)
A:0.01mm未満
B:0.01mm以上0.05mm未満
C:0.05mm以上0.10mm未満
D:0.10mm以上0.20mm未満
E:0.20mm以上
6.評価結果
結果を表2に示す。
Figure 0006756860
実験例1〜4は、外層部42のAlの含有率が5wt%以上15wt%以下の範囲外である。また、実験例1〜4は、外層部42の厚さが0.05mm以上0.3mm以下の範囲外である。また、実験例3,4は、母材41のNiの含有率が95wt%未満である。従って、実験例1〜4は、本発明の範囲外であり、耐酸化性の評価が「E」と不十分であった。実験例3,4は、耐火花消耗性の評価が「B」と不十分であった。
実験例5〜8は、外層部42の厚さが0.05mm以上0.3mm以下の範囲外である。この点において、実験例1〜4は、本発明の範囲外であり、耐酸化性の評価が「E」と不十分であった。
実験例9〜22は、母材41のNiの含有率が95wt%以上であり、外層部42のAlの含有率が5wt%以上15wt%以下であり、外層部42の厚さは、0.05mm以上0.3mm以下である。このように、実験例9〜22は、本発明の要件を満たしており、耐火花消耗性の評価が「A」であり、耐酸化性の評価も「D」以上であった。従って、本発明では、耐酸化性と耐火花消耗性の両方を高い次元で実現できることが確認された。
実験例13〜22は、耐酸化性の評価も「C」以上であった。よって、母材41における希土類元素の合計含有率が0.05wt%以上1.0wt%以下の場合には、耐酸化性が向上することが確認された。
接地電極8の断面形状における4隅eの曲率半径Eが全て10mm以上20mm以下の実験例18〜22では、耐酸化性の評価が「B」以上であり、耐酸化性が著しく向上することが確認された。
実験例20〜22は、耐酸化性の評価も「A」以上であった。よって、接地電極8の曲げ部17における曲率半径Rが1.5mm以上2.5mm以下の場合には、耐酸化性が際だって向上することが確認された。
<他の実施形態(変形例)>
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
(1)母材41内にCu等からなる芯を備えた構成も採用することができる。
(2)接地電極8の先端面46は、外層部42が設けられなくてもよい(図4参照)。
(3)外層部42は、NiやAl以外の成分を含んでいてもよい。
(4)接地電極8の断面形状は、略長方形以外であってもよい。接地電極8の断面形状は、例えば、半月形状であってもよい(図5参照)。より具体的には、中心電極4側の内側面45が平面を有し、中心電極4に対向しない外側面47が外側(中心電極4から遠ざかる方向)に向けて膨らむ形態の曲面を有していてもよい。この場合には、断面形状における2隅eの曲率半径Eが全て10mm以上であることが好ましい。これらの曲率半径Eは、全て15mm以上であることがより好ましく、全て20mm以上であることが更に好ましい。曲率半径Eをこの範囲とすることで、接地電極8を曲げ加工する際や、スパークプラグ1の使用時における外層部42の割れが抑制される。なお、曲率半径Eの測定は、既述の方法に従う。
1 …スパークプラグ
2 …軸孔
3 …絶縁体
4 …中心電極
5 …端子金具
6 …接続部
7 …主体金具
8 …接地電極
11…後端側胴部
12…大径部
13…先端側胴部
14…脚長部
15…基端部
16…先端部
17…曲げ部
24…ネジ部
25…ガスシール部
26…工具係合部
27…加締め部
28…後端部
29…棒状部
31…外層
32…芯部
33…先端面
41…母材
42…外層部
45…内側面
46…先端面
47…外側面
G …間隙
O …軸線

Claims (4)

  1. 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
    前記軸孔内の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられ、前記軸線方向の先端側から後端側に延びる筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端側端部に固定された基端部及び前記中心電極の先端面と間隙を介して対向する先端部を有する接地電極と、
    を備えるスパークプラグであって、
    前記接地電極は、母材と、前記母材を被覆している外層部と、を備えており、
    前記母材及び前記外層部は、共にNiを主成分としており、
    前記母材のNiの含有率は、95wt%以上であり、
    前記外層部のAlの含有率は、5wt%以上15wt%以下であり、
    前記外層部の厚さは、0.05mm以上0.3mm以下であるスパークプラグ。
  2. 前記母材は、希土類元素のうちの少なくとも1種を含有し、希土類元素の合計含有率が0.05wt%以上1.0wt%以下である請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記接地電極の断面形状が略長方形であり、かつ前記断面形状における4隅の曲率半径が全て10mm以上である請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記接地電極の曲げ部における曲率半径が1.5mm以上とされている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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