JP6391759B2 - 点火プラグ - Google Patents

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Description

本明細書は、内燃機関等において燃料ガスに点火するための点火プラグに関する。
内燃機関に用いられる点火プラグは、例えば、中心電極と接地電極との間に形成される間隙に火花放電を発生させて、内燃機関等において燃料ガスに点火する。耐消耗性の向上を図るべく、中心電極や接地電極のうち、火花放電が発生する間隙を形成する部位に、例えば、イリジウムなどの貴金属製の電極チップが接合された点火プラグが知られている。
また、特許文献1には、イリジウム(Ir)合金の表面に、IrAl金属間化合物の被膜を形成した材料が開示されている。この材料は、高温耐酸化性に優れているとされている。
国際公開第2012/033160号
しかしながら、上記材料を、点火プラグの電極チップに適用することについて、十分な検討がされていなかった。特に、上記材料を用いた電極チップと電極本体との接合については、十分な検討がされていないので、電極チップの耐剥離性を十分に確保できない可能性があった。
本明細書は、IrAl金属間化合物の被覆層を有する電極チップを備える点火プラグにおいて、電極チップの耐剥離性を向上する技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[形態1]
中心電極と、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極と、を備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は、電極本体と、前記間隙を形成する放電面を有する電極チップと、前記電極本体と前記電極チップとの間に形成され、前記電極本体の成分と前記電極チップとの成分とを含む溶接部と、を備える点火プラグであって、
前記電極チップは、前記放電面の反対側に位置し、前記溶接部と少なくとも一部が接触する反対面と、前記放電面と交差する方向に沿う側面と、を有するチップ本体と、前記チップ本体の前記側面を少なくとも覆う被覆層と、を備え、
前記チップ本体は、イリジウム(Ir)またはイリジウム(Ir)を主成分とする合金で形成され、
前記被覆層は、イリジウム(Ir)とアルミニウム(Al)との金属間化合物(IrAl)によって形成された厚さ50μm以下の層であり、
前記電極本体は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む合金で形成され、
前記溶接部と前記電極チップとの境界近傍に位置し、かつ、前記放電面と平行で、かつ、前記電極チップを通り、かつ、前記溶接部を通らない面で、前記電極チップを切断した特定断面において、
前記チップ本体の面積をSaとし、
前記反対面のうち、前記溶接部と非接触である非接触部分を、前記放電面と垂直に前記特定断面に投影した場合に、投影される前記非接触部分の面積をSbとするとき、
前記チップ本体のうち、前記溶接部を挟んで前記電極本体と接合される接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの35%以上であり、
前記チップ本体と前記溶接部との境界近傍における前記溶接部中のアルミニウム(Al)の含有率は、10質量%以下であることを特徴とする、点火プラグ。
[形態2]
中心電極と、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極と、を備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は、電極本体と、前記間隙を形成する放電面を有する電極チップと、前記電極本体と前記電極チップとの間に形成され、前記電極本体の成分と前記電極チップとの成分とを含む溶接部と、を備える点火プラグであって、
前記電極チップは、前記放電面の反対側に位置し、前記溶接部と少なくとも一部が接触する反対面と、前記放電面と交差する方向に沿う側面と、を有するチップ本体と、前記チップ本体の前記側面を少なくとも覆う被覆層と、を備え、
前記チップ本体は、イリジウム(Ir)またはイリジウム(Ir)を主成分とする合金で形成され、
前記被覆層は、イリジウム(Ir)とアルミニウム(Al)との金属間化合物(IrAl)によって形成された厚さ50μm以下の層であり、
前記電極本体は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む合金で形成され、
前記溶接部と前記電極チップとの境界近傍に位置し、かつ、前記放電面と平行で、かつ、前記電極チップを通り、かつ、前記溶接部を通らない面で、前記電極チップを切断した特定断面において、
前記チップ本体の面積をSaとし、
前記反対面のうち、前記溶接部と非接触である非接触部分を、前記放電面と垂直に前記特定断面に投影した場合に、投影される前記非接触部分の面積をSbとするとき、
前記チップ本体のうち、前記溶接部を挟んで前記電極本体と接合される接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの35%以上であり、
前記電極チップの表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、
前記接合部分の面積(Sa−Sb)は、面積Scの7%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
[適用例1]中心電極と、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極と、を備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は、電極本体と、前記間隙を形成する放電面を有する電極チップと、前記電極本体と前記電極チップとの間に形成され、前記電極本体の成分と前記電極チップとの成分とを含む溶接部と、を備える点火プラグであって、
前記電極チップは、前記放電面の反対側に位置し、前記溶接部と少なくとも一部が接触する反対面と、前記放電面と交差する方向に沿う側面と、を有するチップ本体と、前記チップ本体の前記側面を少なくとも覆う被覆層と、を備え、
前記チップ本体は、イリジウム(Ir)またはイリジウム(Ir)を主成分とする合金で形成され、
前記被覆層は、イリジウム(Ir)とアルミニウム(Al)との金属間化合物(IrAl)によって形成された厚さ50μm以下の層であり、
前記電極本体は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む合金で形成され、
前記溶接部と前記電極チップとの境界近傍に位置し、かつ、前記放電面と平行で、かつ、前記電極チップを通り、かつ、前記溶接部を通らない面で、前記電極チップを切断した特定断面において、
前記チップ本体の面積をSaとし、
前記反対面のうち、前記溶接部と非接触である非接触部分を、前記放電面と垂直に前記特定断面に投影した場合に、投影される前記非接触部分の面積をSbとするとき、
前記チップ本体のうち、前記溶接部を挟んで前記電極本体と接合される接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの35%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、チップ本体と電極本体とを十分に広い面積において、溶接部によって接合することができる。この結果、IrAl金属間化合物の被覆層を有する電極チップを備える点火プラグにおいて、電極チップの耐剥離性を向上することができる。
[適用例2]適用例1に記載の点火プラグであって、
前記接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの45.7%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、チップ本体と電極本体とを、さらに広い面積において、溶接部によって接合することができる。この結果、IrAl金属間化合物の被覆層を有する電極チップを備える点火プラグにおいて、電極チップの耐剥離性をさらに向上することができる。
[適用例3]適用例1または2に記載の点火プラグであって、
前記電極チップの表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、
前記接合部分の面積(Sa−Sb)は、面積Scの7%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、電極チップにおいて熱を受ける部分の面積Scに対して、十分に広い面積で、チップ本体と電極本体とを接合することができる。この結果、IrAl金属間化合物の被覆層を有する電極チップを備える点火プラグにおいて、電極チップの耐剥離性をさらに向上することができる。
[適用例4]適用例1〜3のいずれか1項に記載の点火プラグであって、
前記チップ本体と前記溶接部との境界近傍における前記溶接部中のアルミニウム(Al)の含有率は、10質量%以下であることを特徴とする、点火プラグ。
溶接部におけるアルミニウムの含有率が高いほど、溶接部が変形しにくく、脆くなりやすい。上記構成によれば、チップ本体と溶接部との境界近傍において、溶接部が変形しにくく脆くなることを抑制して、電極チップの耐剥離性をさらに向上することができる。
[適用例5]適用例4に記載の点火プラグであって、
前記チップ本体と前記溶接部との境界近傍における前記溶接部中のアルミニウム(Al)の含有率は、5質量%以下であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、チップ本体と溶接部との境界近傍において、溶接部が変形しにくく脆くなることを、さらに抑制して、電極チップの耐剥離性を特に向上することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、点火プラグや点火プラグを用いた点火装置、その点火プラグを搭載する内燃機関や、その点火プラグを用いた点火装置を搭載する内燃機関、点火プラグの電極等の態様で実現することができる。
本実施形態の点火プラグ100の断面図である。 中心電極20の先端近傍の構成の説明図である。 Ir−Alの二元状態図である。 中心電極チップ29の近傍の断面画像である。 図2(A)の領域SAの拡大図である。 第2実施形態の中心電極の先端近傍の構成の説明図である。 第3実施形態の中心電極の先端近傍の断面図である。 変形例の接地電極30の接地電極チップ39近傍の断面図である。 変形例の中心電極チップ29近傍の構造の説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.点火プラグの構成:
図1は本実施形態の点火プラグ100の断面図である。図1の一点破線は、点火プラグ100の軸線COを示している。軸線COと平行な方向(図1の上下方向)を軸線方向とも呼ぶ。軸線COを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、軸線COを中心とする円の周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。図1における下方向を先端方向FDと呼び、上方向を後端方向BDとも呼ぶ。図1における下側を、点火プラグ100の先端側と呼び、図1における上側を点火プラグ100の後端側と呼ぶ。点火プラグ100は、絶縁体としての絶縁体10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、を備える。
絶縁体10はアルミナ等を焼成して形成されている。絶縁体10は、軸線方向に沿って延び、絶縁体10を貫通する貫通孔12(軸孔)を有する略円筒形状の部材である。絶縁体10は、鍔部19と、後端側胴部18と、先端側胴部17と、段部15と、脚長部13とを備えている。後端側胴部18は、鍔部19より後端側に位置し、鍔部19の外径より小さな外径を有している。先端側胴部17は、鍔部19より先端側に位置し、鍔部19の外径より小さな外径を有している。脚長部13は、先端側胴部17より先端側に位置し、先端側胴部17の外径よりも小さな外径を有している。脚長部13は、点火プラグ100が内燃機関(図示せず)に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。段部15は、脚長部13と先端側胴部17との間に形成されている。
主体金具50は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼材)で形成され、内燃機関のエンジンヘッド(図示省略)に点火プラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、軸線COに沿って貫通する挿入孔59が形成されている。主体金具50は、絶縁体10の径方向の周囲(すなわち、外周)に配置される。すなわち、主体金具50の挿入孔59内に、絶縁体10が挿入・保持されている。絶縁体10の先端は、主体金具50の先端より先端側に突出している。絶縁体10の後端は、主体金具50の後端より後端側に突出している。
主体金具50は、点火プラグレンチが係合する六角柱形状の工具係合部51と、内燃機関に取り付けるための取付ネジ部52と、工具係合部51と取付ネジ部52との間に形成された鍔状の座部54と、を備えている。取付ネジ部52の呼び径は、例えば、M8(8mm(ミリメートル))、M10、M12、M14、M18のいずれかとされている。
主体金具50の取付ネジ部52と座部54との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、点火プラグ100が内燃機関に取り付けられた際に、点火プラグ100と内燃機関(エンジンヘッド)との隙間を封止する。
主体金具50は、さらに、工具係合部51の後端側に設けられた薄肉の加締部53と、座部54と工具係合部51との間に設けられた薄肉の圧縮変形部58と、を備えている。主体金具50における工具係合部51から加締部53に至る部位の内周面と、絶縁体10の後端側胴部18の外周面との間に形成される環状の領域には、環状のリング部材6,7が配置されている。当該領域における2つのリング部材6,7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53の後端は、径方向内側に折り曲げられて、絶縁体10の外周面に固定されている。主体金具50の圧縮変形部58は、製造時において、絶縁体10の外周面に固定された加締部53が先端側に押圧されることにより、圧縮変形する。圧縮変形部58の圧縮変形によって、リング部材6、7およびタルク9を介し、絶縁体10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。金属製の環状の板パッキン8を介して、主体金具50の取付ネジ部52の内周に形成された段部56(金具側段部)によって、絶縁体10の段部15(絶縁体側段部)が押圧される。この結果、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との隙間から外部に漏れることが、板パッキン8によって防止される。
中心電極20は、軸線方向に延びる棒状の中心電極本体21と、中心電極チップ29と、を備えている。中心電極本体21は、絶縁体10の貫通孔12の内部の先端側の部分に保持されている。中心電極本体21の内部には、芯部21Bが埋設されている。中心電極本体21は、例えば、ニッケル(Ni)またはNiを50重量%以上含む合金(例えば、INC600、INC601)を用いて形成されている。芯部21Bは、中心電極本体21を形成する合金よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金、本実施形態では、銅で形成されている。
また、中心電極本体21は、軸線方向の所定の位置に設けられた鍔部212(フランジ部とも呼ぶ。)、鍔部212よりも後端側の部分である頭部211(電極頭部)と、鍔部212よりも先端側の部分である脚部213(電極脚部)と、を備えている。鍔部212は、絶縁体10の段部16に支持されている。脚部213の先端部分、すなわち、中心電極本体21の先端は、絶縁体10の先端より先端側に突出している。
中心電極チップ29は、略円柱形状を有する部材であり、中心電極本体21の先端(脚部213の先端)に、例えば、レーザ溶接を用いて、接合されている。中心電極チップ29の先端面は、後述する接地電極チップ39との間で、火花放電が発生する間隙(火花ギャップとも呼ぶ)を形成する第1放電面295である。中心電極チップ29の詳細については、後述する。
接地電極30は、主体金具50の先端に接合された接地電極本体31と、略円柱形状の接地電極チップ39と、を備えている。接地電極本体31は、断面が四角形の湾曲した棒状体である。接地電極本体31は、両端面として、自由端面311と、接合端面312と、を有している。接合端面312は、主体金具50の先端面50Aに、例えば、抵抗溶接によって、接合されている。これによって、主体金具50と接地電極本体31とは、電気的に接続される。接地電極本体31は、湾曲されており、接地電極本体31の一側面は、中心電極20の中心電極チップ29と、軸線CO上で軸線方向に対向している。
接地電極本体31は、例えば、NiまたはNiを50重量%以上含む合金(例えば、INC600、INC601)を用いて形成されている。接地電極本体31には、より熱伝導性が高い金属(例えば、銅)を用いて形成された芯部が埋設されていても良い。
接地電極チップ39は、自由端面311近傍の一側面において、中心電極チップ29と対抗する位置に溶接されている。接地電極チップ39には、例えば、イリジウム(Ir)や、白金(Pt)などの貴金属を主成分とする合金などが用いられる。接地電極チップ39の後端面は、中心電極チップ29の第1放電面295と対向し、第1放電面295との間に、間隙を形成する第2放電面395である。
端子金具40は、軸線方向に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼)で形成され、端子金具40の表面には、防食のための金属層(例えば、Ni層)がめっきなどによって形成されている。端子金具40は、軸線方向の所定位置に形成された鍔部42(端子顎部)と、鍔部42より後端側に位置するキャップ装着部41と、鍔部42より先端側の脚部43(端子脚部)と、を備えている。端子金具40のキャップ装着部41は、絶縁体10より後端側に露出している。端子金具40の脚部43は、絶縁体10の貫通孔12に挿入されている。キャップ装着部41には、高圧ケーブル(図示外)が接続されたプラグキャップが装着され、火花放電を発生するための高電圧が印加される。
絶縁体10の貫通孔12内において、端子金具40の先端(脚部43の先端)と中心電極20の後端(頭部23の後端)との間には、火花発生時の電波ノイズを低減するための抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子と、ガラス以外のセラミック粒子と、導電性材料と、を含む組成物で形成されている。貫通孔12内において、抵抗体70と中心電極20との隙間は、導電性シール60によって埋められている。抵抗体70と端子金具40との隙間は、導電性シール80によって埋められている。導電性シール60、80は、例えば、B23−SiO2系等のガラス粒子と金属粒子(Cu、Feなど)とを含む組成物で形成されている。
A−2. 中心電極の先端部分の構成:
図2は、中心電極20の先端近傍の構成の説明図である。図2(A)には、点火プラグ100および中心電極チップ29の軸線COを含む面で切断した断面図が示されている。中心電極チップ29は、略円筒形状を有し、上述した第1放電面295と、第1放電面295と交差する側面293と、を有する。中心電極チップ29の径R1は、これに限られるものではないが、例えば、0.2mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。また、中心電極チップ29の径R1は、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。
中心電極チップ29は、チップ本体27と、中心電極チップ29の側面293を形成する被覆層28と、を備えている。チップ本体27は、略円筒形状を有し、第1放電面295の一部を形成する先端側の面275と、第1放電面295の反対側に位置する反対面271(後端側の面)と、第1放電面295と交差する方向(本実施形態では軸線方向)に沿う側面273と、を有する。チップ本体27は、IrまたはIrを主成分とする合金(以下、単に、Ir合金とも呼ぶ)で形成されている。Irを主成分とするとは、Irの含有量(単位は、重量%)が最も多いことを意味する。チップ本体27を形成する合金は、Irの含有量が50重量%以上であることが好ましい。チップ本体27を形成する合金は、例えば、ルテニウム(Ru)、Ni、ロジウム(Rh)、Pt、アルミニウム(Al)などの他の1種類以上の成分を含み得る。
本実施形態では、被覆層28は、チップ本体27の側面273を覆っており、チップ本体27の先端側の面275と、反対面271と、を覆っていない。被覆層28の先端側の面285は、第1放電面295の一部を形成している。被覆層28の第1放電面295とは反対側に位置する反対面281は、後述する溶接部25と接触している。被覆層28の厚さtは、例えば、50μm以下である。被覆層28の厚さtは、2μm以上であることが好ましい。
被覆層28は、IrとAlとの金属間化合物であるIrAl金属間化合物によって形成されている。被覆層28(IrAl金属間化合物)は、空間群Pm3m、空間群番号221で指定された結晶構造を有する。図3は、Ir−Alの二元状態図である。IrAl金属間化合物は、図3でハッチング示す組成(AlのIrに対する割合が約47.5〜52.5原子%)および温度(約摂氏2000度以下)の範囲において、平衡状態で形成される。なお、被覆層には、Ir固溶体もしくはAlが含まれていても良い。IrAl金属間化合物は、上記の結晶構造が維持される範囲において、Ir、Alに加えて、他の1種類以上の成分、例えば、Ni、Ru、Rh、Ptなどのチップ本体27を形成する合金に含まれる成分や不純物を含み得る。
中心電極本体21に接合される前の中心電極チップ29は、IrまたはIr合金で形成された基材に対して、アルミナイズ法を用いて、IrAl金属間化合物を被覆することによって作製される。アルミナイズ法は、Alを含む合金粉末中に基材と還元剤を入れ、所定の保持温度(例えば摂氏800度〜1300度)に所定の保持時間(例えば、2〜6時間)だけ保持することによって、基材表面にAl化合物を生成するプロセスである。具体的には、(1)Alの活量を低減させるためのAl合金粉末、(2)電極チップとAl合金粉末の反応の急激な進行を制御するためのアルミナ粉末、および、(3)Al合金粉末中のAlを活性化して気相のAl塩化物を発生させる活性剤粉末の3種類から構成される処理粉末を用いる。Al合金粉末には、Fe、NiまたはCrの1種以上を含むものが例示される。活性剤粉末は、アンモニアの塩化物またはNa、Cr、AgなどのAlの塩化物の生成を促進させるような金属の塩化物が適当である。Al合金粉末と、Al合金粉末と同量のアルミナ粉末と、活性剤粉末としてのNHClと、を混合した処理粉末中に、Ir合金の基材を浸漬し、所定の保持温度に、所定の保持時間だけ保持する。これによって、Ir合金の基材の表面に、IrAl金属間化合物を被覆させることができる。Al合金粉末におけるAlの含有率や、保持温度、保持時間などの条件を調整することによって、IrAl金属間化合物の被覆層の厚さを調整することができる。Alの含有率が高いほど、保持温度が高いほど、保持時間が長いほど、IrAl金属間化合物の被覆層が厚くなる。なお、アルミナイズ法の詳細は、例えば、特開2014−55325号公報、および、国際公開第2012/033160号公報に、開示されている。
本実施形態では、基材として、線材を用いて、線材の表面に被覆層28を形成した後に、線材を切断することで、中心電極チップ29が作製される。これによって、側面が被覆層28に覆われ、端面(第1放電面295および反対面)が被覆層28に覆われていない中心電極チップ29を作製することができる。
中心電極チップ29は、中心電極本体21に対して、レーザ溶接によって接合されている。このために、中心電極チップ29と中心電極本体21との間には、レーザ溶接によって形成された溶接部25が配置されている。溶接部25は、溶接前の中心電極チップ29の一部分と、中心電極本体21の一部分と、が溶融・凝固した部分である。このために、溶接部25は、中心電極チップ29の成分と、中心電極本体21の成分と、を含んでいる。溶接部25は、中心電極チップ29と中心電極本体21とを接合する接合部、とも言うことができ、中心電極チップ29と中心電極本体21とを接合するビード、とも言うことができる。レーザ溶接では、例えば、YAGレーザや、YAGレーザと比較して集光性が高いために形成できる溶接部の形状の自由度が高いファイバーレーザが用いられる。
溶接部25は、中心電極チップ29の側面293において、中心電極本体21と中心電極チップ29との間に、周方向の全周に亘って、形成されている。溶接部25の径方向内側の端P1は、軸線COに達していない。すなわち、溶接深さD(側面293から溶接部25の径方向内側の端P1までの径方向の長さ)は、中心電極チップ29の半径(R1/2)より小さい(D<(R1/2))。このために、チップ本体27の反対面271は、非接触部分271Aと、接触部分271Bと、を含んでいる。非接触部分271Aは、溶接部25とは、非接触の部分であり、図2では、軸線COと交差する中央部分である。本実施形態では、非接触部分271Aは、中心電極本体21の先端面215と、直接に接触している。接触部分271Bは、非接触部分271Aより径方向外側の部分であり、溶接部25と接触している。
図2(B)には、溶接部25と中心電極チップ29との境界近傍に位置し、かつ、第1放電面295と平行で、かつ、中心電極チップ29を通り、かつ、溶接部25を通らない面で、中心電極チップ29を切断した特定断面CFが図示されている。図2(A)の破線は、この特定断面CFを示している。特定断面CFは、より厳密には、溶接部25と中心電極チップ29との側面における中心電極チップ29と溶接部25との境界の先端方向FDの端(すなわち、中心電極チップ29側の端)P2から軸線方向に30μmだけ離れた点P3を通り、軸線COと垂直な面である(Δh=30μm)。
図2(B)の特定断面CFには、チップ本体27と、被覆層28と、が現れ、非接触部分271Aは現れない。ここで、非接触部分271Aを、第1放電面295と垂直な方向に、すなわち、軸線方向に、特定断面CFに投影した投影像PIを、図2(B)に破線で示す。図を見やすくするため、図2(B)では、被覆層28と、投影像PIと、チップ本体27のうちの投影像PIを除いた部分AAと、がそれぞれハッチングを変えて示されている。
特定断面CFにおいて、チップ本体27の面積をSaとし、非接触部分271Aの投影像PIの面積をSbとし、チップ本体27のうちの投影像PIを除いた部分AAの面積をSxとする。部分AAの面積Sxは、チップ本体27の面積をSaから、非接触部分271Aの投影像PIの面積Sbを減じて得られる(Sx=(Sa−Sb))。部分AAの面積Sxは、チップ本体27のうち、溶接部25を挟んで中心電極本体21と接合される接合部分の面積である、と言うことができる。また、部分AAの面積Sxは、上述した接触部分271Bを、軸線方向に、特定断面CFに投影した投影面積である、とも言うことができる。
本実施形態では、特定断面CFにおいて、部分AAの面積(Sa−Sb)は、チップ本体27の面積Saの35%以上である({(Sa−Sb)/Sa)}×100≧35)。この結果、チップ本体27と中心電極本体21とを十分に広い面積において、溶接部25によって接合することができる。この結果、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合強度を向上することができ、中心電極チップ29の耐剥離性を向上することができる。以下、{(Sa−Sb)/Sa)}×100の値を、面積比Aとする。
より詳しく説明すると、IrAl金属間化合物は、IrやIr合金と比較して、硬く脆いために、変形し難い。このために、高温時に、IrAl金属間化合物で形成された被覆層28と溶接部25との間に熱応力が発生すると、早期に被覆層28と溶接部25との間にクラックなどに起因する剥離が発生する。図4は、中心電極チップ29の近傍の断面画像である。図4(B)には、図4(A)の領域SAを拡大した断面画像が示されている。図4の断面画像は、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope)を用いて撮影された画像である。図4(B)の画像では、被覆層28と溶接部25との境界近傍に、径方向に延びるクラックCRが発生している。このようなクラックCRが発生すると、当該部位は、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合に寄与しない。したがって、被覆層28の反対面281と溶接部25との接触面積を増やしても、中心電極チップ29と中心電極本体21との耐剥離性の向上への寄与は、極めて小さい。また、溶接部25にも、Alが混入するために、溶接部25自体も、被覆層28がない場合やPtの被覆層がある場合と比較して、硬く脆いために、変形し難い。このために、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合強度が低下しやすい。中心電極チップ29と中心電極本体21との耐剥離性を向上するためには、IrやIr合金で形成されたチップ本体27の溶接部25との接触部分271Bの面積を確保することが重要である。特定断面CFにおいて、部分AAの面積(Sa−Sb)を、チップ本体の面積Saの35%以上とすれば、すなわち、面積比Aを35%以上とすれば、チップ本体27に対する接触部分271Bの面積を十分に確保できるので、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合強度を向上することができ、中心電極チップ29の耐剥離性を向上することができる。
さらに、本実施形態では、面積比Aを45.7%以上とすることが好ましい。こうすれば、チップ本体27と中心電極本体21とを、さらに広い面積において、溶接部25によって接合することができ、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合強度をより向上することができる。この結果、中心電極チップ29の耐剥離性をさらに向上することができる。
さらに、本実施形態では、中心電極チップ29の表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、部分AAの面積(Sa−Sb)は、面積Scの7%以上であることが好ましい。図2の例では、中心電極チップ29の表面のうち、露出している部分は、第1放電面295と側面293とを含み、溶接部25や中心電極本体21と接触している反対面271、281を含まない。したがって、露出している部分の面積Scは、第1放電面295の面積と側面293の面積の和である。
露出している部分の面積Scは、中心電極チップ29において、使用時に燃焼ガスに曝されて熱を受ける部分の面積(受熱面積)とも言うことができる。部分AAの面積(Sa−Sb)を、面積Scの7%以上とすれば、熱を受ける部分の面積Scに対して、十分に広い面積で、チップ本体27と中心電極本体21とを接合することができる。この結果、チップ本体27と中心電極本体21との接合強度を向上することができ、中心電極チップ29の耐剥離性をさらに向上することができる。以下、{(Sa−Sb)/Sc)}×100の値を、面積比Bとする。
より詳しく説明すると、被覆層28の溶接部25との接触面(反対面281)は、ほとんど接合に寄与していないので、被覆層28の溶接部25との接触面(反対面281)は使用初期にそのほとんどが剥離している。従って、中心電極チップ29の露出している部分が受けた熱は、実質的に接合に寄与している接合部分AAの面積(Sa−Sb)を介して中心電極本体21へ移動する。従って、被覆層28を有する場合には、被覆層28がない場合やPtの被覆層がある場合と比較して、受熱面積に対する実質的に接合に寄与する面積の割合が小さくなりやすいために過熱しやすく、その結果、耐剥離性が劣化しやすい。従って、面積Scに対する接合部分AAの面積(Sa−Sb)の割合(面積比B)が十分に大きくなるように、構成することが重要である。面積比Bを7%以上とすれば、表面積Scに対する接合部分AAの面積(Sa−Sb)を十分に確保できるので、中心電極チップ29と中心電極本体21との接合強度をさらに向上することができ、中心電極チップ29の耐剥離性をさらに向上することができる。
ここで、面積Sa、Sbの測定方法について説明する。先ず、同一種類の点火プラグ100のサンプルを2個準備する。1個のサンプルの中心電極チップ29の特定断面CFを鏡面に研磨し、特定断面CFに対して、Al成分のマッピング画像の撮影と、Al成分の定量分析と、構造解析と、を行うことによって、特定断面CFにおけるIrAl金属間化合物(すなわち、被覆層28)を特定する。マッピング画像の生成や定量分析には、例えば、FE−EPMA(Field Emission-Electron Probe Micro Analysis)、具体的には、日本電子株式会社製のJXA−8500Fに付属されたWDS(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)が用いられる。構造解析は、X線回折装置(XRD:X-Ray Diffractometer)、具体的には、Rigaku社製の微小部X線回折装置RINT1500が用いられる。被覆層28が薄く、構造解析による特定が困難な場合は、特定断面CFではなく、中心電極チップ29の側面293に対して、解析を行っても良い。そして、特定された被覆層28の厚さを測定する。
次に、もう1個のサンプルの特定断面CFを、マイクロCTスキャナ(具体的には、東芝ITコントロールシステム株式会社製TOSCANER−32250μhd)を用いて撮影し、撮影画像において、被覆層28の厚さが、上述した鏡面において測定された被覆層28の厚さと同じになるように、撮影画像の色調の閾値を調整する。特定断面CFの撮影画像には、図2(B)における被覆層28の外縁と、チップ本体27と被覆層28との境界と、が現れる。
次に、軸線COに垂直で、図2(A)の非接触部分271Aを通る断面を、マイクロCTスキャナを用いて撮影する。非接触部分271Aを通る断面の撮影画像には、非接触部分271Aと、溶接部25と、の境界、すなわち、図2(B)における投影像PIの外縁が現れる。
そして、特定断面CFの撮影画像と、非接触部分271Aを通る断面の撮影画像にて、画像処理プログラムを用いて、上述した面積Sa、Sbを算出する。
なお、被覆層28の厚さtが極めて薄い場合のように、マイクロCTスキャナによる撮影画像では、面積Sa、Sbを算出することが困難である場合には、1個のサンプルの中心電極チップ29を鏡面に研磨し、特定断面CFを観察した後に、さらに研磨を行い、非接触部分271Aを通る断面を観察することによって、面積Sa、Sbを算出しても良い。
次に、面積Scの測定方法について説明する。面積Scの測定は、前述のCTスキャナやCCDカメラを用いて、中心電極チップ29の第1放電面295の面積Sz1を測定する。また、第1放電面295と交差する側面293の面積Sz2を次のように測定する。まず、前述のCTスキャナやCCDカメラを用いて、特定断面CF(図2(B))の外周の全長(以下、周長Lzと呼ぶ)を測定する。CCDカメラを用いる場合は、中心電極チップ29を鏡面に研磨し、特定断面CFを観察する。次に、第1放電面295と交差する側面293の全周にわたり、外観観察を行い、第1放電面295と、溶接部25と中心電極チップ29との側面における中心電極チップ29と溶接部25との境界の先端方向FDの端P2と、の距離に関して、全周のうち最短距離Hzを特定する。そして、側面293の面積Sz2を(Lz×Hz)として算出する。そして、面積Scを、Sc=Sz1+Sz2として算出する。
図5は、図2(A)の領域SAの拡大図である。本実施形態では、さらに、チップ本体27と溶接部25との境界近傍における溶接部25のAlの含有率(以下、境界Al濃度とも呼ぶ)は、10質量%以下であることが好ましい。溶接部25におけるAlの含有率が高いほど、溶接部25が変形しにくく、脆くなりやすい。上記構成によれば、チップ本体27と溶接部25との境界近傍において、溶接部25が変形しにくく脆くなることを抑制して、中心電極チップ29の耐剥離性をさらに向上することができる。
本実施形態では、さらに、境界Al濃度は、5質量%%以下であることが、特に好ましい。こうすれば、チップ本体27と溶接部25との境界近傍において、溶接部25が変形しにくく脆くなることを、さらに抑制して、中心電極チップ29の耐剥離性を特に向上することができる。
ここで、チップ本体27と溶接部25との境界近傍とは、例えば、図5に示すように、チップ本体27と溶接部25との境界(すなわち、接触部分271B)から、境界と垂直に20μmだけ溶接部25側の位置BLである。
ここで、境界Al濃度の測定方法について説明する。中心電極チップ29と溶接部25と中心電極本体21とを含む部分を、軸線COを含む面で切断し、該断面を鏡面に研磨したものを準備する。当該鏡面において、図5に示す点a0すなわち、チップ本体27と溶接部25との境界(接触部分271B)と、被覆層28とチップ本体27との境界と、の交点a0を特定する。交点a0から、チップ本体27と溶接部25との境界に沿って軸線CO側に向かって、30μm間隔で順次に参照点を取る。図5には、参照点a1〜a5が示されているが、参照点は、図2(A)の点P1、すなわち、チップ本体27と溶接部25との境界の軸線CO側の端まで存在する。そして、各参照点から、チップ本体27と溶接部25との境界と垂直で、かつ、溶接部25に向かう方向に、20μmだけ移動した点(例えば、図5の点b1〜b5)を、測定点として特定する。そして、各測定点について測定したAlの含有率を測定し、測定されたAlの含有率の平均値を、境界Al濃度として算出する。各測定点におけるAlの含有率の測定は、上述したWDSを用いて、加速電圧20kV、スポット径10μmで行われる。
B.第2実施形態
図6は、第2実施形態の中心電極の先端近傍の構成の説明図である。図6(A)には、中心電極の先端近傍を、軸線COを含む面で切断した断面図が示されている。第2実施形態では、第1実施形態の中心電極チップ29に代えて、中心電極チップ29bが用いられている。この中心電極チップ29bでは、チップ本体27bの側面273bと、第1放電面295b側の面(先端側の面)275bと、第1放電面295bの反対面271bと、が、被覆層28bで覆われている。このため、第2実施形態では、中心電極チップ29bの側面293bに加えて、第1放電面295bも被覆層28bによって形成されている。このような中心電極チップ29bは、予めチップ本体27bの円柱形状に作製された基材に対して、上述したアルミナイズ法によって、IrAl金属間化合物の被膜を形成することによって作製できる。
また、チップ本体27bの反対面271bのうち、溶接部25とは非接触の非接触部分271Abは、中心電極本体21ではなく、被覆層28bと接触している。なお、反対面271bのうち、非接触部分271Abの外側の接触部分271Bbは、レーザ溶接によって、被覆層28bが溶けるために、第1実施形態と同様に、溶接部25と接触している。また、被覆層28bのうち、側面に形成された部分の反対面281bは、第1実施形態と同様に、溶接部25と接触している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図6(B)には、図2(B)と同様の位置で、中心電極チップ29bを切断した特定断面CFbが示されている。中心電極の先端近傍を、軸線COを含む面で切断した断面図が示されている。図6(B)においても、図2(B)と同様に、非接触部分271Abを、第1放電面295bと垂直な方向に、すなわち、軸線方向に、特定断面CFbに投影した投影像PIbを、破線で示す。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、特定断面CFbにおいて、チップ本体27bの面積をSaとし、非接触部分271Abの投影像PIbの面積をSbとし、チップ本体27bのうちの投影像PIbを除いた部分AAbの面積をSxとする。この場合には、部分AAbの面積Sxは、Sx=(Sa−Sb)で表される。そして、部分AAbの面積(Sa−Sb)は、チップ本体27bの面積Saの35%以上である。すなわち、面積比Aは、35%以上である。この結果、中心電極チップ29bと中心電極本体21との接合強度を向上することができ、中心電極チップ29bの耐剥離性を向上することができる。そして、部分AAbの面積(Sa−Sb)は、チップ本体27bの面積Saの45.7%以上であることが、好ましい。
さらに、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、中心電極チップ29bの表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、部分AAbの面積(Sa−Sb)は、面積Scの7%以上であることが好ましい。すなわち、面積比Bは、7%以上であることが好ましい。この結果、中心電極チップ29bと中心電極本体21との接合強度を向上することができ、中心電極チップ29bの耐剥離性をさらに向上することができる。そして、第2実施形態においても、溶接部25bの境界Al濃度は、10質量%以下であることが好ましい。この結果、中心電極チップ29bの耐剥離性をさらに向上することができる。また、溶接部25bの境界Al濃度は、5質量%以下であることが、さらに好ましい。この結果、中心電極チップ29bの耐剥離性を特に向上することができる。
C.第3実施形態
図7は、第3実施形態の中心電極の先端近傍を、軸線COを含む面で切断した断面図が示されている。第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、溶接深さDが十分に大きいために、溶接部25cは、軸線COと交差する位置まで到達している。このために、溶接部25cは、例えば、略円柱形状を有している。そして、中心電極チップ29の反対面271は、全体が、溶接部25と接触する接触部分となっており、溶接部25と非接触である非接触部分は存在しない。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、非接触部分が存在しないために、特定断面CFcに投影すべき投影像も存在しない。このために、第3実施形態では、非接触部分の投影像の面積をSbは、0である。この結果、面積比Aは、100%である。面積比Bは、中心電極チップ29の表面のうち、露出している部分の面積Scに対するチップ本体27の面積Saの比である(面積比B(%)=(Sa/Sc)×100)。
D.第1評価試験
第1評価試験では、表1に示すように、被覆層の材質と、被覆層の厚さtと、レーザ溶接に用いるレーザの種類と、レーザの照射位置と、溶接深さDと、の少なくとも1つが互いに異なる19種類のサンプル1〜19を準備した。サンプル5〜7、9〜12、14〜19は、実施形態のサンプルである。サンプル1〜4、8、13は、比較のためのサンプルである。レーザの照射位置は、中心電極チップと中心電極本体との境界の軸線方向の位置を基準(0)とし、中心電極チップ側を正、中心電極本体側を負として、レーザが照射される部位の軸線方向の中心位置を示している。各サンプルについて、面積比A、Bの測定結果を合わせて表1に示す。
なお、各サンプルに共通な項目は、以下の通りである。
中心電極本体の材料:INC600
中心電極チップの径R1:0.6mm
中心電極チップの軸線方向の幅H1(高さ):0.8mm
チップ本体の材料:Ir含有率68重量%、Ru含有率11重量%、Rh含有率20重量%、Ni含有率1重量%の合金
サンプル1では、中心電極チップに被覆層が形成されていない。なお、サンプル2〜19では、第1実施形態の中心電極チップ29(図2)のように、チップ本体の側面にのみ被覆層を形成し、チップ本体の端面には、被覆層を形成しない態様で、被覆層が形成された。サンプル2〜19の被覆層の厚さtは、0.003mm、0.01mm、0.015mm、0.02mm、0.025mm、0.1mmのいずれかとされた。
サンプル2、3では、中心電極チップにPtの被覆層が形成された。Ptの被覆層は、公知のめっき処理によって形成された。サンプル4〜19では、上述したアルミナイズ法によって、中心電極チップにIrAl金属間化合物の被覆層が形成された。
サンプル1〜19の溶接深さDは、0.045mm、0.05mm、0.06mm、0.07mm、0.075mm、0.08mm、0.09mm、0.1mm、0.25mm、0.3mmのいずれかとされた。なお、溶接深さDが、0.3mmであるとは、図7の第3実施形態のように、溶接深さDが大きいために、非接触部分271Aが存在しないことを意味している。このために、溶接深さDが、0.3mmであるサンプル11、16の面積比Aは、100%となっている。また、サンプル3では、被覆層の厚さt(0.1mm)より溶接深さDが小さい(0.08mm)ために、溶接部がチップ本体に到達していない((Sa−Sb)=0)。このために面積比Aと、面積比Bと、が0%となっている。
レーザ溶接のレーザは、サンプル1〜14、17〜19では、YAGレーザが用いられ、サンプル15、16では、ファイバーレーザ(表1では、FLと表記する)が用いられた。YAGレーザが用いられたサンプルでは、側面における溶接部の軸線方向の長さH2(図2参照)は、溶接深さDに応じて、0.1〜0.6mmの範囲であった。ファイバーレーザが用いられたサンプルでは、長さH2(図2参照)は、溶接深さDに応じて、0.15〜0.4mmの範囲であった。
レーザの照射位置は、中心電極チップと中心電極本体との境界から、中心電極チップ側に、0.05mm、0.01mm、0.02mm、0.08mmのいずれかとされた。
第1評価試験では、各サンプルが2個ずつ準備され、2個の同一サンプルのうちの1個について、上述した方法で面積比A、Bを測定した。そして、残りの1個について、以下に説明する実機冷熱試験が行われた。各サンプルを搭載した内燃機関を100時間に亘って運転し、運転中は、1分間のアイドル運転と1分間のスロットル全開運転とで構成される1サイクルの運転を繰り返した。内燃機関には、4気筒、排気量2.0Lの過給器付きガソリンエンジンが用いられた。点火プラグの先端から先端側に1mmの位置の温度は、最高でおおよそ摂氏750度であった。
そして、100時間経過時に、中心電極チップが脱落していなかったサンプルの評価を「S」とし、75時間経過時には中心電極チップが脱落しておらず、100時間経過時までに中心電極チップが脱落したサンプルの評価を「A」とし、50時間経過時には中心電極チップが脱落しておらず、75時間経過時までに中心電極チップが脱落したサンプルの評価を「B」とし、50時間経過時までに中心電極チップが脱落したサンプルの評価を「C」とした。
評価結果は、表1に示すとおりである。被覆層が形成されていないサンプル1の評価は、面積比Aが35%未満(27.8%)であるにも関わらずに、「B」であった。これは、熱伝導率が低いIrAl金属間化合物の被膜層がないために、熱引き性能の低下や、Alの含有による脆化が発生せず、面積比A、Bがある程度小さくても、耐剥離性を確保できるためであると考えられる。
Ptの皮膜層が形成されたサンプル2、3の面積比Aは、14.0%、0%であり、面積比Bは、2.7%、0%であった。サンプル2、3の評価は、面積比Aが35%未満であるにも関わらずに、「B」以上であった。特に、サンプル3は、面積比A、Bが0%であるにも関わらずに、「A」であった。これは、上述した熱引き性能の低下や、Alの含有による脆化が発生せず、皮膜層と溶融部との接合強度が十分に高いために、チップ本体と溶融部との接合面積が低くても、あるいは、0であっても、耐剥離性を確保できるためであると考えられる。
これに対して、IrAl金属間化合物の被膜層が形成されたサンプル4〜19のうち、サンプル4、8、13の面積比Aは、それぞれ、26.3%、23.1%、30.0%であり、いずれも35%未満であった。そして、これらのサンプルの評価は、レーザの種類やレーザの照射位置など面積比A以外の条件に関わらずに、いずれも「C」であった。
そして、IrAl金属間化合物の被膜層が形成されたサンプル4〜19のうち、サンプル5〜7、9〜12、14〜19の面積比Aは、それぞれ、35.1%、50.0%、97.0%、35.0%、45.7%、100%、35.4%、36.0%、97.7%、100%、98.5%、37.5%、96.2%であり、いずれも35%以上であった。そして、これらのサンプルの評価は、レーザの種類やレーザの照射位置など面積比A以外の条件に関わらずに、いずれも「B」以上であった。
さらに、面積比Aが35%以上であるサンプルのうち、サンプル6、7、10、11、15〜17、19の面積比Aは、いずれも45.7%以上であった。また、サンプル5〜7、9〜11、14〜19の面積比Bは、それぞれ、7.3%、10.6%、20.7%、7.0%、8.3%、21.6%、8.3%、16.7%、18.6%、18.7%、7.7%、21.1%であり、いずれも7%以上であった。
そして、面積比Aが35%以上であるサンプルのうち、面積比Bが7%未満であり、かつ、面積比Aが45%以下であるサンプル12の評価は、「B」であった。これに対して、面積比Aが35%以上であるサンプルのうち、面積比Bが7%以上であり、かつ、面積比Aが45%以下であるサンプル5、9、14、18の評価は、「A」であった。さらに、面積比Aが35%以上であるサンプルのうち、面積比Bが7%以上であり、かつ、面積比Aが45.7%以上であるサンプル6、7、10、11、15〜17、19の評価は、「S」であった。
以上の第1評価試験の結果から、IrAl金属間化合物の被膜層を有する中心電極チップを備える点火プラグにおいて、面積比Aが35%以上である場合には、耐剥離性を向上できることが確認された。そして、さらに、当該点火プラグにおいて、面積比Aが45.7%以上である場合には、さらに、耐剥離性を向上できることが確認された。また、当該点火プラグにおいて、面積比Bが7%以上である場合には、特に、耐剥離性を向上できることが確認された。
E.第2評価試験
第2評価試験では、表2に示すように、表2に示すように、中心電極本体の材料と、中心電極チップの径(チップ径)R1と、被覆層の厚さtと、端面の被覆の有無と、レーザの照射位置と、溶接深さDと、の少なくとも1つが互いに異なる9種類のサンプル20〜28を準備した。
なお、各サンプルに共通な項目は、以下の通りである。
被覆層の材料:IrAl金属間化合物
中心電極チップの軸線方向の幅H1(高さ):0.8mm
チップ本体の材料:Ir含有率68重量%、Ru含有率11重量%、Rh含有率20重量%、Ni含有率1重量%の合金
レーザの種類:YAGレーザ
中心電極本体の材料は、INC600、INC601、Alloy602のいずれかとされた。中心電極チップ29の径R1は、0.4mm、0.6mmのいずれかとされた。
被覆層の厚さtと溶接深さDとは、上述した面積比Aが35%以上であり、かつ、面積比Bが7%以上となる範囲で、調整された。具体的には、被覆層の厚さtは、0.015mm、0.003mm、0.03mm、0.04mm、0.05mmのいずれかとされた。溶接深さDは、0.15mm、0.2mm、0.3mmのいずれかとされた。
レーザの照射位置は、中心電極チップと中心電極本体との境界から、中心電極チップ側に、0.05mm、0.03mm、0.1mmのいずれかとされた。
表2に示すように端面被覆があるサンプルと端面被覆がないサンプルとが準備された。端面被覆があるサンプルは、第2実施形態(図6)のように、チップ本体の側面に加えて、チップ本体の軸線方向の両端面に、被覆層が形成されたサンプルである。端面被覆がないサンプルは、第1実施形態(図2)のように、チップ本体の側面にのみ被覆層が形成されたサンプルである。
これらの条件を調整することによって、被覆層から溶接部に導入されるAlの量が変化するために、溶接部中の境界Al濃度が調整できる。例えば、中心電極チップ29の径R1が小さいほど、境界Al濃度は高くなる傾向にある。
第2評価試験では、各サンプルが2個ずつ準備され、2個の同一サンプルのうちの1個について、上述した方法で境界Al濃度を測定した。そして、残りの1個について、以下に説明する実機耐久試験が行われた。各サンプルを搭載した内燃機関を100時間に亘って運転し、運転中は、1分間のアイドル運転と1分間のスロットル全開運転とで構成される1サイクルの運転を繰り返した。内燃機関には、4気筒、排気量2.0Lの過給器付きガソリンエンジンが用いられた。点火プラグの先端から先端側に1mmの温度は、最高でおおよそ摂氏900度であった。
試験、各サンプルの中心電極の先端近傍を、軸線COを含む面で切断した断面を研磨したうえで観察した。そして、この断面において、中心電極チップと溶接部との境界のうち、剥離が発生している部分と、接合が維持されている部分と、を特定した。接合が維持されている部分には、酸化スケールが発生せず、剥離が発生している部分には、酸化スケールが発生するので金属顕微鏡を用いて断面を観察することによって、接合が維持されている部分と、剥離が発生している部分と、を特定することができる。そして、中心電極チップと溶接部との境界の径方向の幅のうち、剥離が発生している部分が占める割合(剥離割合とも呼ぶ)を算出した。そして、剥離割合が、70%未満であるサンプルの評価を「A」とし、剥離割合が、70%以上80%未満であるサンプルの評価を「B」とし、剥離割合が、80%以上であるサンプルの評価を「C」とした。
評価結果は、表2に示すとおりである。サンプル20〜28の境界Al濃度は、それぞれ、1重量%、2重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、8重量%、10重量%、11重量であった。境界Al濃度が、10重量%以下である8個のサンプル20〜27の評価は、「B」以上であった。そして、境界Al濃度が、10重量%より大きなサンプル28の評価は、「C」であった。以上の結果から、耐剥離性を向上する観点から、境界Al濃度は、10重量%以下であることが好ましいことが確認された。
さらに、境界Al濃度が、10重量%以下である8個のサンプル20〜27のうち、境界Al濃度が、5重量%以下である6個のサンプル20〜25の評価は、「A」であった。そして、これらの8個のサンプル20〜27のうち、境界Al濃度が、5重量%より大きなサンプル26、27の評価は、「B」であった。以上の結果から、耐剥離性を向上する観点から、境界Al濃度は、5重量%以下であることが、さらに好ましいことが確認された。
F.変形例
(1)上記実施形態では、IrAl金属間化合物の被覆層を備える電極チップは、中心電極20に採用されているが、接地電極30に採用されても良い。図8は、変形例の接地電極30の接地電極チップ39近傍を、軸線COを含む面で切断した断面図である。
図8の接地電極チップ39は、第1実施形態の中心電極チップ29と同様に、IrまたはIr合金で形成されたチップ本体37と、チップ本体37の側面を覆うIrAl金属間化合物の被覆層38と、を備えている。ニッケル合金で形成された接地電極本体31は、後端方向BDの面315に接合され、ニッケル合金で形成された円柱状の台座36を含んでいる。台座36の後端方向BDの面に、レーザ溶接によって、接地電極チップ39が接合されている。このために、台座36と接地電極チップ39との間には、溶接部35が形成されている。
接地電極チップ39の第2放電面395の反対面371は、溶接部35とは非接触の非接触部分371Aと、非接触部分371Aの外側に位置し、溶接部35と接触する接触部分371Bと、を含んでいる。
本変形例においても、第1実施形態と同様に、接地電極チップ39と溶接部35との境界近傍の特定断面CFcにおいて、チップ本体37の面積をSaとし、非接触部分371Aを軸線方向に特定断面CFcに投影した場合に、チップ本体37上に投影される投影像の面積をSbとする。また、特定断面CFcにおいて、チップ本体37のうちの投影像を除いた部分の面積をSx=(Sa−Sb)とする。この場合には、面積比Aは、35%以上である({(Sa−Sb)/Sa)}×100≧35)。この結果、接地電極チップ39と接地電極本体31との接合強度を向上することができ、接地電極チップ39の耐剥離性を向上することができる。
さらに、本変形例においても、面積比Aは、45.7%以上であることが好ましい。また、接地電極チップ39の表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、面積比Bは、7%以上であることが好ましい({(Sa−Sb)/Sc)}×100≧7)。この結果、接地電極チップ39と接地電極本体31との接合強度を向上することができ、接地電極チップ39の耐剥離性をさらに向上することができる。そして、本変形例においても、溶接部35中の境界Al濃度は、5質量%以下であることが好ましい。この結果、接地電極チップ39の耐剥離性をさらに向上することができる。
(2)上記各実施形態では、溶接部25は、中心電極チップ29と中心電極本体21の側面の全周に亘って形成されている。これに代えて、溶接部25は、中心電極チップ29と中心電極本体21の側面に、周方向に間隔を開けて、間欠的に形成されていても良い。
図9は、変形例の中心電極チップ29近傍の構造の説明図である。図9には、変形例の中心電極チップ29について、図2(B)の断面と同じ位置の特定断面CFが示されている。この例では、中心電極チップ29と中心電極本体21の側面に沿って、周方向に60度間隔で、6個の溶接部25が形成されている(図示省略)。このために、図9に示すように、特定断面CFに対して、投影される非接触部分271Aの投影像PIは、軸線COと交差する中央部だけでなく、溶接部25が形成されていない周方向の位置において、チップ本体27の側面にまで延びている。そして、特定断面CFにおいて、チップ本体27から投影像PIを除いた部分AAの形状は、周方向に60度間隔で形成される6個の溶接部25に対応して、6個に分かれている。
本変形例においても上述した面積比Aは、35%以上である。そして、面積比Aは、45.7%以上であることが好ましく、面積比Bは、7%以上であることが好ましい。
(3)上記各実施形態および変形例では、中心電極チップ29や接地電極チップ39は、円柱形状を有しているが、これに代えて、四角柱形状や、五角柱形状などの他の形状を有してもよい。
(4)図8の変形例において、台座36は省略され、接地電極チップ39は、接地電極本体31の後端方向BD側の面に、直接にレーザ溶接によって接合されていても良い。
(5)点火プラグ100において、接地電極30、主体金具50、中心電極20、絶縁体10等の材質、寸法は、様々に変更可能である。例えば、主体金具50の材質は、亜鉛めっきまたはニッケルめっきされた低炭素鋼でも良いし、めっきがなされていない低炭素鋼でも良い。また、絶縁体10の材質は、アルミナ以外の様々な絶縁性セラミックスでもよい。中心電極本体21の材料は、INC600、INC601、Alloy601、Alloy602に限られず、ニッケルまたはニッケルを50重量%以上含む他の合金で形成されていても良い。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
5…ガスケット、6…リング部材、8…板パッキン、9…タルク、10…絶縁体、12…貫通孔、13…脚長部、15…段部、16…段部、17…先端側胴部、18…後端側胴部、19…鍔部、20…中心電極、23…頭部、25、25b、25c…溶接部、27、27b…チップ本体、28、28b…被覆層、29、29b…中心電極チップ、30…接地電極、31…接地電極本体、35…溶接部、36…台座、37…チップ本体、38…被覆層、39…接地電極チップ、40…端子金具、41…キャップ装着部、42…鍔部、43…脚部、50…主体金具、51…工具係合部、52…取付ネジ部、53…加締部、54…座部、56…段部、58…圧縮変形部、59…挿入孔、60…導電性シール、70…抵抗体、80…導電性シール、100…点火プラグ、211…頭部、212…鍔部、213…脚部、215…先端面、271、271b…反対面、271A、271Ab…非接触部分、271B、271Bb…接触部分、295、295b…第1放電面、311…自由端面、312…接合端面、371…反対面、371A…非接触部分、371B…接触部分、395…第2放電面、CF、CFb、CFc…特定断面、PI、PIb…投影像

Claims (4)

  1. 中心電極と、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極と、を備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は、電極本体と、前記間隙を形成する放電面を有する電極チップと、前記電極本体と前記電極チップとの間に形成され、前記電極本体の成分と前記電極チップとの成分とを含む溶接部と、を備える点火プラグであって、
    前記電極チップは、前記放電面の反対側に位置し、前記溶接部と少なくとも一部が接触する反対面と、前記放電面と交差する方向に沿う側面と、を有するチップ本体と、前記チップ本体の前記側面を少なくとも覆う被覆層と、を備え、
    前記チップ本体は、イリジウム(Ir)またはイリジウム(Ir)を主成分とする合金で形成され、
    前記被覆層は、イリジウム(Ir)とアルミニウム(Al)との金属間化合物(IrAl)によって形成された厚さ50μm以下の層であり、
    前記電極本体は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む合金で形成され、
    前記溶接部と前記電極チップとの境界近傍に位置し、かつ、前記放電面と平行で、かつ、前記電極チップを通り、かつ、前記溶接部を通らない面で、前記電極チップを切断した特定断面において、
    前記チップ本体の面積をSaとし、
    前記反対面のうち、前記溶接部と非接触である非接触部分を、前記放電面と垂直に前記特定断面に投影した場合に、投影される前記非接触部分の面積をSbとするとき、
    前記チップ本体のうち、前記溶接部を挟んで前記電極本体と接合される接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの35%以上であり、
    前記チップ本体と前記溶接部との境界近傍における前記溶接部中のアルミニウム(Al)の含有率は、10質量%以下であることを特徴とする、点火プラグ。
  2. 請求項に記載の点火プラグであって、
    前記チップ本体と前記溶接部との境界近傍における前記溶接部中のアルミニウム(Al)の含有率は、5質量%以下であることを特徴とする、点火プラグ。
  3. 中心電極と、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極と、を備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は、電極本体と、前記間隙を形成する放電面を有する電極チップと、前記電極本体と前記電極チップとの間に形成され、前記電極本体の成分と前記電極チップとの成分とを含む溶接部と、を備える点火プラグであって、
    前記電極チップは、前記放電面の反対側に位置し、前記溶接部と少なくとも一部が接触する反対面と、前記放電面と交差する方向に沿う側面と、を有するチップ本体と、前記チップ本体の前記側面を少なくとも覆う被覆層と、を備え、
    前記チップ本体は、イリジウム(Ir)またはイリジウム(Ir)を主成分とする合金で形成され、
    前記被覆層は、イリジウム(Ir)とアルミニウム(Al)との金属間化合物(IrAl)によって形成された厚さ50μm以下の層であり、
    前記電極本体は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む合金で形成され、
    前記溶接部と前記電極チップとの境界近傍に位置し、かつ、前記放電面と平行で、かつ、前記電極チップを通り、かつ、前記溶接部を通らない面で、前記電極チップを切断した特定断面において、
    前記チップ本体の面積をSaとし、
    前記反対面のうち、前記溶接部と非接触である非接触部分を、前記放電面と垂直に前記特定断面に投影した場合に、投影される前記非接触部分の面積をSbとするとき、
    前記チップ本体のうち、前記溶接部を挟んで前記電極本体と接合される接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの35%以上であり、
    前記電極チップの表面のうち、露出している部分の面積をScとするとき、
    前記接合部分の面積(Sa−Sb)は、面積Scの7%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の点火プラグであって、
    前記接合部分の面積(Sa−Sb)は、前記チップ本体の面積Saの45.7%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
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