JP5987013B2 - スパークプラグ - Google Patents

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本発明は、スパークプラグに関する。
スパークプラグとしては、接地電極の耐久性を高めるために、電極母材に電極チップを接合した接地電極を備えるスパークプラグが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなスパークプラグの電極チップは、火花放電や酸化に対する耐久性が電極母材よりも優れた材質から成る。例えば、電極チップの材質は、貴金属(例えば、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウムなど)、または、貴金属を主成分とする合金などである。特許文献1のスパークプラグでは、電極母材に電極チップを接合する際の溶接によって、電極母材における電極チップの周囲に溶融部が形成されている。
接地電極の溶融部は、電極母材の成分と電極チップの成分とを含有する合金であり、電極チップと比較して火花放電によって消耗しやすい。したがって、火花放電による消耗に対する耐消耗性を向上させる観点からは、溶融部を小さくすることが望まれる。
その一方、電極チップが電極母材から剥離することを防止するために、溶融部の強度を十分に確保する必要がある。したがって、電極チップの剥離に対する耐剥離性を向上させる観点からは、溶融部を大きくすることが望まれる。
特開2006−128076号公報
特許文献1のスパークプラグでは、電極母材における電極チップの周囲に溶融部が形成された接地電極において、耐消耗性および耐剥離性を両立させることについて十分な検討がなされていなかった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、中心電極と;前記中心電極との間に間隙を形成する電極チップと、前記電極チップが接合された電極母材とを有する接地電極と;を備えるスパークプラグが提供される。このスパークプラグにおいて、前記電極チップは、前記電極母材における先端部から基端部へと広がる母材面から、前記中心電極に向けて突出し;前記電極母材における前記電極チップの周囲に、前記電極母材の成分と前記電極チップの成分とを含有する溶融部が形成され;前記先端部から前記基端部に向かう前記電極母材の長手方向に対して平行に前記電極チップの軸心を通る仮想面で切断した前記接地電極の断面において、前記溶融部のうち、前記軸心より前記先端部側から形成された部分を第1部分とし、前記軸心より前記基端部側から形成された部分を第2部分とするとき、前記中心電極に対向する前記電極チップの先端面から前記第1部分までの長さは、前記先端面から前記第2部分までの長さより短く;前記第1部分は、貴金属成分を前記第2部分より多く含有する。この形態によれば、燃焼熱による熱応力の影響を受けやすい第1部分では、第2部分より大きさを確保することによって、電極チップの剥離に対する耐剥離性を向上させるとともに、貴金属成分を第2部分より多く含有することによって、火花放電による消耗に対する耐消耗性を向上させることができる。また、第2部分では、第1部分と比較して電極チップの先端面から離れることによって、火花放電による消耗に対する耐消耗性を向上させることができる。これらのことから、接地電極の耐消耗性および耐剥離性を両立させることができる。その結果、スパークプラグの寿命を引き延ばすことができる。
(2)上述のスパークプラグにおいて、前記第1部分および前記第2部分は、10〜80質量%の貴金属成分をそれぞれ含有してもよい。この形態によれば、溶融部の強度不足を回避できる。したがって、接地電極の耐剥離性を十分に確保できる。
(3)上述のスパークプラグにおいて、前記第1部分は、貴金属成分を前記第2部分より20〜30質量%多く含有してもよい。この形態によれば、熱応力に起因するクラック(ひび割れ)の発生を、第1部分と第2部分とに分散させることができる。これによって、第1部分と第2部分との一方に偏ってクラックが進展することに起因する電極チップの傾斜を防止できる。その結果、スパークプラグの寿命をさらに引き延ばすことができる。
(4)上述のスパークプラグにおいて、前記電極チップの外径は、0.7〜1.5mmであってもよい。この形態によれば、電極チップの小径化に伴って第2部分が熱応力を受けやすくなることに起因する第2部分でのクラックの増大を防止できるとともに、電極チップの大径化に伴う溶融部の強度不足を防止できる。したがって、接地電極の耐剥離性を十分に確保できる。
(5)上述のスパークプラグにおいて、前記電極チップの主成分は白金(Pt)であってもよい。この形態によれば、電極チップの耐酸化性を十分に確保できる。
本発明は、スパークプラグ以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、スパークプラグの接地電極、スパークプラグの製造方法、スパークプラグの製造装置、その製造装置を制御するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体などの形態で実現することができる。
スパークプラグの部分断面を示す説明図である。 スパークプラグの先端側を示す説明図である。 接地電極の先端側を切断した断面を示す説明図である。 電極母材に電極チップを接合する様子を示す説明図である。 スパークプラグの耐久性を評価した結果を示す表である。
A.第1実施形態
A−1.スパークプラグの構成
図1は、スパークプラグ10の部分断面を示す説明図である。図1には、スパークプラグ10の軸心である軸線CAを境界として、軸線CAより紙面左側にスパークプラグ10の外観形状が図示され、軸線CAより紙面右側にスパークプラグ10の断面形状が図示されている。本実施形態の説明では、スパークプラグ10における図1の紙面下側を「先端側」といい、図1の紙面上側を「後端側」という。
スパークプラグ10は、中心電極100と、絶縁体200と、主体金具300と、接地電極400とを備える。本実施形態では、スパークプラグ10の軸線CAは、中心電極100、絶縁体200および主体金具300の各部材における軸心でもある。
スパークプラグ10は、中心電極100と接地電極400との間に形成された間隙SGを先端側に有する。スパークプラグ10の間隙SGは、火花ギャップとも呼ばれる。スパークプラグ10は、間隙SGが形成された先端側を燃焼室920の内壁910から突出させた状態で内燃機関90に取り付け可能に構成されている。スパークプラグ10を内燃機関90に取り付けた状態で高電圧(例えば、1万〜3万ボルト)を中心電極100に印加した場合、間隙SGに火花放電が発生する。間隙SGに発生した火花放電は、燃焼室920における混合気に対する着火を実現する。
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示した。図1のXYZ軸は、後述する他の図におけるXYZ軸に対応する。
図1のXYZ軸のうち、X軸は、Y軸およびZ軸に直交する軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、図1の紙面奥から紙面手前に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向の逆方向である。
図1のXYZ軸のうち、Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、図1の紙面右から紙面左に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向の逆方向である。
図1のXYZ軸のうち、Z軸は、軸線CAに沿った軸である。Z軸に沿ったZ軸方向(軸線方向)のうち、+Z軸方向は、スパークプラグ10の後端側から先端側に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向の逆方向である。
スパークプラグ10の中心電極100は、導電性を有する電極である。中心電極100は、軸線CAを中心に延びた棒状を成す。本実施形態では、中心電極100は、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金(例えば、インコネル600(「INCONEL」は登録商標))から成る。中心電極100の外側面は、絶縁体200によって外部から電気的に絶縁されている。中心電極100の先端側は、絶縁体200の先端側から突出している。中心電極100の後端側は、絶縁体200の後端側へと電気的に接続されている。本実施形態では、中心電極100の後端側は、端子金具190を介して絶縁体200の後端側へと電気的に接続されている。
スパークプラグ10の絶縁体200は、電気絶縁性を有する碍子である。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた筒状を成す。本実施形態では、絶縁体200は、絶縁性セラミックス材料(例えば、アルミナ)を焼成することによって作製される。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた貫通孔である軸孔290を有する。絶縁体200の軸孔290には、中心電極100を絶縁体200の先端側から突出させた状態で、中心電極100が軸線CA上に保持されている。
スパークプラグ10の主体金具300は、導電性を有する金属体である。主体金具300は、軸線CAを中心に延びた筒状を成す。本実施形態では、主体金具300は、筒状に成形された低炭素鋼にニッケルめっきを施した部材である。他の実施形態では、主体金具300は、亜鉛めっきを施した部材であっても良いし、めっきを施していない部材(無めっき)であっても良い。主体金具300は、中心電極100から電気的に絶縁された状態で絶縁体200の外側面にカシメによって固定されている。主体金具300の先端側には、端面310が形成されている。端面310の中央からは、中心電極100と共に絶縁体200が+Z軸方向に向けて突出している。端面310には、接地電極400が接合されている。
スパークプラグ10の接地電極400は、導電性を有する電極である。接地電極400は、電極母材410と、電極チップ450とを有する。電極母材410は、主体金具300の端面310から+Z軸方向に延びた後に軸線CAに向けて屈曲した形状を成す。電極母材410の後端側は、主体金具300に接合されている。電極母材410の先端側には、電極チップ450が接合されている。電極チップ450は、中心電極100との間に間隙SGを形成する。
本実施形態では、電極母材410の材質は、中心電極100と同様に、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金である。本実施形態では、電極チップ450の材質は、白金(Pt)を主成分とする合金である。他の実施形態では、電極チップ450の材質は、電極母材410より耐久性に優れた材質であればよく、純粋な貴金属(例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)など)であってもよいし、これらの貴金属を主成分とする他の合金であってもよい。白金(Pt)はイリジウム(Ir)より耐酸化性に優れるため、電極チップ450の主成分は白金(Pt)であることが好ましい。
A−2.接地電極の詳細構成
図2は、スパークプラグ10の先端側を示す説明図である。図2における上段の図2(A)は、中心電極100および接地電極400を+X軸方向から見た部分拡大図である。図2における下段の図2(B)は、接地電極400の先端側を−Z軸方向から見た部分拡大図である。図3は、接地電極400の先端側を切断した断面を示す説明図である。図3の断面は、図2(B)の矢視F3−F3から見た接地電極400の部分断面である。
中心電極100は、円柱状を成す。中心電極100は、先端面101と側面107とを有する。先端面101および側面107は、中心電極100の先端側の端部を構成する。中心電極100の先端面101は、X軸およびY軸に平行であるとともに+Z軸方向を向く面である。中心電極100の側面107は、軸線CAの周囲に形成されたZ軸に平行な面である。本実施形態では、中心電極100の部位のうち先端面101が、接地電極400の電極チップ450との間に間隙SGを形成する。
接地電極400の電極母材410は、母材面411,412,413,414,415,416を有する。母材面411は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、接地電極400の先端側において−Z軸方向を向く面である。母材面412は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、接地電極400の先端側において+Z軸方向を向く面である。母材面413は、接地電極400の先端部を構成し、+Y軸方向を向く面である。母材面414は、接地電極400の基端部を構成し、−Z軸方向を向く面である。母材面415は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、−X軸方向を向く面である。母材面416は、電極母材410の後端側から先端側にわたって形成され、+X軸方向を向く面である。電極母材410の部位のうち、電極母材410の先端部(母材面413)から基端部(母材面414)へと広がる母材面411の先端側には、電極チップ450が設けられている。
接地電極400の電極チップ450は、電極母材410の母材面411から−Z軸方向に向けて突出した円柱状の突出部である。本実施形態では、電極チップ450の軸心CAcは、Z軸に平行である。電極チップ450は、チップ面451,453を有する。チップ面451は、X軸およびY軸に平行であるとともに−Z軸方向を向く先端面である。チップ面451は、中心電極100の先端面101との間に間隙SGを形成する。チップ面453は、軸心CAcの周囲に形成されたZ軸に平行な側面である。電極チップ450は、チップ面453における+Z軸方向側の周囲において電極母材410に接合されている。
図4は、電極母材410に電極チップ450を接合する様子を示す説明図である。本実施形態では、電極母材410に接合する前の電極チップ450は、チップ面453よりも外側に張り出た張出部459を、チップ面451とは反対側の端部に有する。電極母材410に対する電極チップ450の接合は、電極母材410の母材面411に電極チップ450の張出部459を向けた状態で電極母材410に電極チップ450を配置した後、電極母材410と電極チップ450との境界をレーザ溶接することによって行われる。
電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接において、レーザを入射する入射方向LDは、電極母材410の母材面411および電極チップ450のチップ面453に対して傾斜する方向であって、電極チップ450の張出部459に向かう方向である。電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接において、レーザを移動させる移動方向LMは、電極チップ450の周囲を一周する方向である。
電極母材410における電極チップ450の周囲には、電極母材410に電極チップ450を接合するレーザ溶接によって溶融部430が形成されている。図2には、溶融部430にハッチングが施されている。溶融部430は、レーザ溶接によって一旦溶融した電極母材410および電極チップ450に由来する金属が凝固した部位(いわゆる、溶接ビード)である。溶融部430は、電極母材410の成分と、電極チップ450の成分とを含有する。溶融部430は、電極チップ450に由来する貴金属成分を含有する。本実施形態では、電極母材410の張出部459は、レーザ溶接によって完全に消失している。他の実施形態では、張出部459の少なくとも一部は、電極母材410にレーザ溶接された後の電極チップ450に残されていてもよい。
溶融部430は、露出面431と、境界面433とを有する。溶融部430の露出面431は、レーザ溶接時にレーザが入射された部位に形成され、電極母材410および電極チップ450から露出した面である。露出面431は、チップ面453との接点Aから母材面411との接点Bにわたって形成されている。溶融部430の境界面433は、電極母材410および電極チップ450との境界を画定する面である。
図3に示す接地電極400の断面は、母材面413から母材面414に向かう電極母材410の長手方向(Y軸方向)に対して平行に電極チップ450の軸心CAcを通る仮想面VPで接地電極400を切断した断面である。図3に示す溶融部430の断面形状において、溶融部430は、電極チップ450の軸心CAcより+Y軸方向側(母材面413側)から形成された第1部分430Aと、電極チップ450の軸心CAcより−Y軸方向側(母材面414側)から形成された第2部分430Bとを含む。第1部分430Aは、貴金属成分を第2部分430Bより多く含有する。図3に示す溶融部430の断面形状において、チップ面451から第1部分430Aまでの長さLaは、チップ面451から第2部分430Bまでの長さLbより短い。これによって、接地電極400の耐消耗性および耐剥離性を両立させることができる。長さLaおよび長さLbに関する評価については後述する。
接地電極400の耐剥離性を十分に確保する観点から、第1部分430Aおよび第2部分430Bは、10〜80質量%の貴金属成分をそれぞれ含有することが好ましい。言い換えると、第1部分430Aにおける貴金属成分の含有率CRaは、10〜80質量%であるとともに、第2部分430Bにおける貴金属成分の含有率CRbは、10〜80質量%であることが好ましい。本実施形態では、含有率CRaおよび含有率CRbは、それぞれ10〜80質量%である。他の実施形態では、含有率CRaは80質量%より多くてもよいし、含有率CRbは10質量%より少なくてもよい。含有率CRaおよび含有率CRbに関する評価ついては後述する。
第1部分430Aと第2部分430Bとの一方に偏ってクラックが進展することに起因する電極チップ450の傾斜を防止する観点から、第1部分430Aは、貴金属成分を第2部分430Bより20〜30質量%多く含有することが好ましい。言い換えると、含有率の差(CRa−CRb)は、20〜30質量%であることが好ましい。本実施形態では、含有率の差(CRa−CRb)は、20〜30質量%である。他の実施形態では、含有率の差(CRa−CRb)は、10質量%以上20質量%未満であってもよいし、30質量%超過80質量%以下であってもよい。含有率の差(CRa−CRb)に関する評価については後述する。
接地電極400の耐剥離性を十分に確保する観点から、電極チップ450の外径ODcは、0.7〜1.5mmであることが好ましい。電極チップ450の外径ODcに関する評価については後述する。
A−3.評価試験
図5は、スパークプラグ10の耐久性を評価した結果を示す表である。図5の評価試験では、試験者は、溶融部430の態様、および、電極チップ450の外径ODcの少なくとも一方が異なる複数のスパークプラグ10を、試料1〜17として評価した。試験者は、レーザ溶接によって電極母材410に電極チップ450を接合する際に、レーザ出力、加工速度および照射位置の組み合わせを設定することによって、溶融部430の態様が異なる試料を作製した。
各試料における電極母材410の仕様は、次の通りである。
・材質:インコネル601
・先端側における断面寸法(X軸方向の長さ):2.7mm(ミリメートル)
・先端側における断面寸法(Z軸方向の長さ):1.3mm
各試料における電極チップ450の仕様は、次の通りである。
・材質:白金(Pt)を主成分とし20質量%のイリジウム(Ir)を含有する合金
・形状:円柱
・外径ODc:0.6〜1.6mm
・溶接前における軸心CAc方向の長さ:1.1mm
・溶接後における母材面411からの突出量:0.9mm
試験者は、各試料の接地電極400を仮想面VPで切断した断面を、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe MicroAnalyser)を用いて観察した。試験者は、EPMAによる画像を画像解析することによって、長さLa,Lbと、含有率CRa,CRbとを測定した。
含有率CRa,CRbの測定では、第1段階として、試験者は、EPMAが備える波長分散型X線分光器(WDS:Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて、各試料の接地電極400を仮想面VPで切断した断面における溶融部430に対して定性分析を実施した。この定性分析によって、試験者は、溶融部430の断面に含まれる元素を特定し、これらの元素のうち最大質量パーセント濃度となる元素を主成分元素として特定した。
第2段階として、試験者は、分析精度を向上させるためにEPMAの測定条件を決定した。この測定条件は、第1段階で特定した主成分元素を検出する際に、X線の大量入射による数え落としが起こらないビーム電流量で、測定カウント数が1万カウント以上得られる条件である。
具体的な測定条件を次に示す。
・加速電圧:20kV(キロボルト)
・プローブ電流:2.5×10-8A(アンペア)
・ビーム照射径:50〜200μm
・主ピーク取り込み時間:10秒
・バックグラウンド取り込み時間:高角側および低角側でそれぞれ5秒
試験者は、溶融部430の第1部分430Aにおける観察領域を、次の手順1〜6によって設定した。
手順1:第1部分430Aにおける接点Aおよび接点Bを特定。
手順2:接点Aと接点Bとを結ぶ線分ABの中点Cを特定。
手順3:第1部分430Aにおいて中点Cから最も離れた端点Dを特定。
手順4:中点Cと端点Dとを結ぶ線分CDが露出面431と交わる交点Eを特定。
手順5:端点Dと交点Eを結ぶ線分DEを4等分する3つの点F1,F2,F3を特定。
手順6:線分DEを4等分した長さを直径とし点F1,F2,F3をそれぞれ中心とする円CL1,CL2,CL3を観察領域として設定。
試験者は、溶融部430の第2部分430Bにおける観察領域についても、第1部分430Aと同様に設定した。
第3段階として、試験者は、第1段階で特定した各元素について、第2段階で決定した測定条件で定量分析を行った。具体的には、試験者は、正味のX線強度から得た各元素の計数率(CPS:Count Per Second)に対して、アルミニウムの含有率が予め分析されている比較試料(ASTIMEX社製標準試料)から同条件で得た係数率を用いたZAF補正法(Z(Atomic number) effect - Absorption effect - Fluorescence excitation correction method)によって定量計算を行った。この定量計算において、試験者は、含有率の合計が100%になるように正規化(ノーマライズ)を行った。
試験者は、溶融部430の第1部分430Aにおける円CL1,CL2,CL3の各観察領域に対する定量分析による測定値を平均した平均値に基づいて、第1部分430Aにおける貴金属成分の含有率CRaを算出した。試験者は、溶融部430の第2部分430Bにおける円CL1,CL2,CL3の各観察領域に対する定量分析による測定値を平均した平均値に基づいて、第2部分430Bにおける貴金属成分の含有率CRbを算出した。
試験者は、断面の観察に用いた試料とは別に、試料1〜17の各々について複数用意した試料に対して、耐久試験を実施した。この耐久試験では、試験者は、各試料を内燃機関(排気量2.0リットル、4気筒)に取り付け、次の運転状態1,2を繰り返し、電極チップ450に異常が発生するまでの耐久時間を計測した。
運転状態1:スロットル全開にして5000rpm(回転毎分)で内燃機関を1分間運転。
運転状態2:アイドリング状態で内燃機関を1分間運転。
試験者は、電極チップ450の傾斜および剥離を、電極チップ450の異常として判断した。電極チップ450の傾斜は、電極チップ450の一部が電極母材410から剥離することによって、電極チップ450のチップ面451が電極母材410の母材面411に対して傾斜した状態である。電極チップ450の剥離は、電極チップ450が電極母材410から完全に剥離した状態である。
試験者は、試料1〜17の各々について、電極チップ450に異常が発生するまでの耐久時間の平均に応じて、各試料の耐久性を次の評価基準で評価した。
☆(評価レベル5):400時間超過
◎(評価レベル4):300時間超過400時間以下
○(評価レベル3):200時間超過300時間以下
△(評価レベル2):100時間超過200時間以下
×(評価レベル1):100時間以下
試料4〜7,10〜16と試料1〜3,8,9,17との対比から、長さLaを長さLbより短くするとともに、含有率CRaを含有率CRbより高くすることによって、より長い耐久時間を実現できることが分かる。この結果は、次の作用に起因すると考えられる。
・燃焼熱による熱応力の影響を受けやすい第1部分430Aでは、第2部分430Bより大きさを確保することによって、電極チップ450の剥離に対する耐剥離性が向上するとともに、貴金属成分を第2部分430Bより多く含有することによって、火花放電による消耗に対する耐消耗性が向上したこと。
・第2部分430Bでは、第1部分430Aと比較して電極チップ450のチップ面451から離れることによって、火花放電による消耗に対する耐消耗性が向上したこと。
試料6,7,10〜12,14〜16と、試料4,5,13との対比から、含有率CRaおよび含有率CRbをそれぞれ10〜80質量%にすることによって、より長い耐久時間を実現できることが分かる。この結果は、貴金属成分の含有率が10質量%未満または80質量%超過になった場合には、溶融部430の機械的強度が低下することに起因すると考えられる。
試料6と試料7との対比、および、試料15と試料16との対比から、含有率の差(CRa−CRb)を20〜30質量%にすることによって、より長い耐久時間を実現できることが分かる。この結果は、含有率の差(CRa−CRb)が20質量%未満になった場合には、第1部分430Aに偏ってクラックが進展し、含有率の差(CRa−CRb)が30質量%超過になった場合には、第2部分430Bに偏ってクラックが進展することによって、電極チップ450の傾斜が発生しやすくなることに起因すると考えられる。
試料6,11,15と試料10,12との対比から、電極チップ450の外径ODcを0.7〜1.5mmにすることによって、より長い耐久時間を実現できることが分かる。この結果は、外径ODcが0.7mm未満である場合には、第2部分430Bが熱応力を受けやすくなることに起因して第2部分430Bでのクラックが増大し、外径ODcが1.5mm超過である場合には、溶融部430の機械的強度が不足することに起因すると考えられる。
A−4.効果
以上説明した実施形態によれば、チップ面451から第1部分430Aまでの長さLaは、チップ面451から第2部分430Bまでの長さLbより短く、第1部分430Aは、貴金属成分を第2部分430Bより多く含有する。これによって、接地電極400の耐消耗性および耐剥離性を両立させることができる。その結果、スパークプラグ10の寿命を引き延ばすことができる。
また、第1部分430Aおよび第2部分430Bは、10〜80質量%の貴金属成分をそれぞれ含有するため、溶融部430の強度不足を回避できる。したがって、接地電極400の耐剥離性を十分に確保できる。
また、第1部分430Aは、貴金属成分を第2部分430Bより20〜30質量%多く含有するため、熱応力に起因するクラックの発生を、第1部分430Aと第2部分430Bとに分散させることができる。これによって、第1部分430Aと第2部分430Bとの一方に偏ってクラックが進展することに起因する電極チップ450の傾斜を防止できる。その結果、スパークプラグ10の寿命をさらに引き延ばすことができる。
また、電極チップ450の外径ODcは、0.7〜1.5mmであるため、電極チップ450の小径化に伴って第2部分430Bが熱応力を受けやすくなることに起因する第2部分430Bでのクラックの増大を防止できるとともに、電極チップ450の大径化に伴う溶融部430の強度不足を防止できる。したがって、接地電極400の耐剥離性を十分に確保できる。
また、電極チップ450の主成分は白金(Pt)であるため、電極チップ450の耐酸化性を十分に確保できる。
B.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
第1部分430Aにおける貴金属成分の含有率CRa、および、第2部分430Bにおける貴金属成分の含有率CRbに関し、含有率CRaは、第1部分430A全域における平均値を意図し、含有率CRbは、第2部分430B全域における平均値を意図する。そのため、含有率CRa,CRbを求める手法は、円CL1,CL2,CL3の各観察領域に基づく手法に限られず、第1部分430Aおよび第2部分430Bの各部分全域における平均値に相当する値が得られる手法であればよい。
10…スパークプラグ
90…内燃機関
100…中心電極
101…先端面
107…側面
190…端子金具
200…絶縁体
290…軸孔
300…主体金具
310…端面
400…接地電極
410…電極母材
411,412,413,414,415,416…母材面
430…溶融部
430A…第1部分
430B…第2部分
431…露出面
433…境界面
450…電極チップ
451…チップ面(先端面)
453…チップ面
459…張出部
910…内壁
920…燃焼室

Claims (3)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極との間に間隙を形成する電極チップと、前記電極チップが接合された電極母材とを有する接地電極と、を備えるスパークプラグであって、
    前記電極チップは、前記電極母材における先端部から基端部へと広がる母材面から、前記中心電極に向けて突出し、
    前記電極母材における前記電極チップの周囲に、前記電極母材の成分と前記電極チップの成分とを含有する溶融部が形成され、
    前記先端部から前記基端部に向かう前記電極母材の長手方向に対して平行に前記電極チップの軸心を通る仮想面で切断した前記接地電極の断面において、前記溶融部のうち、前記軸心より前記先端部側から形成された部分を第1部分とし、前記軸心より前記基端部側から形成された部分を第2部分とするとき、前記中心電極に対向する前記電極チップの先端面から前記第1部分までの長さは、前記先端面から前記第2部分までの長さより短く、
    前記第1部分は、貴金属成分を前記第2部分より20〜30質量%多く含有することを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記電極チップの外径は、0.7〜1.5mmである、請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記電極チップの主成分は白金(Pt)である、請求項1または請求項2に記載のスパークプラグ。
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