JP2005294272A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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啓二 金生
Koen Hori
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Abstract

【課題】 接地電極に貴金属チップをレーザ溶接して成るスパークプラグにおいて、着火性を適切に確保しつつ、接地電極と貴金属チップとの接合性を向上させる。
【解決手段】 中心電極(30)および接地電極(40)を放電ギャップ(50)を介して対向配置するとともに、前記接地電極における前記放電ギャップに面する部位に貴金属チップ(45)をレーザ溶接してなるスパークプラグの製造方法において、前記貴金属チップの一端面(45b)を、前記接地電極に埋没させることなく前記接地電極の表面(43)に接触させ、続いて、前記貴金属チップの側面(45a)と前記接地電極の表面とがなす角部(49)に対して、これら貴金属チップの側面及び接地電極の表面とは斜めの方向から、レーザ照射を行い、前記貴金属チップと前記接地電極とを溶融させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中心電極および接地電極を放電ギャップを介して対向配置するとともに、接地電極における放電ギャップに面する部位に貴金属チップをレーザ溶接してなるスパークプラグの製造方法に関する。
この種のスパークプラグは、内燃機関の点火栓として用いられるが、排気浄化や希薄燃焼の観点より、放電ギャップに面する電極面にPt(白金)合金やIr(イリジウム)合金等の耐消耗性に優れた貴金属よりなる貴金属チップを設け、それによって、着火性や耐久性の向上を図っている。
ここで、電極母材と貴金属チップとの接合性向上の策として、従来より、特許文献1や特許文献2に記載されているようなレーザ溶接を用いた手法が提案されている。
特許文献1は、電極母材の先端部を細径化し、この細径化された部分に貴金属チップをレーザ溶接するものであり、特許文献2は、電極母材に貴金属チップを埋め込んでチップ周囲に電極母材の盛り上がった部分を形成し、この盛り上がり部とチップとをレーザ溶接するものである。
特開平11−233233号公報 特開平9−106880号公報
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記特許文献に記載の手法を用いた場合、中心電極と貴金属チップとの接合においては、実用レベルの接合性を確保できるが、接地電極と貴金属チップとの接合においては、接合部から剥離が生じ、最悪チップが脱落してしまうことがわかった。
これは、スパークプラグの内燃機関への取付形態において、接地電極が中心電極に比べて燃焼室内に突出しているためであり、それによって、接地電極の方が中心電極よりも電極温度が高くなり、貴金属チップと電極母材との間すなわち溶融部にて発生する熱応力が大きくなるためである。
そのため、貴金属チップを接地電極にレーザ溶接するにあたって、上記した従来手法以上に接合性を良好なものとする必要がある。
そこで、本発明は上記問題に鑑み、接地電極に貴金属チップをレーザ溶接して成るスパークプラグにおいて、接地電極と貴金属チップとの接合性を向上させることを目的とする。
本発明では、中心電極(30)および接地電極(40)を放電ギャップ(50)を介して対向配置するとともに、接地電極における放電ギャップに面する部位に貴金属チップ(45)をレーザ溶接してなるスパークプラグの製造方法において、貴金属チップの一端面(45b)を、接地電極に埋没させることなく接地電極の表面(43)に接触させ、続いて、貴金属チップの側面(45a)と接地電極の表面とがなす角部(49)に対して、これら貴金属チップの側面及び接地電極の表面とは斜めの方向から、レーザ照射を行い、貴金属チップと接地電極とを溶融させることを特徴としている。
本発明によれば、接地電極に貴金属チップをレーザ溶接して成るスパークプラグにおいて、接地電極と貴金属チップとの接合性を向上させることができる。
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るスパークプラグS1の全体構成を示す半断面図である。このスパークプラグS1は、自動車用エンジンの点火栓等に適用されるものであり、該エンジンの燃焼室を区画形成するエンジンヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に挿入されて固定されるようになっている。
スパークプラグS1は、導電性の鉄鋼材料(例えば低炭素鋼等)等よりなる円筒形状の取付金具10を有しており、この取付金具10は、図示しないエンジンブロックに固定するための取付ネジ部11を備えている。取付金具10の内部には、アルミナセラミック(Al23)等からなる絶縁体20が固定されており、この絶縁体20の先端部21は、取付金具10の一端から露出するように設けられている。
絶縁体20の軸孔22には中心電極30が固定されており、この中心電極30は取付金具10に対して絶縁保持されている。中心電極30は、例えば、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料、外材がNi基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体で、図1に示すように、その先端面31が絶縁体20の先端部21から露出するように設けられている。
一方、接地電極40は、例えば、Niを主成分とするNi基合金からなる角柱より構成されており、根元端部42にて取付金具10の一端に溶接により固定され、途中で略L字に曲げられて、先端部41の側面(以下、先端部側面という)43において中心電極30の先端面31と放電ギャップ50を介して対向している。
ここで、図2に、スパークプラグS1における放電ギャップ50近傍の拡大構成を示す。上記のように放電ギャップ50を介して中心電極30の先端面31と接地電極40の先端部側面43とが対向して配置されており、これら中心及び接地電極30、40における放電ギャップ50に面する部位31、43には、貴金属チップ35、45がレーザ溶接により接合されている。
すなわち、中心電極30の先端面31には、貴金属チップ(以下、中心電極側チップという)35が、また、接地電極40の先端部側面43には、貴金属チップ(以下、接地電極側チップという)45が、それぞれ溶接されている。これら両チップは円柱状であり、その一端面側が各電極30、40にレーザ溶接されている。そして、放電ギャップ50は、両チップ35、45の先端部間の空隙であり、例えば0.7mm程度である。
これら両チップ35、45は、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金等の貴金属よりなるものを採用することができる。例えば、Irを主成分としRh、Pt、Ni、W、Pd、Ru、Osの少なくとも一つが添加されたIr合金チップや、Ptを主成分としIr、Ni、Rh、W、Pd、Ru、Osの少なくとも一つが添加されたPt合金チップとすることができる。
より具体的に、上記Ir合金チップとしては、Irを主成分とし、50重量%以下のRh、50重量%以下のPt、40重量%以下のNi、30重量%以下のW、40重量%以下のPd、30重量%以下のRu、20重量%以下のOsの少なくとも一つが添加された合金であるものにすることができる。
また、上記Pt合金チップとしては、Ptを主成分とし、50重量%以下のIr、40重量%以下のNi、50重量%以下のRh、30重量%以下のW、40重量%以下のPd、30重量%以下のRu、20重量%以下のOsの少なくとも一つが添加された合金であるものにすることができる。
本例では、両チップ35、45として、Irを主成分としてRh、Pt、Ru、PdおよびWのうちすくなくとも1種が添加された耐消耗性に優れた高融点のIr合金チップを採用している。
また、これら両チップ35、45のうち中心電極側チップ35と中心電極30との溶接構造は、上記した従来特許文献に記載の手法により形成されたものを採用することができる。その断面構成を図3に概略的に示す。
図3に示す様に、溶融部37におけるチップ35の軸方向に沿った断面をみたとき、チップ35の側面35aと中心電極30の先端面(電極母材における貴金属チップの接合面)31とを結ぶ溶融部37の外面37aが直線状となっている。
一方、接地電極側チップ45と接地電極40との溶接構造において、本実施形態では、次のような独自の構成を有している。図4は、接地電極40側の溶接構造の概略断面構成を示す図である。
一端側が接地電極40の先端部側面43にレーザ溶接された接地電極側チップ45は、他端側の先端面の断面積が0.12mm2以上1.15mm2以下であって且つ接地電極40の先端部側面43からの突出長さLが0.3mm以上1.5mm以下である。本例では、上記断面積範囲に対応して、直径Dが0.4mm以上1.2mm以下の円柱形状をなしている。
そして、接地電極40とチップ45とが溶け込み合った溶融部(溶融固着層)47において、チップ45の側面45aと接地電極40の先端部側面(接地電極におけるチップの接合面)43とを結ぶ外面47aが、曲率半径Rを有して凹んだ曲面形状となっている。
このような曲率半径Rを有する接地電極40側の溶融部47形状は、次のようにして形成することができる。図5は、接地電極側チップ45と接地電極40との溶接方法を概略断面にて示す説明図である。まず、接地電極側チップ45の一端面45bを、接地電極40に埋没させることなく接地電極40の先端部側面(接地電極の表面)43に接触させる(図5(a)〜(c))。
続いて、当該先端部側面43から外方へ延びるチップ45の側面45aと当該先端部側面43とがなす角部49に対して、これらチップ45の側面45a及び当該先端部側面43とは斜めの方向(図中の白矢印方向)から、レーザ照射を行い、チップ45と接地電極40とを溶融させ、溶融部47を形成する(図5(d)、(e))。
こうして、図4に示す溶融部47を介した接地電極側チップ45と接地電極40との溶接構造が適切に形成される。なお、例えば、この後、取付金具10に対して接地電極40を溶接固定し、絶縁体20にて被覆された中心電極30を取付金具10内に設置し、接地電極40を変形させる等により放電ギャップ50を形成することにより、図1に示すスパークプラグS1が製造される。
次に、上記接地電極側チップ45におけるレーザ溶接された他端側の先端面の断面積が、0.12mm2以上1.15mm2以下であって且つ上記突出長さLが0.3mm以上1.5mm以下とした根拠について述べる。
貴金属チップは、その径が細いほど、また、接地電極からの突出長さが長いほど、放電ギャップにて発生する火炎核の成長を阻害しにくいと考えられる。そのため、火炎核の成長を阻害せずに良好な着火性を確保可能な貴金属チップの直径および接地電極からの突出長さについて、次のような判定試験を行った。
上記D、Lを種々変えたスパークプラグS1をエンジンに取り付け、判定方法は、アイドリング状態にある空燃比にて、空燃比を大きくしていき、2分間に点火ミスが2回以上発生する空燃比を限界値(着火限界空燃比)とした。評価エンジンは4気筒1.6リットル、エンジン回転数650rpmで実施した。
なお、限定するものではないが、この判定試験における中心電極側チップ35としては、例えば、直径D’が0.4mm、中心電極30の先端面31からの突出長さL’が0.6mmである円柱体(図3参照)を用い、放電ギャップ50は0.7mmとした。
この試験結果を図6に示す。着火限界空燃比は大きい方がそれだけ希薄燃焼可能であり、着火性が良くなることを意味する。図6からわかるように、接地電極側チップ45の直径Dが細くなるほど着火性は向上しているが、直径Dが1.3mmに太くなると大幅に着火性が低下している。
また、接地電極側チップ45の突出長さLが大きいほど着火性は向上しているが、その向上の度合は0.3mm以上で略飽和している。従って、図6から、良好な着火性を確保可能な接地電極側チップ45としては、直径Dが1.2mm以下(上記断面積が1.15mm2以下に相当)であって接地電極からの突出長さLが0.3mm以上であることが必要なことがわかる。
また、耐熱性・耐消耗性に優れた貴金属よりなる接地電極側チップ45といえども、上記直径Dが0.4mm(上記断面積が0.12mm2に相当)より細いと火花が集中して消耗性が悪化する。また、接地電極40からの突出長さLが1.5mmよりも長いと、チップ45の先端の温度が大きく上昇しチップ45が溶融しやすくなってしまう。
これらのことから、本実施形態では、接地電極側チップ45を、レーザ溶接された他端側の先端面の断面積が0.12mm2以上1.15mm2以下(本例では直径Dが0.4mm以上1.2mm以下)であって且つ上記突出長さLが0.3mm以上1.5mm以下であるものとしている。それによって、適切に着火性を確保することができる。
次に、接地電極40とチップ45とが溶け込み合った溶融部47において、チップ45の側面45aと接地電極40の先端部側面43とを結ぶ外面47aを、曲率半径Rを有して凹んだ曲面形状とした根拠について述べる。
上記特許文献に記載の手法により、接地電極側チップと接地電極とをレーザ溶接した場合、その溶接構造は上記図3に示した中心電極30の場合と同様の構造となる。
つまり、図7に示す様に、接地電極40においても、チップ45の側面45aと接地電極40の先端部側面43とを結ぶ溶融部47の外面47aが直線状となる。この場合、中心電極30よりも使用時の温度が高くなる接地電極40においては、接地電極40とチップ45との接合性は実用レベルを満足せず、使用時において接合部から剥離が生じ、最悪チップ45が脱落してしまう可能性が大きい。
このような溶融部形状に対して、接地電極40側の溶融部47の形状を、上述した曲率半径Rを有して凹んだ曲面形状をなすものとすれば、当該溶融部47において接合に要する容積を確保しつつ、当該溶融部47をできるだけ細いものにできる。
また、図7に示す様な従来形状では、チップ45と溶融部47との界面および溶融部47と接地電極40の先端部側面43との界面で、屈曲点が存在し、その箇所で強い熱応力が発生する。それに対して、図4に示す様に、溶融部47の外面47aを、上記曲面形状とすることにより、チップ47から溶融部47、接地電極40に渡る面が、なめらかな曲線で構成されるため、そのような応力集中が回避されると考えられる。
従って、本実施形態によれば、当該溶融部47に発生する熱応力を小さくし、接地電極40とチップ45との接合性を向上させることができると言える。
ここで、接地電極40側の溶融部47に発生する熱応力を、どの程度まで小さくするかという基準としては、例えば、上記従来手法によるレーザ溶接構造を中心電極に適用した構造にて発生する熱応力、すなわち、本実施形態のスパークプラグS1における中心電極30側の溶融部37に発生する熱応力(中心電極側熱応力)を採用することができる。
これは、本スパークプラグS1においては、中心電極30側では、電極とチップとの接合性を実用レベルにて確保できているためである。そして、接地電極40側の溶融部47において、曲率半径Rを変えていったときの当該溶融部47に発生する熱応力(接地電極側熱応力)について、上記中心電極側熱応力を基準としてFEM(有限要素法)解析を行った。
この溶融部の熱応力解析の結果を図8(a)に示す。ここで、中心電極側及び接地電極側の熱応力を求める場合、チップの直径D、D’を1.2mm、突出長さL、L’を1.0mmとし、溶融部37、47のチップ成分は35重量%とした。これは、接合性の点から最も厳しい仕様である。また、熱応力の発生部位としては、溶融部37、47における電極30、40寄りの部位とした。
図8(a)では、曲率半径Rを変えていったときの接地電極側熱応力が、中心電極側熱応力レベルを1と規格化した値である応力レベル比として示されている。また、図8(a)中の「従来形状」は、上記図7に示す形状であり、中心電極30側の溶融部35と同一の溶融部形状であるにもかかわらず、発生する熱応力が大きい。これは、使用時において、接地電極40の温度(例えば900℃)が、中心電極30の温度(例えば800℃)よりも高いためである。
そして、図8(a)において、応力レベル比が1以下となるような曲率半径Rであれば、接地電極40と接地電極側チップ45との接合性は、従来の溶融部形状に比して向上しており、実用レベルを確保できるといえる。つまり、接地電極40側の溶融部47における曲率半径Rは、0.1mm以上1.0mm以下が好ましい。
なお、図8(a)によれば、当該曲率半径Rが0.1mmより小であるか、1.0mmより大であると、接地電極側熱応力が、中心電極側熱応力のレベルを超えている。これは、曲率半径Rが0.1mmより小であると溶融部形状が急峻となり熱応力が集中しやすく、また、曲率半径Rが1.0mmより大であると曲率半径Rが大きすぎて従来の溶融部形状との相違が小さくなり、曲率半径Rを付けたことのメリットが無くなるためと考えられる。
以上のことから、本実施形態では、接地電極40側において、接地電極側チップ45の側面45aと接地電極40の先端部側面43とを結ぶ溶融部47の外面47aを、曲率半径Rを有して凹んだ曲面形状としている。そして、曲率半径Rは、0.1mm以上1.0mm以下が好ましい。
さらに、図8(b)は、接地電極側チップ45の接地電極40と接している断面を示す図であるが、実際に、接地電極側チップ45を接地電極40にレーザ溶接する場合、曲率半径Rを小さくしようとすると、溶融部47の溶け込み深さdが十分でなくなる。
接地電極側チップ45と接地電極40との接合性を確保するという点から、溶融部の溶け込み深さdは、D/4以上必要であることが実験的に確認されている。ここで、Dは、図8(b)に示すように、接地電極側チップ45の接地電極40と接している断面の最大幅であるが、本例では、円柱状である接地電極側チップ45の直径に相当する。
しかし、溶け込み深さdを大きくしようとすると、溶接エネルギーが大きくなるため、図8(b)に示すナゲット幅Wが大きくなる。すると、曲率半径Rも大きくなってしまい、曲率半径Rを付けたことのメリットが小さくなる。一方、曲率半径Rを小さくしようとすると、ナゲット幅Wも小さくなり、上記溶け込み深さdも小さくなってしまい、接合性確保が困難になる。
そこで、最低限必要な溶け込み深さdの値、すなわちd=D/4となるときの曲率半径Rが、接合性を確保するための下限値となる。本例の接地電極側チップ45のDは0.4mm以上1.2mm以下であるが、この範囲のDについてd=D/4となるときの曲率半径Rを実験的に求めると、R=D/4(D×1/4)となる。
また、FEM解析の結果から、曲率半径Rを付けたことのメリットを発揮するためには、上記Dは3D/4(D×3/4)以下であることが好ましい。よって、上記曲率半径Rによる効果を発揮しつつ貴金属チップの接合性を確保するためには、接地電極側チップ45の接地電極40と接している断面の最大幅をDとして、D/4以上3D/4以下の範囲とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、接地電極側チップ45として、上記したPt、Pt合金、Ir、Ir合金等のチップを採用しているが、この場合、溶融部47におけるチップ45の成分が、35重量%以上80重量%以下であることが好ましい。
このことは、次に述べる検討結果を根拠とするものである。溶融部47は、接地電極側チップ45と接地電極(Ni基合金)40とが溶け込みあったものであるが故、その溶融組成によっても、接合性が変わってくる。そこで、溶融部47における接地電極側チップ45の成分と熱応力との関係についてFEM解析を実施した。
この解析結果の一例を図9に示す。図9は、接地電極側チップ45として上記Ir合金チップを採用した例であり、溶融部47中のIr合金成分比(重量%)と、上記応力レベル比(中心電極側熱応力を1としたときの接地電極側熱応力の値)との関係を示している。また、接地電極側熱応力は、上記図4中の溶融部47におけるa点(チップと溶融部との界面部)、b点(溶融部と接地電極との界面部)を求め、図9中、a点を黒丸プロット、b点を白丸プロットとして示してある。
ここで、図9においても、中心電極側熱応力を基準としているが、この場合、両チップ35、45の直径D、D’及び、突出長さL、L’は同一寸法とした。また、中心電極30側の溶融部37のチップ成分は、中心電極30側において実用レベルの接合性を満足する下限値(本例では35重量%)とした。また、両チップ35、45の材質は、限定するものではないが、本例ではIrが90重量%、Rh10重量%のものとした。
図9から、a点(チップと溶融部との界面部)側の熱応力を、基準となる中心電極側熱応力以下とするためには、35重量%以上が好ましく、また、b点(溶融部と接地電極との界面部)側の熱応力を、基準となる中心電極側熱応力以下とするためには、80重量%以下が好ましいことがわかる。
なお、接地電極側チップ45は、接地電極40よりも放電ギャップ50側へ突き出ており、接地電極(電極母材)40よりも温度が高くなるため、チップ45と溶融部47との界面の方が、溶融部47と接地電極40との界面よりも、発生する熱応力が大きくなる。そのため、溶融部47のチップ成分比を調整するにあたっては、チップ45寄りの部位を中心に調整することが好ましいと考えられる。
以上述べてきたように、本実施形態によれば、上記のように、接地電極側チップ45における寸法D、Lおよび溶融部47の形状が規定されたレーザ溶接構造を採用することにより、着火性を適切に確保しつつ、接地電極と貴金属チップとの接合性を向上させたスパークプラグを提供することができる。
また、本実施形態によれば、上記図5に示した製造方法によって、本実施形態のレーザ溶接構造を適切に製造することができる。また、本製造方法によれば、上記特許文献に記載されているような、電極母材を加工して細径部を形成したり、電極母材に貴金属チップを埋め込んだりするといった手間がかからないので、簡便な製造方法とすることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、図10に示すような、中心電極30と火花ギャップすなわち放電ギャップ50を形成する主接地電極40に加え、絶縁体20の先端部21に対向している副接地電極40aを有するスパークプラグに対しても適用することができる。ここで、図10において、(a)は主接地電極40の側面方向から火花放電部を見た図であり、(b)は(a)のA矢視図である。
図10に示すスパークプラグにおいて、主接地電極40およびこれにレーザ溶接された貴金属チップ45に対して、上記実施形態と同様の構成を採用すれば、着火性を適切に確保しつつ、接地電極と貴金属チップとの接合性を向上させるとともに、耐カーボン汚損性も確保したスパークプラグを提供することができる。
また、上記実施形態における接地電極40の母材として、インコネル600(登録商標)などのNi基合金にAlを1.5重量%以上添加したものを用いると、高着火性を有し、かつ耐熱耐酸化性に優れたスパークプラグを提供することができる。
また、耐熱耐酸化性を向上させるためには、図11(a)に示すように、内部に良熱伝導材としてのCu材40bを有し、このCu材40bをNi基合金からなる被覆材40cにて被覆してなる接地電極40としても良い。さらには、図11(b)に示すように、良熱伝導材を、Ni材40dを芯材としてCu材40bにて被覆した2層構造とし、これを被覆材40cにて被覆してなる接地電極40としても良い。
本発明の実施形態に係るスパークプラグの全体構成を示す半断面図である。 図1に示すスパークプラグにおける放電ギャップ近傍の拡大構成図である。 図1に示すスパークプラグにおける中心電極側のチップ溶接構造を示す概略断面図である。 図1に示すスパークプラグにおける接地電極側のチップ溶接構造を示す概略断面図である。 接地電極側チップと接地電極との溶接方法を示す説明図である。 接地電極側チップの形状と着火性との関係についての解析結果を示す図である。 接地電極側のチップ溶接構造における従来形状を示す概略断面図である。 (a)は、曲率半径Rを変えていったときの溶融部に発生する熱応力についての解析結果を示す図であり、(b)は、溶融部の溶け込み深さdとナゲット幅Wを表すために、貴金属チップの接地電極と接している断面を示す図である。 溶融部におけるIr合金チップの成分と熱応力との関係についての解析結果を示す図である。 主接地電極と副接地電極とを備えた本発明の他の実施形態としてのスパークプラグの要部を示す図である。 複数の層構造からなる接地電極を備えた本発明の他の実施形態としてのスパークプラグの要部を示す概略断面図である。
符号の説明
30…中心電極、40…接地電極、43…接地電極の先端部側面、
45…接地電極側チップ、45a…接地電極側チップの側面、
45b…接地電極側チップの一端面、47…接地電極側の溶融部、
47a…接地電極側チップの側面と接地電極の先端部側面とを結ぶ溶融部の外面、50…放電ギャップ。

Claims (1)

  1. 中心電極(30)および接地電極(40)を放電ギャップ(50)を介して対向配置するとともに、前記接地電極における前記放電ギャップに面する部位に貴金属チップ(45)をレーザ溶接してなるスパークプラグの製造方法において、
    前記貴金属チップの一端面(45b)を、前記接地電極に埋没させることなく前記接地電極の表面(43)に接触させ、
    続いて、前記貴金属チップの側面(45a)と前記接地電極の表面とがなす角部(49)に対して、これら貴金属チップの側面及び接地電極の表面とは斜めの方向から、レーザ照射を行い、前記貴金属チップと前記接地電極とを溶融させることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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