JP6328158B2 - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ Download PDF

Info

Publication number
JP6328158B2
JP6328158B2 JP2016012657A JP2016012657A JP6328158B2 JP 6328158 B2 JP6328158 B2 JP 6328158B2 JP 2016012657 A JP2016012657 A JP 2016012657A JP 2016012657 A JP2016012657 A JP 2016012657A JP 6328158 B2 JP6328158 B2 JP 6328158B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel
platinum
discharge member
spark plug
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016012657A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017134946A (ja
Inventor
大典 角力山
大典 角力山
達哉 後澤
達哉 後澤
柴田 勉
勉 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Spark Plug Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2016012657A priority Critical patent/JP6328158B2/ja
Priority to CN201680080243.8A priority patent/CN108604779B/zh
Priority to US16/072,425 priority patent/US10312669B2/en
Priority to PCT/JP2016/004601 priority patent/WO2017130247A1/ja
Priority to KR1020187021357A priority patent/KR20180096777A/ko
Priority to DE112016006310.5T priority patent/DE112016006310B4/de
Publication of JP2017134946A publication Critical patent/JP2017134946A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6328158B2 publication Critical patent/JP6328158B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/39Selection of materials for electrodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C30/00Alloys containing less than 50% by weight of each constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C5/00Alloys based on noble metals
    • C22C5/04Alloys based on a platinum group metal
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/32Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation characterised by features of the earthed electrode
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T21/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture or maintenance of spark gaps or sparking plugs
    • H01T21/02Apparatus or processes specially adapted for the manufacture or maintenance of spark gaps or sparking plugs of sparking plugs

Description

本明細書は、内燃機関等に利用されるスパークプラグに関する。
内燃機関に利用されるスパークプラグの電極として、白金(Pt)を含む貴金属を用いることが知られている。例えば、特許文献1のスパークプラグでは、白金または白金−イリジウム合金からなる放電部材が、白金−ニッケル合金からなる中間部材を挟んで電極母材に対して接合されている。そして、放電部材と中間部材との間には、拡散層が形成されている。これによって、部材間の熱応力によって、放電部材が剥離、脱落することを抑制している。
特開平6−60959号公報
しかしながら、近年、さらなる燃費向上などのために、内燃機関の燃焼室内の更なる高温化が求められており、スパークプラグについても更なる高温環境下での動作が求められている。このような高温環境下では、火花や酸化などによる放電部材の消耗や、熱応力などによる放電部材の剥離が、より発生しやすくなるために、耐消耗性や耐剥離性のさらなる向上が求められている。
例えば、特許文献1のスパークプラグでは、白金や、白金−イリジウム合金が放電部材として用いられ、中間部材として、白金−ニッケル合金が用いられている。しかしながら、上述したような高温環境下では、放電部材と中間部材との間で相互拡散が進行することによるカーケンダールボイドの発生や、拡散層が多元系化することによる脆化および熱伝導率の低下が生じる可能性があった。また、例えば、白金が放電部材として用いられる場合には、白金は結晶粒が成長しやすく、粒界割れが発生しやすい。粒界割れによって、高温の燃焼雰囲気が拡散層との界面付近にまで到達しやすくなるため、拡散が促進されることで更なる粒界割れが生じるので、耐剥離性および耐消耗性が低下しやすい。また、白金−イリジウム合金が放電部材として用いられる場合には、高温環境下でイリジウムの酸化消耗が発生しやすく、拡散層にイリジウムとニッケルが混在することによって拡散層が脆くなりやすい。また、酸化によってイリジウムが減少するために、次第に白金と同様に放電部材の表面の結晶粒が成長してしまい、白金の場合と同様に、結晶粒の脱落が生じる。この結果、高温環境下では、放電部材と拡散層との界面付近が高温化しやすくなり、拡散が促進され、スパークプラグの耐消耗性や耐剥離性が低下する可能性があった。
本明細書は、高温環境下において、スパークプラグの耐消耗性と耐剥離性を両立できるスパークプラグを開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]軸線方向に延びる中心電極と、
前記中心電極との間でギャップを形成する接地電極と、
を備え、
前記中心電極と前記接地電極のうち少なくとも一方は、
電極母材と、
前記ギャップを形成する放電面を有する放電部材と、
前記放電部材と前記電極母材との間に配置された中間部材と、
前記放電部材と前記中間部材との間に形成された拡散層と、
を備えるスパークプラグであって、
前記電極母材は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含み、
前記放電部材は、45重量%以上の白金(Pt)と、ニッケルとロジウム(Rh)とのうちの少なくとも一方と、を含み、
前記中間部材は、白金とニッケルとを含み、
前記放電部材において、最も含有率が高い成分は、白金であり、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、92重量%以上であり、
前記中間部材において、白金とニッケルとのうちの一方の含有率は、50重量%以上であり、ニッケルの含有率は、放電部材におけるニッケルの含有率より高く、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、85重量%以上であり、
前記拡散層の厚さは、0.002mm以上0.065mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。
上記構成によれば、放電部材の耐酸化性の向上、放電部材と中間部材との間における相互拡散の進行の抑制、熱応力の低減、拡散層の脆化の抑制、および、拡散層の熱伝導率の低下の抑制を実現できる。この結果、スパークプラグの耐消耗性と耐剥離性を両立できる。
[適用例2]適用例1に記載のスパークプラグであって、
前記拡散層の厚さは、0.005mm以上0.065mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。
上記構成によれば、こうすれば、熱応力による放電部材と中間部材との剥離を、さらに、効果的に抑制することができるので、スパークプラグ100の耐剥離性と耐消耗性をより向上できる。
[適用例3]適用例1または2に記載のスパークプラグであって、
前記拡散層と前記放電部材の前記放電面との間の距離をD1とし、
前記ギャップの長さをGとするとき、
D1≧0.1mm、かつ、(D1/G)≧0.1を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
こうすれば、放電部材と中間部材との間における相互拡散の進行を、さらに、抑制することができる。
[適用例4]適用例1〜3のいずれかに記載のスパークプラグであって、
前記放電部材において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
こうすれば、放電部材において、白金とロジウムとニッケル以外の成分がより低減されることによって、拡散層の脆化や熱伝導率の低下を、さらに、抑制することができる。
[適用例5]適用例1〜4のいずれかに記載のスパークプラグであって、
前記中間部材において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
こうすれば、中間部材において、白金とロジウムとニッケル以外の成分がより低減されることによって、上述した拡散層の脆化や熱伝導率の低下を、さらに、抑制することができる。
[適用例6]適用例1〜5のいずれかに記載のスパークプラグであって、
前記中間部材において、ニッケルの含有率は、前記放電部材におけるニッケルの含有率より2.5重量%以上高いことを特徴とする、スパークプラグ。
こうすれば、中間部材と電極母材との間に、発生する熱応力をより効果的に低減できるので、放電部材351の耐剥離性をさらに向上することができる。
[適用例7]適用例4に記載のスパークプラグであって、
前記放電部材において、白金とロジウムとの含有率の合計は、88重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
こうすれば、放電部材において、耐消耗性に優れた白金と、その白金の粒成長を抑制するロジウム以外の成分を低減することによって、スパークプラグの耐消耗性をさらに向上することができる。
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグやスパークプラグを用いた点火装置、そのスパークプラグを搭載する内燃機関や、そのスパークプラグ用の電極等の態様で実現することができる。
本実施形態のスパークプラグ100の断面図である。 スパークプラグ100の先端近傍を示す図である。 拡散層352の説明図である。 比較サンプルの説明図である。
A.実施形態
A−1.スパークプラグの構成:
以下、本発明の実施の態様を実施形態に基づいて説明する。図1は本実施形態のスパークプラグ100の断面図である。図1の一点破線は、スパークプラグ100の軸線CLを示している。軸線CLと平行な方向(図1の上下方向)を軸線方向とも呼ぶ。軸線CLと垂直な平面上に位置し、軸線CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、当該円の周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。図1における下方向を先端方向FDと呼び、上方向を後端方向BDとも呼ぶ。図1における下側を、スパークプラグ100の先端側と呼び、図1における上側をスパークプラグ100の後端側と呼ぶ。
このスパークプラグ100は、内燃機関に取り付けられて、内燃機関の燃焼室内において、燃料ガスの着火のために用いられる。このスパークプラグ100は、比較的高温の環境下での動作が想定されている。具体的には、燃焼室内の放電部材(電極チップ)近傍における温度は、摂氏600度以上であることが想定される。スパークプラグ100は、絶縁体としての絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、を備える。
絶縁碍子10はアルミナ等を焼成して形成されている。絶縁碍子10は、軸線方向に沿って延び、絶縁碍子10を貫通する貫通孔12(軸孔)を有する略円筒形状の部材である。絶縁碍子10は、鍔部19と、後端側胴部18と、先端側胴部17と、段部15と、脚長部13とを備えている。後端側胴部18は、鍔部19より後端側に位置し、鍔部19の外径より小さな外径を有している。先端側胴部17は、鍔部19より先端側に位置し、鍔部19の外径より小さな外径を有している。脚長部13は、先端側胴部17より先端側に位置し、先端側胴部17の外径よりも小さな外径を有している。脚長部13は、スパークプラグ100が内燃機関(図示せず)に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。段部15は、脚長部13と先端側胴部17との間に形成されている。
主体金具50は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼材)で形成され、内燃機関のエンジンヘッド(図示省略)にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、軸線CLに沿って貫通する挿入孔59が形成されている。主体金具50は、絶縁碍子10の外周に配置される。すなわち、主体金具50の挿入孔59内に、絶縁碍子10が挿入・保持されている。絶縁碍子10の先端は、主体金具50の先端より先端側に突出している。絶縁碍子10の後端は、主体金具50の後端より後端側に突出している。
主体金具50は、スパークプラグレンチが係合する六角柱形状の工具係合部51と、内燃機関に取り付けるための取付ネジ部52と、工具係合部51と取付ネジ部52との間に形成された鍔状の座部54と、を備えている。取付ネジ部52の呼び径は、例えば、M8(8mm)、M10、M12、M14、M18のいずれかとされている。
主体金具50の取付ネジ部52と座部54との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100が内燃機関に取り付けられた際に、スパークプラグ100と内燃機関(エンジンヘッド)との隙間を封止する。
主体金具50は、さらに、工具係合部51の後端側に設けられた薄肉の加締部53と、座部54と工具係合部51との間に設けられた薄肉の圧縮変形部58と、を備えている。主体金具50における工具係合部51から加締部53に至る部位の内周面と、絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間に形成される環状の領域には、環状のリング部材6、7が配置されている。当該領域における2つのリング部材6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53の後端は、径方向内側に折り曲げられて、絶縁碍子10の外周面に固定されている。主体金具50の圧縮変形部58は、製造時において、絶縁碍子10の外周面に固定された加締部53が先端側に押圧されることにより、圧圧縮変形する。圧縮変形部58の圧縮変形によって、リング部材6、7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。金属製の環状の板パッキン8を介して、主体金具50の取付ネジ部52の内周に形成された段部56(金具側段部)によって、絶縁碍子10の段部15(絶縁碍子側段部)が押圧される。この結果、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁碍子10との隙間から外部に漏れることが、板パッキン8によって防止される。
中心電極20は、軸線方向に延びる棒状の中心電極本体21と、中心電極本体21の先端に接合された円柱状の中心電極チップ29と、を備えている。中心電極本体21は、絶縁碍子10の貫通孔12の内部の先端側の部分に配置されている。中心電極本体21は、電極母材21Aと、電極母材21Aの内部に埋設された芯部21Bと、を含む構造を有する。電極母材21Aは、例えば、ニッケルまたはニッケルを主成分とする合金、本実施形態では、インコネル601(「INCONEL」は、登録商標))で形成されている。芯部21Bは、電極母材21Aを形成する合金よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金、本実施形態では、銅で形成されている。
また、中心電極本体21は、軸線方向の所定の位置に設けられた鍔部24と、鍔部24よりも後端側の部分である頭部23(電極頭部)と、鍔部24よりも先端側の部分である脚部25(電極脚部)と、を備えている。鍔部24は、絶縁碍子10の段部16に支持されている。脚部25の先端部分、すなわち、中心電極本体21の先端は、絶縁碍子10の先端より先端側に突出している。中心電極チップ29については後述する。
接地電極30は、主体金具50の先端に接合された接地電極母材31と、クラッド電極35と、を備えている。接地電極30については、後述する。
端子金具40は、軸線方向に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼)で形成され、端子金具40の表面には、防食のための金属層(例えば、Ni層)がめっきなどによって形成されている。端子金具40は、軸線方向の所定位置に形成された鍔部42(端子顎部)と、鍔部42より後端側に位置するキャップ装着部41と、鍔部42より先端側の脚部43(端子脚部)と、を備えている。端子金具40のキャップ装着部41は、絶縁碍子10より後端側に露出している。端子金具40の脚部43は、絶縁碍子10の貫通孔12に挿入されている。キャップ装着部41には、高圧ケーブル(図示外)が接続されたプラグキャップが装着され、火花放電を発生するための高電圧が印加される。
絶縁碍子10の貫通孔12内において、端子金具40の先端(脚部43の先端)と中心電極20の後端(頭部23の後端)との間には、火花発生時の電波ノイズを低減するための抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子と、ガラス以外のセラミック粒子と、導電性材料と、を含む組成物で形成されている。貫通孔12内において、抵抗体70と中心電極20との隙間は、導電性シール60によって埋められている。抵抗体70と端子金具40との隙間は、導電性シール80によって埋められている。導電性シール60、80は、例えば、B23−SiO2系等のガラス粒子と金属粒子(Cu、Feなど)とを含む組成物で形成されている。
A−2. スパークプラグ100の先端部分の構成:
上記のスパークプラグ100の先端近傍の構成について、さらに、詳細に説明する。図2は、スパークプラグ100の先端近傍を示す図である。図2(A)には、スパークプラグ100の先端近傍を軸線CLが含まれる特定面で切断した特定断面が示されている。図2(B)には、図2(A)の特定断面におけるクラッド電極35の近傍の拡大図が示されている。
中心電極チップ29は、円柱形状を有しており、例えば、レーザ溶接によって形成される溶融部27を介して、中心電極本体21の先端(脚部25の先端)に接合されている(図2(A))。溶融部27は、中心電極チップ29の成分と、中心電極本体21の成分と、を含む部分である。中心電極チップ29は、高融点の貴金属を主成分とする材料で形成されている。中心電極チップ29の材料には、例えば、イリジウム(Ir)、イリジウムを主成分とする合金、白金(Pt)、白金を主成分とする合金が用いられる。
接地電極母材31は、断面が四角形の湾曲した棒状体である。接地電極母材31の後端部31Bは、主体金具50の先端面50Aに接合されている。これによって、主体金具50と接地電極母材31とは、電気的に接続される。接地電極母材31の先端部31Aは、自由端である。
接地電極母材31は、例えば、詳細は後述するニッケル合金を用いて形成されている。接地電極母材31には、ニッケル合金より熱伝導率が高い金属、例えば、銅や銅を含む合金を用いて形成された芯材が埋設されていても良い。
クラッド電極35は、放電部材351と、中間部材353と、放電部材351と中間部材353との間に形成された拡散層352と、を備えている。
放電部材351は、軸線方向に延びる円柱形状を有しており、詳細は後述する白金を主成分とする合金を用いて形成されている。放電部材351の後端面は、中心電極チップ29の先端側の放電面29Aとの間で、火花ギャップを形成する放電面351Bである。
中間部材353は、軸線方向に延びる円柱形状を有しており、詳細は後述する白金とニッケルとを含む合金を用いて形成されている。中間部材353は、放電部材351と、接地電極母材31と、の間に配置されている。具体的には、中間部材353と、放電部材351とは、拡散接合されている。すなわち、中間部材353の後端面353Bは、放電部材351の先端面351Aと、拡散層352を介して接合されている。中間部材353の先端面353Aは、接地電極母材31の先端部31Aの後端側に、抵抗溶接を用いて接合されている。中間部材353の先端面353Aを含む先端側の部分は、接地電極母材31の先端部31Aに埋設されている。
拡散層352は、放電部材351と、中間部材353と、の間に形成されている。図3は、拡散層352の説明図である。図3(A)には、接地電極30の軸線CL上の位置における白金の含有率(単位は、重量%)が示されている。図3(A)に示すように、放電部材351における白金の含有率をW1(Pt)とし、中間部材353における白金の含有率をW2(Pt)とする。拡散層352の白金の含有率は、放電部材351側から中間部材353に向かって、W1(Pt)からW2(Pt)まで連続的に変化している。図3(B)には、接地電極30の軸線CL上の位置におけるニッケルの含有率(単位は、重量%)が示されている。放電部材351におけるニッケルの含有率をW1(Ni)とし、中間部材353におけるニッケルの含有率をW2(Ni)とする。拡散層352のニッケルの含有率は、放電部材351側から中間部材353に向かって、W1(Ni)からW2(Ni)まで連続的に変化している。他の成分(例えば、ロジウム)についても同様である。換言すれば、拡散層352は、特定成分の含有率が、放電部材351における特定成分の含有率から中間部材353における特定成分の含有率まで、放電部材351から拡散層352に向かって連続的に変化している層である、と言うことができる。放電部材351と、中間部材353に、白金、ロジウム、ニッケル以外の元素を含む場合には、拡散層352内に、金属間化合物が形成される場合がある。放電部材351と、中間部材353と、の材料の組み合わせは、このような金属間化合物が形成されない材料の組み合わせが、より好ましい。
ここで、図2(A)に示すように、接地電極30と中心電極20との間のギャップの長さ、すなわち、中心電極チップ29の放電面29Aと、放電部材351の放電面351Bと、の間の最短距離を、Gとする。また、図2(B)に示すように、放電部材351の外径をR1とし、中間部材353の外径をR2とする。図2(B)の例では、放電部材351の外径R1と、中間部材353の外径R2と、は等しい。変形例では、放電部材351の外径R1は、中間部材353の外径R2より小さくても良い。また、図2(B)に示すように、拡散層352と、放電部材351の放電面351Bと、の間の軸線CL方向に沿った距離を、D1とする。また、拡散層352の厚さ、すなわち、軸線方向の長さを、D2とし、中間部材353の厚さを、D3とする。また、放電部材351の放電面351Bから接地電極母材31の表面までの長さ(突出長さとも呼ぶ)をD4とする。
本実施形態では、拡散層352の厚さD2は、0.002mm以上0.065mm以下とされている。この結果、スパークプラグ100の耐剥離性と耐消耗性を向上できる。
詳しく説明する。拡散層352の厚さD2が0.002mm未満であると、放電部材351と、中間部材353と、の間の熱応力を、拡散層352によって緩和することができず、放電部材351と、中間部材353と、が剥離しやすくなり、耐剥離性が悪化する。また、放電部材351と、中間部材353と、の剥離によって、放電部材351と中間部材353との間の熱伝導性が低下する。この結果、熱引きが低下して放電部材351が高温となり、放電部材351の消耗が激しくなるので、耐消耗性も悪化する。
拡散層352の厚さD2が0.065mmを超えると、拡散層352は、放電部材351や中間部材353と比較して、熱伝導率が低いために、放電部材351と中間部材353との間の熱伝導性が低下する。この結果、放電部材351が高温となるために、スパークプラグ100の使用によって、放電部材351と中間部材353との間の相互拡散が進行して、拡散層352の厚さD2が、さらに、増大する。この結果、さらに、放電部材351と中間部材353との間の熱伝導性がさらに低下する。この結果、熱引きがさらに低下して放電部材351が高温となり、放電部材351の消耗が激しくなるので、耐消耗性が悪化する。
このように、拡散層352の厚さD2は、0.002mm以上0.065mm以下であると、上述の熱応力による剥離と、拡散の進行による拡散層352の厚さの増大と、を抑制できるので、上述のように、スパークプラグ100の耐剥離性と耐消耗性を向上できる。
放電部材351や中間部材353の組成(例えば、白金やニッケルの含有率)、および、拡散層352の厚さD2の測定方法について、図3を参照して説明する。これらの値は、FE−EPMA(Field Emission-Electron Probe Micro Analysis)、具体的には、日本電子株式会社製のJXA−8500Fに付属されたWDS(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて、点分析を行うことにより、以下のように求めることができる。
放電部材351をPt、中間部材353をPt−10Niとして場合を例として説明する。先ず、スパークプラグ100の接地電極30(放電部材351、中間部材353、接地電極母材31)を軸線CLを含む面で切断し、該断面を研磨したものを、分析用の試料として準備する。当該試料の研磨面において、軸線CL上における放電部材351の表面S(図3(A))から、軸線方向に沿って10μmだけ先端側(中間部材353側)の点A(図3(A))を基点として、先端側に向かって10μm間隔で5点の点分析を実施する。この結果、測定された5点のPtの含有率v1〜v5(図3(A))の平均値を、放電部材351の白金含有率W1(Pt)とする。
続いて、点Aから軸線方向に沿って先端側に向かって(中間部材353に向かって)0.5μm間隔で点分析を実施し、各点の白金含有率をプロットしていく。プロットされたグラフにおいて、白金含有率がVb=W1(Pt)以下であり、かつ、その点より先端側の点の白金含有率が全てVb以下となる点群のうち、最も後端側の点B(図3(A))を特定する。点Bの軸線方向の位置を、放電部材351と拡散層352との間の境界の軸線方向の位置とする。
次に、点Bから軸線方向に沿って150μmだけ先端側の点C(図3(A))を特定する。そして、点Cを基点として、先端側に向かって10μm間隔で5点の点分析を実施する。この結果、測定された5点のPtの含有率v6〜v10(図3(A))の平均値を、中間部材353の白金含有率W2(Pt)とする。
続いて、点Cから軸線方向に沿って後端側に向かって(放電部材351に向かって)0.5μm間隔で点分析を実施し、各点の白金含有率をプロットしていく。プロットされたグラフにおいて、白金含有率がVd=W2(Pt)以上であり、かつ、その点より後端側の点の白金含有率が全てVd以上となる点群のうち、最も先端側の点D(図3(A))を特定する。点Dの軸線方向の位置を、中間部材353と拡散層352との間の境界の軸線方向の位置とする。
以上のように、特定された点Bと点Dとの間の軸線方向の距離を厚さD(Pt)とする(図3(A))。
このような分析を、放電部材351と中間部材353とのいずれかに含まれる他の成分についても実施する。この例では、ニッケルについて同様の分析を行う。すなわち、点A(図3(B))を基点とする10μm間隔の5点のニッケルの含有率u1〜u5(図3(B))の平均値を、放電部材351のニッケル含有率W1(Ni)とする。そして、点Aから軸線方向に沿って先端側に向かって0.5μm間隔で点分析を実施し、各点のニッケル含有率をプロットしていく。プロットされたグラフにおいて、ニッケル含有率がue=W1(Ni)以上であり、かつ、その点より先端側の点のニッケル含有率が全てue以上となる点群のうち、最も後端側の点E(図3(B))を特定する。点Eの軸線方向の位置を、放電部材351と拡散層352との間の境界の軸線方向の位置とする。
次に、点Eから軸線方向に沿って150μmだけ先端側の点F(図3(B))を特定する。そして、点Fを基点として、先端側に向かって10μm間隔で5点の点分析を実施する。この結果、測定された5点のニッケルの含有率u6〜u10(図3(B))の平均値を、中間部材353のニッケル含有率W2(Ni)とする。
続いて、点Fから軸線方向に沿って後端側に向かって0.5μm間隔で点分析を実施し、各点のニッケル含有率をプロットしていく。プロットされたグラフにおいて、ニッケル含有率がug=W2(Ni)以下であり、かつ、その点より後端側の点のニッケル含有率が全てug以下となる点群のうち、最も先端側の点G(図3(B))を特定する。点Gの軸線方向の位置を、中間部材353と拡散層352との間の境界の軸線方向の位置とする。
以上のように、特定された点Eと点Gとの間の軸線方向の距離を厚さD(Ni)とする(図3(B))。
このように、各成分について測定された厚さのうちの最大値を、拡散層352の厚さD2として決定する。この例では、白金について測定された厚さD(Pt)と、ニッケルについて測定された厚さD(Ni)と、のうちの大きな値を、拡散層352の厚さD2として決定する。
ここで、上述したv1〜v10、u1〜u10の点分析(10μm間隔での点分析)は、加速電圧20kV、スポット径10μmで行われ、点B、D、E、Gを特定する際の点分析(0.5μm間隔での点分析)は、加速電圧20kV、スポット径1μmで行われた。
なお、場所によって測定値がばらつく場合は、上記と同様の測定を、測定位置(例えば、点Aの位置)を径方向にずらして、5回実行して、5回の測定で得られた値の平均値を、最終的な拡散層352の厚さD2として決定する。
なお、点A、C、Fにおいて測定された含有率W1(Pt)、W1(Ni)、W2(Pt)、W2(Ni)は、放電部材351や中間部材353の組成を示す値である。放電部材351の表面状態、各部351、352、353の厚さによっては、点A、C、Fにおいて、濃度勾配がある場合や、これらの点が拡散層352内に位置する場合があり得る。したがって、測定された含有率W1(Pt)、W1(Ni)、W2(Pt)、W2(Ni)が、放電部材351や中間部材353の組成を代表していないと考えられる場合には、点A、C、Fの位置を適宜に変更して、測定を行う。
また、各部351、352、353内に析出物やボイドが含まれる場合において、上記測定にあたり、測定値と組織の観察結果から、析出物やボイドが測定値に影響していると思われる点が存在する場合には、その点の測定値の代わりに、析出物やボイドの影響がないと思われ、かつ、その点の前後に位置し、その点に最も近い2点の平均値を用いる。
なお、拡散層352の厚さD2は、0.005mm以上0.065mm以下であることが、好ましい。こうすれば、熱応力による放電部材351と中間部材353との剥離を、さらに、効果的に抑制することができるので、スパークプラグ100の耐剥離性と耐消耗性をより向上できる。
ここで、拡散層352と放電部材351の放電面351Bとの間の距離D1が過度に短いと、放電による放電面351Bの温度上昇によって拡散層352の近傍も高温となりやすい。この結果、スパークプラグ100の使用中に上述した相互拡散が進行しやすい。ギャップ長Gが過度に大きいと放電電圧が上昇するので、放電部材351の消耗が大きくなる。放電部材351の消耗が大きくなると、上述した距離D1が早期に短くなるので、スパークプラグ100の使用によって、上述の相互拡散が進行しやすくなる。したがって、ギャップ長Gが大きいほど、距離D1を大きくすることが好ましい。具体的には、拡散層352と放電部材351の放電面351Bとの間の距離D1と、ギャップ長Gは、(D1/G)≧0.1を満たすことが好ましい。すなわち、距離D1は、ギャップ長Gの10%以上であることが好ましい。こうすれば、上述した相互拡散の進行を抑制できるので、スパークプラグ100の耐剥離性と耐消耗性を、さらに向上することができる。ただし、距離D1が過度に小さい場合には、(D1/G)≧0.1を満たすように、(D1/G)を制御しても、相互拡散の進行を抑制する効果が得られにくい。このために、D1≧0.1を満たすことが好ましい。
なお、放電部材351は、比較的高価な白金を主成分とするので、距離D1は、必要以上に大きくすることは好ましくない。例えば、距離D1は、0.4mm未満が好ましい。
接地電極30は、例えば、以下のように製造される。放電部材351と、中間部材353と、が拡散接合される。具体的には、例えば、製造者は、放電部材351と中間部材353とを、抵抗溶接によって予備接合する。製造者は、予備接合された放電部材351と中間部材353とに対して、所定条件で、熱処理を行うことによって、放電部材351と中間部材353とを拡散接合する。この結果、放電部材351と拡散層352との間に拡散層352が形成される。熱処理は、例えば、真空、あるいは、不活性ガス雰囲気下の炉内において、予備接合された放電部材351と中間部材353とを、摂氏700度〜摂氏1300度に、0〜100時間に亘って、保持する処理である。0時間を含む理由は、熱処理なしという訳ではなく、昇温して目的の温度に達したら、保持せずに降温させる場合があるためである。時間と温度とを適切に管理すれば、大気中で熱処理を行っても良い。熱処理の条件を調整することによって、拡散層352の厚さD2を、制御することができる。例えば、保持温度を高くするほど、拡散層352の厚さD2を厚くすることができ、保持時間を長くするほど、拡散層352の厚さD2を厚くすることができる。また、放電部材351、中間部材353の成分を配合および溶解して得られるそれぞれの溶解材を、それぞれ圧延等により板材に加工し、該2枚の板材を重ねてさらに室温または熱間にて圧延し、圧延後の2枚の板材を所定の形状に打ち抜くことによって、拡散接合された放電部材351と中間部材353とを形成しても良い。この場合にも、固相拡散を促進させて、所望の拡散層352を形成するために、必要に応じて、圧延後または打ち抜き後の2枚の板材に対して、熱処理を行っても良い。
製造者は、クラッド電極35、すなわち、拡散接合された放電部材351と中間部材353とを、抵抗溶接によって、接地電極母材31に接合する。抵抗溶接時の加圧力、電流、通電時間を制御することで、中間部材353の接地電極母材31への埋め込み量を制御することができる。
A−2.接地電極30の材料
次に、接地電極30を形成する材料について説明する。接地電極30の接地電極母材31の材料は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む金属材料である。具体的には、接地電極母材31の材料には、インコネル601(Ni含有率約60重量%)、インコネル600(Ni含有率約75重量%)、あるいは、Ni含有率がさらに高いNi合金(Ni含有率約90重量%以上)などが用いられる。ここで、接地電極母材31は、クラッド電極35が接合されている表面を含む部分を少なくとも含み、クラッド電極35が接合されている表面を含む部分と同一の材料で形成される部材を意味する。例えば、ここで、接地電極母材31が、銅などの芯材を含む多層構造を有している場合には、当該芯材は、接地電極母材31には、含まれない。
接地電極30の放電部材351の材料は、以下の(1)〜(3)を満たす材料である。
(1)45重量%以上の白金(Pt)と、ニッケルとロジウム(Rh)とのうちの少なくとも一方と、を含む。
(2)最も含有率が高い成分は、白金である。
(3)白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、92重量%以上である。
上記(1)〜(3)を満たすことによって、スパークプラグ100の耐剥離性と、耐消耗性と、を向上できる。
詳しく説明する。最も含有率が高い成分を白金とする(上記(2))ことで、例えば、高温で揮発性の酸化物を形成するため耐酸化性に劣るイリジウムを主成分とする場合と比較して、高温での耐消耗性を向上できる。さらに、ニッケルやロジウムを添加する(上記(1))ことにより、白金の粒成長を抑制して、粒界割れの発生を抑制できるので、耐剥離性を向上できる。放電部材351が剥離すると、熱引きの低下を引き起こすので、結果的に、耐消耗性も悪化する。イリジウムを添加する場合であっても粒成長は抑制できるが、イリジウムは酸化揮発しやすいので、スパークプラグ100の使用中にイリジウムが消耗して、粒成長の抑制効果は、時間の経過とともに消失する。さらに、ニッケルやロジウムは、イリジウムと比較して、耐酸化性にも優れるので、スパークプラグ100の使用中に添加量が減少しにくい。このために、長時間に亘って、粒成長や粒界割れを抑制できるので、耐剥離性および耐消耗性を改善できる。
さらには、耐剥離性や耐消耗性を向上するためには、スパークプラグ100の使用によって、放電部材351と中間部材353との間の相互拡散が進行することによって発生する拡散層352の脆化や、拡散層352の熱伝導率の低下を抑制することが求められる。これは、拡散層352の脆化は、放電部材351の剥離を引き起こすからである。また、拡散層352の熱伝導率の低下は、熱引きの低下を引き起こし、これによって放電部材351の消耗が激しくなるからである。
拡散層352の脆化や、拡散層352の熱伝導率の低下は、特性の異なる元素が拡散層352内に混在する多元化によって、引き起こされる。このために、拡散層352の脆化や、拡散層352の熱伝導率の低下を抑制するためには、放電部材351に添加される元素は、後述する中間部材353の主成分である白金およびニッケルと同一、または、特性が類似する元素が好ましい。放電部材351の添加元素であるニッケルやロジウムは、白金と結晶構造などの特性が類似しており、放電部材351と中間部材353との間の相互拡散が進行した場合であっても、拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制することができる。
さらに、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、92重量%以上とする(上記(3))ことで、耐酸化性に優れた元素の割合が多くなるので、耐消耗性を向上できる。また、他の元素の割合を抑制することで、上述した相互拡散によって拡散層352に他の元素が混在することを抑制できる。したがって、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制することができる。
さらに、放電部材351において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることが、より好ましい。こうすれば、放電部材351において、白金とロジウムとニッケル以外の成分がより低減されることによって、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を、さらに、抑制することができる。
さらに、放電部材351において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であり、かつ、白金とロジウムとの含有率の合計は、88重量%以上であることが、特に好ましい。こうすれば、放電部材351において、白金とロジウムとニッケル以外の成分がより低減されることによって、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下をさらに抑制できるとともに、耐消耗性に優れた白金と、その白金の粒成長を抑制するロジウム以外の成分を低減することによって、耐消耗性をさらに向上することができる。
接地電極30の中間部材353の材料は、以下の(4)〜(5)を満たす材料である。
(4)白金とニッケルとを含み、白金とニッケルとのうちの一方の含有率は、50重量%以上である。
(5)ニッケルの含有率は、放電部材351におけるニッケルの含有率より高い。
(6)白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、85重量%以上である。
詳しく説明する。白金とニッケルとを含み、白金とニッケルとのうちの一方の含有率は、50重量%以上である(上記(4))こと、および、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、85重量%以上であること(上記(6))で、中間部材353の主成分を、放電部材351に含まれる白金、ニッケル、ロジウムと、同一または特性が類似する成分とすることができる。この結果、上述した相互拡散によって拡散層352に他の元素が混在することを抑制できる。したがって、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制することができる。
さらに、中間部材353におけるニッケルの含有率は、白金とニッケルとを含み(上記(4))、かつ、放電部材351におけるニッケルの含有率より高い(上記(5))ことによって、中間部材353の熱膨張率を、放電部材351の熱膨張率と、接地電極母材31の熱膨張率と、の中間とすることができる。この結果、中間部材353と放電部材351との間、および、中間部材353と接地電極母材31との間に、発生する熱応力を低減できるので、放電部材351の耐剥離性を向上することができる。
以上のように、上記(4)〜(6)を満たすことによって、スパークプラグ100の耐剥離性と、耐消耗性と、を向上できる。
さらに、中間部材353において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることが、より好ましい。こうすれば、中間部材353において、白金とロジウムとニッケル以外の成分がより低減されることによって、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を、さらに、抑制することができる。
さらに、中間部材353において、ニッケルの含有率は、放電部材351におけるニッケルの含有率より2.5重量%以上高いことが、さらに好ましい。こうすれば、中間部材353の熱膨張率を、放電部材と電極母材との間のより適切な値とすることができる。この結果、特に、拡散層352が形成されていない中間部材353と接地電極母材31との間に発生する熱応力をより効果的に低減できる。したがって、放電部材351の耐剥離性をさらに向上することができる。
B.評価試験
スパークプラグのサンプルを用いて、耐消耗性、耐剥離性を評価する評価試験が実行された。評価試験では、表1〜表4に示すように、66種類のサンプル1〜66を作成した。各サンプルにおいて、接地電極30以外の構成は、上述したスパークプラグ100のとおりであり、共通である。
表1には、サンプル1〜50について、放電部材351の材料と、各サンプルの拡散層352から放電部材351の放電面351Bまでの距離D1と、ギャップ長Gと、(D1/G)の値と、拡散層352の厚さD2と、が示されている。なお、表1には、(D1/G)の計算値と、放電部材351における白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計(Pt+Rh+Ni)と、放電部材351における白金とロジウムの含有率の合計(Pt+Rh)と、が併せて示されている。表2には、サンプル1〜50について、中間部材353の材料と、耐消耗性、耐剥離性の評価結果と、が示されている。また、表2には、中間部材353における白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計(Pt+Rh+Ni)と、中間部材353におけるニッケルの含有率から放電部材351におけるニッケルの含有率を減じた差ΔW(Ni)と、が併せて示されている。表3、表4には、サンプル51〜66について、表1、表2と同様の項目が示されている。
66種類のサンプルのクラッド電極35は、外径1.6mmの円柱状の放電部材351に、外径1.6mm、厚さ0.4mmの円柱状の中間部材353を拡散接合することによって、作成された。作成された各サンプルのクラッド電極35は、突出長さD4(図2)が、0.4mm未満となるように、接地電極母材31に抵抗溶接された。なお、全てのサンプルについて、接地電極母材31の材料として、インコネル601が用いられた。
そして、表1〜表4に示すように、放電部材351および中間部材353の材料がサンプルごとに変更された。さらに、放電部材351の軸線方向の長さと、拡散接合の熱処理の条件と、ギャップ長Gと、を変更することによって、表1〜表4に示す66種類のサンプル1〜66が作成された。
Figure 0006328158
Figure 0006328158
Figure 0006328158
Figure 0006328158
全てのサンプル1〜66において、放電部材351は、白金を含んでおり、白金の含有率は、45重量%、48重量%、50重量%、60重量%、75重量%、80重量%、重量%、85重量%、87重量%、88.5重量%、90重量%、90.5重量%、91重量%、94.5重量%、95重量%、98.5重量%、100重量%のいずれかとされている。
サンプル1の放電部材351は、100重量%の白金(純白金)である。サンプル1を除いたサンプル2〜64において、放電部材351は、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ir)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、金(Au)のうちの少なくとも1種を含んでいる。
ロジウムを含むサンプル3、6〜10、14〜43では、ロジウムの含有率は、5重量%、10重量%、20重量%、40重量%、45重量%のいずれかである。ニッケルを含むサンプル11〜13、41〜66では、ニッケルの含有率は、1.5重量%、5重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%、25重量%のいずれかである。イリジウムを含むサンプル2、4、5では、イリジウムの含有率は、20重量%である。レニウムを含むサンプル9、11、55では、レニウムの含有率は、8重量%、10重量%のいずれかである。パラジウムを含むサンプル10、19、20では、パラジウムの含有率は、4重量%、8重量%、10重量%のいずれかである。金を含むサンプル12、48〜50、56では、金の含有率は、4重量%、8重量%、10重量%のいずれかである。
サンプル3を除くサンプル1、2、4〜66において、中間部材353は、白金を含んでおり、白金の含有率は、15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、66重量%、68重量%、80重量%、85重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、93.5重量%、95重量%、96重量%、97.5重量%、98重量%、98.5重量%のいずれかである。
サンプル2、5、6を除くサンプル1、3、4、7〜66において、中間部材353は、ニッケルを含んでおり、ニッケルの含有率は、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%、40重量%、50重量%、70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、99重量%のいずれかである。
中間部材353は、さらに、ロジウム、イリジウム、パラジウム、金、クロム(Cr)、コバルト(Co)のうちの1種以上を含み得る。ロジウムを含むサンプル13、47、54、55、59では、ロジウムの含有率は、3重量%、5重量%のいずれかである。イリジウムを含むサンプル3、12、30、32、48〜50、56では、イリジウムの含有率は、1重量%、2重量%、4重量%、5重量%のいずれかである。パラジウムを含むサンプル5、26、30、32では、パラジウムの含有率は、2重量%、4重量%、5重量%、60重量%のいずれかである。金を含むサンプル2では、金の含有率は、20重量%である。クロムを含むサンプル44、45では、クロムの含有率は、5重量%である。コバルトを含むサンプル6、13、57、59では、コバルトの含有率は、2重量%、4重量%、15重量%、17重量%のいずれかである。
サンプル1〜66において、拡散層352から放電部材351の放電面351Bまでの距離D1は、0.09mm、0.1mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.27mm、0.3mm、0.38mmのいずれかである。また、ギャップ長Gは、0.4mm、0.8mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mmのいずれかである。また、拡散層352の厚さD2は、0.001mm、0.002mm、0.004mm、0.005mm、0.007mm、0.008mm、0.009mm、0.012mm、0.017mm、0.022mm、0.027mm、0.047mm、0.065mm、0.075mmのいずれかである。
なお、サンプル1〜66のそれぞれについて、対応する比較サンプルを準備した。図4は、比較サンプルの説明図である。図4には、比較サンプルの先端近傍を、軸線CLを含む断面で切断した断面図が示されている。図4に示すように、比較サンプルでは、対応するサンプルの放電部材351と同一の組成を有し、対応するサンプルのクラッド電極35全体と同一の形状およびサイズを有する電極チップ355が準備された。そして、該電極チップ355を、対応するサンプルのクラッド電極35に代えて、接地電極母材31に抵抗溶接することによって、比較サンプルが作成された。比較サンプルの電極チップ355以外の構成、例えば、ギャップ長G、突出長さD4は、サンプル1〜66のうちの対応するサンプルと同一である。
評価試験では、各サンプルおよび比較サンプルを3気筒、排気量0.66Lのガソリンエンジンにそれぞれ搭載して、耐久試験を行った。耐久試験では、スロットルを全開にして、6000rpmの回転速度での1分間の運転と、1分間のアイドリング状態での運転と、を150時間に亘って繰り返した。その後、さらに、スロットル全開、かつ、回転速度6000rpmで100時間に亘って運転した。なお、このガソリンエンジンは、スロットルを全開にした場合に、熱電対を接地電極内に取り付けた以外は、試験に用いたものと同等形状のスパークプラグを用いたときに、スパークプラグの先端(接地電極30の先端)から主体金具との接合面側に1mm離れた位置の温度が摂氏1000度に達するように、燃料の噴射量などの条件が調整されている。
耐久試験後の各サンプルの放電部材351および比較サンプルの電極チップ355について、CTスキャナー(東芝ITコントロールシステム株式会社製TOSCANER−32250μhd)を用いて、試験前の体積に対する試験後の体積の減少量(以下、消耗体積と呼ぶ)を測定した。そして、対応する比較サンプルの電極チップ355の消耗体積を1とした場合における放電部材351の消耗体積が、各サンプルの消耗体積として算出された。そして、消耗体積が0.95以下であるサンプルの耐消耗性の評価を「C」とし、消耗体積が0.9以上0.95未満であるサンプルの耐消耗性の評価を「B」とし、消耗体積が0.9未満であるサンプルの耐消耗性の評価を「A」とした。A、B、Cの順に耐消耗性が優れている。
さらに、耐久試験後の各サンプルおよび比較サンプルの接地電極30を、軸線CLを含む断面で切断し、当該断面において酸化スケールの発生割合を測定した。
先ず、比較サンプルについて説明する。図4の比較サンプルの断面では、太い実線で示す酸化スケールOSが発生しているものとして説明する。図4の断面において、酸化スケールOSは、電極チップ355の先端面355Aと、接地電極母材31と、の間の全長R1の界面に発生している。この界面上にて、酸化スケールOSが発生している部分の長さL0が測定された。長さL0は、図4の例では、L01とL02との合計である(L0=L01+L02)そして、界面の全長R1に対する酸化スケールが発生している部分の長さL0の割合(L0/R1)が、比較サンプルの酸化スケール発生割合SR0として算出された。
次に、各サンプルについて説明する。サンプルごとに、放電部材351と中間部材353との間の酸化スケール発生割合SR1と、中間部材353と接地電極母材31との間の酸化スケール発生割合SR2と、が測定された。具体的には、放電部材351の先端面351Aと拡散層352の先端面352Aとの間に酸化スケールが発生している部分の長さL1(図示省略)が測定された。そして、界面の全長R1に対する長さL1が、各サンプルの酸化スケール発生割合SR1として算出された(SR1=(L1/R1))。さらに、中間部材353と接地電極母材31との間の界面において、酸化スケールが発生している部分の長さL2(図示省略)が測定された。そして、界面の全長R1に対する長さL2が、各サンプルの酸化スケール発生割合SR2として算出された(SR2=(L2/R1))。
そして、対応する比較サンプルの酸化スケール発生割合SR0を1とした場合における酸化スケール発生割合SR1が、各サンプルの耐剥離性1の評価値E1として算出された。耐剥離性1は、放電部材351と中間部材353との間の耐剥離性を意味する。また、対応する比較サンプルの酸化スケール発生割合SR0を1とした場合における酸化スケール発生割合SR2が、各サンプルの耐剥離性2の評価値E2として算出された。耐剥離性2は、中間部材353と接地電極母材31との間の耐剥離性を意味する。
評価値E1が0.95以上、または、酸化スケール発生割合SR1が0.5以上であるサンプルの耐剥離性1の評価を「C」とし、評価値E1が0.9以上0.95未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「B」とし、評価値E1が0.85以上0.9未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「A」とした。評価値E1が0.5以上0.85未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「S」とし、評価値E1が0.3以上0.5未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「SS」とし、評価値E1が0.3未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「SSS」とした。SSS、SS、S、A、B、Cの順で放電部材351と中間部材353との間の耐剥離性が優れている。
さらに、評価値E2が0.95以上、または、酸化スケール発生割合SR2が0.5以上であるサンプルの耐剥離性2の評価を「C」とし、評価値E2が0.8以上0.95未満、かつ、酸化スケール発生割合SR2が0.5未満であるサンプルの耐剥離性2の評価を「B」とし、評価値E2が0.8未満、かつ、酸化スケール発生割合SR1が0.5未満であるサンプルの耐剥離性1の評価を「A」とした。A、B、Cの順で、中間部材353と接地電極母材31との間の耐剥離性が優れている。
評価試験の結果は、表1〜表4に示すとおりである。拡散層352の厚さD2が0.002mm以上0.065mm以下の範囲にないサンプル7、8は、放電部材351の材料が、上記(1)〜(3)を満たし、かつ、中間部材353の材料が、上記(4)〜(6)を満たしているにも関わらず、耐消耗性の評価、および、耐剥離性1の評価は、「C」であった。これは、上述したように、熱応力による剥離、または、拡散の進行による拡散層352の厚さの増大を抑制できないためであると考えられる。
放電部材351が上記(1)〜(3)のいずれかを満たしていないサンプル1、2、4、5、9〜12では、耐消耗性の評価、および、耐剥離性1の評価は、「C」であった。特に、サンプル1、4、9、11、12では、拡散層352の厚さD2が0.002mm以上0.065mm以下の範囲内にあり、かつ、中間部材353が上記(4)〜(6)を満たしているにも関わらず、耐消耗性の評価、および、耐剥離性1の評価は、「C」であった。これは、例えば、放電部材351が純白金であるサンプル1では、上述の白金の粒界割れによる拡散層352の増大を抑制できないからであると考えられる。また、放電部材351において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が92重量%未満であるサンプル2、4、5、9〜12は、耐酸化性に劣る元素(例えばイリジウム)の割合の増加や、拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制できないためであると考えられる。
中間部材353が上記(4)〜(6)のいずれかを満たしていないサンプル2、3、4、5、6、13では、耐消耗性、耐剥離性1、耐剥離性2のうちの少なくとも1個の評価が、「C」であった。例えば、中間部材353がニッケルを含まないサンプル2、5、6では、いずれも耐剥離性2の評価は、「C」であった。これは、中間部材353がニッケルを含まないために、ニッケルを主成分とする接地電極母材31と中間部材353との間の熱応力を十分に低減できないためであると考えられる。また、中間部材353が白金を含まないサンプル3では、耐剥離性1の評価は、「C」であった。これは、中間部材353が白金を含まないために、中間部材353と放電部材351との間の熱応力を十分に低減できないためであると考えられる。さらに、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が85重量%未満であるサンプル2、5、13では、いずれも、耐消耗性および耐剥離性1の評価は、「C」であった。特に、サンプル13では、放電部材351が上記(1)〜(3)を満たし、かつ、中間部材353が上記(4)、(5)を満たし、かつ、拡散層352の厚さD2が0.002mm以上0.065mm以下の範囲内にあるにも関わらずに、耐消耗性および耐剥離性1の評価は、「C」であった。これは、中間部材353において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が85重量%未満であるために、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制することができないためであると考えられる。また、中間部材353において、白金とニッケルのいずれの含有率も50重量%未満であるサンプル5では、耐消耗性、耐剥離性1、耐剥離性2のいずれの評価も「C」であった。これは、上述した拡散層352の脆化や熱伝導率の低下を抑制することができないためであると考えられる。
一方で、放電部材351が上記(1)〜(3)を満たし、かつ、中間部材353が上記(4)〜(6)を満たし、かつ、拡散層352の厚さD2が0.002mm以上0.065mm以下の範囲内にあるサンプル14〜66では、耐消耗性、耐剥離性1、耐剥離性2のいずれの評価も「B」以上であった。
以上の説明から解るように、放電部材351が上記(1)〜(3)を満たし、かつ、中間部材353が上記(4)〜(6)を満たし、かつ、拡散層352の厚さD2が0.002mm以上0.065mm以下である場合には、スパークプラグ100の耐消耗性と耐剥離性とを両立できることが確認できた。
サンプル14〜66のうち、さらに、以下の(7)〜(10)のうちの1個以上を満たすサンプルでは、放電部材351と中間部材353との間の耐剥離性がさらに向上することが解った。
(7)拡散層352の厚さは、0.005mm以上0.065mm以下である。
(8)拡散層352と放電部材351の放電面351Bとの間の距離D1と、ギャップの長さGは、D1≧0.1mm、かつ、(D1/G)≧0.1である。
(9)放電部材351において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上である。
(10)中間部材353において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上である。
なお、サンプル14〜66のうち、上記(7)を満たすサンプルは、14、15、24〜26、28、30〜36、38、39、41〜43、48、50、51、55〜66である。サンプル14〜66のうち、上記(8)を満たすサンプルは、サンプル16〜43、47、51〜59、61〜66である。サンプル14〜66のうち、上記(9)を満たすサンプルは、サンプル14〜18、20〜48、52〜55、58〜66である。サンプル14〜66のうち、上記(10)を満たすサンプルは、サンプル14〜31、33〜43、46、47、52〜59、61〜66である。
例えば、サンプル14〜66のうち、上記(7)〜(10)のうちの1つも満たさないサンプル49の耐剥離性1の評価は、「B」であった。これに対して、サンプル14〜66のうち、上記(7)〜(10)のうちの1つだけを満たすサンプル44、45、50の耐剥離性1の評価は、「A」であった。また、サンプル14〜66のうち、上記(7)〜(10)のうちの2つを満たすサンプル19、46、48、51、60の耐剥離性1の評価は、「S」であった。また、サンプル14〜66のうち、上記(7)〜(10)のうちの3つを満たすサンプル14〜18、20〜23、27、29、32、37、40、47、52〜54、56、57の耐剥離性1の評価は、「SS」であった。そして、サンプル14〜66のうち、上記(7)〜(10)のうちの全てを満たすサンプル24〜26、28、30、31、33〜36、38、39、41〜43、55、58、59、61〜66の耐剥離性1の評価は、「SSS」であった。
以上のことから、上記(7)〜(10)の少なくとも1つを満たすことが、さらに、好ましいことが確認できた。こうすれば、放電部材351と中間部材353との間の耐剥離性がさらに向上することができる。
さらに、サンプル14〜66のうち、上述したΔW(Ni)が、2.5未満であるサンプル16〜20、44、47、58、60の耐剥離性2の評価は、「B」であった。そして、ΔW(Ni)が、2.5以上であるサンプル14、15、21〜43、45、46、48〜57、59、61〜66の耐剥離性2の評価は、「A」であった。
以上のことから、ΔW(Ni)が、2.5以上であること、すなわち、中間部材353において、ニッケルの含有率は、放電部材351におけるニッケルの含有率より2.5 重量%以上高いことが、さらに好ましいことが確認できた。こうすれば、中間部材353と接地電極母材31との間の耐剥離性をさらに向上することができる。
さらに、サンプル14〜66のうち、放電部材351において、白金とロジウムとの含有率の合計が88重量%未満、または、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が96重量%未満であるサンプル19、42、49〜51、56、57、65、66の耐消耗性の評価は、「B」であった。放電部材351において、白金とロジウムとの含有率の合計が88重量%以上、かつ、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が96重量%以上であるサンプル14〜18、20〜41、43〜48、52〜55、58〜64の耐消耗性の評価は、「A」であった。
以上のことから、放電部材351において、白金とロジウムとの含有率の合計が88重量%以上であり、かつ、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計が96重量%以上であることが、さらに好ましいことが確認できた。こうすれば、放電部材において、耐消耗性に優れた白金と、その白金の粒成長を抑制するロジウム以外の成分を低減することによって、スパークプラグの耐消耗性をさらに向上することができる。
C.変形例:
(a)上記実施形態では、接地電極30と、中心電極20とは、スパークプラグ100の軸線CLの方向に対向して、火花放電を発生させるためのギャップ(間隙)を形成している。これに代えて、接地電極30と中心電極20とは、軸線CLとは垂直な方向に対向して、火花放電を発生させるためのギャップを形成してもよい。
(b)上記実施形態では、クラッド電極35は、接地電極30に用いられているが、クラッド電極35は、中心電極20に用いられても良い。すなわち、クラッド電極35が、中心電極20の脚部25の先端面に抵抗溶接されていても良い。
(c)上記実施形態のスパークプラグ100の一般的な構成、例えば、主体金具50、中心電極20、絶縁碍子10の材質は、様々に変更可能である。また、主体金具50、中心電極20、絶縁碍子10の細部の寸法は、様々に変更可能である。例えば、主体金具50の材質は、亜鉛めっきまたはニッケルめっきされた低炭素鋼でも良いし、めっきがなされていない低炭素鋼でも良い。また、絶縁碍子10の材質は、アルミナ以外の様々な絶縁性セラミックスでもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
5...ガスケット、6...リング部材、8...板パッキン、9...タルク、10...絶縁碍子、12...貫通孔、13...脚長部、15...段部、16...段部、17...先端側胴部、18...後端側胴部、19...鍔部、20...中心電極、21...中心電極本体、21A...電極母材、21B...芯部、23...頭部、24...鍔部、25...脚部、27...溶融部、29...中心電極チップ、29A...放電面、30...接地電極、31...接地電極母材、35...クラッド電極、40...端子金具、41...キャップ装着部、42...鍔部、43...脚部、50...主体金具、51...工具係合部、52...取付ネジ部、53...加締部、54...座部、56...段部、58...圧縮変形部、59...挿入孔、60...導電性シール、70...抵抗体、80...導電性シール、100...スパークプラグ、351...放電部材、352...拡散層、353...中間部材

Claims (7)

  1. 軸線方向に延びる中心電極と、
    前記中心電極との間でギャップを形成する接地電極と、
    を備え、
    前記中心電極と前記接地電極のうち少なくとも一方は、
    電極母材と、
    前記ギャップを形成する放電面を有する放電部材と、
    前記放電部材と前記電極母材との間に配置された中間部材と、
    前記放電部材と前記中間部材との間に形成された拡散層と、
    を備えるスパークプラグであって、
    前記電極母材は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含み、
    前記放電部材は、45重量%以上の白金(Pt)と、ニッケルとロジウム(Rh)とのうちの少なくとも一方と、を含み、
    前記中間部材は、白金とニッケルとを含み、
    前記放電部材において、最も含有率が高い成分は、白金であり、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、92重量%以上であり、
    前記中間部材において、白金とニッケルとのうちの一方の含有率は、50重量%以上であり、ニッケルの含有率は、放電部材におけるニッケルの含有率より高く、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、85重量%以上であり、
    前記拡散層の厚さは、0.002mm以上0.065mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグであって、
    前記拡散層の厚さは、0.005mm以上0.065mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。
  3. 請求項1または2に記載のスパークプラグであって、
    前記拡散層と前記放電部材の前記放電面との間の距離をD1とし、
    前記ギャップの長さをGとするとき、
    D1≧0.1mm、かつ、(D1/G)≧0.1を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のスパークプラグであって、
    前記放電部材において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスパークプラグであって、
    前記中間部材において、白金とロジウムとニッケルとの含有率の合計は、96重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のスパークプラグであって、
    前記中間部材において、ニッケルの含有率は、前記放電部材におけるニッケルの含有率より2.5重量%以上高いことを特徴とする、スパークプラグ。
  7. 請求項4に記載のスパークプラグであって、
    前記放電部材において、白金とロジウムとの含有率の合計は、88重量%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
JP2016012657A 2016-01-26 2016-01-26 スパークプラグ Active JP6328158B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016012657A JP6328158B2 (ja) 2016-01-26 2016-01-26 スパークプラグ
CN201680080243.8A CN108604779B (zh) 2016-01-26 2016-10-17 火花塞
US16/072,425 US10312669B2 (en) 2016-01-26 2016-10-17 Spark plug
PCT/JP2016/004601 WO2017130247A1 (ja) 2016-01-26 2016-10-17 スパークプラグ
KR1020187021357A KR20180096777A (ko) 2016-01-26 2016-10-17 스파크 플러그
DE112016006310.5T DE112016006310B4 (de) 2016-01-26 2016-10-17 Zündkerze

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016012657A JP6328158B2 (ja) 2016-01-26 2016-01-26 スパークプラグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017134946A JP2017134946A (ja) 2017-08-03
JP6328158B2 true JP6328158B2 (ja) 2018-05-23

Family

ID=59398786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016012657A Active JP6328158B2 (ja) 2016-01-26 2016-01-26 スパークプラグ

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10312669B2 (ja)
JP (1) JP6328158B2 (ja)
KR (1) KR20180096777A (ja)
CN (1) CN108604779B (ja)
DE (1) DE112016006310B4 (ja)
WO (1) WO2017130247A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102018105928B4 (de) * 2018-03-14 2020-06-18 Federal-Mogul Ignition Gmbh Verfahren zum Herstellen einer Elektrodenanordnung für eine Zündkerze
WO2022234492A1 (en) * 2021-05-04 2022-11-10 Federal-Mogul Ignition Gmbh Spark plug electrode and method of manufacturing the same
AT526189A1 (de) 2022-05-25 2023-12-15 Swacrit Systems Gmbh Verfahren zur Herstellung einer Elektrode für eine Zündvorrichtung

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4540910A (en) 1982-11-22 1985-09-10 Nippondenso Co., Ltd. Spark plug for internal-combustion engine
JPS5994391A (ja) * 1982-11-22 1984-05-31 株式会社デンソー 内燃機関用点火プラグ
JPS59160988A (ja) * 1983-03-02 1984-09-11 日本特殊陶業株式会社 スパ−クプラグ
JPS6355879A (ja) * 1986-08-26 1988-03-10 日本特殊陶業株式会社 スパ−クプラグにおける電極
JP3301094B2 (ja) 1991-12-13 2002-07-15 株式会社デンソー 内燃機関用スパークプラグおよびその製造方法
JP3724815B2 (ja) 1992-08-12 2005-12-07 株式会社デンソー 内燃機関用スパークプラグ
GB2269632B (en) 1992-08-12 1996-04-17 Nippon Denso Co Method of manufacturing a discharge electrode assembly or a spark plug
US7165403B2 (en) * 2004-07-28 2007-01-23 Ford Global Technologies, Llc Series/parallel turbochargers and switchable high/low pressure EGR for internal combustion engines
US7150252B2 (en) * 2005-03-23 2006-12-19 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Spark plug and internal combustion engine equipped with the spark plug
EP2270937B1 (en) * 2008-04-24 2016-06-08 NGK Spark Plug Co., Ltd. Spark plug
US8648519B2 (en) 2008-11-21 2014-02-11 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Spark plug for internal combustion engine
EP2738890A4 (en) 2011-07-28 2015-04-01 Tanaka Precious Metal Ind PLATED ELECTRODE FOR A SPARK PLUG AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
CN202495679U (zh) 2012-03-31 2012-10-17 株洲湘火炬火花塞有限责任公司 一种贵金属火花塞片式侧电极点火端
US8869536B2 (en) * 2012-07-26 2014-10-28 General Electric Company Liner stop for turbine system combustor
US9368943B2 (en) * 2013-03-12 2016-06-14 Federal-Mogul Ignition Company Spark plug having multi-layer sparking component attached to ground electrode
JP5978250B2 (ja) 2014-06-03 2016-08-24 日本特殊陶業株式会社 スパークプラグ用の電極チップ及びスパークプラグ
JP6560041B2 (ja) 2015-07-09 2019-08-14 株式会社山平 上衣
JP6320354B2 (ja) 2015-09-01 2018-05-09 日本特殊陶業株式会社 スパークプラグ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017134946A (ja) 2017-08-03
CN108604779A (zh) 2018-09-28
CN108604779B (zh) 2020-12-04
WO2017130247A1 (ja) 2017-08-03
US20180366918A1 (en) 2018-12-20
KR20180096777A (ko) 2018-08-29
DE112016006310B4 (de) 2023-12-28
DE112016006310T5 (de) 2018-10-11
US10312669B2 (en) 2019-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5341752B2 (ja) 内燃機関用スパークプラグ及びその製造方法
JP5978348B1 (ja) スパークプラグ
US8410673B2 (en) Spark plug having a ground electrode of specific alloy composition to which a noble metal tip is joined
JP5619843B2 (ja) スパークプラグ
JP6328158B2 (ja) スパークプラグ
JP2008053017A (ja) 内燃機関用スパークプラグ
JP2019079792A (ja) 内燃機関用の点火プラグ
JP2008053018A (ja) 内燃機関用スパークプラグ
JP5325947B2 (ja) スパークプラグ
JP4944433B2 (ja) スパークプラグ
JP5815649B2 (ja) スパークプラグ
EP2579401A1 (en) Spark plug
JP6061307B2 (ja) スパークプラグ
JP4746707B1 (ja) スパークプラグ
WO2021161845A1 (ja) スパークプラグ用貴金属チップ、スパークプラグ用電極及びスパークプラグ
CN103354965B (zh) 火花塞
JP2003105467A (ja) スパークプラグ
JP6456343B2 (ja) 点火プラグ
JP5750490B2 (ja) スパークプラグ
JP4981473B2 (ja) 内燃機関用スパークプラグ
JP6653785B2 (ja) 点火プラグ
JP2004265857A (ja) スパークプラグ
JP6280899B2 (ja) スパークプラグ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6328158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250