以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、外壁パネルを縦向き状態で輸送する際に用いられる外壁パネル用の輸送用架台に、本発明の足場付き輸送用架台を適用している。以下においてはまず、輸送用架台の構成について図1〜図3を用いながら説明する。図1は輸送用架台を示す正面図であり、図2は輸送用架台を示す側面図であり、図3は輸送用架台を示す平面図である。
図1〜図3に示すように、輸送用架台11は直方体状に形成され、その平面視において長方形状をなしている。輸送用架台11は、その四隅に配設された複数の柱材12と、隣り合う柱材12の下端部の間に架設された下梁材13と、隣り合う柱材12の上端部の間に架設された上梁材14とを有する。柱材12と下梁材13と上梁材14とはいずれも角形鋼管よりなり、溶接により互いに連結されている。
輸送用架台11では、四辺に配された各下梁材13を含んで矩形のベース部16が構成されている。また、輸送用架台11では、隣り合う一対の柱材12と、それら一対の柱材12の間に架設された下梁材13及び上梁材14とを含んで側枠部17,18が構成されている。側枠部17,18は、ベース部16の四辺(各端辺部)においてそれぞれ立設され、それら側枠部17,18のうち、側枠部17がベース部16の短辺部にて立設され、側枠部18がベース部16の長辺部にて立設されている。
ベース部16上において各側枠部17,18により囲まれた内側は外壁パネルK(図1の二点鎖線参照)を収容する収容領域21となっている。本輸送用架台11では、この収容領域21において、複数の外壁パネルKを縦向き状態で厚み方向に並べて収容することが可能となっている。この場合、各外壁パネルKが並べられるパネル並び方向は輸送用架台11の(平面視)短手方向となっている。つまり、各外壁パネルKは、その幅方向(パネル幅方向)を輸送用架台11の(平面視)長手方向に向けて収容領域21に収容されるようになっている。なお、図示は省略するが、外壁パネルKは、外壁面材と、その裏面側に固定された下地フレームとを有してなる。また、外壁パネルKが「パネル」および「建材」に相当する。
ベース部16には、各下梁材13の上に跨がってベースプレート22が設けられている。ベースプレート22は平板状の鋼板からなり、各下梁材13に溶接により固定されている。ベースプレート22の上面には、輸送用架台11の長手方向に沿って延びる複数の長尺部材23が所定の間隔で設けられている。各長尺部材23は、例えば断面L字の鋼材よりなる。これらの長尺部材23は、ベース部16上にて長尺部材23に沿って配設される外壁パネルKの下端部を固定したり、当該下端部の位置規制をしたりするために用いられる。
短辺側の各側枠部17には、各柱材12の下端側に2つの梁材25,26が架設されている(図1参照)。これらの梁材25,26はいずれも角形鋼管よりなる。各梁材25,26のうち上側の梁材25と上梁材14との間には、複数の縦材27が所定の間隔で上下に架け渡されている。これらの縦材27も角形鋼管よりなる。各縦材27には、それぞれスライド部材28が設けられている。スライド部材28は、縦材27に沿って上下スライド可能とされ、かつスライド範囲内の任意の位置で縦材27に固定することが可能となっている。
対向する各側枠部17のスライド部材28の間には、長尺状の架設部材29が架け渡されて設けられている(図3参照)。架設部材29は、角形鋼管よりなり、その両端部がそれぞれスライド部材28に固定されている。架設部材29は、所定の間隔で複数配置されている。なお、図3では便宜上、架設部材29を二点鎖線で示している。
各架設部材29には、外壁パネルKの上端部を固定するためのパネル固定部32が設けられている。このパネル固定部32に外壁パネルKの上端部を固定し、かつ、上述した長尺部材23に外壁パネルKの下端部を固定(又は位置規制)することで、外壁パネルKを収容領域21にて縦向き状態で収容(支持)することが可能となっている。また、パネル固定部32は、架設部材29に沿ってスライド可能とされ、かつスライド範囲内の任意の位置で架設部材29に固定することが可能となっている。これにより、各種幅の外壁パネルKに対応することが可能となっている。また、各スライド部材28を縦材27に沿って上下スライドすることで、架設部材29の高さ位置を調整することが可能となっている。これにより、各種高さの外壁パネルKに対応することが可能となっている。
長辺側の各側枠部18には、各柱材12の下端側に補強枠部31が架け渡されている(図2参照)。補強枠部31は、各柱材12に架け渡された上下一対の横材31aと、それら各横材31aに上下に架設された複数の縦材31bとを有する。これら各横材31a及び縦材31bはいずれも角形鋼管よりなり、溶接により互いに固定されている。また、各横材31aはそれぞれ各柱材12に溶接により固定されている。
また、長辺側の各側枠部18には、一対の梯子部33が設けられている。各梯子部33は、側枠部18において幅方向の両端側に配置され、柱材12を用いて構成されている。具体的には、梯子部33は、柱材12と、その柱材12の近くで補強枠部31(詳しくは上側の横材31a)と上梁材14との間に架け渡された縦材35と、それら柱材12及び縦材35の間に所定の間隔(詳しくは等間隔)で架け渡された上下複数(具体的には8つ)の踏桟36とを有して構成されている。縦材35と踏桟36とはいずれも角形鋼管よりなり、各踏桟36はそれぞれ縦材35及び柱材12に溶接により固定されている。なお、柱材12及び縦材35が梯子部33における「一対の支柱」に相当する。
各梯子部33の間、詳しくは各縦材35の間には補強梁38が架設されている。補強梁38は、角形鋼管よりなり、各縦材35に溶接により固定されている。これにより、各梯子部33の補強が図られている。以上が、輸送用架台11に関する説明である。
ここで、本輸送用架台11では、側枠部17の外側に足場板39を取り付けることが可能となっている。そして、その足場板39の上で外壁パネルKの玉掛け作業をすることが可能となっている。以下においては、その足場板39を取り付けるための構成について図4及び図5に基づいて説明する。図4は(a)が輸送用架台11に足場板39が取り付けられた状態を上方から見た図であり、(b)が同状態を側方から見た図である。図5は、輸送用架台11に足場板39が取り付けられた状態を示す斜視図である。なお、図5では便宜上、輸送用架台11については梯子部33のみを示している。
図4及び図5に示すように、輸送用架台11の外側には、短辺側の側枠部17(所定の側枠部に相当)に沿って足場板39が取り付けられている。足場板39は、一対のブラケット40を介して輸送用架台11に取り付けられている。各ブラケット40は、側枠部17における幅方向の両端側にそれぞれ配置され、その配置状態で輸送用架台11の梯子部33に着脱可能に取り付けられている。そして、それら各ブラケット40に架け渡されるようにして足場板39が配設されている。なお、この場合、輸送用架台11と各ブラケット40と足場板39とを含んで「足場付き輸送用架台」が構成されている。また、各ブラケット40が「支持部材」に相当する。
以下の説明では、輸送用架台11に足場板39が取り付けられた状態で、その足場板39の幅方向(短手方向)を前後方向とし、足場板39の長さ方向(長手方向)を左右方向とする。また、足場板39の幅方向において輸送用架台11側を前側、輸送用架台11とは反対側を後側とする。また、左側及び右側については、足場板39(側枠部17)をその後側から正面視した場合を基準としていうものとする。
続いて、各ブラケット40の構成について説明する。図6は、一対のブラケット40を示す斜視図である。図6に示すように、一対のブラケット40は、基本的に同様の構成を有している。詳しくは、各ブラケット40は、左右方向において互いに対称となる構成を有している。このため、以下においては、各ブラケット40のうち、左側に配置されるブラケット40(以下、ブラケット40Aともいう)の構成についての説明を行い、右側に配置されるブラケット40(以下、ブラケット40Bともいう)についてはその説明を割愛することとする。図7は、左側のブラケット40Aの構成を示す斜視図である。図8は、(a)が当該ブラケット40Aの構成を示す正面図であり、(b)が側面図である。なお、以下の説明では、輸送用架台11に対するブラケット40Aの取付状態を基準として左右方向及び前後方向をいう。
図7及び図8に示すように、ブラケット40Aは、上下方向に延びる支柱部41を備える。支柱部41は鋼製の角パイプよりなる。支柱部41の上端部には、矩形の鋼板からなる蓋部42が固定されている。この蓋部42により支柱部41の上端開口が塞がれている。
支柱部41には、輸送用架台11の梯子部33の踏桟36に引っ掛けられる引っ掛け部43.44が設けられている。引っ掛け部43,44は、上下に所定の間隔をおいて複数(具体的には2つ)設けられている。各引っ掛け部43,44のうち、上側の引っ掛け部43は支柱部41の上端部、詳しくは蓋部42に固定されている。引っ掛け部43は、鋼板が折り曲げられることで形成され、蓋部42の上面に溶接により固定され支柱部41よりも右側に延出する水平部43aと、その水平部43aの右側端部から下方に延びる鉛直部43bとを有する。水平部43aと鉛直部43bとはいずれも断面コ字状をなしており、各々の溝部がそれぞれ上方及び右方に向いている。また、鉛直部43bは支柱部41に離間対向している。
下側の引っ掛け部44は、鋼板が略Z字状に折り曲げられることで形成されている。引っ掛け部44は、支柱部41の右側面に溶接により固定された固定部44aと、固定部44aの下端部から右側(支柱部41から離間する側)に延びる水平部44bと、水平部44bの右側端部から下方に延びる鉛直部44cとを有する。鉛直部44cは、支柱部41と離間対向しており、それら両者41,44cの間の間隔は引っ掛け部43の鉛直部43bと支柱部41との間の間隔と同じとなっている。また、各引っ掛け部43,44の間の間隔(ピッチ)L1、詳しくは各引っ掛け部43,44の水平部43a,44bの間隔(ピッチ)L1(図8(a)参照)は上下に隣り合う各踏桟36の間の間隔(ピッチ)L2(図2参照)の2倍となっている。
支柱部41には、輸送用架台11の柱材12を前後に挟むように配置される一対の挟み部46,47が設けられている。これら挟み部46,47のうち前側の挟み部46はL字状の鋼板により形成され、支柱部41の右側面に溶接により固定された固定部46aと、固定部46aの後側端部から右側に延び後側の挟み部47と前後に対向する対向部46bとを有している。
一方、後側の挟み部47は、略Z字状の鋼板により形成されている。挟み部47は、支柱部41の後側面に溶接により固定された固定部47aと、固定部47aの右側端部から後側に延びる段差部47bと、段差部47bの後側端部から右側に延び挟み部46(詳しくは対向部46b)と対向する対向部47cとを有している。
支柱部41には、その上端側にスタンション48を取り付けるためのスタンション取付部49が設けられている。スタンション取付部49は、鋼製の丸パイプからなる筒状体であり、上下に延びる向きで支柱部41の左側面に溶接により固定されている。スタンション取付部49の内部には、その下端側に支持ピン51(図8(a)参照)が固定されている。支持ピン51は、スタンション取付部49の内部において当該取付部49の径方向に延びている。
スタンション取付部49には、スタンション48を固定するための固定プレート53が設けられている。固定プレート53は、帯状の鋼板により形成され、その上端部にて下方に折り返されスタンション取付部49の周壁部49aを挟む一対の板部53a,53bを有する。これら各板部53a、53bのうち、板部53aが周壁部49aの外側に、板部53bが周壁部49bの内側に配置されている。板部53aと周壁部49aとの間にはナット54が配設されている。ナット54は板部53a及び周壁部49aにそれぞれ溶接により固定されている。ナット54には、板部53aを介してボルト55が螺合されている。ボルト55は、その先端部がスタンション取付部49の周壁部49aを貫通して、板部53bに当接している。
スタンション取付部49には、その上方からスタンション48が挿入されて取り付けられる(図6の一点鎖線参照)。スタンション48は、上下に延びる丸パイプにより形成され、その上端部にリング部48aが固定されている。このリング部48aには、足場板39上で作業を行う作業者に取り付けられる安全帯を繋げることが可能となっている。
スタンション48は、スタンション取付部49に挿入された状態で、その下端部が支持ピン51により支持され、その支持状態でスタンション取付部49に固定プレート53を用いて固定される。この場合、ボルト55をナット54に締め付けてボルト先端を固定プレート53の板部53bに押し付けることで、その板部53bをスタンション48に押し付けて当該スタンション48を固定する。
支柱部41の下端部には、連結材57を介して足場板39を支持する支持部58が固定されている。連結材57は鋼製の角パイプよりなり、左右に延びる向きで配設されている。連結材57は、その一端部(右側端部)が支柱部41の後側面に溶接により固定されている。連結材57の右側端部には、その後側面に規制板61が固定されている。規制板61は、平板状の鋼板よりなり、その一部が連結材57よりも右側に延出した状態で固定されている。規制板61は、挟み部47の対向部47cと上下に並んで配置され、その前側面が対向部47cの前側面と同一平面上に位置している。
支持部58は、鋼製の丸パイプにより形成され、前後に延びる向きで配設されている。支持部58は、その前側端部が連結材57の他端部(左側端部)の後側面に溶接により固定されている。支持部58には、その後側端部にストッパ板63が固定されている。ストッパ板63は、矩形平板状の鋼板よりなり、支持部58に溶接により固定されている。この場合、ストッパ板63は、その周縁部の全域が支持部58の外周面より突出している。
支柱部41と支持部58との間には、長尺の補強材65が斜めに架け渡されている。補強材65は、金属製の棒材からなり、その一端部が支柱部41の上端側に溶接により固定され、その他端部が支持部58の後端側に溶接により固定されている。
続いて、上記のブラケット40が輸送用架台11の梯子部33に取り付けられた状態の構成について図4及び図5に加え図9を用いながら説明する。図9は、ブラケット40Xが梯子部33に取り付けられた状態を示す図である。なお、図9では、梯子部33の内側(換言すると収容領域21側)からブラケット40Aの取付状態を見ている。また、図9では、梯子部33にドットハッチを付している。
図4、図5及び図9に示すように、ブラケット40は、各引っ掛け部43,44が輸送用架台11(側枠部18)の梯子部33の踏桟36にそれぞれ架台11外側から引っ掛けられることで梯子部33に取り付けられている。この取付状態では、引っ掛け部43(鉛直部43b)と支柱部41とが踏桟36を左右に挟むように配置され、引っ掛け部44(鉛直部44c)と支柱部41とが踏桟36を左右に挟むように配置されている。この場合、引っ掛け部43,44と支柱部41とが踏桟36に当接することで、ブラケット40の左右方向への位置ずれが規制されるようになっている。
ブラケット40の上記取付状態では、ブラケット40の各挟み部46,47(詳しくはそれらの対向部46b,47c)が柱材12を前後に挟むように配置されている。この場合、各挟み部46,47が柱材12に当接することで、ブラケット40の前後方向への位置ずれが規制されるようになっている。また、ブラケット40の規制板61は柱材12の後面側に配置されている。この場合、規制板61が柱材12に当接することでブラケット40の前側への位置ずれが規制されるようになっている。
各ブラケット40の上記取付状態においては、各ブラケット40の支持部58がそれぞれ側枠部17よりも後方に向けて延びており(突出しており)、互いに平行に配置されている。これら各ブラケット40の支持部58には、足場板39が架け渡されている。足場板39は、長尺板状の足場板本体39aと、その足場板本体39aの長手方向の両端部に取り付けられたフック部39bとを有する。本実施形態では、足場板39として、市場で流通する既製品(汎用品)が用いられている。足場板39は、その足場板本体39aが各支持部58の間に配設された状態で、各フック部39bが支持部58に引っ掛けられることで各支持部58に架け渡されている。この場合、足場板39は、側枠部17の幅方向全域に亘って配設されている。
足場板39が架け渡された上記の状態において、支持部58の先端部(後端部)にはストッパ板63が取り付けられているため、フック部39bが支持部58から後方へ脱落してしまうことが防止されている。また、足場板39の架け渡し状態では、足場板本体39aの長手方向の両端側に各ブラケット40の補強材65が配置されている。
次に、外壁パネルKが積み込まれた輸送用架台11をトラックの荷台に載せて施工現場へ輸送した後、輸送用架台11から外壁パネルKを荷降ろしする荷降ろし作業の手順について説明する。なおここでは、施工現場として大型トラック(例えば4t車)の入り込めない狭小地を想定しており、そのため、輸送用架台11を小型トラック(例えば2t車)の荷台に載せて施工現場へ輸送することとしている。この場合、輸送用架台11は、荷台上において、架台11の(平面視)長手方向をトラックの前後方向に向けて載せられる。換言すると、荷台上に架台11の(平面視)短手方向(さらに言い換えると、各外壁パネルKの並び方向)をトラックの幅方向に向けて載せられる。なお、小型トラックの荷台には、輸送用架台11に加え、足場板39とブラケット40とを積載しておく。
上述したように、施工現場は狭小地となっているため、輸送用架台11を降ろすスペースが存在しない。このため、施工現場では、輸送用架台11を小型トラックの荷台に載せたまま、外壁パネルKの荷降ろし作業を行う。荷降ろし作業に際してはまず、輸送用架台11にブラケット40を取り付ける作業を行う。この作業では、ブラケット40の各引っ掛け部43,44を梯子部33の踏桟36に引っ掛けることでブラケット40を取り付ける。ブラケット40を取付後、各ブラケット40のスタンション取付部49にスタンション48を取り付ける。
次に、各ブラケット40の支持部58に足場板39を架け渡して設置する作業を行う。この作業では、足場板39の各フック部39bを支持部58に引っ掛けることで足場板39を架け渡す。これにより、足場板39が輸送用架台11の側枠部17に沿って配設される。その後、足場板39の上に梯子部33を利用して昇り、作業者にあらかじめ取り付けられた安全帯の一端をスタンション48のリング部48aに繋げる。
なお、足場板39は輸送用架台11の各側枠部17のいずれか一方にのみ配設してもよいし両方に配設してもよい。足場板39を各側枠部17の両方に配設する場合には、それら各足場板39にそれぞれ作業者が乗って玉掛け作業を行うことになる。
次に、外壁パネルKの上端部にクレーンのフック(吊り具)を玉掛けする玉掛け作業を行う。この作業では、外壁パネルKの下地フレームの上端部に対して玉掛けを行う。玉掛け作業の後、外壁パネルKをパネル固定部32等から取り外し、同パネルKをクレーンにより上方へ吊り上げ輸送用架台11から降ろす(荷降ろす)。このようにして、残りの外壁パネルKについても順次輸送用架台11から荷降ろししていく。
すべての外壁パネルKの荷降ろしが済んだら、輸送用架台11から足場板39と各ブラケット40とを取り外す。これにより、一連の荷降ろし作業が終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
輸送用架台11の各側枠部18(具体的には各梯子部33)に一対のブラケット40(40A,40B)を着脱可能に取り付け、これら各ブラケット40を側枠部17(所定の側枠部に相当)の幅方向に互いに離間して配置した。また、かかる各ブラケット40の取付状態において、各ブラケット40の支持部58を側枠部17よりも外側(後方)に向かって突出させかつ互いに平行に配置した。そして、これら各ブラケット40の支持部58に足場板39を架け渡した状態で配設した。この場合、その足場板39の上で外壁パネルKの上端部に玉掛け作業を行うことができるため、玉掛け作業を安定した状態で行うことができる。これにより、玉掛け作業を行うにあたり安全性の向上を図ることができる。
また、足場板39を側枠部17に沿って配設したため、作業者はその足場板39の上を移動しながら各外壁パネルKに対して玉掛け作業を行うことができる。これにより、脚立を移動させながら玉掛け作業を行う場合と比べて、作業効率の向上を図ることができる。よって、この場合、玉掛け作業を行うに際し、安全性の向上と作業効率の向上とを一挙に図ることができる。
輸送用架台11の側枠部18に一対のブラケット40を取り付けて、それらブラケット40に足場板39を架け渡す構成としたため、足場板39としては既製のものを用いることができる。これにより、足場板39が長期の使用等に伴い損傷した場合には、足場板39を新しいものに交換して対応することができる。
上記の実施形態では、施工現場が狭小地であった関係で輸送用架台11をトラックの荷台に載せたまま玉掛け作業を行ったが、この場合に、仮に荷台上に脚立を置いて玉掛け作業を行うとなると、荷台上での脚立作業となって著しく不安定な状態で玉掛け作業を行うことになってしまう。この点、上記の実施形態では、荷台上での玉掛け作業を足場板39上で行うことができるため、荷台上であっても安定した状態で玉掛け作業を行うことができる。
ブラケット40に梯子部33の踏桟36に引っ掛けられる引っ掛け部43,44を設けたため、その引っ掛け部43,44を踏桟36に引っ掛けるといった簡単な作業で、ブラケット40を梯子部33(ひいては側枠部18)に取り付けることができる。これにより、ブラケット40を用いた足場板39の配設作業を容易なものとすることができる。
ブラケット40に、足場板39の幅方向(前後方向)に柱材12を挟む一対の挟み部46,47を設け、それら各挟み部46,47が柱材12に当接することでブラケット40が足場板39の幅方向に位置ずれするのを規制するようにした。これにより、外壁パネルK側に身を乗り出して玉掛け作業を行う際にも、ブラケット40が足場板39の幅方向へ位置ずれして足場板39が同方向に動いてしまうのを防止することができる。これにより、玉掛け作業をより安定した状態で行うことができる。
側枠部18に梯子部33を設け、その梯子部33の踏桟36にブラケット40(引っ掛け部43,44)を引っ掛けるようにした。この場合、足場板39への昇り降りに際し梯子部33を利用することができるため、足場板39への昇り降りをし易くすることができる。また、梯子部33の各踏桟36にそれぞれブラケット40を引っ掛け可能であるため、ブラケット40の取付位置を上下に調整することができ、ひいては足場板39の高さ位置を上下に調整することができる。これにより、作業者の身長等に応じて足場板39を適切な高さ位置に設定することができるため、足場板39上での玉掛け作業を好適に行うことができる。
ブラケット40における各引っ掛け部43,44の上下の間隔L1を、梯子部33における隣り合う踏桟36の間隔L2の2倍にした(L1=L2×2)。この場合、ブラケット40の各引っ掛け部43,44をそれぞれ踏桟36に引っ掛けることができるため、梯子部33の踏桟36を利用してブラケット40を安定した状態で輸送用架台11に取り付けることができる。
梯子部33を、足場板39の配設される側枠部17とは異なる側枠部18に設けたため、足場板39により梯子部33が上下に分断されることがない。このため、梯子部33を使った足場板39への昇り降りを好適に行うことができる。
側枠部17の幅方向の両端側にそれぞれ梯子部33(ひいては被引っ掛け部)を配置し、それら各梯子部33に対してブラケット40を取り付けた。この場合、各ブラケット40の支持部58に架け渡される足場板39を側枠部17の幅方向全域に亘って配設することができるため、各外壁パネルKに対する玉掛け作業をそれぞれ好適に行うことができる。
ブラケット40の支柱部41と支持部58との間に補強材65を斜めに架け渡したため、その補強材68により支持部58を補強することができる。これにより、足場板39上の作業者の荷重により支持部58が下方に撓むのを抑制することができる。また、この場合、各ブラケット40の補強材65が足場板本体39aの両端側にそれぞれ配置されるため、足場板本体39a(ひいては足場板39)を移動する作業者が足場板39の端部に達した場合、補強材65が作業者の脚に触れて足場板39の端部に達したことに気づくことができる。これにより、足場板39の端部にて足場板39を踏み外してしまうことを抑制することができる。よって、この場合、支持部58の強度を高めながら、足場板39からの踏み外しを抑制することができる。
ブラケット40に、スタンション48が取り付けられるスタンション取付部49を設けたため、スタンション48を利用して足場板39の上で作業を行う作業者の安全性を確保することができる。例えば、作業者に取り付けられる安全帯の一端をスタンション48のリング部48aに繋げることで、作業者の足場板39からの落下防止を図ることができる。
側枠部18において対向する各柱材12の間に補強枠部31を架け渡し、その補強枠部31と上梁材14との間に梯子部33を架け渡した。この場合、梯子部33にブラケット40を介して作用する足場板39上の作業者の荷重を補強枠部31により受けることができる。これにより、作業者の荷重を安定した状態で支えることができる。
輸送用架台11の各側枠部17,18のうち、各外壁パネルKの幅方向の両側に位置する短辺側の側枠部17に沿って足場板39を配設するようにした。この場合、足場板39上から各外壁パネルKにそれぞれ同じように手を届かせることができるため、各外壁パネルKのそれぞれに対して好適に玉掛け作業を行うことができる。
トラックの荷台上においては輸送用架台11がその長手方向をトラックの前後方向に向けて配置されるため、長辺側の各側枠部18が荷台幅方向の両側に位置することとなる。ここで、仮に長辺側の側枠部18に沿って足場板39を配設するようにすると、荷台上で輸送用架台11に足場板39を取り付けて玉掛け作業を行う場合に、足場板39が荷台から側方に突出してしまうことが想定される。このため、狭小地では、足場板39を取り付けることができないといった不都合が生じるおそれがある。この点、上記の実施形態では、短辺側の側枠部17に沿って足場板39を配設するようにしたため、狭小地であっても足場板39を取り付けることができ足場板39上での玉掛け作業が可能となる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、ブラケット40に梯子部33の踏桟36に引っ掛け可能な引っ掛け部43,44を上下に2つ設けたが、かかる引っ掛け部を上下に3つ以上設けてもよい。また、ブラケット40に引っ掛け部を1つだけ設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、各引っ掛け部43,44の間隔L1を踏桟36の間隔L2の2倍に設定したが、L1をL2の3倍又は4倍に設定してもよい。また、L1をL2と同じ間隔に設定してもよい。これらの場合にも、L1がL2の整数倍となるため、各引っ掛け部43,44をそれぞれ踏桟36に引っ掛けることができる。
・上記実施形態では、引っ掛け部43,44を梯子部33の踏桟36(被引っ掛け部に相当)に引っ掛けるようにしたが、引っ掛け部43,44を踏桟36以外のものに引っ掛けるようにしてもよい。例えば、輸送用架台11の側枠部17,18に、引っ掛け部43,44を引っ掛けるための専用の横材(被引っ掛け部に相当)を設け、その横材に引っ掛け部43,44を引っ掛けるようにしてもよい。
・ブラケット40は、必ずしも引っ掛け部43,44を用いて輸送用架台11(側枠部)に取り付ける必要はなく、他の取付態様で取り付けてもよい。例えば、ブラケット40を、ボルト及びナットを用いて輸送用架台11に取り付けることが考えられる。その場合にも、ブラケット40を輸送用架台11に着脱可能に取り付けることが可能となる。
・上記実施形態では、長辺側の各側枠部18においてその幅方向の両端側にそれぞれ梯子部33を設けたが、長辺側の各側枠部18において幅方向のいずれかの端部側にのみ梯子部33を設けるようにしてもよい。その場合にも、それらの梯子部33を利用して足場板39をいずれかの側枠部17に沿って配設することが可能となる。
・上記実施形態では、輸送用架台11において長辺側の側枠部18に梯子部33を設けたが、短辺側の側枠部17に梯子部33を設けてもよい。例えば、側枠部17において幅方向の両端側にそれぞれ梯子部33を設けることが考えられる。この場合にも、ブラケット40の各引っ掛け部43,44をかかる梯子部33(踏桟36)に引っ掛けられるようにすれば、ブラケット40を梯子部33(ひいては側枠部17)に取り付けることができる。但し、この場合、各ブラケット40に架け渡される(換言すると側枠部17に沿って配設される)足場板39により梯子部33が上下に分断されるため、梯子部33を用いた足場板39への昇り降りが大変になるおそれがある。そのため、この点を鑑みると、梯子部33は足場板39が配設される側枠部17とは異なる側枠部18に配置するのが望ましい。
・工場等で輸送用架台11に外壁パネルKを積み込む際には、外壁パネルKを架台11に積み込んだ後、外壁パネルKの上端部に掛けられたクレーンのフックを外す作業を行うことになる。つまり、この場合にも玉掛け作業が発生する。そこで、この作業を行う際に、輸送用架台11に足場板39を取り付けて当該作業を行ってもよい。
・上記実施形態では、輸送用架台11をトラックの荷台に載せたまま外壁パネルKの荷降ろし作業を行ったが、施工現場に輸送用架台11を降ろす空きスペースが存在する場合には輸送用架台11をその空きスペースに降ろしてから荷降ろし作業を行ってもよい。その場合、その空きスペース上の輸送用架台11に足場板39を取り付けて玉掛け作業を行うこととなる。
・上記実施形態では、輸送用架台11を施工現場へ外壁パネルKを輸送する際に用いたが、例えば製造工場内で外壁パネルKを搬送する(移動させる)際に輸送用架台11を用いてもよい。また、外壁パネルKを保管する際に輸送用架台11を用いてもよい。それらの場合にも、輸送用架台11への外壁パネルKの積み降ろしに際しては玉掛け作業が発生するため、その作業時には輸送用架台11に足場板39を取り付けることで当該作業を好適に行うことができる。
・上記実施形態では、外壁パネルを輸送する外壁パネル用の輸送用架台に本発明の足場付き輸送用架台を適用したが、内壁パネルや腰壁パネル等、他の壁パネルを輸送する輸送用架台に本発明を適用してもよい。また、天井パネルや床パネル等、壁パネル以外のパネルを輸送用架台により縦向き輸送する場合に、その輸送用架台に対して本発明を適用してもよい。さらに、パネルに限らず、梁や柱といった長尺状の建材を輸送用架台を用いて縦向きで輸送する際に、その輸送用架台に本発明を適用してもよい。それらの場合にも、輸送用架台に足場板を取り付けることで、玉掛け作業を好適に行うことが可能となる。