以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態である二重容器100の構成を示す正面一部断面図である。二重容器100は、二重容器本体2、キャップ本体10、中栓20、蓋体50、及びシュリンクフィルム60で構成されている。また、二重容器本体2は、内層体3、及び外層体4で構成されている。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、後述する蓋体50が位置する側を上方(図1(a)における上側)とし、二重容器本体2の底部が位置する側を下方(図1(a)における下側)とする。
まず、二重容器本体2について説明する。本実施形態では、二重容器本体2は、内層体3の合成樹脂素材と外層体4の合成樹脂素材とを積層して形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形作っている。そして、二重容器本体2を構成する内層体3の材料にはエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)又はナイロンを用いている。内層体3にEVOHを用いる場合には、EVOHの内側にポリエチレン樹脂やアドマー(登録商標)等の変性ポリオレフィン樹脂を更に積層して内層体3を形成してもよい。また、外層体4の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いており、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形成する場合には、内層体3の材料にはポリプロピレン(PP)を用い、外層体4の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。また、内層体3及び外層体4の材料には、相互に相溶性が低い他の樹脂を用いることができる。更に、二重容器本体2は、積層剥離容器ではなく、外層体4と内層体3とを個別に形成して組み付けるものであってもよい。また、図示は省略するが、内層体3と外層体4との間に、上下方向に延在して内層体3と外層体4とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
内層体3は、減容変形可能に形成されるものであって、本実施形態では、積層状態で形成された二重容器本体2に対し、外層体4から剥離させることで得られるものである。内層体3は、その内側に内容物を収容する収容空間Sと、この収容空間Sにつながる上部開口3aを備えている。
外層体4は、円筒状の口部周壁4a(口部)と、該口部周壁4aに連なり下方に向かって拡径する拡径部と、該拡径部に連なり円筒状をなす、復元自在な可撓性を有する胴部と、該胴部の下端を閉鎖する底部とを連結したものである。口部周壁4aの外周面には雄ねじ部4bを設けている。また、口部周壁4aには、内層体3との相互間に空気を取り込むための貫通孔4cを設けていて、更に、貫通孔4cを設けた外周面には、上下方向に雄ねじ部4bを切り欠く溝部4dを設けている。
次に、二重容器100を構成するキャップ本体10について説明する。キャップ本体10は、口部周壁4aを取り囲む外周壁11を備えていて、外周壁11の内周面には、口部周壁4aの雄ねじ部4bに対応する雌ねじ部12が形成されている。また、外周壁11の上部には、図示しない頂壁が一体に連結している。頂壁の上面には、注出筒が設けられており、注出筒の内周面には、内容物を注出する注出孔が形成されている。
キャップ本体10の外周壁11の下端部11bは、図1(a)に示すように二重容器本体2の拡径部との間に僅かな隙間Gを形成している。後述するように、二重容器100は、外周壁11に形成された外気導入溝14及びこの隙間Gを経由して、貫通孔4cから外層体4と内層体3との間の空間に外気を導入することができる。なお、本実施形態では、外周壁11が口部周壁4aの外周側を全て覆うように構成しているが、この態様には限定されず、外周壁11が口部周壁4aの一部のみを覆うように構成してもよい。
キャップ本体10の内周側には、中栓20が設けられている。中栓20は、注出孔と内層体3との間に位置し、その中央には図示しない逆止弁が設けられている。外層体4のスクイズによって内層体3内の圧力が高まると、その圧力によって逆止弁の弁体が図1(a)の上方に持ち上げられて弁座から離間し、逆止弁は開放状態となる。外層体4のスクイズが解除されると、弁体は、弁体の自重及び弁体を支持する逆止弁アームの弾性力によって再び弁座に着座し、逆止弁は閉塞する。中栓20の下面には、外層体4との間で内層体3を挟み込む環状のシール壁26が設けられている。
蓋体50は、図1(a)に示すように、ヒンジ51を介してキャップ本体10の外周壁11に連結していて、ヒンジ51で折り曲げることで、注出孔を覆い隠すことができる。より詳細には、蓋体50は、平板状の上壁52と、上壁52の縁部に連結するとともに外周壁11に連なる形状となる蓋体周壁53とを備えている。周上のヒンジ51とは対向する側の蓋体周壁53の上端には、外周方向に突出する把持部58が設けられている、利用者は、この把持部58を把持して蓋体50を上方に持ち上げて開放したり、下方に押し下げて閉塞することができる。なお、蓋体50は、ヒンジ51を設けずにキャップ本体10とは別体のものとし、ねじやアンダーカットでキャップ本体10に装着するように構成してもよい。
シュリンクフィルム60は、熱で収縮するプラスチックフィルムで形成されており、外層体4を包んで加熱することにより、外層体4の外周面に密着させている。シュリンクフィルム60は、二重容器本体2を汚れや傷から保護したり、強度や形状を維持する目的で用いられる他、シュリンクフィルム60自体に商標や需要者の注意を喚起し印象付けるデザインを印刷することによって、商品の市場価値を向上させることができる。また、図2に示すように、未使用の状態において、二重容器100の蓋体50を含めてシュリンクフィルム60で覆うことによって、バージンシール機能(未開封保証機能)を有することができる。
図1(a)に示す本実施形態において、シュリンクフィルム60は、キャップ本体10の一部、並びに外層体4の拡径部、胴部、及び底部の一部を覆っている。なお、図1(a)は、利用者がキャップ本体10の上部及び蓋体50を覆うシュリンクフィルム60を除去して、内容物を注出可能とした状態を示している。そして、シュリンクフィルム60は、前述の外周壁11の下端部11bと二重容器本体2の拡径部との隙間G部分を覆っている。本実施形態では、口部周壁4aと外周壁11との間の空間は、上端が中栓20によってシールされる一方、下端はシュリンクフィルム60によってシールされている。従って、貫通孔4cは、外周壁11に形成された外気導入溝14のみを通じて外部と連通している。外気導入溝14は外周壁11の下端部11bから外周面に沿って上方に向かって延びている。図1(a)、(b)に示すように、外気導入溝14は、上端部を除いてシュリンクフィルム60によって外側から覆われることにより、外気導入路を形成している。そして、外気導入溝14は、使用時(図1(a)の状態)におけるシュリンクフィルム60の上端部を越えて延在し、外部と連通している。また、外気導入溝14は、二重容器本体2の胴部を押圧しても、外層体4と内層体3との間の空間の空気を僅かしか外部に排出しない程度の微小な断面を有する溝である。外気導入溝14を円周上に1つのみ設ける場合、外気導入溝14の断面は、例えば幅約1.5ミリメートル未満の溝であることが望ましく、好適には1.0ミリメートル未満であるのがよい。外気導入溝14の断面が大き過ぎると、外層体4の胴部を押下しても外層体4と内層体3との間の空気が外気導入溝14から外部に多く排出されてしまい、収容空間Sへの加圧が阻害されることになる。なお、外気導入溝14は、溝の大きさ等に応じて任意の数だけ設けることができる。また、外気導入溝14を複数設ける場合は、例えば円周上に等間隔で設けることができる。しかし、これらの態様に限定されるものではない。
シュリンクフィルム60は、使用前の初期状態において、キャップ本体10全体、及び蓋体50の一部を覆っている(図2を参照)。そして、後述のように利用者が、使用時にシュリンクフィルム60のフィルム除去用ミシン目65、及びストッパ用ミシン目67aに沿ってキャップフィルム63を除去することによって、図1(a)に示すように蓋体50及びキャップ本体10の一部が露出するので(このとき、外気導入溝14の上端部も外部に露出する)、蓋体50を開放して内容物を注出孔から吐出可能な状態となる。
シュリンクフィルム60は、例えばポリスチレン(PS)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、又はポリ塩化ビニル(PVC)フィルム等によって形成することができる。
上記のように構成される二重容器100から内容物を吐出するにあたっては、利用者は、図1(a)の状態から蓋体50を開き、二重容器本体2を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体4の胴部を押圧(スクイズ)する。これにより、内層体3と外層体4との間の空気を介して収容空間Sが加圧される。なお、上述のように、外気導入溝14の断面は微小な溝であるため、外層体4の胴部を押圧しているとき、貫通孔4c及び隙間Gを経由して、外気導入溝14からは僅かな空気しか外部に排出されない。従って、外層体4を押圧しても、内層体3と外層体4との間の空気のうち、外気導入溝14から漏れ出す空気は少ないため、収容空間Sへの加圧が阻害されることはない。そして、収容空間S内の正圧が、逆止弁の弁体を持ち上げるため、内容物は逆止弁を通過して流出し、注出孔から外部に注出される。
所要量の内容物を注出した後は、利用者は外層体4の胴部への押圧を解除する。これによって収容空間S内の正圧が外気圧へと戻り、逆止弁が再び閉鎖するので、収容空間S内への外気の入り込みが防止できる。また、外層体4は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体3と外層体4との間の空間は負圧となる。これによって、貫通孔4c及び隙間Gの内部も負圧となる。この負圧によって外気導入溝14を通じて少しずつ外気が導入される。導入された外気は、隙間G及び貫通孔4cを経由して、外層体4と内層体3の間の空間に供給される。これにより、内層体3を減容変形させたまま外層体4が復元することができる。
ところで、上述のように、シュリンクフィルム60は、使用前の初期状態においては、キャップ本体10全体、及び蓋体50の一部を覆っている。図2に、使用前の初期状態におけるシュリンクフィルム60の構成の一例を示す。
図2の例では、シュリンクフィルム60のうち、外周壁11の上方部分、蓋体周壁53全体及び上壁52の外周部分を覆い、使用前に除去すべきキャップフィルム63部分には、上下方向に延びるフィルム除去用ミシン目65が2本設けられている。また、フィルム除去用ミシン目65の下端は、周方向に延びるストッパ用ミシン目67aに連結されている。ストッパ用ミシン目67aの下方には、更にストッパ用ミシン目67b、67cが2本設けられている。3本のストッパ用ミシン目67a〜67cは、上下方向に僅かに離間しつつ、互いに平行な状態で周方向に延びている。外気導入溝14(図1(a)参照)の上端部は、ストッパ用ミシン目67a〜67cのうち最も上方に配置されているストッパ用ミシン目67aよりも僅かに上方まで延びている。
利用者は、シュリンクフィルム60の上端を把持し、フィルム除去用ミシン目65、及びストッパ用ミシン目67aに沿ってキャップフィルム63を除去する。これによって、図1(a)に示すように蓋体50及びキャップ本体10の一部が露出する(このとき、外気導入溝14の上端部も外部に露出する)ので、利用者は、蓋体50を開放して内容物を注出孔から吐出することができる。また、利用者は、キャップフィルム63の有無により二重容器100が未開封の状態であるか否かを判別することができる。
なお、利用者がフィルム除去用ミシン目65に沿ってシュリンクフィルム60を勢いよく下方に切断した場合、フィルム除去用ミシン目65の下端からストッパ用ミシン目67aに沿って周方向に亀裂が走る代わりに、ストッパ用ミシン目67aを越えて下方に亀裂が走ることがある。しかし、そのような場合であっても、利用者がシュリンクフィルム60を下方に引く勢いは、亀裂がストッパ用ミシン目67a、67b間の強固な部分を走ることにより弱められるため、亀裂がストッパ用ミシン目67bに到達した後は、ストッパ用ミシン目67bに沿ってキャップフィルム63を周方向に除去することができる。本実施形態では、更に予備的にストッパ用ミシン目67bの下方にストッパ用ミシン目67cを設けているため、亀裂がストッパ用ミシン目67cを越えて下方に及ぶことがない。従って、利用者が二重容器100を初めて使用する前にキャップフィルム63を除去する際に、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
なお、シュリンクフィルム60の上端から下方に延びるフィルム除去用ミシン目65は、鉛直方向に延びるものに限定されない。フィルム除去用ミシン目65が鉛直方向に対して傾きをもっていても、フィルム除去用ミシン目65の下端がストッパ用ミシン目67aと連結されていれば、キャップ本体10の下端部11bまで影響を与えることなくキャップフィルム63部分を同様に除去することができるからである。
また、本実施形態では、ストッパ用ミシン目67a〜67cが水平方向且つ周方向に延びるように構成したが、この態様には限定されない。ストッパ用ミシン目67a〜67cに沿って周方向に1周分切断したときにキャップフィルム63部分を取り除くことができれば、水平方向に対して傾斜していてもよい。
図3は、使用前の初期状態におけるシュリンクフィルム70の他の構成例を示す。図3の例では、図2と比較して、フィルム除去用ミシン目75が鉛直方向に対して傾斜を有しており、螺旋を描きながら下方に延びてストッパ用ミシン目77aと連結している。また、ストッパ用ミシン目77aの直下には、ストッパ用ミシン目77bが平行に延びている。なお、図3の例においても、外気導入溝14(図1(a)参照)の上端部は、ストッパ用ミシン目77a、77bのうち上方に配置されているストッパ用ミシン目77aよりも僅かに上方まで延びている。
利用者は、シュリンクフィルム70の上端を把持し、フィルム除去用ミシン目75、及びストッパ用ミシン目77aに沿ってキャップフィルム73を除去する。これによって、図1(a)に示すように蓋体50及びキャップ本体10の一部が露出する(このとき、外気導入溝14の上端部も外部に露出する)ので、利用者は、蓋体50を開放して内容物を注出孔から吐出することができる。また、利用者は、キャップフィルム73の有無により二重容器100が未開封の状態であるか否かを判別することができる。
なお、図3の例では、利用者がフィルム除去用ミシン目75に沿ってシュリンクフィルム70を勢いよく下方に切断した場合であっても、フィルム除去用ミシン目75とストッパ用ミシン目77aとが図2の例と比較して浅い角度で連結されているため、比較的スムーズにフィルム除去用ミシン目75に沿った切断からストッパ用ミシン目77aに沿った切断へと移行することができる。そして万が一、ストッパ用ミシン目77aに沿って周方向に亀裂が走る代わりに、ストッパ用ミシン目77aを越えて下方に亀裂が走った場合であっても、利用者がシュリンクフィルム70を下方に引く勢いは、亀裂がストッパ用ミシン目77a、77b間の強固な部分を走ることにより弱められるため、亀裂がストッパ用ミシン目77bに到達した後は、ストッパ用ミシン目77bに沿ってキャップフィルム73を周方向に除去することができる。従って、利用者が二重容器100を初めて使用する前にキャップフィルム73を除去する際に、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
図4は、使用前の初期状態におけるシュリンクフィルム80の他の構成例を示す。図4の例では、図2と比較して、ストッパ用ミシン目87aが1本のみ設けられ、当該ストッパ用ミシン目87aが、キャップ本体10の外周壁11に設けられた周溝18aと重なるように配置されている。図4の例においても、外気導入溝14の上端部は、ストッパ用ミシン目87aよりも僅かに上方まで延びている。
利用者は、シュリンクフィルム80の上端を把持し、フィルム除去用ミシン目85、及びストッパ用ミシン目87aに沿ってキャップフィルム83を除去する。これによって、図1(a)に示すように蓋体50及びキャップ本体10の一部が露出する(このとき、外気導入溝14の上端部も外部に露出する)ので、利用者は、蓋体50を開放して内容物を注出孔から吐出することができる。また、利用者は、キャップフィルム83の有無により二重容器100が未開封の状態であるか否かを判別することができる。
なお、図4の例では、利用者がフィルム除去用ミシン目85に沿ってシュリンクフィルム80を勢いよく下方に引いて切断した場合であっても、周溝18aにおいてフィルム除去用ミシン目85が内周方向に方向付けされるため、シュリンクフィルム80を引く方向とフィルム除去用ミシン目85が走る方向に角度が生じる。従って、周溝18aにおいてフィルム除去用ミシン目85を裂く力が弱まるため、亀裂がストッパ用ミシン目87aに到達した後は、更に下方に向かって亀裂が生じることがなく、ストッパ用ミシン目87aに沿ってキャップフィルム83を周方向に除去することができる。従って、利用者が二重容器100を初めて使用する前にキャップフィルム83を除去する際に、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
なお、図4の例では、周溝18aの下方に平行に走る更なる周溝18bが設けられているが、周溝18bに重なるように付加的なストッパ用ミシン目を設けるようにしてもよい。これによって、シュリンクフィルム80が誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去されることによる外気導入弁の機能の喪失を更に確実に抑制することができる。
図5は、使用前の初期状態におけるシュリンクフィルム90の他の構成例を示す。図5の例では、図2と比較して、ストッパ用ミシン目67b、67cの代わりに接着領域19が設けられている。すなわち、図5に示すように、フィルム除去用ミシン目95の下端がストッパ用ミシン目97aに連結されると共に、ストッパ用ミシン目97aの下方に隣接して接着領域19が設けられている。シュリンクフィルム90と外周壁11とは接着領域19において接着固定されている。なお、図5の例においても、外気導入溝14の上端部は、ストッパ用ミシン目97aよりも僅かに上方まで延びている。なお、接着領域19における外気導入溝14の周囲は、外気の流路を確実に確保するために接着剤を塗布しないことが望ましい。
利用者は、シュリンクフィルム90の上端を把持し、フィルム除去用ミシン目95、及びストッパ用ミシン目97aに沿ってキャップフィルム93を除去する。これによって、図1(a)に示すように蓋体50及びキャップ本体10の一部が露出する(このとき、外気導入溝14の上端部も外部に露出する)ので、利用者は、蓋体50を開放して内容物を注出孔から吐出することができる。また、利用者は、キャップフィルム93の有無により二重容器100が未開封の状態であるか否かを判別することができる。
なお、図5の例では、利用者がフィルム除去用ミシン目95に沿ってシュリンクフィルム90を勢いよく下方に引いて切断した場合であっても、ストッパ用ミシン目97aの下方には接着領域19が設けられているため、亀裂が接着領域19を縦断して更に下方に向かって走ることがない。従って、亀裂がフィルム除去用ミシン目95の下端に達した後は、ストッパ用ミシン目97aに沿ってキャップフィルム93を周方向に除去することができる。そのため、利用者が二重容器100を初めて使用する前にキャップフィルム93を除去する際に、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
以上のように、本実施形態によれば、内容物を収容する内層体3と該内層体3を収容するスクイズ可能な外層体4とを備える二重容器100において、外層体4に貫通孔4c(外気導入孔)を設けると共に、該貫通孔4cに連通しキャップ本体10の外周壁11に沿う外気導入溝14を設け、外気導入溝14が外層体4を覆うシュリンクフィルム60の端部から更に延在して外部と連通するよう構成した。これによって、外気導入溝14及び貫通孔4cの双方を経由して外層体4と内層体3との間の空間に外気が導入されるので、外気導入弁の機能を有する部材を新たに組み込む必要がなく、キャップ本体10及びシュリンクフィルム60に外気導入弁の機能を持たせることができるため、部品点数を抑えて安価に製造することができる。
また、本実施形態によれば、貫通孔4cが外気導入溝14のみを経由して外部と連通するように構成したので、胴部の押圧時に内層体3と外層体4との間の空気の漏出を極力抑えることができるため、収容空間Sを効率よく加圧して内容物を吐出することができる。
また、本実施形態によれば、貫通孔4cを口部周壁4aに設けると共に、シュリンクフィルム60がキャップ本体10の下端部11bと外層体4との隙間Gをブリッジするように構成し、外気導入溝14が外周壁11の下端部11bから外周面に沿って上方に延び、二重容器100の使用時におけるシュリンクフィルム60の上端部を超えて延在するようにした。これによって、外気導入弁の機能を簡素な構成で口部周辺に集約できるので、胴部の押圧等に影響を与えないようにすることができる。
また、本実施形態では、外層体4に外気導入溝14を設けるのみでよく、シュリンクフィルム60は通常の二重容器と同一のものを用いることができるので、何ら二重容器100の製造工程を変更することなく、外気導入弁の機能を持たせることができる。
また、本実施形態によれば、使用前の状態において、シュリンクフィルム60の上端から下方に向かって延びるフィルム除去用ミシン目65と、周方向に延びる3本のストッパ用ミシン目67a〜67cを備え、フィルム除去用ミシン目65の下端がストッパ用ミシン目67aと接続され、外気導入溝14の上端部がストッパ用ミシン目67aよりも上方まで延びるように構成した。これによって、利用者がシュリンクフィルム60を下方に勢いよく引いて切断した場合でも、シュリンクフィルム60を下方に引く勢いは、亀裂がストッパ用ミシン目67a、67b間の強固な部分を走ることにより弱められるため、亀裂がストッパ用ミシン目67bに到達した後は、ストッパ用ミシン目67bに沿ってキャップフィルム63を周方向に除去することができる。従って、フィルム除去用ミシン目65、及びストッパ用ミシン目67a又は67bに沿ってキャップフィルム63を除去することができ、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
また、本実施形態によれば、キャップ本体10の外周壁11には、周方向に延びる周溝18aが設けられ、シュリンクフィルム80は、上端から下方に向かって延びるフィルム除去用ミシン目85と、周方向に延びるストッパ用ミシン目87aとを有し、フィルム除去用ミシン目85は、下端においてストッパ用ミシン目87aと連結し、ストッパ用ミシン目87aは、周溝18aと重なる領域に配置され、外気導入溝14の上端部がストッパ用ミシン目87aよりも上方まで延びるように構成した。これによって、利用者がシュリンクフィルム80を下方に勢いよく引いて切断した場合でも、周溝18a部分においてシュリンクフィルム80を引く方向とフィルム除去用ミシン目85が走る方向に角度が生じるため、周溝18aにおいてフィルム除去用ミシン目85を裂く力が弱まる。従って、亀裂がストッパ用ミシン目87aに到達した後は、更に下方に向かって亀裂が生じることなく、フィルム除去用ミシン目85、及びストッパ用ミシン目87aに沿ってキャップフィルム83を除去することができる。そのため、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
また、本実施形態によれば、シュリンクフィルム90は、上端から下方に向かって延びるフィルム除去用ミシン目95と、周方向に延びるストッパ用ミシン目97aと、ストッパ用ミシン目97aの下方に隣接して配置されキャップ本体10と接着固定するための接着領域19とを有し、フィルム除去用ミシン目95は、下端においてストッパ用ミシン目97aと連結され、外気導入溝14の上端部がストッパ用ミシン目97aよりも上方まで延びるように構成した。これによって、利用者がフィルム除去用ミシン目95に沿ってシュリンクフィルム90を勢いよく下方に引いて切断した場合であっても、ストッパ用ミシン目97aの下方には接着領域19が設けられているため、亀裂が接着領域19を縦断して更に下方に向かって走ることがない。従って、フィルム除去用ミシン目95、及びストッパ用ミシン目97aに沿ってキャップフィルム93を除去することができる。そのため、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
また、本実施形態によれば、フィルム除去用ミシン目75は、上端から下方に向かって螺旋状に延びるように構成した。これによって、フィルム除去用ミシン目75とストッパ用ミシン目77aとが浅い角度で連結されているため、比較的スムーズにフィルム除去用ミシン目75に沿った切断からストッパ用ミシン目77aに沿った切断へと移行することができる。従って、フィルム除去用ミシン目75、及びストッパ用ミシン目77aに沿ってキャップフィルム73を除去することができ、誤ってキャップ本体10の下端部11bまで除去して外気導入弁の機能を損ねることがない。
次に本発明の第2実施形態である二重容器200について、図6を参照して、具体的に説明する。なお、第2実施形態に係る二重容器200は、第1実施形態と比較して、貫通孔104c及び外気導入溝104gを二重容器本体2の口部周壁に設ける代わりに拡径部に設けている他は、第1実施形態の構成と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点に絞って詳説する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る二重容器200を示す正面図である。外層体104の拡径部には、内層体3との相互間に空気を取り込むための貫通孔104cが設けられている。また、外層体104の外周面には、図6に示すように貫通孔104cから下方に延びる外気導入溝104gが設けられている。また、外層体104の外周面には、シュリンクフィルム60が熱収縮により密着固定されている。シュリンクフィルム60は、キャップ本体10の一部、並びに外層体104の拡径部、胴部、及び底部の一部(外周部)を覆っている。そして、下方に延びる外気導入溝104gの端部は、外層体104の胴部から更に底部へと延び、底部におけるシュリンクフィルム60の端部を越えて延在し、外部に連通している。すなわち、外気導入溝104gは、下端部を除いてシュリンクフィルム60によって外側から覆われることにより、外気導入路を形成している。貫通孔104cは、外気導入溝104gのみを通じて外部と連通している。そして、外気導入溝104gの断面は、外層体104の胴部を押圧しても、外層体104と内層体3との間の空間の空気を僅かしか外部に排出しない程度の微小な溝である。
上記のように構成される二重容器200から内容物を吐出するにあたっては、利用者が図6の状態から蓋体50を開き、二重容器本体102を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体104の胴部を押圧(スクイズ)する。これにより、内層体3と外層体104との間の空気を介して収容空間Sが加圧される。なお、上述のように、外気導入溝104gの断面は微小な溝であるため、外層体104の胴部を押圧しているとき、貫通孔104cを経由して、外気導入溝104gからは僅かな空気しか排出されない。従って、外層体104を押圧しても、内層体3と外層体104との間の空気のうち、外気導入溝104gから漏れ出す空気は少ないため、収容空間Sへの加圧が阻害されることはない。そして、収容空間S内の正圧が、逆止弁の弁体を持ち上げるため、内容物は逆止弁を通過して流出し、注出孔から外部に注出される。
所要量の内容物を注出した後は、利用者が外層体104の胴部への押圧を解除する。これによって収容空間S内の正圧が外気圧へと戻り、逆止弁が再び閉鎖するので、収容空間S内への外気の入り込みが防止できる。また、外層体104は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体3と外層体104との間の空間は負圧となる。これによって、貫通孔104c及び外気導入溝104g内も負圧となる。この負圧によって外気導入溝104gを通じて少しずつ外気が導入される。導入された外気は、貫通孔104cを経由して、外層体104と内層体3の間の空間に供給される。これにより、内層体3を減容変形させたまま外層体104が復元することができる。
なお、本実施形態では、貫通孔104cを外層体104の拡径部に設けたが、この態様には限定されず、外層体104の胴部に設けるなど、シュリンクフィルム60で覆われる任意の領域に設けることができる。
また、本実施形態では、下方に延びる外気導入溝104gが、底部において外部と連通するように構成したが、この態様には限定されない。例えば、シュリンクフィルム60の下端部が胴部内に配置され、外気導入溝104gが胴部において外部と連通してもよい。また、外気導入溝14が貫通孔104cから上方に延び、シュリンクフィルム60の上端部において外部と連通していてもよい。
以上のように、本実施形態の二重容器200によれば、外層体104の拡径部に内層体3と連通する貫通孔104cを設け、微小な断面を有する外気導入溝104gが貫通孔104cから底部まで下方に向かって延び、外層体104を覆うシュリンクフィルム60の下端を越えて延在することで外気と連通するように構成した。これによって、外気導入弁の機能を有する部材を新たに組み込む必要がなく、外気導入溝104g及びシュリンクフィルム60に外気導入弁の機能を持たせることができるため、部品点数を抑えて安価に製造することができる。
また、本実施形態によれば、外層体104に外気導入溝104gを設けるのみでよく、シュリンクフィルム60は通常の二重容器と同一のものを用いることができるので、何ら二重容器200の製造工程を変更することなく、外気導入弁の機能を持たせることができる。
また、本実施形態によれば、外層体104の拡径部に設けた貫通孔104c、外気導入溝104g、及びシュリンクフィルム60によって外気導入弁の機能を実現しているので、使用前にシュリンクフィルム60を上端から勢いよく切断した場合でも、貫通孔104cや外気導入溝104g周辺のシュリンクフィルム60まで除去されて外気導入弁の機能が損なわれることがない。
なお、図2〜図5に記載のキャップ本体を覆うシュリンクフィルムの構成例を第1実施形態に係る二重容器100に適用できる旨を説明したが、この組み合わせに限定されない。図2〜図5に記載のキャップ本体を覆うシュリンクフィルムの構成例は、第2実施形態に係る二重容器200にも適用することができる。この場合、ストッパ用ミシン目がキャップ本体の外周壁を覆う位置に設けられていれば、使用時にシュリンクフィルムを上端から下方に向かって切断しても、貫通孔及び外気導入溝周辺のシュリンクフィルムを除去することがない。従って、外気導入弁の機能を損ねることがない。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。