以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も、本発明に含まれる。
なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。また、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
(実施形態1)
本実施形態では、液晶装置として、画素ごとに薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:以降、「TFT」と略す。)を備えたアクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、後述する表示装置としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
<液晶装置の構成>
まず、本実施形態の表示装置に用いられる液晶装置の構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る液晶装置の構成を示す概略平面図である。図2は、図1に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図である。図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
図1および図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、第1基板としての素子基板10と、素子基板10と対向配置された第2基板としての対向基板20と、素子基板10および対向基板20の間に挟持された液晶を含む液晶層50と、を有している。
素子基板10の基材10sには、例えば、ガラス基板、石英基板などの基板が用いられる。対向基板20の基材20sには、例えば、ガラス基板、石英基板などの透明基板が用いられる。
素子基板10は、対向基板20よりも大きい。素子基板10と対向基板20と(以降、「一対の基板」ということもある。)は、対向基板20の外縁に沿って配置されたシール材40を介して接合されている。一対の基板の隙間に、正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて、液晶層50が形成されている。
シール材40には、例えば、熱硬化性または電子線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用される。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示せず)が混入されている。
シール材40の内側には、マトリックス状に配列した複数の画素Pを含む表示領域Eが設けられている。シール材40と表示領域Eとの間には、表示領域Eを取り囲んで見切り部21が設けられている。見切り部21には、例えば、遮光性の金属または金属酸化物などが用いられる。
表示領域Eの周囲には、表示に寄与しないダミー画素領域(図示せず)が設けられている。なお、図1および図2では図示を省略したが、表示領域Eにおいて、複数の画素Pをそれぞれ平面的に区分する遮光部(ブラックマトリックス:BM)が対向基板20に設けられている。
素子基板10には、複数の外部接続端子104が配列した端子部が設けられている。該端子部に沿った第1辺部とシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1辺部に対向する第2辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に検査回路103が設けられている。
第1辺部と直交し、互いに対向する第3辺部および第4辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路102が設けられている。また、第2辺部のシール材40と検査回路103との間には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、第1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。以降、第1辺部に沿った方向をX方向とし、第1辺部と直交し、互いに対向する第3辺部および第4辺部に沿った方向をY方向とする。なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に設けてもよい。
図2に示すように、基材10sの液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極15およびスイッチング素子であるTFT30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。素子基板10は、基材10sと、基材10s上に形成された画素電極15、TFT30、信号配線、配向膜18を含むものである。
基材20sの液晶層50側の表面には、見切り部21と、これを覆うように成膜された絶縁層22と、絶縁層22を覆うように設けられた対向電極23と、対向電極23を覆う配向膜24とが設けられている。本実施形態における対向基板20は、少なくとも見切り部21、対向電極23、配向膜24を含むものである。
見切り部21は、図1に示すように、表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの回路に入射する光を遮蔽して、回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
絶縁層22は、例えば、光透過性を有する酸化シリコンなどの無機材料からなり、見切り部21を覆うように設けられている。このような絶縁層22の形成方法としては、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
対向電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、絶縁層22を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の隅に設けられた上下導通部106に電気的に接続されている。上下導通部106は、素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
画素電極15を覆う配向膜18、および対向電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。配向膜18,24としては、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜し、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は、例えば透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が、電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトモードや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が、電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。素子基板10と対向基板20とを含む液晶パネル110において、光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されている。
本実施形態では、以降、配向膜18,24として前述した無機配向膜と、負の誘電異方性を有する液晶とを用い、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用された例について説明する。
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号配線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6aに沿って平行に配置された容量線3bとを有している。走査線3aが延在する方向はX方向であり、データ線6aが延在する方向はY方向である。
走査線3a、データ線6a、および容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、容量素子16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のデータ線側ソースドレイン領域(一方のソースドレイン領域)に電気的に接続されている。画素電極15は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域(他方のソースドレイン領域)に電気的に接続されている。
データ線6aは、データ線駆動回路101(図1参照)に電気的に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1から画像信号Dnは、この順番に線順次にて供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1から走査信号SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次にて供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1から走査信号SCmの入力により、一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1から画像信号Dnが、所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1から画像信号Dnは、画素電極15と、液晶層50を介して対向配置された対向電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1から画像信号Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に、容量素子16が接続されている。容量素子16は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域と容量線3bとの間に設けられている。容量素子16は、2つの容量電極の間に誘電体層を有している。
<液晶装置を構成する画素の構成>
次に、液晶装置100を構成する画素の構造について、図4を参照して説明する。図4は、液晶装置のうちで主に画素の構造を示す模式断面図である。なお、図4は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。
図4に示すように、素子基板10の基材10s上には、走査線3aが形成されている。走査線3aの形成材料としては、遮光性を有し、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)などの金属のうちの1つ以上を含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものが挙げられる。
走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜(下地絶縁膜)11aが形成され、第1絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成されている。半導体層30aは、例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、データ線側ソースドレイン領域、接合領域、チャネル領域、接合領域、画素電極側ソースドレイン領域を有するLDD(Lightly Doped Drain)構造が形成されている。
半導体層30aを覆うように、第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成されている。さらに、第2絶縁膜11bを挟んでチャネル領域の、半導体層30aと対向する位置に、ゲート電極30gが形成されている。
ゲート電極30gと第2絶縁膜11bとを覆うように第3絶縁膜11cが形成されている。半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に、第2絶縁膜11b、第3絶縁膜11cを貫通する2つのコンタクトホールCNT1,CNT2が形成されている。
そして、2つのコンタクトホールCNT1,CNT2を埋めると共に第3絶縁膜11cを覆うように、コンタクトホールCNT1を介して、データ線側ソースドレイン領域に繋がるソース電極31およびデータ線6aが形成されている。ソース電極31およびデータ線6aは、Al(アルミニウム)やその合金などの遮光性の導電材料を用いて導電膜を成膜し、これをパターニングすることによって形成される。また、コンタクトホールCNT2を介して画素電極側ソースドレイン領域に繋がるドレイン電極32(第1中継電極6b)が形成されている。
データ線6aおよび第1中継電極6bと第3絶縁膜11cとを覆って、第1層間絶縁膜12が形成されている。第1層間絶縁膜12は、例えば、シリコンの酸化物や窒化物からなる。第1層間絶縁膜12には、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生じた表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施されている。平坦化処理の方法としては、例えば化学的機械的研磨処理(Chemical Mechanical Polishing:CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
第1中継電極6bと重なる位置に、第1層間絶縁膜12を貫通するコンタクトホールCNT3が形成されている。コンタクトホールCNT3を被覆すると共に、第1層間絶縁膜12を覆うように、配線7aと、コンタクトホールCNT3を介して第1中継電極6bに電気的に接続される第2中継電極7bとが形成されている。配線7aおよび第2中継電極7bは、例えば、Al(アルミニウム)やその合金などの遮光性の金属からなる導電膜を成膜した後、これをパターニングすることにより形成される。
配線7aは、平面的にTFT30の半導体層30aやデータ線6aと重なるように形成され、固定電位が与えられてシールド層として機能する。
配線7aと第2中継電極7bとを覆うように、第2層間絶縁膜13aが形成されている。第2層間絶縁膜13aの形成材料としては、例えば、Si(シリコン)の酸化物や窒化物あるいは酸窒化物が挙げられる。第2層間絶縁膜13aには、CMP処理などの平坦化処理が施されている。
第2層間絶縁膜13aの第2中継電極7bと重なる位置に、コンタクトホールCNT4が形成されている。コンタクトホールCNT4を被覆すると共に第2層間絶縁膜13aを覆うように、第1容量電極16aと第3中継電極16dとが形成されている。第1容量電極16aおよび第3中継電極16dは、例えば、Al(アルミニウム)やその合金などの遮光性の金属からなる導電膜を成膜した後、これをパターニングすることにより形成される。
第1容量電極16aのうち、後に形成される誘電体層16bを介して第2容量電極16cと対向する部分の外縁を覆うように、絶縁膜13bがパターニング形成されている。また、第3中継電極16dのうちコンタクトホールCNT5と重なる部分を除いた外縁を覆うように、絶縁膜13bがパターニング形成されている。
絶縁膜13bと第1容量電極16aとを覆って誘電体層16bが成膜されている。誘電体層16bの形成材料としては、Si(シリコン)窒化膜、酸化ハフニウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)などの単層膜、あるいはこれらの単層膜のうち2種以上の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。平面的に第3中継電極16dと重なる部分の誘電体層16bは、エッチングなどによって除かれている。
誘電体層16bを覆うように、第1容量電極16aに対向配置され、第3中継電極16dに繋がる第2容量電極16cが形成されている。第2容量電極16cは、例えば、TiN(窒化チタン)などの導電膜を成膜した後に、これをパターニングして形成される。誘電体層16bと、誘電体層16bを挟んで対向配置された第1容量電極16aと、第2容量電極16cとにより容量素子16が構成される。
次に、第2容量電極16cと誘電体層16bとを覆う第3層間絶縁膜14が形成されている。第3層間絶縁膜14は、例えば、Si(シリコン)の酸化物や窒化物からなり、CMP処理などの平坦化処理が施されている。さらに、第2容量電極16cが第3中継電極16dと接するように、第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT5が形成されている。
コンタクトホールCNT5を被覆し、第3層間絶縁膜14を覆うように、TOなどの透明導電膜(電極膜)が成膜されている。該透明導電膜(電極膜)をパターニングすることによって、画素電極15が形成される。これにより、画素電極15は、コンタクトホールCNT5を介して、第2容量電極16cおよび第3中継電極16dと電気的に接続される。
第2容量電極16cは、第3中継電極16d、コンタクトホールCNT4、第2中継電極7b、コンタクトホールCNT3、第1中継電極6bを介してTFT30のドレイン電極32と電気的に接続されると共に、コンタクトホールCNT5を介して画素電極15と電気的に接続されている。
第1容量電極16aは、複数の画素Pに跨るように形成され、等価回路(図3参照)における容量線3bとして機能する。第1容量電極16aには固定電位が与えられる。そのため、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を、第1容量電極16aと第2容量電極16cとの間において保持することができる。
以上に述べたように、素子基板10の基材10s上には、複数の配線が形成されているため、配線間を絶縁する絶縁膜や層間絶縁膜の符号を用いて配線層を表すこととする。すなわち、第1絶縁膜11a、第2絶縁膜11b、第3絶縁膜11cを括って配線層11と呼ぶ。配線層11の代表的な配線は走査線3aである。
また、第2層間絶縁膜13a、絶縁膜13b、誘電体層16bを括って配線層13と呼び、代表的な配線は配線7aである。同じく、配線層13の代表的な配線は、第1容量電極16a(容量線3b)である。
画素電極15を覆うように配向膜18が形成され、液晶層50を介して、素子基板10に対向配置される対向基板20の対向電極23を覆うように配向膜24が形成されている。上述したように、配向膜18,24は無機配向膜であって、酸化シリコンなどの無機材料を所定の方向から、例えば斜め蒸着して柱状に成長させたカラム18a,24aの集合体からなる。
配向膜18,24に対して負の誘電異方性を有する液晶分子LCは、配向膜面の法線方向に対してカラム18a,24aの傾斜方向に3°から5°のプレチルト角度θpを有して略垂直配向(VA;Vertical Alignment)する。画素電極15と対向電極23との間に、交流電圧(駆動信号、交流信号)を印加して液晶層50を駆動することによって、液晶分子LCは画素電極15と対向電極23との間に生ずる電界方向に傾くように挙動(振動)する。本実施形態では、負の誘電異方性を有する液晶として、Tni(ネマティック−等方相転移温度)が110℃のネマティック液晶を用いている。
<表示装置の構成>
次に、本実施形態の表示装置としての投射型表示装置について、図5を参照して説明する。図5は、液晶装置を備えた表示装置の構成を示す概略図である。
図5に示すように、本実施形態の投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207と、加熱手段510および冷却手段520とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から出射された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて出射される。
このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と出射側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
なお、液晶装置100は、投射型表示装置1000の他に、EVF(Electrical View Finder)、モバイルミニプロジェクター、ヘッドアップディスプレイ、スマートフォン、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器などの各種電子機器に搭載されてもよい。
<加熱手段および冷却手段>
投射型表示装置1000は、液晶層50の温度を、液晶層50に含まれる液晶のTni以上に加熱可能な加熱手段510と、液晶層50の温度を、上記Tniよりも低い所定の温度以下に冷却可能な冷却手段520と、を備えている。
投射型表示装置1000における液晶装置100の加熱手段510および冷却手段520としては、特に限定されず、液晶のTniなどに応じて公知の技術が採用可能である。具体的には、加熱手段510としては、例えば、電熱線、温風機、赤外線ランプ、ペルチェ素子などが挙げられ、これらの1種以上を用いて直接的に、または媒体を介して間接的に液晶装置100を加熱する。冷却手段520としては、冷却器、冷風機、ペルチェ素子などが挙げられ、これらの1種以上を用いて直接的に、または媒体を介して間接的に液晶装置100を冷却する。また、冷却手段520としては、ランプユニット1101などを冷却するための電動ファン(図示せず)を用いてもよい。
加熱手段510または冷却手段520に用いる媒体としては、特に限定されず、水や溶剤などの液体またはゲル、熱伝導率が比較的に高い金属などの固体、アンモニアなどの気体が採用可能である。固体以外を用いる場合には、加熱手段510または冷却手段520と液晶装置100とを配管によって繋いで、媒体を循環させてもよい。
液晶装置100に対する、加熱手段510および冷却手段520の設置形態は、特に限定されず、上述した種類、媒体の有無などに応じて設定される。本実施形態では、加熱手段510および冷却手段520として、ペルチェ素子を用いて、媒体としてエチレングリコールを採用し、該媒体を充填したチューブ550を引き回して、液晶装置100(液晶ライトバルブ1210,1220,1230)に当接させて配置している。
また、液晶装置100(液晶ライトバルブ1210,1220,1230)には、サーミスター(図示せず)が取り付けられ、液晶装置100(液晶層50)の温度を計測することが可能である。
次に、加熱手段510および冷却手段520の制御機能について、図6を用いて説明する。図6は、表示装置における加熱手段および冷却手段の制御機能を示すブロック図である。
図6に示すように、液晶装置100にはサーミスター540が設置されている。サーミスター540は液晶装置100の液晶層50の温度を計測する。この温度情報は、電気信号として電流制御回路560へ伝達される。電流制御回路560では、後述する加熱手段510および冷却手段520の稼働のタイミング、温度情報、温度調整する液晶層50の狙い温度などに応じて、DC電源(図示せず)の電流(出力)を調節して極性反転回路570に供給する。極性反転回路570は、温度情報および液晶層50の狙い温度に応じて、ペルチェ素子(加熱手段510および冷却手段520)に印加される直流電流を制御して、駆動電流の極性を反転させる。ペルチェ素子が駆動されると、加熱または冷却が行われ、媒体を介して液晶装置100に伝達されて液晶層50の温度が変わる。そして、変化した温度が再び計測されて、上述した制御のループが繰り返される。これにより、液晶層50の温度が所望の温度に調整される。
ここで、液晶層50における液晶のTni以上の温度とは、用いる液晶のTniに依拠するため特に限定されないが、例えば、その温度の上限は140℃である。また、液晶層50における液晶のTniよりも低い所定の温度とは、用いる液晶のTniに依拠するため特に限定されないが、例えば、70℃である。
本実施形態では、1つのペルチェ素子を用いた加熱手段510および冷却手段520を例示したが、これに限定されない。加熱手段510と冷却手段520とは別系統であってもよく、複数のペルチェ素子を、加熱手段用と冷却手段用とに分けて用いてもよい。
なお、上述した液晶層50の加熱は、以下に述べる画素電極15への電圧(交流信号)の印加と共に実施する。
<画素電極への電圧印加>
次に、イオン性不純物を掃引するための、画素電極15に電圧を印加する方法について、図7および図8を参照して説明する。図7は、画素電極に電圧を印加する方法を説明するための液晶装置の模式平面図である。図8は、図7に示す液晶装置のA−A’線に沿う模式断面図である。
図7に示すように、液晶装置100は、表示に寄与する画素Pが配置された表示領域Eと、表示領域Eを囲むように配置された見切り部21と、を有している。見切り部21の周囲には、額縁状にシール材40が配置されている。表示領域Eには、複数の画素電極15がマトリックス状に配置されている。
液晶装置100の素子基板10には、例えば、表示領域Eにおける長辺(X方向)に沿って、走査線駆動回路102(図1参照)に電気的に接続された複数の走査線3aが延在して形成されている。上述したように、各走査線3aには、走査線3aの延在方向に沿って配列された複数の画素電極15(15a,15b,15c)が電気的に接続されている。すなわち、液晶装置100は、表示領域Eに配置された第1画素電極としての画素電極15aと、画素電極15aと隣り合う第2画素電極としての画素電極15bと、画素電極15bと隣り合う第3画素電極としての画素電極15cとを、有している。すなわち、Y方向において、画素電極15aと画素電極15bとが隣り合い、また画素電極15bと画素電極15cとが隣り合っている。これらの複数の画素電極15には、データ線駆動回路101から、交流信号が供給される。
ここで、第1走査線3a1に対して配列された複数の画素電極15aを囲む領域を、第1画素電極領域15a1とする。また、第2走査線3a2に対して配列された複数の画素電極15bを囲む領域を、第2画素電極領域15b2とする。また、第3走査線3a3に対して配列された複数の画素電極15cを囲む領域を、第3画素電極領域15c3とする。
図8に示すように、液晶装置100の素子基板10は、基材10s上に複数の配線層を有している。第3層間絶縁膜14の上には、複数の画素電極15が設けられている。各画素電極15は、下層の層間絶縁膜および配線層に設けられた中継電極などを介して、走査線3aに電気的に接続されている。
画素電極15の幅は、例えば、7.5μmである。隣り合う画素電極15と画素電極15との間の隙間は、例えば、0.5μmである。
表示領域Eに滞留するイオン性不純物60を、表示領域Eから表示領域Eの外側に掃引する際には、画素電極15(15a,15b,15c)には、隣り合う画素電極15間に生ずる電界(電気力線)の方向が、表示領域Eの中央から表示領域Eの外側(シール材40側)の方向に移動するように交流信号が与えられる。
交流信号は、対向電極23に与えられる共通電位(LCCOM)を基準電位として、高電位と低電位とに遷移する信号である。正極性(+)または負極性(−)のイオン性不純物60は、上記電界方向の画素電極15(例えば、画素電極15a)から画素電極15(例えば、画素電極15b)への移動に伴って表示領域Eの外側に掃き寄せられる。
<液晶装置の駆動方法>
次に、交流信号の印加に係る液晶装置の駆動方法について、図9から図11Cを参照して説明する。図9は、各走査線に対応して配置された画素電極に印加される交流信号の種類を示す模式平面図である。図10A,10B,10Cは、各交流信号を示すタイミングチャートである。図11A,11B,11Cは、画素電極に印加される交流信号の極性を1画面ごとに示す模式平面図である。
上述したように、1本の走査線3aに電気的に接続された複数の画素電極15の領域を画素電極領域とする。表示領域Eの中央の画素電極領域を、第1画素電極領域15a1とする。表示領域Eには、中央の第1画素電極領域15a1を中心としてシール材40の長辺に向かって、第2画素電極領域15b2、第3画素電極領域15c3の順に繰り返し配置されている。
例えば、表示領域Eの中央の第1画素電極領域15a1の一方の方向(例えば、図9における下方)には、第2画素電極領域15b2、第3画素電極領域15c3、引き続き第1画素電極領域15a1の順に配置されている。
中央の第1画素電極領域15a1の他方の方向(例えば、図9における上方)にも同様に、第2画素電極領域15b2、第3画素電極領域15c3、続いて第1画素電極領域15a1の順に配置されている。
第1画素電極領域15a1には、第1交流信号としての交流信号V1が印加される。第2画素電極領域15b2には、第2交流信号としての交流信号V2が印加される。第3画素電極領域15c3には、第3交流信号としての交流信号V3が印加される。
図10A、図10B、図10Cは、交流信号V1,V2,V3のタイミングチャートを示している。各画素電極領域15a1,15b2,15c3の画素電極15a,15b,15cには、5Vの矩形波交流信号を印加する。周波数は、交流信号V1,V2,V3で同じであり、例えば、10mHzから50mHzである。50mHzの場合、交流信号の1周期の時間は、20秒である。
上記周波数の前提条件としては、画素電極15と対向する位置に対向電極23が配置されている。画素電極15間には、交流信号V1,V2,V3の印加によって+5Vから−5Vの電位差が発生する。画素電極15の幅は、例えば、上記したように、平面視で7.5μmである。画素電極15間の隙間は、例えば、0.5μmである。セルギャップは、例えば、2.5μmである。
なお、周波数は、10mHzから50mHzであることが好ましいが、低すぎると、画素電極15と対向電極23との間で直流信号が印加されるのと同様の状態となり、液晶の分解、焼き付き、シミなど、表示不良が発生する恐れがある。上記範囲より周波数が高くなると、電界のスクロール(移動速度)にイオン性不純物60が追従できなくなり、イオン性不純物60が掃引できなくなる恐れがある。
第2画素電極領域15b2の画素電極15bには、第1画素電極領域15a1に印加した交流信号V1に対して位相が120°遅延した交流信号V2を印加する。第3画素電極領域15c3の画素電極15cには、第2画素電極領域15b2に印加した交流信号V2に対して位相が120°遅延した交流信号V3を印加する。
つまり、表示領域Eの中央にある第1画素電極領域15a1から表示領域Eの外側(シール材40の長辺側)に向かって、位相が120°(1/3周期)ずつずれて遅れるように交流信号V1,V2,V3を印加する。
また、第3画素電極領域15c3より外側の第1画素電極領域15a1には、再び交流信号V1が印加される。同様に、第2画素電極領域15b2には、交流信号V2が印加される。つまり、走査線の3ライン毎に同様の交流信号が繰り返し印加される。
具体的には、t0からt3の間に、画素電極15aでは、交流信号V1により+5Vの電位差が発生する(図10A参照)。これに対して、画素電極15bでは、交流信号V2によりt0からt2の間に−5Vの電位差が発生し、t2からt3の間に+5Vの電位差が発生する(図10B参照)。また、画素電極15cでは、交流信号V3によりt0からt1の間に+5Vの電位差が発生し、t1からt3の間に−5Vの電位差が発生する(図10C参照)。
次いで、t3からt6の間に、画素電極15aでは、交流信号V1により−5Vの電位差が発生する(図10A参照)。これに対して、画素電極15bでは、交流信号V2によりt2から引き続きt3からt5の間に+5Vの電位差が発生し、t5からt6の間に−5Vの電位差が発生する(図10B参照)。また、画素電極15cでは、交流信号V3によりt1から引き続きt3からt4の間に−5Vの電位差が発生し、t4からt6の間に+5Vの電位差が発生する(図10C参照)。
次いで、t6からは、画素電極15aでは、交流信号V1により−5Vの電位差が発生し(図10A参照)、画素電極15bでは、交流信号V2によりt5から引き続き−5Vの電位差が発生し(図10B参照)、画素電極15cでは、交流信号V3によりt4から引き続き+5Vの電位差が発生し(図10C参照)、以降も上記と同様に繰り返される。ここで、図10Aから図10Cにおいて、t0からt6の時間は20秒間であるが、これに限定されるものではない。
図10Aから図10Cに示した矩形波の交流信号V1,V2,V3は、基準電位を0Vとして、高電位(+5V)と低電位(−5V)とに遷移するものである。基準電位、高電位、低電位の設定は、これに限定されるものではないが、正極性(+)のイオン性不純物60と負極性(−)のイオン性不純物60との両方を掃引するために、高電位をプラス電位とし、低電位をマイナス電位とすることが好ましい。これにより、プラス電位の領域に負極性(−)のイオン性不純物60を引き寄せ、マイナス電位の領域に正極性(+)のイオン性不純物60を引き寄せることができる。
したがって、印加する交流信号V1,V2,V3によって画素電極領域間の電位の極性を反転させて、正極性および負極性のイオン性不純物60を、次々に引き寄せて移動させることができる。すなわち、上述したように、表示領域EのY方向の中央から、表示領域Eの外側に向かって、位相が120°ずつずれた交流信号V1,V2,V3を印加することにより、イオン性不純物60は、第1画素電極領域15a1、第2画素電極領域15b2、第3画素電極領域15c3が繰り返し配置された表示領域Eを外側に向かって、順次掃引される。
具体的には、例えば、負極性のイオン性不純物60が、t0で第1画素電極領域15a1に存在する場合、t3で第1画素電極領域15a1の電位がマイナス電位に遷移することにより、反発されて、第1画素電極領域15a1と隣り合う、プラス電位の第2画素電極領域15b2に引き寄せられて移動する。また、t3では、第3画素電極領域15c3はマイナス電位であるため、イオン性不純物60は、第3画素電極領域15c3には反発されて、移動しにくい。
次に、t5で第2画素電極領域15b2の電位がマイナス電位に遷移することにより、イオン性不純物60は反発されて、第2画素電極領域15b2と隣り合う、プラス電位の第3画素電極領域15c3に引き寄せられて移動する。また、t5では、第1画素電極領域15a1はマイナス電位であるため、イオン性不純物60は、第1画素電極領域15a1へは移動しにくい。
次に、t7で第3画素電極領域15c3の電位がマイナス電位に遷移することにより、イオン性不純物60は反発されて、第3画素電極領域15c3と隣り合う、プラス電位の第1画素電極領域15a1に引き寄せられて移動する。また、t7では、第2画素電極領域15b2はマイナス電位であるため、イオン性不純物60は、第2画素電極領域15b2へは移動しにくい。以降、上記電位の遷移に応じて、イオン性不純物60は順次引き寄せられて移動する。なお、イオン性不純物60が正極性であっても、引き寄せられるタイミングは異なるものの、負極性のイオン性不純物60と同様に移動する。
なお、印加する交流信号V1,V2,V3の電圧の時間平均の基準電位差は略0Vである。具体的には、100mV以下であることが好ましい。100mV以上ある場合は、焼き付きが発生する恐れがある。100mV以下では、焼き付きが発生しにくい。
ここで、画素電極15に印加される交流信号V1,V2,V3における極性の組み合せは、(V1,V2,V3):t1(+,−,−)、t2(+,+,−)、t3(−,+,−)、t4(−,+,+)、t5(−,−,+)、t6(+,−,+)の6つとなる。これら6つの組み合せが、t7以降も順次繰り返される。
これにより、図11Aから図11Cに示すように、Y方向の中央から上下の長辺側(表示領域Eの外側)へ、イオン性不純物60が順次引き寄せられて移動する。詳しくは、t1(図11A)で負極性のイオン性不純物60が、Y方向の中央にある場合(左右方向は問わない)に、t3(図11C)に移行すると、イオン性不純物60は、交流信号V2が印加されている、隣り合う画素電極領域へ引き寄せられる。次に、t5(図11C)に移行すると、イオン性不純物60は、交流信号V3が印加されている、隣り合う画素電極領域へ引き寄せられる。このように、上述した6つの極性の組み合せが、順次繰り返されることによって、イオン性不純物60は、中央から遠ざかるように、上下どちらかの長辺側へ向かって掃引される。
なお、イオン性不純物60が正極性であっても、引き寄せられるタイミングは負極性とは異なるものの、負極性の場合と同様に、中央から遠ざかるように掃引される。また、イオン性不純物60が、中央ではなく、長辺側に近付いた領域にある場合も、中央から遠ざかる方向に掃引されることに変わりはない。このようにして、イオン性不純物60が、表示領域Eの外側に向かって掃引される。
交流信号V1,V2,V3の印加は、上述した加熱手段により、液晶層50の温度を液晶のTni以上として、液晶を等方性にして実施される。そのため、イオン性不純物60の移動度が増して、イオン性不純物60の掃引効果を向上させることができる。
また、例えば、5Vの中で振幅を変えて電位差をつくる方法に比べて、本実施形態では、位相をずらして画素電極領域間に電位差を生じさせるため、電界強度を大きくすることが可能となり、イオン性不純物60を効率的に掃引することができる。
<表示装置の駆動方法>
次に、液晶層50の加熱および冷却、画素電極15a,15bへの交流信号V1,V2の印加に係る投射型表示装置1000の駆動方法について、図12を参照して説明する。図12は、液晶層の温度に対する交流信号の印加の時期を示す模式図である。
本実施形態の投射型表示装置1000の駆動方法は、オンシーケンス期間に、液晶層50を加熱手段510によって加熱して、液晶層50の温度を液晶のTni以上としたときに、画素電極15aに交流信号V1を印加すると共に、画素電極15bに交流信号V1と同じ周波数で位相がずれた交流信号V2を印加する。そして、オンシーケンス期間の後に、液晶層50を冷却手段520によって冷却して、液晶層50の温度をTniよりも低い所定の温度以下とする。
図12において、横軸は時刻を表しており、縦軸の1つ(図12における上側)はペルチェ素子に供給される駆動電流の極性および大きさを表し、縦軸のもう1つは液晶層50の温度を表している。また、図12の下方には、横軸(時刻)を区分した破線の区間と対応させて、交流信号(V1,V2など)の印加される期間と、投射型表示装置1000の稼働状態(電源OFF期間から表示期間まで)とを、矢印で示している。
図12に示すように、投射型表示装置1000が稼働状態にない、電源OFF期間には、ペルチェ素子へ駆動電流が供給されず、液晶層50の温度は、比較的に低い温度(例えば、投射型表示装置1000が置かれた環境温度)にある。
次に、投射型表示装置1000を稼働させるために、電源を投入してオンシーケンス期間を開始させると、ペルチェ素子にプラスの駆動電流が供給される。これにより、液晶層50への加熱が開始されて、液晶層50の温度が上昇する。なお、ペルチェ素子の駆動電流の極性は、加熱手段510および冷却手段520として用いるペルチェ素子の面によって決まるため、駆動電流の極性をマイナスとして加熱を行ってもよい。
次に、液晶層50の温度がTniに到達すると、液晶層50に含まれる液晶の温度もTniとなる。液晶層50の温度がTni以上となったところで、上述した交流信号の印加が開始される。液晶が等方相となるため、垂直配向状態と比べて、イオン性不純物の横方向への移動度が大きくなる。この状態で交流信号V1,V2が印加されるため、イオン性不純物の掃引効果を向上させることができる。オンシーケンス期間の長さは、特に限定されないが、例えば、10秒間から20秒間程度である。なお、ペルチェ素子の駆動電流は、液晶層50(液晶)の温度をTni以上の一定温度で保持し、過度な昇温を防ぐために、断続的に供給される。
次に、オンシーケンス期間が終了すると、ペルチェ素子の駆動電流の極性が反転され、マイナスの駆動電流が供給されて、液晶層50の冷却が開始される。これにより、液晶層50の温度が下降する。この冷却は、液晶層50の温度が、液晶のTniより低い所定の温度以下、すなわち、投射型表示装置1000(液晶装置100)が表示可能な上限温度以下となるまで実施される。投射型表示装置1000が表示可能な上限温度とは、液晶層50に含まれる液晶の種類に依拠するため、特に限定されないが、例えば70℃程度である。なお、液晶層50の冷却を実施している間にも、イオン性不純物の再拡散を抑える観点から、交流信号の印加を継続することが好ましい。
次に、液晶層50の温度が、Tniより低い所定の温度以下となった時点で、冷却および交流信号の印加が終了する。以上で、投射型表示装置1000の立ち上げが完了して、表示期間が開始され、表示可能な状態になる。ここで、投射型表示装置1000の表示期間においては、光の入射によって液晶層50の温度が上昇する場合がある。そのため、ペルチェ素子と、上述した電動ファンなどの投射型表示装置1000を冷却するための機構とを併用して、液晶層50の冷却を実施してもよい。例えば、ペルチェ素子の駆動電流を、オンシーケンス期間後の冷却時よりも小さい電流値で供給し、消費電力を抑えながら液晶層50の冷却を実施してもよい。
なお、投射型表示装置1000に表示期間の積算カウンターを設けて、一定の積算表示期間が経過したところで、液晶層50の加熱および画素電極15への交流信号V1,V2などの印加、液晶層50の冷却を行わせてもよい。ここで、液晶層50の加熱および画素電極15への交流信号V1,V2などの印加、液晶層50の冷却の一連の操作を、以降、単に「イオン性不純物の掃引操作」ともいう。このように定期的にイオン性不純物の掃引操作を行うことにより、投射型表示装置1000の表示品質をさらに向上させてもよい。
以上に述べたように、本実施形態に係る投射型表示装置1000、および投射型表示装置1000の駆動方法によれば、以下の効果を得ることができる。
従来と比べてイオン性不純物の掃引効果を向上させることができる。詳しくは、加熱手段510によって液晶層50の温度を液晶のTni以上とすることが可能であり、液晶の異方性を変えて等方相として、イオン性不純物の移動度を大きくすることができる。特に、VA方式の液晶装置100では、液晶を等方相とすることによって、イオン性不純物の横方向への移動度が大きくなると共に、配向膜に吸着したイオン性不純物を解離させやすくすることが可能となる。
液晶のTni以上まで加熱することにより、液晶層50に含まれる液晶の種類によらず、液晶が等方性となる。このとき、位相がずれた交流信号V1,V2,V3を印加することにより、画素電極15aから画素電極15cに向かう横電界が発生する。すなわち、第1画素電極領域15a1から第2画素電極領域15b2へ、さらに第2画素電極領域15b2から第3画素電極領域15c3へ、電界方向が変化していくことにより、表示領域EのY方向(上下方向)における中央側から外側(長辺側)に向かって、イオン性不純物を掃引することができる。
液晶層50中でのイオン性不純物の移動度が大きくなるため、イオン性不純物の掃引に要する時間を短縮することができる。また、冷却手段520により、Tni以上まで加熱した液晶層50を、Tniよりも低い所定の温度まで冷却して液晶を配向させることが可能となる。そのため、投射型表示装置1000のオンシーケンス期間にイオン性不純物の掃引を実施しても、冷却手段520がない場合と比べて、投射型表示装置1000の立ち上げ時間(表示可能な状態になるまでの時間)を短縮することができる。
投射型表示装置1000の表示開始前にイオン性不純物の掃引を行って、投射型表示装置1000を稼働させなかった期間に拡散したイオン性不純物を、表示領域Eの外側へ掃引することが可能になる。これにより、従来よりも良好な表示品質で投射型表示装置1000を表示させることができる。また、冷却手段520によって、液晶層50の温度が所定の温度以下まで冷却されるため、オンシーケンス期間を含む、投射型表示装置1000が表示可能となるまでの立ち上げ時間を短縮することができる。
以上により、イオン性不純物に起因する表示ムラなどの表示不良の発生が抑制されるため、表示品質が向上した投射型表示装置1000、およびその駆動方法を提供することができる。
(実施形態2)
<表示装置の駆動方法>
実施形態2に係る投射型表示装置1000の駆動方法について、図13を参照して説明する。図13は、実施形態2に係る、液晶層の温度に対する交流信号の印加の時期を示す模式図である。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
実施形態2では、実施形態1と同様な液晶装置100を適用した投射型表示装置1000において、駆動方法を実施形態1に対して、以下に述べるように変更している。
本実施形態の投射型表示装置1000の駆動方法は、オンシーケンス期間とオフシーケンス期間との両方の期間に、加熱手段510により液晶層50を加熱して、液晶層50の温度をTni以上とし、画素電極15aに交流信号V1を印加すると共に、画素電極15bに交流信号V2を印加し、オンシーケンス期間とオフシーケンス期間とがそれぞれ終了した後に、冷却手段520により液晶層50を冷却して、液晶層50の温度を所定の温度以下とする。
図13に示すように、本実施形態では、実施形態1と同様にオンシーケンス期間にイオン性不純物の掃引操作を実施し、これに加えてオフシーケンス期間でもイオン性不純物の掃引操作を実施する。
表示期間が終了した後、オフシーケンス期間が開始され、投射型表示装置1000の立ち下げ動作が始められる。このとき、ペルチェ素子にプラスの駆動電流が供給される。これにより、液晶層50への加熱が開始されて、液晶層50の温度が上昇する。なお、ペルチェ素子の駆動電流の極性は、加熱手段510および冷却手段520として用いるペルチェ素子の面によって決まるため、駆動電流の極性をマイナスとして加熱を行ってもよい。
次に、液晶層50の温度がTniに到達すると、液晶層50に含まれる液晶の温度もTniとなる。液晶層50の温度がTni以上となったところで、交流信号V1,V2などの印加が開始される。このとき液晶が等方相となることから、垂直配向状態と比べて、イオン性不純物の横方向への移動度が大きくなる。この状態で交流信号が印加されるため、イオン性不純物の掃引効果を向上させることができる。オフシーケンス期間の長さは、特に限定されないが、例えば、10秒間から20秒間程度である。なお、ペルチェ素子の駆動電流は、液晶層50(液晶)の温度をTni以上の一定温度で保持し、過度な昇温を防ぐために、断続的に供給される。
次に、オフシーケンス期間が終了すると、ペルチェ素子の駆動電流の極性が反転され、マイナスの駆動電流が供給されて、液晶層50の冷却が開始される。これにより、液晶層50の温度が下降する。この冷却は、液晶層50の温度が、液晶のTniより低い所定の温度以下、すなわち、投射型表示装置1000(液晶装置100)が稼働可能な上限温度以下となるまで実施される。投射型表示装置1000が稼働可能な上限温度とは、液晶層50に含まれる液晶の種類に依拠するため、特に限定されないが、例えば70℃程度である。ここで、液晶層50の冷却を実施している間にも、イオン性不純物の再拡散を抑える観点から、交流信号の印加を継続することが好ましい。
次に、液晶層50の温度が、Tniより低い所定の温度以下となった時点で、冷却および交流信号の印加が終了する。以上で、投射型表示装置1000の立ち下げが完了して、電源OFF期間が開始される。ここで、投射型表示装置1000が置かれた環境温度が、冷却が終了した時点の液晶層50の温度より低い場合には、放冷によって液晶層50の温度は上記環境温度付近まで徐々に下降していく。このとき、待機電力などを用いて冷却手段520を稼働させ、液晶層50の温度を上記環境温度付近まで積極的に下降させてもよい。
なお、投射型表示装置1000に表示期間の積算カウンターを設けて、一定の積算表示期間が経過したところで、イオン性不純物の掃引操作を行わせてもよい。このように定期的にイオン性不純物の掃引を行うことにより、投射型表示装置1000の表示品質をより向上させることができる。
以上に述べたように、本実施形態に係る投射型表示装置1000、および投射型表示装置1000の駆動方法によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
投射型表示装置1000を表示させた期間(表示期間)に、液晶装置100の部材などから生じたイオン性不純物を、表示領域Eの外側へ掃引することができる。したがって、投射型表示装置1000を表示させた期間に拡散するイオン性不純物を低減することが可能となる。また、液晶層50の温度が所定の温度以下まで冷却されるため、オフシーケンス期間を含む、投射型表示装置1000の立ち下げ時間を短縮することができる。
(実施形態3)
<表示装置の駆動方法>
実施形態3に係る投射型表示装置1000の駆動方法について説明する。実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
実施形態3では、実施形態1と同様な液晶装置100を適用した投射型表示装置1000において、駆動方法を実施形態1に対して、以下に述べるように変更している。
本実施形態では、投射型表示装置1000に表示期間の積算カウンターを設けている。この積算カウンターを用いて、一定の積算表示期間が経過したところで、電源OFF期間に、イオン性不純物の掃引操作を行わせる。一定の積算表示期間としては、特に限定されないが、例えば、1000時間から2000時間である。また、イオン性不純物の掃引操作を行わせる閾値(一定の積算表示期間)を、液晶ライトバルブ1210,1220,1230の中で異なる値としてもよい。例えば、青色光(B)が入射される液晶ライトバルブ1230の上記閾値を、他よりも小さい値としてもよい。
以上に述べたように、本実施形態に係る投射型表示装置1000、および投射型表示装置1000の駆動方法によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
定期的にイオン性不純物の掃引を行うことにより、比較的に長時間稼働させなかった場合に、拡散したイオン性不純物が低減され、投射型表示装置1000の表示品質をより向上させることができる。また、定期実施により、オフシーケンス期間またはオンシーケンス期間のイオン性不純物の掃引を簡略化することが可能となる。そのため、投射型表示装置1000の立ち上げ時間または立ち下げ時間を短縮することができる。
(変形例1)
<表示装置の駆動方法>
変形例1に係る投射型表示装置1000の駆動方法について説明する。実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
本変形例では、実施形態2の投射型表示装置1000の駆動方法において、表示期間の前に実施するイオン性不純物の掃引操作を省略している。すなわち、オフシーケンス期間に、加熱手段510により液晶層50を加熱し、液晶層50の温度をTni以上として、画素電極15aに交流信号V1を印加すると共に、画素電極15bに交流信号V2を印加し、オフシーケンス期間の後に、冷却手段520により液晶層50を冷却し、液晶層50の温度を所定の温度以下とする。
このように、投射型表示装置1000の立ち下げの際にのみ、イオン性不純物の掃引操作を行うことによって、投射型表示装置1000の立ち上げ時間(オンシーケンス期間)を短縮することができる。
(変形例2)
<表示装置の構成>
変形例2に係る表示装置の構成について説明する。実施形態2と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
本変形例では、実施形態2の表示装置(投射型表示装置1000)の構成において、液晶装置100に用いた液晶層50に含まれるTniが110℃の液晶に代えて、Tniが80℃以上、100℃未満であって、負の誘電異方性を有するネマティック液晶を用いている。具体的には、本変形例の液晶層50に含まれる液晶のTniは80℃である。また、加熱手段510および冷却手段520に用いる媒体として、実施形態2のエチレングリコールに代えて水を採用している。その他の構成は、実施形態2の表示装置と同様としている。
これによれば、実施形態2の効果に加えて以下の効果を得ることができる。Tniが80℃であることから、イオン性不純物の掃引操作を行う温度を、実施形態2よりも低くすることが可能となる。そのため、加熱手段510を用いて該温度まで加熱する際に、加熱に要する時間やエネルギーを削減することができる。また、該温度から、Tniより低い所定の温度へ冷却する際に、冷却に要する時間やエネルギーを削減することができる。このように、加熱および冷却の期間が短縮されることから、投射型表示装置1000の立ち上げおよび立ち下げの時間を短縮することができる。さらに、媒体として水を用いるため、媒体の取り扱いが容易になる。
(変形例3)
<表示装置の構成>
変形例3に係る表示装置の構成について説明する。変形例2と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
本変形例では、実施形態1の表示装置(投射型表示装置1000)の構成を示した図5において、加熱手段510および冷却手段520を、媒体(水)が充填されたチューブ550を介して、液晶ライトバルブ1230にのみ当接させて配置している。また、この構成において、液晶ライトバルブ1230に対してのみ、イオン性不純物の掃引操作を行う。すなわち、本変形例では、液晶ライトバルブ1210,1220に対しては、加熱および冷却は行わず、且つ液晶層50におけるイオン性不純物の掃引も行わない。
これによれば、変形例2の効果に加えて以下の効果を得ることができる。液晶ライトバルブ1210,1220に対する加熱および冷却を実施しないため、加熱手段510および冷却手段520を変形例2よりも小型化するなど、投射型表示装置1000の構成を簡略化することができる。詳しくは、液晶ライトバルブ1230には、青色光(B)が入射する。青色光(B)は、赤色光(R)および緑色光(G)よりも波長が短く、紫外光に近いため、液晶材料、配向膜18、シール材40などの液晶装置100の部材に由来するイオン性不純物が発生しやすい。そのため、イオン性不純物が発生しやすい液晶ライトバルブ1230にのみ、イオン性不純物の掃引を行うこととして、投射型表示装置1000を簡略化した構成とすることができる。
また、液晶ライトバルブ1230には青色光(B)が入射することから、表示期間における液晶層50の温度上昇が、液晶ライトバルブ1210,1220よりも小さくなる。したがって、液晶ライトバルブ1230の液晶層50には、液晶ライトバルブ1210,1220よりもTniが低い液晶を用いることが可能になる。詳しくは、液晶ライトバルブ1210,1220では、Tniが比較的に低い液晶を用いると、表示期間に入射(照射)される赤色光(R)または緑色光(G)により、液晶層50の温度がTniを超えやすく、表示が不能となる場合がある。これに対して、液晶ライトバルブ1230(青色光(B))では、温度上昇が比較的に小さいため、Tniが比較的に低い液晶を用いて、イオン性不純物の掃引操作における加熱および冷却の時間またはエネルギーを削減することができる。
(変形例4)
<表示装置の構成>
変形例4に係る液晶装置の構成について、図14および図15を用いて説明する。図14は、変形例4に係る液晶装置の構成を示す模式平面図である。図15は、図14に示す液晶装置のB−B’線に沿う模式断面図である。実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図14および図15に示すように、本変形例の液晶装置300は、素子基板10の表示領域Eの外側に少なくとも1つの周辺電極130を有し、交流信号V1が印加される期間に、交流信号V1と印加電圧が同じか、または大きな、交流信号が周辺電極130に印加される。すなわち、画素電極15を用いてイオン性不純物を表示領域Eの外側に掃引することに加えて、周辺電極130を設けて掃引を行ってもよい。
液晶装置300は、例えば、表示に寄与する実表示領域E1と、実表示領域E1を囲んで配置されたダミー画素領域E2と、ダミー画素領域E2を囲む額縁状のシール材40と、が設けられている。シール材40とダミー画素領域E2との間には、見切り領域E3が設けられている。
図15に示すように、第3層間絶縁膜14上における見切り領域E3と平面視で重なる領域には、イオン性不純物60を見切り領域E3に掃引するための周辺電極130が設けられている。周辺電極130は、第1電極131と、第2電極132と、第3電極133とを有しており、それぞれ平面視で四角形の枠状をなしている。
第1電極131、第2電極132、第3電極133には、隣り合う電極間に生ずる電界(電気力線)の方向が、表示領域Eに近い第1電極131から第3電極133の方向に移動するように交流信号が与えられる。
本変形例の対向基板20において、対向電極23は、例えば、実表示領域E1およびダミー画素領域E2と平面視で重なって設けられており、見切り領域E3とは平面視で重なって設けられていない。具体的には、液晶層50を介して第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに対向する部分には対向電極23が設けられていない。
したがって、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれと対向電極23との間で電界が生じ難い。つまり、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれと対向電極23との間で生じる電界によってイオン性不純物60の移動が妨げられることなく、イオン性不純物60が見切り領域E3へ効率よく掃引される。
また、周辺電極130は、少なくとも1つあればよく、第2電極132および第3電極133を設けずに、第1電極131のみを設けてもよい。周辺電極130が1つの場合には、第1電極131のみを設けて、第1電極131に正または負の直流信号を印加して、イオン性不純物60の掃引を行ってもよい。このように、周辺電極130は、第1電極131から第3電極133の3本であることに限定されず、領域の広さに応じて、本数を増減させてもよい。
以上により、交流信号V1および交流信号V2で掃引されたイオン性不純物60を、表示領域Eの外側に掃引することが容易になる。そのため、表示領域Eにおけるイオン性不純物がさらに低減されて、表示装置の表示品質をより向上させることができる。
また、図15に示すように、ダミー画素領域E2のダミー画素電極121,122を用いてイオン性不純物60を掃引するようにしてもよい。
具体的には、第1実施形態のような表示領域Eの画素電極15と、本変形例のダミー画素領域E2のダミー画素電極121,122と、を含めた画素電極によって、イオン性不純物60を掃引するようにしてもよい。
ダミー画素領域E2には、実表示領域E1の画素電極15と同様な構成のダミー画素電極121,122が設けられている。ダミー画素電極121,122を用いることにより、イオン性不純物60を実表示領域E1の外周より遠くに離れた領域まで(例えば、周辺電極130まで)掃引する(受け渡す)ことができる。これにより、例えば、投射型表示装置1000の電源をOFFにしている間に、イオン性不純物60が拡散して実表示領域E1に戻ることを抑えることができる。その結果、表示特性に影響を及ぼすことを抑えることができる。なお、ダミー画素電極121,122は、イオン性不純物60をより遠くまで掃引するために、さらに増やして設けてもよい。
(変形例5)
本発明の表示装置に用いられる液晶装置は透過型であることに限定されず、反射型の液晶装置であってもよい。すなわち、反射型の液晶装置を用いた投射型表示装置であってもよい。