図1、図2及び図3に、本発明のエレベーター巻上機の運搬台車の実施例1を示す。
該図に示すように、本実施例のエレベーター巻上機の運搬台車1は、エレベーター巻上機2Aを載置する2つの荷台部3a、3b、この2つの荷台部3a、3bのそれぞれの底面に2個ずつ設けられた複数(本実施例では4個)の車輪部40a、40bから成る一対の台車1a、1bと、これら一対の台車1a、1b部間に介設され、2つの荷台部3a、3bのそれぞれの底面に2個づつ設けられた4個の連結棒固定部5a、5bと、これら連結棒固定部5a、5bに、一対の台車1a、1bと複数の異なる位置(図1の左右方向の複数の異なる位置)にて固定される2本の連結棒6a、6bとを備えて概略構成されている。
そして、一方の台車1aの荷台部3aは、各連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に設けられた複数(本実施例では図3の上下方向に2個)の第1の巻上機固定穴31a1及び31a2と、各連結棒6a、6bのそれぞれの長さ方向と直交する方向に設けられた複数(本実施例では図3の左右方向に2個)の第2の巻上機固定穴32a1及び32a2と、複数の第1の巻上機固定穴31a1及び31a2もしくは第2の巻上機固定穴32a1及び32a2に取付けられ、各連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に延設され、その延設方向端部近傍に複数(本実施例では図3の上下方向に各2個)の第3の巻上機固定穴33a11、33a12及び33a21、33a22をそれぞれ有する2個の巻上機固定ブラケット4a1及び4a2とを備えて構成されている。なお、第2の巻上機固定穴32a1及び32a2は、図3に表記したが、図3上では巻上機固定ブラケット4a1及び4a2の裏側にある。
また、他方の台車1bの荷台部3bも同様に、各連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に設けられた複数(本実施例では図3の上下方向に2個)の第1の巻上機固定穴31b1及び31b2と、各連結棒6a、6bの長さ方向と直交する方向に設けられた複数(本実施例では図3の左右方向に2個)の第2の巻上機固定穴32b1及び32b2と、複数の第1の巻上機固定穴31b1及び31b2もしくは第2の巻上機固定穴32b1及び32b2に取付けられ、各連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に延設され、その延設方向端部近傍に複数(本実施例では図3の上下方向に各2個)の第3の巻上機固定穴33b11、33b12及び33b21、33b22を有する2個の巻上機固定ブラケット4b1及び4b2とを備えて構成されている。なお、第2の巻上機固定穴32b1及び32b2は、図3に表記したが、図3上では巻上機固定ブラケット4b1及び4b2の裏側にある。
図1、図2及び図3に示すエレベーター巻上機2Aは、既設のものが撤去される大型のエレベーター巻上機を示している。
上述した各連結棒6a、6bには、図8に示すように、それぞれ両端部に固定穴6a1、6b1が形成され、固定穴6b1の下部にもう一つの固定穴6c1が形成されており、固定穴6a1と連結棒固定部5aが、固定穴6b1と連結棒固定部5bが締結具(例えばボルト、ナット等)7a、7bにより各々固定されることで、一対の台車1a及び1b間の長手方向(図1及び図2では左右方向、図3では上下方向)寸法は最大寸法(台車1aと1bが最も離れている)となっている。
また、この既設の大型のエレベーター巻上機2Aは、一対の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1間(図1及び図2では左右方向間、図3では上下方向間)と一対の巻上機固定ブラケット4a2及び4b2間で第3の巻上機固定穴33a11、33a12、33b11、33b12及び33a21、33a22、33b21、33b22のうち最も間隔が広い位置に固定される構成となっている。即ち、巻上機固定ブラケット4a1は第3の巻上機固定穴33a11を介して、巻上機固定ブラケット4b1は第3の巻上機固定穴33b11を介して荷台部3a、3bに固定され、巻上機固定ブラケット4a2は第3の巻上機固定穴33a22を介して、巻上機固定ブラケット4b2は第3の巻上機固定穴33b21を介して荷台部3a、3bに固定されている。
そして、4個の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1と4a2及び4b2は、荷台部3a及び3bに取り付けられていると共に、図7に示すように、4個の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1と4a2及び4b2のそれぞれには、連結棒6a、6bと直交する方向(図3の左右方向)に延びる固定長穴41a1、41b1、41a2、41b2が形成されている。
また、この既設の大型のエレベーター巻上機2Aは、図3に示すように、モーター21Aの左側にシーブ22Aが取り付けられている形状なので、巻上機固定ブラケット4a1及び4b1と4a2及び4b2の荷台部3a、3bへの取付け位置は、図3に示すように、固定長穴41a1及び41b1と41a2及び41b2の左側に寄せて取り付けられており、エレベーター巻上機2Aの重心位置付近がエレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
これに対して、図4に示す既設の大型のエレベーター巻上機2A1の場合は、モーター21A1から右にシーブ22A1が取り付けられている形状なので、巻上機固定ブラケット4a1及び4b1と4a2及び4b2の荷台部3a、3bへの取付け位置は、図4に示すように、固定長穴41a1及び41b1と41a2及び41b2の右側に寄せて取り付けられており、エレベーター巻上機2A1の重心位置がエレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
このように本実施例では、既設の大型のエレベーター巻上機2A、2A1の場合は、一対の台車1a及び1b間の長手方向(図1及び図2では左右方向、図3では上下方向)寸法を最大寸法とし、一対の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1間(図1及び図2では左右方向間、図3では上下方向間)と一対の巻上機固定ブラケット4a2及び4b2間で第3の巻上機固定穴33a11、33a12、33b11、33b12及び33a21、33a22、33b21、33b22のうち最も間隔が広い位置に固定(巻上機固定ブラケット4a1は第3の巻上機固定穴33a11を介して、巻上機固定ブラケット4b1は第3の巻上機固定穴33b11を介して荷台部3a、3bに固定され、巻上機固定ブラケット4a2は第3の巻上機固定穴33a22を介して、巻上機固定ブラケット4b2は第3の巻上機固定穴33b21を介して荷台部3a、3bに固定)し、更に、モーター21A、21A1に対するシーブ22A、22A1の位置に応じて、巻上機固定ブラケット4a1及び4b1と4a2及び4b2に形成されている固定長穴41a1及び41b1と41a2及び41b2の荷台部3a、3bへの取付け位置を変更することで、既設の大型のエレベーター巻上機2A、2A1の重心位置がエレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
また、既設の中型のエレベーター巻上機2A2を運搬する際には、図5に示すように、連結棒6a、6bのそれぞれに形成されている固定穴6a1及び6c1を介して、連結棒固定部5a及び5bと連結棒6a及び6bを締結具7a及び7bで固定することにより、一対の台車1a及び1b間(図5の上下方向間)の寸法は最小寸法(台車1aと1bが最も近接している)に構成することができる。
また、この既設の中型のエレベーター巻上機2A2は、一対の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1間(図5の上下方向間)と4a2及び4b2間で第3の巻上機固定穴33a11、33a12、33b11、33b12及び33a21、33a22、33b21、33b22のうち2番目に広い位置に固定される構成となっている。
即ち、巻上機固定ブラケット4a1では、図中上側の巻上機固定穴33a12に、巻上機固定ブラケット4b1では、図中上側の巻上機固定穴33b11に、巻上機固定ブラケット4a2では、図中上側の巻上機固定穴33a22に、巻上機固定ブラケット4b2では、図中上側の巻上機固定穴33a21に中型のエレベーター巻上機2A2が固定される構造となっている。
そして、既設の中型のエレベーター巻上機2A2の場合は、モーター21A2から右にシーブ22A2が取り付けられている形状なので、巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2の荷台部3a、3bへの取付け位置は、図5に示すように、固定長穴41a1、41b1、41a2、41b2の内の図中右側に寄せて取り付けられており、中型のエレベーター巻上機2A2の重心位置がエレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
更に、既設の小型のエレベーター巻上機2A3を運搬する際には、図6に示すように、連結棒6a、6bのそれぞれに形成されている固定穴6a1及び6c1を介して、連結棒固定部5a及び5bと連結棒6a及び6bを締結具7a及び7bで固定することにより、一対の台車1a及び1b間(図5の上下方向間)の寸法は最小寸法に構成することができる。
また、この既設の小型のエレベーター巻上機2A3は、一対の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1間(図6では上下方向間)と4a2及び4b2間で第3の巻上機固定穴33a11、33a12、33b11、33b12及び33a21、33a22、33b21、33b22間のうち最も狭い位置に固定される構成となっている。
即ち、巻上機固定ブラケット4a1では、図中上側の巻上機固定穴33a12に、巻上機固定ブラケット4b1では、図中下側の巻上機固定穴33b12に、巻上機固定ブラケット4a2では、図中上側の巻上機固定穴33a22に、巻上機固定ブラケット4b2では、図中上側の巻上機固定穴33b22に、小型のエレベーター巻上機2A3が固定される構造となっている。
そして、既設の小型のエレベーター巻上機2A3の場合は、モーター21A3から右にシーブ22A3が取り付けられている形状なので、巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2の荷台部3a、3bへの取付け位置は、図6に示すように、第1の巻上機固定穴31a2及び31b2と第2の巻上機固定穴32a2及び32b2となっている。
上記のように、既設の中、小型のエレベーター巻上機2A2、2A3の場合は、一対の台車1a及び1b間(図5及び図6の上下方向間)の寸法は最小寸法とし、一対の巻上機固定ブラケット4a1及び4b1間(図5及び図6では上下方向間)と4a2及び4b2間で、第3の巻上機固定穴33a11、33a12、33b11、33b12及び33a21、33a22、33b21、33b22間のうち間隔が2番目、3番目広い位置に固定し、更に、モーター21A2、21A3に対するシーブ22A2、22A3の位置に応じて巻上機固定穴への取付け位置を変更することで、エレベーター巻上機2A2、2A3の重心位置が、エレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
このような本実施例の構成とすることにより、各連結棒6a、6bへの台車1a、1bの固定位置を変えることで台車1a、1b間の寸法を変位させて、複数の巾寸法を有する巻上機を荷台部3a、3b上に載置することができる。
また、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2若しくは第2の巻上機固定穴32a1、32b1、32a2、32b2と巻上機の固定位置を選択することで、巻上機の厚さ方向(巾方向に直交する方向)にも巻上機の固定位置を変化させて、多種の巻上機を運搬することができる。
更に、巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2を介して巻上機を荷台部3a、3bに固定すれば、より複数の巾寸法を有する巻上機を荷台部3a、3b上に固定して運搬することも可能となる。
従って、本実施例によれば、巾及び奥行き方向の寸法が異なる場合であっても対応できて運搬可能なエレベーターの運搬台車を得ることができる。
次に、図9乃至図11を用いて、新設の小型のエレベーター巻上機を運搬する場合のエレベーター巻上機の運搬台車の構成について説明する。
該図に示す本実施例では、各連結棒6a、6bに形成されている固定穴6a1、6b1と4つの連結棒固定部5a、5bとが締結具7a、7bにより各々固定されており、一対の台車1a及び1b間(図9の左右方向間、図11の上下方向間)の寸法は最大寸法となっている。
本実施例では、新設の小型のエレベーター巻上機2Bを運搬する場合には、図9及び図10に示すように、上記した実施例1のような巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2は使用せず、図11に示すように、荷台部3a、3bには、連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に設けられた複数の第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2と、連結棒6a、6bの長さ方向と同方向で、かつ、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2を、連結棒6a、6bの長さ方向と直交する方向に所定の間隔をもって挟むように設けられた複数の第2の巻上機固定穴32a11、32a12、32b11、32b12、32a21、32a22、32b21、32b22とが形成されている。
そして、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2の最も近接する穴、即ち、第1の巻上機固定穴31a2及び31b2と、第2の巻上機固定穴32a11、32a12、32b11、32b12、32a21、32a22、32b21、32b22の最も近接する穴、即ち、第2の巻上機固定穴32a22及び32b22とエレベーター巻上機2Bとが直接固定されることで、新設の小型のエレベーター巻上機2Bの重心位置がエレベーター巻上機運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
一方、図12を用いて、新設の大型のエレベーター巻上機2B1を運搬する場合の運搬台車の構成について説明する。
図12に示すように、各連結棒6a、6bに形成されている固定穴6a1、6b1と4つの連結棒固定部5a、5bとが締結具7a、7bにより各々固定されており、一対の台車1a及び1b間(図12の上下方向間)の寸法は最大寸法となっている。
本実施例では、新設の大型のエレベーター巻上機2B1を運搬する場合には、上記した実施例1のような巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2は使用せず、図12に示すように、荷台部3a、3bには、連結棒6a、6bの長さ方向と同方向に設けられた複数の第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2と、連結棒6a、6bの長さ方向と同方向で、かつ、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2を、連結棒6a、6bの長さ方向と直交する方向に所定の間隔をもって挟むように設けられた複数の第2の巻上機固定穴32a11、32a12、32b11、32b12、32a21、32a22、32b21、32b22とが形成されている。
そして、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2の最も近接する穴、即ち、第1の巻上機固定穴31a2及び31b2と、第2の巻上機固定穴32a11、32a12、32b11、32b12、32a21、32a22、32b21、32b22の最も近接する穴、即ち、第2の巻上機固定穴32a12及び32b12とエレベーター巻上機2B1とが直接固定されることで、新設の大型のエレベーター巻上機2B1の重心位置がエレベーター巻上機の運搬台車1の中心位置となるように構成されている。
このような本実施例の構成とすることにより、各連結棒6a、6bへの台車1a、1bの固定位置を変えることで台車1a、1b間の寸法を変位させて、複数の巾寸法を有する新設の小型或いは大型のエレベーター巻上機2B、2B1を荷台部3a、3b上に載置することができる。
また、第1の巻上機固定穴31a1、31a2、31b1、31b2若しくは第2の巻上機固定穴32a11、32a12、32b11、32b12、32a21、32a22、32b21、32b22と新設の小型或いは大型のエレベーター巻上機2B、2B1の固定位置を選択することで、新設の小型或いは大型のエレベーター巻上機2B、2B1の厚さ方向(巾方向に直交する方向)にも新設の小型或いは大型のエレベーター巻上機2B、2B1の固定位置を変化させて、多種のエレベーター巻上機を運搬することができる。
更に、実施例1のような巻上機固定ブラケット4a1、4b1、4a2、4b2を使用しなくて済むので、構造が簡単となり安価なエレベーター巻上機の運搬台車でエレベーター巻上機を運搬することが可能となる。
なお、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。