JP6735181B2 - 冷凍加熱調理済米飯および冷凍炒め米飯の製造方法 - Google Patents
冷凍加熱調理済米飯および冷凍炒め米飯の製造方法 Download PDFInfo
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[1]B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液を用いた、冷凍炒め米飯の製造方法。
[2]B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液と炊飯した米飯とを混合する工程、
前記混合物を炒め調理して炒め米飯を得る工程、および
前記炒め米飯を冷凍する工程
を含む[1]に記載の製造方法。
[3]前記炒め工程における炒め温度が130〜200℃である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記炒め工程を、生米1000g重量当たり7〜15重量%の油脂を加えて行う、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記粘度が80〜160cPである、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液を用いた、冷凍加熱調理済米飯の製造方法
本発明の製造方法は、B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPの調味液を用いる。当該粘度を有する調味液は米飯と混合した際に脱液しにくく調味液を無駄にすることなく有効に使用することができ、さらに炒め調理の際に焦げ付きが発生しにくい。したがって本発明は、炊飯した米飯を炒め調理する工程で当該調味液と当該米飯と混合してよいが、当該調味液と炊飯した米飯とを混合する工程、前記混合物を加熱調理(特に炒め調理)して加熱調理済米飯(特に炒め米飯)を得る工程、および前記調理済米飯を冷凍する工程を含む方法においてより顕著な効果を奏する。以下当該方法を説明する。
炊飯した米飯とは、炊飯器や蒸し器等を用いて生米を炊飯または蒸して得られる米飯である。以下、炊飯した米飯を単に米飯ともいう。炊飯等の方法は定法に従って行えばよい。通常は、生米を水に浸漬した後に炊飯等を行う。
本工程では、前工程で準備した米飯と調味液の混合物の加熱調理を行う。加熱調理の方法として、炒め調理、過加熱水蒸気による加熱調理、蒸し調理が挙げられるが、炒め調理が好ましい。以下、炒め調理を例にして説明する。
炒め調理には油脂を用いてよい。油脂とは炒め油であり、食用油として用いられるものであれば限定されない。好ましい油脂の例としては、菜種油、大豆油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、綿実油、米油、ヤシ油などの植物油脂、牛脂、豚油等の動物油、これらの油にエステル交換、水素添加、硬化等の処理をした加工油脂、これらの組合せが挙げられる。米飯に油脂が均一にまぶされるように、前記混合物に油脂を噴霧する等して添加することが好ましい。
本工程では、前工程で得た炒め米飯を冷凍する。冷凍する方法は特に限定されず、機械式の冷凍装置やドライアイス等を使用した冷凍装置を使用して実施できる。例えば、ほぐしながら撹拌する冷凍工程を行うことにより、炒め飯をバラ状に凍結させることもできる。
本発明で得られた冷凍炒め米飯は、電子レンジ等により加熱して喫食される。前述のとおり、本発明の冷凍された炒め米飯は、喫食時に香ばしい炒め食感を有する。本発明の冷凍炒め米飯は、冷凍チキンライス、冷凍ピラフ、冷凍ドライカレー、冷凍ビビンバ、冷凍ジャンバラヤ、または冷凍ナシゴレンであってよい。限定されないが、炒めチキンライスを製造した後、スパイス等を加えることによって、炒め感のあるドライカレーを製造することができる。また、当業者であれば、調味液に使われる調味素材を適宜変更することにより、これらの炒め米飯を得ることができる。
炒め調味液の粘度と米飯に混合した後の脱液量との関係を調べるために、ケチャップをベースとした調味液A、B、C、Dを調製した。具体的に、業務用ケチャップ(カゴメ株式会社製)を約85℃まで加熱し、加熱したケチャップと約80℃の湯を表1に示す割合で混合し、均一になるように撹拌した。得られた調味液について、BH型回転粘度計(TOKIMEC製VISCOMETER)を使用して80℃での粘度の測定を行った。測定において、No.1のローターを使用し回転数を20rpmとした。しかし、湯を加えなかった調味液Dについては、この方法では粘度を測定できなかったため、No.2のローターを使用し、回転数を2rpmとして測定した。
生米300gを11分蒸した後、色素、油脂および下味エキスを含む着色液に2分30秒浸漬し、再度11分間蒸らして炊飯を行った。
製造例1で調製した各調味液を約80℃に加熱した。炊飯した米飯をボールに移し、加熱した調味液150gを当該米飯に添加して7秒程度、ボールを用いて混合撹拌した。この米飯を2mmメッシュの篩に移して、さらに篩を別のボールの上に置いた。篩を手で叩いて10回の振動を与えた後、再度篩上にて米飯を撹拌した。その後、更に篩に10回の振動を与えてボールに落ちた液量を観察した。結果を図1に示す。この結果から、粘度が200cP以上の調味液を用いた場合、米飯に十分に吸収されずに脱液してしまうことが明らかとなった。
製造例2の結果から、炒め調味液の粘度として120cPを採用し、加熱された筒状ドラム内で食材を連続的に炒めることのできる食品連続炒め装置を用いて、炒めチキンライスの製造を行った。チキンライスとは主にケチャップで味付けされた炒め米飯であり、通常は調理された鶏肉や玉葱などを具材として含む。本例では簡略化のため、具材は用いなかった。
実施例1の条件では、従来に比べて大幅な改善が見られたものの時間経過と共に若干の焦げ付きが見られたため、炒め温度を下げて炒めチキンライスを製造した。すなわち、装置の上流側で予備的炒め調理を105〜130℃(実測値)で行い、中流以降で炒め調理を150〜180℃(実測値)で行った以外は、実施例1と同様にして炒めチキンライスを製造した。その結果、時間経過とともにロータリー板の入り口付近に調味液の膜が観察されたものの、焦げ付きは殆ど発生しなかった。
実施例2では焦げ付きは殆ど見られなかったものの、ロータリー板の入り口に調味液の膜が見られたため、これを防ぐために調味油の量を増やして試作を行った。すなわち、調味油の量を約8.83重量%(生米1000g基準)とした以外は実施例2と同じにして、炒めチキンライスを製造した。本例における炒め工程に供されたトータルの油脂の量は生米1000gに対して、約9.9重量%であった。炒め調理を開始してから40分経過しても、焦げはほとんど発生しなかった。本例で使用した調味油の量は、炒め調理を経ずに製造される製品に使用される量の約190%と多量であり、炒め温度も粘度の低い調味液を使用する「低粘度タイプ冷凍炒め米飯」で採用されている温度(200℃〜250℃(実測値))よりも大幅に低い。しかしながら、本例で製造された炒めチキンライスは、油っぽさは感じられず香ばしい炒め風味が十分に感じられる高品質のものであった。
実施例1〜3では、装置の上流側で予備的炒め調理を行い、中流以降で炒め調理を行った。本実施例では、装置の上流側から中流にかけて炒め調理を140〜160℃で行い、下流で炒め温度を下げた仕上げ炒め調理を105〜130℃で行って炒めチキンライスを製造した。温度条件以外は、実施例1と同様にした。その結果、炒め調理を開始してから40分経過しても、焦げはほとんど発生しなかった。本例で製造された炒めチキンライスは、油っぽさは感じられず香ばしい炒め風味が十分に感じられる高品質のものであった。
炒め調味液の粘度と焦げやすさの関係を調べるためにケチャップをベースとし、粘度を140cP、200cPに調整した炒め調味液を調製した(表3)。具体的には、加熱して約130℃(実測値)としたフライパンに60gの調味液を供し、弱火にて約2分間加熱を続け、各調味液の変化を観察した。2分間加熱後、フライパンの温度は約170℃(実測値)となっていた。結果を図2に示す。200cPの調味液は水分が蒸発し、調味液全体が焦げ付いていた。これに対し140cPの調味液では端部でやや水分が蒸発して膜が生じたものの、全体としてほとんど焦げ付きには至らなかった。この結果から、粘度が200cPの調味液が鉄板上で130〜170℃の温度で加熱された場合、2分程度で焦げ付いてしまうことが確認された。調味液がフライパン上で加熱された場合、粘度が低いと対流が起こりやすく局部的な過熱を回避できるが、粘度が高い場合は対流が起こりにくく局部的な過熱が生じるので焦げ付きやすいと推察された。したがって、本実施例と製造例2の結果から、粘度200cP以上の調味液を用いて炒め温度130〜220℃で炒め米飯を製造した場合、調味液の一部が米飯に吸収されず脱液し、これが加熱され焦げ付きとなることが明らかとなった。
炒め調味液の粘度が炒めチキンライスの食味に及ぼす影響を確認するために、粘度が30cP、50cP、140cPとなるように配合を調整した炒め調味液(表4)を調製し、炒めチキンライスを製造した。本例では簡略化のため、具材は用いなかった。
生米300gを水に浸漬後、炊飯した。浸漬前の生米300gに対して約25重量%となるように75gの調味液を炊飯した米に加えて混合撹拌した。さらに浸漬前の生米300gに対してトータルの油脂量が約12重量%となるように調味油(菜種油、乳化油脂、シーズニングオイルの混合油)を添加した。これらをフライパンを用いて120〜180℃(実測値)の加熱条件で約1分間炒め調理した。得られた炒めチキンライスを常温で60分間放置した後、十分に訓練されたパネル3名による官能評価試験に供した。食味は炒めチキンライスとして十分な食味であるものを「◎」、食味がやや薄いが製品としての水準は満たしているものを「〇」、食味が弱く製品としての水準を満たさないものを「×」とした。結果を表5に示した。50cP、140cPの調味液を使用した炒めチキンライスは製品として必要な食味を満たしており、特に140cPのものはトマトの旨味・酸味などが十分に感じられ高い評価であった。これに対し、30cPのものは食味が薄く製品としての水準を満たさないものであった。
Claims (6)
- B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液を用いた、冷凍炒め米飯の製造方法。
- B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液と炊飯した米飯とを混合する工程、
前記混合物を炒め調理して炒め米飯を得る工程、および
前記炒め米飯を冷凍する工程
を含む請求項1に記載の製造方法。 - 前記炒め工程における炒め温度が130〜200℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記炒め工程を、生米1000g重量当たり7〜15重量%の油脂を加えて行う、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘度が80〜160cPである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- B型粘度計によって80℃、20rpmで測定した粘度が50〜180cPである調味液を用いた、冷凍加熱調理済米飯の製造方法。
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