JP2004024117A - 冷凍食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷凍食品の製造方法において、第1工程として、食品素材に調味料を和えて凍結させるか、前記食品素材に調味料をかけて凍結させるか、あるいは前記食品素材と調味料とを別々に凍結させた上で該食品素材の凍結物と調味料の凍結物を上下にかさねて置き、第2工程として、第1工程で得られた凍結物に調味料を上からかけてさらに凍結する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調味料の使用量を低減させることができる冷凍食品の製造方法、特に食塩やグルタミン酸ソーダ等のナトリウム含有調味料の使用量を低減させることができる冷凍食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食塩やグルタミン酸ソーダ等のナトリウム摂取量が過多であるために、誘引される高血圧や動脈硬化、さらに合併症として引き起こされる脳卒中、心臓病、腎臓病等の生活習慣病に関心が集まっている。このような疾病を予防し、あるいは悪化させないようにするために、ナトリウム摂取量を抑えることが必要である。
【0003】
ところが、食塩は調味料の中で最も基本的なものであり、塩味は食味の根幹をなす基本味であることから、減塩食品の食味を低下させないための手段が、以前より検討されてきた。塩化ナトリウムをまったく使用しない塩味料として、特開昭58−216665号公報ではフマル酸ナトリウムと塩化アンモニウムの組合せ、特開昭58−216666号公報および特開昭58−224663号公報にはフマル酸あるいはコハク酸に炭酸アンモニウムを特定割合で調合した塩味料、特開昭58−216667号公報には、塩化カリウム、リンゴ酸ナトリウム、およびリンゴ酸ナトリウム以外の有機酸塩の組合せ、特開昭59−17962号公報および特公昭59−51987号公報には酒石酸ナトリウムと塩化アンモニウムの組合せ、特開昭61−234757号公報では酒石酸水素カリウム等の特定のカリウム化合物とL−グルタミン酸の組合せによる塩味料が提案されている。そして、食塩の代替物として、特公平07−32690号公報では海藻ミネラルを、特公平08−8844号公報では乳ミネラル濃縮物を使用する方法が紹介されている。
【0004】
また、食塩あるいは醤油を使用しながらも、塩味を増強することによって、結果として食塩の使用量を減らす方法として、特開昭53−127862号公報では減塩醤油にコンブ抽出液とシイタケ抽出液を混合する方法、特開昭59−74964号公報では減塩醤油をベ−スとし、これに食物繊維、アスコルビン酸および塩化カリウムを配合する焼肉用たれ、特公昭60−28254号公報では塩化ナトリウムと塩化カリウムの特定比混合物に、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを特定量添加した減塩肉類加工品、特公平04−28341号公報では塩化ナトリウムと塩化カリウムと弱アルカリ塩類とを所定比率で配合する鹹味料、特許第2889423号公報では食塩含有飲食品にC3〜C8の飽和脂肪族モノカルボン酸を特定割合で添加する方法、特開平02−53456号公報では黒麹および黄麹を加水し消化分解して得られる分解液を配合する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法においては、食味の質が食塩本来のすっきりした塩味とは異なるものとなり、問題があった。特に塩化カリウムは苦味があり、塩味は向上しても、食味の質が劣るという問題があった。この点に関して、特公平04−49990号公報では塩化カリウムを配合した塩味料にクエン酸ナトリウム等を混入する方法が提案されているが、苦味を解消するには不充分であった。
【0006】
そして、食塩以外の調味料としてよく使用される旨味調味料もグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム等、ほとんどがナトリウムを含有しているが、これらの調味料を低減させて、なおかつ食味を低下させない方法は、これまでなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況を鑑み、本発明は、食塩や旨味調味料の本来の食味の質をそのままに維持し、しかも食塩や調味料の使用量を減らしても、十分な塩味や旨味を有する冷凍食品を提供することを目的とする。
【0008】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意研究した結果、冷凍食品の製造に当たり、第1工程として、麺、パスタ、米飯、惣菜等の食品素材に調味料を和えて凍結させるか、前記食品素材に調味料をかけて凍結させるか、あるいは前記食品素材と調味料とを別々に凍結させた上で該食品素材の凍結物と調味料の凍結物を上下にかさねて置き、かつ、第2工程として第1工程で得られた凍結物に調味料を上からかけてさらに凍結すれば極めて優れた結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は冷凍食品の製造方法において、第1工程として、食品素材に調味料を和えて凍結させるか、前記食品素材に調味料をかけて凍結させるか、あるいは前記食品素材と調味料とを別々に凍結させた上で該食品素材の凍結物と調味料の凍結物を上下にかさねて置き、かつ、第2工程として、第1工程で得られた凍結物に調味料を上からかけてさらに凍結することを特徴とする冷凍食品の製造方法により上記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における冷凍食品とは、食品素材と調味料を組み合わせて調理した後に凍結し、冷凍した状態で流通する食品である。
【0011】
本発明における食品素材としては、調味料と組み合わせて食するものをすべて含み、例として、麺、パスタ、米飯、惣菜等が挙げられる。より具体的には、麺としてはうどん、冷麦、そうめん、そば、ラーメン等が挙げられ、パスタとしてはスパゲッティ、マカロニ、ラザニア等が挙げられ、米飯としては、カレーライス、チキンライス、ピラフ、ドリア、リゾット、雑炊、粥等が挙げられる。そして、これら麺、パスタ、米飯については、焼く、炒める、茹でる、炊く、蒸すといった調理を施したものすべてを含む。また、前記の惣菜としては、肉、魚介、野菜、きのこ類等の素材にソースや醤油等の調味料をかけたり、からめたりして食する肉料理、魚料理、野菜料理等もすべて含む。
【0012】
本発明において、麺、パスタ、米飯、惣菜といった食品素材を組み合わせる調味料としては、醤油、つゆ、だし、たれ、トマトソース、ホワイトソース、ベシャメルソース、カレーソース等から適宜選ぶことができる。また、単なる呈味成分のみを含む食塩水やグルタミン酸ナトリウム水溶液といった塩味物質水溶液や旨味物質水溶液を用いることもできる。
【0013】
本発明に係る冷凍食品は、まず、第1工程として食品素材に調味料を和えて凍結させるか、前記食品素材に調味料をかけて凍結させるか、あるいは前記食品素材と調味料とを別々に凍結させた上で該食品素材の凍結物と調味料の凍結物を上下にかさねて置き、かつ、第2工程として、第1工程で得られた凍結物に調味料を上からかけてさらに凍結することによって製造され、最終的な流通形態となる。すなわち、麺、パスタ、米飯等の調理食品の外側に調味料が存在している冷凍食品の形態が最終形態である。
【0014】
本発明の冷凍食品の製造方法において、上記の第1工程および第2工程に用いられる調味料は、同じ塩味成分あるいは同じ旨味成分を有しているものを用いる。しかし、これら第1工程および第2工程に使用する調味料は、まったく同じ種類である必要はなく、例えば、第1工程で食塩を含有するしょう油を用いる場合、第2工程では単なる食塩水を使用することができる。また、例えば、第1工程で旨味成分を含有するソースを用いる場合は、第2工程ではグルタミン酸ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0015】
本発明の冷凍食品の製造方法において、上記の第1工程に用いられる調味料は、通常の食品素材の調理に用いられる量の5%以上減らしても、また食品の種類によっては、下味をつける程度の量に抑えても、食塩や旨味成分本来の食味の質を損うことなくそのまま維持し、しかも十分な塩味や旨味を有する食品が得られる。上記の第1工程と第2工程に各々用いられる調味料の合計におけるナトリウム塩の含有量は、これを通常の調理に用いられる場合に比べて、5%〜30%削減できる。
【0016】
本発明における旨味成分としては、グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系ナトリウム塩、イノシン酸ナトリウムなどの核酸系ナトリウム塩、コハク酸ナトリウムなどの有機酸系ナトリウム塩をナトリウム塩の形態をなっている旨味成分すべてを含む。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
【0018】
実施例1(ほうれん草の照り焼きしょう油味)
濃口しょう油1.1kg、味醂1.5kg、清酒0.8kgを混合後加熱し、上白糖0.1kgを煮溶かし、照り焼き用たれを調製した。このたれを茹でたほうれん草10.0kgと和えて、加熱しながらソテーすることにより、ほうれん草の照り焼きを得た。そして、得られたほうれん草の照り焼きを13.5gずつ小分けして、一旦冷凍し、凍結状態のところに、濃口しょう油0.1gと水0.8gの混合液を噴霧して、さらに凍結した。1ヶ月冷凍保存後、電子レンジで解凍加熱して、しょう油の風味の強さを官能評価したところ、しょう油を加熱したときに感じる香ばしい良好な風味であった。
【0019】
比較例1(ほうれん草の照り焼きしょう油味)
照り焼き用たれの濃口しょう油の使用量を1.2kgに代え、かつ濃口しょう油と水の混合液を噴霧しなかった以外は実施例1と同様にしてほうれん草の照り焼きを得て凍結保存した。1ヶ月保存後、実施例1と同様にしょう油の風味の強さを官能評価したところ、香ばしい風味は実施例1に比し薄弱であった。
【0020】
比較例2(ほうれん草の照り焼きしょう油味)
照り焼き用たれの濃口しょう油の使用量を1.3kgに代えた以外は比較例1と同様にしてほうれん草の照り焼きを得て冷凍保存した。1ヶ月保存後、実施例1と同様にしょう油の風味の強さを官能評価したところ、実施例1とほぼ同等の良好な風味であった。
【0021】
上記実施例1及び比較例1・2の結果を表1にまとめた。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかな如く、本発明によれば、しょう油の配合割合が少ないにも拘わらず良好なしょう油の風味が得られた。
【0024】
実施例2(トマトソースのスパゲティ)
トマトソース(食塩濃度2.0%)60gを茹でたスパゲティ130gにかけて一旦冷凍し、凍結状態のところに食塩0.4gと水10.2gの混合液を噴霧して、さらに凍結した。1ヶ月冷凍保存後、電子レンジで解凍加熱して、塩味の強さを官能評価したところ、良好な塩味が感じられた。
【0025】
比較例3(トマトソースのスパゲティ)
食塩と水の混合液を噴霧しなかった以外は実施例2と同様にしてトマトソースのスパゲティを得て冷凍保存した。1ヶ月保存後、実施例2と同様に塩味の強さを官能評価したところ、塩味は実施例2に比し薄弱であった。
【0026】
比較例4(トマトソースのスパゲティ)
トマトソース(食塩濃度2.0%)60gと食塩0.6gを加えて、加熱しながら和えた後、茹でたスパゲティ130gにかけた以外は比較例3と同様にしてトマトソースのスパゲティを得て冷凍保存した。1ヶ月保存後、実施例2と同様に塩味の強さを官能評価したところ、実施例2とほぼ同等の良好な塩味であった。
【0027】
上記実施例2及び比較例3・4の結果を表2にまとめた。
【0028】
【表2】
【0029】
表2から明らかな如く、本発明によれば、食塩濃度が低いにも拘らず良好な塩味が得られた。
【0030】
実施例3(チキンライス)
鶏ミンチ肉10.0gと玉葱みじん切り10.0gを炒め、白米130.0g、トマトソース50.0gを加えた後、さらに炒めてチキンライスを調製した得られたチキンライスを一旦冷凍し、凍結状態のところにグルタミン酸ナトリウム0.15gと水5.0gの混合液を噴霧して、さらに凍結した。1ヶ月冷凍保存後、電子レンジで解凍加熱して、旨味の強さを官能評価したところ、良好な旨味が感じられた。
【0031】
比較例5(チキンライス)
グルタミン酸ナトリウムと水の混合液を噴霧しなかった以外は、実施例3と同様にしてチキンライスを得て冷凍保存した。1ヶ月保存後、実施例3と同様に旨味の強さを官能評価したところ、旨味は実施例3に比し薄弱であった。
【0032】
比較例6(チキンライス)
チキンライスの調製に際し、さらにグルタミン酸ナトリウム0.2gを加えた以外は比較例5と同様にしてチキンライスを得て冷凍保存した。1ヶ月保存後、実施例3と同様に旨味の強さを官能評価したところ、実施例3とほぼ同等の良好な旨味であった。
【0033】
上記実施例3及び比較例5・6の結果を表3にまとめた。
【0034】
【表3】
【0035】
表3から明らかな如く、本発明によれば、グルタミン酸ナトリウム濃度が低いにも拘らず良好な旨味が得られた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、食塩や旨味調味料の本来の食味の質をそのまま維持し、しかも食塩や調味料の使用量を低減しても、十分な塩味や旨味を有する冷凍食品を得ることができる。
Claims (3)
- 冷凍食品の製造方法において、第1工程として、食品素材に調味料を和えて凍結させるか、前記食品素材に調味料をかけて凍結させるか、あるいは前記食品素材と調味料とを別々に凍結させた上で該食品素材の凍結物と調味料の凍結物を上下にかさねて置き、かつ、第2工程として、第1工程で得られた凍結物に調味料を上からかけてさらに凍結することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
- 調味料が食塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷凍食品の製造方法。
- 調理料が旨味成分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍食品の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002185731A JP2004024117A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 冷凍食品の製造方法 |
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JP2002185731A JP2004024117A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 冷凍食品の製造方法 |
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JP2004024117A true JP2004024117A (ja) | 2004-01-29 |
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ID=31181274
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JP2002185731A Pending JP2004024117A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 冷凍食品の製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2006014711A (ja) * | 2004-07-05 | 2006-01-19 | Nisshin Foods Kk | 成型容器入り冷凍流動状食品 |
JP2017035082A (ja) * | 2015-08-12 | 2017-02-16 | テーブルマーク株式会社 | 冷凍加熱調理済米飯および冷凍炒め米飯の製造方法 |
JP2019205416A (ja) * | 2018-05-30 | 2019-12-05 | フリーズ食品開発株式会社 | 脱塩調理品の製造方法及び喫食方法 |
-
2002
- 2002-06-26 JP JP2002185731A patent/JP2004024117A/ja active Pending
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