JP7491504B2 - 風味油脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燻煙を利用した風味油脂組成物の製造方法に関する。
従来、食用油脂に対して風味付けを行うためには、油脂中で、香味野菜、糖類、アミノ酸類等を加熱攪拌し、その反応によって発現した風味を油脂へ移行させ、香味油として利用することが行われている。例えば、バターフレーバーオイル、ガーリックオイル、ねぎ油、唐辛子油などはその代表例である。
例えば、特許文献1には、実質的にビタミンEを添加していない食用固形脂へ水と酵母エキス加工調味料を添加し、加熱して香味油を得ている。この出願では、ビタミンEを添加していない食用固形脂しか使用することができないため、多くの油脂にビタミンEが添加されている昨今では汎用性は低い。
また、下記特許文献1には、細断した長ネギを加えて、所定温度で加熱処理して長ネギの香味を付加した植物性油脂に、唐辛子の加工品と玉ネギの加工品を加えた香味油が記載されている。
一方、下記特許文献2には、食品粉末を攪拌しつつ、燻煙と接触させることにより燻煙処理した燻煙処理食品粉末を、食品中に0.1~5質量%含有させることを特徴とする食品の風味改善方法が記載されている。
特開2012-39902号公報 特開2011-62117号公報
従来の風味油は、例えば特許文献1に示されるように、食用油脂に、香味野菜等の風味付与材を添加して加熱処理することにより製造されていた。しかし、従来の風味油では、香味野菜等に特有な風味が付与されるため、幅広い用途に用いることが難しかった。
一方、特許文献2には、食品粉末を燻煙と接触させて、各種食品にほのかな燻臭を付与できる燻煙処理食品粉末を得ることが記載されているが、油脂に適用することについては何ら示唆されていない。
したがって、本発明は、食用油脂に香ばしい風味を付与して、幅広い用途に用いることが可能な風味油脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的達成のため、鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、所定の植物原料を加熱処理して燻煙を発生させ、当該燻煙を食用油脂に接触させるという処理、いわゆる食用油脂に対して所定の燻煙処理を行うことにより、当該食用油脂に香ばしさを付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、焙煎した植物原料を加熱処理し、燻煙を発生させる第1工程と、前記燻煙を食用油脂に接触させる第2工程と、を含むことを特徴とする風味油脂組成物の製造方法に関する。
本発明の風味油脂組成物の製造方法において、第2工程は、食用油脂を回転ドラムに入れて、回転撹拌しながら、該回転ドラム内に燻煙を通過させて、燻煙を食用油脂に接触させることが好ましい。
本発明の風味油脂組成物の製造方法において、植物原料は、コーヒー又は麦であることが好ましい。
本発明の風味油脂組成物の製造方法において、燻煙を接触させる食用油脂の温度が、0℃以上60℃以下であることが好ましい。
本発明の風味油脂組成物の製造方法において、燻煙を発生させる加熱処理の温度が、180℃以上600℃以下であることが好ましい。
本発明の風味油脂組成物の製造方法において、燻煙に食用油脂を接触させる時間が、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。
本発明の食品への香ばしさ付与方法は、上記の製造方法で得られた風味油脂組成物を、食品又は食材に添加することを特徴とする。
本発明の食品の製造方法は、上記の製造方法で得られた風味油脂組成物を、食品又は食材に添加することを特徴とする。
本発明の香ばしさ付与剤は、上記の製造方法で得られた風味油脂組成物を有効成分とすることを特徴とする。
本発明の油脂組成物の製造方法は、上記の製造方法で得られた風味油脂組成物を、他の食用油脂に配合する工程を含むことを特徴とする。
本発明は、また、植物原料を加熱処理し、燻煙を発生させる第1工程と、食用油脂を回転ドラムに入れて、回転撹拌しながら、該回転ドラム内に前記燻煙を通過させて、前記燻煙を前記食用油脂に接触させる第2工程と、を含むことを特徴とする風味油脂組成物の製造方法を提供する。
以上、本発明によれば、焙煎した植物原料を加熱処理し、燻煙を発生させて、この燻煙を食用油脂に接触させることにより、食品への香ばしさ付与効果に優れた風味油脂組成物を得ることができる。この風味油脂組成物は、食品に添加することにより、食品にほのかな燻臭を付与して、香ばしさを付与することができる。また、ほのかな燻臭によってくせのない香ばしさが付与されるため、幅広い用途に用いることができる。また、食品のいやな臭いや味をマスキングして風味改善を図る効果もある。更に、燻材を選択することによって、付与される風味を変えることができ、例えばコーヒー及び麦を燻材とすることにより、より好ましい香ばしさを付与することができる。
実施形態における風味油脂組成物の製造装置の概略図である。 同装置に食用油脂を充填する際の状態図である。
以下、本発明のその他の特徴及び詳細について説明する。
本発明の風味油脂組成物の原料油脂としては、汎用のものを用いることができ、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ごま油、月見草油、パーム系油脂、シア脂、サル脂、カカオ脂、やし油、パーム核油等の植物性油脂、あるいはラード、牛脂、鶏油、乳脂、魚油などの動物脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂が挙げられる。また、前記植物油脂、動物油脂及び合成油脂を硬化、分別及びエステル交換から選ばれる1種又は2種以上の処理をした加工油脂を使用することができる。それら油脂類は単独又は混合油を用いてもよい。なかでも、菜種油、大豆油、パーム系油、コーン油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、綿実油、米油、サフラワー油、ラードおよび牛脂から選ばれる1種を含むことが好ましく、菜種油、大豆油、パーム系油脂、コーン油及び米油から選ばれる1種を含むことがより好ましい。ここでいうパーム系油脂とは、パーム油およびパーム油の加工油脂を意味する。
原料油脂は、融点が10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ま
しい。なお、本明細書で、融点は、上昇融点を意味する。上昇融点は、基準油脂分析試験
法2.2.4.2-1996に則って測定することができる。
また、本発明で使用することができる燻煙を発生させる植物原料としては、ヒッコリー、リンゴ、ホワイトオーク、ナラ、ブナ、サクラ等の汎用の燻材、大豆、イナゴ豆、ソラ豆、エンドウ豆、インゲン豆、ヒヨコ豆、小豆、落花生などの豆類、麦、ハダカムギ、ライムギ、エンバクなどのイネ科の原料、コーヒーなどを好ましく用いることができる。特に、従来にない香ばしさの風味付けをできるという観点からコーヒー及び麦が好ましい。
コーヒーは、その後の加熱処理条件を制御することによって、生豆の状態であっても、焙煎した豆の状態でもよく、さらには豆を挽いて細粒化した状態であってもよいが、燻煙を効率よく発生させて、食用油脂に風味付けを行うには豆を焙煎後に、細粒化したものが好ましい。
麦は小麦、大麦のどちらでもよいが、大麦の方が燻煙を効率よく発生させて、食用油脂に風味付けを行うことができるので、好ましい。また、使用の際には全粒粉で用いることが好ましい。
次に、本発明の風味油脂組成物の製造方法について説明する。図1は、実施形態における風味油脂組成物の製造装置の概略図であり、図2は、同装置に食用油脂を充填する際の状態図である。
この製造装置は、回転ドラム1を回転可能に支持する回転支持台2が、基台3に対して前後に傾斜可能に支持されている。すなわち、回転支持台2は、回転ドラム1の回転時には、回転ドラム1をほぼ水平に支持し、食用油脂の導入、取出し時には、基台3に対して前後いずれかの方向に回動して、傾斜できるように構成されている。
回転ドラム1は、円筒状をなし、その両端はそれぞれ縮径して、開口部4,5を有している。また、回転ドラム1の中央部外周には、ガイドローラ溝6が形成されており、回転支持台2から延出したガイドローラ7を嵌合させて、回転ドラム1の回転操作中における回転ドラム1の横ブレ等を防止するように構成されている。また、回転ドラム1の内周壁には、攪拌羽根8が複数取付けられている。
さらに、回転ドラム1の外周面には図示しないヒータが配設され、回転ドラム1内に導入した食用油脂を所定の温度まで加熱して、燻煙処理に供するように構成されている。なお、回転ドラム1内の油脂の温度を、油脂の流動性に支障をきたさない温度に保てるのであれば、上記ヒータはなくてもよい。
この回転ドラム1の一端の開口部4には、燻煙発生部10から伸びた燻煙導入筒L1が、パッキン9aを介して開閉可能に接続している。
燻煙発生部10は、下方に吸気口11が形成され、上方に燻煙導入筒L1が延出したハウジング12内に加熱装置13が配置されており、ハウジング12内に配置した燻材を、加熱装置13で加熱して燻煙を発生させ、発生した燻煙を、燻煙導入筒L1を通して回転ドラム1内に導入出来るように構成されている。加熱装置としては、ヒータ、炭、ガス、自動式スモークジェネレータ等が挙げられる。
また、この回転ドラム1の他端の開口部5には、支持枠20により支持された燻煙排気筒L2が、パッキン9bを介して開閉可能に接続している。
この製造装置において、回転ドラム1内に食用油脂を充填したり、取り出したりする際には、図2に示すように、回転ドラム1の両端から燻煙導入筒L1及び燻煙排気筒L2を取外し、回転支持台2を一方向に傾斜させて作業を行うようになっている。
回転ドラム1を傾斜させて、回転ドラム1内に食用油脂を充填した後、回転支持台2を水平に戻し、回転ドラム1の両端の開口部4,5に燻煙導入筒L1及び燻煙排気筒L2をそれぞれ取付ける。そして、回転ドラム1を回転させるとともに、燻煙発生部10のハウジング12内に燻材を所定量設置し、燻材を加熱装置13で加熱して燻煙を発生させ回転ドラム1内に導入し、燻煙処理を行う。
回転ドラムの回転速度は、2~30回転/分が好ましく、5~25回転/分がより好ましい。回転速度が2回転/分未満であると、攪拌不足による燻製ムラを生じやすく30回転/分を超えると食用油脂の飛散により燻製ムラを生じやすい。
燻煙処理は、食用油脂を、必要により加熱して、好ましくは0~60℃の範囲、より好ましくは10~60℃の範囲、さらに好ましくは15~50℃の範囲に保持して、好ましくは180~600℃の燻煙、より好ましくは180~500℃の燻煙、さらに好ましくは200~500℃の燻煙で、好ましくは0.1~24時間、より好ましくは0.5~20時間、さらに好ましくは1~10時間行う。
食用油脂の温度が0℃未満であると、燻煙が液化(木酢液)して、油脂がペースト状になることがあり、60℃を超えると食用油脂が熱劣化して風味改善効果が損なわれてしまう場合がある。
また、燻煙温度が180℃未満であると、食用油脂に対して燻煙成分が十分に吸着されず、ムラが生じる場合があり、燻煙温度が600℃を超えると、食用油脂にコゲが生じたり、食用油脂が熱劣化したりして、風味改善効果が損なわれることがある。
さらに、燻煙時間が0.1時間未満であると、食用油脂に燻煙成分が十分吸着されず、ムラが生じることがあり、24時間を超えると燻煙の付着が悪くなり時間対効果を感じられなくなることがある。
なお、食用油脂の温度が低すぎる場合には、上述したように、回転ドラム1の外周面に配設したヒータによって所定の温度になるように加熱を行う。また、燻煙温度は、加熱装置13による燻材の加熱温度である。さらに、燻煙時間は、燻煙が回転ドラム1内に滞留する時間である。
このようにして、所定時間燻煙処理を行った後、図2に示すように、回転ドラム1の両端から燻煙導入筒L1及び燻煙排気筒L2を取外し、回転支持台2を一方向に傾斜させ、燻煙処理食用油脂(風味油脂組成物)を取り出す。
このようにして得た風味油脂組成物は、例えば、食品への香ばしさ付与剤として、食品又は食材に添加することができる。
その食品としては、炒飯、野菜炒め等の炒め物類、お好み焼き、焼そば、焼肉等の焼き物類、麻婆豆腐のソース、パスタソース、味付け肉のたれ等のソース類、ラーメンスープ、コンソメスープ、カレー、シチュー等のスープ類、餃子、肉まんの具、ハンバーグ、ソーセージ等の食肉加工品類、炊き込みご飯、ピラフ等の米飯類、ロールパン、クッキー等の製菓製パン類、魚肉ソーセージ、かまぼこ等の水産加工品類、唐揚げ粉、チヂミ粉、粉末スープ等の調製粉類、シーズニングソース、ドレッシング、マヨネーズ、ポン酢、中華料理の素、鍋つゆ等の調味料類、マーガリン、ファットスプレッド等のマーガリン類、フレンチフライ、唐揚げ、イカリング、コロッケ等の油ちょう食品等であってよい。このうち、炒め物類、焼き物類、スープ類が好ましく、さらに炒め物類がより好ましい。
その使用態様に特に制限はなく、すなわち、各種食品の調理、加工、あるいは製造等におけるほぐし油、炊飯油、炒め油及びフライ油等の調理用油、ボックスオイル及び天板油等の離型油、練りこみ油、インジェクション用油及び仕上げ油等の調味用油等として用いることによって、あるいは各種食品の調理、加工、あるいは製造等の後に、添加、混合、塗布、溶解、分散、乳化等して当該食品に組み込ませることで、香ばしさを付与することができる。
食品に香ばしさを付与するための香ばしさ付与剤の食品への添加量は、上記風味油脂組成物の添加量として、例えば0.0005~5質量%、好ましくは0.001~2.0質量%、より好ましくは0.001~1.0質量%である。所定の範囲とすることで、食品に適度な香ばしさを付与することができ、食品を好ましい風味とすることができる。
なお、本発明において、例えば燻材としてコーヒー、麦を使用した場合には、食品に対してより良好な香ばしさを付与することができる。本発明の香ばしさ付与剤(風味油脂組成物)によってもたらされる香ばしさは、従来のガーリックオイルやバターフレーバーオイルなどと異なり、燻煙によって付与されるものであり、食用油脂に添加した食品にほのかな燻臭を付与して、香ばしさを付与するものである。また、燻臭は、食品のいやな臭いや味をマスキングして風味改善を図る効果もある。また、燻材を選択することによって、付与される風味を変えることができ、例えばコーヒー及び麦を燻材とすることにより、より好ましい香ばしさを付与することができる。
また、風味付与剤は、現在、その特性、すなわち風味を定性的及び定量的に分析し、特定する手段を有しない。したがって、当該風味付与剤は、上述のようにして製造した風味油脂組成物を有効成分として含むように、製造方法で規定するものである。
なお、上述のようにして得た風味油脂組成物は、他の食用油脂と配合して任意の油脂組成物を製造することができる。他の食用油脂としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ごま油、月見草油、パーム系油脂、シア脂、サル脂、カカオ脂、やし油、パーム核油等の植物性油脂、あるいはラード、牛脂、鶏油、乳脂、魚油などの動物脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂が挙げられる。また、前記植物油脂、動物油脂及び合成油脂を硬化、分別及びエステル交換から選ばれる1種又は2種以上の処理をした加工油脂を使用することができる。それら油脂類は単独又は混合油を用いてもよい。
この場合、風味油脂組成物を他の食用油脂と混合して得られる油脂組成物中の風味油脂組成物の含有量は、0.01~70質量%が好ましく、0.1~50質量%がより好ましく、0.1~30質量%がさらにより好ましい。多くなると異風味を生ずる場合がある。
以下に試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
試験例1~9
(風味油脂組成物の製造)
図1に示した製造装置の容量300Lの回転ドラム1中に精製菜種油(上昇融点0℃以下)40kgを入れ、精製菜種油の温度は室温(25℃程度)とした。その後、ハウジング12内に配置した焙煎済みのコーヒー豆を加熱装置13で400℃に加熱して燻煙を発生させ、燻煙導入筒L1を通して回転ドラム1内に導入した。そして、回転ドラム1を6回転/分で回転させるとともに、回転ドラム1の内周壁に配設された攪拌羽根8で攪拌しながら、約30分間、精製菜種油と燻煙とを接触させた。その後、得られた風味油脂組成物を回転ドラム1から取り出し、表1に示す割合で精製菜種油と配合し、油脂組成物を得た。なお、表1の配合量は質量%である。
(評価)
油脂組成物の香ばしさは、評価者4人による表2に示す基準で評価し、異風味の有無についても上記評価者4人によって実施した。評価は、評価者4人の合議で表した。
Figure 0007491504000001
表1から明らかなように、精製菜種油に対する風味油脂組成物であるコーヒー燻製油の割合が増大するにつれて、得られた油脂組成物の香ばしさが増大していることが分かる。
試験例8~9
試験例1~7と同様にしてコーヒー燻製油を製造した後、精製菜種油に代えて、精製コーン油及び精製ラードを94質量%とし、コーヒー燻製油と配合して油脂組成物を製造した。なお、表3の配合量は質量%である。
次いで、油脂組成物の香ばしさは、評価者4人による表2に示す基準で評価し、異風味の有無についても上記評価者4人によって実施した。評価は、評価者4人の合議で表した。
表3から明らかなように、コーヒー燻製油を配合することにより、コーン油及びラードを用いて製造した油脂組成物は香ばしさを有していた。また、香ばしさ以外の異風味はなかった。
試験例10
図1に示した製造装置の容量300Lの回転ドラム1中に精製菜種油40kgを入れ、精製菜種油の温度は室温(25℃程度)とした。その後、ハウジング12内に配置した焙煎済の大麦を加熱装置13で400℃に加熱して燻煙を発生させ、燻煙導入筒L1を通して回転ドラム1内に導入した。そして、回転ドラム1を6回転/分で回転させるとともに、回転ドラム1の内周壁に配設された攪拌羽根8で攪拌しながら、約30分間、精製菜種油と燻煙とを接触させた。その後、得られた風味油脂組成物を回転ドラム1から取り出し、表4に示す割合で精製菜種油と配合し、油脂組成物を得た。なお、表4に示す配合量は質量%である。
(評価)
油脂組成物の香ばしさは、評価者4人による表2に示す基準で評価し、異風味の有無についても上記評価者4人によって実施した。評価は、評価者4人の合議で表した。
表4から明らかなように、同量のコーヒー燻製油よりも香ばしさは減少しているものの、麦燻製油を配合することにより、得られた油脂組成物は香ばしさを有していた。また、香ばしさ以外の異風味はなかった。
試験例11
ステンレス製フライパンをIHヒータで230℃に温まるまで加熱した後、敷き油の精製菜種油12gを入れ、油をフライパンの調理面に広げた後、卵を入れて15秒炒めた。その後、ご飯200g、塩コショウ0.6gを入れて1分45秒炒めた。さらに、みじん切りにしたネギ30g及び醤油を適量入れ、さらに1分間炒めた。最後に、精製菜種油または試験例3で得た油脂組成物を2g入れてかき混ぜ、炒飯を完成させた。その結果、試験例3を用いた炒飯は香ばしさが付与されていた。異風味は無かった。
試験例12及び13
菜種油98質量%に対し、焙煎なしコーヒー燻製油及び焙煎なし麦燻製油をそれぞれ2質量%添加した以外は、試験例10と同様にして油脂組成物を得た。なお、油脂組成物の香ばしさは、評価者4人による表2に示す基準で評価し、異風味の有無についても上記評価者4人によって実施した。
焙煎なしのコーヒー燻製油及び焙煎なしの麦燻製油の場合は、異風味がなかった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (8)

  1. 回転ドラムと、燻煙発生部と、該燻煙発生部から伸びて、前記回転ドラム内に燻煙を導入する燻煙導入筒と、前記回転ドラム内から燻煙を排出する燻煙排気筒とを有する装置を用いて、食用油脂(ただし、粉末油脂を除く)を回転ドラムに導入し、食用油脂の流動性が保たれる温度に維持し、前記燻煙発生部にて植物原料を加熱処理し、燻煙を発生させる第1工程と、
    前記回転ドラムを回転させて前記食用油脂を回転攪拌しながら、前記燻煙発生部で発生した燻煙を、前記燻煙導入筒を通して前記回転ドラムに導入し、前記燻煙を前記食用油脂に接触させる第2工程と、
    を含むことを特徴とする風味油脂組成物の製造方法。
  2. 前記植物原料は、焙煎されたコーヒー又は焙煎された麦である、請求項に記載の風味油脂組成物の製造方法。
  3. 前記燻煙を接触させる前記食用油脂の温度が、0℃以上60℃以下である、請求項1又は2に記載の風味油脂組成物の製造方法。
  4. 前記燻煙を発生させる前記加熱処理の温度が、180℃以上600℃以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の風味油脂組成物の製造方法。
  5. 前記燻煙に前記食用油脂を接触させる時間が、0.1時間以上24時間以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の風味油脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の製造方法で得られた風味油脂組成物を、食品又は食材に添加することを特徴とする食品への香ばしさ付与方法。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の製造方法で得られた風味油脂組成物を、食品又は食材に添加することを特徴とする食品の製造方法。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の製造方法で得られた風味油脂組成物を、他の食用油脂に配合する工程を含むことを特徴とする油脂組成物の製造方法。
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