JP6734573B2 - 露光装置、並びにディスプレイ及びデバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置、並びにディスプレイ及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、投影光学系を介して基板を露光する露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置の製造工程中で、ガラスプレート等のパネル状の感光性基板にマスクパターンの像を露光するために、マスクと感光性基板とを投影光学系に対して同期移動して感光性基板を走査露光する露光装置(以下、パネル露光装置という。)が使用されている。従来のパネル露光装置は、投影光学系の大型化を抑制して大面積のパターンを効率的に露光するために、複数の部分投影光学系から構成されるマルチレンズ型の投影光学系を備え、その複数の部分投影光学系の露光領域で露光されるパターンを感光性基板上で高精度に繋ぐために、走査方向に対して傾斜した形状の2つの露光領域の端部で二重露光が行われる継ぎ部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
また、パネル露光装置で走査露光する際に、マスク及び感光性基板の走査速度がそれぞれ所定速度に達してから感光性基板の各パターン形成領域の露光を行うために、マスクを保持して移動するマスクステージの走査方向の移動ストロークには、マスクをその所定速度まで加速するための加速区間、及び各パターン形成領域の露光終了後に、マスクの減速を行うための減速区間が加えられていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−330964号公報
パネル露光装置においては、マスクの大型化に伴い、マスクステージも大型化してきている。また、従来の露光方法では、マスクステージの移動スロトークには、実際に感光性基板を露光しているときの区間の長さの他に、マスクの加減速区間の長さを加える必要があるため、マスクステージ、並びにマスクステージ用の位置計測機構及び駆動機構はさらに大型化することになる。このため、走査露光時のマスクの移動距離をできるだけ短縮することが求められている。
また、従来のパネル露光装置においては、感光性基板の表面に継ぎ部が設けられているため、複数の露光領域で露光されるパターンを高精度に繋ぐことができる。また、その継ぎ部には、わずかな露光量むらが生じる恐れがあるが、このような露光量むらは、現在のディスプレイ装置で必要とされるレイヤの数では問題にならない程度のものである。しかしながら、今後、感光性基板上で必要とされるレイヤの数が増加したときに、その複数のレイヤに対して同じ露光装置で露光を行うと、その継ぎ部のわずかな露光量むらの影響(例えば継ぎ部における透明な回路パターンの線幅が他の領域のパターンの線幅と微妙に異なること等)が次第に積算されて、最終的に製造されるディスプレイ装置の画面に微妙な輝度むら等が現れる恐れがある。
本発明の態様は、このような事情に鑑み、複数の露光領域を用いて基板を走査露光する場合に、走査露光時のマスクの移動距離を短縮すること、又は継ぎ部の露光量のむらの影響を低減することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光方法において、その複数の露光領域の間には継ぎ部を備え、その基板の走査露光中にその基板の走査方向の速度を変化させることと、その基板のその走査方向の速度に応じてその露光領域のその走査方向の幅を制御することと、を含む露光方法が提供される。
第2の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光方法において、その基板の第1の層の走査露光中におけるその複数の露光領域の間の継ぎ部のその基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、その基板の第1の層と異なる第2の層の走査露光中におけるその継ぎ部のその非走査方向の位置を変化させる露光方法が提供される。
第3の態様によれば、所定パターンを有するマスクと物体とを照明光に対して走査方向へ相対移動させ、複数の投影光学系を介してその所定パターンをその物体上に走査露光する露光装置において、そのマスクを保持する第1移動体と、その物体を保持する第2移動体と、その照明光によって照明されるそのマスク上のその所定パターンが複数のその投影光学系のそれぞれを介してその物体上の投影される投影領域の形状を設定する視野絞りと、複数のその投影光学系のそれぞれに設けられ、その視野絞りにより設定されたその投影領域に対応するその照明光の光路を一部遮光する遮光板と、その遮光板を、その走査方向と交差する非走査方向へ移動させる第1駆動部と、その第1移動体とその第2移動体とを、その物体が走査露光されるように、その投影光学系に対して、その走査方向へ相対移動させる第2駆動部と、その第1駆動部を制御する制御部と、を備え、複数のその投影光学系は、その物体のうち第1領域にその照明光を投影しその遮光板を有する第1投影光学系と、その走査方向に関して離れた配置され、その第1領域のうちその非走査方向の端部側の領域と一部重複する重複領域にその照明光を投影しその遮光板を有する第2投影光学系と、を有し、その制御部は、その第1移動体に保持されたそのマスクを用いるその物体の走査露光と、その第1移動体に保持された、そのマスクとは別のマスクを用いた、その所定パターンが露光されたその物体に対する走査露光とで、その物体におけるその重複領域のその非走査方向の位置を異ならせるよう、その第1投影光学系内のその遮光板とその第2投影光学系内のその遮光板とをそれぞれその非走査方向に移動させる露光装置が提供される。
第4の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光方法において、その基板の第1の層の走査露光中におけるその複数の露光領域の間の継ぎ部のその基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、その基板の第1の層と異なる第2の層の走査露光中におけるその継ぎ部のその非走査方向の位置を変化させるために、その基板の第1の層の走査露光中におけるそのマスク及びその基板のその投影光学系に対するその非走査方向の第1の相対位置に対して、その基板の第2の層の走査露光中におけるそのマスク及びその基板のその投影光学系に対するその非走査方向の第2の相対位置を変化させる露光方法が提供される。
第5の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光装置において、その複数の露光領域は、その複数の露光領域の間に継ぎ部が設けられるように配置されるとともに、その基板をその投影光学系に対して走査方向に走査する基板ステージと、その露光領域のその走査方向の幅を制御する露光領域制御機構と、その基板の走査露光中に、その基板ステージを介してその基板のその走査方向の速度を変化させるとともに、その基板の走査方向の速度に応じて、その露光領域制御機構を介してその露光領域の走査方向の幅を制御する制御部と、を備える露光装置が提供される。
第6の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光装置において、その複数の露光領域の間の継ぎ部のその基板の走査方向に直交する非走査方向の位置を制御する露光領域制御機構と、その基板の第1の層の走査露光中における、その継ぎ部のその非走査方向の位置に対して、その基板の第1の層と異なる第2の層の走査露光中における、その継ぎ部のその非走査方向の位置を変化させるように、その露光領域制御機構を介してその継ぎ部の位置を制御する制御部と、を備える露光装置が提供される。
第7の態様によれば、露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、そのマスク及びその基板をその少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光装置において、その基板をその投影光学系に対して走査方向に走査可能であるとともに、その基板をその走査方向に直交する非走査方向に移動可能な基板ステージと、そのマスクをその投影光学系に対してその走査方向に対
応する方向に走査可能であるとともに、そのマスクをその非走査方向に対応する方向に移動可能なマスクステージと、その基板ステージ及びそのマスクステージの動作を制御する制御部と、を備え、その制御部は、その基板の第1の層の走査露光中におけるその複数の露光領域の間の継ぎ部のその基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、その基板の第1の層と異なる第2の層の走査露光中におけるその継ぎ部のその非走査方向の位置を変化させるために、その基板の第1の層の走査露光中におけるそのマスク及びその基板のその投影光学系に対するその非走査方向の第1の相対位置に対して、その基板の第2の層の走査露光中におけるそのマスク及びその基板のその投影光学系に対するその非走査方向の第2の相対位置を、その基板ステージ及びそのマスクステージを介して変化させる露光装置が提供される。
第8の態様によれば、本発明の態様の露光装置を用いて、その物体としてのその基板を露光することと、露光されたその基板を現像することと、を含むディスプレイの製造方法が提供される。
第9の態様によれば、本発明の態様の露光方法又は露光装置を用いて物体又は基板を露光することと、露光された物体又は基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第1又は第5の態様によれば、基板及びマスクの加減速中にも基板を露光できるため、複数の露光領域を用いて基板を走査露光する場合に、走査露光時のマスクの移動距離を短縮できる。
また、本発明の第2、第3、若しくは第4の態様、又は第6若しくは第7の態様によれば、継ぎ部の非走査方向の位置を変化させることができるため、複数の露光領域を用いて例えば基板の複数の層(レイヤ)の走査露光を行う場合に、継ぎ部の露光量むらの影響を低減できる。
実施形態に係る露光装置の概略構成を示す斜視図である。 図1の露光装置の制御系を示すブロック図である。 (A)は図1中のブラインド機構を示す平面図、(B)は図1中の複数の部分投影光学系及び視野絞りの配置の一例を示す図、(C)は複数の露光領域の間の継ぎ部を示す図である。 第1の実施形態における露光方法の一例を示すフローチャートである。 (A)は走査開始直後のマスクステージを示す図、(B)は加速中のマスクステージを示す図である。 (A)はさらに加速中のマスクステージを示す図、(B)は一定速度で走査中のマスクステージを示す図、(C)はプレートのパターン形成領域を示す図である。 (A)は減速中のマスクステージを示す図、(B)は走査終了後のマスクステージを示す図である。 (A)はマスクステージ(プレートステージ)の速度変化の一例を示す図、(B)は露光領域のスリット幅の変化の一例を示す図、(C)はプレート上の露光量分布の一例を示す図である。 (A)は変形例のブラインド機構を示す図、(B)は変形例において露光領域のスリット幅を最大にした状態を示す図である。 第2の実施形態の露光方法の一例を示すフローチャートである。 (A)はブラインドで照明領域の−X方向の端部を遮光した状態を示す図、(B)はプレートの第2レイヤにおける継ぎ部の位置を示す図、(C)はブラインドで照明領域の+X方向の端部を遮光した状態を示す図、(D)はプレートの第3レイヤにおける継ぎ部の位置を示す図である。 (A)はブラインドで照明領域の両端部を遮光した状態を示す図、(B)はプレート上の継ぎ部を示す図、(C)はブラインド及びシャッタ部で照明領域の一部を遮光した状態を示す図、(D)はプレート上の継ぎ部の位置を示す図である。 (A)はマスクをY方向にずらした状態を示す平面図、(B)はプレート上の継ぎ部の位置を示す図である。 電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1〜図8(C)を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、フォトレジスト(感光材料)が塗布された矩形の平板ガラスよりなるプレートP(感光性基板)にマスクMのパターンの像を露光する走査露光方式のパネル露光装置である。露光装置EXで露光されたプレートPは、一例として、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置の表示部であるパネルを製造するために使用される。露光装置EXは、それぞれマスクMのパターンの像をプレートPの表面に投影する複数(本実施形態では一例として7つ)の部分投影光学系PLA,PLB,PLC,PLD,PLE,PLF,PLG(図3(B)参照)を有するマルチレンズ型の投影システムPS(投影光学系)を備えている。以下、投影システムPSに対して合焦されているときのプレートPの表面に垂直にZ軸を取り、その表面に平行な平面内で走査露光時のマスクM及びプレートPの走査方向に沿ってX軸を、X軸に直交する方向(非走査方向)に沿ってY軸を取って説明する。
図1において、露光装置EXは、露光用の照明光(露光光)ELを発生する例えば超高圧水銀ランプからなる光源10と、照明光ELでマスクMのパターン面の部分投影光学系PLA〜PLGと同じ個数の照明領域IRA,IRB,IRC,IRD,IRE,IRF,IRG(図3(A)参照)を均一な照度分布で照明する照明系ISと、マスクMをマスクホルダ(不図示)を介してXY平面に平行に保持して移動するマスクステージ21と、プレートPを保持して移動するプレートステージ22とを備えている。
さらに、露光装置EXは、マスクステージ21の端部に設けられたX軸の移動鏡23MX及びY軸の移動鏡23MYに計測用のレーザ光を照射して、マスクステージ21の位置情報を計測する複数軸のレーザ干渉計23Aと、プレートステージ22の端部に設けられたX軸の移動鏡23PX及びY軸の移動鏡23PYに計測用のレーザ光を照射して、プレートステージ22の位置情報を計測する複数軸のレーザ干渉計23Bとを備えている。また、露光装置EXは、レーザ干渉計23A,23Bの計測結果に基づいてマスクステージ21及びプレートステージ22を駆動するそれぞれリニアモータ等を含むマスクステージ駆動系25及びプレートステージ駆動系26(図2参照)と、装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータを含む主制御装置20(図2参照)とを備えている。
マスクステージ駆動系25は、走査露光時にマスクステージ21の走査方向(X方向)の位置及び速度を制御するとともに、必要に応じてマスクステージ21のZ軸に平行な軸の回り(以下、θz方向という)の回転角を所定範囲内で調整可能である。また、プレートステージ駆動系26は、走査露光時にマスクステージ21に同期してプレートステージ22のX方向の位置及び速度を制御するとともに、走査露光の間(ステップ移動時)に、プレートステージ22のX方向及び/又はY方向の位置を制御する。なお、一例として、マスクMは、X方向の幅が1〜2m程度、Y方向の幅が1〜1.5m程度の矩形の平板状であり、プレートPは、X方向の幅が2〜2.5m程度、Y方向の幅が2〜3m程度の矩形の平板状であり、マスクステージ21及びプレートステージ22はそれぞれマスクM及びプレートPを保持できる大きさに設定されている。また、プレートPの複数のパターン形成領域(不図示)にそれぞれマスクMのパターンの像が露光される。
次に、照明系IS及び投影システムPSにつき説明する。まず、光源10から射出された照明光ELは、楕円鏡、ミラー、シャッタ(不図示)、及び波長選択フィルター(不図
示)を介して集光光学系11に入射する。集光光学系11を通過した照明光ELは、分岐光学系13の入射端12に入射し、部分投影光学系PLA〜PLGと同じ個数の分岐光学系13の射出端14A〜14Gから射出された照明光ELは、それぞれ対応する部分照明系ILA〜ILGを介して台形状の照明領域IRA〜IRGを照明する。なお、本実施形態では、部分投影光学系PLA〜PLGの物体面側の視野は、部分投影光学系PLA〜PLG中の視野絞り35A〜35G(図3(B)参照)によって規定される。このため、照明領域IRA〜IRGとは、視野絞り35A〜35Gの開口35Aa等と光学的に共役な領域を意味しており、部分照明系ILA〜ILGは、それぞれ照明領域IRA〜IRGを含み照明領域IRA〜IRGよりもわずかに広い範囲を照明する。部分照明系ILA〜ILGは、それぞれコリメートレンズ、フライアイインテグレータ(オプティカルインテグレータ)、及びコンデンサーレンズ等を有する。集光光学系11から部分照明系ILA〜ILGまでの光学部材を含んで照明系ISが構成されている。
マスクMの照明領域IRA〜IRGからの照明光は、各照明領域に対応するようにY方向に沿って2列に配列された複数の部分投影光学系PLA〜PLGからなる投影システムPSに入射する。部分投影光学系PLA〜PLGは照明領域IRA〜IRG中のパターンの像を対応する台形状の露光領域PRA,PRB,PRC,PRD,PRE,PRF,PRG(図3(C)参照)に形成する。部分投影光学系PLA〜PLGは、互いに同一構成で一例としてZ方向に配列された2段の反射屈折系を有するほぼ両側にテレセントリックで高解像度の結像光学系である。また、部分投影光学系PLA〜PLGは、それぞれ一例として中間結像を行うとともに、マスクパターンの等倍の正立正像をプレートP上に形成する。
一例として、部分投影光学系PLDは、マスクMからの光をシフトする像シフタ31Aと、マスクMのパターンの一次像を形成する第1反射屈折系を構成する第1屈折系33A及び凹面鏡34Aと、マスクMからの光をその第1反射屈折系に向け、その第1反射屈折系からの光を−Z方向に向ける第1直角プリズム32Aと、その一次像の近傍に配置された視野絞り35Dと、その一次像の二次像をプレートP上に形成する第2反射屈折系を構成する第2屈折系33B及び凹面鏡34Bと、一次像からの光をその第2反射屈折系に向け、その第2反射屈折系からの光をプレートP側に向ける第2直角プリズム32Bと、プレートPに入射する光をシフトする像シフタ31Bとを備えている。像シフタ31A,31Bは例えば複数の平行平面板よりなる。なお、マルチレンズ型の投影システムの詳細な構成の一例は、例えば特開2001−330964号公報に開示されている。
また、投影システムPSを構成する部分投影光学系PLA〜PLGの個数は、露光されるマスクMが大きくなるほど多くなり、投影システムPSは例えば11個の部分投影光学系(1列目が5個及び2列目が6個)を備えてもよい。このように、部分投影光学系PLA等の個数は任意であり、部分投影光学系PLA等の構成は任意である。
図3(B)に示すように、部分投影光学系PLA〜PLGは、Y方向に配置された第1列の3個の部分投影光学系PLA,PLB,PLCと、それらに対向するように−X方向に配置されるとともに、Y方向に半周期ずれて配置された第2列の4個の部分投影光学系PLD,PLE,PLF,PLGとに分かれて、光学系フレーム(不図示)に支持されている。また、部分投影光学系PLA〜PLGの中間結像面の近傍に、それぞれ視野絞り35A,35B,35C,35D,35E,35F,35Gが配置され、視野絞り35A〜35Gに設けられたY方向に平行なエッジ部を上辺及び底辺とする台形状の開口35Aa〜35Gaによって、露光領域PRA〜PRGの基本的な形状が規定される。
図3(C)に示すように、第2列の部分投影光学系PLD〜PLGの露光領域PRD〜PRGは、−X方向側を底辺とする台形状であり、第1列の部分投影光学系PLA〜PLCの露光領域PRA〜PRCは、Y方向に関して露光領域PRD〜PRGの間に位置して
いるとともに、露光領域PRA〜PRCは、+X方向側を底辺とする台形状である。また、例えば+X方向に向かって全部の露光領域PRA〜PRGを見ると、第1列の露光領域PRA〜PRCの走査方向(X方向)に対して傾斜した2つのエッジ部(以下、傾斜部という)は、それぞれ第2列の露光領域PRD〜PRGの対応する傾斜部と重なっている。なお、図3(C)において、第2列の外側の2つの露光領域PRD,PRGの外側のエッジ部は、例えばマスクMのパターン領域PA(図3(A)参照)を囲む遮光帯、又はプレートPの近傍に配置されて、露光領域PRA〜PRGからY方向の露光可能な範囲を選択するためのX方向に平行な2枚の遮光板(不図示)によって遮光されているため、露光領域PRD,PRGの外側のエッジ部はX軸に平行になっている。
また、部分投影光学系PLA〜PLGは、一例としてそれぞれマスクパターンの等倍の正立正像をプレートP上に形成するため、照明領域IRA〜IRGの形状及び配列は、露光領域PRA〜PRGの形状及び配列と同じである。このため、例えば+X方向に見ると、露光領域PRA〜PRG(照明領域IRA〜IRG)はY方向に隙間なく配置されている。そこで、照明領域IRA〜IRGのパターンの投影システムPSによる像でプレートPを露光しつつ、マスクステージ21によって照明領域IRA〜IRGに対してマスクMを+X方向(又は−X方向)に移動(走査)することと、プレートステージ22によって露光領域PRA〜PRGに対してプレートPを+X方向(又は−X方向)に移動(走査)することとを同期して行うことで、マスクMの全面のパターンを1回の走査露光でプレートPの一つのパターン形成領域43Aに隙間なく露光できる。
また、パターン形成領域43Aにおいて、露光領域PRA〜PRCの一方の傾斜部、及び対応する露光領域PRD〜PRGの傾斜部(露光領域PRA〜PRCの傾斜部とY方向に対称な形状の傾斜部)によって二重露光される継ぎ部44A,44B,44C,44D,44E,44Fでは、二重露光後の露光量が他の領域の露光量と実質的に同じになるため、露光領域PRA〜PRGで露光されるパターンがY方向に高精度に繋がれる。露光領域PRA〜PRGの傾斜部のY方向の幅の最大値をdとすると、継ぎ部44A〜44FのY方向の幅の最大値もdとなる。また、露光領域PRA〜PRGの走査方向(X方向)の幅であるスリット幅Dが最大値に設定されているときの、−Y方向から1番目の継ぎ部44Aの中心のパターン形成領域43Aの−Y方向の端部からの距離をYAとする。このとき、2番目の継ぎ部44Bの中心のその端部からの距離はほぼ(2・YA+d/2)となる。
また、本実施形態の露光装置EXは、走査露光時の露光領域PRA〜PRGのスリット幅D、及び露光領域PRA〜PRGの傾斜部のY方向の位置を変更する機構を備えている。まず、図1において、マスクMの照明領域IRA〜IRGの上方に近接して、それぞれY方向に細長い平板状の遮光部材よりなる4個のマスク側のブラインド41A,41B,41C,41Dが、互いに重ならないようにかつ互いに独立にX方向に移動可能に配置されている。そして、ブラインド41A〜41Dの−Y方向の端部は、例えばリニアモータ方式でブラインド41A〜41DのX方向の位置及び速度を個別に制御する駆動部42Aに連結され、ブラインド41A〜41Dの+Y方向の端部はガイド部42Bに連結されている。駆動部42Aにはブラインド41A〜41DのX方向の位置を検出するエンコーダ(不図示)も組み込まれている。一例として、駆動部42A及びガイド部42Bは、照明系ISを保持するフレーム(不図示)に支持されている。
図3(A)に示すように、照明系ISによる2列の照明領域IRA〜IRGは、マスクMのパターン領域PAをY方向に横切るように設定され、第1列の照明領域IRA〜IRCと第2列の照明領域IRD〜IRGとのX方向の間隔は、一例として各照明領域IRA〜IRGのX方向の幅の2倍よりも大きく設定されている。ブラインド41A〜41DのX方向の幅はそれぞれ照明領域IRA〜IRGのX方向の幅よりもわずかに広く設定され
、露光領域PRA〜PRGのスリット幅を最大にするときには、第1のブラインド41Aは第1列の照明領域IRA〜IRCに対して+X方向側に待避し、第2及び第3のブラインド41B,41Cは第1列の照明領域IRA〜IRCと第2列の照明領域IRD〜IRGとの間の領域に待避し、第4のブラインド41Dは第2列の照明領域IRD〜IRGに対して−X方向側に待避している。
そして、ブラインド41A及び/又は41Bで第1列の照明領域IRA〜IRCの+X方向側及び/又は−X方向側の部分を遮光し、ブラインド41C及び/又は41Dで第2列の照明領域IRD〜IRGの+X方向側及び/又は−X方向側の部分を遮光することによって、図3(C)の露光領域PRA〜PRGのスリット幅D及び露光領域PRA〜PRGのX方向の中心位置を変更することができる。ブラインド41A〜41D、駆動部42A、及びガイド部42Bから、露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを変更するブラインド機構40(第1制御機構)が構成されている。図2のブラインド制御系27が、主制御装置20からの制御情報(例えば露光領域PRA〜PRGのスリット幅D及びX方向の中心位置等)に基づいて、駆動部42Aを介してブラインド41A〜41DのX方向の位置及び速度を制御する。
また、図3(B)に示すように、部分投影光学系PLA〜PLGの中間結像面の近傍の視野絞り35A〜35Gの配置面において、視野絞り35A,35B,35D,35Eの台形状の開口35Aa等の−Y方向の傾斜部に平行なエッジ部を有するシャッタ部36A,36B1,36D,36Eが、それぞれ駆動部37A,37B1,37D,37EによってY方向の位置を制御できるように配置されている。さらに、視野絞り35B,35C,35F,35Gの台形状の開口35Ga等の+Y方向の傾斜部に平行なエッジ部を有するシャッタ部36B2,36C,36F,36Gが、それぞれ駆動部37B2,37C,37F,37GによってY方向の位置を制御できるように配置されている。駆動部37A〜37Gとしては、例えば直動型の超音波モータ等が使用できる。
例えば、駆動部37Cによってシャッタ部36Cを点線で示す位置B1まで移動して、視野絞り35Cの開口35Caの一部を遮光することによって、視野絞り35Cによって規定される台形状の露光領域PRC(図3(B)参照)の+Y方向の傾斜部のY方向の位置(露光領域PRCのY方向の長さ)を制御できる。同様に、他のシャッタ部36A,36B1,36D,36EをY方向に駆動することによって、対応する露光領域PRA,PRB,PRD,PREの−Y方向の傾斜部の位置を制御でき、シャッタ部36B2,36F,36GをY方向に駆動することによって、対応する露光領域PRB,PRF,PRGの+Y方向の傾斜部の位置を制御できる。シャッタ部36A〜36G及び駆動部37A〜37Gから、露光領域PRA〜PRGの少なくとも一方の傾斜部のY方向の位置を変更するシャッタ機構38(第2制御機構)が構成されている。
図2のシャッタ制御系28が、主制御装置20からの制御情報に基づいて、駆動部37A〜37Gを介してシャッタ部36A〜36Gの位置を制御する。例えば、マスクM(又は他のマスク)に形成されているパターンを、プレートP上のY方向に隣接する2つのパターン形成領域に継ぎ合わせながら露光して、マスクM等のパターンよりも大面積のパターンをプレートP上に露光するような場合に、マスクM等のパターンのY方向の幅に応じて、シャッタ機構38のシャッタ部36A〜36Gの位置を変更して、対応する露光領域PRA〜PRGのY方向の傾斜部の位置を制御することで、プレートP上のY方向に隣接する2つのパターン形成領域の間の継ぎ部の位置を最適な位置に調節することができる。なお、ブラインド機構40のブラインド41A〜41D及び/又はシャッタ機構38のシャッタ部36A〜36Gは、部分投影光学系PLA〜PLGの像面の近傍の位置、その像面と光学的に共役な面、又はこの面の近傍の位置に配置することができる。さらに、ブラインド機構40のブラインド41A〜41D及び/又はシャッタ機構38のシャッタ部36A〜36Gは、照明系IS内でマスクMのパターン面と光学的に共役な面、又はこの面の近傍の位置に配置してもよい。
また、露光装置EXは、プレートステージ22に設けられて例えばマスクMのアライメントマーク(不図示)の像の位置情報を計測する空間像計測部24と、プレートPのアライメントマーク(不図示)の位置情報を計測するアライメント系AL(図2参照)と、各種データ等を記憶する記憶部29と、主制御装置20と不図示のホストコンピュータとの間で各種情報の授受を行うインタフェース部(不図示)とを備えている。空間像計測部24及びアライメント系ALの計測結果に基づいてそれぞれマスクM及びプレートPのアライメントを行うことができる。
次に、本実施形態の露光装置EXによる露光方法の一例につき説明する。まず、本実施形態では、マスクステージ21及びプレートステージ22の加減速中においてもマスクMのパターンを介してプレートPを露光する。なお、本実施形態の部分投影光学系PLA〜PLGは等倍の正立正像をプレートP上に形成するため、走査露光時のマスクステージ21(マスクM)のX方向の走査速度VMとプレートステージ22(プレートP)のX方向の走査速度VPとは互いに等しくなるように制御される。そして、速度が変化しているプレートPを走査露光する場合にも、プレートPの表面の各点の単位面積当たりの露光量(積算露光量)ΣEをフォトレジストの感度に対応する所定の目標値Edeにするためには、プレートPの速度に応じて図3(C)のプレートPの表面の露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを制御する必要がある。
ここで、スリット幅Dの露光領域PRA〜PRGに対して走査速度VPで走査されるプレートPの各点の露光時間はD/VPとなる。このため、露光領域PRA〜PRGにおける照明光ELの照度(単位時間当たり及び単位面積当たりの照射エネルギー)をEPとすると、プレートPの表面の各点の露光量ΣEは次のようになる。
ΣE=(D/VP)EP=Ede …(1)
この式(1)からスリット幅Dを求めると、次のようにスリット幅Dは走査速度VPに比例して変化させればよい。
D=(Ede/EP)VP …(2)
本実施形態では、記憶部29中の露光データファイルに露光量の目標値Edeが記録されている。主制御装置20は、露光時に、例えば光源制御部(不図示)を介して光源10の電力を調節して照明光ELのプレートP上の照度EPを制御し、ステージ駆動系25,26を介してステージ21及び22のX方向の走査速度VPを制御し、所定の時間間隔で、その照度EP及び走査速度VPを用いて式(2)からスリット幅Dを求める。そして、主制御装置20は、その所定の時間間隔でほぼ連続的に、ブラインド制御系27を介して露光領域PRA〜PRGのスリット幅D及びX方向の中心位置を、それぞれ式(2)から求められるスリット幅D及び予め露光方法等に応じて定められている位置に設定する。これによって、走査速度VPが変化してもプレートPの表面の各点の露光量ΣEは目標値Edeに制御される。なお、式(2)中のプレートステージ22の走査速度VPの代わりにマスクステージ21(マスクM)の走査速度VMを使用することもできる。
次に、本実施形態の露光装置EXによる露光方法の一例につき図4のフローチャートを参照して説明する。この露光方法は主制御装置20によって制御される。まず、マスクM及びプレートPのアライメントが行われた後、図5(A)に示すように、マスクステージ21を移動ストローク中の最も−X方向の端部に移動する。この状態で、マスクステージ21に保持されているマスクMのパターン領域PAは、照明領域IRA〜IRG(この段階では照明光ELは照射されていない)に対して−X方向の直前に位置しており、ブラインド41A,41B及び41C,41Dが閉じており、露光領域PRA〜PRGのスリッ
ト幅Dは0である。
この後、一例として、ブラインド41A,41B及び41C,41DのX方向の間隔の中心位置が、それぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGのX方向の中心位置に合致した状態で、ブラインド41A,41B及び41C,41Dは開閉される。この場合、露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dが変化しても、露光領域PRA〜PRGのX方向(走査方向)の中心位置は、スリット幅Dが最大になる全開時の露光領域PRA〜PRGのX方向の中心位置に維持される。また、プレートステージ22の駆動によって、プレートPの露光対象のパターン形成領域43A(図6(C)参照)がパターン領域PAの下方に位置している。この後、マスクM及びプレートPは互いに同じ速度特性でX方向に同期して移動する。
そして、図4のステップ102において、照明系ISからの照明光EL(露光光)の照射が開始され、ステップ104でマスクステージ21(マスクM)及びプレートステージ22(プレートP)の矢印53Aで示す+X方向への加速が開始され、ステップ104と並行してステップ106において、ブラインド機構40の駆動によってプレートP上の露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dがプレートステージ22の走査速度VPの増加に応じて式(2)に従って実質的に連続的に拡張される。ただし、図5(B)に示すように、第2列の照明領域IRD〜IRGだけがパターン領域PAに入った状態では、照明領域IRD〜IRG上のブラインド41C,41DのX方向の間隔は例えばD1まで広がっており、照明領域IRD等のうちの中心部の幅D1の部分に対応するプレートP上の領域がスリット幅D1の露光領域PRD等となっている。そして、第1列の照明領域IRA〜IRCはパターン領域PAの外部にあるため、照明領域IRA〜IRC上のブラインド41A,41Bは閉じたままである。
その後、第1列の照明領域IRA〜IRCもパターン領域PAに入ると、図6(A)に示すように、ブラインド41A,41BのX方向の間隔は、ブラインド41C,41Dの間隔と同じ間隔(例えばD1より広いD2)に設定されており、プレートP上の第1列の露光領域PRA〜PRCのスリット幅と、第2列の露光領域PRD〜PRGのスリット幅とは同じ値D2となっており、そのスリット幅はさらに次第に拡張される。また、この露光方法では、露光領域PRA〜PRGのX方向の中心位置は同じ位置に固定されている。そのため、図6(A)において、照明領域IRA,IRDに対応するプレートP上の露光領域PRA,PRDの傾斜部で二重露光される継ぎ部44Aaの中心の、プレートP上のパターン形成領域の−Y方向の端部からの距離YAは、全開にされた露光領域PRA,PRDの傾斜部で二重露光された図3(C)に示す継ぎ部44Aの距離YAと同じである。
このように、継ぎ部44AaのY方向における継ぎ位置をそのままにして(継ぎ位置を残すようにして)、露光領域PRA〜PRGのスリット幅を狭くすることができる。
ここで、一例として、式(2)においてスリット幅Dとして露光領域PRA〜PRGの全開時のスリット幅である最大値Dmを代入して得られる走査速度VPを目標速度VPmとする。そして、ステップ108において、マスクステージ21(マスクM)及びプレートステージ22(プレートP)の+X方向への走査速度がその目標速度VPmに達したときに、ステージ21,22の走査速度をその目標速度VPmに固定して、マスクM及びプレートPを一定速度で+X方向に走査する。ステップ108と並行してステップ110においては、図6(B)に示すように、ブラインド41A,41B及び41C,41DのX方向の間隔が照明領域IRA〜IRGの幅よりも広くなり、対応する露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dが最大値Dmまで広くなり、スリット幅Dはその最大値Dmに固定される。この状態では、図6(C)に示すように、プレートPのパターン形成領域43Aは、露光領域PRA〜PRGに対してマスクMと同期して+X方向に走査されており、露光領域PRA〜PRG間には図3(C)に示す継ぎ部44A〜44Fが形成される。
その後、ステップ112において、マスクステージ21及びプレートステージ22の減速が開始され、ステップ112と並行してステップ114において、ブラインド機構40によってプレートP上の露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dがプレートステージ22の走査速度VPの減少に応じて式(2)に従って実質的に連続的に縮小される。そして、図7(A)に示すように、第2列の照明領域IRD〜IRGだけがパターン領域PA外に出た状態では、照明領域IRD〜IRG上のブラインド41C,41Dは完全に閉じており、照明領域IRA〜IRC上のブラインド41A,41BのX方向の間隔は例えばD3まで縮小されており、照明領域IRA等に対応するプレートP上の露光領域PRA等のスリット幅もD3に縮小されている。
そして、ステップ116において、照明領域IRA〜IRCもパターン領域PA外に出たときに、マスクステージ21及びプレートステージ22が停止し、図7(B)に示すように、ブラインド41A,41Bも完全に閉じて、照明光ELの照射が停止され(ステップ118)、パターン形成領域43Aに対する走査露光が終了する。その後、例えばプレートP上の別のパターン形成領域(不図示)を露光する場合には、プレートステージ22を駆動してプレートPのその別のパターン形成領域を露光領域PRA〜PRGに対して+X方向側に移動する。そして、ステップ102〜118の動作が繰り返される。ただし、マスクM及びプレートPは矢印53Bで示す−X方向に走査される。
この露光方法において、パターン形成領域43Aの露光時のステージ21及び22の走査速度VM,VPは、図8(A)の実線の曲線C1で示すようにマスクステージ21のX方向の位置に応じて、長さLX3の加速区間では次第に加速され、長さLX4の定速区間では一定速度となり、長さLX3の減速区間で次第に減速される。また、加速開始時のマスクステージ21のX方向の位置をX1、減速開始後に停止したときのマスクステージ21のX方向の位置をX2とすると、位置X1,X2の差(=X2−X1)がマスクステージ21の移動ストロークSX1となる。長さLX3,LX3を用いて移動ストロークSX1は次のようになる。
SX1=LX4+2・LX3 …(3)
さらに、パターン形成領域43Aの次のパターン形成領域に露光する際には、ステージ21,22の移動速度VM,VPは、曲線C1の符号を反転した点線の曲線C2で示すように変化するが、マスクステージ21の移動ストロークはSX1である。
また、図5(A)において、照明領域IRA〜IRGのX方向の幅をLX2、マスクMのパターン領域PAのX方向の長さをLX1とすると、図7(B)に示すように、走査露光終了時には、マスクステージ21はさらに照明領域IRA〜IRGの幅LX2だけ移動している必要があるため、マスクステージ21の移動ストロークSX1はほぼ次のようになる。
SX1=LX1+2・LX2 …(4)
これに対して、マスクステージ21の加減速中にはプレートPの露光を行わない露光方法(以下、比較例という)では、走査開始時のマスクステージ21及びマスクMのパターン領域PAの位置は、それぞれ図5(A)に2点鎖線で示すように、本実施形態の露光方法の場合の走査開始位置に対して−X方向に長さLXAの加速区間だけ離れた位置51A及び52Aにある。さらに、その比較例では、走査露光終了時のマスクステージ21及びマスクMのパターン領域PAの位置は、それぞれ図7(B)に2点鎖線で示すように、本実施形態の露光方法の場合の走査終了位置に対して+X方向に長さLXAの減速区間だけ離れた位置51B及び52Bに達している。このため、その比較例におけるマスクステージ21のX方向の移動ストロークSX2は、図8(A)及び次式で示すように、本実施形態の場合の移動ストロークSX1よりも2・LXAだけ長くなる。
SX2=SX1+2・LXA …(5)
式(5)における加減速区間の長さLXAは、式(3)における本実施形態の加減速区間の長さLX3とほぼ同じであるため、本実施形態の露光方法によれば、比較例に比べて、マスクステージ21の移動ストロークSX1をほぼ加減速区間の長さLX3の2倍だけ短縮できる。従って、マスクステージ21が載置される第1ベース部材(不図示)、マスクステージ21をX方向に駆動するリニアモータ等を含む駆動機構、及びレーザ干渉計23A用のY軸の移動鏡23MY(位置計測機構)のX方向の長さもほぼ加減速区間の長さLX3(LXA)の2倍だけ短縮できる。このため、マスクMが大型化してもマスクステージ21用の第1ベース部材、駆動機構、及び位置計測機構の大型化を抑制できる。さらに、マスクステージ21の加減速期間でもプレートPを露光できるため、プレートPの全部のパターン形成領域に対する露光時間を短縮でき、露光工程のスループット(生産性)を大幅に向上できる。
同様に、プレートステージ22が載置される第2ベース部材(不図示)、プレートステージ22のリニアモータ等を含むX方向への駆動機構、及び位置計測機構(移動鏡23PY等)のX方向の長さも、ほぼプレートステージ22の加減速時の移動量の2倍だけ短縮できる。従って、プレートPが大型化してもプレートステージ22用の第2ベース部材、駆動機構、及び位置計測機構の大型化を抑制できる。このため、露光装置EXの全体としての大型化を抑制でき、露光装置EXの製造コストを低減できる。
また、ステージ21,22の走査速度VM,VPが図8(A)に示すように変化しても、露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dは、図8(B)に示すように走査速度VPに比例して変化するため、プレートP上の各点の露光量ΣEは、図8(C)に示すように目標値に維持され、高精度に露光が行われる。なお、本実施形態では、照明領域IRA〜IRGが2列に配置され、最初に第2列の照明領域IRD〜IRG(露光領域PRD〜PRG)によるプレートPの露光が開始されてから、ほぼ長さLX2だけステージ21,22が移動した後、第1列の照明領域IRA〜IRC(露光領域PRA〜PRC)によるプレートPの露光が開始される(図5(B)参照)。そして、露光終了時にはまず第2列の露光領域PRD〜PRGによるプレートPの露光が終了するため、プレートP上の露光量ΣEで露光が行われている区間(例えばパターン形成領域43A)のX方向の長さは、マスクMのパターン領域PAの長さLX1と同じである。
上述のように、本実施形態の露光方法及び露光装置EXは、露光用の照明光EL(露光光)でマスクMのパターン及び複数の部分投影光学系PLA〜PLG(投影光学系)を介してプレートP(基板)の複数の露光領域PRA〜PRGを露光しつつ、マスクM及びプレートPを部分投影光学系PLA〜PLGに対して同期して走査する露光方法及び装置である。そして、その露光方法は、露光領域PRA〜PRGの間には継ぎ部44A〜44F等を備え、プレートPの走査露光中にプレートPの走査速度VPを変化させるステップ104,112と、プレートPの走査速度VPに応じて露光領域PRA〜PRGのスリット幅D(走査方向の幅)を制御するステップ106,114と、を有する。
また、本実施形態の露光装置EXは、複数の露光領域PRA〜PRGが、それらの間に継ぎ部44A〜44Fが設けられるように配置されるとともに、プレートPを部分投影光学系PLA〜PLGに対してX方向(走査方向)に走査するプレートステージ22(基板ステージ)と、露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを制御するブラインド機構40(露光領域制御機構)と、プレートPの走査露光中に、プレートステージ22を介してプレートPの走査方向の速度を変化させるとともに、プレートPの走査速度VPに応じて、ブラインド機構40を介して露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを制御する主制御装置20(制御部)と、を備えている。
本実施形態の露光方法又は露光装置EXによれば、複数の露光領域PRA〜PRGを用いてプレートPを走査露光する場合に、走査露光時のマスクMの移動ストローク(移動距離)を短縮できるとともに、プレートPの露光時間を短縮して露光工程のスループットを向上できる。また、マスクMの移動ストロークの短縮によって、マスクM用のステージ(マスクステージ21)及びプレートステージ22の駆動機構、及び位置計測機構の大型化を抑制できる。
なお、上述の実施形態では、以下のような変形が可能である。
まず、上述の実施形態では、複数の露光領域PRA〜PRG(照明領域IRA〜IRG)が並列に配置されているが、例えば一つの投影光学系の一つの露光領域を用いてマスクのパターンの像をプレートPに露光する場合にも上述の実施形態の露光方法が適用できる。この場合、一例として、プレートPの走査速度に応じてスリット幅が制御されるその露光領域を用いて、プレートP上のX方向に沿って配列された一つの部分パターン形成領域にマスクのパターンの像を走査露光した後、プレートPをY方向にステップ移動する。そして、マスク及びプレートPを逆方向に走査しながら、そのスリット幅が制御される露光領域を用いて、その部分パターン形成領域に継ぎ部(露光領域の傾斜部によって二重露光される部分)を挟んで隣接する部分パターン形成領域にそのマスクのパターンの像を走査露光する。この場合にも、マスクの移動ストロークを短縮でき、露光時間を短縮できる。
また、上述の実施形態では、ブラインド機構40は4枚のブラインド41A〜41Dを備えているが、図9(A)の変形例のブラインド機構40Aで示すように、2枚のブラインド41A,41Cのみを用いて露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを制御してもよい。
図9(A)において、ブラインド機構40Aは、第1列の露光領域PRA〜PRCのスリット幅を制御するために、対応する照明領域IRA〜IRCの遮光量を調節するブラインド41Aと、第2列の露光領域PRD〜PRGのスリット幅を制御するために、対応する照明領域IRD〜IRGの遮光量を調節するブラインド41Cと、ブラインド41A,41CのX方向の位置及び速度を制御する駆動部42Aと、ブラインド41A,41Cの端部を支持するガイド部42Bとを有する。
例えば照明領域IRA〜IRGに対してマスクMを+X方向に走査する(露光領域PRA〜PRGに対してプレートPを+X方向に走査する)ときに、マスクM(プレートP)の走査速度に比例して露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを次第に広げる場合、図9(A)に示すように、ブラインド機構40Aのブラインド41A及び41Cでそれぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGの全面を覆った状態から、マスクM(プレートP)の走査速度に応じてブラインド41A及び41Cをそれぞれ−X方向に移動する。これによって、照明領域IRA,IRD等のうちで遮光されない部分のプレートP上の像である露光領域PRA,PRD等のスリット幅が次第に広くなる。図9(A)の状態では、露光領域PRA,PRD等のスリット幅はD2であり、露光領域PRA,PRDの傾斜部で二重露光されるプレートP上の継ぎ部44AbのY方向の中心は、図6(A)のように、ブラインド41A,41B及び41C,41Dを照明領域IRA〜IRGのX方向の中心に関してX方向に対称に広げる場合の継ぎ部44AaのY方向の中心よりも−Y方向にずれている。
また、マスクM及びプレートPを一定速度で走査しており、露光領域PRA〜PRGのスリット幅を最大値に設定しているときには、図9(B)に示すように、ブラインド41A及び41Cはそれぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGに対して−X方向に待避している。その後、マスクM(プレートP)を減速するときには、ブラインド41A及び41Cをそれぞれ+X方向に移動して、ブラインド41A及び41Cによる照明領域
IRA〜IRC及びIRD〜IRGの遮光幅を広くしていけばよい。その後、照明領域IRA〜IRGに対してマスクM(プレートP)を−X方向に走査してプレートPを露光する際には、加速時にはブラインド41A,41Cを+X方向に移動し、減速時にはブラインド41A,41Cを−X方向に移動すればよい。この変形例によれば、簡単な構成のブラインド機構40Aを用いて、露光領域PRA〜PRGのスリット幅を制御できる。
なお、上述の実施形態では、ブラインド機構40,40Aの駆動部42A及びガイド部42Bは例えば照明系ISを保持するフレーム(不図示)に支持されているが、駆動部42A及びガイド部42Bをマスクステージ21で支持することも可能である。この場合には、駆動部42A及びガイド部42Bの長さをマスクステージ21の移動ストローク程度にして、マスクステージ21の走査速度に応じて、ブラインド41A〜41D又は41A,41Cを全体として逆方向に移動する必要がある。ただし、マスクMの走査方向と同じ方向に移動しているときのブラインド(例えば図6(A)のブラインド41A,41C)に関しては、マスクステージ21の走査速度が加算されるため、マスクステージ21に対する移動速度を他のブラインドよりも遅くすることができ、位置制御が容易になる。これは、以下の実施形態においても同様である。
また、4個のマスク側のブラインド41A,41B,41C,41Dは、Z軸に平行な軸を中心にしてXY平面内で傾斜可能に構成することもできる。このようにして、マスクステージ21の走査方向がX方向からずれた場合にも対応できるようにすることもできる。
また、本実施形態では、4個のマスク側のブラインド41A,41B,41C,41Dをそれぞれ一体にして構成したが、各露光領域PRA〜PRGのスリット幅を個別に制御できるように別体に構成することもできる。この場合、例えばブラインド41A,41Bは、3つの露光領域PRA〜PRCに対応させて、それぞれ3個の互いに独立にX方向に駆動可能な3つの可動ブラインドから構成される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図10〜図12(D)を参照して説明する。本実施形態においても図1の露光装置EXを使用するが、プレートPの異なるレイヤに露光するときに露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部の非走査方向(Y方向)の位置を異ならせる点が異なっている。ただし、本実施形態では、マスク及びプレートの加減速時にはプレートを露光することなく、マスク及びプレートの速度が所定の走査速度に達してからプレートを露光するようにしてもよい。この場合、マスクステージ21及びプレートステージ22の駆動機構及び位置計測機構等のX方向の長さをその加減速に必要な距離だけ長くする必要がある。なお、図11(A)〜図12(D)において図3(A)〜(C)及び図5(A)〜図6(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態の露光方法の一例につき図10のフローチャートを参照して説明する。この露光方法は図2の主制御装置20によって制御される。まず、図10のステップ122において、図1のマスクステージ21にマスクMをロードし、プレートステージ22にフォトレジストが塗布されたプレートPをロードして、マスクM及びプレートPのアライメントを行う。マスクMには、プレートPの第1レイヤ用のパターンが形成されているものとする。さらに、図3(A)のブラインド機構40のブラインド41A,41B及び41C,41DのX方向の間隔内にある照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRG(以下、照明領域IRA〜IRGの有効領域ともいう。)のX方向の中心が、それぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGのX方向の中央に設定されるように、ブラインド41A〜41Dの位置を設定する。
そして、ステップ124において、マスクMのパターンの部分投影光学系PLA〜PL
Gによる像でプレートPの第1レイヤのパターン形成領域43A(図3(C)参照)及び他のパターン形成領域(不図示)をそれぞれ走査露光する。この走査露光時のマスクM及びプレートPを一定速度で走査しているときの露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dは例えば最大値Dmよりも小さいD4であるとする。このときのプレートPの走査速度VPは上述の式(2)を満たす値である。また、この走査露光時のパターン形成領域43Aにおける露光領域PRA〜PRG間の図3(C)に示す継ぎ部44A〜44FのそれぞれのY方向の中心位置(以下、継ぎ位置という)は、例えば露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dを最大値にした場合の継ぎ位置YA等と同じである。ただし、本実施形態の露光方法ではスリット幅D4が最大値よりも狭いため、継ぎ部44A〜44FのY方向の幅は、最大値dよりも狭いd2となる。
次のステップ126において、プレートPをコータ・デベロッパ(不図示)により現像し、エッチング装置(不図示)においてプレートPの第1レイヤのパターンを形成し、薄膜形成装置(不図示)を用いてプレートPに第2レイヤ用の薄膜を形成し、コータ・デベロッパ(不図示)によってプレートPにフォトレジストを塗布する。
次のステップ128において、図1のマスクステージ21に第2レイヤ用のマスクM1をロードし、プレートステージ22に第2レイヤ用のフォトレジストが塗布されたプレートPをロードして、マスクM1及びプレートPのアライメントを行う。さらに、図3(A)のブラインド機構40のブラインド41A,41B及び41C,41DのX方向の間隔内にある照明領域IRA〜IRGの有効領域のX方向の中心が、それぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGのX方向の中央から+X方向にずれた位置に設定されるように、ブラインド41A〜41Dの位置を設定する。
そして、ステップ130において、マスクM1のパターン領域PA1内のパターンの部分投影光学系PLA〜PLGによる像でプレートPの第2レイヤのパターン形成領域43A(図11(B)参照)及び他のパターン形成領域(不図示)をそれぞれ走査露光する。この走査露光時のマスクM1及びプレートPを一定速度で走査しているときの露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dは、図11(A)に示すように、第1レイヤの露光時と同じD4に設定されている。この走査露光時のパターン形成領域43Aにおける露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部45A〜45FのY方向の幅は、図11(B)に示すように第1レイヤの露光時と同じd2である。これに対して、露光領域PRA〜PRGの形状は、スリット幅が最大である場合の点線で示す形状のうちの+X方向側の部分であり、図3(C)の場合に対して、図11(B)の露光領域PRA〜PRCの−Y方向の傾斜部、及び露光領域PRD〜PRGの+Y方向の傾斜部のY方向の中心位置はそれぞれδだけ−Y方向にずれており、図11(B)の露光領域PRA〜PRCの+Y方向の傾斜部、及び露光領域PRD〜PRGの−Y方向の傾斜部のY方向の中心位置はそれぞれδだけ+Y方向にずれている。そのずれ量δは、例えば継ぎ部の最大幅dの1/2〜数分の1程度である。
この結果、例えば−Y方向の端部から1番目及び2番目の継ぎ部45A,45Bの継ぎ位置のパターン形成領域43Aの−Y方向の端部からの距離はそれぞれほぼ(YA−δ)及び(2・YA+d/2+δ)となる。従って、この第2レイヤの継ぎ部45A,45C,45Eの継ぎ位置は、第1レイヤの継ぎ部44A,44C,44Eの継ぎ位置に対してδだけ−Y方向に変更され、第2レイヤの継ぎ部45B,45D,45Fの継ぎ位置は、第1レイヤの継ぎ部44B,44D,44Fの継ぎ位置に対してδだけ+Y方向に変更されていることになる。
次のステップ132において、プレートPをコータ・デベロッパ(不図示)により現像し、エッチング装置(不図示)においてプレートPの第2レイヤのパターンを形成し、薄膜形成装置(不図示)を用いてプレートPに第3レイヤ用の薄膜を形成し、コータ・デベロッパ(不図示)によってプレートPにフォトレジストを塗布する。
そして、ステップ134において、図1のマスクステージ21に第3レイヤ用のマスクM2をロードし、プレートステージ22に第3レイヤ用のフォトレジストが塗布されたプレートPをロードして、マスクM2及びプレートPのアライメントを行う。さらに、図3(A)のブラインド機構40のブラインド41A,41B及び41C,41DのX方向の間隔内にある照明領域IRA〜IRGの有効領域のX方向の中心が、それぞれ照明領域IRA〜IRC及びIRD〜IRGのX方向の中央から−X方向にずれた位置に設定されるように、ブラインド41A〜41Dの位置を設定する。
次のステップ136において、マスクM2のパターン領域PA2内のパターンの部分投影光学系PLA〜PLGによる像をプレートPの第3レイヤのパターン形成領域43A(図11(D)参照)及び他のパターン形成領域(不図示)にそれぞれ走査露光する。この走査露光時のマスクM2及びプレートPを一定速度で走査しているときの露光領域PRA〜PRGのスリット幅Dは、図11(C)に示すように、第1レイヤの露光時と同じD4に設定されている。この走査露光時のパターン形成領域43Aにおける露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部46A〜46FのY方向の幅は、図11(D)に示すように第1レイヤの露光時と同じd2である。これに対して、露光領域PRA〜PRGの形状は、スリット幅が最大である場合の点線で示す形状のうちの−X方向側の部分である。
この結果、例えば−Y方向の端部から1番目及び2番目の継ぎ部46A,46Bの継ぎ位置のパターン形成領域43Aの−Y方向の端部からの距離はそれぞれほぼ(YA+δ)及び(2・YA+d/2−δ)となる。従って、この第3レイヤの継ぎ部46A,46C,46Eの継ぎ位置は、図3(C)の第1レイヤの継ぎ部44A,44C,44Eの継ぎ位置に対してδだけ+Y方向に変更され、第3レイヤの継ぎ部46B,46D,46Fの継ぎ位置は、第1レイヤの継ぎ部44B,44D,44Fの継ぎ位置に対してδだけ−Y方向に変更されていることになる。このように第3レイヤの継ぎ部46A〜46Fの継ぎ位置は、第2レイヤの継ぎ部45A〜45Fの継ぎ位置に対してY方向に沿って逆方向にずれている。
次のステップ138において、プレートPをコータ・デベロッパ(不図示)により現像し、エッチング装置(不図示)においてプレートPの第3レイヤのパターンを形成する。さらに、必要に応じて、プレートPに第4レイヤ等のパターンを形成することで、表示装置用のパネルを製造できる。
この露光方法によれば、プレートPの第1レイヤの継ぎ部44A〜44Fの継ぎ位置に対して、プレートPの第2レイヤの継ぎ部45A〜45Fの継ぎ位置、及び第3レイヤの継ぎ部46A〜46FのY方向の継ぎ位置は、互いにY方向(非走査方向)に逆方向にずれている。このため、仮に継ぎ部44A〜44F,45A〜45F及び46A〜46Fのわずかな露光量むらによってそれぞれプレートPの第1レイヤ、第2レイヤ、及び第3レイヤの回路パターンの線幅等が部分的にわずかに変化していても、その線幅等が変化している部分はY方向にずれており、その線幅等が変化している部分が強調されることがない。このため、プレートPに形成されるレイヤの数が増加しても、最終的に製造されるディスプレイ装置の画面に現れる微妙な輝度むら等の影響を低減できる。
上述のように本実施形態の露光方法及び露光装置EXは、露光用の照明光ELでマスクM,M1,M2のパターン及び部分投影光学系PLA〜PLG(投影光学系)を介してプレートP(基板)の複数の露光領域PRA〜PRGを露光しつつ、そのマスク及びプレートPを部分投影光学系PLA〜PLGに対して同期して走査する露光方法及び露光装置である。そして、その露光方法は、プレートPの第1レイヤ(第1の層)を走査露光するステップ124と、プレートPの第2レイヤ(第2の層)を走査露光するステップ130とを有し、その第1レイヤの走査露光中における露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部44A〜44Fの継ぎ位置(Y方向の中心位置)に対して、その第2レイヤの走査露光中にお
ける継ぎ部45A〜45Fの継ぎ位置を変化させている。
また、本実施形態の露光装置EXは、露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部44A〜44F等のY方向(非走査方向)の位置を制御するブラインド機構40(露光領域制御機構)と、プレートPの第1レイヤの走査露光中における露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部44A〜44Fの継ぎ位置に対して、プレートPの第2レイヤの走査露光中における継ぎ部45A〜45Fの継ぎ位置を変化させるように、ブラインド機構40を介して継ぎ部44A〜44F及び45A〜45Fの位置を制御する主制御装置20(制御部)とを備えている。
本実施形態の露光方法又は露光装置EXによれば、プレートPの第1レイヤの継ぎ部44A〜44Fの継ぎ位置と第2レイヤの継ぎ部45A〜45Fの継ぎ位置とを変えることによって、複数の露光領域PRA〜PRGを用いてプレートPの複数のレイヤの走査露光を行う場合に、継ぎ部の露光量むらの影響を低減できる。
なお、上述の実施形態においては、レイヤ毎に継ぎ部の継ぎ位置を変えているが、少なくともマスク及びプレートを一定速度で走査しているときには、継ぎ部45A〜45F等の非走査方向(Y方向)の幅は一定である。これに対して、例えばプレートP上に形成すべき回路パターンで必要とされる精度に応じて、継ぎ部の幅を変化させてもよい。これは、例えばプレートP上のレイヤ毎に、又はプレートPのパターン形成領域(電子デバイス)毎に、継ぎ部のY方向の幅を変化させることを意味する。
例えば、プレートPの他のパターン形成領域43B(図12(B)参照)に図12(A)のマスクM3のパターンを露光する際の継ぎ部のY方向の幅を、図11(B)における継ぎ部45A〜45Fの幅d2に対して変化させる場合につき説明する。この場合、図12(A)に示すように、マスクステージ21によってマスクM3を照明領域IRA〜IRGに対して+X方向に走査する際に、ブラインド機構40のブラインド41A,41B及び41C,41Dによって、照明領域IRA〜IRGの有効領域をX方向の中央の幅D5の部分に設定する。幅D5は図11(A)の幅D4とは異なっている。このとき、対応する露光領域PRA〜PRGのスリット幅(X方向の幅)はD5となる。
そして、プレートPのパターン形成領域43Bにおいて、露光領域PRA〜PRGの間の継ぎ部44A1〜44F1のY方向の幅は、そのスリット幅D5に比例した幅d3となる。そのスリット幅D5が幅D4よりも広い場合には、継ぎ部44A1〜44F1の幅d3は図11(B)の継ぎ部45A〜45Fの幅d2よりも広くなり、スリット幅D5が幅D4よりも狭い場合には幅d3は幅d2よりも狭くなる。このように、露光領域PRA〜PRGのスリット幅を制御することで、継ぎ部のY方向の幅を必要な精度に応じて最適な幅に制御できる。
また、上述の実施形態においては、継ぎ部の継ぎ位置を変えるためにブラインド機構40を用いているが、図12(C)及び(D)に示す変形例のように、ブラインド機構40(第1制御機構)及び図3(B)のシャッタ機構38(第2制御機構)を用いて継ぎ位置を変えることもできる。以下では、プレートPの第3レイヤに露光する際の継ぎ位置の変更方法につき説明する。
この変形例において、ブラインド機構40及びシャッタ機構38を用いて継ぎ位置を変えるためには、図12(C)に示すように、照明領域IRA〜IRGに対して第3レイヤ用のマスクM2を+X方向に走査しているときに、ブラインド機構40のブラインド41Bで第1列の照明領域IRA〜IRCの−X方向の端部を遮光し、ブラインド41Cで第2列の照明領域IRD〜IRGの+X方向の端部を遮光する。この際に、照明領域IRA〜IRG内で遮光されていない部分のX方向の幅を図11(C)の場合と同じD4に設定
する。これによって、図12(D)に示すように、マスクM2のパターンの像が露光されるプレートPのパターン形成領域43A内で露光領域PRA〜PRGのスリット幅はD4に設定される。
ただし、この変形例では、露光領域PRA〜PRGのうちの面積の広い部分(像高が部分投影光学系PLA〜PLGの光軸に近い部分)が使用されている点が、図11(C)及び(D)に示す例とは異なっている。このままでは、例えば露光領域PRDの+Y方向の傾斜部のY方向の中心位置と、露光領域PRAの−Y方向の傾斜部のY方向の中心位置とが異なってしまい、二重露光による継ぎ部を設けることができない。そこで、例えば露光領域PRDの+Y方向の傾斜部の中心位置に、露光領域PRAの−Y方向の傾斜部の中心位置を合わせるために、図3(B)のシャッタ機構38を用いて、シャッタ部36Aで露光領域PRAに対応する視野絞り35Aの開口35Aaの−Y方向の一部を遮光する。
そして、そのシャッタ部36AのマスクM2のパターン面(照明領域IRA〜IRGが形成される面)における共役像を図12(C)のシャッタ部の像36APとする。図12(C)において、シャッタ部の像36APの+Y方向の傾斜部の中心位置が、照明領域IRDの幅D4の部分の+Y方向の傾斜部の中心位置と同じ位置になるようにシャッタ部36Aの遮光量(Y方向の位置)を制御する。これによって、図12(D)に示すように、シャッタ部36Aによって制限された露光領域PRAの−Y方向の傾斜部の中心位置と、露光領域PRDの+Y方向の傾斜部の中心位置とが等しくなり、それらの傾斜部で二重露光される部分がパターン形成領域43C上の幅d2の継ぎ部44A2となる。幅d2は図11(D)の継ぎ部46Aの幅と同じである。また、継ぎ部44A2の継ぎ位置のパターン形成領域43Aの−Y方向からの距離は、継ぎ部46Aの場合と同じ(YA+δ)であり、そのずれ量δは、露光領域PRDのスリット幅D4及びX方向の中心位置に応じて定まる値である。
同様に、図3(B)の他のシャッタ部36B1,36B2,36C,36E,36FのマスクM2のパターン面における共役像を図12(C)の像36B1P,36B2P,36CP,36EP,36FPとする。このとき、像36B1P,36B2P,36CP,36EP,36FPによって制限される照明領域IRB,IRC,IRE,IRFの幅D4に対応する部分を図12(D)の露光領域PRB,PRC,PRE,PRFとする。そして、露光領域PRAの+Y方向の傾斜部、露光領域PRBの±Y方向の傾斜部、及び露光領域PRCの−Y方向の傾斜部のY方向の中心位置と、対応する露光領域PREの−Y方向の傾斜部、露光領域PREの+Y方向の傾斜部、露光領域PRFの−Y方向の傾斜部、及び露光領域PRGの−Y方向の傾斜部のY方向の中心位置とが等しくなるように、シャッタ部36B1,36B2,36C,36E,36FのY方向の位置を制御する。
これによって、露光領域PRAの+Y方向の傾斜部及び露光領域PREの−Y方向の傾斜部で二重露光される部分、露光領域PREの+Y方向の傾斜部及び露光領域PRBの−Y方向の傾斜部で二重露光される部分、露光領域PRBの+Y方向の傾斜部及び露光領域PRFの−Y方向の傾斜部で二重露光される部分、露光領域PRFの+Y方向の傾斜部及び露光領域PRCの−Y方向の傾斜部で二重露光される部分、及び露光領域PRCの+Y方向の傾斜部及び露光領域PRGの−Y方向の傾斜部で二重露光される部分がそれぞれパターン形成領域43C上で幅d2の継ぎ部44B2,44C2,44D2,44E2,44F2となる。
また、−Y方向から2番目の継ぎ部44B2の継ぎ位置のパターン形成領域43Aの−Y方向からの距離は、(2・YA+d/2+δ)であり、図11(D)の継ぎ部46Bの場合に対してずれ量δの符号が反転している。これは、図12(D)の変形例では、露光領域PREの−Y方向の傾斜部の位置を、露光領域PRAの+Y方向の傾斜部の位置に合
わせていることによる。同様に、継ぎ部44C2,44F2の継ぎ位置は、図11(D)の継ぎ部46C,46Fの継ぎ位置と同じ方向にずれているが、継ぎ部44D2,44E2の継ぎ位置は、図11(D)の継ぎ部46D,46Eの継ぎ位置と逆の方向にずれている。
この場合でも、第2レイヤのパターンの像の継ぎ部44A2〜44F2の継ぎ位置は、第1レイヤの継ぎ部44A〜44F(図3(C)参照)の継ぎ位置に対してδだけY方向に変更されているため、継ぎ部の露光量むらの影響を低減できる。
なお、この変形例において、図3(B)のシャッタ機構38に、さらに露光領域PRA,PRD,PREの+Y方向の傾斜部、及び露光領域PRC,PRF,PRGの−Y方向の傾斜部のY方向の位置を制御する複数のシャッタ部(不図示)を設けておいてもよい。この場合、図11(A)の第2レイヤ用のマスクM1のパターンをパターン形成領域43Aの第2レイヤに露光するときには、図12(D)の露光領域PRAの−Y方向の傾斜部等に合わせて、露光領域PRDの+Y方向の傾斜部等の位置を制御すればよい。
また、上述の実施形態では、例えば第2レイヤの露光時に、露光領域PRA〜PRGの傾斜部のY方向の中心位置を変更して、プレートのパターン形成領域に対する継ぎ位置のY方向の相対位置を変更している。これに対して、図13(A)及び(B)に示す変形例のように、プレートPの第2レイヤの露光時に、第1レイヤの露光時に対して、照明領域IRA〜IRGに対するマスクM1のY方向(非走査方向)の相対位置を変更してもよい。この変形例で使用される図1の露光装置EXは、マスクステージ21を不図示のベース部材に対してY方向(非走査方向)に所定の狭い範囲(例えばマスクのパターン領域を囲む遮光帯の幅程度の範囲)で移動する機構を備えている。
図13(A)は、この変形例で第2レイヤ用のマスクM1を照明領域IRA〜IRGに対してX方向に走査する状態を示し、図13(B)は、照明領域IRA〜IRGに対応する露光領域PRA〜PRGに対してプレートPのパターン形成領域43AをX方向に走査している状態を示す。この走査露光によって、パターン形成領域43Aの第2レイヤにマスクM1のパターンの像が露光される。なお、パターン形成領域43Aの第1レイヤには、図3(C)に示す第1レイヤのマスクMのパターンの露光、現像、及びエッチング等の工程によって、所定の回路パターンが形成されているものとする。
さらに、この変形例では、マスクM,M1のパターン領域PA,PA1を囲む遮光帯(不図示)の±Y方向の部分に、第2列の両端の照明領域IRD,IRGのX方向の幅が最大の部分(Y方向に平行な部分)のうちで、幅ΔY2程度の部分が入っているものとする。
また、図13(A)に示すように、第1レイヤの露光時の図3(A)のマスクM及びパターン領域PAがそれぞれ2点鎖線で示す位置47A及び47Bにあり、パターン領域PAの+Y方向のエッジ部が照明領域IRGの+Y方向の傾斜部の−Y方向の端部に近接した位置にあったものとする。この場合、マスクM1のパターンの露光時には、走査露光開始前にマスクステージ21をY方向に駆動して、照明領域IRA〜IRGに対するマスクM1及びこのパターン領域PA1のY方向の位置(相対位置)を、それぞれ位置47A及び47Bに対して−Y方向にΔY1だけシフトさせておく。そのシフト量ΔY1は、上述の遮光帯中の照明領域IRD,IRGのY方向に平行な部分の幅ΔY2より小さく設定される。
これに対応して、走査露光開始前にプレートステージ22を駆動して、マスクM1のパターンが露光されるプレートPのパターン形成領域43AのY方向の位置も、第1レイヤの露光時の位置47Cに対して−Y方向にΔY1だけシフトしておく。このようにパターン形成領域43AのY方向の位置をシフトすることは、露光領域PRA〜PRGに対する
パターン形成領域43A(プレートP)のY方向の位置(相対位置)をシフトすることを意味する。そして、走査露光後には、図13(B)のパターン形成領域43A内の露光領域PRA〜PRGの間に継ぎ部44A〜44Fが形成される。この場合、パターン形成領域43Aは位置47CからΔY1だけY方向にシフトしているため、継ぎ部44A及び44Bの継ぎ位置の、パターン形成領域43Aの−Y方向の端部からの距離はそれぞれ(YA+ΔY1)及び(YA+d/2+ΔY1)となる。これらの距離は、図3(C)の第1レイヤでの距離に対してΔY1だけシフトしている。同様に他の継ぎ部44C〜44Fの継ぎ位置も第1レイヤにおける距離に対してΔY1だけシフトしている。このため、継ぎ部44A〜44Fの露光量むらの影響を低減できる。さらに、プレートPはマスクM1と同じ量だけY方向にシフトしているため、マスクM1のパターンの像は、プレートPの第1レイヤの回路パターンに対して高精度に重ね合わせて露光される。
上述のようにこの変形例の露光方法は、複数の露光領域PRA〜PRGを露光しつつ、マスク及びプレートを部分投影光学系PLA〜PLGに対して同期して走査する露光方法において、プレートPの第1レイヤの走査露光中における継ぎ部44A〜44FのY方向の位置に対して、プレートPの第2レイヤの走査露光中における継ぎ部44A〜44FのY方向の位置を変化させるために、主制御装置20の制御のもとで、第1レイヤの走査露光中におけるマスクM及びプレートPの部分投影光学系PLA〜PLGに対するY方向の第1の相対位置(位置47A〜47C)に対して、プレートPの第2レイヤの走査露光中におけるマスクM1及びプレートPの部分投影光学系PLA〜PLGに対するY方向の第2の相対位置をそれぞれシフト量ΔY1だけ変化させている。
この変形例によっても、複数の露光領域PRA〜PRGを用いてプレートPの第1レイヤ及び第2レイヤの走査露光を行う場合に、レイヤ毎に継ぎ部の継ぎ位置を変更することができ、継ぎ部の露光量むらの影響を低減できる。
なお、この変形例では、部分投影光学系PLA〜PLGが等倍の正立正像を形成するために、マスクM1及びプレートPのY方向のシフト量は等しく設定されている。しかしながら、投影光学系の非走査方向の倍率がβ(βは1又は1以外の任意の正又は負の実数)であるとすると、マスクM1のY方向のシフト量がΔYM1であるとき、プレートPのY方向のシフト量ΔYP1は、次のようにマスクM1のシフト量のβ倍に設定される。
ΔYP1=β・ΔYM1 …(6)
これによって、第1レイヤの回路パターンに対して第2レイヤのパターンの像が高精度に重ね合わされて露光される。
また、上述の各実施形態では、マルチレンズ型で等倍の投影システムPSが使用されているが、投影システムPSとして単一の投影光学系を使用する場合にも本発明が適用できる。さらに、投影光学系の投影倍率が拡大又は縮小の場合にも本発明が適用できる。
また、上述の第2の実施形態では、プレートのレイヤによって継ぎ部の継ぎ位置を変更しているが、例えば1枚のプレートの一つのパターン形成領域から多数の小型の表示素子(例えば携帯電話用の表示素子)を製造するような場合には、Y方向(非走査方向)に隣接する2つの表示素子の境界部にその継ぎ位置を設定してもよい。
また、上記の各実施形態の露光装置EX又は露光方法を用いて、基板上に所定のパターン(TFTパターン等)を形成することによって、電子デバイス(マイクロデバイス)としての液晶ディスプレイ用のパネル(液晶表示パネル)を得ることもできる。以下、図14のフローチャートを参照して、この製造方法の一例につき説明する。
図14のステップS401(パターン形成工程)では、先ず、露光対象の基板上にフォトレジストを塗布して感光基板(プレートP)を準備する塗布工程、上記の露光装置を用いてパネル用のマスク(例えばマスクMを含む)のパターンをその感光基板上の複数のパターン形成領域に露光する露光工程、及びその感光基板を現像する現像工程が実行される
。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、その基板上に所定のレジストパターンが形成される。このリソグラフィ工程に続いて、そのレジストパターンをマスクとしたエッチング工程、及びレジスト剥離工程等を経て、その基板上に所定パターンが形成される。そのリソグラフィ工程等は、その基板上のレイヤ数に応じて複数回実行される。
その次のステップS402(カラーフィルタ形成工程)では、赤R、緑G、青Bに対応した3つの微細なフィルタの組をマトリックス状に多数配列するか、又は赤R、緑G、青Bの3本のストライプ状の複数のフィルタの組を水平走査線方向に配列することによってカラーフィルタを形成する。その次のステップS403(セル組立工程)では、例えばステップS401にて得られた所定パターンを有する基板とステップS402にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶セルを製造する。
その後のステップS404(モジュール組立工程)では、そのようにして組み立てられた液晶セルに表示動作を行わせるための電気回路、及びバックライト等の部品を取り付けて、液晶表示パネルとして完成させる。
上述の電子デバイスの製造方法によれば、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いてマスクのパターンを基板に転写する工程(ステップS401の一部)と、この工程によりそのパターンが転写された基板をそのパターンに基づいて加工(現像、エッチング等)する工程(ステップS401の他の部分)とを含んでいる。
この製造方法によれば、マスクのパターンを効率的に、及び/又は露光量むらの影響を小さくして高精度に基板に露光できるため、液晶表示パネルを効率的に、及び/又は高精度に製造できる。
なお、上述の電子デバイスの製造方法は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の他のディスプレイ用のパネル等を製造する場合にも適用できる。
なお、本明細書には以下の発明も記載されている。
1.露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、前記マスク及び前記基板を前記少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光方法において、
前記基板の第1の層の走査露光中における複数の前記露光領域の間の継ぎ部の前記基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、
前記基板の前記第1の層と異なる第2の層の走査露光中における前記継ぎ部の前記非走査方向の位置を変化させることを特徴とする露光方法。
2.複数の前記露光領域はそれぞれ少なくとも一方の前記非走査方向のエッジ部が前記走査方向に対して傾斜しており、
前記継ぎ部の前記非走査方向の位置を変化させるために、複数の前記露光領域の前記走査方向の幅、及び複数の前記露光領域の少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記非走査方向の位置の少なくとも一方を制御することを特徴とする1に記載の露光方法。
3.前記投影光学系は、前記非走査方向に沿ってそれぞれ配列されるとともに、前記走査方向に離れて配置された第1列及び第2列の投影光学系を有し、
前記第1列及び第2列の投影光学系のそれぞれの前記露光領域の前記走査方向の幅を制御するために、
前記非走査方向に沿って配置された第1の遮光部材の前記走査方向の位置を制御して、前記第1列の投影光学系の前記露光領域の前記走査方向の端部の前記第1の遮光部材による遮光幅を制御し、
前記走査方向に沿って前記第1の遮光部材と重ならないように、かつ前記非走査方向に沿って配置された第2の遮光部材の前記走査方向に位置を制御して、前記第2列の投影光学系の前記露光領域の前記走査方向の端部の前記第2の遮光部材による遮光幅を制御することを特徴とする2に記載の露光方法。
4.前記投影光学系は、前記非走査方向に沿ってそれぞれ配列されるとともに、前記走査方向に離れて配置された第1列及び第2列の投影光学系を有し、
前記第1列及び第2列の投影光学系の前記露光領域のうち少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記非走査方向の位置の少なくとも一方を制御するために、
前記エッジ部に沿って配置された第3の遮光部材の前記非走査方向の位置を制御して、前記少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記第3の遮光部材による遮光幅を制御することを特徴とする2又は3に記載の露光方法。
5.露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、前記マスク及び前記基板を前記少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光方法において、
前記基板の第1の層の走査露光中における複数の前記露光領域の間の継ぎ部の前記基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、
前記基板の前記第1の層と異なる第2の層の走査露光中における前記継ぎ部の前記非走査方向の位置を変化させるために、
前記基板の前記第1の層の走査露光中における前記マスク及び前記基板の前記投影光学系に対する前記非走査方向の第1の相対位置に対して、前記基板の前記第2の層の走査露光中における前記マスク及び前記基板の前記投影光学系に対する前記非走査方向の第2の相対位置を変化させることを特徴とする露光方法。
6.前記投影光学系の前記非走査方向の投影倍率をβとしたとき、
前記第1の相対位置に対して、前記第2の相対位置において、前記マスクが前記投影光学系に対して前記非走査方向に距離Lだけずれているときに、
前記第2の相対位置において、前記基板は前記投影光学系に対して前記非走査方向にβ・Lだけずれていることを特徴とする5に記載の露光方法。
7.露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、前記マスク及び前記基板を前記少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光装置において、
複数の前記露光領域の間の継ぎ部の前記基板の走査方向に直交する非走査方向の位置を制御する露光領域制御機構と、
前記基板の第1の層の走査露光中における、前記継ぎ部の前記非走査方向の位置に対して、前記基板の前記第1の層と異なる第2の層の走査露光中における、前記継ぎ部の前記非走査方向の位置を変化させるように、前記露光領域制御機構を介して前記継ぎ部の位置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする露光装置。
8.複数の前記露光領域はそれぞれ少なくとも一方の前記非走査方向のエッジ部が前記走査方向に対して傾斜しており、
前記露光領域制御機構は、
複数の前記露光領域の前記走査方向の幅を制御する第1制御機構、及び
複数の前記露光領域の少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記非走査方向の位置を制御する第2制御機構のうち、少なくとも一方を有することを特徴とする7に記載の露光装置。
9.前記投影光学系は、前記非走査方向に沿ってそれぞれ配列されるとともに、前記走査方向に離れて配置された第1列及び第2列の投影光学系を有し、
前記露光領域制御機構の前記第1制御機構は、
前記非走査方向に沿って配置されて、前記走査方向の位置が可変の第1の遮光部材と、
前記走査方向に沿って前記第1の遮光部材と重ならないように、かつ前記非走査方向に沿って配置されて、前記走査方向の位置が可変の第2の遮光部材とを有し、
前記制御部は、
前記第1列及び第2列の投影光学系のそれぞれの前記露光領域の前記走査方向の幅を制御するために、
前記第1の遮光部材の前記走査方向の位置を制御して、前記第1列の投影光学系の前記露光領域の前記走査方向の端部の前記第1の遮光部材による遮光幅を制御し、
前記第2の遮光部材の前記走査方向に位置を制御して、前記第2列の投影光学系の前記露光領域の前記走査方向の端部の前記第2の遮光部材による遮光幅を制御することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
10.前記投影光学系は、前記非走査方向に沿ってそれぞれ配列されるとともに、前記走査方向に離れて配置された第1列及び第2列の投影光学系を有し、
前記露光領域制御機構の前記第2制御機構は、
前記エッジ部に沿って配置されて前記非走査方向の位置が可変の第3の遮光部材を有し、
前記制御部は、
前記第1列及び第2列の投影光学系の前記露光領域のうち少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記非走査方向の位置の少なくとも一方を制御するために、
前記第3の遮光部材の前記非走査方向の位置を制御して、前記少なくとも一つの露光領域の前記エッジ部の前記第3の遮光部材による遮光幅を制御することを特徴とする8又は9に記載の露光装置。
11.露光光でマスクのパターン及び少なくとも一つの投影光学系を介して基板の複数の露光領域を露光しつつ、前記マスク及び前記基板を前記少なくとも一つの投影光学系に対して同期して走査する露光装置において、
前記基板を前記投影光学系に対して走査方向に走査可能であるとともに、前記基板を前記走査方向に直交する非走査方向に移動可能な基板ステージと、
前記マスクを前記投影光学系に対して前記走査方向に対応する方向に走査可能であるとともに、前記マスクを前記非走査方向に対応する方向に移動可能なマスクステージと、
前記基板ステージ及び前記マスクステージの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基板の第1の層の走査露光中における複数の前記露光領域の間の継ぎ部の前記基板の走査方向に直交する非走査方向の位置に対して、
前記基板の前記第1の層と異なる第2の層の走査露光中における前記継ぎ部の前記非走査方向の位置を変化させるために、
前記基板の前記第1の層の走査露光中における前記マスク及び前記基板の前記投影光学系に対する前記非走査方向の第1の相対位置に対して、前記基板の前記第2の層の走査露光中における前記マスク及び前記基板の前記投影光学系に対する前記非走査方向の第2の相対位置を、前記基板ステージ及び前記マスクステージを介して変化させることを特徴とする露光装置。
12.前記投影光学系の前記非走査方向の投影倍率をβとしたとき、
前記制御部は、
前記第1の相対位置に対して、前記第2の相対位置において、前記マスクステージを介して前記マスクを前記投影光学系に対して前記非走査方向に距離Dだけ変位させたときに、
前記第2の相対位置において、前記基板ステージを介して前記基板を前記投影光学系に対して前記非走査方向にβ・Dだけ変位させることを特徴とする11に記載の露光装置。
13.1〜6のいずれか一項に記載の露光方法を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、
を含むデバイス製造方法。
14.7〜12のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板上に感光層のパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を処理することと、
を含むデバイス製造方法。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
EX…露光装置、PS…投影システム、PLA〜PLG…部分投影光学系、M…マスク、P…プレート、PRA〜PRG…露光領域、21…マスクステージ、22…プレートステージ、35A〜35G…視野絞り、36A〜36G…シャッタ部、38…シャッタ機構、40,40A…ブラインド機構、41A〜41C…ブラインド、43A…パターン形成領域、44A〜44F…継ぎ部

Claims (6)

  1. 所定パターンを有するマスクと物体とを照明光に対して走査方向へ相対移動させ、複数の投影光学系を介して前記所定パターンを前記物体上に走査露光する露光装置において、
    前記マスクを保持する第1移動体と、
    前記物体を保持する第2移動体と、
    前記照明光によって照明される前記マスク上の前記所定パターンが複数の前記投影光学系のそれぞれを介して前記物体上の投影される投影領域の形状を設定する視野絞りと、
    複数の前記投影光学系のそれぞれに設けられ、前記視野絞りにより設定された前記投影領域に対応する前記照明光の光路を一部遮光する遮光板と、
    前記遮光板を、前記走査方向と交差する非走査方向へ移動させる第1駆動部と、
    前記第1移動体と前記第2移動体とを、前記物体が走査露光されるように、前記投影光学系に対して、前記走査方向へ相対移動させる第2駆動部と、
    前記第1駆動部を制御する制御部と、を備え、
    複数の前記投影光学系は、前記物体のうち第1領域に前記照明光を投影し前記遮光板を有する第1投影光学系と、前記走査方向に関して離れた配置され、前記第1領域のうち前記非走査方向の端部側の領域と一部重複する重複領域に前記照明光を投影し前記遮光板を有する第2投影光学系と、を有し、
    前記制御部は、前記第1移動体に保持された前記マスクを用いる前記物体の走査露光と、前記第1移動体に保持された、前記マスクとは別のマスクを用いた、前記所定パターンが露光された前記物体に対する走査露光とで、前記物体における前記重複領域の前記非走査方向の位置を異ならせるよう、前記第1投影光学系内の前記遮光板と前記第2投影光学系内の前記遮光板とをそれぞれ前記非走査方向に移動させる露光装置。
  2. 前記視野絞り及び前記遮光板は、前記投影光学系の像面近傍の位置または前記投影光学系の像面と共役な面およびその近傍に設けられる請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記視野絞り及び前記遮光板は、前記マスク上の前記所定パターン面と光学的に共役な前記投影光学系の像面近傍の位置または前記投影光学系の像面と共役の面およびその近傍に設けられる請求項1に記載の露光装置。
  4. 前記物体は、ディスプレイの製造に用いられる基板である請求項1からのいずれか一項に記載の露光装置。
  5. 請求項に記載の露光装置を用いて、感光材が塗布された前記基板を露光することと、
    露光された前記基板を現像することと、を含むディスプレイの製造方法。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の露光装置を用いて、感光材が塗布された前記物体を露光することと、
    露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。
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