JP6734075B2 - カフェイン低減コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カフェインが低減されたコーヒー抽出液の製造方法に関する。本発明はまた、カフェインが低減されたコーヒー飲料の製造方法に関する。
コーヒー飲料に含まれるカフェインは、その薬理作用により積極的に摂取して眠気を抑えたい等のニーズがある一方で、カフェイン摂取により睡眠や入眠を妨げられる可能性を懸念し、消費者の中にはカフェインが含まれるコーヒー飲料を敬遠する者もいる。
このため、飲料からのカフェインの低減を目的とした様々な手法が開発・検討されてきている。飲料中のカフェイン濃度を低減する手法としては、白土を用いたカフェイン吸着・除去技術が知られ、例えば、特許文献1には、カフェインを含有する水溶液を活性白土または酸性白土と接触させることにより、水溶液から選択的にカフェインを除去する方法が開示されている。
特開平6−142405号公報
しかしながら、白土は飲料中のカフェインを効率的に吸着・除去できるが、その反面、接触させた飲料本来の色彩や香味を損なう可能性があった。
本発明は、コーヒー本来の色彩や香味に影響を与えずに、カフェインを効率的に除去できるコーヒー抽出液の製造方法とカフェイン低減コーヒー飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、コーヒー抽出液のカフェインの吸着剤として焼成白土を用いると、未処理のコーヒー抽出液と同等の色彩を実現できるとともに、白土処理による固形分の減少(ブリックス値の減少)を抑制することができ、さらに、焼成処理していない白土と同等のカフェイン除去率を達成できることを見出した。本発明者らはさらに、上記効果が、使用する白土の種類やコーヒー抽出液のブリックス値によらず達成されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]コーヒー抽出液と焼成白土とを接触させる工程を含んでなる、カフェインが低減されたコーヒー抽出液の製造方法。
[2]焼成白土が、200℃〜500℃で焼成されたものである、上記[1]に記載の製造方法。
[3]焼成白土が、1時間以上焼成されたものである、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]白土が、酸性白土、活性白土およびベントナイトからなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]コーヒー抽出液に含まれるカフェインが75%以上除去された、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法によりコーヒー抽出液を製造し、得られたコーヒー抽出液を配合することを含んでなる、カフェイン低減コーヒー飲料の製造方法。
本発明の製造方法は、コーヒー本来の色彩や香味に影響を与えずに、カフェインを効率的に除去できる点で有利である。
100℃〜600℃の各温度条件下で焼成した白土で処理したコーヒー抽出液のL値およびブリックス値の変化率を示した図である。 100℃〜600℃の各温度条件下で焼成した白土で処理した各種コーヒー抽出液のL値の変化率を示した図である。 100℃〜600℃の各温度条件下で焼成した白土で処理した各種コーヒー抽出液のブリックス値の変化率を示した図である。 100℃〜600℃の各温度条件下で焼成した白土で処理した各種コーヒー抽出液のカフェイン除去率を示した図である。 100℃と300℃の各温度条件下で焼成した3種類の白土(ミズカエース#20、ミズカエース#400およびミズカエース#300)と、100℃と300℃の各温度条件下で焼成したベントナイト(BIGHORN)でそれぞれ処理したコーヒー抽出液のブリックス値の変化率を示した図である。未処理コーヒー抽出液(Ctrl)のブリックス値を1とした。 100℃と300℃の各温度条件下で焼成した3種類の白土(ミズカエース#20、ミズカエース#400およびミズカエース#300)と、100℃と300℃の各温度条件下で焼成したベントナイト(BIGHORN)でそれぞれ処理したコーヒー抽出液のL値の変化率を示した図である。未処理コーヒー抽出液(Ctrl)のL値を1とした。 ブリックス値が異なる3種類のコーヒー抽出液を準備し、100℃と300℃の各温度条件下で焼成した白土で処理した場合のブリックス値の変化率を示した図である。それぞれの未処理コーヒー抽出液(−)のブリックス値を1とした。 ブリックス値が異なる3種類のコーヒー抽出液を準備し、100℃と300℃の各温度条件下で焼成した白土で処理した場合のL値の変化率を示した図である。それぞれの未処理コーヒー抽出液(−)のL値を1とした。
発明の具体的説明
本発明のコーヒー抽出液の製造方法は、コーヒー抽出液と焼成白土とを接触させる工程を含んでなることを特徴とする。
本発明の製造方法に用いられるコーヒー抽出液は、特に限定されないが、一般的な方法(例えば、「最新・ソフトドリンクス」(光琳)を参照)により抽出されるコーヒー抽出液やその濃縮液または希釈液を用いることができる。コーヒー、例えば焙煎したコーヒー豆から各種方法により得られる抽出液(いわゆるレギュラーコーヒー)のほか、コーヒーから抽出した成分を含有する液体がすべて包含され、例えば、コーヒー焙煎豆の冷水、温水、熱水、加圧熱水による抽出液や、プロピレングリコール水溶液、ショ糖脂肪酸エステル等の食品添加物として許容されている界面活性剤の水溶液による抽出液、炭酸ガス等の超臨界抽出により得られた抽出液、インスタントコーヒーの溶解液等も包含される。コーヒー抽出液は上述したいずれであってもよいが、コーヒー抽出液は、好ましい態様によれば、焙煎したコーヒー豆を熱水(例えば、コーヒー豆の10倍量)で抽出した後、冷却してコーヒー抽出液とすることが好ましい。また、コーヒー豆からの抽出方法については、特に限定されず、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(例えば、ペーパー、ネル)が挙げられる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出液を得るのに用いられるコーヒー豆はその産地や品種には特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グアテマラなどの産地が挙げられ、これらの1種または2種以上をブレンドして用いても良い。コーヒー豆の品種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種があり、好ましくは、香味の観点から、アラビカ種である。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いても良い。コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒーとする方法については、特に限定されるものではなく、焙煎温度、焙煎環境についても限定されない。焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式などが挙げられる。焙煎コーヒーの焙煎度としては特に限定されるものではなく、例えばライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンいずれを用いても良い。焙煎コーヒーの焙煎度は、L値を用いて表現してもよく、当業者は適宜、豆のL値を選択することができる。L値は、例えば日本電色工業社製の色差計により測定することができる。なお、焙煎度の異なるコーヒー豆を複数種混合しても良い。
本発明の製造方法に用いられる「焼成白土」は白土を焼成処理してなるものである。焼成処理の条件は、コーヒー抽出液のカフェインを効率的に除去できるとともに、コーヒー本来の色彩と香味を実現することができる限り特に限定されないが、焼成処理の温度条件は200〜500℃、好ましくは250〜400℃の範囲とすることができる。また、焼成処理では、所定の焼成処理の温度条件下に白土を一定時間保持することにより実施することができ、この場合の焼成処理時間は1時間以上(例えば、1〜3時間)、好ましくは2時間以上(例えば、2〜3時間)とすることができる。
ここで「白土」とは、スメクタイト型粘土鉱物、すなわち、モンモリロナイト、サポナイト、スチブンサイトなどを主成分とする粘土質の鉱物性物質を意味する。本発明はコーヒー飲料の製造を目的としているため、本発明で使用される白土は食品添加物など食品への使用が許容されるものが望ましい。白土としては、モンモリロナイトを主成分とする酸性白土、活性白土、ベントナイトが挙げられ、1種を用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法において用いられる酸性白土および活性白土は、共に一般的な化学成分として、SiO、Al、Fe、CaO、MgOなどを有するが、本発明に使用する場合、SiO/Al比は、3〜12、好ましくは3〜8が好ましい。また、酸性白土および活性白土中に、Fe 2〜5質量%、CaO 0〜1.5質量%、MgO 1〜7質量%などを含有する組成のものが好ましい。
本発明の製造方法において用いられる酸性白土および活性白土の比表面積(m/g)は、酸性白土の場合には50m/g以上150m/g未満、活性白土の場合には70m/g以上300m/g未満であるものが好ましい。
本発明に使用する白土のうち好ましいものとしては、比表面積(m/g)が50以上150未満で、かつ、SiO/Al比が3以上8未満である酸性白土や、比表面積(m/g)が200以上300未満で、かつ、SiO/Al比が3以上11未満である活性白土が挙げられる。
上記のような好ましい酸性白土としては、例えば、ミズカエース#20、ミズカエース#200、ミズカエース#300、ミズカエース#400、ミズカエース#600、ミズライト(以上、水澤化学工業社製)などの市販品を用いることができる。また、上記のような好ましい活性白土としては、例えば、ガレオンアースNVZやガレオンアースV2、ガレオンアースNF2(以上、水澤化学工業社製)などの市販品を用いることができる。また、Clarit100GやClarit125G、Tonsil531N(ズードケミー触媒社製)、BIGHORN(シンワフーズケミカル社製)などの市販ベントナイトも白土として用いることができる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出液を焼成白土と接触させる工程は、コーヒー抽出液が焼成白土と接触する限り、特に限定されるものではないが、例えば、接触タンクにより一定量を逐次処理するバッチ処理、コーヒー抽出液と焼成白土とを配管内で連続的に接触させるドージング処理、焼成白土充填カラムを通液させるカラム処理、焼成白土含有フィルターを通液させるフィルター処理などが挙げられる。焼成白土のカフェイン吸着効率の観点から、接触工程で1度使用した白土は再度接触工程には使用しないようにすることができる。なお、ドージング処理は、例えば、抽出液の流路にT字型で配管を接続し、該配管から白土をポンプで注入して接触させる方法で実施することができる。
本発明の製造方法において、焼成白土の使用量は、接触させるコーヒー抽出液に対し0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%とすることができる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出液と焼成白土との接触時間および接触時の温度は、コーヒー抽出液中のカフェインを除去できる限り特に限定されるものではないが、例えば、コーヒー抽出液と焼成白土との接触時間は1秒〜60分間(好ましくは、1秒〜30分間)であり、コーヒー抽出液と焼成白土との接触時の温度は0〜95℃(好ましくは、10〜80℃)である。
コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理をバッチ処理で行う場合には、コーヒー抽出液への焼成白土の添加開始からコーヒー抽出液からの焼成白土の除去開始までの時間を、コーヒー抽出液と焼成白土の接触時間とすることができ、焼成白土が添加されたコーヒー抽出液の温度をコーヒー抽出液と焼成白土の接触温度とすることができる。コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理をドージング処理で行う場合には、コーヒー抽出液への焼成白土の添加開始からコーヒー抽出液からの焼成白土の除去開始までの時間を、コーヒー抽出液と焼成白土の接触時間とすることができ、焼成白土が添加されたコーヒー抽出液の温度をコーヒー抽出液と焼成白土の接触温度とすることができる。コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理をカラム処理で行う場合には、コーヒー抽出液のカラム通過時間をコーヒー抽出液と焼成白土との接触時間とすることができ、カラムに供給するコーヒー抽出液の温度をコーヒー抽出液と焼成白土との接触温度とすることができる。コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理をフィルター処理で行う場合には、コーヒー抽出液のフィルター通過時間をコーヒー抽出液と焼成白土との接触時間とすることができ、フィルターに供給するコーヒー抽出液の温度をコーヒー抽出液と焼成白土との接触温度とすることができる。
本発明の製造方法によれば、各接触工程の後に、コーヒー抽出液から焼成白土を除去する工程をさらに含んでいてもよい。焼成白土を除去する方法は特に限定されず、常法に従って行うことができる。例えば、コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理をタンク等を用いたバッチ処理で行う場合や、コーヒー抽出液と焼成白土との接触処理を配管内で連続的に行うドージング処理である場合には、常用の分離方法(例えば、遠心分離)を用いて固液分離し、固体部分(焼成白土)を除去することができる。
本発明の製造方法では、カフェインの吸着剤として焼成白土を用いることにより、コーヒー抽出液からカフェインを効率的に除去ないし低減することができる。すなわち、本発明の製造方法において、焼成白土によるカフェイン除去率は75%以上を達成することができ、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。また、本発明の製造方法における焼成白土との接触処理後のコーヒー抽出液のカフェイン含有量は、接触処理前のコーヒー抽出液のカフェイン含有量に対して25%以下とすることができ、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
ここで、カフェイン除去率(%)は下記式により算出できる。
Figure 0006734075
本発明の製造方法に用いられる抽出液および飲料中のカフェインの含有量は高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により測定することができる。HPLC法の測定条件としては、例えば本明細書の実施例に示される測定条件を用いることができる。
本発明の製造方法では、カフェインの吸着剤として焼成白土を用いることにより、コーヒー本来の色彩(特に、明度)に影響を与えずに、カフェインを効率的に除去することができる。コーヒーの明度はL値を指標にして決定することができる。ここで、L値とは、国際照明委員会(CIE)で規格化され特にJIS Z8781−4:2013において特定される、L*a*b*表色系におけるL*を指す。明度を含め色彩の測定は当業者に周知であり、分光測色計(例えば、商品名:CM5、コニカミノルタ社製)で色彩計測を行うことができる。
本発明の製造方法では、カフェインの吸着剤として焼成白土を用いることにより、コーヒー本来の香味に影響を与えずに、カフェインを効率的に除去することができる。コーヒーの香味はブリックス値を指標にして評価することができる。ここで、ブリックス値(Brix)は固形成分の含有割合の指標であり、対象組成物100g当たりの固形分質量(g)の割合で示される。固形成分の含有量は市販のブリックス計により測定することができる。
本発明の製造方法で得られたコーヒー抽出液は、カフェインが低減されつつ、コーヒー本来の色彩や香味が維持されており、通常のコーヒー飲料と比較して遜色がないものである。従って、本発明によれば、本発明の製造方法に従ってコーヒー抽出液を製造し、得られた抽出液を他の原材料に配合することを含んでなる、カフェイン低減コーヒー飲料の製造方法が提供される。本発明の製造方法により得られたカフェイン低減コーヒー飲料は、カフェインが低減されつつ、コーヒー飲料本来の色彩や香味が維持されている点で有利である。
本発明のコーヒー飲料の製造に当たっては、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
上記配合工程では、本発明の製造方法で得られたコーヒー抽出液以外に、糖類を含む甘味料、酸味料、pH調整剤、香料、色素、乳成分、乳化剤、安定剤、その他植物エキス、機能性素材等の通常のコーヒー飲料の製造に用いられる配合成分を添加することができる。
本発明により提供されるカフェイン低減コーヒー飲料は、上記配合工程に加え、充填工程、殺菌工程などの工程を経て容器詰め飲料として提供することができる。例えば、上記配合工程で得られた配合液を常法に従って殺菌し、容器に充填することができる。殺菌は容器への充填前であっても充填後であってもよい。
本発明の飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは、金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、瓶である。
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
ブリックス値の測定
コーヒー抽出液中の固形成分の含有量はBrix計(RX−5000α、アタゴ(ATAGO)社製)により測定した。固形成分の含有量に基づいてブリックス値を算出した。
カフェイン含有量の測定
試料溶液中のカフェインの含量について、以下の手順に従い分析した。試料溶液を下記表1に示す分析条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、カフェイン含有量を定量した。
Figure 0006734075
色彩の測定
コーヒー豆のL値は、日本電色工業社製の分光色差計(製品名:SA2000)を用いて測定を行った。また、コーヒー抽出液のL値は、コニカミノルタ社製の分光測色計(製品名:CM5)を用いて、光路長2mmの専用ガラスセルに測定試料を入れ、透過光を用いて計測した。いずれの測定も3回ずつ行い、その平均値を分析結果とした。
例1:コーヒー抽出液の焼成白土処理(1)
(1)コーヒーの抽出処理
ブラジル産コーヒー豆(豆のL値=17)を粉砕して得られた粉末60gを98℃の熱水を用いてドリップ式でコーヒーを抽出し、抽出液600gを採液したところでドリップを止め、得られた抽出液を常温まで自然冷却させた。その後、25℃の温度条件下で遠心(3000rpm、5分間)を行い、沈降物を除去し、コーヒー抽出液とした。コロンビア産コーヒー豆(豆のL値=17)およびコロンビア産コーヒー豆(豆のL値=25)についても同様の操作を行い、コーヒー抽出液を調製した。
各コーヒー抽出液のL値(D65)、ブリックス値、カフェイン含有量は表2の通りであった。
Figure 0006734075
(2)白土の焼成処理
酸性白土(ミズカエース#20、水澤化学社製)50gを白磁皿に取り、電気炉(KDF 5000Plus、ヤマト科学社製)に入れ、焼成処理を行った。本実施例では、焼成温度が100℃、200℃、300℃、400℃、600℃の5種類の焼成白土を作製した。電気炉の動作プログラムは、昇温速度を1000℃/hr、到達温度の保持時間を2時間に設定した。電気炉の動作後は自然放熱させ、常温程度まで冷えたところで焼成白土を取り出し、以下の試験に用いた。
(3)コーヒー抽出液と焼成白土の接触処理およびその結果
上記(2)で得られた焼成白土16gを上記(1)で得られたコーヒー抽出液400gに添加し、常温で1時間振とう処理を行った。振とう処理後、遠心(3000rpm、10分間)を行い、上清を回収した。得られた上清についてL値、ブリックス値、カフェイン含有量を測定した。
焼成白土との接触処理を行っていない未処理コーヒー抽出液のL値およびブリックス値を1とした場合の、各種焼成白土で処理したコーヒー抽出液(ブラジル産コーヒー豆)のL値およびブリックス値は図1に示される通りであった。図1から明らかなように、焼成温度が上昇するにつれ、処理済みコーヒー抽出液の液色とブリックス値が、焼成白土未処理コーヒー抽出液の液色とブリックス値に近づいていくことが分かった。液色については焼成温度が600℃となる試験区で未処理コーヒー抽出液から離れる傾向が見られたが、特に、焼成温度が300℃〜400℃の焼成白土を用いた場合には、未処理コーヒー抽出液に近い液色(L値)を達成できることが分かった。
各種コーヒー抽出液を焼成白土で処理した場合のL値の変化をまとめると図2の通りであった。また、各種コーヒー抽出液を焼成白土で処理した場合のブリックス値の変化をまとめると図3の通りであった。ブラジル産コーヒー豆以外の抽出液もブラジル産コーヒー豆抽出液とほぼ同様のL値やブリックス値の変化を示した。なお、図2および図3ともに、白土との接触処理を行っていない未処理コーヒー抽出液のL値およびブリックス値を1とした場合の結果である。
次に、各種コーヒー抽出液を焼成白土で処理した場合のカフェイン除去率の変化をまとめると図4の通りであった。図4から明らかなように、焼成温度が200℃〜300℃のときはカフェイン除去率がやや増加し、焼成温度が300℃〜400℃のときはカフェイン除去率がやや減少し、焼成温度が600℃を超えるとカフェイン吸着率が減少傾向になることが分かった。この傾向は、3種類のコーヒー豆の抽出液のいずれについても確認された。
以上のように、焼成白土を用いると、未処理のコーヒーに近い色彩を実現できるとともに、白土処理による固形分の減少(ブリックス値の減少)を抑制することができ、さらに、焼成処理していない白土とほぼ同程度のカフェイン除去率を達成することができることが示された。これらの効果は焼成温度が200℃〜500℃の焼成白土を用いた場合に顕著であった。従って、焼成白土は、カフェインを効率的に除去できるとともに、未処理のコーヒー抽出液と同等の色彩と香味を実現することができる。
(4)コーヒー抽出液と未焼成白土の接触処理およびその結果
焼成処理していない白土(未焼成白土)を使用した白土練りこみフィルター(90mm径)に上記(1)で得られたコーヒー抽出液100gを通液してろ液を回収した。得られたろ液についてL値、ブリックス値、カフェイン含有量を測定した。
白土との接触処理を行っていない未処理コーヒー抽出液のL値、ブリックス値を1とした場合の、白土フィルター処理したコーヒー抽出液(ブラジル産コーヒー豆)のL値、ブリックス値はそれぞれ1.11、0.81であった。また、白土フィルター処理した場合のカフェイン除去率は99%であった。ブリックスの低下により未処理コーヒー液のボディ感は低下し、平坦な香味になってしまう傾向が確認された。すなわち、焼成処理していない白土を使用した白土練りこみフィルターは高いカフェイン除去率を発揮するが、白土処理されたコーヒー抽出液は未処理のコーヒー抽出液の色彩や香味に影響を与える可能性が示唆された。
例2:コーヒー抽出液の焼成白土処理(2)
本実施例では、例1で確認された焼成白土の特性が、種類が異なる焼成白土でも達成できるかを確認した。
(1)コーヒーの抽出処理
例1の(1)に従ってブラジル産コーヒー豆(豆のL値=17)抽出液を得た。コーヒー抽出液のL値、ブリックス値、カフェイン含有量は前記表2に記載される通りであった。
(2)白土の焼成処理
酸性白土としてミズカエース#20、ミズカエース#400およびミズカエース#300(以上、水澤化学工業社製)を準備し、ベントナイトとしてBIGHORN(シンワフーズケミカル社製)を準備し、これら4種類の白土それぞれについて、焼成温度が100℃と300℃の2種類の焼成白土を作製した。電気炉による焼成白土の調製手順は例1の(2)に従って行い、合計8種類の焼成白土を調製した。
(3)接触処理と結果
例1の(3)に従ってコーヒー抽出液と焼成白土を接触させ、処理済の抽出液についてブリックス値およびL値を測定した。焼成白土との接触処理を行っていない未処理コーヒー抽出液のブリックス値およびL値を1とした場合の、各種焼成白土で処理したコーヒー抽出液(ブラジル産コーヒー豆)のブリックス値およびL値は図5および6に示される通りであった。
図5および6に示される通り、300℃で焼成した酸性白土で処理したコーヒー抽出液のブリックス値と液色は、100℃で焼成した酸性白土の結果よりも、未処理コーヒー抽出液のブリックス値と液色により近いことが分かった。また、ベントナイトも酸性白土と同様の傾向を示すことが示された。さらに、下記表3に示されるように、8種類の焼成白土および焼成ベントナイトのカフェイン除去率はいずれも90%以上であった。
Figure 0006734075
すなわち、焼成白土はその種類によらず、カフェインを効率的に除去できるとともに、未処理のコーヒー抽出液と同等の色彩と香味を実現することができることが示された。
例3:コーヒー抽出液の焼成白土処理(3)
本実施例では、例1で確認された焼成白土の特性が、ブリックス値が異なるコーヒー抽出液でも達成できるかを確認した。
(1)コーヒーの抽出処理
例1の(1)に従ってブラジル産コーヒー豆(豆のL値=17)抽出液(ブリックス値=2.7)を得た。この抽出液を希釈し、ブリックス値が2のコーヒー抽出液と、ブリックス値が1のコーヒー抽出液を得た。ブリックス値が異なる3種類のコーヒー抽出液を焼成白土との接触処理に用いた。
(2)白土の焼成処理
ミズカエース#20(水澤化学工業社製)を用いて、焼成温度が100℃と300℃の2種類の焼成白土を作製した。電気炉による焼成白土の調製手順は例1の(2)に従って行い、2種類の焼成白土を調製した。
(3)接触処理と結果
例1の(3)に従ってコーヒー抽出液と焼成白土を接触させ、処理済の抽出液についてブリックス値およびL値を測定した。焼成白土との接触処理を行っていない未処理コーヒー抽出液のブリックス値およびL値を1とした場合の、各種焼成白土で処理したコーヒー抽出液(ブラジル産コーヒー豆)のブリックス値およびL値は図7および8に示される通りであった。
図7および8に示される通り、300℃で焼成した酸性白土で処理したコーヒー抽出液のブリックス値と液色は、100℃で焼成した酸性白土の結果よりも、未処理コーヒー抽出液のブリックス値と液色により近いことが分かった。また、下記表4に示されるように、焼成白土のカフェイン除去率はいずれも90%以上であった。すなわち、焼成白土は、コーヒー抽出液のブリックス値によらず、カフェインを効率的に除去できるとともに、未処理のコーヒー抽出液と同等の色彩と香味を実現することができることが示された。
Figure 0006734075

Claims (5)

  1. コーヒー抽出液と焼成白土とを接触させる工程を含んでな焼成白土が300℃〜400℃の温度で焼成されたものである、カフェインが低減されたコーヒー抽出液の製造方法。
  2. 焼成白土が、1時間以上焼成されたものである、請求項に記載の製造方法。
  3. 白土が、酸性白土、活性白土およびベントナイトからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. コーヒー抽出液に含まれるカフェインが75%以上除去された、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法によりコーヒー抽出液を製造し、得られたコーヒー抽出液を配合することを含んでなる、カフェイン低減コーヒー飲料の製造方法。
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