JP7356796B2 - コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カフェイン含有量が低減されたコーヒー飲料の製造方法に関する。
従来、コーヒー飲料に含まれるカフェインは、その薬理作用により積極的に摂取して眠気を抑える等のニーズがある一方で、カフェイン摂取により睡眠や入眠が妨げられる可能性を懸念して、コーヒー飲料等のカフェイン入り飲料が敬遠される場合がある。これに対して、カフェインの含有量を低減したコーヒー飲料の開発が行われているが、近年の健康志向の高まりと相まって、カフェインゼロのコーヒー飲料のニーズが高まっている。
これまでに、カフェイン入り飲料におけるカフェイン含有量の低減を目的とした様々な方法が検討されている。例えば、特許文献1には、カフェインを含有する水溶液を活性白土または酸性白土と接触させることにより、水溶液からカフェインを除去する方法が開示されている。また、特許文献2には、茶抽出物とエタノール水溶物とを混合し、活性炭、酸性白土および活性白土から選択される1種以上と接触させる工程と、タンナーゼで処理する工程とを経て得られる、風味が改良された精製緑茶抽出物が開示されている。さらに、特許文献3には、茶抽出物をアルカリ性条件下で活性白土および/または酸性白土と接触させることにより、白土から茶抽出物へのミネラル成分の溶出を抑制した精製茶抽出物の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの技術を用いてコーヒー飲料を製造した場合、カフェインの含有量を低減することはできるものの、カフェインゼロの範囲までカフェインの含有量を低減することは困難であった。
さらに、特許文献1に開示されている技術を用いてコーヒー飲料を製造した場合、白土中のミネラル成分がコーヒー抽出物に溶出し、得られるコーヒー飲料の外観や香味が、カフェイン低減処理が施されていない本来のコーヒー飲料と比較して劣る場合があった。また、特許文献2および3に開示されている技術を用いてコーヒー飲料を製造した場合、使用した有機溶媒を除去する際に香気が失われたり、アルカリ性条件にするためのpH調整が香味に影響を及ぼしたりする等の問題があった。
従って、コーヒー飲料において、コーヒー本来の香味を維持しつつ、カフェインの含有量を低減する方法がさらに求められている。
特開平6-142405号公報 特開2007-104967号公報 特開2012-231719号公報
本発明者らは、コーヒー飲料の製造において、原料となるコーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させることにより、製造されるコーヒー飲料において、コーヒー本来の香味を維持しつつ、カフェインの含有量を低減できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明は、コーヒー本来の香味を損なうことなく、カフェインの含有量が低減されたコーヒー飲料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)コーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる工程を含む、コーヒー飲料の製造方法。
(2)前記カルシウム塩が、無機塩および有機塩からなる群から選択される一種以上である、(1)に記載の製造方法。
(3)前記無機塩が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびケイ酸カルシウムからなる群から選択される一種以上である、(2)に記載の製造方法。
(4)前記有機塩が、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウムおよび乳酸カルシウムからなる群から選択される一種以上である、(2)に記載の製造方法。
(5)前記コーヒー抽出物と接触させる前記カルシウム塩の添加率が、該コーヒー抽出物に対して0.5~1.8mMである、(1)~(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記スメクタイト型粘土鉱物が、酸性白土、活性白土、サポナイト、ベントナイトおよび活性ベントナイトからなる群から選択される一種以上である、(1)~(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)前記コーヒー抽出物と接触させる前記スメクタイト型粘土鉱物の添加率が、該コーヒー抽出物に対して0.5~1.5%(w/v)である、(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記コーヒー抽出物におけるカフェインの含有量が25mg/100ml以下である、(1)~(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記コーヒー飲料におけるカフェインの含有量が1mg/100ml以下である、(1)~(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)前記コーヒー飲料における乳酸の含有量が6.5mg/100ml以下である、(1)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の製造方法により製造された、コーヒー飲料。
(12)コーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる工程を含む、コーヒー飲料におけるカフェインの低減方法。
本発明によれば、コーヒー本来の香味を維持しつつ、カフェインの含有量が低減されたコーヒー飲料が提供される。
発明の具体的説明
本明細書において「コーヒー飲料」には、1977年に制定された「コーヒー含有飲料等の表示に関する公正競争規約」に記載されているような、コーヒー豆を原料とした飲料およびこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を添加して容器に密封した飲料が包含される。また、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、2017年現在、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては「乳飲料」として扱われるが、上記「コーヒー飲料」の定義を満たす限り、そのような「乳飲料」も本発明の「コーヒー飲料」に包含されるものとする。
本明細書において、「カフェインゼロ」のコーヒー飲料とは、カフェインの含有量が1mg/100ml未満であるコーヒー飲料を意味する。
コーヒー飲料の製造方法
本発明のコーヒー飲料の製造方法は、原料となるコーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる工程を含んでなる。本発明の製造方法により製造されるコーヒー飲料は、コーヒー本来の香味を維持しつつ、カフェインの含有量が低減されたコーヒー飲料であり、好ましくは、カフェインの含有量がいわゆるカフェインゼロの範囲まで低減されたコーヒー飲料である。ここで、「維持」とは、通常のコーヒーと同じ香味が維持されていることを意味し、通常のコーヒーと同等の強度の香味を有することまでは要求されない。
本発明の製造方法に用いられるコーヒー抽出物は、特に限定されないが、一般的な方法(例えば、「最新・ソフトドリンクス」(光琳)を参照)により得ることができる。コーヒー、例えば、焙煎したコーヒー豆から各種方法により得られる抽出物(いわゆるレギュラーコーヒー)のほか、コーヒーから抽出した成分を含有する液体がすべて包含される。具体的には、コーヒー焙煎豆の冷水、温水、熱水、加圧熱水による抽出物や、プロピレングリコール水溶液、ショ糖脂肪酸エステル等の食品添加物として許容されている界面活性剤の水溶液による抽出物、炭酸ガス等の臨界抽出により得られた抽出物、インスタントコーヒーの溶解液等が挙げられる。コーヒー抽出物は上述したいずれであってもよいが、好ましい態様によれば、焙煎したコーヒー豆を熱水(例えば、コーヒー豆の10倍量)で抽出した後、冷却してコーヒー抽出物とすることが好ましい。また、コーヒー豆からの抽出方法については、特に限定されず、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(例えば、ペーパー、ネル)等が挙げられる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出物を得るために用いられるコーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種等が挙げられるが、香味の観点から、好ましくはアラビカ種が用いられる。具体的な栽培品種としては、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。これらのコーヒー豆は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。コーヒー豆としては、好ましくは焙煎したコーヒー豆(焙煎コーヒー)が用いられる。コーヒー豆を焙煎する方法は、特に限定されないが、焙煎方式、焙煎温度、焙煎環境等を適宜設定することができる。焙煎方式としては、例えば、直火式、熱風式、半熱風式等が挙げられる。焙煎コーヒーの焙煎度は、特に限定されないが、例えば、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン等が挙げられる。焙煎コーヒーの焙煎度は、L値を用いて表現してもよく、当業者は、豆のL値を適宜選択することができる。L値は、例えば、日本電色工業社製の色差計により測定することができる。なお、焙煎度の異なるコーヒー豆を2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法において用いられるコーヒー抽出物は、カフェインの含有量が低減されたコーヒー豆から得られた抽出物であることが好ましい。コーヒー豆におけるカフェインの含有量の低減は、カフェイン含有量を低減させたコーヒー豆(いわゆるデカフェ豆)を製造するための公知の方法により行うことができる。具体的には、例えば、有機溶媒抽出法、水抽出法、超臨界二酸化炭素抽出法等により行うことができる。本発明の製造方法において、コーヒー抽出物におけるカフェインの含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは25mg/100ml以下、より好ましくは10mg/100ml以下、さらに一層好ましくは5mg/100ml以下である。
コーヒー抽出物およびコーヒー飲料中のカフェインの含有量は、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により測定することができる。具体的には、コーヒー抽出物またはコーヒー飲料の試料溶液を下記の表1に示す分析条件でHPLCに供し、測定することができる。
Figure 0007356796000001
本発明の製造方法において用いられるスメクタイト型粘土鉱物とは、2:1層状ケイ酸塩で層間に水分子層を有し、膨潤性を有する粘土鉱物である。
スメクタイト型粘土鉱物としては、好ましくは酸性白土、活性白土、サポナイト、ベントナイト、活性ベントナイト等が挙げられる。これらの粘土鉱物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。スメクタイト粘土鉱物は天然物であっても、人工的に合成されたものであってもよい。これらのスメクタイト粘土鉱物のうち、酸性白土または活性白土を単独で使用するか、酸性白土および活性白土を組み合わせて使用することが好ましく、酸性白土を単独で使用することがより好ましい。
酸性白土および活性白土は、いずれも一般的な化学成分として、例えば、SiO、Al、Fe、CaO、MgO等を含有するが、本発明の製造方法においては、Alの含有量に対するSiOの含有量の比(SiO/Al比)が、好ましくは3~12、より好ましくは3~8である。また、酸性白土および活性白土は、Feを2~5質量%、CaOを0~1.5質量%およびMgOを1~7質量%それぞれ含有することが好ましい。
酸性白土の比表面積は50m/g以上150m/g未満であることが好ましい。また、活性白土の比表面積は70m/g以上300m/g未満であることが好ましい。
本発明の製造方法において用いられる好ましい酸性白土としては、比表面積が50m/g以上150m/g未満であり、かつ、SiO/Al比が3以上8未満である酸性白土が挙げられる。そのような酸性白土としては、例えば、ミズカエース#20、ミズカエース#200、ミズカエース#400、ミズカエース#600、ミズライト(いずれも水澤化学工業株式社製)等の市販品を用いることができる。
本発明の製造方法において用いられる好ましい活性白土としては、比表面積が200m/g以上300m/g未満であり、かつ、SiO/Al比が3以上11未満である活性白土が挙げられる。そのような活性白土としては、例えば、ガレオンアースNVZ、ガレオンアースV2、ガレオンアースNF2(いずれも水澤化学工業株式会社製)等の市販品を用いることができる。
また、酸性白土および活性白土以外のスメクタイト型粘土鉱物としては、例えば、Clarit100G、Clarit125G、Tonsil531N(いずれもズードケミー触媒株式会社製)等のベントナイトの市販品を用いることもできる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物との接触時間、接触温度等の条件は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物との接触時間としては、好ましくは50~180秒、より好ましくは60~150秒、さらに一層好ましくは80~120秒である。また、接触時の温度としては、好ましくは4~30℃、より好ましくは5~20℃、さらに一層好ましくは8~15℃である。
コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物との接触pHは、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物との接触時のpHとしては、好ましくは4.5~6.3、より好ましくは4.8~5.5、さらに一層好ましくは5.0~5.3である。特に、スメクタイト型粘土鉱物として酸性白土を用いる場合には、接触pHは、好ましくは4.5~5.9である。また、スメクタイト型粘土鉱物として活性白土を用いる場合には、接触pHは、好ましくは4.0~5.4である。
コーヒー抽出物と接触させるスメクタイト型粘土鉱物の量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。コーヒー抽出物と接触させるスメクタイト型粘土鉱物の量(添加率)としては、コーヒー抽出物に対して、好ましくは0.5~1.5%(w/v)、より好ましくは0.5~1.0%(w/v)、さらに一層好ましくは0.5~0.8%(w/v)である。
コーヒー抽出物と接触させたスメクタイト型粘土鉱物は、固液分離処理により除去することができる。固液分離処理に用いられる固液分離機としては、例えば、遠心分離機や濾過機が挙げられるが、コーヒー抽出物と接触させたスメクタイト型粘土鉱物の除去工程のいずれかの時点で濾過機が用いられる。コーヒー抽出物と接触させたスメクタイト型粘土鉱物を除去する方法は、濾過機による濾過のみにより除去してもよく、遠心分離機による遠心分離処理と、濾過機による濾過とを組み合わせてもよいが、遠心分離機による遠心分離処理と、濾過機による濾過とを組み合わせることがより好ましい。遠心分離処理は、一回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
遠心分離機としては、電動機により回転容器を駆動することで得られる遠心力を利用するものであれば特に限定されるものではないが、バッチ式(スイングローターを用いたスイング式、アングルローターを用いたアングル式)や、連続式等の遠心分離機が挙げられる。バッチ式の遠心分離機は遠心分離の都度、上清液と沈殿物を分離するため、連続式の遠心分離機と比較して歩留まりがよいなどのメリットがある。一方、連続式の遠心分離機は、工業的な大量生産において、単位時間当たりの処理量を多くできる等のメリットがある。
連続式の遠心分離機を用いる場合、遠心強度は抽出物の種類や、スメクタイト型粘土鉱物の種類により適宜決定することができる。遠心強度は、例えば、終末沈降速度Vg値が10.0×10-8m/s以上の粒子を除去する強度であり、好ましくは1.0~10.0×10-8m/s、より好ましくは1.0~8.0×10-8m/sの粒子を除去できる強度である。
バッチ式の遠心分離機を用いる場合、遠心分離の回転数および回転時間は、抽出物の種類や、スメクタイト型粘土鉱物の種類に基づき適宜設定することができる。遠心分離の回転数および回転時間は、好ましくは、1000~5000rpmで1~30分、より好ましくは1000~3000rpmで1~10分である。
また、コーヒー抽出物と接触させたスメクタイト型粘土鉱物を除去するために用いられる濾過機は、特に限定されるものではないが、例えば、珪藻土、パーライト等を用いた助剤濾過方式やフィルターカートリッジや、膜を用いた清澄濾過方式等が挙げられるが、フィルターを用いた濾過機を用いることが好ましい。フィルター濾過処理のためのフィルターは、抽出物の種類、スメクタイト型粘土鉱物の種類により適宜設定することができ、捕捉型、吸着型のいずれを用いてもよいが、吸着型が好ましい。捕捉型フィルターとは、ポリプロピレン等の不織布等を素材として用いて作製し、固形分を物理的な捕捉のみで取り除くことができるフィルターであり、例えば、住友スリーエム社製のPPK-010、PPK-005等が挙げられる。吸着型フィルターとは、フィルターの素材として不織布以外に、珪藻土やパーライト、ゼータ電位が付与されたレジン等が用いられ、固形分を機械的な捕捉のみではなく、素材の吸着作用によって取り除くことができるフィルターであり、例えば、住友スリーエム社製のゼータプラス30C、ゼータプラス50C等、フィルテック社製のNA45KS、NA60KS、NA90KS、NA150KS、NA300KS等が挙げられる。
本発明の製造方法において用いられるカルシウム塩は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、例えば、カルシウムの無機塩、有機塩等を用いることができる。
カルシウムの無機塩としては、例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。カルシウムの無機塩としては、好ましくは塩化カルシウム、炭酸カルシウムが用いられる。
カルシウムの有機塩としては、例えば、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。カルシウムの有機塩としては、好ましくはグルコン酸カルシウムが用いられる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出物とカルシウム塩との接触時間、接触温度および接触pHは、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、例えば、コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物との接触条件と同様の条件とすることができる。
コーヒー抽出物と接触させるカルシウム塩の量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。コーヒー抽出物と接触させるカルシウム塩の量(添加率)としては、コーヒー抽出物に対して、好ましくは0.5~1.8mM、より好ましくは0.7~1.6mM、さらに一層好ましくは1.0~1.5mMである。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる方法は、コーヒー抽出物がスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩と接触する限り特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。具体的には、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩の一方を先にコーヒー抽出物と接触させた後に他方を接触させてもよく、またスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩を同時にコーヒー抽出物と接触させてもよいが、好ましくはスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩を同時にコーヒー抽出物と接触させる。また、コーヒー抽出物にスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩を同時に接触させる方法は特に限定されないが、例えば、コーヒー抽出物にスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩を別々に同時に添加することにより行われてもよく、スメクタイト型粘土鉱物とカルシウム塩とを予め混合し、混合物をコーヒー抽出物に添加することにより行われてもよい。スメクタイト型粘土鉱物とカルシウム塩との混合割合は、特に限定されるものではないが、例えば、82:1~20:1である。
本発明の製造方法により製造されたコーヒー飲料は、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩による処理前(接触前)のコーヒー抽出物と比較して、カフェイン含有量が、好ましくは50%(w/w)以上、より好ましくは55%(w/w)以上、さらに一層好ましくは60%(w/w)以上低減されたものである。
本発明の製造方法により製造されるコーヒー飲料中のカフェインの含有量は、好ましくは1mg/100ml以下、より好ましくは1mg/100ml未満、さらに一層好ましくは0.9mg/mlである。
本発明の製造方法により製造されるコーヒー飲料中の乳酸の含有量は、好ましくは6.5mg/100ml以下、より好ましくは6.3mg/100ml以下、さらに一層好ましくは6.2mg/100ml以下である。
本発明の製造方法により製造されるコーヒー飲料のpHは、例えば、5.5~8.5の範囲とすることができ、好ましくは6.0~7.5の範囲である。飲料や抽出物またはその配合液のpHは、市販のpHメーターにより測定することができる。本発明のコーヒー飲料中のpHは、例えば、抽出物や他の成分を配合したその配合液に、食品上許容されるpH調整剤を添加することにより調整することができる。添加可能なpH調整剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムが挙げられ、香味とコストの観点から炭酸水素ナトリウムを添加することが好ましい。
本発明の製造方法により製造されたコーヒー飲料は、コーヒー本来の香味を損なうことなく、カフェインの含有量が低減されており、香味が通常のコーヒー飲料と比較して遜色がないものである。また、本発明の製造方法により製造されたコーヒー飲料は、そのまま飲料として提供することもできるため、本発明の一つの態様によれば、本発明の製造方法により製造されたコーヒー飲料が提供される。
また、本発明の製造方法により製造されたコーヒー飲料は、配合工程、充填工程、殺菌工程等の工程を経て、容器詰めコーヒー飲料として提供することもできる。従って、本発明によれば、本発明の製造方法によりコーヒー飲料を製造し、次いで、該コーヒー飲料を配合する工程を含む、容器詰めコーヒー飲料の製造方法も提供される。容器詰め飲料の容器とは、内容物と外気との接触を断つことができる密閉容器を意味し、例えば、PETボトルや瓶等の透明容器や、缶や紙容器等の不透明容器が挙げられる。
上記配合工程では、容器詰めコーヒー飲料に配合され得る糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物等の任意成分、酸化防止剤、pH調整剤、保存料、香料等の添加物等を添加してもよい。また、コーヒー抽出物としてコーヒー濃縮物やコーヒー精製物をスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩で処理した場合には、処理後のコーヒー抽出物を、容器詰め飲料に適した水等の液体成分によりコーヒー飲料に適した濃度まで希釈してもよい。
また、上記配合工程で得られた配合液を常法に従って殺菌し、容器に充填することができる。殺菌は、配合液を容器に充填する前であっても後であってもよい。
コーヒー飲料のカフェイン低減方法
本発明のコーヒー飲料のカフェイン低減方法は、コーヒー抽出物とスメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させることを含んでなる。本発明の方法によれば、コーヒー抽出物において、コーヒー本来の香味を損なうことなく、カフェインの含有量を低減させることができる。本発明の方法によりカフェインが低減されたコーヒー抽出物を用いることにより、コーヒー飲料において、コーヒー本来の香味を維持しつつ、カフェインの含有量を低減することができる。
本発明の方法によれば、コーヒー飲料において、コーヒー本来の香味を損なうことなく、カフェインの含有量を、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩による処理前(接触前)のコーヒー抽出物と比較して、好ましくは50%(w/w)以上、より好ましくは55%(w/w)以上、さらに一層好ましくは60%(w/w)以上低減することができる。
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、飲料サンプルにおけるカフェインの含有量は、HPLCシステムを用いて測定した。具体的には、飲料サンプルを下記の表2に示す分析条件でHPLCに供し、測定した。
Figure 0007356796000002
コーヒー飲料におけるカフェイン濃度
(1)飲料サンプルの調製
コロンビア産のデカフェ豆(焙煎度:L値=19)を98℃の湯で10倍抽出した。得られた抽出物に、下記の表3に示す組成に従って酸性白土(ミズカエース、水澤化学工業株式会社製)および各種塩をそれぞれ添加し、10℃で90秒撹拌し、遠心分離した。各抽出物(pH:6.25)のBrixおよびpHを調整して殺菌して、対照区、試験区1~7および比較区1~9の飲料サンプルを調製した。
(2)コーヒー飲料におけるカフェイン含有量と官能評価試験
上記(1)で調製された対照区、各試験区および比較区の飲料サンプルについて、カフェインの含有量を測定した。また、各飲料サンプルを官能評価試験に供した。官能評価試験では、各試験区および比較区の飲料サンプルの「香り」および「呈味」のそれぞれについて、対照区の飲料サンプルの評価スコアを「5」とし、よく訓練され、コーヒー飲料の評価に熟練したパネル3名により、以下の基準に基づく評価を行った。
5:コーヒーらしさが十分に感じられる香り/呈味である。
4:コーヒーらしさが感じられる香り/呈味である。
3:コーヒーとして許容できる香り/呈味である。
2:コーヒーらしさにやや欠ける香り/呈味である。
1:コーヒーらしさに欠ける香り/呈味である。
各飲料サンプルのカフェイン含有量および官能評価試験の結果を下記の表3に示す。なお、官能評価試験の評価スコアは、3名のパネルの評価スコアの平均値±標準偏差として示す。
Figure 0007356796000003
表3に示す結果から、コーヒー抽出物を所定の添加率のスメクタイト型粘土鉱物で処理をした場合には、得られたコーヒー飲料におけるカフェイン含有量が低減されることが分かった。さらに、コーヒー抽出物を所定の添加量のカルシウム塩で処理した場合には、得られたコーヒー飲料における香味の低下が抑制され、コーヒー本来の香味が維持されることが分かった。

Claims (6)

  1. コーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる工程を含む、コーヒー飲料の製造方法であって、
    前記コーヒー抽出物と接触させる前記カルシウム塩の添加率が、該コーヒー抽出物に対して0.5~1.5mMであ
    前記スメクタイト型粘土鉱物が酸性白土であり、
    前記カルシウム塩が、塩化カルシウム、炭酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムからなる群から選択される一種以上である、
    前記製造方法。
  2. 前記コーヒー抽出物と接触させる前記スメクタイト型粘土鉱物の添加率が、該コーヒー抽出物に対して0.5~1.5%(w/v)である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記コーヒー抽出物におけるカフェインの含有量が25mg/100ml以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記コーヒー飲料におけるカフェインの含有量が1mg/100ml以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記コーヒー飲料における乳酸の含有量が6.5mg/100ml以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. コーヒー抽出物と、スメクタイト型粘土鉱物およびカルシウム塩とを接触させる工程を含む、コーヒー飲料におけるカフェインの低減方法であって、
    前記コーヒー抽出物と接触させる前記カルシウム塩の添加率が、該コーヒー抽出物に対して0.5~1.5mMであ
    前記スメクタイト型粘土鉱物が酸性白土であり、
    前記カルシウム塩が、塩化カルシウム、炭酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムからなる群から選択される一種以上である、
    前記方法。
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