JP5089449B2 - 粉末ほうじ茶を含有する茶飲料 - Google Patents
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1.粉末ほうじ茶葉を茶抽出液に混合して得られる、茶飲料。
2.茶抽出液が、ほうじ茶を除く緑茶葉から選択される一種または2種以上の茶葉の抽出液である、上記1に記載の茶飲料。
3.粉末ほうじ茶の平均粒子径が、100μm以下である、上記1又は2に記載の茶飲料。
4.680nmにおける吸光度が、0.25以下である、上記1〜3のいずれかに記載の茶飲料。
5.ゲル濾過クロマトグラフィーの紫外線吸収400nmにより検出される分子量30万以上の可溶性高分子画分を0.20μg/ml以上(色素換算量)含有する、上記1〜4のいずれかに記載の茶飲料。
6.茶飲料が容器詰茶飲料である、上記1〜5のいずれかに記載の茶飲料。
7.粉末ほうじ茶を茶飲料に添加することにより、該茶飲料の香味を増強する方法。
本発明では、茶飲料に豊かな香りを付与するための茶葉由来添加成分として、粉末ほうじ茶を用いることを特徴とする。粉末ほうじ茶の原料であるほうじ茶葉とは、飲用に供することが可能な焙じた茶葉をいい、通常、煎茶や番茶、茎茶を焙煎した茶葉で、具体的には、ほうじ番茶、京番茶、雁ヶ音ほうじ茶、ほうじ煎茶等が例示される。また、本発明における粉末ほうじ茶葉とは、前記ほうじ茶を粉末状にしたものをいい、例えば、抹茶と同様に乾燥ほうじ茶葉を小片にして石臼等で挽いて粉にして製造される。
(茶抽出液ベース)
本発明の茶飲料は、ベースとなる茶抽出液に粉末ほうじ茶又は粉末ほうじ茶懸濁液を混合することにより製造されるものである。ほうじ茶(ほうじ茶抽出液)、顆粒状のほうじ茶(ほうじ茶抽出液を顆粒状にしたもの)及び粉末ほうじ茶葉を湯で溶かしたものが、ほうじ茶特有の香ばしい香りを有すること、苦味や渋味がほとんどない香味を奏することは知られている。しかし、粉末ほうじ茶葉を茶抽出液、特に緑茶抽出液に添加したときに、香ばしい香りのみならず、緑茶本来が持つ深みのある茶葉感、熟成感を伴う良好な香りを付与することができることは、本発明により初めて見出された知見である。特に、本発明の粉末ほうじ茶葉は、渋味成分であるカテキンを200〜800ppm(w/v)、旨味成分であるアミノ酸を20〜200ppm(w/v)含有する茶飲料において、その効果、すなわち緑茶本来が持つ香りやコク味を、より一層増強させるという特徴を有する。
(茶飲料)
上記茶抽出液ベースに、粉末ほうじ茶葉を添加して混合することにより、本発明の茶飲料は製造される。粉末ほうじ茶葉の配合割合は、所望する香味等により適宜設定すればよいが、通常、茶飲料全体に対する粉砕ほうじ茶葉量として、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%程度である。0.001重量%未満であると、茶飲料の緑茶本来の香味を増強する作用が十分に得られず、また0.5重量%を超えて配合すると、ほうじ茶の独特な香ばしい香りが強くなり、緑茶本来のグリーンな香りが損なわれることになる。
本発明者らの検討によると、ゲル濾過クロマトグラフィーの紫外線吸収400nmにより検出される分子量30万以上の可溶性高分子画分は、玉露、釜煎り玉緑茶、深蒸し茶などの高級茶葉に含まれる成分である。本発明の茶飲料では、この可溶性高分子画分が、粉末ほうじ茶葉由来成分として多量に含まれるので、高級緑茶が有する独特のまろやかで重厚な味わいを、簡便な製造方法で容器詰茶飲料として提供できる。具体的には、可溶性高分子画分が、茶飲料全体に対して0.20μg/ml(黄色4号色素換算)、好ましくは0.30μg/ml以上、より好ましくは0.50μg/ml以上含有する本発明の茶飲料は、緑茶本来の香りとともに濃厚感が感じられるコク味を有する茶飲料となる。なお、本明細書における可溶性高分子画分とは、メンブレンフィルター(孔径0.45μm、十慈フィールド株式会社 水系未滅菌13A)にて茶飲料を濾過したときにメンブレンフィルターを通過した通過液を、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、紫外線吸収400nmで保持時間約6分に検出されるボイド成分をいう(図1参照)。
(容器詰茶飲料)
本発明により得られる茶飲料は、殺菌工程や保存工程を経ても、その豊かな香り、旨味及びコク味が維持される。したがって、本発明の茶飲料は、容器詰飲料として好適に提供されるものである。容器詰飲料は、茶飲料を殺菌して容器に充填する、又は容器に充填した後に加熱殺菌(レトルト殺菌等)を行うことで、製造される。例えば缶飲料とする場合には、上記調合液を缶に所定量充填し、レトルト殺菌(例えば、1.2mmHg、121℃、7分)を行い、ペットボトルや紙パック、瓶飲料とする場合には、例えば120〜150℃で1〜数十秒保持するUHT殺菌等を行い、所定量をホットパック充填或いは低温で無菌充填する。本発明の容器詰茶飲料は、香味の良好な茶飲料であるから、無菌充填を行うのが最も好ましい態様である。
実施例1.粉末ほうじ茶葉懸濁液の製造
ほうじ茶葉を小片にし、茎を除いたものを石臼で挽いて、平均粒子径12μmの粉末ほうじ茶葉(E1)を得た。平均粒子径の測定は、島津製作所レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000にて実施した。これを約80倍の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより15MPaの圧力で処理し、遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織やほうじ茶粒子などの固形分を除去して、粉末ほうじ茶葉懸濁液(E2)を得た。
実施例2.粉末ほうじ茶葉を含有する茶飲料
以下の処方により8種類の茶飲料(比較例1〜5、本発明1〜3)を製造した。これら8種類の茶飲料について、専門パネラー5名によりコク味、香り、苦渋味、後味のすっきり感、総合的な好ましさについて5段階で評価し、その平均点を算出した。
比較例1(ベース抽出液:A):
煎茶葉1.40gを200mLの水(70℃)で5分間抽出
比較例2(ベース抽出液A+ほうじ茶抽出液B):
ほうじ茶葉1.40gを200mLの水(70℃)で5分間抽出したもの(B)に、(A):(B)=6:1となるように(A)を混合
比較例3(ベース抽出液A+ほうじ茶(小片)抽出液C):
5ミリに切断されたほうじ茶の小片(平均粒子径500μm)1.40gを200mLの水(70℃)で5分間抽出したもの(C)に、(A):(C)=6:1となるように(A)を混合
比較例4(ほうじ茶抽出液B+抹茶懸濁液D):
(B)に、抹茶を用い実施例1と同様にして製造した抹茶懸濁液(D)を、(B):(D)=6:1となるように混合
比較例5(ベース抽出液A+抹茶懸濁液D):
(A)と(D)とを、(A):(D)=6:1となるように混合
本発明1:(ベース抽出液A+粉末ほうじ茶葉E1):
実施例1の粉末ほうじ茶葉(E1)を、(A):(E1)=6:1となるように混合
本発明2:(ベース抽出液A+粉末ほうじ茶懸濁液E2):
実施例1の粉末ほうじ茶葉懸濁液(E2)を、(A):(E2)=6:1となるように混合
本発明3:(ベース抽出液A+抹茶懸濁液D+粉末ほうじ茶懸濁液E2):
(A)と(D)と(E2)とを、(A):(D):(E2)=6:0.5:0.5となるように混合
結果を表1に示す。本発明1〜3は、コク味、香り、すっきり感の項目において好ましいものであった。また、この評価結果より、以下のことが示唆された。
・比較例5と本発明2より、粉砕茶葉(懸濁液)を用いることで、コク味が増強されるが、緑茶本来の香りは、抹茶を用いた場合(比較例5)よりも粉末ほうじ茶葉(本発明2)を用いた場合の方が増強されること
・本発明1と本発明2より、粉末ほうじ茶葉を用いることで香り及びコク味の増強を図ることができるが、高圧ホモジナイザー処理により、より一層その作用が増強され、さらに遠心分離処理により後味のすっきり感が増強されること
・本発明3より、粉末ほうじ茶葉に抹茶を併用することで、コク味、香りの強さをコントロールできること
サンプル注入量:10μl
流量:0.5mL/min.
UV−VIS検出器:Agilent社 1100series G1315B DAD
検出設定波長:400nm
溶離液:水
温度:40℃
保持時間約6分のピーク面積から、黄色4号色素を分析して得られる検量線に基づき、その濃度を算出した。その結果、濁度(680nmにおける吸光度)は0.059であり、可溶性高分子画分は、茶飲料全体に対して1.10μg/ml(色素換算量)であった。
Claims (8)
- 平均粒子径が20μm以下である粉末ほうじ茶葉を、ほうじ茶を除く緑茶葉から選択される一種または二種以上の茶葉の抽出液に混合して得られる、茶飲料。
- 680nmにおける吸光度が、0.25以下である、請求項1に記載の茶飲料。
- ゲル濾過クロマトグラフィーの紫外線吸収400nmにより検出される分子量30万以上の可溶性高分子画分を0.20μg/ml以上(色素換算量)含有する、請求項1または2に記載の茶飲料。
- 粉末ほうじ茶が、ほうじ茶葉と水を高圧ホモジナイザー処理して得られる粉末ほうじ茶葉懸濁液の形態で添加されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の茶飲料。
- さらに、抹茶が添加されている、請求項1〜4のいずれかに記載の茶飲料。
- 茶飲料が容器詰茶飲料である、請求項1〜5のいずれかに記載の茶飲料。
- 粉末ほうじ茶の茶葉量が、茶飲料全体に対して0.001〜0.5重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の茶飲料。
- 平均粒子径が20μm以下である粉末ほうじ茶葉を、ほうじ茶を除く緑茶葉から選択される一種または二種以上の茶葉の抽出液に添加することにより、茶飲料の香りを増強する方法。
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