JP6733683B2 - 疲労強度に優れた回し溶接継手および回し溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼構造物を建造する際に広く採用される主板とガセットとの回し溶接の技術に関し、詳しくは優れた疲労特性が要求される鋼構造物(たとえば鋼橋、船舶等)に好適な回し溶接継手および回し溶接方法に関するものである。
一般に、鋼構造物では図7に示すように、ガセット2の周囲を主板1に溶接(いわゆる回し溶接)した回し溶接継手が多数存在する。回し溶接継手においては溶接ビード3がガセット2を取り囲んでおり、その溶接ビード3に欠陥(たとえば割れ等)が発生して、溶接止端部の形状が円滑に形成されなかった場合に、溶接止端部における応力集中が生じ易くなる。その結果、回し溶接に起因する溶接残留応力と外力に起因する繰り返し応力とが重畳して疲労亀裂を発生させ、さらに、その疲労亀裂が伝播して疲労破壊を引き起こす原因となる。なお外力は、鋼構造物に外部から繰り返し作用する荷重であり、たとえば鋼構造物が鋼橋である場合は、自然の気象状況(たとえば風等)や車両の通行によって繰り返し生じる荷重であり、鋼構造物が船舶である場合は、風や波によって繰り返し生じる荷重である。
そして近年、鋼構造物の老朽化に伴って、疲労に起因する損傷に関する報告が増加している。そのような損傷を防止するためには、鋼構造物を定期的に検査して、損傷の進行状況を管理し、さらに、損傷の進行に応じて対策を講じる必要がある。とりわけ疲労に起因する損傷が鋼橋に発生した場合は、車両の通行を規制することによって鋼橋に作用する外力を軽減することは可能であるが、交通の渋滞や物流の遅延等を引き起こすので社会活動に多大な悪影響を及ぼす。そこで、鋼構造物の回し溶接継手における疲労特性を改善する技術が検討されている。
たとえば特許文献1には、ガセットが主板に当接する矩形の当接面(以下、矩形当接面という)の長辺を主板に隅肉溶接し、次いで室温まで冷却した後に、矩形当接面の角部から短辺を回し溶接することによって、継手疲労強度を安定して高める技術が開示されている。特許文献1の図1、2に開示されている通り、この技術は、矩形当接面の短辺に沿って形成される溶接ビード(以下、短辺ビードという)が、長辺に沿って形成される溶接ビード(以下、長辺ビードという)の上に被せられ、且つ、短辺ビードが長辺ビードを超えて主板上に延伸する。このように、まず長辺ビードを溶接し、その上に短辺ビードを被せて溶接すると、溶接ビードが重なる部位に隙間(すなわち主板、長辺ビード、短辺ビードで囲まれた空間)が生じ易く、応力集中に起因する疲労亀裂が容易に発生し、その疲労亀裂の伝搬を防止するのは困難である。つまり特許文献1に開示された技術では、回し溶接継手の疲労強度の大幅な向上は期待できない。
特許文献2には、溶接ビードのマルテンサイト変態開始温度が350℃以下である溶接材料を用いてガセットの長手方向両端部から各々伸長ビードを主板の上面に形成することによって、回し溶接継手の疲労強度を高める技術が開示されている。この技術は、高価な溶接材料を選択せざるを得ないので、回し溶接の施工コストの上昇、ひいては鋼構造物の建造コストの上昇を招く。また、溶接止端部の形状によっては疲労亀裂が発生する起点となる可能性があるので、溶接止端部の仕上げ状態に応じて疲労強度が変動する惧れがある。
特許文献3には、船体の溶接桁構造について側縁部の両側でやや延長させた一対の肋材付き延長ビードが記載されている。しかしながら、特許文献3には溶接順序、疲労強度向上の効果のある間隔と、それに対する効果が開示されていない。
また、特許文献には、角回し溶接部の前まで隅肉溶接を行ない、室温まで冷却した後、角回し溶接部を(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くなるように溶接する方法が記載されている。この方法では、応力集中と引張残留応力が小さくなるものの、溶接止端部の範囲が従来の溶接継手より大きく(長く)なるため、発生・成長した疲労亀裂同士が早い段階で合体する危険性が高い。
特許文献、特許文献には、ガセットの長手方向両端部から各々伸長ビードを主板の上面に形成することにより、疲労寿命を向上させる技術が記載されている。この技術では、溶接の回し部をカバーする形で伸長ビードを形成する必要があるため、時間を要するだけでなく、溶接作業員の負担も大きい。
非特許文献1には、外力が溶接ビードに及ぼす影響を分散させるために、溶接ビードを延長して、継手疲労強度を改善する技術が開示されている。しかしながら外力の作用を分散させるだけでは、溶接止端部の形状に起因する疲労亀裂の発生を防止できない。しかも、疲労亀裂が発生した場合に、その疲労亀裂の伝播を防止する技術に関する記載はない。
特開平8-19860号公報 特開2013-99764号公報 特開平8-155634号公報 特開2014-233747号公報 特開2012-110950号公報
Study on Fatigue Strength of Boxing Fillet Weldments : 2nd Report : Yasumitsu Tomita, Kiyoshi Hashimoto, Kuniteru Ichikawa, Hiroshi Yamamoto, Tetsuji Fukuoka The Fifth International Offshore and Polare Engineering Conference, Jun 1995, Netherlands
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、疲労強度を安価に且つ安定して向上することができる回し溶接継手および回し溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者は、回し溶接継手の疲労強度を高めるために、疲労亀裂の発生および疲労亀裂の伝播を防止する技術について検討した。そして、上記で説明したような短辺ビードを長辺ビードに被せることによって生じる隙間を防止すれば、疲労亀裂の発生を防止できることが分かった。
次に、回し溶接の施工コストの上昇を抑制するために通常の溶接装置、溶接材料を用いて、上記の隙間の発生を防止する技術について詳細に検討した。その結果、
(A)まず短辺ビードを溶接し、次いで長辺ビードを溶接することによって、短辺ビードの上に長辺ビードを被せる、
(B)その際、既に溶接されている短辺ビードを超えて長辺ビードが延伸するように溶接する
ことによって、上記の隙間の発生を防止することが可能となり、ひいては溶接止端部の形状に関わらず疲労亀裂の発生を防止できることを見出した。さらに、
(C)短辺ビードが長辺ビードを超えない長さになるように溶接しておく
ことによって、隙間の発生を防止する効果が顕著に現われることが認められた。
しかも、疲労亀裂が発生した場合には、疲労亀裂の起点が2本の延伸した長辺ビードの間に存在するので、主板側に発生する疲労亀裂の伝播が2本の長辺ビードの間に制限され、ひいては疲労亀裂が広範囲に伝播するのを防止できることが判明した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。なお以下では、矩形当接面の短辺に沿って形成される溶接ビードを第1溶接ビードと記して、溶接ビードを形成する施工順が上記の短辺ビードとは異なることを明確にする。また、矩形当接面の長辺に沿って形成される溶接ビードを第2溶接ビードならびに第3溶接ビードと記して、溶接ビードを形成するための施工順が長辺ビードとは異なることを明確にする。
すなわち本発明は、ガセットを主板に回し溶接して接合することによって得られる回し溶接継手であって、ガセットが主板に当接する矩形当接面の短辺に沿って形成され且つ矩形当接面の短辺の両側から主板上に延伸して形成される第1溶接ビードと、矩形当接面の長辺に沿って形成され且つ第1溶接ビードに被せて主板上へ延伸して形成される第2溶接ビードならびに第3溶接ビードと、を有し、主板上の第1溶接ビードを超えて延伸する第2溶接ビードと第3溶接ビードとの間隔Mが10.0mm以下である回し溶接継手である。
本発明の回し溶接継手においては、矩形当接面の短辺の長さが10.0mm以下である場合に、間隔Mが短辺の長さ以下であることが好ましい。また、間隔Mを0mm超えとすることが好ましい。さらに、矩形当接面の短辺の両側から主板上に延伸した第1溶接ビードの部位全体に、第2溶接ビードおよび第3溶接ビードを被せることが好ましい。
また本発明は、ガセットを主板に回し溶接で接合する回し溶接方法において、ガセットが主板に当接する矩形当接面の短辺に沿って第1溶接ビードを矩形当接面の短辺の両側から主板上に延伸して形成し、次いで、矩形当接面の長辺に沿って第2溶接ビードならびに第3溶接ビードを第1溶接ビードに被せて且つ第1溶接ビードを超えて主板上へ延伸して形成し、主板上の第2溶接ビードと第3溶接ビードとの間隔Mを10.0mm以下とする回し溶接方法である。
本発明の回し溶接方法においては、矩形当接面の短辺の長さが10.0mm以下である場合に、間隔Mを短辺の長さ以下とすることが好ましい。また、間隔Mを0mm超えとすることが好ましい。さらに、矩形当接面の短辺の両側から主板上に延伸した第1溶接ビードの部位全体に、第2溶接ビードおよび第3溶接ビードを被せることが好ましい。
本発明においては、どのような材質の主板やガセットを用いても効果が発揮されるが、特に疲労亀裂発生初期段階での主板側における亀裂前縁の大きさを制限できることから、疲労亀裂伝播速度の低い(疲労亀裂が進展しにくい)主板を適用することによって、より一層の長寿命化が期待できる。
なお本発明は、鋼構造物を新たに建造する場合のみならず、老朽化した鋼構造物を補修する場合にも適用できる。
本発明によれば、鋼構造物を新たに建造する場合や老朽化した鋼構造物を補修する場合に、回し溶接継手の疲労強度を安価に且つ安定して向上することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。
本発明に係る回し溶接継手の例を模式的に示す斜視図である。 図1に示す回し溶接継手を得るための溶接施工の手順を模式的に示す平面図である。 図2(c)を拡大して示す平面図である。 図1に示す回し溶接継手の応力分布を調査するための試験片の例を模式的に示す斜視図である。 回し溶接継手の応力分布を示すグラフである。 回し溶接継手の疲労強度を調査するための試験片の例を模式的に示す平面図である。 従来の回し溶接継手の例を模式的に示す斜視図である。
図1は、本発明に係る回し溶接継手の例を模式的に示す斜視図であり、図2は、その回し溶接継手を得るための溶接施工の手順を示す平面図である。なお図2において、ガセット2が主板1に当接する矩形当接面2aは、ガセット2を主板1に投影した矩形線の形状と一致する。以下では、図2(a)〜(c)の矩形線(すなわち主板1に投影されたガセット2)の形状を矩形当接面2aとして説明する。
本発明に係る回し溶接継手を得るにあたって、まず、図2(a)に示すように、矩形当接面2aの短辺に沿って第1溶接ビード3aを形成する。この時、第1溶接ビード3aが矩形当接面2aの短辺の両側から主板1上に延伸するように溶接を施工する。したがって第1溶接ビード3aの長さは、矩形当接面2aの短辺よりも長くなる。こうすることによって、後述する第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3cを第1溶接ビード3aに被せることができる。
ただし、第1溶接ビード3aが長すぎて、第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3cの下側から主板1上に延伸した場合は、主板1、第1溶接ビード3a、第2溶接ビード3bで囲まれた隙間、あるいは主板1、第1溶接ビード3a、第3溶接ビード3cで囲まれた隙間が生じ易く、疲労亀裂が発生し易くなる。
また、第1溶接ビード3aの長さが矩形当接面2aの短辺よりも短い場合は、第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3cを第1溶接ビード3aに被せることができず、第1溶接ビード3aと第2溶接ビード3bの間、あるいは第1溶接ビード3aと第3溶接ビード3cの間に隙間が生じるので、疲労亀裂の発生を防止できない。
したがって、矩形当接面2aの短辺から主板1上に延伸した第1溶接ビード3aの部位全体に第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3cを被せることができるように、第1溶接ビード3aの長さを調整して施工することが好ましい。
次いで、矩形当接面2aの長辺に沿って第2溶接ビード3bを形成する。こうすることによって、第2溶接ビード3bを第1溶接ビード3aに被せることができる。そして、第2溶接ビード3bを第1溶接ビード3aから更に主板1上に延伸して(すなわち第1溶接ビード3aを超えて)形成する。
次に、矩形当接面2aの長辺に沿って第3溶接ビード3cを形成する。こうすることによって、第3溶接ビード3cを第1溶接ビード3aに被せることができる。そして、第3溶接ビード3cを第1溶接ビード3aから更に主板1上に延伸して(すなわち第1溶接ビード3aを超えて)形成する。
こうして第1溶接ビード3aに第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3cを被せることによって、各溶接ビード3a、3b、3cと主板1の間に隙間が生じるのを防止でき、その結果、溶接止端部の形状に関わらず疲労亀裂が発生するのを防止できる。
なお第2溶接ビード3b、第3溶接ビード3cについて、図2(b)(c)では、矩形当接面2aの左側の長辺に沿った溶接ビードを第2溶接ビード3bとし、右側の長辺に沿った溶接ビードを第3溶接ビード3cとしたが、左右を逆にしても問題はない。つまり、矩形当接面2aの右側の長辺に沿った溶接ビードを第2溶接ビード3bとし、左側の長辺に沿った溶接ビードを第3溶接ビード3cとしても、本発明を適用できる。
このような手順で各溶接ビード3a、3b、3cを形成した例(図2(c)参照)を拡大して図3に示す。主板1上に延伸した第2溶接ビード3bと第3溶接ビード3cとの間隔Mが大きすぎると、第2溶接ビード3bと第3溶接ビード3cの間の第1溶接ビード3aの溶接止端部に起点を持つ疲労亀裂が発生し易くなる。したがって、間隔Mは10.0mm以下とする。ただし、間隔Mが10.0mmを超えても、通常の溶接継手に比べて若干の疲労寿命向上の効果は見込まれることを付記しておく。なお矩形当接面2aの短辺の長さQが10.0mm以下である場合には、間隔Mは、M≦Qとする。なお間隔Mは、第2溶接ビード3bと第3溶接ビード3cの間の最も短い距離を指す。
疲労亀裂の発生を防止する観点から、間隔Mは小さいほど好ましい。しかし間隔が存在しない(M=0)場合は、第2溶接ビード3b、第3溶接ビード3cの先端に起点を持つ疲労亀裂が発生し、その疲労亀裂が広範囲に伝播し易くなる。この場合、脚長が長くなる分、若干の疲労寿命向上が見られるものの、本発明ほどの効果は得られない。したがって間隔Mは、M>0を満たすことが好ましい。
さらに図3に示すように、主板1上に延伸した第2溶接ビード3bの先端と矩形当接面2aの短辺との間隔、および、第3溶接ビード3cの先端と矩形当接面2aの短辺との間隔のうち、短い方を間隔Nとする。その間隔Nが小さ過ぎると、疲労亀裂が伝播し易くなる。一方で間隔Nが大き過ぎると、第2溶接ビード3b、第3溶接ビード3cの形成に長時間を要する。したがって、第2溶接ビード3bおよび第3溶接ビード3c第1溶接ビードを超えて延伸し、且つ間隔Nは10〜50mmの範囲内とする
以上に説明した本発明によって得られる回し溶接継手は、溶接止端部の形状に関わらず疲労亀裂の発生を防止できる。そして、疲労亀裂が発生した場合には、その疲労亀裂が広範囲に伝播するのを防止できる。しかも、従来の溶接装置、溶接材料を用いて得ることが可能であるから、施工コストの上昇を抑制できる。
回し溶接を行なう溶接手段は、被覆アーク溶接法、ガスメタルアーク溶接法が主であるが、それ以外の手段についても適宜用いることができ、手動溶接または自動溶接いずれを採用しても良い。
本発明は、鋼構造物を新たに建造する場合のみならず、老朽化した鋼構造物を補修する場合にも適用できる。
[実施例1]
主板1(板厚:14mm、板幅:80mm、長さ:500mm)にガセット2(板厚:14mm、板幅:70mm、高さ:50mm)を回し溶接した場合を想定した1/4対象モデルを作成して有限要素法解析を行ない、矩形当接面の短辺の溶接止端部に作用する応力分布を計算した。その手順を説明する。
図4は、本発明の回し溶接継手(図1参照)の応力分布を調査するための試験片を示す斜視図である。図示を省略するが、間隔M(図3参照)は10mmとした。そして、図4中の矢印の方向に111MPaの引張応力を加えた場合に、矩形当接面の短辺の溶接止端部に作用する応力分布をシミュレーション計算で求めた。これを発明例応力分布とする。
さらに比較のために、従来の回し溶接継手についても、同じ寸法の主板とガセットを用いて、同様にシミュレーション計算を行なった。これを比較例応力分布とする。なお、比較例応力分布については試験片の図示を省略する。
図5(a)は発明例応力分布を示すグラフ、図5(b)は比較例応力分布を示すグラフである。図5から明らかなように、発明例応力分布では、矩形当接面の短辺に作用する応力の最大値が比較例応力分布よりも低く、しかも応力の高い領域が狭くなっている。本計算により、本発明の回し溶接継手に外力が繰り返し作用した場合に、疲労亀裂の発生抑制に有効であることが示唆される。
[実施例2]
主板1(板厚:14mm、板幅:80mm、長さ:500mm)にガセット2(板厚:14mm、板幅:75mm、高さ:50mm)をフラックス入りワイヤを用いてガスメタルアーク溶接法で回し溶接した回し溶接継手(継手番号1)、および、主板1(板厚:22mmまたは25mm、板幅:80mm、長さ:500mm)にガセット2(板厚:10mm、板幅:100mm、高さ:60mm)をフラックス入りワイヤを用いてガスメタルアーク溶接法で回し溶接した回し溶接継手(継手番号2)を用いて、疲労試験を行なった。その手順を説明する。フラックス入りワイヤは、いずれの溶接継手においても、神戸製鋼所製MX−Z200(ワイヤ径1.2mm)を用い、溶接条件は240A−32Vとし、脚長は8mm程度を狙った。なお、ガセット2は主板1の中央に配置したので、図6に示すように、矩形当接面2aは主板1の中央に位置する。
主板1およびガセット2は表1に示す成分を有する4種類の鋼種を使用し、表2に示すような組み合わせで疲労試験を行なった。なお表2における試験番号1〜18は、それぞれ同じ成分の主板1とガセット2を使用した。一部のガセット2は各鋼板を用いて板厚が10mmとなるように加工を施した。
また、試験番号17については、主板1の応力拡大係数範囲ΔKが15MPam1/2であるとき、疲労亀裂伝播速度が1.75×10-8m/cycle以下である鋼板Dを主板1とガセット2として使用した。
Figure 0006733683
Figure 0006733683
表2から明らかなように、発明例はいずれも良好な疲労強度を有していた。また、疲労亀裂伝播速度の低い鋼板Dを用いた試験番号17では、より良好な疲労寿命となった。
1 主板
2 ガセット
2a 矩形当接面
3 溶接ビード
3a 第1溶接ビード
3b 第2溶接ビード
3c 第3溶接ビード

Claims (8)

  1. ガセットを主板に回し溶接して接合することによって得られる回し溶接継手であって、前記ガセットが前記主板に当接する矩形当接面の短辺に沿って形成され且つ前記矩形当接面の前記短辺の両側から前記主板上に前記短辺に平行な直線状に延伸して形成される第1溶接ビードと、前記矩形当接面の長辺に沿って形成され且つ前記第1溶接ビードに被せて前記主板上へ延伸して形成され且つ前記短辺と先端との間隔の短い方の間隔Nが10〜50mmの範囲内である第2溶接ビードならびに第3溶接ビードと、を有し、前記主板上の前記第1溶接ビードを超えて延伸する前記第2溶接ビードと前記第3溶接ビードとの間隔Mおよび前記矩形当接面の前記短辺の長さQが
    長さQ>10.0mmの場合は間隔M≦10.0mm、
    長さQ≦10.0mmの場合は間隔M≦Q≦10.0mm
    を満たすことを特徴とする回し溶接継手。
  2. 前記間隔Mが0mm超えであることを特徴とする請求項1に記載の回し溶接継手。
  3. 前記矩形当接面の前記短辺の両側から前記主板上に延伸した前記第1溶接ビードの部位全体に、前記第2溶接ビードおよび前記第3溶接ビードを被せてなることを特徴とする請求項1または2に記載の回し溶接継手。
  4. 前記主板の応力拡大係数範囲ΔKが15MPam1/2である場合に、前記主板の疲労亀裂伝播速度が1.75×10-8m/cycle以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回し溶接継手。
  5. ガセットを主板に回し溶接で接合する回し溶接方法において、前記ガセットが前記主板に当接する矩形当接面の短辺に沿って第1溶接ビードを前記矩形当接面の前記短辺の両側から前記主板上に前記短辺に平行な直線状に延伸して形成し、次いで、前記矩形当接面の長辺に沿って第2溶接ビードならびに第3溶接ビードを前記第1溶接ビードに被せて且つ前記第1溶接ビードを超えて前記主板上へ延伸し且つ前記短辺と先端との間隔の短い方の間隔Nを10〜50mmの範囲内として形成し、前記主板上の前記第2溶接ビードと前記第3溶接ビードとの間隔Mおよび前記矩形当接面の前記短辺の長さQを
    長さQ>10.0mmの場合は間隔M≦10.0mm、
    長さQ≦10.0mmの場合は間隔M≦Q≦10.0mm
    とすることを特徴とする回し溶接方法。
  6. 前記間隔Mを0mm超えとすることを特徴とする請求項5に記載の回し溶接方法。
  7. 前記矩形当接面の前記短辺の両側から前記主板上に延伸した前記第1溶接ビードの部位全体に、前記第2溶接ビードおよび前記第3溶接ビードを被せることを特徴とする請求項5または6に記載の回し溶接方法。
  8. 前記回し溶接を行なうにあたって、前記主板の応力拡大係数範囲ΔKが15MPam1/2である場合に、前記主板の疲労亀裂伝播速度が1.75×10-8m/cycle以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の回し溶接方法。
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