JP6369448B2 - 重ね隅肉アーク溶接継手、該重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品 - Google Patents

重ね隅肉アーク溶接継手、該重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品 Download PDF

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Description

本発明は、2つの部品を重ねてアーク溶接により接合する重ね隅肉アーク溶接継手、該重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品に関する。
2つの部品をアーク溶接により接合して構造部品を製造する際、耐疲労特性に優れて高強度な構造部品とすることは重要である。例えば、自動車用構造部品の中でも高い強度を必要とするサスペンションアーム、サスペンションフレーム、シャシーフレームなどは、より高強度な特性を確保するために断面の少なくとも一辺が開口する2つの部品を接合して閉断面とすることで、高強度な構造としている(特許文献1)。
特開2013−82341号公報 特開2007−296567号公報
溶接学会誌、第62巻(1993)第8号、p.595
2つの部品を接合する際は、一般的には2つの部品を重ね合わせてアーク溶接により接合する重ね隅肉アーク溶接が用いられている。このような重ね隅肉アーク溶接継手の破損は疲労に起因することが多い。よって、疲労起因の破損を未然に防ぐことは構造部品の設計において極めて重要である(非特許文献1)。
通常、重ね隅肉アーク溶接継手における疲労亀裂は被溶接母材と溶接金属との境界部(溶接止端部)から発生しやすい。
例えば、図16に示すような、2つの部品の端部103及び105を重ね合わせ、端部103に沿って端部103及び105全体に溶接ビード107が形成されるようにアーク溶接する重ね隅肉アーク溶接継手により組立てられた構造部品101においては、溶接ビード107に沿って平行な方向の溶接止端部109における応力集中が問題となるケースが多い。
さらに、エンジニアリング的には、図17に示すように、2つの部品の端部113及び115を重ね合わせて接合するにあたり、端部113及び115の一部に溶接ビード117が形成された重ね隅肉アーク溶接継手により構造部品111を組み立てる場合もある。このような重ね隅肉アーク溶接継手においては、アーク溶接により溶接ビード117の形成を開始又は終了する始終端部119における応力集中も問題となる。
特許文献2では、幅広の鋼板に幅狭の鋼板を重ね隅肉溶接により接合する際、特許文献2の図4に記載されるように、幅狭の鋼板の端部全体を覆って溶接し、溶接開始端と終了端を溶接継手部の外に置くことにより、溶接開始端と終了端における疲労強度の低下を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、幅広の鋼板と幅狭の鋼板とを接合するものに限定されており、図17に示すような、接合される部位の長さが同程度である2つの部品の端部を重ね合わせてアーク溶接する場合には適用することができなかった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、2枚の鋼板における接合される部位の長さにかかわらず、溶接ビードの開始部と終了部からの疲労破壊発生を抑制して疲労強度を向上できる重ね隅肉アーク溶接継手及び該重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品を提供することを目的としている。
発明者は、上記課題を解決する手段について検討した。
溶接継手の疲労強度に関するこれまでの知見より、アーク溶接により形成された溶接継手の疲労強度低下の主な原因は残留応力や金属組織的因子ではなく、溶接ビード(溶接金属)の余盛り形状による応力集中が主因であると指摘されている。
そこで、発明者は検討を進めた結果、一方の鋼板の端部と他方の鋼板の端部とを重ねて、前記一方の鋼板の端部の縁に沿って前記端部と前記他方の鋼板の表面に溶接ビードを形成するに際し、前記他方の鋼板の表面に、前記一方の鋼板の端部が重なる重なり部の形状に合わせて凹む凹部を設け、前記一方の鋼板の端部に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置するようにすることにより、溶接ビードの開始部及び終了部における溶接金属の余盛り形状による応力集中を低減できるという知見を見出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手は、一方の鋼板の端部の幅が他方の鋼板の端部の幅より狭い前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の端部を重ねると共に、前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿って、前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の表面に形成された溶接ビードを有するものであって、
前記他方の鋼板の表面に、前記一方の鋼板の端部が重なる重なり部の形状に合わせて、前記一方の鋼板の端部の側面部まで囲って凹む凹部を有し、
前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置することを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記一方の鋼板の端部は、その一部が凸状に突出した突出部であることを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記溶接ビードが前記一方の鋼板の端部の側面部に至るように回しこまれていることを特徴とするものである。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記他方の鋼板の表面を基準とした前記凹部の傾斜面部の傾斜角度をθとしたときに、0<θ<90°の関係を満たすことを特徴とするものである。
(5)本発明に係る自動車用構造部品は、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の重ね隅肉アーク溶接継手を有するものである。
本発明においては、一方の鋼板の端部と他方の鋼板の端部とを重ねて、前記一方の鋼板の端部の縁に沿って前記端部と前記他方の鋼板の表面に溶接ビードを形成したものであって、前記他方の鋼板の表面に、前記一方の鋼板の端部が重なる重なり部の形状に合わせて凹む凹部を有し、前記一方の鋼板の端部の先端の縁に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置するようにしたことにより、前記溶接止端部に繰返し荷重が作用した時の応力集中が緩和され、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手の斜視図である。 本発明の実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手の上面図である。 従来の重ね隅肉アーク溶接継手を説明する断面図である。 本発明の重ね隅肉アーク溶接継手を説明する断面図であって、図2のA−A’断面図及びB−B’断面図である。 本発明の実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手の他の態様の説明図である(その1)。 本発明の実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手の他の態様の説明図である(その2)。 本実施例において疲労試験に用いた発明例に係る試験体の形状の説明図である。 本実施例において疲労試験に用いた比較例に係る試験体の形状の説明図である。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その1)。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その2)。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その3)。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その4)。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その5)。 本実施例において発明例に係る試験体の説明図である(その6)。 本実施例における4点曲げ試験の試験方法の説明図である。 従来の重ね隅肉アーク溶接継手により組み立てられた構造部品を説明する図である(その1)。 従来の重ね隅肉アーク溶接継手により組み立てられた構造部品を説明する図である(その2)。
本発明の実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手1は、図1に示すように、一方の鋼板(鋼板10)の端部11と他方の鋼板(鋼板20)の端部とを重ねると共に、鋼板10の端部11の縁に沿って端部11と鋼板20の表面21に溶接ビード30が形成されるようにアーク溶接により接合したものである。
重ね隅肉アーク溶接継手1において、鋼板10の端部11は、その一部が上面視で凸状に突出した突出部13である。また、鋼板20は、その表面21に鋼板10の突出部13と重なる重なり部の形状に合わせて凹む凹部23を有し、凹部23は、表面21に対して傾斜する傾斜面部23aを有する。
溶接ビード30は、鋼板10の突出部13の先端縁に沿って直線状に形成されており、溶接ビード30の端部31の溶接止端部33が凹部23の傾斜面部23aに位置している。
図2は重ね隅肉アーク溶接継手1の上面図であり、図中、突出部13の先端の縁に沿って溶接が進行して直線状の溶接ビード30が形成されている。そして、溶接ビード30の開始部である端部31aの溶接止端部33a及び終了部である端部31bの溶接止端部33bがそれぞれ凹部23の傾斜面部23aに位置している。
ここで、鋼板10の突出部13と鋼板20の凹部23を重ねてアーク溶接する際に、溶接ビード30の端部31aと端部31bそれぞれの溶接止端部33a及び33bが凹部23の傾斜面部23aに位置することで疲労強度が向上する理由を図3及び図4に基づいて以下に説明する。
図3に示す従来の重ね隅肉アーク溶接継手51の場合、鋼板53の端部の先端に沿った方向における溶接ビード61の端部63は、鋼板55の表面57上に盛り上がるような形状であり、表面57上に曲率半径ρの溶接止端部65が形成されている。
一方、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1の場合、図4に示すように、溶接ビード30の端部31aにおいては曲率半径ρaの溶接止端部33aが、端部31bにおいては曲率半径ρbの溶接止端部33bが形成されている。
一般に、溶接ビードの溶接止端部における応力集中係数Ktは、下式(1)で算出されることが知られている。
式(1)より、余盛角φ及び曲率半径ρが大きいと、応力集中係数Ktは小さくなり、溶接止端部における応力集中が緩和されることがわかる。
従来の重ね隅肉アーク溶接継手51に比べると、本発明の重ね隅肉アーク溶接継手1においては、凹部23の傾斜面部23aに溶接ビード30の溶接止端部33a及び33bが位置しているため、溶接金属の表面張力及び重力の関係から、傾斜面部23aを掛け上がるように溶接止端部33a及び33bが形成され、しかも、溶接ビード高さh(溶接ビード30の頂上部34と溶接止端部33a又は33bとの板厚方向の差)が小さくなり、溶接ビード30の端部31a及び端部31bにおける余盛金属(溶接金属)の盛り上がりが小さくなる(図3及び図4参照)。その結果、溶接止端部33a及び33bにおける余盛角φ及び曲率半径ρは大きくなる。
よって、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1は、従来の重ね隅肉アーク溶接継手51よりも応力集中係数が小さくなり、疲労強度が向上する。
上記の説明は、鋼板20と重なる鋼板10の端部11が凸状に突出した突出部13である場合のものであったが、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1はこれに限定されるものではなく、幅広の鋼板の端部と幅狭の鋼板の端部とを重ね、前記幅狭の鋼板の端部を凸状に加工せず、幅狭の鋼板の端部の幅に合わせて前記幅広の鋼板の表面に凹部を形成したものであってもよい。
また、2つの部品を重ね隅肉アーク溶接継手1により接合する場合において、前記2つの部品の形状に合わせて、図5に示すように、鋼板10の突出部13に段差部13aを設けて重なり部23bと重ね合わせ、鋼板20との凹部23と接合するものであっても良い。
さらに、例えば図2に示すように、溶接ビード30の開始部である端部31aと終了部である端部31bの間の定常部35における溶接止端部35aを、凹部23の傾斜面部23aに位置させることにより、重ね隅肉アーク溶接継手1の疲労強度をさらに向上させることができる。
また、凹部23の傾斜面部23aは、図1に示すとおり、鋼板20の表面21を基準とした傾斜角度をθとしたときに、好ましくは0°<θ<90°の関係を満たすもの、より好ましくは30°<θ<90°の関係を満たすものである。
傾斜角度0°では従来と同じ重ね隅肉アーク溶接継手であり、傾斜角度90°では傾斜面部23aを採れなくなるからである。また、傾斜角度θは90°に近いほど余盛角φが低減して応力集中係数Ktが緩和されて良好となる。
さらに、重ね隅肉アーク溶接継手1においては、鋼板10の端部11の先端に沿った方向における溶接ビード30の端部における溶接止端部33は、その周長の1/2以上が凹部23の傾斜面部23aに位置することが望ましい。
鋼板20に設ける凹部23の形状及び溶接ビード30を上記のように設定することにより、溶接止端部33における応力集中を抑制することができ、重ね隅肉アーク溶接継手1の疲労強度を向上することが可能となる。
さらに、上記の説明は、突出部13の先端の縁に沿って直線状の溶接ビード30を形成した場合のものであるが、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1は、図6に示すように、鋼板10の突出部13の周縁全体にわたって溶接ビード40を回しこんで形成したものであっても良い。
この場合、溶接ビード40の開始部45及び終了部47を鋼板10の表面15に設け、突出部13の先端の縁に沿った方向における溶接ビード40の端部41a及び端部41bの溶接止端部43a及び43bがいずれも鋼板20の凹部23の傾斜面部23aに位置するように鋼板10と鋼板20とが接合されることにより、突出部13の先端の縁に沿った方向における溶接ビード40の端部41の溶接止端部43における応力集中が抑制される。
また、溶接ビード40の開始部45及び終了部47を鋼板10の表面15に位置させることにより、開始部45の溶接止端部45a及び終了部47の溶接止端部47aにおける余盛金属の曲率半径を小さくし、応力集中を抑制できる。
これらにより、突出部13の周縁全体にわたって溶接ビード40を回しこんで形成することで、疲労強度をより向上させることができる。
なお、上記の説明は、2枚の鋼板を接合する端部に一つの溶接ビードを形成する場合についてのものであったが、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手は、一方の鋼板の端部に沿ってステッチ状の溶接ビード(所定長さの溶接ビードが所定間隔を離して連続する溶接ビード)を形成するものであっても良く、この場合においては、各ステッチ状の溶接ビードに合わせて、前記一方の鋼板に複数の突出部を設けるとともに、該複数の突出部の形状に合わせて他方の鋼板に凹部を設け、各凹部の傾斜面部に前記ステッチ状の溶接ビードの両端部の溶接止端部が位置するものであっても良い。
さらに、本発明は上記の実施形態に限るものではなく、以下に説明する自動車用構造部品として実施することが可能である。
本発明に係る自動車用構造部品は、2つのプレス成形部品のうち一方のプレス成形部品の縦壁部の端部に沿って該端部と他方のプレス成形部品の縦壁部の表面に溶接ビードを形成したものであって、前記他方のプレス成形部品の縦壁部の表面に、前記一方のプレス成形部品の縦壁部の端部が重なる重なり部の形状に合わせて凹む凹部を有し、前記一方のプレス成形部品の縦壁部の端部に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置するものである。
本発明の自動車用構造部品は、上記構成を備えたことにより、前述した本実施の形態に係る重ね隅肉アーク溶接継手と同様、2つのプレス成形部品を接合する溶接ビードの開始部及び/又は終了部の溶接止端部における応力集中が緩和され、疲労強度が向上する。
本発明の作用効果について確認するための実験を行ったので、これについて以下に説明する。
本実施例では、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1を有する試験体75(図6参照)、試験体71(図7参照)及び従来の重ね隅肉アーク溶接継手51を有する試験体81(図8参照)を用いて基礎疲労試験を行い、疲労強度を評価した。
基礎疲労試験に用いた試験体71、75及び81は、板厚3.2mm又は4.2mmの780MPa級熱延鋼板を供試材とし、以下の手順で作成した。
まず、前記供試材から所定の寸法の2枚の鋼板片を切り出した。
切り出した2枚の鋼板片について、一方の鋼板片(鋼板10)の短辺端部を、凸状に突出した突出部13に加工し、他方の鋼板片(鋼板20)の表面21に、突出部13と重なる重なり部の形状に合わせて凹む凹部23を形成した。
そして、前記一方の鋼板片(鋼板10)の突出部13と、前記他方の鋼板片(鋼板20)の凹部23の前記重なり部とを重ね合わせ、突出部13の先端縁に沿ってアーク溶接により直線状の溶接ビード30を形成することにより、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1を有する試験体71を作製した。
又は、鋼板10の突出部13と鋼板20の凹部23とを重ね合わせ、突出部13の側面部に至るように突出部13の周縁全体にわたって溶接ビード40を回しこんで形成することにより、本発明に係る重ね隅肉アーク溶接継手1を有する試験体75を作製した。
一方、前記切り出した2枚の鋼板片について、一方の鋼板片(鋼板53)の短辺側の端部54を前記他方の鋼板片(鋼板55)の表面57に重ね合わせ、鋼板53の端部54に沿ってアーク溶接により溶接ビード61を形成することにより、従来の重ね隅肉アーク溶接継手51を有する試験体81を作製した(図8参照)。
本実施例において、アーク溶接条件はロボット溶接、トーチ角度60°、トーチ速度80cm/min、シールドガスは混合ガスであり、電流・電圧条件は条件A(溶接電流185A、電圧19V)又は条件B(溶接電流205A、電圧23V)の2条件とし、溶接ワイヤには高強度溶接ワイヤ(神戸製鋼製MG-80)を使用した。また、発明例及び比較例ともに、溶接ビード長さWは鋼板の端部の先端縁に沿った方向の周縁を60mmとした。
表1に発明例及び比較例における供試材形状及び溶接条件を示す。
本実施例では、発明例として、図9〜図14に示す重ね隅肉アーク溶接継手1を有する試験体71及び試験体75を対象に疲労試験を行った。
発明例1及び発明例2は、図9に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚t2が等しく(t1=t2)、凹部23の凹み深さをd2=t1とした重ね隅肉アーク溶接継手1を有するものである。
発明例1は突出部13の側面部に至る周縁に沿って溶接ビード40を回しこんで形成したものであり、溶接ビード40の開始部45及び終了部47は鋼板10の表面15に設けられているのに対し、発明例2は鋼板10の突出部13の先端の縁に沿って直線状の溶接ビード30を形成したものである。
発明例3及び発明例4は、鋼板10の突出部13の側面部に至る周縁に沿って溶接ビード40を回しこんで形成した重ね隅肉アーク溶接継手1を有するものであり、発明例3は、図10に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚t2が異なり(t1≠t2)、凹部23の凹み深さをd2=t2としたものであるのに対し、発明例4は、図11に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚t2は等しく(t1=t2)、凹部23の凹み深さをd2=t1-1mmとしたものである。
発明例5〜発明例7は、鋼板10の突出部13に段差部13aを設けた重ね隅肉アーク溶接継手1を有するものであり、段差部13aの段差深さはいずれもd1=1mmである。
発明例5は、図12に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚t2が等しく(t1=t2)、鋼板20の凹部23の凹み深さをd2=t1としたものである。
発明例6は、図13に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚t2が異なり(t1≠t2)、鋼板20の凹部23の凹み深さをd2=t2としたものである。
発明例7は、図14に示すように、鋼板10の板厚t1と鋼板20の板厚が等しく(t1=t2)、鋼板20の凹部23の凹み深さをd2=t1-1mmとしたものである。
本実施例では4点曲げ疲労試験を行い、該4点曲げ疲労試験においては、図15に示すように、試験体71又は81の左端を完全拘束し、右端を並進方向のみ移動可能とする試験冶具を作製した。なお、図15は試験体71及び81について示したものであるが、試験体75についても、試験体71と同様である。
疲労試験は、試験体71、75又は81の溶接ビードが下側を向くように試験機に設置した。
そして、駆動アームを介して試験体71、75又は81に目標応力が加えられるように繰返し荷重Pを与え、試験体71、75又は81に亀裂が発生するまで疲労試験を行った。
試験体71、75又は81に加えられる応力は、試験体71、75又は81の板厚及び板幅から断面係数Zを求め、応力σ=曲げモーメントM/Zより求めた。本例では曲げモーメントM=繰返し荷重P*50とした。
疲労試験条件は、試験周波数15Hz、荷重1365Nを与え、荷重振幅を一定とした。
疲労試験においては、入力点の変位も同時に測定し、該変位の値が初期値より+1mm大きくなった時点で亀裂発生と判定し、試験機を止めた。
疲労試験結果を前掲した表1に示す。表1において、発明例及び比較例ともに、鋼板の端部の先端縁に沿った方向における溶接ビードの端部の溶接止端部に亀裂が発生した。
溶接条件における電流・電圧条件の違いについて比較例1及び2を比べると、電流・電圧条件Bにより溶接した比較例2の方が疲労強度は高い結果であった。そのため、電流・電圧条件Bにより溶接し、溶接継手の形状を変更した発明例1〜7の疲労強度について検討した。
発明例1と2は、どちらも比較例2に比べて大幅に疲労強度が向上する結果であり、鋼板10の突出部13の周縁に沿って溶接ビード40を回しこんで溶接した発明例1の方が、より良好な結果となった。
鋼板10と鋼板20の板厚が異なる場合(発明例3)や、鋼板20に設ける凹部23の凹み深さd2を変更した場合(発明例4)においても、従来の重ね隅肉アーク溶接継手51に比べて良好な疲労強度が得られた。
さらに、鋼板10の突出部13に段差部13aを設けた発明例5〜7においては、発明例1〜4に比べるといくらか疲労強度は低下したものの、従来の重ね隅肉アーク溶接継手51である比較例1及び2に比べて疲労強度の向上が得られた。
以上より、2つの部品の端部同士を重ねて接合する際に、一方の部品の端部と他方の部品に設けた凹部とを重ねてアーク溶接により溶接ビードを形成し、該溶接ビードの両端部が前記凹部の傾斜面部に位置するようにすることにより、従来の重ね隅肉溶接に比べて疲労強度が増加し、構造部品の疲労寿命が増加する効果が実証された。
1 重ね隅肉アーク溶接継手
10 鋼板
11 端部
13 突出部
13a 段差部
15 表面
20 鋼板
21 表面
23 凹部
23a 傾斜面部
23b 重なり部
30 溶接ビード
31 端部
31a 端部
31b 端部
33 溶接止端部
33a 溶接止端部
33a 溶接止端部
35 定常部
35a 溶接止端部
40 溶接ビード
45 開始部
45a 溶接止端部
47 終了部
47a 溶接止端部
51 重ね隅肉アーク溶接継手(従来技術)
53 鋼板
54 端部
55 鋼板
57 表面
61 溶接ビード
71 試験体(発明例)
75 試験体(発明例)
81 試験体(比較例)
101 構造部品
103 端部
105 端部
107 溶接ビード
109 溶接止端部
111 構造部品
113 端部
115 端部
117 溶接ビード
119 始終端部

Claims (5)

  1. 一方の鋼板の端部の幅が他方の鋼板の端部の幅より狭い前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の端部を重ねると共に、前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿って、前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の表面に形成された溶接ビードを有する重ね隅肉アーク溶接継手であって、
    前記他方の鋼板の表面に、前記一方の鋼板の端部が重なる重なり部の形状に合わせて、前記一方の鋼板の端部の側面部まで囲って凹む凹部を有し、
    前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置することを特徴とする重ね隅肉アーク溶接継手。
  2. 前記一方の鋼板の端部は、その一部が凸状に突出した突出部であることを特徴とする請求項1記載の重ね隅肉アーク溶接継手。
  3. 前記溶接ビードが前記一方の鋼板の端部の側面部に至るように回しこまれていることを特徴とする請求項1又は2記載の重ね隅肉アーク溶接継手。
  4. 前記他方の鋼板の表面を基準とした前記凹部の傾斜面部の傾斜角度をθとしたときに、0<θ<90°の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の重ね隅肉アーク溶接継手。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品。
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