JP2017196950A - 接合構造体、該接合構造体の製造方法 - Google Patents

接合構造体、該接合構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017196950A
JP2017196950A JP2016087687A JP2016087687A JP2017196950A JP 2017196950 A JP2017196950 A JP 2017196950A JP 2016087687 A JP2016087687 A JP 2016087687A JP 2016087687 A JP2016087687 A JP 2016087687A JP 2017196950 A JP2017196950 A JP 2017196950A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
joint
welded
inclined surface
weld
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016087687A
Other languages
English (en)
Inventor
裕一 時田
Yuichi Tokita
裕一 時田
塩崎 毅
Takeshi Shiozaki
毅 塩崎
玉井 良清
Yoshikiyo Tamai
良清 玉井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2016087687A priority Critical patent/JP2017196950A/ja
Publication of JP2017196950A publication Critical patent/JP2017196950A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Abstract

【課題】鋼板からなる複数の部品がT字溶接継手部を介して溶接接合されて、疲労強度と剛性に優れた接合構造体、該接合構造体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る接合構造体1は、鋼板からなる部品20及び部品30がT字溶接継手部11を介して溶接接合されたものであって、部品30は、その表面31に凹形状の凹部33を屈曲形成することによって傾斜面部37が形成され、T字溶接継手部11は、傾斜面部37に溶接ビード40の溶接止端部41が位置しているものであることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の部品がT字溶接継手部を介して溶接接合された接合構造体、該接合構造体の製造方法に関する。
自動車車体シャシー部品のうちフレーム・足回り部品には、アーク溶接によって組み立てられた接合構造体が多い。シャシー・足回り部品等に求められる性能のうち、路面からの荷重入力等に対する耐久・疲労強度は最も重要な要求性能の一つである。そのため、シャシー・足回り部品等においては疲労強度の向上が求められている。
接合構造体の破壊の大半は疲労亀裂の発生に起因しており、その疲労亀裂のほとんどは溶接継手部、特に溶接止端部(溶接金属と被溶接母材との境界部)から発生すると言われている(非特許文献1)。
そして、溶接継手部の疲労強度に関するこれまでの知見より、溶接の疲労強度低下の要因がいくつか明らかにされており、その低下の主な要因は、残留応力や金属組織的因子ではなく、溶接継手部における溶接金属の余盛り形状による応力集中であると指摘されている。
近年、自動車の衝突安全性能の向上と燃費規制の対応とを両立するべく、自動車車体の軽量化がすすめられている。そのため、最近では、車体骨格部材はもとより、これまで防錆性確保の観点から最低限の肉厚確保が必要とされていたシャシー部品に対しても、これまで以上に高強度鋼板を適用し、薄肉化の検討がなされている。
鋼板を高強度化した場合、ゲージダウンや、溶接金属との強度差が大きくなること、また、成形時の残留応力が大きくなることなどにより、疲労強度がさらに低下することが懸念される。したがって、接合構造体の溶接継手部近傍における疲労強度の向上が課題であり、そのためには、溶接継手部における応力集中を低減することが重要である。
そこで、従来から、溶接継手部における応力集中を低減させる方法として、溶接止端部をグラインダーで研磨して滑らかにする、溶接金属を変更又はシールドガスを変更したりする溶接手法の改善により、溶接止端部の形状を滑らかにする等の対策が提案されている。例えば、特許文献1には、ピーニング処理により溶接止端部の形状を滑らかにする技術が開示されている。しかしながら、これらの方法は、後処理や工法の改善のためにコスト・工数が余分にかかるといった問題がある。
また、特許文献2には、一方の部品の隅肉溶接する部分の一部または全部に溶接方向に沿った溝を形成し、溶接時にその溝を溶着金属で埋めて溶接ビードの脚長が上記溝の幅よりも大きくなるように溶接する方法が開示されている。
WO2011/055848A1 特開2008−183569号公報
溶接学会誌、第62巻(1993)第8号、p.595
一方の部品の端面を他方の部品の表面に載せてT字状に溶接したT字溶接継手を有する接合構造体においても、溶接継手部に繰返し荷重が負荷された場合、その疲労亀裂のほとんどは溶接継手部、特に溶接止端部から発生する。
特許文献2に開示されている溶接方法は、T字溶接継手を対象としたものであるが、一方の部材に形成された溝を溶接金属で埋めて溶接ビードの脚長が溝の幅よりも大きくなるように溶接するために、溶接金属を多く必要とすることと、溶接止端部は溝が形成されていない元の部材の表面に位置するものであるために、溶接止端部の形状を滑らかに緩和する効果が十分に得られない場合があるなどの課題があった。
さらに、自動車車体部品においては、疲労強度のみならず部品の剛性の向上も重要な課題であるものの、剛性についてはこれまで考慮されてこなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、溶接止端部の形状を緩和して疲労強度を向上しつつ部品の剛性を向上した接合構造体、該接合構造体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る接合構造体は、T字溶接継手部を介して鋼板からなる複数の部品が溶接接合されてなるものであって、前記T字溶接継手部は、溶接接合される一方の部品の表面から立ち上がる傾斜面部を有し、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置していることを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凹形状又は凸形状が屈曲形成されていることにより前記傾斜面部が形成されていることを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記表面を基準とした前記傾斜面部の傾斜角度をθとしたときに、30°≦θ<90°の関係を満たすことを特徴とするものである。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記傾斜面部の前記表面から頂部までの高さは、該傾斜面部が形成された部品の板厚よりも大きく設定したことを特徴とするものである。
(5)本発明に係る接合構造体の製造方法は、T字溶接継手部を介して鋼板からなる複数の部品が溶接接合されてなる接合構造体を製造するものであって、前記T字溶接継手部は、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凹形状又は凸形状を屈曲形成することによって該表面から立ち上がる傾斜面部が形成され、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように前記複数の部品が溶接接合されてなることを特徴とするものである。
本発明に係る接合構造体は、鋼板からなる複数の部品がT字溶接継手部を介して溶接接合されてなるものであって、前記T字溶接継手部は、溶接接合される一方の部品の表面から立ち上がる傾斜面部を有し、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置していることにより、前記溶接止端部に繰返し荷重が作用した時の応力集中が緩和され、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度を向上させることができる。さらに、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品に凹形状又は凸形状を屈曲形成することによって前記傾斜面部が形成されることにより、接合された構造体の剛性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る接合構造体の概略図であり、(a)は斜視図、(b)は図1(a)の矢視A−A断面図である。 従来の接合構造体の一例の概略図であり、(a)は斜視図、(b)は図2(a)の矢視A−A断面図である。 T字溶接継手部の断面図であり、(a)は従来のT字溶接継手部、(b)は本発明の実施の形態におけるT字溶接継手部である(その1)。 T字溶接継手部の断面図であり、(a)は従来のT字溶接継手部、(b)は本発明の実施の形態におけるT字溶接継手部である(その2) 本実施の形態に係るT字溶接継手部における傾斜面部の形状を説明する図である。 本実施の形態に係るT字溶接継手部における溶接ビードの溶接止端部の位置を説明する図である。 本実施の形態に係る接合構造体の他の態様を説明する図である(その1)。 本実施の形態に係る接合構造体におけるT字溶接継手部の他の態様を説明する図である(その1)。 本実施の形態に係る接合構造体において、形成された傾斜面部の配置を説明する図である。 本実施の形態に係る接合構造体の他の態様を説明する図である(その2)。 本実施の形態に係る接合構造体の他の態様を説明する図である(その3)。 実施例1における疲労試験方法を説明する説明図である。 実施例1における疲労試験方法に用いた部品の三面図である。 実施例1における比較例のT字溶接継手部の説明図である。 実施例2における発明例のT字溶接継手部を説明する説明図である。 実施例3においてCAE解析により得られた主応力分布のコンター図である。
本発明の実施の形態に係る接合構造体1について、図1〜図6を参照して以下に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
接合構造体1は、図1に示すように、T字溶接継手部11を介して鋼板からなる複数の部品(部品20及び部品30)が溶接接合されたものである。なお、部品20は、断面コ字状の2つの部品20aが接合されてなるものである。
T字溶接継手部11は、部品20の端部の端面21が部品30の表面31に当接した状態で、部品20の端部に沿って溶接されたものであり、部品20の端部と部品30の表面31に溶接ビード40が形成されている。
さらに、部品20と溶接接合される部品30は、その表面31に凹形状の凹部33が屈曲形成されることにより、表面31には凹形状の底面部35と、底面部35から立ち上がる傾斜面部37が形成されている。そして、T字溶接継手部11において、傾斜面部37に溶接ビード40の溶接止端部41が位置している。
<疲労強度が向上する理由>
部品30の表面31に凹部33を屈曲形成することによって傾斜面部37を形成し、傾斜面部37に溶接ビード40の溶接止端部41が位置するように溶接接合することで、接合構造体1の疲労強度が向上する理由を図2〜4に基づいて以下に説明する。
図2に示すような従来の接合構造体3は、部品20の端部の端面21が部品50の表面51に当接した状態で、T字溶接継手部13を介して部品20と部品50とが溶接接合されている。
部品20の端部に沿って形成された溶接ビード40は、部品50の表面51の上面に盛り上がるような形状であり、表面51に曲率半径ρの溶接止端部41が位置している(図3(a)参照)。
一方、本発明の実施の形態に係る接合構造体1においては、部品30の表面31に形成された傾斜面部37に曲率半径ρ’の溶接止端部41が位置している(図3(b)参照)。
一般に、溶接ビード40の溶接止端部41における曲率半径ρが大きいと、応力集中係数Ktは小さくなり、溶接止端部41における応力集中が緩和されることが知られている。
従来の接合構造体3のT字溶接継手部13においては、部品20と部品50とを溶接接合する際に、重力と部品50の表面51の濡れ性によって溶接金属は平坦部へ垂れようとする(濡れ広がる)のに対し、溶接金属は表面張力の作用によって球状を保とうとする(図4(a)参照)。
一方、本実施の形態に係る接合構造体1のT字溶接継手部11においては、部品30の表面31に傾斜面部37が形成されており、部品20と部品30とを溶接接合する際に、溶接金属が表面張力により傾斜面部37を駆け上がろうとし、さらに、重力が加わって溶接金属の液体表面が凹み形状となる(図4(a)参照)。
そのため、T字溶接継手部11は、従来のT字溶接継手部13と比較して溶接ビード40の形状が滑らかで緩やかになろうとし、溶接止端部41における曲率半径ρ’が大きくなる。
その結果、T字溶接継手部11を有する接合構造体1は、従来のT字溶接継手部13を有する接合構造体3よりも、溶接ビード40の溶接止端部41における応力集中係数が小さくなり、疲労強度が向上する。なお、傾斜面部37の底面部35からの角度が大きくなり過ぎると、溶接金属が傾斜面部37を駆け上がりにくくなるため、当該角度は90°未満がよい。
さらに、接合構造体1においては、部品20と接合する部品30の表面31に凹形状を屈曲形成しているため、部品20と接合する部品50が平板状である従来の接合構造体3よりも部品剛性が向上し、さらに、荷重を負荷した時に溶接ビード40付近にて発生する応力を抑制することができる。この点については、後述する実施例において実証する。
<傾斜面部の形状について>
次に、部品30の表面31に形成される傾斜面部37の好適な形状について説明する。
傾斜面部37の形状は、図5に示すように、底面部35を基準とした傾斜角度θ及び高さDにより規定できる。ここで、底面部35は、本発明の表面に対応する。
ただし、傾斜面部37は、部品30の表面31に凹部33を屈曲形成することによって形成されたものであるため、図5に示すように、上方R部37aと、下方R部37cと、上方R部37aと下方R部37cを接続する傾斜平面部37bとを有している。
そのため、本実施の形態では、傾斜面部37の傾斜角度θは、凹部33の底面部35を基準とした傾斜平面部37bの角度により表すものとする。
このとき、傾斜平面部37bの傾斜角度は、前述したとおり、溶接金属が表面張力により傾斜面部37を駆け上がりやすくするため、30°≦θ<90°の関係を満たすものであることが好ましい。なお、傾斜平面部37bが90°以上、すなわち底面部35に対して垂直以上になると溶接金属に加わる重力の作用が表面張力の作用を打ち消すため、溶接止端部41の曲率半径ρ’が小さくなって疲労強度低下につながり、良くない。
一方、底面部35からの傾斜面部37の頂部までの高さDは、部品の剛性向上の観点から部品30の板厚tよりも大きく設定されたものであることが好ましい。
なお、T字溶接継手部11において、溶接ビード40の溶接止端部41は、傾斜平面部37bに位置するものに限定されるわけではなく、図6に示すように、上方R部37a又は下方R部37cに位置するものであっても良い。
<他の態様について>
上記の説明において、接合構造体1は、部品30の表面31に当接する部品20の外周形状に合わせて、表面31に凹部33を屈曲形成したものであったが、図7に示すように、部品20の端面21に沿って部品30の表面31に凹部33を屈曲形成することにより、傾斜面部37を形成しても良い。
また、本発明に係る接合構造体は、例えば図8に示すように、部品60の表面61から突出する凸部63を屈曲形成することで表面61に傾斜面部67を形成し、傾斜面部67に溶接ビード40の溶接止端部41が位置するT字溶接継手部15を介して部品20と部品60とが溶接接合されたものであってもよい。
図8に示すT字溶接継手部15においても、傾斜面部67に位置する溶接止端部41の形状が滑らかに緩和(曲率半径が増加)されて応力集中が抑制されるため、疲労強度が向上する。
さらに、部品20の端面21が当接している部品60の表面61に凸部63が屈曲形成されているため、T字溶接継手部15を介して溶接接合された接合構造体は、従来の接合構造体3よりも、部品剛性が向上する。
凸部63が屈曲形成された部品60においても、傾斜面部67は、図5に示す傾斜面部37と同様、その上方R部と下方R部は屈曲し、該上方R部と下方R部とが平面部で接続されたものであると見なすことができて、図6に示すT字溶接継手部11と同様、溶接止端部41は、傾斜面部67の上方R部、平面部又は下方R部のいずれの位置であっても良い。
本実施の形態に係る接合構造体1は、例えば図1と同様に部品20の端部の全周に沿って部品60の表面61に傾斜面部67が形成されているが、本発明に係る接合構造体は、例えば図9に示すように、荷重を負荷する方向において、部品60の左右側方(図9(b))、又は、前方及び後方(図9(c))の表面61に凸形状を屈曲形成して凸部63を配置し、部品20の端部の一部に沿って傾斜面部67を形成したものであっても良い。予めCAE解析を行って応力集中が顕著な部分に傾斜面部を形成するのが効果的である。例えば、部品20の角部に応力集中しやすい場合は、図9(d)のように凸部63を配置して傾斜面部を形成するとよい。
よって、本発明に係る接合構造体において、溶接接合される一方の部品の表面とは、部品30の表面31に凹部33を屈曲形成した底面部35(図5参照)、または、部品60の表面61から突出する凸部63を屈曲形成する表面61(図8参照)を示す。
なお、上記の説明において、部品20は、断面コ字状の2つの部品20aそれぞれの開口部同士が対向して接合されたものであり、その断面が閉じたロの字形状であるが、図10(a)及び(b)に示すように、部品20aのような開き部品であっても、端部の端面と部品30の底面部35とが当接した状態で、部品20aの端部に沿って部品30と溶接接合したものでも良い。若しくは、図10(c)に示すように、閉断面形状である円筒状の部品20bと部品30とが、部品20bの端部に沿って溶接接合されたものであっても良い。
また、上記の説明は、2つの部品(部品20と部品30、部品20aと部品30、部品20bと部品30)とが溶接接合されてなる接合構造体1についてのものであったが、本発明に係る接合構造体において溶接接合される部品の個数には、特に制限はない。
さらに、本発明に係る接合構造体は、例えば図11(a)に示すように、端部を段差状に屈曲形成して傾斜面部77を形成した部品70の端面と部品80の表面とが当接し、溶接ビード40の溶接止端部41が傾斜面部77に位置するT字溶接継手部17を介して溶接接合された接合構造体7や、図11(b)に示すように、部品100に形成された傾斜面部107を有するT字溶接継手部11と、部品90に形成された傾斜面部97を有するT字溶接継手部17の双方を介して、部品90と部品100を溶接接合した接合構造体8でも良い。
なお、本発明に係る接合構造体の製造方法として、溶接接合される複数の鋼板からなる部品のうち溶接接合されるいずれかの部品の表面に凹形状又は凸形状を屈曲形成することにより傾斜面部を形成するためには、プレス加工を適用することができる。
前述のとおり、溶接接合される一方の部品の表面とは、部品30の表面31に凹部33を屈曲形成した底面部35(図5参照)、または、部品60の表面61から突出する凸部63を屈曲形成する表面61(図8参照)を示す。
また、鋼板からなる部品をプレス成形する前工程として、プレス成形に供されるブランクの絞り工程や抜き工程等がある。
そこで、部品の表面に凹形状又は凸形状を屈曲形成する工程を複数の部品の絞り工程や抜き工程に組み込むことによって、工程数を増やすことなく、また、特別なプレス成形装置を必要せず、生産性を損なわずに経済性に優れ、疲労強度及び剛性が高い接合構造体を製造することができる。
また、本実施の形態に係る接合構造体の製造方法は、複数の鋼板からなる部品をアーク溶接により接合するものであるが、本発明に係る接合構造体の製造方法における溶接方法は、これに限定するものではない。
本発明の作用効果について確認するための実験を行った。これについて以下に説明する。
実施例1では、図1に示す接合構造体1を試験対象とし、図12に示す疲労試験を行い、疲労強度を評価した。
<供試材及び部品形状>
接合構造体1は、図12に示すように、部品20及び部品30を溶接接合して作製し、部品20及び部品30は、板厚t=2.9mm、780MPa級の熱延鋼板を供試材とした。
部品20は、図13(a)に示す断面コ字形状の部品20aの開口部同士を接合して作製したものである。
部品30は、図13(b)に示すように、断面コ字形状であり、表面31に凹形状の凹部33が屈曲形成されたものである。凹部33は、凹形状の底面部35と、底面部35から立ち上がる傾斜面部37を有している。
<疲労試験方法及び条件>
実施例1における疲労試験方法は、図12に示すように、定盤(図示なし)上に固定された固定ジグに接合構造体1をセットし、接合構造体1に取り付けたコの字ブラケットにアクチュエータ(図示なし)を連結し、該アクチュエータを介して接合構造体1に繰り返し荷重を与えるものである。
そして、接合構造体1に5mmの亀裂長さが目視確認できるまでの繰り返し荷重のサイクル数を計測した。
疲労試験は、荷重の負荷方向をX方向とする曲げモードについて行い、負荷荷重を500又は750N、繰返し周波数を5Hz、繰返し荷重における応力比を0(片振り)とした。
実施例1では、部品30の傾斜面部37の形状パラメータとして傾斜角度θ及び高さD(図5参照)、及び、傾斜面部37における溶接止端部41の位置をそれぞれ変更した接合構造体1の疲労試験を行い、上記の形状パラメータ及び溶接止端部41の位置の違いが疲労強度に及ぼす影響について検討した。
さらに、実施例1では、従来のT字溶接継手部13を介して部品20と部品50が溶接接合された接合構造体3(図2参照)、及び、図14に示すT字溶接継手部19を介して部品20と部品110とが溶接接合された接合構造体についても、上記の接合構造体1と同様に疲労試験を行い、5mmの亀裂が目視確認で発生するまでのサイクル数(亀裂発生までの繰り返し数)を計測した。
ここで、T字溶接継手部19は、特許文献2に開示された方法により部品110に凹み形状の溝部113を形成し、溝部113に溶接金属を埋めるように部品20と部品110を溶接接合し、溶接ビード40の脚長が溝部113の幅よりも大きくなるように溶接止端部41を位置するようにしたものである。
表1に、発明例における傾斜面部37の形状パラメータ及び溶接止端部41の位置、並びに、従来例および比較例である各接合構造体を用いた疲労試験における試験条件(荷重方向及び荷重)を示す。
表1において、No.4〜10、12は、発明例の接合構造体1(発明例、図12)、No.1及び11は従来の接合構造体3(従来例、図2)、No.2は、T字溶接継手部19を有する接合構造体(比較例1、図14)、No.3は、本発明に係る接合構造体1において傾斜面部37の傾斜角度θを90°としたもの(比較例2)である。
また、表1における溶接止端部位置は、図6に示すように、溶接止端部41が傾斜面部37の上方R部37aに位置するものをA、傾斜平面部37bに位置するものをB、下方R部37cに位置するものをCと表記したものである。
<疲労試験結果>
疲労試験結果を、前掲した表1に示す。
表1より、発明例(No.4〜10、No.12)は、いずれの条件においても、従来例(No.1及び11)及び比較例(No.2及び3)よりも亀裂発生繰り返し数が著しく増加し、疲労強度が大幅に向上していることが分かる。さらに、荷重500Nの従来例であるNo.1と発明例のNO.8との亀裂発生までの繰り返し数の比率と、荷重750Nの従来例であるNo.11と発明例のNo.12との亀裂発生までの繰り返し数の比率を比べると、前者は1050000/75000=14倍、後者は323000/11000≒29倍と後者の比率が高くなり、荷重が大きいほど、疲労強度向上の効果が大きい結果となった。
発明例において傾斜面部37の高さDを変更した条件(No.4〜6、No.9及び10)を比較すると、傾斜面部37の高さDの増加とともに、亀裂発生繰り返し数が増加し、疲労強度が向上している。
傾斜面部37の傾斜角度θを変更した条件を比較すると、傾斜角度θ=30°(No.9)に比べてθ=45°(No.5)の方が、傾斜角度θ=30°(No.10)に比べてθ=45°(No.4)の方が亀裂発生繰り返し数は増加し、疲労強度が向上している。しかし、傾斜角度θ=90°(No.3)においては、従来例及び比較例1と同程度の亀裂発生繰り返し数であり、疲労強度の向上はわずかであった。
傾斜面部37における溶接止端部41の位置を変更した条件(No.4、7、8)を比較すると、溶接止端部41の位置が低くなるにつれて亀裂発生繰り返し数が増加し、疲労強度が向上している。
以上より、鋼板からなる複数の部品がT字溶接継手部を介して溶接接合された接合構造体において、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凹形状を屈曲形成することによって傾斜面部を形成し、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように複数の部品を溶接接合することにより、接合構造体の疲労強度を向上させることができることが実証された。
次に、図9に示す接合構造体5を試験対象として、実施例1と同様に疲労試験を行い、疲労強度を評価した。
<供試材及び部品>
接合構造体5は、図8に示すT字溶接継手部15を介して部品20と部品60を溶接接合したものであり、部品20及び60は、板厚t=2.9mm、780MPa級の熱延鋼板を供試材とした。
部品20は、図13(a)に示す断面コ字形状の部品20aの開口部同士を接合して作製したものである。
部品60は、断面コ字形状であり、表面61に凸形状の凸部63を屈曲形成することにより、傾斜面部67が形成されたものである。
<疲労試験方法及び条件>
本実施例2における疲労試験方法は、図12に示す実施例1における疲労試験と同様、定盤(図示なし)上に固定された冶具に接合構造体5をセットし、接合構造体5に取り付けたコの字ブラケットに連結したアクチュエータ(図示なし)を介して接合構造体5に繰り返し荷重を与え、接合構造体5に5mmの亀裂長さが目視確認できるまでの繰り返し数(亀裂発生までの繰り返し数)を計測した。
疲労試験は、荷重の負荷方向をX方向とする曲げモードについて行い、負荷荷重を500又は750N、繰返し周波数を5Hz、繰返し荷重における応力比を0(片振り)とした。
実施例2では、図15に示す部品60の表面61に屈曲形成した凸部63の形状(高さH、幅W)、及び、傾斜面部67の下端のR終わり部と部品20の表面との距離Lを変更し、さらに、凸部63の配置を部品20の端部に沿って全周(図9(a)参照)、荷重負荷方向に対して部品20の側部(図9(b)参照)又は部品20の前後部(図9(c)参照)としたときの疲労強度に及ぼす影響を検討した。なお、凸部63の高さHは、傾斜面部67の高さDに相当する。
さらに、実施例2では、図2に示す従来のT字溶接継手部13を介して部品20と部品50が溶接接合された接合構造体3についても同様に疲労試験を行い、5mmの亀裂が目視確認で発生するまでのサイクル数(亀裂発生までの繰り返し数)を計測した。
表2に、凸部63の形状、位置及び配置を示す。
表2において、No.21は従来の接合構造体3(従来例)、No.22〜27は、発明例の接合構造体5(発明例、図9)である。
<疲労試験結果>
疲労試験結果を、前掲した表2に示す。
表2より、発明例(No.22〜29)は、いずれの条件においても、従来例(No.21)よりも亀裂発生までの繰り返し数が著しく増加し、疲労強度が向上していることが分かる。
凸部63の配置を変更した条件(No.22〜24、および28)を比較すると、前後部に配置(No.24)した条件に比べて、角部のみに配置(No.28)した条件および側部に配置(No.23)した条件の方が、疲労強度が大きく向上し、さらに、凸部63を部品20の端部に沿って全周に配置することにより、疲労強度はさらに向上している。角部のみの配置においても疲労強度が向上するのは、本試験条件で応力解析すると角部に応力集中しているためである。
凸部63の高さH(傾斜面部67の高さD)を変更した条件(No.22及び25)においては、凸部63の高さHが高くなると疲労強度が高くなる。
さらに、凸部63の高さHが板厚t(2.9mm)よりも小さく設定された条件(No.27)においても、従来例(No.21)に比べて疲労強度が向上していることが分かる。
以上より、鋼板からなる複数の部品がT字溶接継手部を介して溶接接合された接合構造体において、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凸形状を屈曲形成することによって傾斜面部を形成し、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように複数の部品を溶接接合することにより、接合構造体の疲労強度を向上させることができることが実証された。
さらに、実施例3では、本発明に係る接合構造体において、溶接止端部の形状緩和と剛性向上の相乗効果について検討した。
ここでは、図12に示す接合構造体1をモデル化してCAE解析(応力解析)を行った。
CAE解析において、接合構造体1に用いた部品20及び30は、実施例1及び2と同様、板厚t=2.9mm、780MPa級の熱延鋼板を供試材として作成されたものとした。
そして、実施例1及び2における疲労試験と同様、接合構造体1に対して曲げモードの荷重を負荷し(図12参照)、接合構造体1に発生する応力を求めた。
なお、比較対象として、従来技術のT字溶接継手部13を介して部品20と部品50が溶接接合された接合構造体3(図2参照)についても、CAE解析を行った。
図16に、5kNの荷重を負荷したときに接合構造体1及び3に発生した最大主応力分布の解析結果を示す。
接合構造体1及び3ともに、溶接止端部41近傍において最大主応力が高い値を示しているものの、本発明に係る接合構造体1では、従来の接合構造体3に比べて最大主応力が大幅に低下している。
この結果から、本発明に係る接合構造体1におけるT字溶接継手部11は、部品30の表面31に凹形状を屈曲形成することによって傾斜面部37が形成されているため、平板上に端面を当接させて溶接接合された接合構造体3に比べて、部品剛性が上がって溶接接合された部分の応力分布が異なり、傾斜面部を含む凹部の応力が低減するため、発生応力も抑えられる。
したがって、本発明に係る接合構造体1においては、溶接止端部41が傾斜面部37に位置することにより、疲労強度と剛性が向上する相乗効果が得られることが実証された。
1 接合構造体
3 接合構造体(従来技術)
5 接合構造体
7 接合構造体
8 接合構造体
11 T字溶接継手部
13 T字溶接継手部(従来技術)
15 T字溶接継手部
17 T字溶接継手部
19 T字溶接継手部(比較例1)
20 部品
21 端面
30 部品
31 表面
33 凹部
35 底面部
37 傾斜面部
37a 上方R部
37b 傾斜平面部
37c 下方R部
40 溶接ビード
41 溶接止端部
50 部品
51 表面
60 部品
61 表面
63 凸部
67 傾斜面部
70 部品
77 傾斜面部
80 部品
90 部品
97 傾斜面部
100 部品
107 傾斜面部
110 部品
113 溝部

Claims (5)

  1. T字溶接継手部を介して鋼板からなる複数の部品が溶接接合されてなる接合構造体であって、
    前記T字溶接継手部は、溶接接合される一方の部品の表面から立ち上がる傾斜面部を有し、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置していることを特徴とする接合構造体。
  2. 溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凹形状又は凸形状が屈曲形成されていることにより前記傾斜面部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の接合構造体。
  3. 前記表面を基準とした前記傾斜面部の傾斜角度をθとしたときに、30°≦θ<90°の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の接合構造体。
  4. 前記傾斜面部の前記表面から頂部までの高さは、該傾斜面部が形成された部品の板厚よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接合構造体。
  5. T字溶接継手部を介して鋼板からなる複数の部品が溶接接合されてなる接合構造体を製造する接合構造体の製造方法であって、
    前記T字溶接継手部は、溶接接合される一方の部品の端面が当接している他方の部品の表面に凹形状又は凸形状を屈曲形成することによって該表面から立ち上がる傾斜面部が形成され、該傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように前記複数の部品が溶接接合されてなることを特徴とする接合構造体の製造方法。
JP2016087687A 2016-04-26 2016-04-26 接合構造体、該接合構造体の製造方法 Pending JP2017196950A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016087687A JP2017196950A (ja) 2016-04-26 2016-04-26 接合構造体、該接合構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016087687A JP2017196950A (ja) 2016-04-26 2016-04-26 接合構造体、該接合構造体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017196950A true JP2017196950A (ja) 2017-11-02

Family

ID=60237127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016087687A Pending JP2017196950A (ja) 2016-04-26 2016-04-26 接合構造体、該接合構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017196950A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019122977A (ja) * 2018-01-16 2019-07-25 Jfeスチール株式会社 溶接接合構造体および溶接接合方法
CN110744180A (zh) * 2019-09-29 2020-02-04 山东临工工程机械有限公司 有效抑制中厚板环形焊缝焊趾缺陷的焊接方法
JP2020040498A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 トヨタ自動車株式会社 車両後部構造

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019122977A (ja) * 2018-01-16 2019-07-25 Jfeスチール株式会社 溶接接合構造体および溶接接合方法
JP2020040498A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 トヨタ自動車株式会社 車両後部構造
JP7052653B2 (ja) 2018-09-10 2022-04-12 トヨタ自動車株式会社 車両後部構造
CN110744180A (zh) * 2019-09-29 2020-02-04 山东临工工程机械有限公司 有效抑制中厚板环形焊缝焊趾缺陷的焊接方法
CN110744180B (zh) * 2019-09-29 2021-08-03 山东临工工程机械有限公司 有效抑制中厚板环形焊缝焊趾缺陷的焊接方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9839951B2 (en) Manufacturing method and manufacturing apparatus of press-formed body
CN107206858B (zh) 冲压成形部件的接合构造、具有该接合构造的汽车用构造部件以及接合部件的制造方法
JP6008072B1 (ja) 隅肉溶接継手及びその製造方法
JP6005367B2 (ja) 溶接ビードを用いた板構造体の補強方法
KR101947938B1 (ko) 구조 부재
KR101973308B1 (ko) 랩 필릿 아크 용접 이음매
JP2006306211A (ja) テーラードブランク材の溶接構造部材
JP2017196950A (ja) 接合構造体、該接合構造体の製造方法
RU2719114C1 (ru) Конструктивный элемент для транспортного средства (варианты)
WO2020209357A1 (ja) ブランクおよび構造部材
JP6579139B2 (ja) 車体の閉断面部材の隅肉溶接継手構造
JP6323414B2 (ja) プレス成形方法
JP6696611B1 (ja) プレス成形方法
JP6738055B2 (ja) プレス成形品の設計方法、プレス成形金型、プレス成形品およびプレス成形品の製造方法
WO2017073129A1 (ja) 重ね隅肉アーク溶接継手及びプレス成形部品の接合構造
JP6369448B2 (ja) 重ね隅肉アーク溶接継手、該重ね隅肉アーク溶接継手を有する自動車用構造部品
JP6922753B2 (ja) 溶接接合構造体および溶接接合方法
JP6750595B2 (ja) 重ね隅肉溶接継手の加工方法および重ね隅肉溶接継手の製造方法
JP2006255747A (ja) 湾曲状チャンネル部材の成形方法
JP2019155391A (ja) 隅肉溶接継手及びその製造方法
JP2023122747A (ja) 構造部材
JP2018059359A (ja) 鋼床版の疲労亀裂発生抑制方法および鋼床版の製造方法
JP2010053567A (ja) 鋼製枕木およびその製造方法
JP6593033B2 (ja) 重ね溶接継手の製造方法
JP2020175397A (ja) 鋼板部材の製造方法