JP2010053567A - 鋼製枕木およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】座盤溶接部の疲労寿命を向上させた鋼製枕木及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 鋼製の上面板2に前面板3及び後面板4並びに両側の側面板5を一体に備えた鋼製枕木本体における上面板2の上面に座盤7を溶接により固定した鋼製枕木において、前記座盤7の周囲を前記上面板2に固定している溶接部分14が上面板2と共に上に凸に曲げ加工が施されて突出部8が形成されている鋼製枕木。鋼製の上面板2に前面板3及び後面板4並びに両側の側面板5を一体として成型加工された鋼製枕木本体にそれぞれ鋼製座盤7を溶接により固定する鋼製枕木の製造方法において、前記上面板2に座盤7の周囲を溶接により固定した後、前記座盤7の周囲を前記上面板2に固定している溶接部分14を上面板2と共に上に凸に曲げ加工を施して突出部8を形成する座盤付き鋼製枕木の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道等の軌条(レール)を支持する鋼製枕木およびその製造方法に関し、特に鋼製枕木に溶接により固着される座盤を備えた鋼製枕木とその製造方法に関する。
レールを鋼製枕木に締結する形態として、図11に示すレール長手方向に直角に切断した縦断側面図に示すように、鋼製枕木本体の長手方向に間隔をおいて、それぞれ一対の鋼製座盤7を溶接により固定した鋼製枕木1を使用し、前記一対の鋼製座盤7間にレール17を線ばねクリップ18により締結する形態が知られている。
図11に示す前記の鋼製枕木1を図8に取り出して示し、図9(a)では鋼製座盤7付近で鋼製枕木1の長手方向に直角な図8のb−b線で切断した断面図を示す、図9(b)では、図8における片側の一対の鋼製座盤7付近を拡大して示し、図10は図8の平面図を示している。
そして従来、図11に示すように、レール17を枕木10に線バネクリップ18等により締結する場合に用いられる鋼製枕木10としては、図7〜図10に示すように、鋼製の上面板2と前後の面板3,4と各側面板5とを備えていると共に、上面板2の上面に座盤7を溶接14により固定したものが知られている。
前記のように、鋼製枕木10における上面板2に鋼製の座盤7を溶接14により固定した場合には、鋼製枕木10と座盤7とは溶接されたままの状態で使用されている。
前記のように使用されていると、座盤7と上面板2との溶接部14、特に上面板2側の溶接止端部15(レール側よりの溶接止端部15と、鋼製座盤1の幅方向の溶接止端部15とがあり、特に、レール側よりの溶接止端部15を問題としている)には、溶接による引っ張り残留応力が残ったままとなっており、また、前記の溶接により、上面板2は、図7(a)に示すように全体として下に凸となるように微小変形(例えば、湾曲変形する。なお、図では誇張して表現している。)し、上面板2の幅方向中央で約1mm前後の低レベルとなっている。
なお、溶接部の疲労強度向上技術としては、例えば、溶接部にグラインダーを施すことは知られている(例えば、非特許文献1参照)
また、溶接部を焼きなましするという方法も知られているが(例えば、非特許文献1参照)、コストが高く、また変形が大きいという問題がある。
溶接部のピーニングは確実に疲労強度が向上するが、ピーニングにより形成される圧縮残留応力の層は通常、表面から最大でも2mm程度(ショットピーニングで0.3mm、ハンマーピーニングで1mm、UIT(超音波衝撃処理)で2mm程度)の深さまでにしか形成されない。鋼製枕木は腐食環境におかれる場合が多く、ピーニングによる圧縮残留応力の層が腐食で無くなってしまう場合がある。
鋼構造物の疲労設計指針・同解説 214〜215頁、1993年、技報堂出版発行
前記のように、鋼製座盤7を溶接により上面板2に固定している溶接部分におけるレール17側よりの溶接止端部15(図9bの平面を示す図15参照)に大きな引っ張り残留応力が残っている場合がある。
図示を省略するが、実路実験により測定した結果、座盤7のレール側の溶接部における溶接止端部から3mmの部分で測定した結果、TPC盈車(トーピードカー)を走行させた場合、356MPaの圧縮応力が発生したが、前記の大きな引っ張り残留応力(例えば、540MPa)よりは小さい値であり、大きな引っ張り残留応力が溶接部に常時作用していることがわかった。
このように下に凸とされている上面板2の鋼製枕木10に、レール17を締結して、列車を走行させた場合、列車載荷により作用する列車応力は圧縮だが、前記のように溶接部14に大きな引張り残留応力があり、また、締結により負荷される荷重および列車により載荷される荷重により、鋼製枕木10の幅方向中央においてレール17に下向きの荷重が作用すると、レール17が下に凸に微小曲げ変形を起こすため、図7(b)に示すように、上面板2と前面板3あるいは後面板4とが接続している肩部19相互が、矢印CおよびDに示すように、離れる方向に締結力および載荷荷重が作用する。これらにより、上面板2の上面側が幅方向に伸びるように変形するように作用するので、溶接部14、特に溶接止端部15に益々引張応力が増加するようになり、鋼製枕木10における溶接部14は、溶接止端部15を基点とする止端部亀裂等の疲労損傷(疲労亀裂)を生じる恐れが高くなるという問題がある。
本発明は、座盤溶接部の疲労寿命を向上させた鋼製枕木およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の鋼製枕木では、鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体に備えた鋼製枕木本体における上面板の上面に座盤を溶接により固定した鋼製枕木において、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分が上面板と共に上に凸に曲げ加工が施されて突出部が形成されていることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明の鋼製枕木において、前記の突出部が形成されていることにより、前記座盤の溶接されている部分における溶接止端部のビード直角方向での表面の残留応力が50MPaより小さくなっていることを特徴とする。
また、第3発明では、第1発明または第2発明の鋼製枕木において、上面板部分における溶接されている部分が下側から上側に向かって上面板と共に押圧されて突出部が形成され、前記の突出部の形成により、上面板と共に板曲げ加工が施されていることを特徴とする。
第4発明の座盤付き鋼製枕木の製造方法においては、鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体として成型加工された鋼製枕木本体にそれぞれ鋼製座盤を溶接により固定する鋼製枕木の製造方法において、前記上面板に座盤の周囲を溶接により固定した後、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分を上面板と共に上に凸に曲げ加工を施して突出部を形成することを特徴とする。
第1発明の鋼製枕木によると、鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体に備えた鋼製枕木本体における上面板の上面に座盤を溶接により固定した鋼製枕木において、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分が上面板と共に上に凸に曲げ加工が施されて突出部が形成されているので、座盤を溶接している溶接部止端部の引っ張り残留応力を低減することができるができると共に、レール締結時においてはさらに引っ張り残留応力を低減する方向に作用させて、溶接部の疲労寿命を向上させることができ、また、レール締結にも十分耐えることができ、さらに、腐食により鋼製枕木の表面が数mm程度無くなっても引っ張り残留応力を低減している作用効果を持続することができ、そのため、耐久性の高い鋼製枕木とすることができる。
また、第2発明の鋼製枕木によると、前記の突出部が形成されていることにより、前記座盤の溶接されている部分における溶接止端部のビード直角方向での表面の残留応力が50MPaより小さくなっているので、溶接止端部の引っ張り残留応力を小さい値にしてあり、引張領域での応力変動が小さくなるため、溶接止端部に疲労き裂が生じる恐れがない品質の高い鋼製枕木とすることができる。
また、第3発明の鋼製枕木では、上面板部分における溶接されている部分が下側から上側に向かって上面板と共に押圧されて突出部が形成され、前記の突出部の形成により、上面板と共に板曲げ加工が施されているので、単に上面板部分に板曲げ加工を施して、座盤が溶接により固定されている上面板部分を上に凸に加工して、鋼製枕木の疲労寿命を高めることができる。
第4発明の座盤付き鋼製枕木の製造方法によると、鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体として成型加工された鋼製枕木本体にそれぞれ鋼製座盤を溶接により固定する鋼製枕木の製造方法において、前記上面板に座盤の周囲を溶接により固定した後、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分を上面板と共に上に凸に曲げ加工を施して突出部を形成するので、簡単な方法により、上面板部分に板曲げ加工を施して、座盤溶接部の疲労き裂を防止することができる。
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の鋼製枕木1をその長手方向を横長に配置し枕木本体の前面側を切欠いて示す縦断側面図であり、図2(a)は図1のa−a線断面図であり、図2(b)は図1の一部(一対の鋼製座盤7付近)を拡大して示す縦断側面図であり、図3は図1に示す鋼製枕木平面図である。
図1〜図3は、本発明の一実施形態の鋼製枕木1を示すものであって、鋼製枕木1は、鋼製の上面板2と、これに一体に接続する前後方向の前面板3および後面板4と各側面板5とにより本体部分が構成され、さらに、上面板2の上面側には、鋼製の線ばねクリップ18(図12参照)を支承するための、鋼製の座盤7が溶接により固定されている。
図4(a)には、本発明の鋼製枕木1にレール17を載置して締結する直前の状態が縦断側面図で示され、同図(b)には、本発明の鋼製枕木にレールを載置して締結した状態が縦断側面図で示されている。
前記の図4を参照して説明すると、さらに本発明の鋼製枕木1においては、上面板2の上面に座盤7が溶接により固定された後、図4(a)に示すように、座盤7を固定した上面板2の部分が、上に凸に突出部8を形成するように板曲げ加工がほどこされている座盤付き鋼製枕木1とされている。
図5(a)には、鋼製枕木1における上面板2に座盤7を溶接により固定した後、鋼製枕木1を反転し、座盤7周囲を支持した状態で、プレス加工により、座盤7を溶接により固定している上面板部分における溶接されている部分を下側に突出するように板曲げ加工を施す直前の状態が縦断側面図で示され、図5(b)には、図5(a)における油圧ジャッキ13付近で鋼製枕木1を切断した縦断正面図が示されている。また、図6(a)には、図5(b)に示す部分の一部を拡大した縦断正面図が示され、図6(b)には図5(b)に示すプレス加工を加えているときの押し型と、座盤溶接部の寸法関係を説明するための縦断正面図が示されている。
前記のような上に凸に突出部8を形成するように、板曲げ加工がほどこされた座盤付き鋼製枕木1とする場合には、図5(a)(b)に示すように、鋼製枕木1を反転して、H型鋼などの支持部材9上に調整用の鋼製ピース11を介して、座盤付き鋼製枕木1を載置する。
そして、前記支持部材9に反力をとるようにして、押圧部12を備えた油圧ジャッキなどの液圧ジャッキ13により、上面板2の溶接部14を含むように、かつ、前記溶接部14に引張塑性変形を付与するように板曲げ加工を実施するようにすればよい。このように、前記溶接部14に引張塑性変形を付与するように板曲げ加工をプレス等により実施した後、プレス荷重を除荷された時に、溶接部14に引っ張り残留応力を打ち消すように圧縮残留応力が付与される。
図5(b)に示すように、鋼製枕木1における肩部19付近を板状の鋼製ピース11を介して支承した状態で、図6(b)に示すように上面板2の幅方向中央に位置する座盤7を上面板2の裏面側から押すように板曲げ加工を施す。そして、溶接部14特に、上面板2側の溶接止端部15およびその付近の溶接部14の表面が、その溶接部14の外周側の上面板2の表面に接近するように、溶接部14部分の上面板2が上に凸に板曲げによる塑性変形を与えられることにより突出部8を形成し、溶接止端部15に圧縮残留応力を付与している。
すなわち、座盤7の溶接部に塑性加工を施すようになっていると共に、図7(a)に示すような状態の上面板2全体を、図4(a)に示すように、座盤7側に板曲げにより塑性加工を施すことになり、そのため、溶接部14特に溶接止端部の溶接による引っ張り残留応力を打ち消すように圧縮残留応力を導入することができる。前記の上に凸に突出部8を形成する高さは、上面板2が平坦面であるとした場合を基準とした場合、0mmを超える高さで2mmを超えない高さ寸法でよく、高くても1mm〜2mm程度であり、図7に示す従来例の場合には、さらに凹み分を加算して突出部8を形成する。
前記の突出部8の高さが1mm以上であれば、500MPa程度の残留応力があった場合であっても50MPa以下にまで引っ張り残留応力をキャンセル(低減するか、または無くするか、あるいは圧縮残留応力状態にする)することができ、座盤溶接部の疲労寿命を向上させることができる。
前記のように上面板2に上に凸の板曲げ加工を施すことにより、溶接止端部15のビード直角方向での表面は、圧縮力を付与するように塑性変形するため、溶接により生じる引っ張りの残留応力を打ち消す方向になり、溶接止端部表面における引っ張り残留応力が小さくなるか、圧縮の引っ張り残留応力が大きくなるようにしている。
前記の液圧ジャッキ13を使用したプレスによる押圧荷重と、溶接止端部におけるビード直角方向の表面の平均残留応力値との関係について、図12を参照して説明する。まず、プレスする前にプレス荷重0kNのときは540MPaの残留応力が存在している。これに対し、座盤7を溶接により固定している上面板2部分における溶接されている部分に上に凸に曲げ加工を施すプレス荷重(kN)が大きくなるにしたがって、引っ張りの平均残留応力(MPa)が小さくなり、圧縮の平均残留応力に変化して、これが大きくなっていることがわかる。なお、平均残留応力は、ビード直角方向についてX線応力測定等により計測した平均の残留応力である。図12についてさらに説明すると、プレス荷重(kN)が100kNでは、溶接止端部におけるビード直角方向の表面の平均残留応力値が50MPaを下回り、プレス荷重(kN)が150kNでは、溶接止端部におけるビード直角方向の表面の平均残留応力値が0MPaとなり、同様に、プレス荷重(kN)が200kNでは、圧縮の平均残留応力が70MPa程度となり、プレス荷重(kN)が350kNでは、圧縮の平均残留応力が270MPa程度となっているのがわかる。
前記の溶接部14における溶接止端部のビード直角方向での表面は、溶接により大きな引っ張り残留応力が生じているが、溶接部14を含む上面板2を下に凸に板曲げ加工を施したのでは、溶接止端部15のビード直角方向での表面の引っ張り残留応力が増大し、溶接部14の疲労寿命が従来の場合より低下することになる。
図6(b)に示すように、前記の押圧部16の幅寸法Dは、座盤7の溶接部14を含む前後方向(枕木幅方向)の幅寸法D1および左右方向(枕木長手方向)の幅寸法D2よりも小さい幅寸法とし、このような押圧部16により押圧して、溶接部14を含む上面板2に板曲げ加工を施し、特に溶接止端部15に引張塑性変形を加えてプレス荷重を除荷することにより圧縮残留応力を付与するのがよい。
前記の押圧部16の大きさを、座盤7の溶接部14を含む前後方向の幅寸法D1および左右方向の幅寸法D2よりも大きい幅寸法の押圧部16としたのでは、溶接部14に変形を付与することができない(上面板2に板曲げ加工を施すことはできる)、したがって、ジャッキ側の押圧部16は、座盤7の溶接部14を含む前後方向の幅寸法D1および左右方向の幅寸法D2よりも、小さいほうがよい。例えば、押圧部16の前後方向および左右方向の幅寸法を座盤7の幅寸法D3と同じ寸法とするか、これよりも小さい幅寸法とすればよい。
前記のように、座盤付き鋼製枕木1における座盤7を取り付けている溶接部14を含む部分に押圧部16により、上に凸に曲げ加工を施すことにより、前記座盤7の溶接されている部分における溶接止端部のビード(溶接線)直角方向での表面の引っ張り残留応力を小さくすることができる。
前記の座盤7の溶接されている部分14における溶接止端部15のビード直角方向での表面の引っ張り残留応力は、50MPaより小さくなっているのが好ましく、圧縮の範囲になっていれば、より好ましい。前記のビード直角方向での表面の引っ張り残留応力は、50MPaより小さくする場合には、図12を参照して説明すると、多少は座盤7の仕様の影響を受けるものの、座盤7を取り付けている溶接部14を含む部分を100kN以上の荷重でプレスにより上に凸に曲げ加工を施し、プレス荷重を除荷することにより、ビード直角方向での表面の引っ張り残留応力が50MPaより小さく付与することができる。
前記の座盤7の溶接されている部分14における溶接止端部15のビード直角方向での表面の引っ張り残留応力が、50MPaより大きくなると、疲労寿命を短くするほうに影響するので好ましくない。
前記のように、上面板2を上に凸に板曲げ加工が施された本発明の鋼製枕木1では、前記上に凸になっている突出部8の上面側にレール17を締結した場合および列車荷重を載荷した場合、前記の突出部8がレール17下面に押し付けられた変形され、図4(b)に矢印AおよびBで示すように、上面板2幅方向両端の肩部19が幅方向中央側に接近するように作用するため、上面板2に圧縮力が作用し、溶接止端部圧縮応力が増加するようになる。これにより、溶接止端部のビード直角方向での表面の引っ張り残留応力が小さくなる方向に作用する。そのため、溶接部14に疲労損傷(疲労き裂)の恐れのない鋼製枕木1とすることができる。
前記のように構成された本発明の鋼製枕木1では、座盤7を溶接したままの従来の鋼製枕木の場合よりも、より疲労寿命を向上し、レールを締結する場合にも耐えることができ、腐食で表面が数mm無くなっても効果を持続することができる鋼製枕木1とされている。
次に、本発明の鋼製枕木1と、比較例として、従来の各種形態の鋼製枕木についての疲労寿命についての試験した結果を表1および図13に示す。
疲労試験は、従来例の鋼製枕木について、普通の場合(実環境の場合)と、腐食環境下における2種類について試験し、また、本発明の鋼製枕木について、普通の場合(実環境の場合)と、腐食環境下における2種類について試験した。また、従来例の鋼製枕木10と本発明の鋼製枕木1について、それぞれ図14に示すように、レール17を線ばねクリップ18により取り付け、各鋼製枕木1(10)を傾斜させて配置し、レール17に鉛直荷重Fを付加可能に設置し、鋼製枕木1にレール17溶接部14の疲労損傷について試験した。前記の試験は、図14に示すように、レール17を線ばねクリップ18を用いて締結し、鋼製枕木1、10を傾斜した状態に保持し、レール17の上部から鉛直荷重F(225kN)を繰り返し負荷して、レール17に近接してレール17よりも下位に位置している荷重環境の厳しい溶接止端部15aに、引っ張り荷重および曲げ荷重が繰り返し作用するようにした。なお、図14における鋼製枕木の傾斜角は24度である。
なお、試験体に用いた図1または図8あるいは図14に示す鋼製枕木の寸法は、次のとおりである。鋼製枕木の長さ寸法は2580mm、上面板2の厚さ寸法は12mm、鋼製枕木の座盤を除いた高さ寸法は121mm、鋼製枕木の幅寸法は280mmである。
表1において、比較例1〜6の各試験体は、いずれも図8〜図10に示す形態の鋼製まくら木10であり、座盤7を上面板2上面に溶接により固定した形態で、溶接部止端部15およびその近傍の鋼製枕木本体側についてグラインダー処理(G処理)を行ったものと、ショットピーニングまたは超音波衝撃処理(UIT)を行ったものについて、図14に示すような試験を行った。
また、表1において、実施例1〜2の各試験体は、いずれも図1〜図3に示すような形態の鋼製まくら木1であり、座盤7を上面板2上面に溶接により固定した後、前記上面板部分における溶接されている部分を、図5(a)(b)に示すように、液圧ジャッキ15を用いて押圧部16により、上に凸に突出するように板曲げ加工を施した形態である。腐食環境は、鋼製枕木の表面から、酸を用いて鋼製枕木表面を溶かす腐食環境とし、ほぼ溶接部14および上面板2の表面を均一に腐食させ、腐食による板厚が、3mm程度薄くなった。
Figure 2010053567
表1の実施例1および2からもわかるように、前記のような本発明の鋼製枕木1では、上面板2が上に凸に板曲げ加工が施されているので、鋼製枕木1が腐食で、座盤7の溶接部14を含む表面が、1mm〜数mm(例えば、2〜3mm)無くなっても、溶接止端部15におけるビード直角方向での表面の引っ張り残留応力が小さい効果を持続することができ、疲労損傷を防止できる耐久性の高い鋼製枕木1とされている。
なお、溶接後に上に凸に塑性変形させる場合、上に凸に突出する寸法は、1mm程度から最大でも2mmを下回る程度でよく、実施例では、1.5mmである。
本発明を実施する場合、鋼製枕木における上面板の上面に座盤が溶接により固定され、前記座盤を溶接により固定している前記上面板部分における溶接されている部分が上に凸に板曲げ加工をした後、溶接止端部15にピーニング処理を施すようにすると、溶接止端部15にさらに圧縮応力を導入することができ、溶接部の疲労寿命を高めるので好ましい。より好ましくは、溶接されている部分が上に凸に板曲げ加工をした後、溶接止端部15をグラインダー処理して引っ張り残留応力が導入されている部分を除去し、続いて、溶接止端部15にピーニング処理を施すようにすると、溶接止端部15にさらに圧縮応力を導入することができるので、好ましい。
前記実施形態(実施例)では、座盤7を溶接により固定している上面板2の部分における溶接されている部分を上に凸に、それぞれ独立して塑性加工しているので、それぞれ独立した異なる塑性変形量とするようにしてもよく、同じ塑性変形量としてもよい。
本発明を実施する場合、鋼製枕木1の幅方向の上面板2の部分における溶接されている2箇所の部分に渡って、幅方向全体として上に凸に塑性変形させる形態としてもよいが、座盤7を溶接により固定している上面板2の部分における各溶接されている部分を上に凸に、それぞれ独立して塑性加工しているほうが、溶接止端部に確実に圧縮するように塑性変形を与え、引っ張り残留応力を低減するために望ましい。
本発明の一実施形態の鋼製枕木を示す縦断側面図である。 (a)は図1のa−a線断面図、(b)は図1の一部を拡大した拡大縦断側面図である。 図1に示す鋼製枕木の平面図である。 (a)は本発明の鋼製枕木にレールを載置して締結する直前の状態を示す縦断側面図、(b)本発明の鋼製枕木にレールを載置して締結した状態を示す縦断側面図である。 (a)は、鋼製枕木における上面板に座盤を溶接により固定した後、鋼製枕木を反転し、座盤周囲を支持した状態で、プレス加工により、座盤を溶接により固定している上面板部分における溶接されている部分を下側に突出するように板曲げ加工を施す直前の状態を示す縦断側面図、(b)は(a)の縦断正面図である。 (a)は図5(b)に示す部分の一部を拡大して示す縦断正面図、(b)は図5(b)に示すプレス加工を加えているときの押し型と、座盤溶接部の寸法関係を説明するための縦断正面図である。 (a)は従来の鋼製枕木にレールを載置して締結する直前の状態を示す縦断側面図、(b)は従来の鋼製枕木にレールを載置して締結した状態を示す縦断側面図である。 従来の鋼製枕木を示す縦断側面図である。 (a)は図8のb−b線断面図、(b)は図8の一部を拡大した拡大縦断側面図である。 図8の平面図である。 従来の鋼製枕木によるレール締結の一例を示す縦断側面図である。 プレス荷重と平均残留応力値の一例を示すグラフである。 各種比較例の鋼製枕木と本発明の実施例の鋼製枕木との疲労寿命との関係を示すグラフである。 各種比較例の鋼製枕木と本発明の実施例の鋼製枕木との座盤溶接部について、疲労試験を行っている状態を示す説明図である。 図9(b)の平面図である。
符号の説明
1 鋼製枕木
2 上面板
3 前面板
4 後面板
5 側面板
7 座盤
8 突出部
9 支持部材
10 鋼製枕木
11 鋼製ピース
12 押圧部
13 液圧ジャッキ
14 溶接部分
15 溶接止端部
16 押圧部
17 レール
18 線バネクリップ
19 肩部

Claims (4)

  1. 鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体に備えた鋼製枕木本体における上面板の上面に座盤を溶接により固定した鋼製枕木において、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分が上面板と共に上に凸に曲げ加工が施されて突出部が形成されていることを特徴とする鋼製枕木。
  2. 前記の突出部が形成されていることにより、前記座盤の溶接されている部分における溶接止端部のビード直角方向での表面の残留応力が50MPaより小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製枕木。
  3. 上面板部分における溶接されている部分が下側から上側に向かって上面板と共に押圧されて突出部が形成され、前記の突出部の形成により、上面板と共に板曲げ加工が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼製枕木。
  4. 鋼製の上面板に前面板及び後面板並びに両側の側面板を一体として成型加工された鋼製枕木本体にそれぞれ鋼製座盤を溶接により固定する鋼製枕木の製造方法において、前記上面板に座盤の周囲を溶接により固定した後、前記座盤の周囲を前記上面板に固定している溶接部分を上面板と共に上に凸に曲げ加工を施して突出部を形成することを特徴とする座盤付き鋼製枕木の製造方法。
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