JP2006225990A - 鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置 - Google Patents

鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 レールの継目部の金属製継目板を線ばねクリップで鋼製まくらぎに固定しレールと鋼製まくらぎを絶縁する鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置を提供する。
【解決手段】 鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10は、鋼製まくらぎ11上のレール12、13と鋼製まくらぎ11との絶縁を行う第1の絶縁部材14と、継目部15を両側から挟持して締結固定する金属製継目板17、18と、先側端部が金属製継目板17、18に掛止されて直接又は第1の絶縁部材14を介して鋼製まくらぎ11上に配置される第2の絶縁部材20と、第2の絶縁部材20の凹部19に嵌入してレール12、13の位置を固定する押さえ金物21と、レール12、13の両側に第2の絶縁部材20が収容される隙間を設けて配置された固定座盤22と、固定座盤22に一端側が取付けられ他端側が押さえ金物21の上面に当接し下方に押圧する線ばねクリップ23とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置に関する。
従来、図11に示すように、鉄道用のレール100、100aの接続箇所には、隣接するレール100、100aの端部側面間にまたがって左右両側から断面コ字状の鋼製の継目板101を配設し、継目板101の外側面に形成された溝部102の底面103に金属製のバネ体で形成されたクリップ104の先端押圧部105を当接させ、ボルト106とナット107によってクリップ104をレール支持体108に締め付け固定することにより、継目板101を介して連結するレール100、100aの端部をレール支持体108に固定している。また、レール100、100aの横方向へのずれを防止するため、レール支持体108にはレールフランジ109を挟むように対になる突起110が設けられている。なお、図11中の符号111は軌道パッドを示す(例えば、特許文献1参照)。
一方、鉄道用のレール100、100aの接続箇所で絶縁が必要な場合は、図12に示すように、レール100、100aとレール支持体108との間に軌道パッド111の代りに絶縁軌道パッド112を挿入し、隣接するレール100、100aの端部側面間にまたがって左右両側から鋼製の継目板101を樹脂等で形成された絶縁シート113を介して配設し、クリップ104を用いて継目板101をレール支持体108に締め付け固定するようにしている。
あるいは、図13に示すように、レール100、100aとレール支持体108との間に絶縁軌道パッド112を挿入すると共に、隣接するレール100、100aの端部側面間にまたがって左右両側から断面コ字状の樹脂製等の絶縁性継目板114を配設し、絶縁性継目板114の外側面に形成された溝部115の底面116に樹脂製等の絶縁締結具又は金属製の締結具117の先端押圧部118を当接させ、その基端下部を直接レール支持体108上に配置してボルト106とナット107によってレール支持体108に締め付け固定することにより、絶縁性継目板114を介して連結するレール100、100aの端部をレール支持体108に固定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
更に、図14に示すように、絶縁性継目板114の外側面に形成された溝部115の底面116にクリップ104の先端押圧部105を樹脂製板119を介して当接させ、クリップ104を用いて絶縁性継目板114をレール支持体108に締め付け固定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、レールをまくらぎに押さえ固定する方法として、図15に示すように、犬釘やボルト及びナットに代わって締結力の変化が少なく、しかも緩みを発見し易い線ばねクリップが使用されるようになってきた。すなわち、まくらぎ120上に、例えば、鋳物製のレール支持体(タイプレート)121をボルト122とナット123によって固定し、レール支持体121上に連結するレール100、100aの継目部を載置して、この継目部の端部側面間にまたがって金属製の継目板124を配置し継目板124の側部に形成した溝部125の底面126を押さえ金物127を介してレール支持体121上の固定座盤128に取付けられた線ばねクリップ129によってレール支持体121に締め付けることにより、連結するレール100、100aの端部をまくらぎ120に固定することが行われている。なお、図15中の符号130は軌道パッドを示す。
特開平9−287101号公報(図1、図3、図6)
近年、レールを敷設する場合、従来使用していた木製まくらぎあるいはプレストレスコンクリート製まくらぎの代りに、鋼製まくらぎが使用されるようになってきた。鋼製まくらぎは導電性があるため、左右一対のレール間の絶縁が必要な場合は、鋼製まくらぎとレールの間に絶縁材を挿入する必要がある。このため、図11に示すような特許文献1に記載された従来技術で鋼製の継目板101を使用して鋼製まくらぎにレール100、100aを固定する場合、レール100、100aから継目板101及びクリップ104を介して電気が鋼製まくらぎに流れ、平行して敷設されているレールの間で短絡が生じるという問題が発生する。
一方、図12に示す方法を鋼製まくらぎに適用した場合では、載置するレール100、100aのレールフランジ109の両側に相当する位置に突起を設ける必要があり、鋼製まくらぎに対して繁雑な加工や部品の溶接が必要となり、加工費用や品質確保の面から実用的でない。しかも、ボルト106及びナット107での締結が前提の構造であり、線ばねクリップが使用できない。更に、樹脂等で形成された絶縁シート113は強度が低く、レール100、100aの熱による伸縮や絶縁シート113の弾性によるボルト106及びナット107の緩みのためずれ易くレール100、100aと継目板101の間で短絡が生じ易くなり頻繁に点検と補修が必要になるという問題が生じる。
また、図13に示す樹脂製等の絶縁性継目板114を鋼製まくらぎに適用する場合でも、鋼製まくらぎに突起を設ける必要があり加工費用や品質確保の面から実用的でないと共に、線ばねクリップが使用できないという問題が生じる。更に、継目部を挟んだレール100、100a間の絶縁も併せて行うことが必要な場合は、樹脂製等の絶縁性継目板114を使用せざるを得ないが、樹脂製等の絶縁性継目板114は強度が低いため徐々に摩耗し頻繁な点検や取替えが必要で、また、絶縁性継目板114の製作コストも高いという問題がある。更に、図14に示すように、絶縁性継目板114を樹脂製板119を介してクリップ104で押圧して締め付け固定する場合でも、樹脂製板119の摩耗が徐々に進行するため、やはり頻繁な点検や取替えが必要になるという問題は解決しない。
更に、図15に示す技術を鋼製まくらぎに適用する場合においても、レール100、100aから鋼製の継目板124及び押さえ金物127を介して電気が鋼製まくらぎに流れ、平行して敷設されているレールの間で短絡が生じるという問題が発生する。また、載置するレール100、100aのレールフランジ109の両側に相当する位置に突起を設ける必要があり、鋼製まくらぎに対して繁雑な加工や部品の溶接が必要となり、加工費用や品質確保の面から実用的でないという問題が発生する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、連結されるレールの継目部にまたがって配設した金属製継目板を押さえ金物を介して線ばねクリップにより鋼製まくらぎに押圧することにより、レールの継目部を、鋼製まくらぎに大掛かりな加工をすることなく、簡素な部品構成で鋼製まくらぎに押圧し、左右のスラスト力を受けると共にレールの上下動及びレールの伸縮に対し適度に追随しかつ力を逃しながら、しかも確実に固定すると共に、レールと鋼製まくらぎの間の絶縁を確保することが可能な鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、鋼製まくらぎ上に載置した連結されるレールの継目部を固定すると共に、前記レールを絶縁状態で前記鋼製まくらぎに締結する鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置であって、
前記鋼製まくらぎ上に載置される前記レールの底面と該鋼製まくらぎとの間に挿入され該レールと該鋼製まくらぎを絶縁する第1の絶縁部材と、
前記継目部の両側にそれぞれ前記レールの長手方向に沿って配置され、その外側部に掛止部が形成されて該継目部を両側から挟持して締結固定される対となる金属製継目板と、
表側に凹部が形成され、先側端部が前記金属製継目板の前記掛止部に掛止されて該金属製継目板の下部側面及び前記レールの下部側面に当接し、直接又は前記第1の絶縁部材を介して前記鋼製まくらぎ上に配置される対となる第2の絶縁部材と、
前記第2の絶縁部材の表側に形成された前記凹部に嵌入する対となる押さえ金物と、
前記鋼製まくらぎ上に載置される前記レールの前記継目部の両側にそれぞれ前記第2の絶縁部材が配置される隙間を設けて配置された固定座盤と、
前記固定座盤に一端側が取付けられ他端側が前記押さえ金物の上面に当接して該押さえ金物を下方に押圧する線ばねクリップとを有し、前記線ばねクリップにより前記押さえ金物及び前記第2の絶縁部材を介して前記金属製継目板が押圧されることにより前記レールの上下及び左右の位置が固定される。
請求項2記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、請求項1記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記固定座盤は前記鋼製まくらぎの上面に溶接されて、又は前記鋼製まくらぎと一体的に形成されている。
請求項3記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、請求項1及び2記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記第2の絶縁部材は前記隙間に嵌入される。
請求項4記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、請求項1〜3記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記第1及び第2の絶縁部材はナイロン及び高密度ポリエチレンのいずれかで形成されている。
請求項1〜4記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置においては、連結されるレールの継目部で鋼製まくらぎとの電気的絶縁を保ちながら、レールを鋼製まくらぎ上で横方向に移動させる力とレールが鋼製まくらぎから浮き上がろうとする力を受けることができる。このため、剛性の高い鋼製まくらぎを構造上弱いレールの継目部に使用することができるため、軌道の沈下や通り狂い等の軌道狂いを抑制することが可能になる。また、木製まくらぎ又はプレストレスコンクリート製まくらぎのように、まくらぎに繁雑な加工を施したり、鋳物等で製作した締結用プレートを別途ボルト等の締結部材を用いて取付ける必要がなく、保守が容易となる。
ここで、金属製継目板を使用することにより、例えば、締結部材の一例であるボルト及びナットを用いて直接レールの継目部に装着することができ、強固な継目構造を構成することが可能になると共に、金属製継目板を押さえ金物で押さえることが可能になる。鋼製まくらぎに対する加工が線ばねクリップを取付ける固定座盤だけなので、鋼製まくらぎの構造が簡素で加工が少ないため強度が得易く、しかも経済的となる。更に、押さえ金物を第2の絶縁部材の表側に形成した凹部に嵌入できるように小型にすると共に、レールや金属製継目板に対して溶接やボルト及びナットでの剛体固定を行わずに線ばねクリップで固定するため、列車走行によるレールの上下動及び温度差等によるレールの伸縮に対して、線ばねクリップによるほぼ一定の押圧力を保つことができ、ボルト及びナットを用いて固定する場合のように緩みが発生せず確実に固定できる。そして、ほぼ一定の押圧力を保つことができるため、レールの上下動及びレールの伸縮に適度に追随しかつ発生する力を逃がすことができ、レール、金属製継目板、第1、第2の絶縁部材、押さえ金物、及び固定座盤等に損耗が発生するのを防止して、寿命を長くすることが可能になる。また、レールの底面と鋼製まくらぎの間に第1の絶縁部材を挿入すると共に、押さえ金物を第2の絶縁部材の表側に形成した凹部に嵌入するようにして押さえ金物の多少の動きに対しても第2の絶縁部材を外れ難くしたので、確実な絶縁が得られる。
特に、請求項2記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、固定座盤が鋼製まくらぎの上面に溶接されて、又は鋼製まくらぎと一体的に形成されているので、簡単な構造で線ばねクリップを取付けて押さえ金物を下方に押圧することができ、鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の製作コストを低減することが可能になる。
請求項3記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、第2の絶縁部材が隙間に嵌入されるので、第2の絶縁部材がレールから離脱するのを防止でき、レールが鋼製まくらぎ上で横方向にずれるのを確実に防止できる。
請求項4記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置は、第1及び第2の絶縁部材がナイロン及び高密度ポリエチレンのいずれかで形成されているので、寸法精度の高い加工を行うことができ、第1及び第2の絶縁部材の取付けが容易になると共に、レールを鋼製まくらぎに強固に固定することも可能になる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の斜視図、 図2は同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の正断面図、図3は同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の平面図、図4(A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の第1の絶縁部材の平面図、側面図、図5(A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の第2の絶縁部材の平面図、側断面図、図6(A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の押さえ金物の平面図、側断面図、図7(A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の固定座盤の平面図、側面図、図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の線ばねクリップの平面図、側面図、正面図、図9は本発明の第2の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の正断面図、図10(A)、(B)、(C)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の固定座盤の平面図、側面図、正断面図である。
図1、図2、図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10(以下、単にレール継目用絶縁締結装置10という)は、鋼製まくらぎ11上に載置されて連結されるレール12、13の底面と鋼製まくらぎ11との間に挿入されレール12、13と鋼製まくらぎ11を電気的に絶縁する第1の絶縁部材14と、連結されるレール12、13の継目部15の両側にそれぞれレール12、13の長手方向に沿って配置され、その外側部に掛止部16が形成されて継目部15を両側から挟持して締結固定される対となる金属製継目板の一例である鋼製継目板17、18とを有している。なお、鋼製継目板17、18の代りに鋳鉄製継目板を使用することもできる。
更に、レール継目用絶縁締結装置10は、表側に凹部19が形成され、先側端部が鋼製継目板17、18の掛止部16に掛止されて鋼製継目板17、18の下部側面及びレール12、13の下部側面に当接し、第1の絶縁部材14を介して鋼製まくらぎ11上に配置される対となる第2の絶縁部材20と、第2の絶縁部材20の凹部19にそれぞれ嵌入して位置が固定される対となる押さえ金物21と、鋼製まくらぎ11上に載置されたレール12、13の継目部15の両側にそれぞれ第2の絶縁部材20が嵌入する隙間を設けて配置された固定座盤22と、固定座盤22に一端側が取付けられ他端側が押さえ金物21の上面に当接して押さえ金物21を下方に押圧する線ばねクリップ23とを有している。以下これらについて、詳細に説明する。
図4(A)、(B)に示すように、第1の絶縁部材14は、例えば、ナイロンで形成されている。そして、第1の絶縁部材14の長さLは、鋼製まくらぎ11上にレール12、13を挟んで対称に溶接により固定される固定座盤22間の距離Mより長く、第1の絶縁部材14の幅Wは、例えば、鋼製まくらぎ11の幅と実質的に同一長さに、第1の絶縁部材14の厚みTは、例えば、3〜10mmとなっている。更に、第1の絶縁部材14において、長さ方向両端部には固定座盤22のレール12、13に対向する側の先部が嵌入する切り欠き部24が形成されている。
これによって、鋼製まくらぎ11の上に第1の絶縁部材14を載置した際に、第1の絶縁部材14の長手方向の両側をそれぞれ固定座盤22の先部で掛止することができ、鋼製まくらぎ11上に載置した第1の絶縁部材14がずれるのを防止できる。また、第1の絶縁部材14はレール12、13の両側に突出しているので、レール12、13の底面と鋼製まくらぎ11との間の電気的絶縁を確実に行うことができる。
図1、図2、図3に示すように、鋼製継目板17、18は、図示しない車輛の車輪が乗って回転するレール12、13の車輪載置部25と、レール12、13の下部に形成されたレールフランジ26の間でレール12、13の両側にそれぞれ形成された窪み部27に嵌入し、レール12、13の継目28を中央にしてレール12、13の長手方向に継目部15に沿って配置されている。また、鋼製継目板17、18を窪み部27に嵌入した際に、鋼製継目板17、18の外側下部側面とレールフランジ26の外側下部側面とは実質的に同一平面上にあるようにサイズが調整されている。そして、鋼製継目板17、レール1213、及び鋼製継目板18の間に形成された複数の連通孔に差し込まれたボルト29にナット30を座金31を介してねじ込むことにより、継目部15を両側から鋼製継目板17、18で挟持して締結固定することができる。なお、鋼製継目板17、18の外側部には、長手方向に沿って溝32が設けられ、溝32の下部の側面により掛止部16が形成されている。
図5(A)、(B)に示すように、第2の絶縁部材20は、例えば、ナイロンで形成されている。そして、第2の絶縁部材20は鋼製まくらぎ11上に載置され、レール12、13の両側から突出している第1の絶縁部材14の上に載置される底部材33と、底部材33の一側(レール12、13側)において底部材33に対して実質的に垂直に立ち上がる第1の垂直面34を備えた第1の突堤部35と、底部材33の他側(固定座盤22側)において底部材33に対して実質的に垂直に立ち上がる第2の垂直面36を備えた第2の突堤部37を有している。ここで、第1の垂直面34と第2の垂直面36の間の距離Nは、鋼製まくらぎ11上に固定された固定座盤22の先部と鋼製まくらぎ11上に載置されたレール12、13のレールフランジ26の下部側面との間の距離Pと実質的に同一に形成されており、第2の絶縁部材20の幅Qは、鋼製まくらぎ11の幅より小さく形成されている。また、第1の垂直面34の先端には、掛止部16に密接する接触面38を備えた突出部39が設けられている。
なお、第1の垂直面34の高さRは、鋼製継目板17、18をレール12、13の両側に形成された窪み部27に嵌入した際のレール12、13の底面から掛止部16の外側縁までの距離Sと実質的に同一になっている。更に、第2の絶縁部材20の表側、すなわち、底部材33、第1の突堤部35、及び突出部39の表側の内側には平面視して第2の絶縁部材20の外形状と略相似の形状となった凹部19が形成されており、第2の垂直面36の両側には突起41が設けられて第2の突堤部37の中央に固定座盤22の先部が嵌入する切り欠き部42が形成されている。ここで、凹部19は、第2の絶縁部材20の底部材33の表側に形成された第1の窪み部43と、第1の窪み部43の一端側に連接して第1の突堤部35の表側に形成された第2の窪み部45と、第2の窪み部45の一端側に連接して突出部39の表側に形成された第3の窪み部47を備えている。
このような構成とすることにより、鋼製まくらぎ11上に第1の絶縁部材14を介して連結するレール12、13を載置しその継目部15を両側から鋼製継目板17、18で挟持して締結固定して、鋼製継目板17、18と固定座盤22の間の隙間に第2の絶縁部材20を嵌入させることができる。このとき、第2の絶縁部材20の第1の垂直面34は鋼製継目板17、18の下部側面及びレール12、13の下部側面に当接すると共に突出部39の接触面38は掛止部16に密接し、更に、切り欠き部42には固定座盤22の先部が嵌入し第2の垂直面36は固定座盤22の先端と当接するので、第2の絶縁部材20をセットした際に確実に固定することができる。このため、第2の絶縁部材20により鋼製継目板17、18と鋼製まくらぎ11との間の電気的絶縁を確実に行うことができる。
図6(A)、(B)に示すように、押さえ金物21は、例えば、鋼で形成されている。そして、押さえ金物21には、第2の絶縁部材20の底部材33の表側に形成された第1の窪み部43に嵌入してその底面に密接するベース部材44と、第1の突堤部35の表側に形成された第2の窪み部45に嵌入してその底面に密接する側部材46と、突出部39の表側に形成された第3の窪み部47に嵌入してその底面に密接する掛止部材48を備えている。このような構成とすることにより、第2の絶縁部材20の表側に形成された凹部19内に押さえ金物21を嵌入することにより、第2の絶縁部材20の強度を補強することもできる。
図7(A)、(B)に示すように、固定座盤22は、平面視して矩形状であり、側面視して上部が半円形に突出し内部に通し孔49が形成された線ばね掛止部50と、線ばね掛止部50に連接して設けられ側面視して矩形状の台座部51を有している。そして、線ばね掛止部50の両側下部及び台座部51の両側周囲には溶接用の開先52が一体的に形成されている。そして、線ばね掛止部50を鋼製まくらぎ11上でレール12、13側に配置し、この開先52を用いて固定座盤22を鋼製まくらぎ11上に溶接して固定されている。なお、固定座盤22の線ばね掛止部50の先部(レール12、13に対向する側の先部)とレール12、13の間には第2の絶縁部材20が嵌入する隙間が形成されるように、線ばね掛止部50の先部では溶接の肉盛を少なく設定する。また、通し孔49の開口部周囲及び台座部51の両側上部にはそれぞれ面取り部53、54が形成されている。
図8(A)、(B)、(C)に示すように、線ばねクリップ23は、例えば、ばね鋼線を用いて、平面視して概略「の」字状に形成され、一側の直状部55と、他側の短直状部56を備えている。そして、短直状部56の下部には加工により平坦部57が形成されている。そして、線ばねクリップ23の直状部55を通し孔49に挿入して掛止することにより、線ばねクリップ23で直状部55に略平行に対向して設けられた中間部58は弾性力に抗して変形された状態で固定座盤22の台座部51上に当接し、短直状部56の平坦部57も弾性力に抗して変形された状態で押さえ金物21のベース部材44の上表面に当接している。これによって、押さえ金物21を線ばねクリップ23で押圧することができ、その結果、第2の絶縁部材20を介して鋼製継目板17、18の掛止部16に下向きに力を加えることができ、レール12、13の継目部15を鋼製まくらぎ11上に締結することができる。
なお、押さえ金物21の位置を決めることにより、線ばねクリップ23でレール12、13を押圧する位置と、レール12、13の左右スラスト力を受ける位置とを特定することができ、レール12、13の左右スラスト力に対抗してレール12、13を押さえるのに必要な押圧力を見積もることができる。このため、強度的及び経済的に最適な条件の押さえ金物21及び線ばねクリップ23を使用することが可能になる。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10の使用方法について説明する。
先ず、対となる固定座盤22をそれぞれ鋼製まくらぎ11の所定位置(載置されるレール12、13の継目部15の両側に所定の間隔を開けた位置)に配置し、線ばね掛止部50の両側下部及び台座部51の両側周囲に一体的に形成された溶接用の開先52を溶接し固定座盤22を鋼製まくらぎ11に固定する。このとき、対向して配置される固定座盤22の線ばね掛止部50の間には所定の隙間が形成されるように、線ばね掛止部50の先部では溶接の肉盛を少なく設定する。
次いで、対向する固定座盤22の間に、第1の絶縁部材14を挿入し、固定座盤22の先部が第1の絶縁部材14の各切り欠き部24に嵌入するように第1の絶縁部材14の位置を調整して鋼製まくらぎ11に載置する。そして、連結するレール12、13の継目28が鋼製まくらぎ11の幅方向の中央部に配置されるように、第1の絶縁部材14上に連結するレール12、13を載置する。更に、連結するレール12、13の継目部15の両側に沿って配置されるように、レール12、13の両側にそれぞれ形成された窪み部27に鋼製継目板17、18を嵌入させる。そして、鋼製継目板17、レール12、13、及び鋼製継目板18の間に形成された複数の連通孔にボルト29を差し込み座金31を介してナット30をねじ込み、継目部15を両側から鋼製継目板17、18で挟持して締結固定する。
続いて、レール12、13と固定座盤22の隙間に露出している第1の絶縁部材14の上に、固定座盤22の先部が第2の絶縁部材20の切り欠き部42に嵌入するように第2の絶縁部材20を載置する。次いで、第2の絶縁部材20の表側に形成された凹部19内に押さえ金物21を挿入して密着させる。そして、線ばねクリップ23の直状部55を通し孔49に挿入して掛止し、線ばねクリップ23の中間部58及び短直状部56をその弾性力に抗して変形された状態で固定座盤22の台座部51上及び押さえ金物21のベース部材44の上表面に載置する。これによって、線ばねクリップ23の弾性回復力によって押さえ金物21は下方に押圧され、第2の絶縁部材20を介して鋼製継目板17、18の掛止部16が下向きに押圧される。その結果、レール12、13の継目部15が鋼製継目板17、18で締結された状態で鋼製まくらぎ11上に固定することができる。
ここで、レール12、13と鋼製まくらぎ11の間には第1の絶縁部材14が配置されているので、レール12、13の底面と鋼製まくらぎ11との間の電気的絶縁が行われる。また、鋼製継目板17、18と押さえ金物21の間には第2の絶縁部材20が配置されているので、鋼製継目板17、18と押さえ金物21との間の電気的絶縁が行われ、レール12、13と鋼製継目板17、18を介した鋼製まくらぎ11との間の電気的絶縁が行われる。更に、第2の絶縁部材20の第1の垂直面34が鋼製継目板17、18の下部側面及びレール12、13の下部側面に当接し、第2の垂直面36が固定座盤22の先端と当接すると共に切り欠き部42には固定座盤22の先部が嵌入しているので、第2の絶縁部材20が鋼製まくらぎ11上でずれるのが防止できる。このため、第2の絶縁部材20の凹部19に嵌入する押さえ金物21の位置がずれるのも防止でき、レール12、13の継目部15を鋼製継目板17、18を介して鋼製まくらぎ11上に確実に固定することができる。
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置59について説明するが、図9に示すように、鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置59は、鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10と比較して、固定座盤60が鋼製まくらぎ61と一体的に形成されていることが特徴であって、他の構成部材は鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10の構成部材と実質的に同一とすることができる。このため、固定座盤60についてのみ説明し、他の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図10(A)、(B)、(C)に示すように、固定座盤60は、鋼製まくらぎ61の上面の所定位置に突出するように押し出し加工により鋼製まくらぎ61と一体的に形成されている。そして、図10(A)に示すように、固定座盤60には、鋼製まくらぎ61上に載置されるレール12、13に対向するように形成された第1の突起62と、第1の突起62の外側に連接して形成された第2の突起63を備えている。ここで、第1の突起62は、側面視して上部が半円形に突出し、平面視して鋼製まくらぎ61の幅方向に平行に形成されたドーム部64を備え、ドーム部64の一端は閉じられ他端には開口部65が設けられて内部の空洞66と外部が連通状態になっている。また、第2の突起63は周囲を傾斜面67〜69で構成され、各傾斜面67〜69の上端部を連結するように第2の突起63の上部に平坦部70が設けられている。
このような構成とすることにより、線ばねクリップ23の一側の直状部55を開口部65から空洞66内に挿入して掛止して、線ばねクリップ23の中間部58を弾性力に抗して変形された状態で固定座盤60の平坦部70上に当接させると共に、短直状部56の平坦部57も弾性力に抗して変形された状態で押さえ金物21のベース部材44の上表面に当接させることができる。これによって、線ばねクリップ23の弾性回復力によって押さえ金物21を下方に押圧して、第2の絶縁部材20を介して鋼製継目板17、18の掛止部16を下向きに押圧することができる。その結果、レール12、13の継目部15を鋼製継目板17、18で締結した状態で鋼製まくらぎ61上に固定することができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置59の使用方法は、第1の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置10で固定座盤22を鋼製まくらぎ11に固定した後の使用方法と実質的に同一であるので、説明は省略する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、第1及び第2の絶縁部材をナイロンを用いて形成したが、高密度ポリエチレンを用いて形成することもできる。押さえ金物を先に載置した第2の絶縁部材の凹部に嵌入したが、押さえ金物を予め第2の絶縁部材の凹部に嵌入させておいてもよい。これによって組立時の部品点数を減少させることができ、組立が容易になる。また、第2の絶縁部材を第1の絶縁部材を介して鋼製まくらぎ上に配置したが、第2の絶縁部材を直接鋼製まくらぎ上に配置することもできる。
本発明の第1の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の斜視図である。 同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の正断面図である。 同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の平面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の第1の絶縁部材の平面図、側面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の第2の絶縁部材の平面図、側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の押さえ金物の平面図、側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の固定座盤の平面図、側面図である。 (A)、(B)、(C)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の線ばねクリップの平面図、側面図、正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の正断面図である。 (A)、(B)、(C)はそれぞれ同鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置の固定座盤の平面図、側面図、正断面図である。 従来例に係るレール継目用絶縁締結装置である。 従来例に係る絶縁を考慮したレール継目用絶縁締結装置である。 従来例に係る絶縁を考慮したレール継目用絶縁締結装置である。 従来例に係る絶縁を考慮したレール継目用絶縁締結装置である。 従来例に係るレール継目用絶縁締結装置である。
符号の説明
10:鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置、11:鋼製まくらぎ、12、13:レール、14:第1の絶縁部材、15:継目部、16:掛止部、17、18:鋼製継目板、19:凹部、20:第2の絶縁部材、21:押さえ金物、22:固定座盤、23:線ばねクリップ、24:切り欠き部、25:車輪載置部、26:レールフランジ、27:窪み部、28:継目、29:ボルト、30:ナット、31:座金、32:溝、33:底部材、34:第1の垂直面、35:第1の突堤部、36:第2の垂直面、37:第2の突堤部、38:接触面、39:突出部、41:突起、42:切り欠き部、43:第1の窪み部、44:ベース部材、45:第2の窪み部、46:側部材、47:第3の窪み部、48:掛止部材、49:通し孔、50:線ばね掛止部、51:台座部、52:開先、53、54:面取り部、55:直状部、56:短直状部、57:平坦部、58:中間部、59:鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置、60:固定座盤、61:鋼製まくらぎ、62:第1の突起、63:第2の突起、64:ドーム部、65:開口部、66:空洞、67〜69:傾斜面、70:平坦部

Claims (4)

  1. 鋼製まくらぎ上に載置した連結されるレールの継目部を固定すると共に、前記レールを絶縁状態で前記鋼製まくらぎに締結する鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置であって、
    前記鋼製まくらぎ上に載置される前記レールの底面と該鋼製まくらぎとの間に挿入され該レールと該鋼製まくらぎを絶縁する第1の絶縁部材と、
    前記継目部の両側にそれぞれ前記レールの長手方向に沿って配置され、その外側部に掛止部が形成されて該継目部を両側から挟持して締結固定される対となる金属製継目板と、
    表側に凹部が形成され、先側端部が前記金属製継目板の前記掛止部に掛止されて該金属製継目板の下部側面及び前記レールの下部側面に当接し、直接又は前記第1の絶縁部材を介して前記鋼製まくらぎ上に配置される対となる第2の絶縁部材と、
    前記第2の絶縁部材の表側に形成された前記凹部に嵌入する対となる押さえ金物と、
    前記鋼製まくらぎ上に載置される前記レールの前記継目部の両側にそれぞれ前記第2の絶縁部材が配置される隙間を設けて配置された固定座盤と、
    前記固定座盤に一端側が取付けられ他端側が前記押さえ金物の上面に当接して該押さえ金物を下方に押圧する線ばねクリップとを有し、前記線ばねクリップにより前記押さえ金物及び前記第2の絶縁部材を介して前記金属製継目板が押圧されることにより前記レールの上下及び左右の位置が固定されることを特徴とする鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置。
  2. 請求項1記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記固定座盤は前記鋼製まくらぎの上面に溶接されて、又は前記鋼製まくらぎと一体的に形成されていることを特徴とする鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記第2の絶縁部材は前記隙間に嵌入されることを特徴とする鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置において、前記第1及び第2の絶縁部材はナイロン及び高密度ポリエチレンのいずれかで形成されていることを特徴とする鋼製まくらぎのレール継目用絶縁締結装置。
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