JP2019122977A - 溶接接合構造体および溶接接合方法 - Google Patents

溶接接合構造体および溶接接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の部品が溶接接合されて疲労強度に優れた溶接接合構造体および溶接接合方法を提供する。【解決手段】本発明に係る溶接接合構造体1は、屈曲部11を介して連続する面部13、15を有する部品10と、面部13、15における屈曲部11を挟む先端側を当接させて立設された部品10が溶接接合される部品20とを備え、部品10は、屈曲部11を挟む面部13、15の先端側に溶接フランジ部17、19を有し、部品20は、溶接フランジ部17、19が当接する当接面部21における隣り合う溶接フランジ部17、19の端部近傍に凸部23を有し、部品10と部品20は、溶接フランジ部17、19と当接面部21とが溶接接合され、溶接ビード30の溶接止端部31が凸部23における溶接フランジ部17、19側の傾斜面部23aに位置していることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、先端側に溶接フランジ部を有する一方の部品と、前記溶接フランジ部が当接する当接面部を有する他方の部品とが溶接接合された溶接接合構造体および溶接接合方法に関する。
自動車車体のシャシー部品のうちフレーム・足回り部品には、アーク溶接によって組み立てられた溶接接合構造体が多い。シャシー・足回り部品等に求められる性能のうち、路面からの入力荷重等に対する耐久・疲労強度は最も重要な要求性能の一つである。そのため、シャシー・足回り部品等においては従来を超える疲労強度の向上が求められている。
アーク溶接によって組み立てられた溶接接合構造体が破壊する場合、その大半は疲労き裂に起因しており、その疲労き裂のほとんどは、溶接継手部、特に溶接止端部(溶接金属と被溶接母材との境界部)から発生すると言われている(非特許文献1)。
近年、自動車の衝突安全性能の向上と燃費規制の対応とを両立すべく、自動車車体の軽量化が進められている。そのため、最近では、車体骨格部材はもとより、これまで防錆性確保の観点から最低限の肉厚確保が必要とされていたシャシー部品に対しても、高強度鋼板を適用し、これまで以上に薄肉化の検討がなされている。しかしながら、高強度鋼板を適用した場合、ゲージダウンや、溶接金属との強度差が大きくなること、また、成形時の残留応力が大きくなることなどにより、疲労強度がさらに低下することが懸念される。したがって、高強度鋼板の適用による自動車車体の軽量化においては、溶接継手部における疲労強度の向上が大きな課題であり、そのためには、疲労強度に直接影響する溶接継手部における応力集中を低減することが重要である。
そこで、従来から、溶接継手部における応力集中を低減させる方法として、溶接止端部をグラインダーで研削する、溶接ワイヤを変更または溶接時のシールドガスを変更するなどの溶接手法の改善による対策が提案されている。例えば、特許文献1には、ピーニング処理により溶接止端部の形状を滑らかにする技術が開示されている。しかしながら、これらの方法は、後処理や工法の改善のためにコスト・工数が余分に必要となるといった問題がある。
また、特許文献2には、一方の部品の隅肉溶接する部分の一部または全部に溶接方向に沿った溝を形成し、溶接時にその溝を溶着金属で埋めて溶接ビードの脚長が上記溝の幅よりも大きくなるように溶接する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、隅肉溶接継手で接合されている鋼板の曲がり変形を抑制して溶接部近傍の応力集中を低減するために、溶接ビード近傍の鋼板に溶接前に予めプレス成形でリブ状のプレスビードを形成し、このプレスビードの一部が溶接ビードと接するか重なるようにする技術が開示されている。
WO2011/055848A1 特開2008−183569号公報 WO2016/129690A1
溶接学会誌、第62巻(1993)第8号、p.595−598
屈曲部を有する一方の部品の先端側に設けられた溶接フランジ部を他方の部品の表面(当接面部)に当接させて前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合した溶接接合構造体においても、前記溶接接合した部位である溶接継手部に繰り返し荷重が負荷された場合、その疲労き裂のほとんどは溶接継手部、特に溶接止端部から発生する。
しかしながら、特許文献2に開示されている溶接方法は、T字溶接継手部を対象としたものであり、一方の部材に形成された溝を溶着金属で埋めて溶接ビードの脚長が溝の幅よりも大きくなるように溶接するため、溶着金属を多く必要とすることや、溶接止端部は溝が形成されていない下の部材の表面に位置するものであるため、溶接止端部の形状が滑らかに緩和せず、疲労強度を向上する効果が十分に得られない場合があるなどの課題があった。
さらに、特許文献3に開示されている溶接方法は、突合せ部材の先端に溶接フランジ部を形成して接合する溶接接合構造体を対象するものではなかった。そのため、屈曲部を有する一方の部品の先端側に設けられた溶接フランジ部を他方の部品の当接面部に当接させて前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合した溶接接合構造体においても、疲労強度を向上させる技術が望まれていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度に優れる、先端側に溶接フランジ部を有する一方の部品と、前記溶接フランジ部が当接する当接面部を有する他方の部品とを溶接接合してなる溶接接合構造体および溶接接合方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る溶接接合構造体は、屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品と、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を当接させて立設された前記一方の部品が溶接接合される他方の部品とを備え、前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各前記面部の先端側に溶接フランジ部を有し、前記他方の部品は、前記溶接フランジ部が当接する当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を有し、前記一方の部品と前記他方の部品は、前記溶接フランジ部と前記当接面部とが溶接接合され、溶接ビードの溶接止端部が前記凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に位置していることを特徴とするものである。
(2)本発明に係る溶接接合構造体は、上記(1)に記載のものにおいて、引張荷重が作用する部位は前記凸部が設けられて溶接接合され、圧縮荷重のみが作用する部位は前記凸部を設けることなく溶接接合されていることを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とするものである。
(4)本発明に係る溶接接合方法は、屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品を、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を他方の部品に当接させて立設して溶接接合するものであって、前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各面部の先端側に溶接フランジ部を有し、前記溶接フランジ部が当接する前記他方の部品の当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を形成し、該凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように、前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とするものである。
(5)本発明に係る溶接接合方法は、上記(4)に記載のものにおいて、前記一方の部品の溶接フランジ部と前記他方の部品の当接面部とが溶接接合した状態で引張荷重が作用する部位と圧縮荷重が作用する部位を特定し、該特定した引張荷重が作用する部位については前記凸部を設けて前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合し、前記特定した圧縮荷重のみが作用する部位については前記凸部を設けることなく前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とするものである。
(6)上記(4)又は(5)に記載のものにおいて、前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とするものである。
本発明においては、屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品と、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を当接させて立設された前記一方の部品が溶接接合される他方の部品とを備え、前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各前記面部の先端側に溶接フランジ部を有し、前記他方の部品は、前記溶接フランジ部が当接する当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を有し、前記一方の部品と前記他方の部品は、前記溶接フランジ部と前記当接面部とが溶接接合され、溶接ビードの溶接止端部が前記凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に位置していることにより、前記溶接止端部に荷重が作用した時の応力集中が緩和され、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度に優れる疲労強度を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る溶接接合構造体の概略図である。 本実施の形態に係る溶接接合構造体が備える一方の部品の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る溶接接合構造体が備える他方の部品に設けられる凸部の位置を説明する図である。 従来の溶接接合構造体の概略図である。 本発明に係る溶接接合構造体の疲労試験方法を説明する図である。 従来の溶接接合構造体における溶接ビードの溶接止端部の形状を説明する図である。 本実施の形態に係る溶接接合構造体における他方の部品の当接面部に設けられた凸部の形状を説明する図である。 本実施の形態に係る溶接接合構造体の他の態様の例を示す図である。 本実施の形態に係る溶接構造体の他の態様における他方の部品の概略図である。 本実施の形態に係る溶接接合構造体の他の態様における他方の部品に設けられた凸部の位置を説明する図である。 本実施の形態に係る溶接接合構造体における溶接ビードの溶接長さを説明する図である(その1)。 本実施の形態に係る溶接接合構造体における溶接ビードの溶接長さを説明する図である(その2)。 本発明の実施例で用いた溶接接合構造体を示す図である。 本発明の実施例に係る疲労試験において溶接接合構造体に作用する繰り返し荷重を説明する図である。 本発明の実施例に係る疲労試験で得られた疲労寿命の測定結果を示すグラフである。
本発明の実施の形態に係る溶接接合構造体および溶接接合方法について、以下に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<溶接接合構造体>
本実施の形態に係る溶接接合構造体1は、図1に一例として示すように、屈曲部11を介して連続する面部13、15を有する一方の部品10と、面部13、15における屈曲部11を挟む先端側を当接させて立設させた部品10が溶接接合される他方の部品20とを備えたものである。
部品10は、面部13と面部15における屈曲部11を挟むそれぞれの先端側に溶接フランジ部17、19を有している。なお、本実施の形態において、部品10は、図2に示すように鋼板からなる断面コ字状の2つの部品10aが溶接接合された閉断面形状のものである。
部品20は、図1および図3に示すように、部品10の溶接フランジ部17、19が当接する当接面部21と、当接面部21における隣り合う溶接フランジ部17、19の端部近傍に設けられた凸部23を有するものである。ここで、凸部23は、溶接フランジ部17、19の幅方向(各溶接フランジ部17、19における溶接方向)における端部にまたがって、部品10側に突出するように設けられている。
そして、部品10と部品20は、溶接フランジ部17、19と当接面部21が溶接接合され、溶接ビード30の溶接止端部31は、凸部23における溶接フランジ部17、19側の傾斜面部23aに位置している(図1の点線○内の断面図を参照)。
≪疲労強度が向上する理由≫
部品20の当接面部21に凸部23を設け、凸部23の傾斜面部23aに溶接ビード30の溶接止端部31が位置するように部品10の溶接フランジ部17、19と部品20の当接面部21とを溶接接合することで、溶接接合構造体1の疲労強度が向上する理由を以下に説明する。
図4に示すような従来の溶接接合構造体3は、先端側に溶接フランジ部17、19を有する部品10を部品40の当接面部41に当接させて、溶接フランジ部17、19と当接面部41が溶接接合されたものである。
そして、溶接接合構造体3について、図5に示すように部品10の上部にx方向に沿って繰り返し荷重を負荷して疲労試験をすると、引張荷重が作用する部位(図5中の破線楕円で囲む部位)における溶接ビード30の溶接止端部31に応力集中が生じる。特に、溶接接合構造体3においては部品10の屈曲部11により剛性が高くなっているため、屈曲部11を介して隣り合う溶接フランジ部17、19の幅方向端部付近(図4中の破線○で囲む部位)である溶接ビード30の始終端33における溶接止端部31に高い応力が集中し、疲労き裂が発生する。
このように溶接接合構造体3において溶接止端部31に応力が集中する理由は、上記のように2つの部品10と部品40を隅肉溶接してなる溶接継手部は巨視的な構造として不連続であることと、溶接止端部31は、図6に示すように曲率半径ρが小さく、切欠き形状となっているためである。
図1に示す本実施の形態に係る溶接接合構造体1においては、溶接ビード30の始終端33における溶接止端部31が凸部23の傾斜面部23aに位置しているために溶接止端部31の曲率半径ρが大きくなり、応力集中が低減される。さらに、部品20においては、部品10の溶接フランジ部17、19の端部近傍に凸部23が形成されていることで、溶接ビード30の始終端33周辺の剛性が高くなって変形が抑制されるため、応力集中をさらに低減することができる。その結果、溶接のコストと工程数を増やすことなく溶接接合構造体1の疲労強度が向上する。
≪凸部の形状について≫
次に、部品20の当接面部21に形成される凸部23の好適な形状について説明する。
凸部23は、図7に示すように、溶接フランジ部17、19のそれぞれに沿って延出する延出部23bを有し、凸部23の突起高さをh、凸部23の下端部23cの高さ方向における曲率半径をR、延出部23bと溶接フランジ部17(または溶接フランジ部19)との重なり長さをL、溶接フランジ部17、19の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことが好ましい。凸部23の形状を上記の範囲で規定することにより、疲労強度の向上に好適であることについては、後述する実施例にて検証する。
重なり長さLに関しては、L=0mmであっても、凸部23の先端と溶接フランジ部の端部との部分に溶接ビードがあって溶接止端部が凸部の傾斜面部に位置するため、応力集中が緩和されて疲労強度が向上する。
≪他の態様について≫
上記の説明における溶接接合構造体1は、部品20の当接面部21に当接する部品10が、断面コ字状の2つの部品10aを溶接接合した閉断面形状のものであったが、本発明に係る溶接接合構造体は、図8(a)に示すように、断面コ字状の部品10aと部品50とが溶接接合されたものであってもよい。
部品10aは、屈曲部11を介して連続する面部13、15aと、屈曲部11を挟む面部13、15aの先端側に溶接フランジ部17、19aを有する(図2参照)。
一方、部品50は、部品10aの屈曲部11を挟んで隣り合う溶接フランジ部17、19aの端部近傍となる当接面部51に凸部53が設けられている(図8(a)、図9参照)。
そして、部品10aと部品50は、溶接フランジ部17、19aと当接面部51とが溶接接合され、溶接ビード30の溶接止端部31が凸部53における溶接フランジ部17、19a側の傾斜面部53aに位置しているものである。
また、本発明は、図8(b)に示すような部品10aと部品55とを備えた溶接接合構造体7であってもよい。部品55は、屈曲部11を挟んで隣り合う溶接フランジ部17、19aの端部近傍に凸部53が設けられるとともに、溶接フランジ部17、19aにおける凸部53と反対側の端部近傍に凸部57が設けられたものであり、部品10aと部品55は、凸部57に溶接ビード30の溶接止端部31が位置するように溶接接合されている。
このような溶接接合構造体7は、凸部53が設けられた溶接フランジ部17、19aの端部と反対側の端部に引張荷重が作用して応力集中が生じるような場合、溶接ビード30の溶接止端部31が凸部57の傾斜面部57aに位置するため、応力集中が緩和されて疲労強度が向上する。
さらに、上記の説明は、先端側が溶接接合される一方の部品10のすべての屈曲部11について、屈曲部11を挟んで隣り合う溶接フランジ部17、19の幅方向端部近傍となる他方の部品20の当接面部21に凸部23が設けられたものであった(図1)。
もっとも、本発明は、例えば図8(c)に示すように部品10と部品50とを備えた溶接接合構造体9のように、すべての屈曲部11について凸部53が設けられていないものであってもよい。凸部53が設けられる位置については、例えば、図4に示すように部品10の上部に対して荷重を負荷したときに、一方の側の溶接フランジ部17側(図10中の左側)には引張荷重が作用し、他方の側の溶接フランジ部17(図10中の右側)には圧縮荷重のみが作用する場合、引張荷重が作用する側の屈曲部11を挟む溶接フランジ部17、19の幅方向端部の近傍に凸部53が設けられ、圧縮荷重のみが作用する溶接フランジ部17側の当接面部51に凸部が設けられていないものであってもよい。
圧縮荷重のみが作用する部位に凸部が設けられていない理由は、溶接止端部に圧縮荷重が繰り返し作用しても、これを起因とする応力集中と疲労き裂は発生しにくいためである。
≪溶接ビード長さ≫
また、本発明に係る溶接接合構造体は、図11(a)に示すように、溶接ビード30の溶接長さを溶接フランジ部17、19の幅方向長さ(以下、「ベース溶接長さ」と記す)に等しくすればよい。もっとも、溶接ビード30の溶接長さは、例えば図11(b)、図12(c)に示すように、溶接ビード30の始終端33を凸部53の傾斜面部53aに沿って延長し、ベース溶接長さ以上としたものであってもよい。始終端33を延長した溶接ビード30は、図11(a)に示すベース溶接長さの溶接ビード30と同様、始終端33における溶接止端部31が傾斜面部53aに位置するため、応力集中が緩和されて疲労強度が向上する。
さらに本発明は、図12(d)に示すように、部品10の全周にわたって溶接ビード60を連続化した溶接接合構造体9であってもよい。溶接接合構造体9においても、溶接ビード60の溶接止端部61は凸部53の傾斜面部53aに位置するため、図11(a)、(b)および図12(c)に示すように溶接フランジ部17、19それぞれに溶接ビード30を設けた場合と同様に疲労強度は向上する。
なお、溶接ビード長さが疲労強度に及ぼす影響に関しても、後述する実施例にて検証する。
<溶接接合方法>
次に、本発明の実施の形態に係る溶接接合方法を説明する。
本実施の形態に係る溶接接合方法は、図1に一例として示すように、屈曲部11を介して連続する面部13、15を有する部品10を、面部13、15それぞれにおける屈曲部11を挟む先端側を部品20に当接させて立設して溶接接合するものである。
前述のとおり、部品10は、面部13、15における屈曲部11を挟む先端側にそれぞれ溶接フランジ部17、19を有している。
一方、部品20においては、溶接フランジ部17、19が当接する当接面部21における溶接フランジ部17、19の端部近傍に凸部23を形成する。そして、凸部23における溶接フランジ部17、19側の傾斜面部23aに溶接ビード30の溶接止端部31が位置するように、溶接フランジ部17、19と当接面部21とを溶接接合する。
このように、部品10と部品20とを溶接接合することで、溶接ビード30の始終端33の溶接止端部31における応力集中を緩和し、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度を向上することができる。
また、本発明に係る溶接接合方法は、例えば図4に示すように、部品10と部品40とが溶接接合された状態で部品10に繰り返し荷重を負荷したときに、引張荷重が作用する部位と圧縮荷重のみが作用する部位とを特定し、図10に示すように、該特定した引張荷重が作用する部位における溶接フランジ部17の幅方向端部にわたって凸部53を設け、圧縮荷重のみが作用する部位における溶接フランジ部17の幅方向端部近傍には凸部を設けないものであってもよい。
なお、引張荷重が作用する部位と圧縮荷重のみが作用する部位は、荷重を作用させる方向に基づいて特定すればよく、若しくは、CAE解析や疲労試験などにより特定してもよい。
さらに、本実施の形態に係る溶接接合方法により設ける凸部23は、溶接フランジ部17、19のそれぞれに沿って延出する延出部23bを有し、凸部23の突起高さをh、凸部23の下端部23cの高さ方向における曲率半径をR、延出部23bと溶接フランジ部17、19の重なり長さをL、溶接フランジ部17、19の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たす形状とすることが好ましい。
また、溶接ビード30の溶接長さは、溶接フランジ部17、19の幅方向長さ以上とすればよく、図11(b)、図12(c)に示すように、溶接ビード30の始終端33を延長して形成、若しくは、図12(d)に示すように、先端側を溶接接合する部品10の全周にわたって溶接ビード60を形成してもよい。
本発明の作用効果について確認するための実験を行ったので、これについて以下に説明する。
本実施例では、発明例として、図13に示す形状の溶接接合構造体9を試験対象として疲労試験を行い、疲労強度を評価した。
<供試材および部品形状>
溶接接合構造体9は、図13に示すように、部品10および部品50を溶接接合して作成したものであり、部品10および部品50は、板厚t=2.9mm、780MPa級の熱延鋼板を供試材とした。
部品10は、図2に示すように、断面コ字状の部品10aの開口部同士を溶接接合して作成したものである。そして、面部13と面部15における屈曲部11を挟むそれぞれの先端側に溶接フランジ部17、19を有している。
部品50は、図9に示すように断面コ字状であり、当接面部51に凸部53が屈曲形成されたものである。凸部53の下端部(図7における凸部23の下端部23cに相当)は高さ方向において湾曲した形状であり、その曲率半径Rは4mm(>板厚t=2.9mm)とした。
そして、部品10と部品50は、直径1.2mmの780MPa級溶接ワイヤを用い、溶接電流205A、電圧23V、速度85cm/min、Ar80%−CO220%のシールドガス20L/minの条件で、溶接フランジ部17、19と当接面部51とを溶接接合した。溶接接合に際し、溶接ビード30の始終端33においては、溶接止端部31が凸部53の傾斜面部53aに位置するようにした。
また、本実施例では、部品40の当接面部41に凸部を設けずに部品10の溶接フランジ部17、19を溶接接合した溶接接合構造体3(図4参照)を比較例とし、発明例と同様に疲労試験を行った。
比較例に係る溶接接合構造体3は、図13に示す溶接接合構造体9と同一寸法とし、前述の発明例に係る溶接接合構造体9と同じ溶接条件で、溶接フランジ部17、19と当接面部41とを溶接接合した。ただし、溶接接合構造体3は、溶接ビード30の始終端33における溶接止端部31は、当接面部41の平坦部に位置するものとした。
<疲労試験方法および試験条件>
発明例に係る溶接接合構造体9の疲労試験方法においては、図5に示す疲労試験と同様、部品50を固定するとともに部品10の上部に繰り返し荷重を与え、溶接接合構造体9にき裂が発生するまでの繰り返し荷重のサイクル数を計測することにより、疲労寿命を評価した。
ここで、溶接接合構造体9に負荷する繰り返し荷重の負荷方向は図5に示すx方向と同一方向とし、図14(a)に示すように、凸部53側に0kNから6kNの間の引張荷重が荷重比(最小荷重/最大荷重)0である片振りとした。
比較例に係る溶接接合構造体3の疲労試験においても、図14(b)に示すように、溶接フランジ部17と当接面部51とが溶接接合された平坦部に0kN〜6kNの引張荷重を荷重比0(片振り)で作用させ、き裂が発生するまでの繰り返し荷重のサイクル数を計測した。
表1に、試験条件を示す。ここで、重なり長さL=0mmは図9に示す凸部53を有し、その先端と溶接フランジ部17、19の端部との部分に溶接ビードがあって溶接止端部が凸部の傾斜面部に位置する場合である。また、重なり長さL「−」は凸部53がないため、溶接フランジ部17、19のみの場合である。
表1においてNo.1〜No.7は本発明例であり、部品50に設ける凸部53の突起高さhを3mm又は5mm、凸部53と溶接フランジ部17、19との重なり長さLを0mm〜20mmの範囲で変更したものである。なお、突起高さhは、溶接フランジ部17、19の板厚t(=2.9mm)以上である。
一方、No.8は比較例であり、図4に示す部品40の当接面部41に凸部を設けずに部品10の溶接フランジ部17、19を溶接接合したものである。
表1に示すように、比較例に係るNo.8において、溶接ビード30の溶接止端部31の曲率半径は0.2mmであった。これに対し、本発明例に係るNo.1〜No.7において、溶接ビード30の溶接止端部31の曲率半径ρは、突起高さhおよび重なり長さLの値によらず1.5〜1.6mmとほぼ一定であり、比較例に比べて増加した。
<疲労試験結果>
図15に、疲労試験結果を示す。
本発明例であるNo.1〜No.7はいずれも、比較例であるNo.8と比べて疲労寿命が向上する結果であった。この結果は、前掲の表1に示すように、比較例(No.8)に比べて本発明例(No.1〜No.7)における溶接止端部31の曲率半径ρ)が増加していることから、溶接止端部31における応力集中が緩和されたために疲労強度が向上したことを示す。
次に、図13に示す本発明例に係る溶接接合構造体9における凸部53の形状と疲労寿命との関係について検討する。
まず、凸部53の突起高さをh=3mmとしたNo.1、3とh=5mmとしたNo.2、4を比較すると、h=5mmとしたNo.2、4の方が疲労寿命は向上している。これは、凸部53の突起高さhを増すことで溶接止端部31付近の剛性が向上し、応力集中が低減するためであると考えられる。
次に、凸部53の突起高さh=3mm一定として重なり長さLを0mm〜20mmの範囲で変更したNo.2、4、5、6、7を比較すると、重なり長さLを増すことで疲労寿命は向上する結果となった。これは、重なり長さLを増すことで凸部53は長くなり、溶接止端部31付近の剛性が向上し、応力集中が低減するためであると考えられる。
以上、本発明に係る溶接接合構造体においては、溶接ビードの溶接止端部における応力集中が緩和されて疲労強度が向上し、疲労寿命が増加することが示された。
1 溶接接合構造体(本発明)
3 溶接接合構造体(従来例)
5 溶接接合構造体(本発明)
7 溶接接合構造体(本発明)
9 溶接接合構造体(本発明)
10 部品
10a 部品
11 屈曲部
13、15 面部
17 溶接フランジ部
19、19a 溶接フランジ部
20 部品
21 当接面部
23 凸部
23a 傾斜面部
23b 延出部
23c 下端部
30 溶接ビード
31 溶接止端部
33 始終端
40 部品
41 当接面部
50 部品
51 当接面部
53 凸部
53a 傾斜面部
55 部品
57 凸部
57a 傾斜面部
60 溶接ビード
61 溶接止端部

Claims (6)

  1. 屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品と、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を当接させて立設された前記一方の部品が溶接接合される他方の部品とを備え、
    前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各前記面部の先端側に溶接フランジ部を有し、
    前記他方の部品は、前記溶接フランジ部が当接する当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を有し、
    前記一方の部品と前記他方の部品は、前記溶接フランジ部と前記当接面部とが溶接接合され、溶接ビードの溶接止端部が前記凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に位置していることを特徴とする溶接接合構造体。
  2. 請求項1に記載の溶接接合構造体において、
    引張荷重が作用する部位は前記凸部が設けられて溶接接合され、圧縮荷重のみが作用する部位は前記凸部を設けることなく溶接接合されていることを特徴とする溶接接合構造体。
  3. 前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接接合構造体。
  4. 屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品を、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を他方の部品に当接させて立設して溶接接合する溶接接合方法であって、
    前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各面部の先端側に溶接フランジ部を有し、
    前記溶接フランジ部が当接する前記他方の部品の当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を形成し、
    該凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように、前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とする溶接接合方法。
  5. 請求項4に記載の溶接接合方法において、
    前記一方の部品の溶接フランジ部と前記他方の部品の当接面部とが溶接接合した状態で引張荷重が作用する部位と圧縮荷重が作用する部位を特定し、
    該特定した引張荷重が作用する部位については前記凸部を設けて前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合し、前記特定した圧縮荷重のみが作用する部位については前記凸部を設けることなく前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とする溶接接合方法。
  6. 前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とする請求項4又は5に記載の溶接接合方法。
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