JP2019122977A - 溶接接合構造体および溶接接合方法 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る溶接接合構造体1は、図1に一例として示すように、屈曲部11を介して連続する面部13、15を有する一方の部品10と、面部13、15における屈曲部11を挟む先端側を当接させて立設させた部品10が溶接接合される他方の部品20とを備えたものである。
部品20の当接面部21に凸部23を設け、凸部23の傾斜面部23aに溶接ビード30の溶接止端部31が位置するように部品10の溶接フランジ部17、19と部品20の当接面部21とを溶接接合することで、溶接接合構造体1の疲労強度が向上する理由を以下に説明する。
そして、溶接接合構造体3について、図5に示すように部品10の上部にx方向に沿って繰り返し荷重を負荷して疲労試験をすると、引張荷重が作用する部位(図5中の破線楕円で囲む部位)における溶接ビード30の溶接止端部31に応力集中が生じる。特に、溶接接合構造体3においては部品10の屈曲部11により剛性が高くなっているため、屈曲部11を介して隣り合う溶接フランジ部17、19の幅方向端部付近(図4中の破線○で囲む部位)である溶接ビード30の始終端33における溶接止端部31に高い応力が集中し、疲労き裂が発生する。
次に、部品20の当接面部21に形成される凸部23の好適な形状について説明する。
凸部23は、図7に示すように、溶接フランジ部17、19のそれぞれに沿って延出する延出部23bを有し、凸部23の突起高さをh、凸部23の下端部23cの高さ方向における曲率半径をR、延出部23bと溶接フランジ部17(または溶接フランジ部19)との重なり長さをL、溶接フランジ部17、19の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことが好ましい。凸部23の形状を上記の範囲で規定することにより、疲労強度の向上に好適であることについては、後述する実施例にて検証する。
上記の説明における溶接接合構造体1は、部品20の当接面部21に当接する部品10が、断面コ字状の2つの部品10aを溶接接合した閉断面形状のものであったが、本発明に係る溶接接合構造体は、図8(a)に示すように、断面コ字状の部品10aと部品50とが溶接接合されたものであってもよい。
一方、部品50は、部品10aの屈曲部11を挟んで隣り合う溶接フランジ部17、19aの端部近傍となる当接面部51に凸部53が設けられている(図8(a)、図9参照)。
また、本発明に係る溶接接合構造体は、図11(a)に示すように、溶接ビード30の溶接長さを溶接フランジ部17、19の幅方向長さ(以下、「ベース溶接長さ」と記す)に等しくすればよい。もっとも、溶接ビード30の溶接長さは、例えば図11(b)、図12(c)に示すように、溶接ビード30の始終端33を凸部53の傾斜面部53aに沿って延長し、ベース溶接長さ以上としたものであってもよい。始終端33を延長した溶接ビード30は、図11(a)に示すベース溶接長さの溶接ビード30と同様、始終端33における溶接止端部31が傾斜面部53aに位置するため、応力集中が緩和されて疲労強度が向上する。
なお、溶接ビード長さが疲労強度に及ぼす影響に関しても、後述する実施例にて検証する。
次に、本発明の実施の形態に係る溶接接合方法を説明する。
本実施の形態に係る溶接接合方法は、図1に一例として示すように、屈曲部11を介して連続する面部13、15を有する部品10を、面部13、15それぞれにおける屈曲部11を挟む先端側を部品20に当接させて立設して溶接接合するものである。
一方、部品20においては、溶接フランジ部17、19が当接する当接面部21における溶接フランジ部17、19の端部近傍に凸部23を形成する。そして、凸部23における溶接フランジ部17、19側の傾斜面部23aに溶接ビード30の溶接止端部31が位置するように、溶接フランジ部17、19と当接面部21とを溶接接合する。
このように、部品10と部品20とを溶接接合することで、溶接ビード30の始終端33の溶接止端部31における応力集中を緩和し、溶接のコストと工程数を増やすことなく疲労強度を向上することができる。
本実施例では、発明例として、図13に示す形状の溶接接合構造体9を試験対象として疲労試験を行い、疲労強度を評価した。
溶接接合構造体9は、図13に示すように、部品10および部品50を溶接接合して作成したものであり、部品10および部品50は、板厚t=2.9mm、780MPa級の熱延鋼板を供試材とした。
発明例に係る溶接接合構造体9の疲労試験方法においては、図5に示す疲労試験と同様、部品50を固定するとともに部品10の上部に繰り返し荷重を与え、溶接接合構造体9にき裂が発生するまでの繰り返し荷重のサイクル数を計測することにより、疲労寿命を評価した。
ここで、溶接接合構造体9に負荷する繰り返し荷重の負荷方向は図5に示すx方向と同一方向とし、図14(a)に示すように、凸部53側に0kNから6kNの間の引張荷重が荷重比(最小荷重/最大荷重)0である片振りとした。
表1に、試験条件を示す。ここで、重なり長さL=0mmは図9に示す凸部53を有し、その先端と溶接フランジ部17、19の端部との部分に溶接ビードがあって溶接止端部が凸部の傾斜面部に位置する場合である。また、重なり長さL「−」は凸部53がないため、溶接フランジ部17、19のみの場合である。
一方、No.8は比較例であり、図4に示す部品40の当接面部41に凸部を設けずに部品10の溶接フランジ部17、19を溶接接合したものである。
図15に、疲労試験結果を示す。
本発明例であるNo.1〜No.7はいずれも、比較例であるNo.8と比べて疲労寿命が向上する結果であった。この結果は、前掲の表1に示すように、比較例(No.8)に比べて本発明例(No.1〜No.7)における溶接止端部31の曲率半径ρ)が増加していることから、溶接止端部31における応力集中が緩和されたために疲労強度が向上したことを示す。
まず、凸部53の突起高さをh=3mmとしたNo.1、3とh=5mmとしたNo.2、4を比較すると、h=5mmとしたNo.2、4の方が疲労寿命は向上している。これは、凸部53の突起高さhを増すことで溶接止端部31付近の剛性が向上し、応力集中が低減するためであると考えられる。
3 溶接接合構造体(従来例)
5 溶接接合構造体(本発明)
7 溶接接合構造体(本発明)
9 溶接接合構造体(本発明)
10 部品
10a 部品
11 屈曲部
13、15 面部
17 溶接フランジ部
19、19a 溶接フランジ部
20 部品
21 当接面部
23 凸部
23a 傾斜面部
23b 延出部
23c 下端部
30 溶接ビード
31 溶接止端部
33 始終端
40 部品
41 当接面部
50 部品
51 当接面部
53 凸部
53a 傾斜面部
55 部品
57 凸部
57a 傾斜面部
60 溶接ビード
61 溶接止端部
Claims (6)
- 屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品と、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を当接させて立設された前記一方の部品が溶接接合される他方の部品とを備え、
前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各前記面部の先端側に溶接フランジ部を有し、
前記他方の部品は、前記溶接フランジ部が当接する当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を有し、
前記一方の部品と前記他方の部品は、前記溶接フランジ部と前記当接面部とが溶接接合され、溶接ビードの溶接止端部が前記凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に位置していることを特徴とする溶接接合構造体。 - 請求項1に記載の溶接接合構造体において、
引張荷重が作用する部位は前記凸部が設けられて溶接接合され、圧縮荷重のみが作用する部位は前記凸部を設けることなく溶接接合されていることを特徴とする溶接接合構造体。 - 前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接接合構造体。
- 屈曲部を介して連続する面部を有する一方の部品を、各前記面部における前記屈曲部を挟む先端側を他方の部品に当接させて立設して溶接接合する溶接接合方法であって、
前記一方の部品は、前記屈曲部を挟む各面部の先端側に溶接フランジ部を有し、
前記溶接フランジ部が当接する前記他方の部品の当接面部における隣り合う前記溶接フランジ部の端部近傍に凸部を形成し、
該凸部における前記溶接フランジ部側の傾斜面部に溶接ビードの溶接止端部が位置するように、前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とする溶接接合方法。 - 請求項4に記載の溶接接合方法において、
前記一方の部品の溶接フランジ部と前記他方の部品の当接面部とが溶接接合した状態で引張荷重が作用する部位と圧縮荷重が作用する部位を特定し、
該特定した引張荷重が作用する部位については前記凸部を設けて前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合し、前記特定した圧縮荷重のみが作用する部位については前記凸部を設けることなく前記溶接フランジ部と前記当接面部とを溶接接合することを特徴とする溶接接合方法。 - 前記凸部は、前記溶接フランジ部に沿って延出する延出部を有し、前記凸部の突起高さをh、前記凸部の下端部の高さ方向における曲率半径をR、前記延出部と前記溶接フランジ部との重なり長さをL、前記溶接フランジ部の板厚をtとしたとき、R≧t、h≧t、L≧0を満たすことを特徴とする請求項4又は5に記載の溶接接合方法。
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JPH11254178A (ja) * | 1998-03-09 | 1999-09-21 | Yutani Heavy Ind Ltd | 溶接強度構造物 |
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JP2017196950A (ja) * | 2016-04-26 | 2017-11-02 | Jfeスチール株式会社 | 接合構造体、該接合構造体の製造方法 |
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