JP6601067B2 - 重ねすみ肉溶接方法及び溶接部材 - Google Patents

重ねすみ肉溶接方法及び溶接部材 Download PDF

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Description

本発明は、重ねすみ肉溶接部の応力集中が低減した溶接部材及びその製造方法に関し、特に、自動車に用いられる溶接構造部材及びその製造方法に関する。
自動車の分野では、環境保全のため、車体の軽量化による燃費の向上とともに、衝突安全性の向上が求められている。そのため、高強度鋼板を使用して薄肉化するとともに、車体構造を最適化して、車体の軽量化と衝突安全性の向上を図るために、これまで種々の取組みがなされている。
自動車等の振動を伴う環境で使用される構造部材では、重ねすみ肉溶接が多く用いられており、通常の静的な引張強さの他に、繰り返し作用する力に耐えるように、十分な疲労強さを具備することが要求されている。通常、溶接部材に用いられる母材の疲労強度は、鋼板強度に比例して増加するが、溶接部材の疲労強度は、必ずしも鋼板強度が増加しても、増加しないことが知れている。このことが、高強度鋼板の使用による車体の軽量化を阻害している一因である。
一般に、溶接部材の疲労強さを支配する要因として、溶接ビード形状に起因する溶接止端部への応力集中が挙げられる。溶接止端部は、母材とは不連続な表面形状になるため、溶接止端部に応力が集中すると考えられている。そのため、すみ肉溶接により作製された重ねすみ肉溶接部材における典型的な疲労亀裂は、最も応力が集中する下側鋼板の溶接止端部から発生する。
そこで、溶接止端部の形状をグラインダー仕上げにより平滑化する等の方法で、応力集中を防ぐことにより疲労強度を向上させることが行われている。
一方、重ねすみ肉溶接部材では、鋼板の板厚方向に切断した断面において、鋼板表面と平行な板厚中心軸が、重ねられた鋼板同士でずれているため、鋼板の各端部に引張力を与えると、すみ肉溶接部に大きなモーメントがかかり、溶接止端部及びルート部に応力が集中し、破断することがある。
このような状況のもと、特許文献1には、重ねすみ肉溶接するに際し、一方側鋼板の端部を下方へ折り曲げて段差部を形成し、他方側鋼板の端面を一方側鋼板の段差部の折り曲げ部に当接させ、鋼板同士の当接部分をすみ肉溶接することで、鋼板間の中心軸のずれを少なくし、溶接継手強度を向上させる技術が開示されている。
特開平09−141427号公報
特許文献1に開示の技術は、溶接止端部及びルート部への応力集中を低減できる有効な技術である。しかしながら、この技術により得られた溶接部材において、更に疲労強度を向上させることが求められていた。
また、この技術では、一方側鋼板(下側鋼板)の折り曲げられた端部と、他方側鋼板(上側鋼板)との間に隙間が形成されるが、すみ肉溶接を実施する際に、作業者側から該隙間を確認することができない。そのため、隙間への溶接金属の溶け込み量を把握することができず、施工管理が困難となることがあった。更に、この隙間は、溶接構造部材にとって余分な空間となっていた。
本発明では、このような実情に鑑み、溶接止端部及びルート部への応力集中が低減した重ねすみ肉溶接部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手段について鋭意検討した。端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部(段差)を形成した第1の部材(以下、「下側部材」という)と、第2の部材(以下、「上側部材」という)との配置について検討したところ、下側部材の平坦部に上側部材を重ね合わせて溶接することで、溶接止端部及びルート部への応力集中を緩和できることを知見した。
更に、本発明者らは、下側部材の平坦部に上側部材を重ね合わせ、部材の寸法等を変更した種々の溶接部材に対して、疲労試験を実施した。その結果、下側部材の板厚方向に切断した断面における、下側部材表面と平行な板厚中心の軸(以下、「下側部材の中心軸」又は「第1の部材の中心軸」という)と、上側部材の板厚方向に切断した断面における、上側部材表面と平行な板厚中心の軸(以下、「上側部材の中心軸」又は「第2の部材の中心軸」という)とのずれ量を0.5mm以下とすることで、溶接箇所の応力集中係数が低減することを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)第1の部材と第2の部材の溶接箇所が重ね合わされており、当該第1の部材の表面と当該第2の部材の端部との間にすみ肉溶接部を有する溶接部材において、
前記第1の部材は、端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部を有し、
前記第2の部材は、前記平坦部と重ね合わされており、
前記第1の部材の板厚方向断面における当該第1の部材の表面と平行な板厚中心軸と、前記2の部材の板厚方向断面における当該第2の部材の表面と平行な板厚中心軸とのずれ量が0.50mm以下であり、
前記第1の部材の平坦部と前記第2の部材の重ね代が5mm以上20mm以下であり、
前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部と前記平坦部との境界から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が0mm以上3mm以下であり、
前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部の開始位置から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が3mm以上で、且つ前記第1の部材の板厚より4mm長い長さ以下であり、
前記第1の部材の表面及び前記第2の部材の溶接部側端部にカット状の未溶融部がない
ことを特徴とする溶接部材。
(2)第1の部材と第2の部材の溶接予定箇所を重ね合わせ、当該第1の部材の表面と当該第2の部材の端部との間をすみ肉溶接する方法において、
前記第1の部材の板厚方向断面における当該第1の部材の表面と平行な板厚中心軸と、前記2の部材の板厚方向断面における当該第2の部材の表面と平行な板厚中心軸とのずれ量が0.50mm以下となるように、前記第1の部材の端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部を形成し、
前記第1の部材の平坦部と前記第2の部材の重ね代が5mm以上20mm以下であり、
前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部と前記平坦部との境界から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が0mm以上3mm以下であり、
前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部の開始位置から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が3mm以上で、且つ前記第1の部材の板厚より4mm長い長さ以下になるように、
前記第2の部材を前記平坦部に重ね合わせて、前記第1の部材の表面及び前記第2の部材の溶接部側端部にカット状の未溶融部がないように溶接することを特徴とする重ねすみ肉溶接方法。
本発明によれば、第1の部材に設けた平坦部に第2の部材を重ね合わせ、第1部材の中心軸と第2部材の中心軸のずれ量を0.5mm以下としてすみ肉溶接するので、特別な施工管理を必要とせず、また、得られる溶接部材は、繰り返し応力にさらされた場合でも、溶接止端部及びルート部への応力集中が低減し、優れた疲労特性を有するものとなる。
下側部材に上側部材と重ね合わせて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図である。 下側部材の折り曲げ部に上側部材を当接させて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図である。 下側部材に平坦部を設け、平坦部に上側部材を重ね合わせて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図である。 本発明の溶接部材の形状を説明する図である。 本発明の溶接部材の溶接部を拡大した図である。
本発明の溶接部材は、上側部材が下側部材に設けられた平坦部に重ね合わされており、下側部材の中心軸と上側部材の中心軸とのずれ量が0.5mm以下であり、下側部材の表面と上側部材の端部との間にすみ肉溶接部を有するものである。
次に、本発明の溶接部材に至った検討の経緯について説明するとともに、本発明の溶接部材について説明する。
通常、重ねすみ肉溶接部材では、板厚中心軸が部材同士でずれているため、端部間に引張力を与えると、すみ肉溶接部に大きなモーメントがかかり、溶接止端部及びルート部に応力が集中するため、これを抑制することが望まれていた。
本発明者らは、FEM解析(有限要素法解析)により、種々の溶接部材について、溶接箇所の応力集中係数を調査した。図1〜3に、FEM解析で調査対象とした溶接部材の一例を示す。図1は、下側部材に上側部材と重ね合わせて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図であり、図2は、下側部材の折り曲げ部に上側部材を当接させて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図であり、図3は、下側部材に平坦部を設け、平坦部に上側部材を重ね合わせて、すみ肉溶接した溶接部材を示す図である。
図1に示す溶接部材Aは、下側部材1に上側部材2を重ね合わせ、下側部材1の表面と上側部材2の端部とをすみ肉溶接して溶接部3を形成した従来のものである。溶接部材Aでは、下側部材1の中心軸1aと上側部材2の中心軸2aとは、下側部材1の板厚の半分と上側部材2の板厚の半分を足した距離ずれている。
図2に示す溶接部材Bは、下側部材1の端部に折り曲げ部Xと平坦部Yからなる段差を設け、折り曲げ部Xに上側部材2の端部を当接させて、すみ肉溶接して溶接部3を形成したものである。溶接部材Bでは、下側部材1の中心軸1aと上側部材2の中心軸2aとは、下側部材1の板厚と上側部材2の板厚の平均値の2分の1の距離ずれている。
図3に示す溶接部材Cは、下側部材1の端部に折り曲げ部Xと平坦部Yからなる段差を設け、平坦部Yに上側部材2を重ね合わせて、すみ肉溶接して溶接部3を形成したものである。溶接部材Cでは、下側部材1の中心軸1aと上側部材2の中心軸2aとのずれがないように配置したものである。
そして、FEM解析では、このような溶接部材A〜Cの溶接箇所をモデル化し、溶接箇所の応力集中係数Ktを調査した。また、図1〜3に、FEM解析の際の溶接部材に作用させる応力σの方向を白抜き矢印で示す。表1に、溶接部材A〜Cの板厚、部材の中心軸間のずれ量、応力集中係数Ktを示す。
Figure 0006601067
このように、溶接部材Cの応力集中係数が最も低い数値となった。この理由の一つは、下側部材1の中心軸1aと上側部材2の中心軸2aとのずれがないように、下側部材1と上側部材2とを配置し溶接したことで、部材の各端部に引張力を与えても、溶接部3に大きなモーメントがかからなくなり、応力集中が緩和されたためである。
他方、FEM解析において、溶接部材Bの溶接箇所をモデル化し、応力分布を確認したところ、下側鋼板1と上側鋼板2との隙間側の溶接部3(ルート部4)に応力が集中していた。これより、溶接部材Cのように、下側部材1の平坦部Yに上側部材2を重ね合わせて溶接することで、ルート部4への応力集中が緩和されることが、溶接部材Cの応力集中係数が最も低い数値となった理由の一つである。また、溶接部材Cの溶接部3の溶接止端部5は、例えば、溶接部材Aの溶接止端部5より滑らかな形状となるため、応力集中の緩和に寄与していると考えられる。
これより、下側部材の中心軸と上側部材の中心軸とのずれ量を少なくするとともに、端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部(段差)を形成した下側部材の平坦部に上側部材を重ね合わせて、溶接することで、溶接止端部及びルート部への応力集中を緩和できることを知見した。
更に、本発明者らは、下側部材に設けた平坦部に上側部材を重ね合わせる際に、十分に応力集中を低減できる下側部材の中心軸と上側部材の中心軸とのずれ量を調査した。この調査では、下側部材の中心軸と上側部材の中心軸とのずれ量を段差形状又は鋼板の板厚により変更した複数の被溶接部材に対してすみ肉溶接を実施して、試験片を作製した。
そして、これらの試験片に対して、疲労試験を実施した。その結果、下側部材の中心軸と上側部材の中心軸とのずれ量を0.5mm以下とすることで、疲労特性が向上し、十分な継手強度の溶接部材となること知見した。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)及び(2)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
本発明の溶接部材について、図面を用いて説明する。図4は、本発明の溶接部材の形状を説明する図である。
まず、本発明の溶接部材は、
下側部材1が端部に折り曲げ部X及びそれに続く平坦部Yで構成される段差を有し、
上側部材2がこの平坦部Yと重ね合わされており、
下側部材1の中心軸1aと、上側部材2中心軸2aとのずれが0.5mm以下である
ものである。
下側部材1の段差は、下側部材1に溶接箇所が複数ある場合は、全ての溶接箇所の端部に設けても、一部の溶接箇所の端部に設けてもよい。一部の溶接箇所の端部に段差を設ける例としては、溶接部に付加される応力のうち、より高い応力を受ける溶接部の下側鋼板の端部に段差を設けることがあげられる。
段差を構成する折り曲げ部Xは、下側鋼板1の端部に向かって折り曲げられた位置(端部に向う折り曲げの開始位置)から、下側部材1の中心軸1aと平行な中心軸1bを有する端部とつながる位置(端部に向う折り曲げの終了位置)までの部分である。そして、折り曲げ部Xに続く平坦部Yは、下側部材1の中心軸1aと平行な中心軸1bを有する端部である。
上側部材2と、下側部材1の平坦部Yとは重ね合わされるが、その重ね代bは、特に限定されるものでなく、下限は、溶接の施行を容易にするために5mm以上が好ましい。また、上限は、特に限定されるものでなく、軽量化を考慮して、20mm以下が好ましい。
下側部材1の折り曲げ部Xと平坦部Yとの境界(端部に向う折り曲げの終了位置)から、重ね合わされた上側部材2の溶接部側端部までの距離aは、上側部材2と平坦部Yとの間に隙間が形成されないように0以上とする。上限は、特に限定されるものでなく、溶接金属3の長手方向に垂直方向の長さ(溶接金属の幅)を短くして、溶接のパス回数を減らして生産性を向上させるために、3mm以下が好ましい。
下側部材1の上側表面6と折り曲げ部Xとの境界(端部に向う折り曲げの開始位置)から、上側部材2の溶接部側端部までの距離Wは、特に限定されるものでなく、下限は、所望の継手強度を得るために、3mm以上が好ましい。上限は、カット状の未溶融部が形成されないようにするために、下側部材1の板厚+4mm以下が好ましい。カット状の未溶融部は、応力集中箇所となり、疲労強度を低下させてしまうからである。
次に、図5に、本発明の溶接部材の溶接部の拡大図を示す。図5は、図4に示す溶接部3及びその周辺を拡大した図である。図5に示すように、上側部材1中心軸1aと、上側部材2中心軸2aとはずれていてもよい。ただし、前述の調査により、上側部材1中心軸1aと、上側部材2中心軸2aとのずれ量cは、0.5mm以下とする。これにより、疲労特性が向上し、十分な継手強度となる。また、上側部材1中心軸1aと、上側部材2中心軸2aとが一致すること、すなわち、ずれ量cが0mmであることが好ましい。
下側部材1及び上側部材2のすみ肉溶接により形成される溶接部3の形状等は、特に限定されるものでなく、カット状の未溶融部がなく両部材が溶接により接合されていればよい。
次に、被溶接部材である下側部材及び上側部材ついて説明する。
下側部材及び上側部材の成分組成は、特に限定されるものでなく、種々の成分組成の鋼板等を採用することができる。また、鋼板以外のアルミニウムやステンレス等の金属部材を下側部材及び上側部材とすることもできる。また、下側部材及び上側部材の板厚は、特に限定されるものでなく、1.0〜3.4mmが例示される。
下側部材及び上側部材は、表面にめっき等の表面処理が施されているものであっても、表面処理が施されていないものであってもよい。また、下側部材及び上側部材の形状は、少なくとも溶接箇所が板状であればよく、全体が板でなくともよく、例えば、形鋼、鋼管等としてもよい。
次に、本発明の重ねすみ肉溶接方法(以下、「本発明の溶接法」という)の流れについて説明する。
まず、本発明の溶接法では、被溶接部材を準備する。例えば、引張強度440MPa、板厚3.4mmの鋼板を2枚準備する。
そして、一方の部材を第1の部材として、第2の部材の表面の一部が重ね合わされ、溶接される箇所に折り曲げ部及びそれに続く平坦部で構成される段差を形成する。その際、段差は、第1の部材の中心軸と、第2の部材の中心軸とのずれ量が0.5mm以下となるように、第1及び第2の部材の板厚等に基づき、第1の部材の折り曲げ部の曲がりの程度等を調整して形成する。
そして、第1の部材の平坦部に第2の部材の溶接側端部を重ね合わせる。その際、第2の部材と第1の部材の平坦部との重ね代b、端部に向う折り曲げの終了位置から第2の部材の溶接部側端部までの距離a、端部に向う折り曲げの開始位置から第2の部材の溶接部側端部までの距離Wを、上述の範囲となるように配置することが好ましい。
その後、第1の部材の折り曲げ部と第2の部材の溶接部側端部との間に形成された凹部を溶接金属で満たすように溶接を行う。溶接方法としては、アーク溶接が例示され、アーク溶接の条件や使用する溶接ワイヤの組成は、常法に従えばよく、特定のものに限定されない。また、シールドガスとしては、100%COガスの他、Arガスと3〜20%COガスとの混合ガスなどを用いることができ、溶接電流及び電圧としては、アンダーカットが出ない値を設定すればよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
被溶接部材である第1の部材と第2の部材として、種々の板厚を有する引張強度440MPaの鋼板を準備した。供試鋼板の化学組成を表2に示す。この鋼板を長さ140mm、幅60mmの試験片とした。
Figure 0006601067
そして、鋼板の一部を第1の部材として、表3に示す、中心軸のずれ量cとなるように、第1の部材の端部20mmを折り曲げ、段差を形成した。なお、中心軸ずれ量cに関し、第1の部材の中心軸に対して、第2の部材の中心軸が上側に位置するとき「+」、第2の部材の中心軸が下側に位置するとき「-」を数値の前に記載している。
第2の部材と、第1の部材の平坦部との重ね代b、端部に向う折り曲げの終了位置から第2の部材の溶接部側端部までの距離a、及び、端部に向う折り曲げの開始位置から第2の部材の溶接部側端部までの距離Wが表3に示す数値となるように、第1の部材の平坦部に第2の部材の端部を重ね合わせた。
Figure 0006601067
そして、表4に示す溶接条件で、第1の部材の折り曲げ部と第2の部材の溶接部側端部との間に重ねすみ肉アーク溶接を行い、溶接部を形成し、発明例及び比較例の試験片を作成した。
Figure 0006601067
作成した試験片の両端部分を把持して、電気油圧式疲労試験装置で疲労試験を行った。疲労試験の条件は、荷重比(応力比)0.1、繰返し周波数25Hz、打ち切り回数200万回にして、軸力引張疲労試験に供した。表5に応力試験の結果を示す。
Figure 0006601067
試験No.3〜6は、中心軸ずれ量cが±0.50mm内であるため、中心軸ずれ量cが±0.50mm外の試験No.1、2に比べて疲労強度が向上している。
本発明によれば、第1の部材に設けた平坦部に第2の部材を重ね合わせ、第1部材の中心軸と第2部材の中心軸のずれ量を0.5mm以下としてすみ肉溶接するので、特別な施工管理を必要とせず、また、得られる溶接部材は、繰り返し応力にさらされた場合でも、溶接止端部及びルート部への応力集中が低減し、優れた疲労特性を有するものとなる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 第1の部材(下側鋼板)
1a 第1の部材(下側鋼板)の中心軸
1b 第1の部材(下側鋼板)の平坦部の中心軸
2 第2の部材(上側鋼板)
2a 第2の部材(下側鋼板)の中心軸
3 溶接部
4 ルート部
5 溶接止端部
6 第1の部材(下側鋼板)の上側表面
a 折り曲げ部と平坦部との境界から第2の部材の端部までの距離
b 第1の部材と第2の部材との重ね代
c ずれ量
W 第1の部材の上側表面と折り曲げ部との境界から第2の部材の端部までの距離
X 折り曲げ部
Y 平坦部

Claims (2)

  1. 第1の部材と第2の部材の溶接箇所が重ね合わされており、当該第1の部材の表面と当該第2の部材の端部との間にすみ肉溶接部を有する溶接部材において、
    前記第1の部材は、端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部を有し、
    前記第2の部材は、前記平坦部と重ね合わされており、
    前記第1の部材の板厚方向断面における当該第1の部材の表面と平行な板厚中心軸と、前記2の部材の板厚方向断面における当該第2の部材の表面と平行な板厚中心軸とのずれ量が0.50mm以下であり、
    前記第1の部材の平坦部と前記第2の部材の重ね代が5mm以上20mm以下であり、
    前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部と前記平坦部との境界から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が0mm以上3mm以下であり、
    前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部の開始位置から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が3mm以上で、且つ前記第1の部材の板厚より4mm長い長さ以下であり、
    前記第1の部材の表面及び前記第2の部材の溶接部側端部にカット状の未溶融部がないことを特徴とする溶接部材。
  2. 第1の部材と第2の部材の溶接予定箇所を重ね合わせ、当該第1の部材の表面と当該第2の部材の端部との間をすみ肉溶接する方法において、
    前記第1の部材の板厚方向断面における当該第1の部材の表面と平行な板厚中心軸と、前記2の部材の板厚方向断面における当該第2の部材の表面と平行な板厚中心軸とのずれ量が0.50mm以下となるように、前記第1の部材の端部に折り曲げ部及びそれに続く平坦部を形成し、
    前記第1の部材の平坦部と前記第2の部材の重ね代が5mm以上20mm以下であり、
    前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部と前記平坦部との境界から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が0mm以上3mm以下であり、
    前記第1の部材の表面における前記折り曲げ部の開始位置から、前記第2の部材の溶接部側端部までの距離が3mm以上で、且つ前記第1の部材の板厚より4mm長い長さ以下になるように、
    前記第2の部材を前記平坦部に重ね合わせて、前記第1の部材の表面及び前記第2の部材の溶接部側端部にカット状の未溶融部がないように溶接することを特徴とする重ねすみ肉溶接方法。
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